説明

レーザスキャナ

【課題】簡単、軽量な構造で、マルチビームを用いたレーザスキャナを提供する。
【解決手段】パルスビーム12を全周走査するレーザスキャナ1に於いて、該レーザスキャナが本体部3と該本体部に回転可能に設けられた回動部4とを有し、該回動部がパルスビームを該回動部の中心軸に対して垂直方向に偏向して照射する偏向部材15を具備し、前記本体部は、2次元的に配置され、複数のパルスビームを発する複数の発光源11と、パルスビームを投光、受光する光学系6と、前記回動部の水平回転角を検出する回転角検出部19と、対象物からの反射光12′を前記偏向部材を介して受光し、前記発光源とそれぞれ共役の位置にある複数の受光部18と、該受光部からの受光信号に基づき測距を行う測距部9と、前記発光源の配置位置、前記回転角検出部の検出結果に基づき前記偏向部材から照射されるパルスビームの照射方向を演算する制御演算部10とを具備した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルスビームを全周走査し、多点を高速で測定し、多点の3次元位置データの取得をするレーザスキャナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザスキャナとしては、1本のパルスビームを直線上に走査して、パルス毎に測距データを取得するラインスキャナがある。
【0003】
又、近年、360°の全周方向を高速にデータ取得する要求が高まっており、全周方向でのデータを取得する必要がある場合は、ラインスキャナを複数台用いてデータの取得をしている。この場合、高価なラインスキャナが複数台必要となり、又取得後のデータの整理に多くの時間と労力が必要であった。
【0004】
又、全周方向で多点のデータをより高速で取得できるものとして、複数のビーム(マルチビーム)を同時に走査しデータの取得をするものがある。斯かるレーザスキャナとしては特許文献4に示される。特許文献4のレーザスキャナは、複数のビームを直線状(例えば鉛直状)に配列して照射し、ビームの配列に対して直交する方向(例えば水平方向)に走査し、面状の多点データを取得するものである。
【0005】
該レーザスキャナでは、測定系の全てが回転部に搭載されており、大きな重量の回転部を高速で回転させる構造であるので、構造が堅固で、高精度である必要があり、高価なものとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−315085号公報
【特許文献2】特開2001−318148号公報
【特許文献3】特開2008−76303号公報
【特許文献4】国際公開第2008/008970号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は斯かる実情に鑑み、簡単、軽量な構造で、マルチビームを用いたレーザスキャンを可能としたレーザスキャナを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、パルスビームを全周走査して多点測定を行うレーザスキャナに於いて、該レーザスキャナが本体部と該本体部に回転可能に設けられた回動部とを有し、該回動部がパルスビームを該回動部の中心軸に対して垂直方向に偏向して照射する偏向部材を具備し、前記本体部は、2次元的に配置され、複数のパルスビームを発する複数の発光源と、パルスビームを投光、受光する光学系と、前記回動部の水平回転角を検出する回転角検出部と、対象物からの反射光を前記偏向部材を介して受光し、前記発光源とそれぞれ共役の位置にある複数の受光部と、該受光部からの受光信号に基づき測距を行う測距部と、前記発光源の配置位置、前記回転角検出部の検出結果に基づき前記偏向部材から照射されるパルスビームの照射方向を演算する制御演算部とを具備したレーザスキャナに係るものである。
【0009】
又本発明は、前記発光源、前記受光部は円周上に配置されたレーザスキャナに係るものである。
【0010】
又本発明は、前記光学系が集光レンズを有し、該集光レンズは各前記発光源からのパルスビームの光軸が前記偏向部材の回転中心に集る様に集光するレーザスキャナに係るものである。
【0011】
又本発明は、前記回動部の傾きを検出する回転ブレ検出部を有し、前記制御演算部は前記回転ブレ検出部の検出結果に基づき前記パルスビームの照射方向の演算結果を補正するレーザスキャナに係るものである。
【0012】
又本発明は、前記光学系が、パルスビームの光路を偏向する光路偏向手段を具備するレーザスキャナに係るものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、パルスビームを全周走査して多点測定を行うレーザスキャナに於いて、該レーザスキャナが本体部と該本体部に回転可能に設けられた回動部とを有し、該回動部がパルスビームを該回動部の中心軸に対して垂直方向に偏向して照射する偏向部材を具備し、前記本体部は、2次元的に配置され、複数のパルスビームを発する複数の発光源と、パルスビームを投光、受光する光学系と、前記回動部の水平回転角を検出する回転角検出部と、対象物からの反射光を前記偏向部材を介して受光し、前記発光源とそれぞれ共役の位置にある複数の受光部と、該受光部からの受光信号に基づき測距を行う測距部と、前記発光源の配置位置、前記回転角検出部の検出結果に基づき前記偏向部材から照射されるパルスビームの照射方向を演算する制御演算部とを具備したので、複数のパルスビームにより多点が測定でき、高速で多点の面状の測定データを取得でき、又回転走査する部分が、偏向部材に限られるので、回動部の軽量化が図れ、コストの低減が図れる。
【0014】
又本発明によれば、前記発光源、前記受光部は円周上に配置されたので、面状の測定データが得られると共に測定密度の均一化が図れる。
【0015】
又本発明によれば、前記光学系が集光レンズを有し、該集光レンズは各前記発光源からのパルスビームの光軸が前記偏向部材の回転中心に集る様に集光するので、偏向部材の小型化が図れ、回動部の軽量化が図れると共にレーザスキャナ全体の小型化が図れる。
【0016】
又本発明によれば、前記回動部の傾きを検出する回転ブレ検出部を有し、前記制御演算部は前記回転ブレ検出部の検出結果に基づき前記パルスビームの照射方向の演算結果を補正するので、回動部に回転誤差があった場合でも精度の高い測定データが得られる。
【0017】
又本発明によれば、前記光学系が、パルスビームの光路を偏向する光路偏向手段を具備するので、より測定密度が高められるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施例に係るレーザスキャナの概略構成図である。
【図2】該第1の実施例の制御ブロック図である。
【図3】(A)は光学系の説明図、(B)は(A)のA−A矢視図である。
【図4】第2偏向部材を回転させた場合の、パルスレーザ光線の照射方向の変化を示す説明図である。
【図5】第2偏向部材を回転させた場合の、パルスレーザ光線の照射方向の変化(軌跡)を示す線図である。
【図6】第2偏向部材を回転させた場合の、全ての発光素子からのパルスレーザ光線の照射方向の変化(軌跡)を示す線図である。
【図7】本発明の第2の実施例に係るレーザスキャナの光学系の概略構成図である。
【図8】(A)(B)は、第2の実施例に於ける、パルスレーザ光線の光路を偏向する回転プリズムの作用についての説明図である。
【図9】回転プリズムによるパルスレーザ光線の光路偏向の作用を示す説明図である。
【図10】(A)(B)は、発光素子、受光素子の配置の他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0020】
先ず、図1に於いて、本発明に係るレーザスキャナの概略を説明する。
【0021】
レーザスキャナ1は、整準部2、本体部3、回動部4を備えている。
【0022】
前記本体部3は、前記整準部2を介して設置され、該整準部2は水平方向を基準にして前記本体部3の姿勢を調整する機能を有する。
【0023】
前記回動部4は前記本体部3に対して鉛直軸心(回転中心線)を中心に回転自在に設けられ、前記回動部4は回動駆動部5により、定速で回転される様になっている。
【0024】
前記本体部3は、投光−受光光学系6、発光部7、受光部8、測距部9、制御演算部10を有し、前記投光−受光光学系6の光軸Oは鉛直方向に延出し、前記回動部4の回転中心線と合致している。
【0025】
図2、図3を参照して前記投光−受光光学系6、前記発光部7、前記受光部8について説明する。
【0026】
前記発光部7は所定の配列で配置された所定数の発光素子11を具備している。例えば、該発光素子11は前記光軸Oを中心とした円周上に所定角度ピッチ、例えば円周を28等分した角度(12.86゜)で、28個配設されている。
【0027】
前記発光素子11は、それぞれ前記光軸Oに向って水平方向に測距光としてのパルスビーム、例えばパルスレーザ光線12を発する様になっている。
【0028】
前記投光−受光光学系6は、前記発光素子11から発せられたパルスレーザ光線12を前記光軸Oと平行に偏向する第1偏向部材13、集光レンズ14及び前記回動部4に設けられ前記パルスレーザ光線12を水平方向或は略水平方向に偏向する第2偏向部材15を少なくとも有している。尚、該第2偏向部材15は、反射鏡であってもプリズムであってよい。
【0029】
前記第1偏向部材13は、前記発光素子11にそれぞれ対向する様に配設された反射鏡16からなり、該反射鏡16は前記光軸Oを中心とする円周上に前記所定角度ピッチで配置され、前記反射鏡16が配設された円周は、前記発光素子11が配設された円周より小さくなっている。前記反射鏡16は、前記パルスレーザ光線12の光軸が前記光軸Oと平行となる様に偏向する。
【0030】
前記集光レンズ14は、前記パルスレーザ光線12の光軸を前記光軸Oと前記第2偏向部材15とが交差する点に集光するものであり、又、前記集光レンズ14は、前記第2偏向部材15で水平方向に偏向され、対象物17に照射され、該対象物17で反射された反射光12′を前記受光部8に集光させるものである。前記集光レンズ14が、前記パルスレーザ光線12の光軸を前記第2偏向部材15上に集光させることで、前記第2偏向部材15は小型化が図れる。
【0031】
尚、前記受光部8と前記発光部7とは前記集光レンズ14に対して共役な位置となっている。
【0032】
前記受光部8は、前記発光部7に対して前記集光レンズ14から離反する位置に設けられ、前記光軸Oを中心とした円周上に配設された所定数の受光素子18から構成され、該受光素子18は前記所定角度ピッチで配設され、各受光素子18は前記発光素子11に対して1対1で対応し、且つそれぞれ共役な位置となっている。
【0033】
前記測距部9は、前記受光部8からの受光信号に基づき、前記パルスレーザ光線12の各パルス毎に前記対象物17迄の光波距離測定(測距)を行い、測距結果は前記制御演算部10に格納される様になっている。
【0034】
前記回動部4は、前記回動駆動部5によって所定の速度で定速回転される。前記第2偏向部材15は前記回動部4と一体に回転し、前記パルスレーザ光線12を水平方向に偏向し、又水平方向に全周走査する。前記回動部4は、回転角検出部、例えばロータリーエンコーダ部19を具備し、該ロータリーエンコーダ部19によって前記パルスレーザ光線12の照射方向(水平角)が検出される。
【0035】
又、前記本体部3内には、回転ブレ検出器22が設けられ、前記ロータリーエンコーダ部19には、周縁部に反射鏡部21が設けられ、該反射鏡部21に対向する様に、前記回転ブレ検出器22が設けられている。具体的には、前記回転ブレ検出器22は前記反射鏡部21に傾斜検出光を照射し、該反射鏡部21からの反射光の角度の変化で前記本体部3に対する前記ロータリーエンコーダ部19の傾きを検出する様になっている。前記反射鏡部21、前記回転ブレ検出器22等は、回転ブレ検出部23を構成し、前記ロータリーエンコーダ部19の前記本体部3に対する傾き(傾斜変化)を検出することで、前記回動部4の回転中心軸の向きの変化を検出する。従って、前記回動部4の回転中心がぶれた場合の前記パルスレーザ光線12の照射方向の変化を検出する。
【0036】
図2は、前記レーザスキャナ1の制御ブロック図を示している。
【0037】
図2中、24は操作部、25は記憶部、26は表示部、27は発光駆動部を示しており、前記制御演算部10には、前記ロータリーエンコーダ部19、前記回転ブレ検出部23、前記操作部24から信号が入力され、前記制御演算部10は、前記回動駆動部5、前記測距部9、前記表示部26、前記発光駆動部27の駆動を制御する。
【0038】
前記受光部8の各受光素子18は、配設された位置と対応する様に、例えば受光素子18−1〜受光素子18−nの様に番地付される。又、前記発光素子11についても配設された位置と対応する様に、例えば発光素子11−1〜発光素子11−nの様に番地付され、同一の番地の前記受光素子18と前記発光素子11とが対応する様に設定される。
【0039】
上記した様に、前記発光素子11と前記受光素子18とは共役な位置にあり、又前記発光素子11と前記受光素子18とは物理的に固定した位置関係にあるので、前記第2偏向部材15の回転に拘らず、同一の番地の発光素子11からのパルスレーザ光線12は同一の番地の受光素子18によって受光される。
【0040】
前記受光素子18からの受光信号は、前記測距部9、前記制御演算部10に入力され、前記測距部9では、前記受光信号に基づき測距が行われ、測距結果は前記制御演算部10に入力される。又、該制御演算部10には、前記ロータリーエンコーダ部19からは前記パルスレーザ光線12の照射方向の角度が入力され、前記回転ブレ検出部23からは傾斜検出結果が入力される。
【0041】
前記制御演算部10は、前記測距部9からの測距結果を前記受光素子18のそれぞれの番地と対応させ、又前記ロータリーエンコーダ部19の角度検出結果と関連付けて、前記記憶部25に格納する。又、前記回転ブレ検出部23からの傾斜検出結果と前記ロータリーエンコーダ部19の角度検出結果とを関連付けて前記記憶部25に格納する。
【0042】
該記憶部25は、測距結果等のデータ、前記ロータリーエンコーダ部19が検出した角度データ、前記回転ブレ検出部23が検出した傾斜データ等のデータを格納するデータ格納領域と、プログラムを格納するプログラム格納領域とを有しており、該プログラム格納領域には前記レーザスキャナ1に測定作動を実行させる為のシーケンスプログラム、測距を実行し、距離を演算する測距プログラム、前記ロータリーエンコーダ部19の角度検出結果に基づき、前記第2偏向部材15で偏向され、照射される前記パルスレーザ光線12の照射方向(水平角、鉛直角)を演算する照射方向演算プログラム、前記ロータリーエンコーダ部19の角度検出結果に基づき前記パルスレーザ光線12の照射方向の補正を行う補正プログラム等のプログラムが格納されている。
【0043】
前記操作部24からは、前記レーザスキャナ1に対して測定の開始、停止或は測定条件の設定等の入力を行う。
【0044】
前記表示部26には、前記レーザスキャナ1の状態、或は測定状態、測定手順のガイダンス、測定結果等が表示される。
【0045】
上記実施例では、傾斜した前記第2偏向部材15により前記パルスレーザ光線12を水平方向に偏向し、前記第2偏向部材15を回転するので、前記パルスレーザ光線12は前記第2偏向部材15の回転と共に該第2偏向部材15に対して相対的に鉛直角、水平角が変位する。
【0046】
鉛直角、水平角の変位の状態を図4、図5を参照して説明する。
【0047】
図4中、Vaは照射されるパルスレーザ光線12の実際の鉛直角であり、Vcは設定鉛直角(最大鉛直角)であり、Haは照射される前記パルスレーザ光線12の実際の水平回転角であり、Hrは第2偏向部材15の水平回転角(前記ロータリーエンコーダ部19が検出する回転角)である。
【0048】
前記発光素子11の位置が、前記第2偏向部材15の傾斜方向と一致した位置にあり、前記発光素子11の位置(矢印の像の先端で示す)は、直立の像の先端として投影され、最大鉛直角Vcを有する。前記第2偏向部材15がHr回転すると、矢印は傾き、前記発光素子11の位置はVa=Vc・cos(−2πHr/360)、Ha=Hr−Vc・sin(−2πHr/360)となる。
【0049】
1つの発光素子11から発せられるパルスレーザ光線12の水平回転角と、鉛直角の関係、即ち、前記パルスレーザ光線12の照射位置の軌跡は、図5に示される。従って、前記ロータリーエンコーダ部19からの角度検出結果に基づき、前記パルスレーザ光線12の照射方向を決定することができる。尚、図5は最大設定鉛直角が20゜と仮定した場合を示している。
【0050】
前記発光素子11は同一円周上に、所定角度ピッチ(本実施例では12.86゜)で配設されており、各発光素子11からのパルスレーザ光線12はそれぞれ第2偏向部材15によって照射方向が変化し、且つ隣接する発光素子11−h,11−(h+1)間で位相が12.86゜ずれたものとなる。全ての発光素子11からのパルスレーザ光線12の照射軌跡を示すと、図6の様になる。従って、全体としては、平面をメッシュ状の軌跡を描く様に測定することになる。一般的に、構築物等は鉛直と水平の組合わせで構成されているので、鉛直線、水平線は必ず、パルスレーザ光線12が交差して走査するので、測定漏れがなくなる。
【0051】
図7は、第2の実施例の光学系の概略を示している。
【0052】
第2の実施例では、パルスレーザ光線12の光路を偏向する手段として回転プリズム29を設けたものである。該回転プリズム29を光学系の所定の位置、図示では集光レンズ14と第2偏向部材15との間に設ける。又、図示していないが、前記回転プリズム29の回転角度を検出する回転プリズム回転角検出器が設けられ、該回転プリズム回転角検出器により前記回転プリズム29の回転角を検出し、該回転プリズム29の回転位置と前記第2偏向部材15の回転位置が対応して検出できる様になっている。
【0053】
前記回転プリズム29としては、例えば楔プリズムが用いられる。図8(A)(B)に示される様に、楔プリズムでは、パルスレーザ光線12のプリズムの回転による通過位置の変化で光路の偏向量が異なり、前記回転プリズム29を回転することで、光路は最大偏向量から最小偏向量の間で偏向量が変化する。
【0054】
図9は、前記回転プリズム29を用いた場合の前記パルスレーザ光線12の照射軌跡を示しており、図9中、実線が前記回転プリズム29がない状態、即ち光路が偏向されていない状態、2点鎖線が前記回転プリズム29によって光路が偏向された場合の軌跡を示している。従って、前記回転プリズム29を用いて、光路の角度を偏向することで、より測定点の密度を上げて測定が可能となる。例えば、前記第2偏向部材15の回転に対して前記回転プリズム29を1/2の回転速度で回転させることで、2倍の測定密度で測定することが可能となる。尚、楔プリズムは、厚み方向が異なる2枚の楔プリズムを組合わせたものであってもよい。
【0055】
而して、前記回動部4を回転して、多数のパルスレーザ光線12を走査して測定することで、同時に多数の測定点のデータを取得でき、而も未測定部分を生じない、面状の測定データが取得できる。
【0056】
上記実施例では、発光素子11、受光素子18を円状に配置したが、前記発光素子11、前記受光素子18の配置は円状に限らず、図10(A)に示される様に、同心多重に配設してもよい。同心多重とすることで、測定密度が増大する。或は、図10(B)に示される様に、3角形状に配置してもよく、要は前記発光素子11、前記受光素子18を2次元に配置すればよい。
【0057】
又、上記実施例では、発光素子11、受光素子18を円周上に配置し、前記発光素子11を発光源とし、又前記受光素子18自体を受光部としたが、前記発光素子11、前記受光素子18を前記発光部7、前記受光部8以外の位置に設け、光ファイバの発光面を前記発光部7に配置し、光ファイバにより発光素子11からのパルスレーザ光線12を導き、光ファイバの発光面を発光源とし、更に又、光ファイバの端面を受光面として、前記受光素子18の位置に配設し、光ファイバにより反射光12′を受光素子18に導く様にしてもよい。
【0058】
尚、本発明に係るレーザスキャナは、固定的に設けて対象物について面状に測定してもよく、或は移動体に設置して移動しながら沿道の対象物について面状に多点測定してもよい。
【0059】
又、上記実施例では、回動部の回転中心軸が鉛直である場合を説明したが、回転中心軸が水平として、水平方向の回転軸を中心として全周走査し、多点測定を行う様にしてもよく、更に、レーザスキャナを鉛直、水平の2方向に設置可能とし、水平方向で全周走査する多点測定と鉛直方向に全周走査する多点測定が行える様にしてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 レーザスキャナ
3 本体部
4 回動部
6 投光−受光光学系
7 発光部
8 受光部
9 測距部
10 制御演算部
11 発光素子
12 パルスレーザ光線
12′ 反射光
13 第1偏向部材
14 集光レンズ
15 第2偏向部材
16 反射鏡
18 受光素子
19 ロータリーエンコーダ部
22 回転ブレ検出器
23 回転ブレ検出部
25 記憶部
29 回転プリズム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルスビームを全周走査して多点測定を行うレーザスキャナに於いて、該レーザスキャナが本体部と該本体部に回転可能に設けられた回動部とを有し、該回動部がパルスビームを該回動部の中心軸に対して垂直方向に偏向して照射する偏向部材を具備し、前記本体部は、2次元的に配置され、複数のパルスビームを発する複数の発光源と、パルスビームを投光、受光する光学系と、前記回動部の水平回転角を検出する回転角検出部と、対象物からの反射光を前記偏向部材を介して受光し、前記発光源とそれぞれ共役の位置にある複数の受光部と、該受光部からの受光信号に基づき測距を行う測距部と、前記発光源の配置位置、前記回転角検出部の検出結果に基づき前記偏向部材から照射されるパルスビームの照射方向を演算する制御演算部とを具備したことを特徴とするレーザスキャナ。
【請求項2】
前記発光源、前記受光部は円周上に配置された請求項1のレーザスキャナ。
【請求項3】
前記光学系が集光レンズを有し、該集光レンズは各前記発光源からのパルスビームの光軸が前記偏向部材の回転中心に集る様に集光する請求項1のレーザスキャナ。
【請求項4】
前記回動部の傾きを検出する回転ブレ検出部を有し、前記制御演算部は前記回転ブレ検出部の検出結果に基づき前記パルスビームの照射方向の演算結果を補正する請求項1のレーザスキャナ。
【請求項5】
前記光学系が、パルスビームの光路を偏向する光路偏向手段を具備する請求項1のレーザスキャナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−226977(P2011−226977A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98670(P2010−98670)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)
【Fターム(参考)】