説明

レンズ固定機構、光源装置及びプロジェクタ

【課題】複数のレンズを各々適正な位置に固定できるレンズ固定機構を提供する。
【解決手段】複数のコリメータレンズ150は、第2の固定部材140内の孔に収められ、その光軸と直交する平面方向について位置決めされる。コリメータレンズ150は、レンズ押さえ具160により、第2の固定部材140の方向に押さえられる。レンズ押さえ具160は、コリメータレンズ150と対応した複数のリング162を有しており、これらリング162は、柔軟性のある連結部164で連結されている。したがって、リング162間の間隔がある程度変化できるので、各リング162は、第2の固定部材140の孔の位置によって規定されたコリメータレンズ150の位置に合わせて配置される。レンズ押さえ具160は、押さえ板金170によって第2の固定部材140の方向に押さえつけて固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ固定機構、光源装置及びプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、パーソナルコンピュータ等から出力された画像データに基づく画像をスクリーン等に投影する画像投影装置としてのプロジェクタが知られている。このようなプロジェクタの一種として、光源から射出された光をデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD;登録商標)と呼ばれるマイクロミラー表示素子に集光させ、このマイクロミラー表示素子からの反射光で画像を形成する方式を採るプロジェクタが知られている。
【0003】
このようなプロジェクタにおける光源としては、従来、高輝度の放電ランプを用いるものが多かった。近年、光源として発光ダイオードやレーザダイオード、あるいは、有機EL、蛍光体等を用いる種々のプロジェクタが開発されている。例えば特許文献1には、複数のレーザダイオードをアレイ状に配置した光源を用いるプロジェクタに係る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−076781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば特許文献1に係る技術では、上記光源においてアレイ状に配置されたレーザダイオードに対応させて、固定部材により複数のコリメータレンズが位置合わせされて固定されている。コリメータレンズの固定において、コリメータレンズを上下から挟み込む場合、上下の固定部材の寸法について高い精度が求められる。上下の固定部材に寸法誤差があると、例えばコリメータレンズが破損したり、その光軸がずれたりし得る。
【0006】
本発明は、複数のレンズを各々適正な位置に固定できるレンズ固定機構と、それを用いた光源装置及びプロジェクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を果たすため、本発明のレンズ固定機構の一態様は、光軸と直交する平面内に複数のレンズを並べて配置して固定するレンズ固定機構であって、前記複数のレンズを各々収容して前記平面内における前記複数のレンズの位置決めをする複数の孔と、前記複数の孔内の各々において前記光軸と平行な第1の方向への前記複数のレンズの移動を抑える複数の第1の接触部とを有する固定部材と、前記複数のレンズを通る光が通過する前記複数のレンズの各々の大きさよりも小さく形成された第1の穴を有し、前記複数のレンズの各々の配置位置に対応して設けられる複数の第2の接触部と、前記複数の第2の接触部を移動可能に互いに連結する連結部とを有するレンズ押さえ具と、前記複数のレンズを通る光が通過する位置にそれぞれ設けられた第2の穴を有し、前記レンズ押さえ具を前記複数のレンズに押さえつけることで前記複数のレンズをそれぞれ前記第1の接触部に押さえつけて固定する押さえ板と、を具備することを特徴とする。
【0008】
また、前記目的を果たすため、本発明の光源装置の一態様は、平面上に配列された複数の光源と、複数のレンズと、各々の前記光源から射出された光の光軸上に前記複数のレンズを固定する上記のレンズ固定機構と、複数の前記光源と前記レンズ固定機構とを保持する保持部材と、を具備することを特徴とする。
【0009】
また、前記目的を果たすため、本発明のプロジェクタの一態様は、上記の光源装置を具備し、前記光源装置から射出された光を用いて形成された投影画像を投影対象に投影する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数のレンズを各々適正な位置に固定できるレンズ固定機構と、それを用いた光源装置及びプロジェクタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るプロジェクタの構成例の概略を示すブロック図。
【図2】本発明の一実施形態に係るプロジェクタの光学系の一例の概略を示すブロック図。
【図3】レーザ光源ユニットの構成例の概略を示す斜視図。
【図4】レーザ光源ユニットの構成例の断面の概略を示す図。
【図5】レンズ押さえ具の構成例の概略を示す図。
【図6】レーザ光源ユニットの構成例の概略を示す分解斜視図。
【図7】レンズ押さえ具の比較例としての板金を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態に係る投影装置は、マイクロミラー表示素子を用いたDigital Light Processing(DLP)(登録商標)方式を用いている。本実施形態のプロジェクタ10の構成の概略を図1に示す。プロジェクタ10は、入力部11と、画像変換部12と、投影処理部13と、マイクロミラー素子14と、光源部15と、ミラー16と、投影レンズ部17と、CPU18と、メインメモリ19と、プログラムメモリ20と操作部21と、音声処理部22と、スピーカ23とを有する。
【0013】
入力部11には、例えばピンジャック(RCA)タイプのビデオ入力端子や、D−sub15タイプのRGB入力端子といった端子が設けられており、アナログ画像信号が入力される。入力部11は、入力された各種規格のアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換する。入力部11は、変換したデジタル画像信号を、システムバスSBを介して画像変換部12に出力する。なお、入力部11には、例えばHDMI(登録商標)端子等も設けられ、アナログ画像信号のみならずデジタル画像信号も入力され得るようにしてもよい。また、入力部11には、アナログ又はデジタル信号による音声信号が入力される。入力部11は、入力された音声信号を音声処理部22に出力する。
【0014】
画像変換部12は、スケーラとも称される。画像変換部12は、入力された画像データを投影に適した所定のフォーマットの画像データに変換し、変換データを投影処理部13へ送信する。必要に応じて画像変換部12は、On Screen Display(OSD)用の各種動作状態を示すシンボルを重畳した画像データを、加工画像データとして投影処理部13に送信する。
【0015】
光源部15は、赤(R)、緑(G)、青(B)の原色光を含む複数色の光を射出する。ここで、光源部15は、複数色の色を時分割で順次射出するように構成されている。光源部15から射出された光は、ミラー16で全反射し、マイクロミラー素子14に入射する。
【0016】
マイクロミラー素子14は、アレイ状に配列された複数の微小ミラーを有する。各微小ミラーは、高速でオン/オフ動作して、光源部15から照射された光を投影レンズ部17の方向に反射させたり、投影レンズ部17の方向からそらしたりする。マイクロミラー素子14には、微小ミラーが例えばWXGA(Wide eXtended Graphic Array)(横1280画素×縦800画素)分だけ並べられている。各微小ミラーにおける反射によって、マイクロミラー素子14は、例えばWXGA解像度の画像を形成する。このように、マイクロミラー素子14は空間的光変調素子として機能する。
【0017】
投影処理部13は、画像変換部12から送信された画像データに応じて、その画像データが表す画像を表示させるため、マイクロミラー素子14を駆動する。すなわち、投影処理部13は、マイクロミラー素子14の各微小ミラーをオン/オフ動作させる。ここで投影処理部13は、マイクロミラー素子14を高速に時分割駆動する。単位時間の分割数は、所定のフォーマットに従ったフレームレート、例えば60[フレーム/秒]と、色成分の分割数と、表示階調数とを乗算して得られる数である。また、投影処理部13は、マイクロミラー素子14の動作と同期させて光源部15の動作も制御する。すなわち、投影処理部13は、各フレームを時分割して、フレーム毎に全色成分の光を順次射出するように光源部15の動作を制御する。
【0018】
投影レンズ部17は、マイクロミラー素子14から導かれた光を、例えば図示しないスクリーン等に投影する光に調整する。したがって、マイクロミラー素子14による反射光で形成された光像は、投影レンズ部17を介して、スクリーンに投影表示される。
【0019】
音声処理部22は、PCM音源等の音源回路を備える。入力部11から入力されたアナログ音声データに基づいて、又は投影動作時に与えられたデジタル音声データをアナログ化した信号に基づいて、音声処理部22は、スピーカ23を駆動して拡声放音させる。また、音声処理部22は、必要に応じてビープ音等を発生させる。スピーカ23は、音声処理部22から入力された信号に基づいて音声を射出する一般的なスピーカである。
【0020】
CPU18は、画像変換部12、投影処理部13及び音声処理部22の動作を制御する。このCPU18は、メインメモリ19及びプログラムメモリ20と接続されている。メインメモリ19は、例えばSRAMで構成される。メインメモリ19は、CPU18のワークメモリとして機能する。プログラムメモリ20は、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリで構成される。プログラムメモリ20は、CPU18が実行する動作プログラムや各種定型データ等を記憶する。また、CPU18は、操作部21と接続されている。操作部21は、プロジェクタ10の本体に設けられるキー操作部と、プロジェクタ10専用の図示しないリモートコントローラからの赤外光を受光する赤外線受光部とを含む。操作部21は、ユーザが本体のキー操作部又はリモートコントローラで操作したキーに基づくキー操作信号をCPU18に出力する。CPU18は、メインメモリ19及びプログラムメモリ20に記憶されたプログラムやデータを用いて、操作部21からのユーザの指示に応じてプロジェクタ10の各部の動作を制御する。
【0021】
光源部15、ミラー16、マイクロミラー素子14及び投影レンズ部17を含む本実施形態に係るプロジェクタ10の光学系を、図2を参照して説明する。光源部15には、青色のレーザ光を発する半導体発光素子である半導体レーザ(レーザダイオード;LD)120を光源として有するレーザ光源ユニット100が設けられている。LD120は、レーザ光源ユニット100内にアレイ状に配列されている。例えば本実施形態では、3行8列に計24個のLD120がアレイ状に配置されている。各LD120が発する青色のレーザ光は、各LD120に対応して配置されたコリメータレンズ150を通り平行光となり、レーザ光源ユニット100から射出される。
【0022】
コリメータレンズ150と対向した位置には、ミラー32が階段状に配置されている。レーザ光源ユニット100から射出されたレーザ光は、ミラー32で反射され、その光路を90度変化させつつ、1つの光束にまとめられる。この光束の光路上には、レンズ33,34及び第1のダイクロイックミラー35が配置されている。ミラー32で反射されたレーザ光は、レンズ33,34により平行な光束とされた後、第1のダイクロイックミラー35に入射する。第1のダイクロイックミラー35は、青色光を透過する。透過光の光路には、レンズ36,37及び蛍光ホイール38が配置されている。第1のダイクロイックミラー35を透過した青色光は、レンズ36,37を介して蛍光ホイール38に照射される。
【0023】
蛍光ホイール38は、円盤形状をしている。蛍光ホイール38は、2つの領域に分割されており、その一方には透過用の拡散板が形成され、他方には蛍光体層が形成されている。蛍光体層が存在する部分の蛍光ホイール38には、レーザ光源ユニット100からのレーザ光が照射される面に蛍光体が塗布されて蛍光層が形成されている。この蛍光体は、青色の光が照射された際に緑色の蛍光を放射する蛍光体である。蛍光層の裏面には、反射板が形成されている。蛍光ホイール38の拡散板は、青色光を透過し、かつその光を拡散させる板である。蛍光ホイール38は、回転駆動部であるモータ(M)39の駆動により回転する。この回転は、投影処理部13によって、マイクロミラー素子14とともに同期制御される。投影処理部13は、制御の際、蛍光ホイール38に形成された図示しないマーカの回転を検出し、その検出結果を利用する。
【0024】
青色のレーザ光は、蛍光ホイール38の蛍光層に入射すると、緑色の蛍光を放射する。この緑色の蛍光は、等方的に放射される。蛍光層の裏面側に放射された蛍光は、反射板によって反射される。したがって、蛍光層から放射された蛍光は、レンズ37,36側に導かれる。レンズ37,36を通過した緑色光は、第1のダイクロイックミラー35に入射する。
【0025】
第1のダイクロイックミラー35は、緑色光を反射する。反射光の光路には、レンズ41と第2のダイクロイックミラー42が配置されている。第1のダイクロイックミラー35で反射された緑色光は、レンズ41を介して第2のダイクロイックミラー42に入射する。第2のダイクロイックミラー42は緑色光を反射する。この反射光の光路には、レンズ43と、インテグレータ44と、レンズ45と、ミラー46と、レンズ47と、ミラー16とがこの順に配置されている。インテグレータ44は、光束の輝度分布を均一にする素子である。第2のダイクロイックミラー42で反射された緑色光は、レンズ43を介してインテグレータ44を通り輝度分布が均一な光束とされ、レンズ45、ミラー46、レンズ47を介してミラー16に入射する。
【0026】
また、レーザ光源ユニット100から射出された青色レーザ光の光路上に、蛍光ホイール38の拡散板がある場合、この青色レーザ光は、以下の経路を通る。レーザ光源ユニット100から射出された青色レーザ光は、蛍光ホイール38の拡散板に入射し、この拡散板を拡散しつつ透過する。透過光の光路上には、レンズ50、ミラー51、レンズ52、ミラー53、レンズ54、第2のダイクロイックミラー42が配置されている。拡散板を透過した青色光は、レンズ50を介してミラー51で反射され、レンズ52を介してさらにミラー53で反射され、レンズ54を介して、第2のダイクロイックミラー42に入射する。第2のダイクロイックミラー42は、青色光を透過させる。第2のダイクロイックミラー42を透過した青色光は、レンズ43を介してインテグレータ44を通り輝度分布が均一な光束とされる。インテグレータ44から出射した青色光は、レンズ45、ミラー46、レンズ47を介してミラー16に入射する。
【0027】
光源部15は、さらに赤色光を発する半導体発光素子である発光ダイオード(LED)55を光源として有する。LED55から射出された光の光路上には、レンズ56,57及び第1のダイクロイックミラー35が配置されている。LED55が発する赤色光は、レンズ56,57を介して、第1のダイクロイックミラー35に入射する。第1のダイクロイックミラー35は、赤色光を透過する。第1のダイクロイックミラー35を透過した赤色光は、レンズ41を介して第2のダイクロイックミラー42に入射する。第2のダイクロイックミラー42は赤色光を反射する。第2のダイクロイックミラー42で反射された赤色光は、レンズ43を介してインテグレータ44を通り輝度分布が均一な光束とされる。インテグレータ44から出射した赤色光は、レンズ45、ミラー46、レンズ47を介してミラー16に入射する。
【0028】
ミラー16で反射された緑色光、青色光、赤色光はそれぞれ、レンズ48を介してマイクロミラー素子14に照射される。マイクロミラー素子14は、投影レンズ部17方向への反射光によって光像を形成する。この光像はレンズ48及び投影レンズ部17を介して投影対象の図示しないスクリーン等に照射される。
【0029】
本実施形態に係るプロジェクタ10の動作を説明する。なお、以下の動作は、CPU18の制御の下、投影処理部13が実行するものである。レーザ光源ユニット100の青色発光用のLD120と赤色発光用のLED55との発光タイミング、この発光タイミングに同期した蛍光ホイール38の回転タイミング、及びマイクロミラー素子14の動作は、何れも投影処理部13により制御される。
【0030】
例えば赤色光(R)、緑色光(G)、青色光(B)の3色の光をマイクロミラー素子14に入射させる場合を例に挙げて説明する。赤色光をマイクロミラー素子14に入射させるタイミングにおいては、赤色発光用のLED55を点灯し、青色発光用のLD120を消灯する。緑色光をマイクロミラー素子14に入射させるタイミングにおいては、赤色発光用のLED55を消灯し、青色発光用のLD120を点灯する。この際、蛍光ホイール38は、モータ39による回転によって、青色光の光路に蛍光層が位置するようにされている。青色光をマイクロミラー素子14に入射させるタイミングにおいては、赤色発光用のLED55を消灯し、青色発光用のLD120を点灯する。この際、蛍光ホイール38は、モータ39による回転によって、青色光の光路に拡散板が位置するようにされている。以上のように、LED55及びLD120の点灯及び消灯と、モータ39による蛍光ホイール38の回転角度とを制御することで、マイクロミラー素子14に順次、赤色光、緑色光、及び青色光を入射させる。
【0031】
マイクロミラー素子14は、各色の光について微小ミラー毎(画素毎)に、画像データに基づく輝度が高い程入射した光を投影レンズ部17に導く時間を長くし、輝度が低い程入射した光を投影レンズ部17に導く時間を短くする。すなわち、投影処理部13は、輝度が高い画素に対応する微小ミラーが長時間オン状態となるように、輝度が低い画素に対応する微小ミラーが長時間オフ状態となるように、マイクロミラー素子14を制御する。このようにすることで、投影レンズ部17から射出される光について、微小ミラー毎(画素毎)に各色の輝度を表現できる。
【0032】
フレーム毎に、微小ミラーがオンになっている時間で表現された輝度を各色について組み合わせることで画像が表現される。以上のようにして、投影レンズ部17からは、画像が表現された投影光が射出される。この投影光が、例えばスクリーンに投影されることで、スクリーン等には画像が表示される。
なお、上記説明では、赤色光、緑色光、青色光の3色を用いるプロジェクタの例を示したが、マゼンタやイエロー等の補色や、白色光等を組み合わせて画像を形成するように、これら色の光を射出できるようにプロジェクタを構成してもよい。
【0033】
本実施形態に係るレーザ光源ユニット100の構造の詳細を、図3乃至図6を参照して説明する。レーザ光源ユニット100の斜視図を図3に示し、その断面図を図4に示す。レーザ光源ユニット100において、LD120は第1の固定部材130に固定されている。すなわち、第1の固定部材130には、凹部が設けられている。この凹部の内径は、LD120の底部の外径とほぼ一致している。このようにして、LD120の底部は、第1の固定部材130に嵌め合いにより固定されている。
【0034】
第1の固定部材130には、放熱フィン112を有するヒートシンク110が接続されている。放熱フィン112は、LD120から発生する熱を放出するために設けられており、図示しない冷却ファンから冷却風があてられるようになっている。したがって、LD120から発生した熱は、放熱フィン112から放熱される。
【0035】
第2の固定部材140は、第1の固定部材130に重ね合わされている。第2の固定部材140には、LD120の位置に対応して貫通孔142が設けられている。貫通孔142の第1の固定部材130側の内径は、LD120の上部の、すなわち青色レーザ光を射出する側の部分の外径よりも大きい。このようにして、LD120の上部は、貫通孔142内に配置される。貫通孔142の第1の固定部材130と反対側の内径は、コリメータレンズ150の外径とほぼ一致している。各コリメータレンズ150は、貫通孔142内に配置され、貫通孔142によってその光軸と直交する平面における位置決めがなされている。さらに、貫通孔142には、LD120側の内径がコリメータレンズ150の外径よりも小さくなるような段差144が設けられている。この段差144によって、コリメータレンズ150とLD120との間に間隙が形成されている。すなわち、コリメータレンズ150は、所定の位置よりもLD120側に移動しないように、段差144によってその光軸方向について位置決めされている。
【0036】
コリメータレンズ150をLD120側に押し付けるために、レンズ押さえ具160と押さえ板金170とが配置されている。レンズ押さえ具160の構造を図5に示す。この図に示すように、レンズ押さえ具160は、コリメータレンズ150の数に対応した3行8列で計24個のリング162を有する。リング162の内径は、コリメータレンズ150の射出側の外径よりも小さい。リング162は、互いに連結部164で接続されている。連結部164は、湾曲した形状を有している。ここで、リング162及び連結部164の厚さは例えば0.2mm程度であり、連結部164の太さも厚さと同様に例えば0.2mm程度である。連結部164は、柔軟性を有し、各リング162間の距離を変化させることができる。なお、レンズ押さえ具160は、例えば板金をパターンエッチングすることによって一体形成され得る。レンズ押さえ具160は、一体形成によって、容易に形成される。なお、リング162の穴は、コリメータレンズ150と通過した光が通る穴である。
【0037】
押さえ板金170は、コリメータレンズ150の数に対応した3行8列で計24個の円形の穴を有する。この穴は、コリメータレンズ150と通過した光が通る穴である。穴の径は、レンズ押さえ具160のリング162の内径より大きく、リング162の外径よりも小さい。各コリメータレンズ150の射出側にレンズ押さえ具160の各リング162を嵌め、レンズ押さえ具160を押さえ板金170によりLD120側に押さえつけることによって、コリメータレンズ150はその光軸方向に移動しないように固定される。図6にレーザ光源ユニット100の分解斜視図を示すように、レンズ押さえ具160及び押さえ板金170は、ネジ180によって第2の固定部材140に対して固定されている。以上のようにして、コリメータレンズ150は、第2の固定部材140内に固定されている。したがって、第2の固定部材140を十分な精度で形成すれば、コリメータレンズ150は適切な光軸を有して固定される。なお、押さえ板金170の穴の径をレンズ押さえ具160のリング162の内径より大きく、リング162の外径よりも小さくすることで、リング162の穴を通過した光を遮らず、かつリング162をコリメータレンズ150の方向に押さえつけることができる。
【0038】
LD120から射出された青色のレーザ光は、コリメータレンズ150に入射し、コリメータレンズ150で平行光となった青色のレーザ光は、押さえ板金170に開けられた穴を通り、レーザ光源ユニット100から射出される。
【0039】
本実施形態によれば、レンズ押さえ具160は、リング162とリング162とを繋ぐ連結部164がたわむことにより、リング162間のピッチを微小に変えることができる。その結果、複数のコリメータレンズ150の中心軸に対して各リング162の中心軸は正確に一致し、レンズ押さえ具160は、全てのコリメータレンズ150を正確に固定することができる。すなわち、正確に光軸の位置合わせを行うことができる。
【0040】
なお、リング162の形状は、本実施形態のように円環形状に限らない。リング162の形状は、例えばその外形及び/又は穴の形状が多角形であってもよい。ただし、光軸に対して対称な形状のコリメータレンズ150を用いる場合、リング162は円環形状であること、特にその穴の形状が円形であることが好ましい。なぜなら、リング162が円環形状をしていることで、コリメータレンズ150に各方向から均等に力を加えることができ、コリメータレンズ150の破損を防止することができるからである。また、連結部164の形状は、リング162の間隔が変化するようになっていれば本実施形態に限定されない。なお、本実施形態のように連結部164を曲線形状の紐状とすることで、連結部164はバネのように機能し、リング162に対して平面方向にある程度の自由度を与えることができる。また、本実施形態では、押さえ板金170は円形の穴を有するものとしたが、これに限らない。リング162と接触してリング162を押さえることができ、かつ、LD120から射出されたレーザ光が通る穴を有していればよい。
【0041】
仮にレンズ押さえ具160が図7に示すような、コリメータレンズ150の位置に対応した穴962を有する板金960とした場合、本実施形態と次のような違いが生じる。複数のコリメータレンズ150を板金960で押さえて固定するとき、個々のコリメータレンズ150のピッチ、すなわち、第2の固定部材140の貫通孔のピッチと、板金960の穴962のピッチとを完全に一致させることは困難である。したがって、複数のコリメータレンズ150のうち、いずれかのコリメータレンズ150について、第2の固定部材140により規定されるその光軸と板金960の穴962の中心とがずれてしまう恐れがある。このとき、板金960はコリメータレンズ150の全周を均等に押さえることができない。その結果、コリメータレンズ150が割れたり、コリメータレンズ150の光軸がずれたりすることが起こり得る。これに対して本実施形態のレンズ押さえ具160では、リング162がその平面方向にわずかに移動することによって、コリメータレンズ150の全周を均等な力で押さえることができる。
【0042】
また、本実施形態におけるレンズ押さえ具160によれば、リング162が連結部164によって接続されていない場合に比べて、レンズ押さえ具160の各リング162が連結部164によって接続され一体となっているため、全てのリング162を各コリメータレンズ150に一度に設置することができる。
【0043】
このように、例えば貫通孔142は、複数のレンズを各々収容して平面内における複数のレンズの位置決めをする複数の孔として機能し、例えば段差144は、複数の孔内の各々において光軸と平行な第1の方向への複数のレンズの移動を抑える複数の第1の接触部として機能し、例えば第2の固定部材は、複数の孔と複数の第1の接触部とを有する固定部材として機能する。例えばリング162は、複数のレンズを通る光が通過する複数のレンズの各々の大きさよりも小さく形成された第1の穴を有し、複数のレンズの各々の配置位置に対応して設けられる複数の第2の接触部として機能し、例えば連結部164は、複数の第2の接触部を移動可能に互いに連結する連結部として機能し、例えばレンズ押さえ具160は、複数の第2の接触部と連結部とを有するレンズ押さえ具として機能する。例えば押さえ板金170は、複数のレンズを通る光が通過する位置にそれぞれ設けられた第2の穴を有し、レンズ押さえ具を複数のレンズに押さえつけることで複数のレンズをそれぞれ第1の接触部に押さえつけて固定する押さえ板として機能する。
【0044】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても、発明が解決しようとする課題の欄で述べられた課題が解決でき、かつ、発明の効果が得られる場合には、この構成要素が削除された構成も発明として抽出され得る。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0045】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 光軸と直交する平面内に複数のレンズを並べて配置して固定するレンズ固定機構であって、
前記複数のレンズを各々収容して前記平面内における前記複数のレンズの位置決めをする複数の孔と、前記複数の孔内の各々において前記光軸と平行な第1の方向への前記複数のレンズの移動を抑える複数の第1の接触部とを有する固定部材と、
前記複数のレンズを通る光が通過する前記複数のレンズの各々の大きさよりも小さく形成された第1の穴を有し、前記複数のレンズの各々の配置位置に対応して設けられる複数の第2の接触部と、前記複数の第2の接触部を移動可能に互いに連結する連結部とを有するレンズ押さえ具と、
前記複数のレンズを通る光が通過する位置にそれぞれ設けられた第2の穴を有し、前記レンズ押さえ具を前記複数のレンズに押さえつけることで前記複数のレンズをそれぞれ前記第1の接触部に押さえつけて固定する押さえ板と、
を具備することを特徴とするレンズ固定機構。
[2] 前記第2の接触部は、前記複数のレンズの各々に対応した前記レンズの外径よりも内径が小さい環形状をしていることを特徴とする[1]に記載のレンズ固定機構。
[3] 前記連結部は、曲線の紐形状をしていることを特徴とする[1]又は[2]に記載のレンズ固定機構。
[4] 前記第2の接触部と前記連結部とは一体形成されていることを特徴とする[1]乃至[3]のうち何れか1に記載のレンズ固定機構。
[5] 前記第2の穴は、前記第1の穴よりも大きく前記第2の接触部よりも小さいことを特徴とする[1]乃至[4]のうち何れか1に記載のレンズ固定機構。
[6] 平面上に配列された複数の光源と、
複数のレンズと、
各々の前記光源から射出された光の光軸上に前記複数のレンズを固定する[1]乃至[5]のうち何れか1に記載のレンズ固定機構と、
複数の前記光源と前記レンズ固定機構とを保持する保持部材と、
を具備することを特徴とする光源装置。
[7] [6]に記載の光源装置を具備し、
前記光源装置から射出された光を用いて形成された投影画像を投影対象に投影する、
ことを特徴とするプロジェクタ。
【符号の説明】
【0046】
10…プロジェクタ、11…入力部、12…画像変換部、13…投影処理部、14…マイクロミラー素子、15…光源部、16…ミラー、17…投影レンズ部、18…CPU、19…メインメモリ、20…プログラムメモリ、21…操作部、22…音声処理部、23…スピーカ、32,46,51,53…ミラー、33,34,36,37,41,43,45,47,48,50,52,54,56,57…レンズ、35…第1のダイクロイックミラー、38…蛍光ホイール、39…モータ、42…第2のダイクロイックミラー、44…インテグレータ、55…発光ダイオード(LED)、100…レーザ光源ユニット、110…ヒートシンク、112…放熱フィン、120…半導体レーザ(LD)、130…第1の固定部材、140…第2の固定部材、142…貫通孔、144…段差、150…コリメータレンズ、160…レンズ押さえ具、162…リング、164…連結部、170…押さえ板金、180…ネジ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸と直交する平面内に複数のレンズを並べて配置して固定するレンズ固定機構であって、
前記複数のレンズを各々収容して前記平面内における前記複数のレンズの位置決めをする複数の孔と、前記複数の孔内の各々において前記光軸と平行な第1の方向への前記複数のレンズの移動を抑える複数の第1の接触部とを有する固定部材と、
前記複数のレンズを通る光が通過する前記複数のレンズの各々の大きさよりも小さく形成された第1の穴を有し、前記複数のレンズの各々の配置位置に対応して設けられる複数の第2の接触部と、前記複数の第2の接触部を移動可能に互いに連結する連結部とを有するレンズ押さえ具と、
前記複数のレンズを通る光が通過する位置にそれぞれ設けられた第2の穴を有し、前記レンズ押さえ具を前記複数のレンズに押さえつけることで前記複数のレンズをそれぞれ前記第1の接触部に押さえつけて固定する押さえ板と、
を具備することを特徴とするレンズ固定機構。
【請求項2】
前記第2の接触部は、前記複数のレンズの各々に対応した前記レンズの外径よりも内径が小さい環形状をしていることを特徴とする請求項1に記載のレンズ固定機構。
【請求項3】
前記連結部は、曲線の紐形状をしていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレンズ固定機構。
【請求項4】
前記第2の接触部と前記連結部とは一体形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のうち何れか1項に記載のレンズ固定機構。
【請求項5】
前記第2の穴は、前記第1の穴よりも大きく前記第2の接触部よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至4のうち何れか1項に記載のレンズ固定機構。
【請求項6】
平面上に配列された複数の光源と、
複数のレンズと、
各々の前記光源から射出された光の光軸上に前記複数のレンズを固定する請求項1乃至5のうち何れか1項に記載のレンズ固定機構と、
複数の前記光源と前記レンズ固定機構とを保持する保持部材と、
を具備することを特徴とする光源装置。
【請求項7】
請求項6に記載の光源装置を具備し、
前記光源装置から射出された光を用いて形成された投影画像を投影対象に投影する、
ことを特徴とするプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−76837(P2013−76837A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216648(P2011−216648)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】