説明

レンダリングのために多頁ドキュメントの頁別にサイズ縮小するための方法

【課題】分割情報を利用し、成分別に最適な方法を使って、ドキュメント成分をサイズ変更するためのオブジェクトベースの適応型のドキュメントサイズ変更方法を提供する。
【解決手段】ドキュメントに含まれるオブジェクトを識別し、各識別されたオブジェクトを分類し、ドキュメントから選択されたオブジェクトを抽出し、分類に基づいて抽出オブジェクトに対する縮小方法を選択し、選択されたオブジェクトに対して選択された縮小方法を適用して縮小されたオブジェクトを作成し、縮小されたオブジェクトによって新しいドキュメントを作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ドキュメント処理ワークステーションにおいて使用されるコンテンツベースのドキュメントのサイズ変更方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンテンツ認識型のサイズ変更技術は、従来からのスケーリング及びクロッピングベースのサイズ変更方法によって本質的に制限されながら、開発されてきた。PDF(ポータブルドキュメントフォーマット)及びWORD(ワード)などの数多く広く使用されているドキュメントフォーマットが、画像、テキスト、図形などの様々な異なるオブジェクトを組み込んでドキュメントを作成することを可能とすることを考慮すると、ドキュメントの頁を平たくしたラスター画像として扱うことは、サイズ変更の観点から、本質的に制限的である。ドキュメントのパーザ(構文解析ツール)が、オブジェクトの最適化カラーレンダリングなどの特徴において、しばしば、重要なソフトウェア成分であるので、ドキュメントに含まれる様々なオブジェクトの種類に基づいて、カスタマイズされたアルゴリズム的なアプローチを用いるサイズ変更のためのフレームワークの提供が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、ドキュメント自体から得られるセグメンテーション情報を利用して、識別されたオブジェクトごとに最適な技術を用いて、ドキュメント内のオブジェクトを選択的にサイズ変更するドキュメントサイズ変更方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、セグメンテーション情報を利用し、所与のドキュメント頁内に存在する様々なオブジェクトを分類し、次に、この分類に基づいて、識別されたオブジェクトごとに最適なサイズ変更技術を選択する、新しいドキュメントサイズ変更方法である。本発明の方法は、容易に使用可能なドキュメント構文解析ツールを使用して、ドキュメントを作成する、例えば、テキスト、背景、画像、図形などのオブジェクトを確実に抽出する。オブジェクトを抽出するために使用されるドキュメント構文解析ツールから得られる情報が、分類のためにドキュメントの成分を識別するために利用される。抽出されたオブジェクトは、次に、そのオブジェクトの種類に基づいて、分類される。分類されたオブジェクトは、それぞれ、広い範囲の他のサイズ変更技術から一部の種類のドキュメントコンテンツをサイズ変更するそれぞれの能力に基づいて、そのオブジェクトの種類に対して、予め選択されているサイズ変更技術を用いることによって、サイズ変更される。本発明の方法は、スマート又はコンテンツベースのスケーリング(拡大縮小)を有利に展開し、Nアップ(複数ドキュメントを一枚にまとめてコピー)又は可変情報印刷に特に有用である。本発明の方法は、さまざまな印刷ドライバにおいて現在提供されているNアップ及びハンドアウト(配布用印刷物)の選択肢を広げるために特に有用である。
【0005】
一つの例示的な実施の形態において、オブジェクトベースのドキュメント縮小のための本発明の方法は、多頁ドキュメントを受信することを含む。多頁ドキュメントの各頁に対して、目標のサイズ及び出力装置の解像度に対する目標指定値を受信する。ドキュメント頁は、ソフトウェアのドキュメント頁構文解析ツールを使用して、パージング(構文解析)される。このドキュメント頁構文解析ツールから得られた情報がそのドキュメント頁に含まれるオブジェクトを識別するために使用され、識別されたオブジェクトがオブジェクトの種類によって分類される。ドキュメント頁のオブジェクト別に、ドキュメント頁からオブジェクトが抽出され、オブジェクトの種類に基づいて、及び、目標指定値を用いて、抽出されたオブジェクトに対して、縮小方法が選択される。選択された縮小方法が、抽出されたオブジェクトに適用され、それぞれのサイズ変更された抽出オブジェクトが生成される。サイズ変更された抽出オブジェクトを用いて、新しいドキュメント頁が作成され、この新しいドキュメント頁が、レンダリングのために出力装置へ送信される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明のオブジェクト・ベースの適応型ドキュメントサイズ変更方法の一つ以上の態様に対応可能なディジタル画像形成システムを例示した図である。
【図2】本発明の例示的な一実施の形態による、適応型ドキュメントサイズ変更方法を示す処理流れ図である。
【図3】本発明の更なる例示的な実施の形態による、適応型ドキュメントサイズ変更方法を示す処理流れ図である。
【図4】本発明の適応型ドキュメントサイズ変更方法のためのドキュメント縮小処理のフレームワークの一例を示す図である。
【図5】本発明の方法によって縮小された画像と従来の方法によって縮小された画像を含む頁の2つの縮小画像を示す図である。
【図6】本発明の例示的な実施の形態による、本発明のドキュメントサイズ変更方法の一つ以上の態様を実施するために有用な専用コンピュータを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、セグメンテーション(分割)情報を利用し、成分ごとに最適な方法を使って、ドキュメント成分をサイズ変更するためのオブジェクトベースの適応型ドキュメントサイズ変更システム及び方法を提供する。
【0008】
本明細書において使用される「画像」は、人間の眼で目視可能である光のスペクトルから成る公知のカラーから構成される物理的な光のパターンをいう。印刷される場合、一般に、画像は、媒体の基板又はディスプレイ装置上に配列された複数のカラー画素を含む。画像印刷は、一般的に知られているように、写真、図表、チャート、図形などである。画像がメモリ又は記憶装置にレンダリングされる場合、画素の値は、BMP(基本多言語面)、JPG(ジェーペグ形式)、GIF(グラフィック・インターチェンジ形式)、TIFF(タグイメージ・ファイル形式)などの様々なフォーマットのいずれか、又は、画像データを記憶するために用いられる他のフォーマットに記憶される。
【0009】
「目標指定値」は、サイズ変更されるドキュメントの所望される出力に対する指定値をいう。目標指定値は、縮小されたドキュメントのサイズ、画像出力装置の解像度などを含む。この用語は、本発明のドキュメントサイズ変更方法の適用によって生成される望ましい出力を得るために必要とされる任意の他の情報を含むように意図されている。
【0010】
「オブジェクトを抽出する」は、本発明の方法の様々な態様に従って、オブジェクトの処理を可能とするように所与の頁内のオブジェクトを十分に分離させることをいう。
【0011】
「縮小方法を適用する」は、オブジェクトのサイズ変更表示を得るために、目標指定値に基づいて、オブジェクトを処理することをいう。
【0012】
「新しいドキュメント頁を作成する」は、目標指定値に略一致する頁になるように、サイズ変更されたオブジェクトを組み立てることをいう。
【0013】
「画像処理システム」は、本発明のドキュメント縮小方法の一つ以上の態様による、受信された多頁ドキュメントを処理することが可能なハードウェア又はソフトウェアシステムを指す。画像処理システムは、一般に、ディジタルドキュメントシステムの画像経路内にあり、さまざまな態様のカラー管理システムを更に組み込むことができる。本発明の様々な実施の形態によるドキュメントのサイズ変更方法は、画像処理システムに関する。画像経路の第1の端部において、画素又はデータストラクチュアなどのサイズ変更される画像の信号が受信され、受信した画像データ上で、コンテンツ識別、オブジェクト抽出、サイズ変更、及び、以下に略完全に説明されるその他の動作などの一つ以上の動作が実行され、処理された画像の信号が、例えば、着色インクを媒体基板へ塗布することによって信号を可視の形式にする一つ以上の画像出力装置へ送信される。
【0014】
「画像入力装置」は、ドキュメントの頁のディジタル画像を受信又は入手し、受信した画像データを画像処理システムへ送信することが可能な装置である。画像入力装置のセットは、カメラ、写真撮影装置、ファクシミリ、写真再生装置、及び他の画像捕捉装置を含むさまざまなドキュメントキャプチャ装置の広い範囲を含むように意図されている。スキャナは、ドキュメントを光学的に走査して、走査した画像をディジタル形式に変換するようなキャプチャ装置である。一般的なスキャナ装置は、専用のレセプタ(受容体)がプラテンの下を移動し、装置のプラテンの上にあるドキュメントを走査する、従来の技術において一般に知られているフラットベッド(ドキュメントをドキュメント台に固定するタイプの)スキャナを変形したものを含む。最近のディジタルスキャナは、通常、イメージセンシング(画像検出)レセプタとして、CCD(電荷結合素子)又はCIS(密着センサ)を含む。画像データの信号は、画像入力装置によって生成される。このような信号は、画素カラー値、カラー明度、画素位置などの受信した画像に関する情報を含む。
【0015】
「画像出力装置」は、画像データをレンダリングすることが可能な任意の装置である。画像出力装置のセットは、従来の技術において一般的に公知であるが、商業的に広く知られているディジタルドキュメント再生装置及び他の電子写真コピーシステム、写真生成及び再生装置、モニタ、及び他のディスプレイ、広い範囲の様々なカラーマーキング装置を含むコンピュータワークステーション及びサーバなどを含む。画像出力装置は、画像入力装置の機能性の一部又は全てを備えていてもよい。画像データのレンダリングは、画像データを記憶装置又はメモリに記憶すること、又は、インターネット、LANなどのネットワークを介して、ワークステーション又はサーバなどの他の装置に対して、画像データの信号を通信させることを含むように意図されている。
【0016】
本発明の一実施の形態によれば、本発明の方法は、ドキュメントのオブジェクトが識別され、そのオブジェクトの仕分けに適した技術を用いて各々がサイズ縮小されることを可能とするドキュメント縮小の総合的は観点を用いている。例えば、テキストオブジェクトは、異なるフォント(字体)サイズを用いてサイズ変更することができ、図形オブジェクトは、同型スケーリングを用いてサイズ変更することができ、画像オブジェクトはコンテンツ認識型のサイズ変更を用いてサイズ変更することができ、及び、余白及び/背景は、標準の背景除去技術を用いてサイズ変更することができる。一般に、本発明のオブジェクトベースの適応型ドキュメントサイズ変更方法は、特定のタイプのオブジェクト分類に有用な任意のサイズ変更技術を取り入れることが可能である。本発明の方法の更なる態様は、オブジェクトのサイズ変更の優先性などの詳細について、及び相対的なサイズなどのオブジェクト特性に基づいてオブジェクトの相対的なサイズ変更量に対して、ガイドラインを確立するためのルールを展開することを含む。
【0017】
本発明の一実施の形態によれば、本発明の方法は、さまざまな基準に基づいて、オブジェクトにサイズ変更技術を適用することに優先順位をつける。一実施の形態において、例えば、ドキュメント又は頁に適用される縮小の量、及び/又は、ドキュメント又は頁に対するディスプレイ解像度を指定する目標指定値を受信する。受信した目標指定値に基づいて、ドキュメント又は頁のサイズ縮小量に対しての目標値を求める。次に、ドキュメント又は頁のそれぞれの識別されたオブジェクトに適用される縮小の量は、所定基準に基づいて、適応的に決定される。
【0018】
ドキュメント又は頁内の特定の画像オブジェクトに適用される縮小の量を適応的に決定するために使用される基準は、例えば、画像オブジェクトの複雑度である。例えば、画像は、テキスト部分よりも、ドキュメントのより複雑な成分であるとみなすことができる。複雑な画像のサイズ縮小は、同量のテキストをサイズ縮小するよりも不利な影響をもたらす。縮小の優先は、例えば、テキストや背景パターンなどのあまり複雑でないオブジェクトに適用されるサイズの縮小率より低い縮小率で、複雑な図形などのより複雑な画像オブジェクトのサイズを縮小することである。
【0019】
図1を参照すると、本発明の一実施の形態による総合的なディジタル画像形成システムの一例が示されている。このシステムにおいて、本発明の一つ以上の態様によるドキュメントサイズ変更方法の用途を容易に見出すことができる。
【0020】
例示的なディジタル画像処理システム110において、画像入力装置120は、プリントエンジン140又は他の画像出力装置150によってレンダリング(描画)するための出力データを生成する画像プロセッサ130へ供給される、画像データを生成するために使用される。画像入力装置120は、ドキュメントスキャナ122、コンピュータ124、ネットワーク126、又は、他の同様の又は同等の画像入力装置を含むことができる。出力端において、プリントエンジン140は、画像の信号を目視可能な形式にレンダリングするために使用される任意のタイプの電子写真プリントエンジンであるか、又は、これと同等のワックス、インクジェットなどの代替印刷テクノロジーであってよい。画像出力装置150は、LCD(液晶)ベースの図形ディスプレイ、他のハードコピー生成装置などの任意のタイプのディスプレイ装置152を含む。
【0021】
本発明において提示されている教示は、図1に示されている画像プロセッサの態様に関する。具体的には、その目的は、画像入力装置によって生成されるか又は任意の好適な電子フォーマットに含まれるドキュメントのサイズを縮小することである。サイズ変更されたドキュメント画像のレンダリングは、図1では、プリントエンジン又は画像出力装置内で発生するものとして示されているが、数多い場所のうちのいずれかにおいて達成可能であることが当業者に理解されよう。
【0022】
本発明のドキュメントサイズ変更方法については、多くのアプリケーションが考えられる。例えば、レターサイズの頁又は標準のコンピューターディスプレイ上で生成されるように作成されたドキュメントは、例えば、PDA(携帯情報端末)のディスプレイ、携帯電話装置のディスプレイ、又は、本来意図するディスプレイよりも小さい任意のディスプレイなどの異なるディスプレイ画面を有する画像出力装置上でより効果的に表示できるように縮小することができる。また、ドキュメントは、様々なサイズの紙にレンダリングされるように指示(又は再指示)され、様々なレイアウト条件に基づいて再設計され、それに伴って、様々なオブジェクトコンテンツのサイズ変更が必要とされる。例えば、ユーザは、二頁以上の原稿頁を単一出力頁に印刷することができるように、ドキュメントの頁をサイズ変更することを望む場合がある。更に、ユーザは、画像出力装置によるレンダリングに先立って、サイズ又はアスペクト比などのオブジェクトの属性の一つ以上の変更を望む場合がある。
【0023】
次に、図2を参照すると、図2は、本発明の更なる実施の形態による、ドキュメント内の画像オブジェクトのサイズを縮小するためのドキュメント縮小方法200を示す処理流れ図である。
【0024】
ステップ202において、画像入力装置を用いて、ドキュメントを受信する。また、多頁ドキュメントを受信することができる。ドキュメントは、データ記憶装置から、又は、図1のドキュメントスキャナ122などのスキャナが印刷されたドキュメントを走査することによって、取り出すことができる。ドキュメントは、また、本発明の適応型サイズ変更方法が用いられるドキュメント処理システムと通信可能に配置されたワークステーションやサーバなどの遠隔装置から、ネットワークを介して、受信することができる。
【0025】
ステップ204において、ドキュメントが構文解析され、ドキュメント内の特性を識別し、ドキュメント内の画像オブジェクトの識別を支援する。一実施の形態において、特性を識別するためのドキュメントの構文解析は、従来の技術を用いて実行される。
【0026】
ステップ206において、ドキュメント内のオブジェクトは、ドキュメントを構文解析することによって判断された特性に基づいて、識別される。ステップ208において、識別されたオブジェクトは、以下により詳細に説明されるように、オブジェクトの種類に基づいて、分類される。識別されたオブジェクトが分類されることができるオブジェクトの種類としては、例えば、テキスト、図形、及び背景が含まれる。
【0027】
ステップ212において、選択されたオブジェクトがドキュメントから抽出される。ステップ214において、そのオブジェクトの分類に基づいて、選択されたオブジェクトに対する縮小方法が選択される。ステップ216において、選択された縮小方法が、そのオブジェクトに適用される。
【0028】
ステップ218において、判定は、現在選択されているオブジェクトが、処理されるドキュメント内で識別される最終オブジェクトであるかどうかが、判断される。現在選択されているオブジェクトが、ドキュメント内で識別される最終オブジェクトでなかった場合、ステップ220において、次に識別されるオブジェクトが、選択され、処理される。次に、方法は、ステップ212へ戻り、新しく選択されたオブジェクトをドキュメントから抽出し、上記のように、このオブジェクトを処理する。
【0029】
現在選択されているオブジェクトが、処理されるドキュメント内で識別される最終オブジェクトであると判断された場合、ステップ222において、新しいドキュメントは、オブジェクトごとに選択された縮小技術を適用することによって生成される縮小されたオブジェクトによって、作成される。一実施の形態において、選択された縮小技術は、ドキュメント内の識別されたオブジェクト別に異ならせることができ、オブジェクトの分類に基づいて、選択される。
【0030】
新しいドキュメントが作成されると、ステップ224において、新しく作成されたドキュメントが、縮小されたオブジェクトと一緒に、画像出力装置へ送信される。そして処理が終了する。
【0031】
図3を参照すると、図3は、複数の頁ドキュメント内の各頁の画像サイズを縮小するために使用される、本発明の更なる実施の形態によるドキュメント縮小方法300の処理流れ図を示している。
【0032】
ステップ302において、多頁ドキュメントが、画像入力装置を使用して、受信される。多頁ドキュメントは、データ記憶装置から、又は、図1のドキュメントスキャナ122などのスキャナが、印刷されたドキュメントを走査することによって、取り出すことができる。また、多頁ドキュメントは、本発明の適応型サイズ変更方法が使用されているドキュメント処理システムと通信可能に配置されている、ワークステーション又はサーバなどの遠隔装置から、ネットワークを介して、受信することができる。
【0033】
ステップ304において、受信した多頁ドキュメントの頁が、処理されるために選択される。選択動作は、本発明のドキュメント縮小方法が実施されるディジタル画像形成システムに対応するグラフィカル・ユーザ・インタフェースを使用ことによって、ユーザが処理する最初の頁を選択するという形態を取ることができる。或いは、受信した多頁ドキュメントの最初の頁は、ドキュメントの頁が受信される順番で決定することもできる。
【0034】
ステップ306において、選択された頁の縮小された出力に対する目標指定値を得る。様々な実施の形態において、例えば、画像出力装置150又はプリントエンジン140に表示される各頁の解像度及び/又は使用可能な画素数及び/又は全体のサイズの指定値を含む目標指定値を提供することができる。ステップ308において、選択された頁が、その頁上の特性を識別するために構文解析され、その頁上の画像オブジェクトの識別を補助することができる。図2のステップ204の構文解析に関して、上述したように、特性を識別するための頁の構文解析は、従来の技術を用いて、行われる。
【0035】
ステップ310において、選択された頁上のオブジェクトは、頁を構文解析して求められた特性に基づいて、識別される。ステップ312において、識別されたオブジェクトは、以下に更に詳細に説明されるように、オブジェクトの種類に基づいて、分類される。識別されたオブジェクトが分類されるオブジェクトの種類には、例えば、テキスト、図形、及び背景がある。ステップ310及びステップ312の識別及び分類は、図2のステップ206及びステップ208について述べたことと同様である。
【0036】
頁上のオブジェクトが識別され、分類されると、ステップ314において、第1のオブジェクトが処理されるために選択される。
【0037】
図2のステップ212及びステップ214において上述した処理と同様に、ステップ316において、選択されたオブジェクトが頁から抽出され、ステップ318において、オブジェクトの分類に基づいて、選択されたオブジェクトに対して、縮小方法が選択される。ステップ320において、選択された縮小方法がそのオブジェクトに適用される。縮小方法の適用は、図2のステップ216において述べた処理と同様である。
【0038】
ステップ322において、現在選択されているオブジェクトが、処理されるために現在選択されている頁上で識別された最終オブジェクトであるかどうかが、判断される。現在選択されているオブジェクトが現在選択されている頁上で識別される最終オブジェクトでなかった場合、ステップ324において、次の識別されたオブジェクトが、処理されるために選択される。次に、方法は、ステップ316へ戻り、頁から新しく選択されたオブジェクトを抽出し、上述したように、このオブジェクトを処理する。
【0039】
現在選択されているオブジェクトが、処理されるために現在選択されている頁上で識別された最終オブジェクトであると、判断された場合、ステップ326において、選択された縮小技術を各オブジェクトに適用することによって生成された縮小オブジェクトによって、新しい頁が作成される。一実施の形態において、選択された縮小技術は、頁上の識別オブジェクト別に異ならせることが可能であり、オブジェクトの分類に基づいて、選択される。
【0040】
一旦新しい頁が作成されると、ステップ328において、新しく作成された頁が、縮小されたオブジェクトと一緒に、出力装置へ送信される。ステップ330において、現在選択されている頁が、処理されるために、受信した多頁ドキュメントの最終頁であるかどうかが、判断される。選択された頁が処理するための最終頁ではないと判断されると、ステップ332において、受信した多頁ドキュメントから、処理するための次の頁を選択する。次に、方法は、ステップ306へ戻り、選択された頁の縮小された出力に対する目標指定値を受信する。一実施の形態において、受信した多頁ドキュメントの頁別の目標指定値は、頁別に異ならせることができ、又は、共通の目標指定値は、受信した多頁ドキュメントの複数ページ又は全てのページに対して使用することができる。現在選択されている頁が、処理するための最終頁であると判断された場合、処理が終了する。
【0041】
図4を参照すると、図4は、本発明の一実施の形態による方法におけるドキュメント縮小処理フレームワーク400を示している。ドキュメント縮小処理フレームワーク400は、縮小しようとするドキュメント402を含む。ドキュメント402は、一般に、適切なソースから受信される。次に、ドキュメント402は、オブジェクト構文解析ツール404によって処理される。オブジェクト構文解析ツールは、ドキュメント402の各頁のオブジェクトを識別し、抽出し、それぞれのサイズ変更技術によって最も効果的に処理されるオブジェクトの種類に基づいて、それぞれ識別されたオブジェクトを分類する。次に、各オブジェクトは、以下に説明されるように、ガイドラインのルールベースの組合せに基づいて、縮小される。
【0042】
オブジェクト構文解析ツール404によって識別され抽出されたオブジェクトは、次に、ガイドラインのルールベースの組合せに応じたオブジェクトの分類に基づいて、選択された様々なサイズ変更処理アルゴリズムによって、処理される。例えば、ドキュメント縮小処理フレームワーク400は、第1のオブジェクトである「オブジェクト1」410は、オブジェクト構文解析ツール404によって、画像オブジェクトとして、分類される。オブジェクトデータ412及びサイズ変更情報414を含む「オブジェクト1」410は、画像タイプのオブジェクトを最良に縮小するように設計されたコンテンツ認識型のサイズ変更技術によって、例えば、ガイドラインのルールベースの組合せに基づいて、処理される。同様に、第2のオブジェクトである「オブジェクト2」420は、オブジェクト構文解析ツール404によって、図形オブジェクトとして分類される。オブジェクトデータ422及びサイズ変更情報424を含む「オブジェクト2」420は、図形タイプのオブジェクトを最良に縮小するように設計された、例えば、図形オブジェクト解像度に基づいて、サイズ変更技術426を再生成することによって、例示的なルールベースのガイドラインの組合せに応じて、処理される。第3のオブジェクトである「オブジェクト3」430は、オブジェクト構文解析ツール404によって、テキストオブジェクトとして、分類される。オブジェクトデータ432及びサイズ変更情報434を含む「オブジェクト3」430は、テキストタイプのオブジェクトを最良に縮小するように設計されたフォント置換サイズ変更技術436によって、例示的なガイドラインのルールベースの組合せに従って、処理される。第n番目のオブジェクトである「オブジェクトN 」440は、オブジェクト構文解析ツール404によって、余白オブジェクトとして、分類される。オブジェクトデータ442及びサイズ変更情報444を含む「オブジェクトN」440は、頁背景データを取り除く余白サイズ変更技術446に基づいて、例示的なガイドラインのルールベースの組合せに応じて、処理される。余白サイズ変更技術446は、余白タイプのオブジェクトを最良に縮小するように設計されている。
【0043】
図5を参照されたい。図5は、ドキュメントの例示的な頁の二つの縮小画像500を示す。二つの縮小画像は「2アップ」と表示され、一般に、二頁分の画像をまとめて一頁に表示することをいう。当業者によく知られているように、このような「2アップ」表示は、2つの表示のスライドが単頁に印刷されている表示材料の小さめのハンドアウト(配布用印刷物)を作成するために用いられる。二つの縮小画像において、同一頁の上半分が、本発明の方法によって縮小された第1の縮小画像502として示され、下半分が、従来の方法によって縮小された第2の縮小画像552として示されている。第1の縮小画像テキスト506及び第1の縮小画像508は、第1の縮小画像の利用可能な面積を略完全に埋めるように拡大されている。第1の縮小ロゴ510は、画像成分よりも少ない割合で縮小され、第1の縮小画像においてよりはっきりと表示されている。さらに、第1の縮小画像は、第1の縮小画像テキスト506及び第1の縮小画像508より低い縮小率で縮小された第1の縮小方程式テキスト504も含む。これに対して、第2の縮小画像は、頁全体に対する一定の縮小係数を維持する従来の方法によって縮小されている。第2の縮小方程式のテキスト554は、原稿画像から、第2の縮小画像テキスト556、第2の縮小画像558、及び第2の縮小ロゴ560と同じ縮小率で、縮小される。
【0044】
図6を参照すると、図6は、本発明の例示的な一実施の形態による、本発明の方法の一つ以上の態様を実施するために有用な専用コンピュータを示すブロック図である。このようなシステムは、例えば、分離コンピュータシステム、電子回路、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)として実施することができる。実施内容は、本発明の方法がその用途を見つけ出す処理環境に依存する。専用コンピュータシステムは、図2及び図3の流れ図、及び図4の処理フレームワークに記載したような本発明の様々な態様による方法を実行するためのマシンリーダブルプログラム命令を実行する。
【0045】
専用コンピュータシステム600は、本発明の方法の全て又は一部を実行するためのマシン実行可能なプログラム命令を実行するためのプロセッサ606を含む。プロセッサは、バス602と通信する。システムは、マシンリーダブル命令を記憶するための主記憶装置604を含む。主記憶装置は、再プログラミング及びフレキシブルデータの記憶装置をサポートするために、ランダムアクセスメモリ(RAM)を含むことができる。バッファ666は、プロセッサによってアドレス可能なデータを記憶する。プログラムメモリ664は、本発明の方法を実行するためのマシンリーダブル命令を記憶する。ディスプレイ・インターフェース608は、バス602からディスプレイ610へデータを渡す。第2の記憶装置612は、ハードディスク614、及び、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、光ディスクなどの取り外し可能な記憶装置618の読み出し及び/又は書込みが可能な記憶装置616を含む。第2の記憶装置612は、プログラム及び/又はマシン実行可能な命令がプロセッサへロードされることを可能にするための他の機構を更に含むことができる。このような機構は、ソフトウェア及びデータの転送を可能にするインターフェース620を介して、データを交換するように用いられる、例えば、記憶装置622を含むことができる。システムは、システムとカラースキャナなどの外部装置(図示なし)の間で、データを転送可能するために、入力及び出力の両方として動作する通信インターフェース624を含む。これらのインターフェースの例としては、モデム、Ethernet(登録商標)(イーサネット(登録商標))カード等のネットワークカード、通信ポート、PCMCIA(パーソナルコンピュータ・メモリーカード国際協会)スロット及びカードなどが挙げられる。
【符号の説明】
【0046】
120 画像ソース
122 スキャナ
124 コンピュータ
130 画像処理
140 プリントエンジン
150 出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンダリングのために多頁ドキュメントの頁別にサイズ縮小するための方法であって、
多頁ドキュメントを受信し、
前記多頁ドキュメントの頁別に、
目標サイズ及び出力装置解像度に対する目標指定値を受信し、
ソフトウェアドキュメント頁構文解析ツールを用いて、前記ドキュメント頁を構文解析し、
前記ドキュメント頁構文解析ツールから得られた情報を利用して、前記ドキュメント頁に含まれるオブジェクトを識別し、
オブジェクトの種類によって、前記識別されたオブジェクトを分類し、
前記ドキュメント頁のオブジェクト別に、
前記ドキュメント頁から前記オブジェクトを抽出し、
前記オブジェクトの種類に基づいて、及び、前記目標指定値を用いて、前記抽出されたオブジェクトに対する縮小方法を選択し、
前記抽出されたオブジェクトに前記選択された縮小方法を適用して、それぞれのサイズ変更された抽出オブジェクトを生成し、
前記サイズ変更された抽出オブジェクトを用いて、新しいドキュメント頁を作成し、
レンダリングするために、前記新しいドキュメント頁を出力装置へ送信すること
を含む方法。
【請求項2】
前記縮小方法を選択することが、ガイドラインのルールベースの組合せ、及び目標サイズ及び出力装置の解像度に対する目標指定値に基づいて、前記抽出されたオブジェクトの縮小を優先することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記縮小方法が、所与のオブジェクトの種類を縮小するための前記縮小方法のそれぞれの能力に基づいて、所与のオブジェクトの種類に対して、予め選択されている、請求項1の記載の方法。
【請求項4】
異なるサイズの縮小対象のオブジェクトを目標とするために、前記ドキュメントの部分的及び全体的コンテクストを使用することを更に含む、請求項1の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−45061(P2011−45061A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183200(P2010−183200)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】