説明

レンズ研削加工装置の研削水処理方法及び装置

【課題】研削加工滓(かす)と水の良好な分離性能や研削加工粕(かす)の良好な処理作業性を維持すると共に、研削水の交換作業性,泡処理性能,メインテナンス作業性の向上を図ることができるレンズ研削加工装置の研削水処理方法及び装置を提供すること。
【解決手段】研削水タンク(一次槽3)、ろ過装置13、レンズ研削加工装置本体1の順序で研削水をポンプ(給排水ポンプ20)により循環させ、研削水タンク(一次槽3)の水位を検知することにより、循環内での研削加工粕の量を検知し、循環内の研削水の水量を制御するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼鏡レンズの研削加工用の研削水を貯蔵する研削水タンクと、研削水をろ過する研削水処理手段とを有するレンズ研削加工装置の研削水処理方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の研削水処理装置において、研削水処理を行う場合、環境問題に対処する必要性がある。従来の研削水処理装置としては、眼鏡レンズの研削加工粕(かす)廃棄のための作業性について一定の評価は得られているものもある。しかし、このような研削水処理装置でも、ろ過装置のメインテナンス作業性が必ずしも良いものではなかった。
【0003】
なかでも、研削水タンクまわりの配管類が複雑なこともあって、そのメンテナンス作業性が著しく悪く、研削水タンク内の研削水とする水交換作業などに手間取ってしまうものであった。しかも、研削水タンクまわりの配管類が複雑なので、一般的の眼鏡店では研削水タンクまわりの配管類に触れにくい代物となっているのが現状である。
【0004】
また、研削水処理装置では、研削加工滓(かす)と水の良好な分離性能を維持するとともに、研削加工滓(かす)の簡易且つ迅速な処理作業性を維持することが求められている。しかも、研削水処理装置では、眼鏡レンズ研削加工に伴う研削水の交換作業性を向上させ、泡処理性能も向上させ、合わせて維持メンテ作業性能を向上させなければならない。
【0005】
ところで、従来のレンズ研削加工装置(レンズ研削加工システム)としては、研削水をレンズ研削部,研削水タンク,ろ過装置,レンズ研削部の順に循環させる循環サイクルを前提とすると共に、研削水タンクに給水を必要とするときに、ろ過装置からレンズ研削部への流路を研削水タンク側に切り替えて、ろ過循環系の水を研削水タンクに戻すような構造を採用しているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−7357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このレンズ研削加工装置では、研削加工滓(かす)と水の良好な分離性能を維持するとともに、研削加工滓(かす)の良好な処理作業性を維持することができないものであった。また、このレンズ研削加工装置では、眼鏡レンズ研削加工に伴う研削水の交換作業性を向上させ、泡処理性能も向上させ、合わせて維持メンテ作業性能を向上させることが要求されているが、いまだ満足できるものではなかった。
【0007】
そこで、本発明は、研削加工滓(かす)と水の良好な分離性能や研削加工滓(かす)の良好な処理作業性を維持すると共に、研削水の交換作業性,泡処理性能,メインテナンス作業性の向上を図ることができるレンズ研削加工装置の研削水処理方法及び装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するため、この発明のレンズ研削加工装置の研削水処理方法及び装置は、研削水タンク、ろ過装置、レンズ研削加工装置本体の順序で研削水をポンプにより循環させ、研削水タンクの水位を検知することにより、循環内での研削加工滓の量を検知し、循環内の研削水の水量を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このレンズ研削加工装置の研削水処理方法及び装置によれば、研削加工滓(かす)と水の良好な分離性能や研削加工滓(かす)の良好な処理作業性を維持すると共に、研削水の交換作業性,泡処理性能,メインテナンス作業性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[構成]
図1において、1は未加工眼鏡レンズの周縁を研削砥石で研削加工するレンズ研削加工装置本体である。このレンズ研削加工装置本体1は、未加工眼鏡レンズの周縁を研削砥石で研削加工する際、未加工眼鏡レンズと研削砥石の接触部に研削水を研削水吹出ノズル(図示せず)から吹き付けて、研削水により未加工眼鏡レンズの研削砥石による研削部を冷却すると共に、研削部で発生する研削屑[研削加工滓(かす)]を洗い流すようになっている。この構成には周知のレンズ研削加工装置を採用できるので、その詳細な説明は省略する。
【0011】
また、このレンズ研削加工装置本体1の底部には排水ホース2が接続され、レンズ研削加工装置本体1の下方には一次槽3が研削水タンクとして配設されている。そして、レンズ研削加工装置本体1は、研削屑が含まれる研削水を排水ホース2を介して一次槽3内に排出するようになっている。
【0012】
この一次槽3には、サイクロン方式の水空気分離器4が並設されている。この水空気分離器4は中空で上下に延びる分離ケース(分離タンク)4aを有する。この分離ケース4aの上端部内には、サイクロン方式(又は遠心分離方式)の水空気分離部4bが設けられている。この水空気分離部4bは水空気分離器4の上端部内に同心に設けられた筒部4cを有し、この筒部4cと水空気分離器4の上端部内周面との間には環状の水分離空間4dが形成されている。尚、筒部4cの下端は下方に開放している。
【0013】
そして、一次槽3の上端部と水空気分離部4bの水分離空間4dはエア案内パイプ5で接続され、一次糟3の下部と水空気分離器4の下端部は小径(小断面積)の連通パイプ6で接続されている。このエア案内パイプ5の水分離空間4dへの開口端は、一次槽3の上端部内から水分離空間4d内に流入させる空気を水分離空間4dの上端部内周面に沿って旋回する方向に向けられている。これにより、水空気分離部4bは、一次槽3の上端部内からエア案内パイプ5を介して水分離空間4d内に流入する空気(霧状の水分を含む)が水空気分離器4の内周面に沿って旋回させて、空気に含まれる霧状の水分を水空気分離器4の内周面に付着させることにより、空気から霧状の水分を分離除去できる。そして、分離された水分は水空気分離器4の内壁面に沿って下方に流下させられるようになっている。尚、水空気分離部4bは、同様な作用により、一次槽3内で発生して空気と共に流入してくる泡を空気から分離する機能も有する。また、筒部4cの下端部内にはフィルタ(図示せず)が取り付けられている。
【0014】
この水空気分離器4内には、上下方向の中間部に位置させて水位センサ7が配設されている。この水位センサ7は、一次槽3内における研削水の水位(液面)の上限L1と下限L2を検出するのに用いられる。尚、一次槽3の下部と水空気分離器4の下端部は小径(小断面積)の連通パイプ6で接続させられているので、一次槽(研削水タンク)3内に給水する際やレンズ研削加工装置本体1からの排水により、一次槽3内の研削水の液面がおおきく揺れても分離ケース4a内の研削水の液面は大きく揺れることはないので、水位センサ7を分離ケース4a内に配設することで一次槽3内の研削水の量(研削水の液面)を安定した状態で検出できる。
【0015】
また、この水空気分離器4の近傍には脱臭装置8が並設され、この水空気分離器4の上端部と脱臭装置8はパイプ8aを介して接続されている。この脱臭装置8は、脱臭剤8bと、この脱臭剤8bを透過した空気を強制的に排気する排気ファン(送風機)8cを有する。この脱臭装置8には周知の構成を採用できるので、その詳細な説明は省略する。
【0016】
更に、一次槽3の上端部には給水パイプ9及び電磁開閉弁10を介して水道パイプ11が接続されている。また、一次槽3の下方にはコンプレッサー12及びろ過装置13が配設されている。このろ過装置13は、側面形状が長方形状に形成されたろ過タンク13aと、このろ過タンク13a内に配設されたろ過フィルタ13fを有する。尚、ろ過タンク13aは傾斜して配設されている。
【0017】
尚、ろ過装置13の構成としては周知のものを採用できる。また、ろ過タンク13aの下端は斜め下方に向けて開口していて、このろ過タンク13aの下端にはろ過フィルタ13fでろ過された研削水を捕集する研削水捕集タンク14の上部開口端が連設されている。このろ過タンク13aと研削水捕集タンク14は、一体に形成しても良いし、別体に形成して気密に結合しても良い。
【0018】
また、一次槽3の底部には、排水パイプ15の上端部が接続されている。この排水パイプ15の下端には分岐パイプ16,17の一端(上端部)が電磁切換弁18を介して接続されている。しかも、分岐パイプ16の他端はコンプレッサー12のエア吐出口(図示せず)に接続され、分岐パイプ17の他端(下端)は圧力タンク13の上部に接続されてろ過フィルタ13f内に連通させられている。
【0019】
この電磁切換弁18は、排水パイプ15と分岐パイプ17とを連通させたとき、分岐パイプ16と他のパイプ15,17との連通を遮断させる一方、分岐パイプ16,17同士を連通させたときに、排水パイプ15と分岐パイプ16,17との連通を遮断するようになっている。
【0020】
更に、研削水捕集タンク14には吸水パイプ19を介して給排水ポンプ20の吸込口(図示せず)が接続されている。この給排水ポンプ20の吐出口(図示せず)には、電磁切換弁21を介して排水パイプ22と研削水パイプ23が切り換え連通可能に接続されている。
【0021】
この排水パイプ22の他端は下水道等に排水可能に配管されている。また、研削水パイプ23には流量調整弁24を介して研削水パイプ25の一端が接続されている。この研削水パイプ25の他端はレンズ研削加工装置本体1の研削水吹出ノズル(図示せず)に接続されている。
(制御装置)
制御装置26は、電源スイッチ27を有すると共に、レンズ研削加工装置本体1とLAN等の配線(通信手段)27aにより双方区のデータの通信が可能となっている。このレンズ研削加工装置本体(加工機)1は、制御装置26からの信号に基づいて、即ち電磁開閉弁10,電磁切換弁18,21等の切換状態が研削水循環モードにある判断すると共に、水位センサ7からの水位検出信号に基づく一次槽3内の水位が上限L1と下限L2との間にあると判断した場合、未加工眼鏡レンズ(図示せず)の加工開始が可能となる。この研削水循環モードでは、一次槽3,排水パイプ15,分岐パイプ17,ろ過装置13,研削水捕集タンク14,吸水パイプ19,給排水ポンプ20,研削水パイプ23,流量調整弁24,研削水パイプ25,レンズ研削加工装置本体1内の図示しない研削水吹出ノズルが連通させられ、研削水の循環路が形成される。
【0022】
従って、レンズ研削加工装置本体(加工機)1は、研削水循環モードにおいて、水位センサ7からの水位検出信号に基づく一次槽3内の水位が上限L1と下限L2との間にある場合に、未加工眼鏡レンズの加工のためのスタートボタン(図示せず)を押すと、未加工眼鏡レンズの研削加工が開始されるようになっている。
【0023】
また、レンズ研削加工装置本体(加工機)1は、未加工眼鏡レンズ(図示せず)の研削加工枚数を図示しないカウンタでカウントし、一定量(一定枚数)を超過すると、加工開始毎に処理確認とリセットのメッセージを表示パネル(図示せず)に表示させるようになっている。
【0024】
更に、このレンズ研削加工装置本体1は、図示を省略した操作パネルのスイッチ操作により、レンズ加工の設定やレンズ研削加工を実行できる。この構成には周知の構成が採用できる。そして、制御装置26には、水位センサ7からの検出信号が配線7aを介して入力されるようになっている。
【0025】
また、制御装置26は、排水スイッチ28,脱水スイッチ29,給水スイッチ30,脱臭スイッチ31及びタイマー32を有する。この制御装置26は、配線10aを介して電磁開閉弁10に開閉制御信号を入力し、配線18aを介して電磁開閉弁18に開閉切換信号を入力し、 配線21aを介して電磁開閉弁21に開閉切換信号を入力するようになっている。更に、制御装置26は、コンプレッサー12に配線12aを介して制御信号が入力し、給排水ポンプ20に配線20aを介して制御信号を入力するようになっている。
(レンズ研削モード)
この制御装置26は、レンズ研削加工装置本体1がレンズ研削モードのとき、電磁切換弁21により給排水ポンプ20の吐出口(図示せず)と排水パイプ22の連通を遮断させ、電磁切換弁21により給排水ポンプ20の吐出口と研削水パイプ23を連通させるようになっている。
【0026】
また、制御装置26は、レンズ研削モードのとき、電磁切換弁18を作動制御して、電磁切換弁18により排水パイプ15と分岐パイプ17を連通させて、一次槽3とろ過装置13を連通させるようになっている。
【0027】
しかも、制御装置26は、レンズ研削モードのときで、レンズ研削加工装置本体1内で図示しない研削砥石により未加工眼鏡レンズを研削加工を開始すると、給排水ポンプ20を動作させるようになっている。これにより給排水ポンプ20は、研削水捕集タンク14内の研削水を吸水パイプ19を介して吸い込んだ後に研削水パイプ23,流量調整弁24及び研削水パイプ25を介してレンズ研削加工装置本体1内の図示しない研削水吹出ノズルに供給するようになっている。そして、この研削水は、研削水吹出ノズルから未加工眼鏡レンズの研削砥石による研削部に吹き付けられて、この研削部を冷却すると共に、研削部の研削屑を洗い流すようになっている。
(排水モード)
そして、制御装置26は、排水スイッチ28のON操作により、電磁切換弁21を作動制御して、電磁切換弁21により給排水ポンプ20の吐出口(図示せず)を排水パイプ22に連通させると共に、電磁切換弁21により給排水ポンプ20の吐出口と研削水パイプ23との連通を遮断するようになっている。この際、制御装置26は、電磁切換弁18を作動制御して、電磁切換弁18により排水パイプ15と分岐パイプ17を連通させて、一次槽3とろ過装置13を連通させるようになっている。しかも、制御装置26は、排水スイッチ28のON操作により給排水ポンプ20を作動させるようになっている。これにより、給排水ポンプ20は、研削水捕集タンク14内の研削水を吸水パイプ19を介して吸い込んで、吸い込んだ研削水を電磁切換弁21を介して排水パイプ22内に排水するようになっている。
(脱水モード)
また、制御装置26は、脱水スイッチ29のON操作により電磁切換弁18を作動制御して、電磁切換弁18により排水パイプ15と分岐パイプ17との連通を遮断すると共に、電磁切換弁18により分岐パイプ16,17を連通させるようになっている。また、制御装置26は、電磁切換弁21を作動制御して、電磁切換弁21により給排水ポンプ20の吐出口(図示せず)を研削水パイプ23に連通させると共に、電磁切換弁21により給排水ポンプ20の吐出口(図示せず)との連通を遮断させるようになっている。これに伴い制御装置26は、コンプレッサー12を作動させて、圧縮空気を分岐パイプ16,17を介してろ過装置13のろ過フィルタ13fの内側に作用させると共に、給排水ポンプ20を停止させるようになっている。
(給水モード)
更に、制御装置26は、給水スイッチ30をONさせると、給排水ポンプ20の作動を停止させると共に、電磁切換弁21により給排水ポンプ20の吐出口(図示せず)と排水パイプ22の連通を遮断させ、電磁切換弁21により給排水ポンプ20の吐出口と研削水パイプ23を連通させるようになっている。また、制御装置26は、電磁切換弁18を作動制御して、電磁切換弁18により排水パイプ15と分岐パイプ17とを連通させると共に、電磁切換弁18により分岐パイプ16,17を遮断させるようになっている。
【0028】
この給水モードでは、一次槽3,排水パイプ15,分岐パイプ17,ろ過装置13,研削水捕集タンク14,吸水パイプ19,給排水ポンプ20,研削水パイプ23,流量調整弁24,研削水パイプ25,レンズ研削加工装置本体1内の図示しない研削水吹出ノズルが連通させられ、研削水の循環路が形成される。この給水モードは、未加工眼鏡レンズの研削加工時には研削水循環モードとなる。
【0029】
この後、制御装置26は、電磁開閉弁10を開いて、水道パイプ11と給水パイプ9を連通させ、水道パイプ11からの水道水を一次槽3内に供給させるようになっている。
(脱臭モード)
また、制御装置26は、脱臭スイッチ31をONさせると、脱臭装置8の排気ファン(送風機)8cを作動させて、この排気ファンにより一次槽3の上端部内の空気をエア案内パイプ5,水空気分離器4の上端部内の水空気分離部4b,パイプ8aを介して脱臭装置8の脱臭剤8b内に吸い込ませた後に大気中に排気させるようになっている。
【0030】
しかも、制御装置26は、水位センサ7からの水位検出信号に基づいて、一次槽3内の研削水の量が下限L2より下の場合および上限L1より上の場合に、脱臭装置8の排気ファン(送風機)8cの作動を停止させて、水分が脱臭装置8内に侵入するのを防止させるようになっている。
[作用]
次に、このような構成のレンズ研削加工装置の作用を説明する。
【0031】
電源スイッチ27をONさせると、制御装置26が制御動作を開始し、水位センサ7からの水位検出信号は制御装置26に入力される。また、レンズ研削加工装置本体1の図示しない電源をONさせると、レンズ研削加工装置本体1と制御装置26との間でのデータ通信が可能な状態となる。
【0032】
この状態で給水スイッチ30をONさせて上述した給水モードにすると、一次槽3,排水パイプ15,分岐パイプ17,ろ過装置13,研削水捕集タンク14,吸水パイプ19,給排水ポンプ20,研削水パイプ23,流量調整弁24,研削水パイプ25,レンズ研削加工装置本体1内の図示しない研削水吹出ノズルが連通させられ、研削水の循環路が形成される。この給水モードで制御装置26は、水道パイプ11から水道水を一次槽3内に研削水として給水する。
【0033】
この際、制御装置26は、水位センサ7からの水位検出信号に基づいて、一次槽3内の研削水の量が下限L2より下の場合は、電磁開閉弁10を開いて水道パイプ11からの水道水を一次槽3内に供給し、この供給により一次槽3内の水位(液面)が上限L2を超える手前で電磁開閉弁10を閉じて、水道水の一次槽3への給水を停止させる。
【0034】
尚、制御装置26は、一次槽3内の水位(液面)が上限L2を超えた場合には、電磁開閉弁10を閉じて、水道水の一次槽3への給水を停止させると共に、電磁切換弁21で給排水ポンプ20の吐出側を排水パイプ22に連通させて、給排水ポンプ20により研削水を排水する。また、制御装置26は、この排水により、一次槽3内の水位(液面)が上限L2より下がったのを水位センサ7で検出したとき、給排水ポンプ20を停止させると共に、電磁切換弁21で給排水ポンプ20の吐出側を研削水パイプ23に連通させて、一次槽3内の水位(液面)を上限L1と下限L2との間に設定する。このような制御装置26による一次槽3内の水位安定化機能は、水道水の給水時にのみ実行し、未加工眼鏡レンズの研削加工時には実行されない。
【0035】
この後、レンズ研削加工装置本体1の図示しない操作パネルを操作して、レンズ研削加工装置本体1をレンズ研削モードにすると、このレンズ研削モードが制御装置26に送信される。
【0036】
これに伴い制御装置26は、電磁切換弁21により給排水ポンプ20の吐出口(図示せず)と排水パイプ22の連通を遮断させ、電磁切換弁21により給排水ポンプ20の吐出口と研削水パイプ23を連通させた給水モードの状態を研削水循環モードとして維持させる。しかも、制御装置26は、電磁切換弁18を作動制御して、電磁切換弁18により排水パイプ15と分岐パイプ17を連通させて、一次槽3とろ過装置13を連通させた給水モードの状態を研削水循環モードとして維持させる。
【0037】
この状態で、レンズ研削加工装置本体1の操作パネル(図示せず)を操作して、レンズ研削加工装置本体1内で図示しない研削砥石により未加工眼鏡レンズを研削加工を開始させると、この状態が制御装置26に送信される。そして、制御装置26は、レンズ研削加工装置本体1内で図示しない研削砥石により未加工眼鏡レンズの研削加工を開始する前に、給排水ポンプ20を動作させる。
【0038】
これにより給排水ポンプ20は、研削水捕集タンク14内の研削水を吸水パイプ19を介して吸い込んだ後に研削水パイプ23,流量調整弁24及び研削水パイプ25を介してレンズ研削加工装置本体1内の図示しない研削水吹出ノズルに供給する。そして、この研削水は、研削水吹出ノズルから吹き出され、この状態でレンズ研削加工装置本体1研削砥石による未加工眼鏡レンズの研削加工を開始する。この際、研削水吹出ノズルから吹き出された研削水は、未加工眼鏡レンズの研削砥石による研削部に吹き付けられて、この研削部を冷却すると共に、研削部の研削屑を洗い流す。
【0039】
この洗い流された研削屑は研削水と共に一次槽3内に排水ホース2を介して流下し、この一次槽3内研削水は排水パイプ15,電磁弁18,分岐パイプ17を介してろ過装置13内に流入する。このろ過装置13内に流入した研削水は、ろ過フィルタ13fでろ過されて研削水捕集タンク14内に捕集され、再び給排水ポンプ20によりレンズ研削加工装置本体1内の図示しない研削水吹出ノズルに供給されて循環する。
【0040】
このような研削水の循環にともない制御装置26は、脱臭装置8の排気ファン(送風機)8cを作動させて、この排気ファンの吸気負圧をパイプ8a及び筒部4cを介して、水空気分離器4の上端部に作用させる。この吸気負圧は、一次槽3の上端部内の空気をエア案内パイプ5,水空気分離器4の上端部内の水空気分離部4b内に吸い込ませる。この吸い込まれた空気は、水空気分離部4bの水分離空間4d内に流入して水空気分離器4の内周面に沿って旋回させられ、この空気に含まれる霧状の水分や泡が水空気分離器4の内周面に付着させられる。この付着した水分や泡は水空気分離器4の内壁面に沿って下方に流下させられる。
【0041】
一方、このように水分や泡が分離された空気にはレンズ研削時に発生する臭気成分が含まれている。この臭気を含む空気は、筒部4cの下端からパイプ8aを介して脱臭装置8の脱臭剤8b内に吸い込まれる。この空気に含まれる臭気は脱臭剤により吸着されて除去される。そして、最終的には臭気が除去された空気が大気中に排気させられる。
【0042】
また、研削砥石による未加工眼鏡レンズの研削加工が終了すると、この加工終了信号がレンズ研削加工装置本体1から制御装置26に入力され、制御装置26はこの加工終了信号に基づいて給排水ポンプ20の作動を停止させる。これに伴い、タイマー32が動作し、制御装置26はタイマー32が所定時間になったときに脱臭装置8の排気ファン(送風機)8cの作動を停止させる。
【0043】
尚、制御装置26は、一次槽3内の研削水の水位が水位センサ7により上限L1を超えたのを検出したとき、この検出信号をレンズ研削加工装置本体1に入力して、レンズ研削加工装置本体1による未加工眼鏡レンズの研削加工を停止させ、研削水が脱臭装置8内に流入するのを防止させる。この状態は、ろ過装置13のろ過フィルタ13fが研削屑で目詰まりした場合に生じる可能性がある。
【0044】
更に、制御装置26は、排水スイッチ28のON操作で排水モードになり、脱水スイッチ29のON操作で脱水モードになり、給水スイッチ30のON操作で給水モードになり,脱臭スイッチ31のON操作で脱臭モードになる。これらの排水モード,脱水モード,給水モードは排他的に行われ同時には実行されない。尚、脱臭モードは他のモードと独立して実行できるようになっている。
(排水)
そして、制御装置26は、排水スイッチ28のON操作により、電磁切換弁21を作動制御して、電磁切換弁21により給排水ポンプ20の吐出口(図示せず)を排水パイプ22に連通させると共に、電磁切換弁21により給排水ポンプ20の吐出口と研削水パイプ23との連通を遮断する。この際、制御装置26は、電磁切換弁18を作動制御して、電磁切換弁18により排水パイプ15と分岐パイプ17を連通させて、一次槽3とろ過装置13を連通させる。しかも、制御装置26は、排水スイッチ28のON操作により給排水ポンプ20を作動させる。これにより、給排水ポンプ20は、研削水捕集タンク14内の研削水を吸水パイプ19を介して吸い込んで、吸い込んだ研削水を電磁切換弁21及び排水パイプ22を介して下水道等に排水させる。
(脱水)
一方、制御装置26は、脱水スイッチ29のON操作により電磁切換弁18を作動制御して、電磁切換弁18により排水パイプ15と分岐パイプ17との連通を遮断すると共に、電磁切換弁18により分岐パイプ16,17を連通させる。また、制御装置26は、電磁切換弁21を作動制御して、電磁切換弁21により給排水ポンプ20の吐出口(図示せず)を研削水パイプ23に連通させると共に、電磁切換弁21により給排水ポンプ20の吐出口(図示せず)との連通を遮断させる。これに伴い制御装置26は、給排水ポンプ20を停止させると共に、コンプレッサー12を作動させて、圧縮空気を分岐パイプ16,17を介してろ過装置13のろ過フィルタ13fの内側に作用させる。
【0045】
これにより圧縮空気は、ろ過フィルタ13fの内側の研削屑に作用して、研削屑に含まれる研削水を下方の研削水捕集タンク14内に押し出させる。このようにして脱水された研削屑は、ろ過装置13内からろ過フィルタ13fを取り出して捨てることができる。尚、このろ過フィルタ13fの着脱構造について詳細な説明はしていないが、従来周知の構造を採用できる。
<変形例>
以上説明した実施例では、給排水ポンプ20の吐出口(図示せず)側を電磁切換弁21で排水側と研削水吹付側に切り換えるようにしたが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、図2のように構成してもよい。
【0046】
この図2では、図1の排水パイプ15を給排水ポンプ20の吸込口(図示せず)に接続している。また、給排水ポンプ20の吐出口(図示せず)には吐出パイプ20bが接続され、コンプレッサー12の吐出側には給気パイプ12bが接続されている。そして、吐出パイプ20bと給気パイプ12bは、電磁切換弁33を介してろ過フィルタ13f内に切り換え連通可能にろ過装置13に接続されている。この電磁切換弁33には配線33aを介して制御回路26から制御信号が入力されるようになっている。
【0047】
また、研削水捕集タンク14の下端部には研削水パイプ34が接続され、この研削水パイプ34には電磁切換弁35を介して研削水パイプ23及び排水パイプ36が接続されている。この電磁切換弁35には配線35aを介して制御回路26から制御信号が入力されるようになっている。
【0048】
尚、図2において、他の構成は図1に示した実施例と同じであるので、図1と同じ部分には図1に付した符号と同じ符号を付してその説明は省略する。
(レンズ研削モード)
この制御装置26は、レンズ研削加工装置本体1がレンズ研削モードのとき、電磁切換弁33を作動制御して、電磁切換弁33により給排水ポンプ20の吐出パイプ20bと給気パイプ12bの連通を遮断させ、電磁切換弁33により給排水ポンプ20の吐出パイプ20bと研削水タンク13の研削水フィルタ13f内を連通させるようになっている。
【0049】
また、制御装置26は、レンズ研削モードのとき、電磁切換弁35を作動制御して、電磁切換弁35により研削水パイプ34と排水パイプ36との連通を遮断させると共に、電磁切換弁35により研削水パイプ34,23を連通させて、一次槽3と研削水捕集タンク14を連通させるようになっている。
【0050】
しかも、制御装置26は、レンズ研削モードのときで、レンズ研削加工装置本体1内で図示しない研削砥石により未加工眼鏡レンズを研削加工を開始すると、給排水ポンプ20を動作させるようになっている。これにより給排水ポンプ20は、一次槽3から流下する研削水をろ過装置13,研削水捕集タンク14,研削水パイプ34,電磁切換弁35,研削水パイプ23,流量調整弁24,研削水パイプ25を介してレンズ研削加工装置本体1内の図示しない研削水吹出ノズルに供給するようになっている。そして、この研削水は、研削水吹出ノズルから未加工眼鏡レンズの研削砥石による研削部に吹き付けられて、この研削部を冷却すると共に、研削部の研削屑を洗い流すようになっている。
(排水モード)
そして、制御装置26は、排水スイッチ28のON操作により、電磁切換弁33を作動制御して、電磁切換弁33により給排水ポンプ20の吐出パイプ20bをろ過装置13内のろ過フィルタ13f内に連通させると共に、電磁切換弁33により給排水ポンプ20の吐出パイプ20bと給気パイプ12bとの連通を遮断するようになっている。
【0051】
この際、制御装置26は、電磁切換弁35を作動制御して、電磁切換弁35により排水パイプ36と研削水パイプ23との連通を遮断させると共に、電磁切換弁35により排水パイプ36と研削水パイプ34を連通させて、研削水捕集タンク14と排水パイプ36を連通させるようになっている。
【0052】
しかも、制御装置26は、排水スイッチ28のON操作により給排水ポンプ20を作動させるようになっている。これにより、給排水ポンプ20は、一次槽3内の研削水をろ過装置13のろ過フィルタ13f内に供給する。これに伴い、ろ過装置13内の研削水は、ろ過フィルタ13fを透過して研削水捕集タンク14内に流入した後、研削水パイプ34,電磁切換弁35及び排水パイプ36を介して、下水道に排出されるようになっている。
(脱水モード)
また、制御装置26は、脱水スイッチ29のON操作により電磁切換弁33を作動制御して、電磁切換弁33により給気パイプ12bとろ過装置13のろ過フィルタ13f内との連通を遮断すると共に、電磁切換弁33により給排水ポンプ20の吐出パイプ20bをろ過装置13内のろ過フィルタ13f内との連通を遮断させるようになっている。
【0053】
しかも、制御装置26は、電磁切換弁35を作動制御して、電磁切換弁35により研削水パイプ34,23との連通を遮断させると共に、電磁切換弁35により研削水パイプ34と排水パイプ36を連通させる。これに伴い制御装置26は、給排水ポンプ20を停止させると共に、コンプレッサー12を作動させて、圧縮空気を給気パイプ12b及び電磁切換弁33を介してろ過装置13のろ過フィルタ13fの内側に作用させるようになっている。
(給水モード)
更に、制御装置26は、給水スイッチ30をONさせると、給排水ポンプ20の作動を停止させると共に、電磁切換弁33により給排水ポンプ20の吐出パイプ20bと給気パイプ12bの連通を遮断させ、電磁切換弁33により給排水ポンプ20の吐出パイプ20bとろ過装置13内とを連通させるようになっている。また、制御装置26は、電磁切換弁35を作動制御して、電磁切換弁35により研削水パイプ34,23を連通させると共に、電磁切換弁35により研削水パイプ34と排水パイプ36との連通を遮断させる。
【0054】
この後、制御装置26は、電磁開閉弁10を開いて、水道パイプ11と給水パイプ9を連通させ、水道パイプ11からの水道水を一次槽3内に供給させるよう
になっている。
(脱臭モード)
また、制御装置26は、脱臭スイッチ31をONさせると、脱臭装置8の排気ファン(送風機)8cを作動させて、この排気ファンにより一次槽3の上端部内の空気をエア案内パイプ5,水空気分離器4の上端部内の水空気分離部4b,パイプ8aを介して脱臭装置8の脱臭剤8b内に吸い込ませた後に大気中に排気させるようになっている。
【0055】
しかも、制御装置26は、水位センサ7からの水位検出信号に基づいて、一次槽3内の研削水の量が下限L2より下の場合および上限L1より上の場合に、脱臭装置8の排気ファン(送風機)8cの作動を停止させて、水分が脱臭装置8内に侵入するのを防止させるようになっている。
[作用]
次に、このような構成のレンズ研削加工装置の作用を説明する。
【0056】
電源スイッチ27をONさせると、制御装置26が制御動作を開始し、水位センサ7からの水位検出信号は制御装置26に入力される。また、レンズ研削加工装置本体1の図示しない電源をONさせると、レンズ研削加工装置本体1と制御装置26との間でのデータ通信が可能な状態となる。
【0057】
この状態で給水スイッチ30をONさせて上述した給水モードにすると、一次槽3,排水パイプ15,給排水ポンプ20,吐出パイプ12b,ろ過フィルタ13f,研削水捕集タンク14,研削水パイプ34,研削水パイプ23,流量調整弁24,研削水パイプ25,レンズ研削加工装置本体1内の図示しない研削水吹出ノズルが連通させられ、研削水の循環路が形成される。この給水モードで制御装置26は、水道パイプ11から水道水を一次槽3内に研削水として給水する。
【0058】
この際、制御装置26は、水位センサ7からの水位検出信号に基づいて、一次槽3内の研削水の量が下限L2より下の場合は、電磁開閉弁10を開いて水道パイプ11からの水道水を一次槽3内に供給し、この供給により一次槽3内の水位(液面)が上限L2を超える手前で電磁開閉弁10を閉じて、水道水の一次槽3への給水を停止させる。
【0059】
尚、制御装置26は、一次槽3内の水位(液面)が上限L2を超えた場合に、電磁開閉弁10を閉じて、水道水の一次槽3への給水を停止させると共に、電磁切換弁35で研削水パイプ34を排水パイプ36に連通させて、給排水ポンプ20を作動させることにより研削水を排水パイプ36から排水する。しかも制御装置26は、この排水により、一次槽3内の水位(液面)が上限L2より下がったのを水位センサ7で検出したとき、給排水ポンプ20を停止させると共に、電磁切換弁35で研削水パイプ34,23を連通させて、一次槽3内の水位(液面)を上限L1と下限L2との間に設定する。このような制御装置26による一次槽3内の水位安定化機能は、水道水の給水時にのみ実行し、未加工眼鏡レンズの研削加工時には実行されない。
【0060】
この後、レンズ研削加工装置本体1の図示しない操作パネルを操作して、レンズ研削加工装置本体1をレンズ研削モードにすると、このレンズ研削モードが制御装置26に送信される。
【0061】
これに伴い制御装置26は、電磁弁33を作動制御して、電磁切換弁33により給排水ポンプ20の吐出パイプ20aと給気パイプ12bの連通を遮断させ、電磁切換弁33により給排水ポンプ20の吐出パイプ20bとろ過装置13のろ過フィルタ13f内を連通させた給水モードの状態を研削水循環モードとして維持させる。しかも、制御装置26は、電磁切換弁35を作動制御して、電磁切換弁35により研削水パイプ34と排水パイプ36の連通を遮断させると共に、研削水パイプ34,23を連通させて、一次槽3とろ過装置13を連通させた給水モードの状態を研削水循環モードとして維持させる。
【0062】
この状態で、レンズ研削加工装置本体1の操作パネル(図示せず)を操作して、レンズ研削加工装置本体1内で図示しない研削砥石により未加工眼鏡レンズを研削加工を開始させると、この状態が制御装置26に送信される。そして、制御装置26は、レンズ研削加工装置本体1内で図示しない研削砥石により未加工眼鏡レンズの研削加工を開始する前に、給排水ポンプ20を動作させる。
【0063】
これにより給排水ポンプ20は、一次槽3内の研削水を排水パイプ15を介して吸い込んだ後に、この研削水を吐出パイプ20bを介してろ過装置13のろ過フィルタ13f内に供給する。この研削水は、給排水ポンプ20の吐出圧により、ろ過フィルタ13fを透過して研削水捕集タンク14内に導かれた後、研削水パイプ34,電磁切換弁35,研削水パイプ23,流量調整弁24及び研削水パイプ25を介してレンズ研削加工装置本体1内の図示しない研削水吹出ノズルに供給される。
【0064】
そして、この研削水は、研削水吹出ノズルから吹き出され、この状態でレンズ研削加工装置本体1研削砥石による未加工眼鏡レンズの研削加工を開始する。この際、研削水吹出ノズルから吹き出された研削水は、未加工眼鏡レンズの研削砥石による研削部に吹き付けられて、この研削部を冷却すると共に、研削部の研削屑を洗い流す。
【0065】
この洗い流された研削屑は研削水と共に一次槽3内に排水ホース2を介して流下し、この一次槽3内の研削水は排水パイプ15を介して給排水ポンプ20に吸い込まれて循環させられる。
【0066】
このような研削水の循環にともない制御装置26は、脱臭装置8の排気ファン(送風機)8cを作動させて、この排気ファンの吸気負圧をパイプ8a及び筒部4cを介して、水空気分離器4の上端部に作用させる。この吸気負圧は、一次槽3の上端部内の空気をエア案内パイプ5,水空気分離器4の上端部内の水空気分離部4b内に吸い込ませる。この吸い込まれた空気は、水空気分離部4bの水分離空間4d内に流入して水空気分離器4の内周面に沿って旋回させられ、この空気に含まれる霧状の水分や泡が水空気分離器4の内周面に付着させられる。この付着した水分や泡は水空気分離器4の内壁面に沿って下方に流下させられる。
【0067】
一方、このように水分や泡が分離された空気にはレンズ研削時に発生する臭気成分が含まれている。この臭気を含む空気は、筒部4cの下端からパイプ8aを介して脱臭装置8の脱臭剤8b内に吸い込まれる。この空気に含まれる臭気は脱臭剤により吸着されて除去される。そして、最終的には臭気が除去された空気が大気中に排気させられる。
【0068】
また、研削砥石による未加工眼鏡レンズの研削加工が終了すると、この加工終了信号がレンズ研削加工装置本体1から制御装置26に入力され、制御装置26はこの加工終了信号に基づいて給排水ポンプ20の作動を停止させる。これに伴い、タイマー32が動作し、制御装置26はタイマー32が所定時間になったときに脱臭装置8の排気ファン(送風機)8cの作動を停止させる。
【0069】
更に、制御装置26は、排水スイッチ28のON操作で排水モードになり、脱水スイッチ29のON操作で脱水モードになり、給水スイッチ30のON操作で給水モードになり,脱臭スイッチ31のON操作で脱臭モードになる。これらの排水モード,脱水モード,給水モードは排他的に行われ同時には実行されない。尚、脱臭モードは他のモードと独立して実行できるようになっている。
(排水)
そして、制御装置26は、排水スイッチ28のON操作により、電磁切換弁33を作動制御して、電磁切換弁33により給排水ポンプ20の吐出パイプ20bをろ過装置13内のろ過フィルタ13f内に連通させると共に、電磁切換弁33により給排水ポンプ20の吐出パイプ20bと給気パイプ12bとの連通を遮断する。
【0070】
この際、制御装置26は、電磁切換弁35を作動制御して、電磁切換弁35により排水パイプ36と研削水パイプ23との連通を遮断させると共に、電磁切換弁35により排水パイプ36と研削水パイプ34を連通させて、研削水捕集タンク14と排水パイプ36を連通させる。
【0071】
しかも、制御装置26は、排水スイッチ28のON操作により給排水ポンプ20を作動させるようになっている。これにより、給排水ポンプ20は、一次槽3内の研削水をろ過装置13のろ過フィルタ13f内に供給する。これに伴い、ろ過装置13内の研削水は、ろ過フィルタ13fを透過して研削水捕集タンク14内に流入した後、研削水パイプ34,電磁切換弁35及び排水パイプ36を介して、下水道に排出される。
(脱水)
また、制御装置26は、脱水スイッチ29のON操作により電磁切換弁33を作動制御して、電磁切換弁33により給気パイプ12bとろ過装置13のろ過フィルタ13f内との連通を遮断すると共に、電磁切換弁33により給排水ポンプ20の吐出パイプ20bをろ過装置13内のろ過フィルタ13f内との連通を遮断させる。
【0072】
しかも、制御装置26は、電磁切換弁35を作動制御して、電磁切換弁35により研削水パイプ34,23との連通を遮断させると共に、電磁切換弁35により研削水パイプ34と排水パイプ36を連通させる。これに伴い制御装置26は、給排水ポンプ20を停止させると共に、コンプレッサー12を作動させて、圧縮空気を給気パイプ12b及び電磁切換弁33を介してろ過装置13のろ過フィルタ13fの内側に作用させる。
【0073】
これにより圧縮空気は、ろ過フィルタ13fの内側の研削屑に作用して、研削屑に含まれる研削水を下方の研削水捕集タンク14内に押し出させる。このようにして脱水された研削屑は、ろ過装置13内からろ過フィルタ13fを取り出して捨てることができる。
【0074】
以上説明した実施例によれば、研削加工滓(かす)と水の分離性能を維持するとともに、研削加工滓(かす)の処理作業性を維持することが可能となり、眼鏡レンズ研削加工に伴う研削水の交換作業性を向上させ、泡処理性能も向上させ、合わせて維持メンテ作業性能を向上させることができる。合わせて、脱臭装置8の吸引空気の水、泡などの混入を防ぐためのサイクロン方式の小タンクを付加することで、レンズ加工屑、滓などを含む使用済みレンズ研削水を外部に漏らさない環境対応をほぼ万全に、かつ自動化することができる。
【0075】
また、研削水タンクに相当する部分(一次槽と連通する水空気分離器4)に水位センサを配置し、循環サイクル内での水量(カスを含んだ状態での水位)を検知することで、循環サイクル内の水量をコントロールする制御手段を設け、循環サイクル内への給水追加のための水道直結電磁弁、及び、排水切替弁などを配置し、水量管理を可能とし、給水、排水、脱水などの作業をコントロール盤からのボタン操作のみで実施可能とできる。
【0076】
合わせて、脱臭装置8の吸引空気の水、泡などの混入を防ぐためのサイクロン方式の小タンクを付加することで、レンズ加工屑、滓などを含む使用済みレンズ研削水を外部に漏らさない環境対応をほぼ万全に、かつ自動化することができる。
【0077】
以上説明したように、この発明の実施の形態のレンズ研削加工装置の研削水処理方法は、研削水タンク(一次槽3)、ろ過装置13、レンズ研削加工装置本体1の順序で研削水をポンプ(給排水ポンプ20)により循環させ、研削水タンク(一次槽3)の水位を検知することにより、循環内での研削加工滓の量を検知し、循環内の研削水の水量を制御するようになっている。
【0078】
この研削水処理方法によれば、研削加工滓(かす)と水の良好な分離性能や研削加工滓(かす即ち研削屑)の良好な処理作業性を維持すると共に、研削水の交換作業性,泡処理性能,メインテナンス作業性の向上を図ることができる。
【0079】
また、この発明の実施の形態のレンズ研削加工装置の研削水処理方法は、研削水タンク(一次槽3)に相当する部分(水空気分離器4)に水位センサ7を配置し、循環サイクル内での水量(カスを含んだ状態での水位)を検知することで、循環サイクル内の水量をコントロールする制御手段(制御装置26)を設け、循環サイクル内への給水追加のための水道直結電磁弁(電磁開閉弁10)、及び、排水切替弁(電磁切換弁21,35)などを配置し、水量管理を可能とし、給水、排水、脱水などの作業をコントロール盤(制御装置26)からのボタン操作(スイッチ操作)のみで実施可能としている。
【0080】
この構成によれば、研削水に用いる水を簡単な構成で研削水タンク(一次槽3)に必要な量だけ給水できる。しかも、研削水タンク(一次槽3)に相当する部分(水空気分離器4)に水位センサ7を配置しているので、研削水タンクに給水する際の研削水タンク内の研削水の液面(水面)の揺れ等に影響されることなく、研削水タンク内の研削水の量を検出できる。
【0081】
更に、この発明の実施の形態のレンズ研削加工装置の研削水処理方法は、脱臭装置8の吸引空気の水、泡などの混入を防ぐようになっている。
【0082】
この構成によれば、脱臭装置8の吸引空気の水、泡などのが脱臭装置8の内に混入するのが防止される。
【0083】
また、この発明の実施の形態のレンズ研削加工装置の研削水処理装置は、研削水タンク(一次槽3)、ろ過装置13、レンズ研削加工装置本体1の順序で研削水をポンプ(給排水ポンプ20)により循環させ、研削水タンク(一次槽3)の水位を検知することにより、循環内での研削加工滓の量を検知し、循環内の研削水の水量を制御するようになっている。
【0084】
この研削水処理装置によれば、研削加工滓(かす)と水の良好な分離性能や研削加工滓(かす即ち研削屑)の良好な処理作業性を維持すると共に、研削水の交換作業性,泡処理性能,メインテナンス作業性の向上を図ることができる。
【0085】
更に、この発明の実施の形態のレンズ研削加工装置の研削水処理装置は、研削水タンク(一次槽3)に相当する部分(水空気分離器4)に水位センサ7を配置し、循環サイクル内での水量(カスを含んだ状態での水位)を検知することで、循環サイクル内の水量をコントロールする制御手段(制御装置26)を設け、循環サイクル内への給水追加のための水道直結電磁弁(電磁開閉弁10)、及び、排水切替弁(電磁切換弁21,35)などを配置し、水量管理を可能とし、給水、排水、脱水などの作業をコントロール盤(制御装置26)からのボタン操作(スイッチ操作)のみで実施可能としている。
【0086】
この構成によれば、研削水に用いる水を簡単な構成で研削水タンク(一次槽3)に必要な量だけ給水できる。しかも、研削水タンク(一次槽3)に相当する部分(水空気分離器4)に水位センサ7を配置しているので、研削水タンクに給水する際の研削水タンク内の研削水の液面(水面)の揺れ等に影響されることなく、研削水タンク内の研削水の量を検出できる。
【0087】
また、この発明の実施の形態のレンズ研削加工装置の研削水処理装置は、脱臭装置8の吸引空気の水、泡などの混入を防ぐためのサイクロン方式の小タンクを付加するようになっている。
【0088】
この構成によれば、脱臭装置8の吸引空気の水、泡などのが脱臭装置8の内に混入するのが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】この発明に係るレンズ研削加工装置の研削水処理装置の模式図である。
【図2】この発明に係るレンズ研削加工装置の研削水処理装置の変形例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0090】
1・・・レンズ研削加工装置本体1
3・・・一次槽(研削水タンク)
8・・・脱臭装置
13・・・ろ過装置(ろ過装置)
20・・・給排水ポンプ(ポンプ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
研削水タンク、ろ過装置、レンズ研削加工装置本体の順序で研削水をポンプにより循環させ、研削水タンクの水位を検知することにより、循環内での研削加工滓の量を検知することを特徴とするレンズ研削加工装置の研削水処理方法。
【請求項2】
研削水タンク、ろ過装置、レンズ研削加工装置本体の順序で研削水をポンプにより循環させ、研削水タンクの水位を検知することにより、循環内での研削加工滓の量を検知し、循環内の研削水の水量を制御することを特徴とするレンズ研削加工装置の研削水処理方法。
【請求項3】
研削水タンクに相当する部分に水位センサを配置し、循環サイクル内での水量(カスを含んだ状態での水位)を検知することで、循環サイクル内の水量をコントロールする制御手段を設け、循環サイクル内への給水追加のための水道直結電磁弁、及び、排水切替弁などを配置し、水量管理を可能とし、給水、排水、脱水などの作業をコントロール盤からのボタン操作のみで実施可能とするレンズ研削加工装置の研削水処理方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のレンズ研削加工装置の研削水処理方法において、脱臭装置の吸引空気の水、泡などの混入を防ぐことを特徴とするレンズ研削加工装置の研削水処理方法。
【請求項5】
研削水タンク、ろ過装置、レンズ研削加工装置本体の順序で研削水をポンプにより循環させ、研削水タンクの水位を検知することにより、循環内での研削加工滓の量を検知することを特徴とするレンズ研削加工装置の研削水処理装置。
【請求項6】
研削水タンク、ろ過装置、レンズ研削加工装置本体の順序で研削水をポンプにより循環させ、研削水タンクの水位を検知することにより、循環内での研削加工滓の量を検知し、循環内の研削水の水量を制御することを特徴とするレンズ研削加工装置の研削水処理装置。
【請求項7】
研削水タンクに相当する部分に水位センサを配置し、循環サイクル内での水量(カスを含んだ状態での水位)を検知することで、循環サイクル内の水量をコントロールする制御手段を設け、循環サイクル内への給水追加のための水道直結電磁弁、及び、排水切替弁などを配置し、水量管理を可能とし、給水、排水、脱水などの作業をコントロール盤からのボタン操作のみで実施可能とするレンズ研削加工装置の研削水処理装置。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれか1項に記載のレンズ研削加工装置の研削水処理装置において、脱臭装置の吸引空気の水、泡などの混入を防ぐためのサイクロン方式の小タンクを付加することを特徴とするレンズ研削加工装置の研削水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−233768(P2009−233768A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−80181(P2008−80181)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)
【Fターム(参考)】