レーザマーキング装置およびレーザマーキング方法
【課題】メモリの容量および印字処理時間を増加させることなく、高精度な印字が可能なレーザマーキング装置およびレーザマーキング方法を提供する。
【解決手段】レーザ光源16は、レーザ光を出射する。ガルバノスキャナ18は、レーザ光の照射点を走査する。座標計算部38は、一定の時間間隔で、レーザ光が辿る軌跡を表わす座標系列を生成する。Gain補償・位相進み補償部46は、所定の特性を有する伝達関数に従って、座標系列のゲイン補償および位相進み補償を行なう。DAC48は、補償された座標系列の各データをアナログ電圧に変換する。ガルバノドライバ14は、アナログ電圧に従って、ガルバノスキャナ18を駆動制御する。
【解決手段】レーザ光源16は、レーザ光を出射する。ガルバノスキャナ18は、レーザ光の照射点を走査する。座標計算部38は、一定の時間間隔で、レーザ光が辿る軌跡を表わす座標系列を生成する。Gain補償・位相進み補償部46は、所定の特性を有する伝達関数に従って、座標系列のゲイン補償および位相進み補償を行なう。DAC48は、補償された座標系列の各データをアナログ電圧に変換する。ガルバノドライバ14は、アナログ電圧に従って、ガルバノスキャナ18を駆動制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザマーキング装置およびレーザマーキング方法に関し、特に文字、図形、または記号などを印字(マーキング)するレーザマーキング装置およびレーザマーキング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ光を対象物上で2次元方向に走査することによって、対象物に文字、図形などをマーキングするレーザマーキング装置において、ガルバノスキャナが用いられる。
【0003】
このガルバノスキャナは、制御部から座標データを受けても直ぐには、レーザ光の照射点を移動させることができない。そのため、レーザ光の照射点が停止状態から動き始めるまでの間の挙動遅れ時間が問題となる。挙動遅れが発生することによって、正確な印字ができなくなる。
【0004】
こうした挙動遅れに対応するため、たとえば特許文献1には、文字・記号・図形等を構成する線分が曲線である場合には、文字・記号・図形等を構成する正規の曲線より外側に膨らんだ仮想曲線上に分布させた補正点の座標データを、ガルバノスキャナの挙動遅れ時間に基づいて生成することを特徴としたレーザマーキング装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−225181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、挙動遅れ時間はガルバノスキャナの走査速度に応じて変化するため、走査速度に応じて補正点の座標データを正確に算出する必要がある。特許文献1の装置では、そのために、膨大な量の挙動遅れ時間のデータを記憶しておく必要があり、メモリ容量が増大する。
【0007】
また、次の補正点は先の補正点と傾きの異なる直線によって生成されるので、2軸のガルバノスキャナにおいて、線分のつなぎ目ごとに速度が変化することになる。したがって、線分のつなぎ目ごとに、直線の角度に応じた補正を加えなければ理想曲線にはならない。補正処理を行なうためには、メモリアクセスに制約を加えることになり、処理速度を下げなければならない。よって、最終的に印字時間を落とさなければならない。
【0008】
それゆえに、本発明の目的は、メモリの容量および印字処理時間を増加させることなく、高精度の印字が可能なレーザマーキング装置およびレーザマーキング方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のレーザマーキング装置は、レーザ光を出射するレーザ光源と、レーザ光の照射点を走査するガルバノスキャナと、レーザ光が辿る軌跡を表わす、一定の時間間隔の座標系列を生成する座標生成部と、所定の特性を有する伝達関数に従って、座標系列のゲイン補償および位相進み補償を行なう補償部と、補償された座標系列の各データをアナログ電圧に変換するDA変換部と、アナログ電圧に従って、ガルバノスキャナを駆動制御するドライバ部とを備える。
【0010】
好ましくは、座標系列のゲイン補償および位相進み補償を行なわれた後の座標系列のゲインは、共振周波数の手前で−20dBよりも小さくなるように急激に低下するような周波数特性を示す。
【0011】
好ましくは、補償部は、もとのゲイン特性の減衰極を変更せずにゲイン補償する。
好ましくは、補償部は、n時点の元の座標を{x(n)、y(n)}としたときに、次式に従って、補償後のn時点の座標{Nx(n)、Ny(n)}を算出する。
【0012】
Nx(n)=ax×x(n)+bx×x(n−1)+cx×x(n−2)+dx×Nx(n−1)+ex×Nx(n−2)・・・(A1)
Ny(n)=ay×y(n)+by×y(n−1)+cy×y(n−2)+dy×Ny(n−1)+ey×Ny(n−2)・・・(A2)
ただし、ax、bx、cx、dx、ex、ay、by、cy、dy、およびeyは定数である。
【0013】
本発明のレーザマーキング方法は、レーザ光源が、レーザ光を出射するステップと、ガルバノスキャナが、レーザ光の照射点を走査するステップと、制御部が、レーザ光が辿る軌跡を表わす一定の時間間隔の座標系列を生成するステップと、制御部が、所定の特性を有する伝達関数に従って、座標系列のゲイン補償および位相進み補償を行なうステップと、DA変換部が、補償された座標系列の各データをアナログ電圧に変換するステップと、ドライバが、アナログ電圧に従って、ガルバノスキャナを駆動制御するステップとを備える。
【0014】
好ましくは、座標系列のゲイン補償および位相進み補償を行なわれた後の座標系列のゲインは、共振周波数の手前で−20dBよりも小さくなるように急激に低下するような周波数特性を示す。
【0015】
好ましくは、座標系列のゲイン補償および位相進み補償を行なうステップは、もとのゲイン特性の減衰極を変更せずにゲイン補償するステップを含む。
【0016】
好ましくは、座標系列のゲイン補償および位相進み補償を行なうステップは、n時点の元の座標を{x(n)、y(n)}としたときに、次式に従って、補償後のn時点の座標{Nx(n)、Ny(n)}を算出するステップを含む。
【0017】
Nx(n)=ax×x(n)+bx×x(n−1)+cx×x(n−2)+dx×Nx(n−1)+ex×Nx(n−2)・・・(A1)
Ny(n)=ay×y(n)+by×y(n−1)+cy×y(n−2)+dy×Ny(n−1)+ey×Ny(n−2)・・・(A2)
ただし、ax、bx、cx、dx、ex、ay、by、cy、dy、およびeyは定数である。
【発明の効果】
【0018】
本発明のレーザマーキング装置およびレーザマーキング方法によれば、メモリの容量および印字処理時間を増加させることなく、高精度に印字することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態のレーザマーキング装置の構成を表わす図である。
【図2】文字「A」を印字するときの、線分の分割の例を表わす図である。
【図3】図2のように分割した場合に生成される線分データの例を表わす図である。
【図4】図1のGain補償・位相進み補償部の構成を表わす図である。
【図5】本発明の実施形態のレーザマーキング装置の動作手順を表わすフローチャートである。
【図6】本実施の形態におけるGain補償・位相進み補償を施さない場合の周波数特性と、Gain補償・位相進み補償を施した場合の周波数特性を表わす図である。
【図7】入力文字と、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を施さない場合の印字結果と、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を施した場合の印字結果との比較を表わす図である。
【図8】走査速度およびGain補償・位相進み補償の有/無を変えた場合の印字結果を説明するための図である。
【図9】座標系列の利得の周波数特性を表わす図である。
【図10】座標系列の位相の周波数特性を表わす図である。
【図11】「□」を印字する際の1軸の制御信号入力と応答波形(オシロ波形)を表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(レーザマーキング装置)
図1は、本発明の実施形態のレーザマーキング装置の構成を表わす図である。
【0021】
図1を参照して、レーザマーキング装置2は、入力装置10と、第1制御基板8と、光学装置4とを含む。
【0022】
光学装置4は、第2制御基板6と、レーザ制御基板12と、レーザ光源16と、ガルバノドライバ14と、ガルバノスキャナ18とを含む。
【0023】
第1制御基板8は、設定部24と線分データ分割部26とを含むCPU22と、フォントデータメモリ28と、線分データメモリ30とを含む。
【0024】
第2制御基板6は、CPU32と、メモリ34と、印字制御部36とを備える。
印字制御部36は、座標計算部38と、レーザ駆動信号生成部40と、ガルバノ補正部44と、Gain補償・位相進み補償部46と、タイミングトリガ部42と、DAC(Digital Analog Converter)48とを備える。
【0025】
入力装置10には、印字すべき文字が入力される。
設定部24は、入力された文字の印字速度を設定する。
【0026】
線分データ分割部26は、フォントデータを参照して、入力された文字を第1番目〜第M番目の複数の線分に分割して線分データを生成する。複数の線分には、入力された文字を一筆で印字するために、実際には入力された文字に含まれない線分も含まれる。つまり、分割された複数の線分は、入力された文字を印字するためにレーザ光が辿るべき軌跡を表わす。入力された文字に含まれない線分を辿るときには、レーザ光が照射されないように制御される。線分データは、コマンドNO.、コマンド、印字の有無(レーザ光のオン/オフ)、線分の始点の座標、走査速度からなる。
【0027】
図2は、文字「A」を印字するときの、線分の分割の例を表わす図である。
図3は、図2のように分割した場合に生成される線分データの例を表わす図である。
【0028】
フォントデータメモリ28は、各種文字のフォントデータが記憶される。
線分データメモリ30は、線分データ分割部26によって生成された線分データを記憶する。
【0029】
CPU32は、印字開始トリガがあると、第1制御基板8の線分データメモリ30に記憶された線分データをメモリ34に取込む。
【0030】
座標計算部38は、メモリ34に記憶された各線分データに基づいて、各線分iの始点の座標、始点から次の線分(i+1)の始点までの間の1以上の中間点の座標、および次の線分(i+1)の始点の座標からなる座標系列{x′(n)、y′(n)}(n=1〜N)を出力する。したがって、{x′(1)、y′(1)}は、各線分iの始点の座標である。{x′(N)、y′(N)}は、次の線分(i+1)の始点の座標(つまり、各線分iの終点の座標)である。ただし、最後の線分については、終点の座標は、1番目の線分の始点とする。第i番目の座標データが出力されるタイミングと、第(i+1)番目の座標データが出力されるタイミングとの時間間隔は、Tである。
【0031】
レーザ駆動信号生成部40は、線分データに含まれる印字の有無を表わす識別子に基づいて、レーザ光をオンまたはオフさせるレーザ駆動信号を出力する。
【0032】
ガルバノ補正部44は、座標{x′(n)、y′(n)}に対してガルバノ取付け誤差を補正して、補正された座標{x(n)、y(n)}を算出する。
【0033】
Gain補償・位相進み補償部46は、所定の特性を有する伝達関数Gx(s)、Gy(s)(sはラプラス演算子)に従って、座標系列のゲイン補償および位相進み補償を行なう。なお、Dで表わされる遅延部は補償部46では2次であるが、次数を高くすればより周波数特性の改善を図ることができる。印字制御部36への実装負荷を考慮し、遅延部を2次としている。
【0034】
伝達関数Gx(s)、Gy(s)は、座標系列{x(n)、y(n)}のラプラス変換を{X(s)、Y(s)}とし、DAC48へ出力する補償後の座標系列{Nx(n)、Ny(n)}のラプラス変換を{NX(s)、NY(s)}としたときに、以下の式で表わされる。
【0035】
Gx(s)=NX(s)/X(s)={(1+αy×T×s)/(1+T×s)}2・・(1)
Gy(s)=NY(s)/Y(s)={(1+αx×T×s)/(1+T×s)}2・・(2)
ただし、αx、αyは定数である。αx=αyとしてもよい。
【0036】
式(1)および(2)を双一次変換すると、以下の式が得られる。
Gx(z)=(Ax+Bx×Z-1+Cx×Z-2)/(Dx+Ex×Z-1+Fx×Z-2)・・(3)
Gy(z)=(Ay+By×Z-1+Cy×Z-2)/(Dy+Ey×Z-1+Fy×Z-2)・・(4)
ただし、Ax、Bx、Cx、Dx、Ex、Fx、Ay、By、Cy、Dy、Ey、Fyは定数である。Ax=Ay、Bx=By、Cx=Cy、Dx=Dy、Ex=Ey、Fx=Fyとしてもよい。
【0037】
式(3)および(4)を離散化すると、以下の式が得られる。
Nx(n)=ax×x(n)+bx×x(n−1)+cx×x(n−2)+dx×Nx(n−1)+ex×Nx(n−2)・・・(5)
Ny(n)=ay×y(n)+by×y(n−1)+cy×y(n−2)+dy×Ny(n−1)+ey×Ny(n−2)・・・(6)
ただし、ax、bx、cx、dx、ex、ay、by、cy、dy、eyは定数である。ax=ay、bx=by、cx=cy、dx=dy、ex=eyとしてもよい。
【0038】
Nx(0)、Nx(−1)、Ny(0)、Ny(−1)は「0」または他の定数である。
【0039】
したがって、Gain補償・位相進み補償部46は、具体的には、式(5)および(6)に従って、補償後のn時点の座標{Nx(n)、Ny(n)}を算出する。
【0040】
タイミングトリガ部42は、座標計算部38、ガルバノ補正部44、Gain補償・位相進み補償部46およびレーザ駆動信号生成部40の動作タイミングを合わせるために同期信号を出力する。つまり、座標計算部38、ガルバノ補正部44、Gain補償・位相進み補償部46およびレーザ駆動信号生成部40は、時間間隔Tの同一のタイミングで1つの座標データに対して処理を行なう。
【0041】
DAC48は、Gain補償・位相進み補償部46から出力されるデジタルの座標{Nx(n)、Ny(n}}をアナログ電圧に変換する。
【0042】
レーザ制御基板12は、レーザ駆動信号を受取り、レーザ光源16を駆動する。
レーザ光源16は、レーザパルス光をガルバノスキャナ18に向けて出射する。
【0043】
ガルバノドライバ14は、DAC48から出力されるアナログ電圧に従って、ガルバノスキャナ18を駆動制御する。
【0044】
ガルバノスキャナ18は、レーザ光の照射点を2次元で走査する。具体的には、ガルバノスキャナ18は、一対のガルバノミラーおよび収束レンズを備える。一方のガルバノミラーは、X方向に角度を変移させることができ、他方のガルバノミラーは、Y方向に角度を変移させることができる。これらのガルバノミラーによって変移したレーザ光は収束レンズによって、ワーク20の表面に集光される。
【0045】
(Gain補償・位相進み補償部46)
図4は、図1のGain補償・位相進み補償部46の構成を表わす図である。
【0046】
図4を参照して、このGain補償・位相進み補償部46は、X座標変換部52と、Y座標変換部54とを含む。
【0047】
X座標変換部52は、定数乗算部60,62,64,66,68と、遅延部70,72と、加算部56,58とを備える。
【0048】
定数乗算部64は、wx(n)を受けて、ax×wx(n)を出力する。
遅延部70は、wx(n)を受けて、wx(n−1)を出力する。
【0049】
定数乗算部60は、wx(n−1)を受けて、dx×wx(n−1)を出力する。
定数乗算部66は、wx(n−1)を受けて、bx×wx(n−1)を出力する。
【0050】
遅延部72は、wx(n−1)を受けて、wx(n−2)を出力する。
定数乗算部62は、wx(n−2)を受けて、ex×wx(n−2)を出力する。
【0051】
定数乗算部68は、wx(n−2)を受けて、cx×wx(n−2)を出力する。
加算部56は、x(n)と、dx×wx(n−1)と、ex×wx(n−2)とを加算して、w(n)(=x(n)+dx×wx(n−1)+ex×wx(n−2))を出力する。
【0052】
加算部58は、ax×wx(n)と、bx×wx(n−1)と、cx×wx(n−2)とを加算して、Nx(n)(=ax×wx(n)+bx×wx(n−1)+cx×wx(n−2))を出力する。
【0053】
ここで、加算部58が出力するax×w(n)+bx×w(n−1)+cx×w(n−2)は、ax×x(n)+bx×x(n−1)+cx×x(n−2)+dx×Nx(n−1)+ex×Nx(n−2)である。
【0054】
Y座標変換部54は、定数乗算部80,82,84,86,88と、遅延部90,92と、加算部76,78とを備える。
【0055】
定数乗算部84は、wy(n)を受けて、ay×wy(n)を出力する。
遅延部90は、wy(n)を受けて、wy(n−1)を出力する。
【0056】
定数乗算部80は、wy(n−1)を受けて、dy×wy(n−1)を出力する。
定数乗算部86は、wy(n−1)を受けて、by×wy(n−1)を出力する。
【0057】
遅延部92は、wy(n−1)を受けて、wy(n−2)を出力する。
定数乗算部82は、wy(n−2)を受けて、ey×wy(n−2)を出力する。
【0058】
定数乗算部88は、wy(n−1)を受けて、cy×wy(n−2)を出力する。
加算部76は、y(n)と、dy×wy(n−1)と、ey×wy(n−2)とを加算して、wy(n)(=y(n)+dy×wy(n−1)+ey×wy(n−2))を出力する。
【0059】
加算部78は、ay×wy(n)と、by×wy(n−1)と、cy×wy(n−2)とを加算して、Ny(n)(=ay×wy(n)+by×wy(n−1)+cy×wy(n−2))を出力する。
【0060】
ここで、加算部78が出力するay×wy(n)+by×wy(n−1)+cy×wy(n−2)は、ay×y(n)+by×y(n−1)+cy×y(n−2)+dy×Ny(n−1)+ey×Ny(n−2)である。
【0061】
(動作)
図5は、本発明の実施形態のレーザマーキング装置の動作手順を表わすフローチャートである。
【0062】
図5を参照して、入力装置10は、印字すべき文字を出力する。第1制御基板8の設定部24は、入力された文字の印字速度を設定する(ステップS101)。
【0063】
次に、第1制御基板8の線分データ分割部26は、入力された文字をフォントデータを参照して、入力された文字を複数の線分に分割して、分割した線分についてコマンドNO.、コマンド、印字の有無(レーザ光のオン/オフ)、線分の始点の座標、走査速度からなる線分データを生成して、線分データメモリ30に書込む(ステップS102)。
【0064】
次に、第2制御基板6のCPU32は、印字開始トリガがあると(ステップS103でYES)、線分データメモリ30内の線分データをメモリ34に取込む(ステップS104)。
【0065】
次に、座標計算部38は、1つの線分データを先読みする(ステップS105)。
次に、座標計算部38は、先読みした線分データに基づいて、第n時点の座標{x′(n)、y′(n)}(n=1〜N)を生成する(ステップS106)。
【0066】
次に、ガルバノ補正部44は、座標{x′(n)、y′(n)}に対してガルバノ取付け誤差を補正して、補正された座標{x(n)、y(n)}を生成する(ステップS108)。
【0067】
次に、Gain補償・位相進み補償部46は、座標{x(n)、y(n)}から、式(5)および(6)に従って、補償後の座標{Nx(n)、Ny(n)}(n=1〜N)を算出する(ステップS109)。
【0068】
DAC48は、補償後の座標{Nx(n)、Ny(n)}(n=1〜N)をアナログ電圧に変換して、ガルバノドライバ14へ出力する。ガルバノドライバ14は、変換されたアナログ電圧に基づいてガルバノスキャナ18を駆動制御する(ステップS110)。
【0069】
ステップS105〜S111の処理と平行して、レーザ駆動信号生成部40は、先読みした線分データに含まれる印字の有無を表わす識別子に基づいて、レーザ光をオンまたはオフさせるレーザ駆動信号を出力する(ステップS107)。
【0070】
メモリ34にまだ読み出されていない線分データがある場合には(ステップS111でYES)、ステップS105に戻って処理が繰り返される。
【0071】
(実験結果)
図6は、本実施の形態におけるGain補償・位相進み補償を施さない場合の周波数特性と、Gain補償・位相進み補償を施した場合の周波数特性を表わす図である。
【0072】
図6に示すように、Gain補償・位相進み補償を行なわないと、周波数(座標系列の時間間隔Tの逆数)が高くなると、利得が減少する。Gain補償・位相進み補償を行なうことによって、周波数が高くなっても、周波数が低いときと同様の利得が得られる。
【0073】
図7は、入力文字と、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を施さない場合の印字結果と、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を施した場合の印字結果との比較を表わす図である。
【0074】
図7に示すように、Gain補償・位相進み補償を行なうことによって、特に、角張った部分において、入力文字により類似した文字を印字することができる。
【0075】
図8は、走査速度およびGain補償・位相進み補償の有/無を変えた場合の印字結果を説明するための図である。
【0076】
図8(a)は、ガルバノスキャナ18の走査速度が4000mm/sであり、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を施したときの印字結果を表わす図である。
【0077】
図8(b)は、ガルバノスキャナ18の走査速度が4000mm/sであり、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を施さないときの印字結果を表わす図である。
【0078】
図8(c)は、ガルバノスキャナ18の走査速度が3000mm/sであり、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を施さないときの印字結果を表わす図である。
【0079】
図8(d)は、ガルバノスキャナ18の走査速度が2000mm/sであり、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を施さないときの印字結果を表わす図である。
【0080】
図8(e)は、ガルバノスキャナ18の走査速度が1000mm/sであり、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を施さないときの印字結果を表わす図である。
【0081】
図8(a)と図8(d)の印字結果は、ほぼ同等である。つまり、ガルバノスキャナ18の走査速度が4000m/sで、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を施した場合と、走査速度が2000m/sで本実施の形態のGain補償・位相進み補償を行なわない場合とで、ほぼ同等の印字結果が得られる。したがって、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を施すことによって、精度を損なうことなく、高速に印字することができる。
【0082】
図9は、座標系列の利得の周波数特性を表わす図である。
図10は、座標系列の位相の周波数特性を表わす図である。
【0083】
図9および図10において、(1)の曲線は本実施の形態のGain補償・位相進み補償を行なわない場合の特性を表わし、(2)の曲線は補正関数(1段)を表わし、(3)の曲線は補正関数(2段)を表わし、(4)の曲線は擬似伝達関数を表わし、(5)の曲線は本実施の形態のGain補償・位相進み補償を行なった場合の特性を表わす。
【0084】
(5)の曲線は、(1)の曲線に比べて、利得が減衰しはじめる周波数が高周波数側にずれている。
【0085】
(5)の曲線で示されるように、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を行なった場合には、共振周波数fr(ガルバノスキャナでは一般に15kHz付近)の手前で、座標系列の利得は、−20dBよりも小さくなるように急激に低下する。
【0086】
また、(5)の曲線で示されるように、もとのゲイン特性の減衰極(10kHz付近の落ち込み箇所)を変更せずに、ゲインが補償されている。この減衰極は、フィルタ特性として急激に落とす要素を加えることで、持ち上げたゲイン特性の高周波側の増加を抑える効果がある。
【0087】
図11は、「□」を印字する際の1軸の制御信号入力と応答波形(オシロ波形)を表わす図である。
【0088】
図11には、4種類の走査速度について、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を行なわない場合と、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を行なった場合の制御信号入力と応答波形(8セット)が表わされている。各セットにおいて、上側の波形が制御信号入力であり、下側の波形が応答波形である。
【0089】
ここで、「制御信号入力」とは、ガルバノドライバ14へ入力される信号を表わし、「応答波形」は、ガルバノドライバ14から出力される信号を表わす。
【0090】
図11に示すように、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を行なった場合には、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を行なわない場合と比べて、制御信号入力波形の囲みで示した部分が相違する。
【0091】
その結果、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を行なった場合に、走査速度が1000mm/sと2000mm/sのときに、応答波形においてコーナー部分に膨らみが確認される。
【0092】
以上のように、本発明の実施の形態によれば、座標系列の位相およびゲインを調整することによって、メモリの容量および印字処理時間を増加させることなく、高精度に印字することができる。
【0093】
(変形例)
本発明は、上記の実施形態の限定されるものではなく、たとえば以下のような変形例も含む。
【0094】
(1) Gain補償・位相進み補償の対象データ
本発明の実施の形態では、線分データから生成された座標系列に対して、ガルバノ取付け誤差を補正した後に、Gain補償・位相進み補償を実行したが、これに限定するものではない。ガルバノ取付け誤差を補正せずに、線分データから生成された座標系列に対して直接Gain補償・位相進み補償を実行することとしてもよい。
【0095】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0096】
2 レーザマーキング装置、4 光学装置、6 第2制御基板、8 第1制御基板、10 入力装置、12 レーザ制御基板、14 ガルバノドライバ、16 レーザ光源、18 ガルバノスキャナ、20 ワーク、22,32 CPU、24 設定部、26 線分データ分割部、28 フォントデータメモリ、30 線分データメモリ、34 メモリ、36 印字制御部、38 座標計算部、40 レーザ駆動信号生成部、42 タイミングトリガ部、44 ガルバノ補正部、46 Gain補償・位相進み補償部、48 DAC、52 X座標変換部、54 Y座標変換部、56,58,76,78 加算部、70,72,90,92 遅延部、60,62,64,66,68,80,82,84,86,88 定数乗算部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザマーキング装置およびレーザマーキング方法に関し、特に文字、図形、または記号などを印字(マーキング)するレーザマーキング装置およびレーザマーキング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ光を対象物上で2次元方向に走査することによって、対象物に文字、図形などをマーキングするレーザマーキング装置において、ガルバノスキャナが用いられる。
【0003】
このガルバノスキャナは、制御部から座標データを受けても直ぐには、レーザ光の照射点を移動させることができない。そのため、レーザ光の照射点が停止状態から動き始めるまでの間の挙動遅れ時間が問題となる。挙動遅れが発生することによって、正確な印字ができなくなる。
【0004】
こうした挙動遅れに対応するため、たとえば特許文献1には、文字・記号・図形等を構成する線分が曲線である場合には、文字・記号・図形等を構成する正規の曲線より外側に膨らんだ仮想曲線上に分布させた補正点の座標データを、ガルバノスキャナの挙動遅れ時間に基づいて生成することを特徴としたレーザマーキング装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−225181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、挙動遅れ時間はガルバノスキャナの走査速度に応じて変化するため、走査速度に応じて補正点の座標データを正確に算出する必要がある。特許文献1の装置では、そのために、膨大な量の挙動遅れ時間のデータを記憶しておく必要があり、メモリ容量が増大する。
【0007】
また、次の補正点は先の補正点と傾きの異なる直線によって生成されるので、2軸のガルバノスキャナにおいて、線分のつなぎ目ごとに速度が変化することになる。したがって、線分のつなぎ目ごとに、直線の角度に応じた補正を加えなければ理想曲線にはならない。補正処理を行なうためには、メモリアクセスに制約を加えることになり、処理速度を下げなければならない。よって、最終的に印字時間を落とさなければならない。
【0008】
それゆえに、本発明の目的は、メモリの容量および印字処理時間を増加させることなく、高精度の印字が可能なレーザマーキング装置およびレーザマーキング方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のレーザマーキング装置は、レーザ光を出射するレーザ光源と、レーザ光の照射点を走査するガルバノスキャナと、レーザ光が辿る軌跡を表わす、一定の時間間隔の座標系列を生成する座標生成部と、所定の特性を有する伝達関数に従って、座標系列のゲイン補償および位相進み補償を行なう補償部と、補償された座標系列の各データをアナログ電圧に変換するDA変換部と、アナログ電圧に従って、ガルバノスキャナを駆動制御するドライバ部とを備える。
【0010】
好ましくは、座標系列のゲイン補償および位相進み補償を行なわれた後の座標系列のゲインは、共振周波数の手前で−20dBよりも小さくなるように急激に低下するような周波数特性を示す。
【0011】
好ましくは、補償部は、もとのゲイン特性の減衰極を変更せずにゲイン補償する。
好ましくは、補償部は、n時点の元の座標を{x(n)、y(n)}としたときに、次式に従って、補償後のn時点の座標{Nx(n)、Ny(n)}を算出する。
【0012】
Nx(n)=ax×x(n)+bx×x(n−1)+cx×x(n−2)+dx×Nx(n−1)+ex×Nx(n−2)・・・(A1)
Ny(n)=ay×y(n)+by×y(n−1)+cy×y(n−2)+dy×Ny(n−1)+ey×Ny(n−2)・・・(A2)
ただし、ax、bx、cx、dx、ex、ay、by、cy、dy、およびeyは定数である。
【0013】
本発明のレーザマーキング方法は、レーザ光源が、レーザ光を出射するステップと、ガルバノスキャナが、レーザ光の照射点を走査するステップと、制御部が、レーザ光が辿る軌跡を表わす一定の時間間隔の座標系列を生成するステップと、制御部が、所定の特性を有する伝達関数に従って、座標系列のゲイン補償および位相進み補償を行なうステップと、DA変換部が、補償された座標系列の各データをアナログ電圧に変換するステップと、ドライバが、アナログ電圧に従って、ガルバノスキャナを駆動制御するステップとを備える。
【0014】
好ましくは、座標系列のゲイン補償および位相進み補償を行なわれた後の座標系列のゲインは、共振周波数の手前で−20dBよりも小さくなるように急激に低下するような周波数特性を示す。
【0015】
好ましくは、座標系列のゲイン補償および位相進み補償を行なうステップは、もとのゲイン特性の減衰極を変更せずにゲイン補償するステップを含む。
【0016】
好ましくは、座標系列のゲイン補償および位相進み補償を行なうステップは、n時点の元の座標を{x(n)、y(n)}としたときに、次式に従って、補償後のn時点の座標{Nx(n)、Ny(n)}を算出するステップを含む。
【0017】
Nx(n)=ax×x(n)+bx×x(n−1)+cx×x(n−2)+dx×Nx(n−1)+ex×Nx(n−2)・・・(A1)
Ny(n)=ay×y(n)+by×y(n−1)+cy×y(n−2)+dy×Ny(n−1)+ey×Ny(n−2)・・・(A2)
ただし、ax、bx、cx、dx、ex、ay、by、cy、dy、およびeyは定数である。
【発明の効果】
【0018】
本発明のレーザマーキング装置およびレーザマーキング方法によれば、メモリの容量および印字処理時間を増加させることなく、高精度に印字することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態のレーザマーキング装置の構成を表わす図である。
【図2】文字「A」を印字するときの、線分の分割の例を表わす図である。
【図3】図2のように分割した場合に生成される線分データの例を表わす図である。
【図4】図1のGain補償・位相進み補償部の構成を表わす図である。
【図5】本発明の実施形態のレーザマーキング装置の動作手順を表わすフローチャートである。
【図6】本実施の形態におけるGain補償・位相進み補償を施さない場合の周波数特性と、Gain補償・位相進み補償を施した場合の周波数特性を表わす図である。
【図7】入力文字と、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を施さない場合の印字結果と、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を施した場合の印字結果との比較を表わす図である。
【図8】走査速度およびGain補償・位相進み補償の有/無を変えた場合の印字結果を説明するための図である。
【図9】座標系列の利得の周波数特性を表わす図である。
【図10】座標系列の位相の周波数特性を表わす図である。
【図11】「□」を印字する際の1軸の制御信号入力と応答波形(オシロ波形)を表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(レーザマーキング装置)
図1は、本発明の実施形態のレーザマーキング装置の構成を表わす図である。
【0021】
図1を参照して、レーザマーキング装置2は、入力装置10と、第1制御基板8と、光学装置4とを含む。
【0022】
光学装置4は、第2制御基板6と、レーザ制御基板12と、レーザ光源16と、ガルバノドライバ14と、ガルバノスキャナ18とを含む。
【0023】
第1制御基板8は、設定部24と線分データ分割部26とを含むCPU22と、フォントデータメモリ28と、線分データメモリ30とを含む。
【0024】
第2制御基板6は、CPU32と、メモリ34と、印字制御部36とを備える。
印字制御部36は、座標計算部38と、レーザ駆動信号生成部40と、ガルバノ補正部44と、Gain補償・位相進み補償部46と、タイミングトリガ部42と、DAC(Digital Analog Converter)48とを備える。
【0025】
入力装置10には、印字すべき文字が入力される。
設定部24は、入力された文字の印字速度を設定する。
【0026】
線分データ分割部26は、フォントデータを参照して、入力された文字を第1番目〜第M番目の複数の線分に分割して線分データを生成する。複数の線分には、入力された文字を一筆で印字するために、実際には入力された文字に含まれない線分も含まれる。つまり、分割された複数の線分は、入力された文字を印字するためにレーザ光が辿るべき軌跡を表わす。入力された文字に含まれない線分を辿るときには、レーザ光が照射されないように制御される。線分データは、コマンドNO.、コマンド、印字の有無(レーザ光のオン/オフ)、線分の始点の座標、走査速度からなる。
【0027】
図2は、文字「A」を印字するときの、線分の分割の例を表わす図である。
図3は、図2のように分割した場合に生成される線分データの例を表わす図である。
【0028】
フォントデータメモリ28は、各種文字のフォントデータが記憶される。
線分データメモリ30は、線分データ分割部26によって生成された線分データを記憶する。
【0029】
CPU32は、印字開始トリガがあると、第1制御基板8の線分データメモリ30に記憶された線分データをメモリ34に取込む。
【0030】
座標計算部38は、メモリ34に記憶された各線分データに基づいて、各線分iの始点の座標、始点から次の線分(i+1)の始点までの間の1以上の中間点の座標、および次の線分(i+1)の始点の座標からなる座標系列{x′(n)、y′(n)}(n=1〜N)を出力する。したがって、{x′(1)、y′(1)}は、各線分iの始点の座標である。{x′(N)、y′(N)}は、次の線分(i+1)の始点の座標(つまり、各線分iの終点の座標)である。ただし、最後の線分については、終点の座標は、1番目の線分の始点とする。第i番目の座標データが出力されるタイミングと、第(i+1)番目の座標データが出力されるタイミングとの時間間隔は、Tである。
【0031】
レーザ駆動信号生成部40は、線分データに含まれる印字の有無を表わす識別子に基づいて、レーザ光をオンまたはオフさせるレーザ駆動信号を出力する。
【0032】
ガルバノ補正部44は、座標{x′(n)、y′(n)}に対してガルバノ取付け誤差を補正して、補正された座標{x(n)、y(n)}を算出する。
【0033】
Gain補償・位相進み補償部46は、所定の特性を有する伝達関数Gx(s)、Gy(s)(sはラプラス演算子)に従って、座標系列のゲイン補償および位相進み補償を行なう。なお、Dで表わされる遅延部は補償部46では2次であるが、次数を高くすればより周波数特性の改善を図ることができる。印字制御部36への実装負荷を考慮し、遅延部を2次としている。
【0034】
伝達関数Gx(s)、Gy(s)は、座標系列{x(n)、y(n)}のラプラス変換を{X(s)、Y(s)}とし、DAC48へ出力する補償後の座標系列{Nx(n)、Ny(n)}のラプラス変換を{NX(s)、NY(s)}としたときに、以下の式で表わされる。
【0035】
Gx(s)=NX(s)/X(s)={(1+αy×T×s)/(1+T×s)}2・・(1)
Gy(s)=NY(s)/Y(s)={(1+αx×T×s)/(1+T×s)}2・・(2)
ただし、αx、αyは定数である。αx=αyとしてもよい。
【0036】
式(1)および(2)を双一次変換すると、以下の式が得られる。
Gx(z)=(Ax+Bx×Z-1+Cx×Z-2)/(Dx+Ex×Z-1+Fx×Z-2)・・(3)
Gy(z)=(Ay+By×Z-1+Cy×Z-2)/(Dy+Ey×Z-1+Fy×Z-2)・・(4)
ただし、Ax、Bx、Cx、Dx、Ex、Fx、Ay、By、Cy、Dy、Ey、Fyは定数である。Ax=Ay、Bx=By、Cx=Cy、Dx=Dy、Ex=Ey、Fx=Fyとしてもよい。
【0037】
式(3)および(4)を離散化すると、以下の式が得られる。
Nx(n)=ax×x(n)+bx×x(n−1)+cx×x(n−2)+dx×Nx(n−1)+ex×Nx(n−2)・・・(5)
Ny(n)=ay×y(n)+by×y(n−1)+cy×y(n−2)+dy×Ny(n−1)+ey×Ny(n−2)・・・(6)
ただし、ax、bx、cx、dx、ex、ay、by、cy、dy、eyは定数である。ax=ay、bx=by、cx=cy、dx=dy、ex=eyとしてもよい。
【0038】
Nx(0)、Nx(−1)、Ny(0)、Ny(−1)は「0」または他の定数である。
【0039】
したがって、Gain補償・位相進み補償部46は、具体的には、式(5)および(6)に従って、補償後のn時点の座標{Nx(n)、Ny(n)}を算出する。
【0040】
タイミングトリガ部42は、座標計算部38、ガルバノ補正部44、Gain補償・位相進み補償部46およびレーザ駆動信号生成部40の動作タイミングを合わせるために同期信号を出力する。つまり、座標計算部38、ガルバノ補正部44、Gain補償・位相進み補償部46およびレーザ駆動信号生成部40は、時間間隔Tの同一のタイミングで1つの座標データに対して処理を行なう。
【0041】
DAC48は、Gain補償・位相進み補償部46から出力されるデジタルの座標{Nx(n)、Ny(n}}をアナログ電圧に変換する。
【0042】
レーザ制御基板12は、レーザ駆動信号を受取り、レーザ光源16を駆動する。
レーザ光源16は、レーザパルス光をガルバノスキャナ18に向けて出射する。
【0043】
ガルバノドライバ14は、DAC48から出力されるアナログ電圧に従って、ガルバノスキャナ18を駆動制御する。
【0044】
ガルバノスキャナ18は、レーザ光の照射点を2次元で走査する。具体的には、ガルバノスキャナ18は、一対のガルバノミラーおよび収束レンズを備える。一方のガルバノミラーは、X方向に角度を変移させることができ、他方のガルバノミラーは、Y方向に角度を変移させることができる。これらのガルバノミラーによって変移したレーザ光は収束レンズによって、ワーク20の表面に集光される。
【0045】
(Gain補償・位相進み補償部46)
図4は、図1のGain補償・位相進み補償部46の構成を表わす図である。
【0046】
図4を参照して、このGain補償・位相進み補償部46は、X座標変換部52と、Y座標変換部54とを含む。
【0047】
X座標変換部52は、定数乗算部60,62,64,66,68と、遅延部70,72と、加算部56,58とを備える。
【0048】
定数乗算部64は、wx(n)を受けて、ax×wx(n)を出力する。
遅延部70は、wx(n)を受けて、wx(n−1)を出力する。
【0049】
定数乗算部60は、wx(n−1)を受けて、dx×wx(n−1)を出力する。
定数乗算部66は、wx(n−1)を受けて、bx×wx(n−1)を出力する。
【0050】
遅延部72は、wx(n−1)を受けて、wx(n−2)を出力する。
定数乗算部62は、wx(n−2)を受けて、ex×wx(n−2)を出力する。
【0051】
定数乗算部68は、wx(n−2)を受けて、cx×wx(n−2)を出力する。
加算部56は、x(n)と、dx×wx(n−1)と、ex×wx(n−2)とを加算して、w(n)(=x(n)+dx×wx(n−1)+ex×wx(n−2))を出力する。
【0052】
加算部58は、ax×wx(n)と、bx×wx(n−1)と、cx×wx(n−2)とを加算して、Nx(n)(=ax×wx(n)+bx×wx(n−1)+cx×wx(n−2))を出力する。
【0053】
ここで、加算部58が出力するax×w(n)+bx×w(n−1)+cx×w(n−2)は、ax×x(n)+bx×x(n−1)+cx×x(n−2)+dx×Nx(n−1)+ex×Nx(n−2)である。
【0054】
Y座標変換部54は、定数乗算部80,82,84,86,88と、遅延部90,92と、加算部76,78とを備える。
【0055】
定数乗算部84は、wy(n)を受けて、ay×wy(n)を出力する。
遅延部90は、wy(n)を受けて、wy(n−1)を出力する。
【0056】
定数乗算部80は、wy(n−1)を受けて、dy×wy(n−1)を出力する。
定数乗算部86は、wy(n−1)を受けて、by×wy(n−1)を出力する。
【0057】
遅延部92は、wy(n−1)を受けて、wy(n−2)を出力する。
定数乗算部82は、wy(n−2)を受けて、ey×wy(n−2)を出力する。
【0058】
定数乗算部88は、wy(n−1)を受けて、cy×wy(n−2)を出力する。
加算部76は、y(n)と、dy×wy(n−1)と、ey×wy(n−2)とを加算して、wy(n)(=y(n)+dy×wy(n−1)+ey×wy(n−2))を出力する。
【0059】
加算部78は、ay×wy(n)と、by×wy(n−1)と、cy×wy(n−2)とを加算して、Ny(n)(=ay×wy(n)+by×wy(n−1)+cy×wy(n−2))を出力する。
【0060】
ここで、加算部78が出力するay×wy(n)+by×wy(n−1)+cy×wy(n−2)は、ay×y(n)+by×y(n−1)+cy×y(n−2)+dy×Ny(n−1)+ey×Ny(n−2)である。
【0061】
(動作)
図5は、本発明の実施形態のレーザマーキング装置の動作手順を表わすフローチャートである。
【0062】
図5を参照して、入力装置10は、印字すべき文字を出力する。第1制御基板8の設定部24は、入力された文字の印字速度を設定する(ステップS101)。
【0063】
次に、第1制御基板8の線分データ分割部26は、入力された文字をフォントデータを参照して、入力された文字を複数の線分に分割して、分割した線分についてコマンドNO.、コマンド、印字の有無(レーザ光のオン/オフ)、線分の始点の座標、走査速度からなる線分データを生成して、線分データメモリ30に書込む(ステップS102)。
【0064】
次に、第2制御基板6のCPU32は、印字開始トリガがあると(ステップS103でYES)、線分データメモリ30内の線分データをメモリ34に取込む(ステップS104)。
【0065】
次に、座標計算部38は、1つの線分データを先読みする(ステップS105)。
次に、座標計算部38は、先読みした線分データに基づいて、第n時点の座標{x′(n)、y′(n)}(n=1〜N)を生成する(ステップS106)。
【0066】
次に、ガルバノ補正部44は、座標{x′(n)、y′(n)}に対してガルバノ取付け誤差を補正して、補正された座標{x(n)、y(n)}を生成する(ステップS108)。
【0067】
次に、Gain補償・位相進み補償部46は、座標{x(n)、y(n)}から、式(5)および(6)に従って、補償後の座標{Nx(n)、Ny(n)}(n=1〜N)を算出する(ステップS109)。
【0068】
DAC48は、補償後の座標{Nx(n)、Ny(n)}(n=1〜N)をアナログ電圧に変換して、ガルバノドライバ14へ出力する。ガルバノドライバ14は、変換されたアナログ電圧に基づいてガルバノスキャナ18を駆動制御する(ステップS110)。
【0069】
ステップS105〜S111の処理と平行して、レーザ駆動信号生成部40は、先読みした線分データに含まれる印字の有無を表わす識別子に基づいて、レーザ光をオンまたはオフさせるレーザ駆動信号を出力する(ステップS107)。
【0070】
メモリ34にまだ読み出されていない線分データがある場合には(ステップS111でYES)、ステップS105に戻って処理が繰り返される。
【0071】
(実験結果)
図6は、本実施の形態におけるGain補償・位相進み補償を施さない場合の周波数特性と、Gain補償・位相進み補償を施した場合の周波数特性を表わす図である。
【0072】
図6に示すように、Gain補償・位相進み補償を行なわないと、周波数(座標系列の時間間隔Tの逆数)が高くなると、利得が減少する。Gain補償・位相進み補償を行なうことによって、周波数が高くなっても、周波数が低いときと同様の利得が得られる。
【0073】
図7は、入力文字と、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を施さない場合の印字結果と、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を施した場合の印字結果との比較を表わす図である。
【0074】
図7に示すように、Gain補償・位相進み補償を行なうことによって、特に、角張った部分において、入力文字により類似した文字を印字することができる。
【0075】
図8は、走査速度およびGain補償・位相進み補償の有/無を変えた場合の印字結果を説明するための図である。
【0076】
図8(a)は、ガルバノスキャナ18の走査速度が4000mm/sであり、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を施したときの印字結果を表わす図である。
【0077】
図8(b)は、ガルバノスキャナ18の走査速度が4000mm/sであり、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を施さないときの印字結果を表わす図である。
【0078】
図8(c)は、ガルバノスキャナ18の走査速度が3000mm/sであり、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を施さないときの印字結果を表わす図である。
【0079】
図8(d)は、ガルバノスキャナ18の走査速度が2000mm/sであり、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を施さないときの印字結果を表わす図である。
【0080】
図8(e)は、ガルバノスキャナ18の走査速度が1000mm/sであり、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を施さないときの印字結果を表わす図である。
【0081】
図8(a)と図8(d)の印字結果は、ほぼ同等である。つまり、ガルバノスキャナ18の走査速度が4000m/sで、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を施した場合と、走査速度が2000m/sで本実施の形態のGain補償・位相進み補償を行なわない場合とで、ほぼ同等の印字結果が得られる。したがって、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を施すことによって、精度を損なうことなく、高速に印字することができる。
【0082】
図9は、座標系列の利得の周波数特性を表わす図である。
図10は、座標系列の位相の周波数特性を表わす図である。
【0083】
図9および図10において、(1)の曲線は本実施の形態のGain補償・位相進み補償を行なわない場合の特性を表わし、(2)の曲線は補正関数(1段)を表わし、(3)の曲線は補正関数(2段)を表わし、(4)の曲線は擬似伝達関数を表わし、(5)の曲線は本実施の形態のGain補償・位相進み補償を行なった場合の特性を表わす。
【0084】
(5)の曲線は、(1)の曲線に比べて、利得が減衰しはじめる周波数が高周波数側にずれている。
【0085】
(5)の曲線で示されるように、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を行なった場合には、共振周波数fr(ガルバノスキャナでは一般に15kHz付近)の手前で、座標系列の利得は、−20dBよりも小さくなるように急激に低下する。
【0086】
また、(5)の曲線で示されるように、もとのゲイン特性の減衰極(10kHz付近の落ち込み箇所)を変更せずに、ゲインが補償されている。この減衰極は、フィルタ特性として急激に落とす要素を加えることで、持ち上げたゲイン特性の高周波側の増加を抑える効果がある。
【0087】
図11は、「□」を印字する際の1軸の制御信号入力と応答波形(オシロ波形)を表わす図である。
【0088】
図11には、4種類の走査速度について、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を行なわない場合と、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を行なった場合の制御信号入力と応答波形(8セット)が表わされている。各セットにおいて、上側の波形が制御信号入力であり、下側の波形が応答波形である。
【0089】
ここで、「制御信号入力」とは、ガルバノドライバ14へ入力される信号を表わし、「応答波形」は、ガルバノドライバ14から出力される信号を表わす。
【0090】
図11に示すように、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を行なった場合には、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を行なわない場合と比べて、制御信号入力波形の囲みで示した部分が相違する。
【0091】
その結果、本実施の形態のGain補償・位相進み補償を行なった場合に、走査速度が1000mm/sと2000mm/sのときに、応答波形においてコーナー部分に膨らみが確認される。
【0092】
以上のように、本発明の実施の形態によれば、座標系列の位相およびゲインを調整することによって、メモリの容量および印字処理時間を増加させることなく、高精度に印字することができる。
【0093】
(変形例)
本発明は、上記の実施形態の限定されるものではなく、たとえば以下のような変形例も含む。
【0094】
(1) Gain補償・位相進み補償の対象データ
本発明の実施の形態では、線分データから生成された座標系列に対して、ガルバノ取付け誤差を補正した後に、Gain補償・位相進み補償を実行したが、これに限定するものではない。ガルバノ取付け誤差を補正せずに、線分データから生成された座標系列に対して直接Gain補償・位相進み補償を実行することとしてもよい。
【0095】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0096】
2 レーザマーキング装置、4 光学装置、6 第2制御基板、8 第1制御基板、10 入力装置、12 レーザ制御基板、14 ガルバノドライバ、16 レーザ光源、18 ガルバノスキャナ、20 ワーク、22,32 CPU、24 設定部、26 線分データ分割部、28 フォントデータメモリ、30 線分データメモリ、34 メモリ、36 印字制御部、38 座標計算部、40 レーザ駆動信号生成部、42 タイミングトリガ部、44 ガルバノ補正部、46 Gain補償・位相進み補償部、48 DAC、52 X座標変換部、54 Y座標変換部、56,58,76,78 加算部、70,72,90,92 遅延部、60,62,64,66,68,80,82,84,86,88 定数乗算部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光の照射点を走査するガルバノスキャナと、
前記レーザ光が辿る軌跡を表わす、一定の時間間隔の座標系列を生成する座標生成部と、
所定の特性を有する伝達関数に従って、前記座標系列のゲイン補償および位相進み補償を行なう補償部と、
前記補償された座標系列の各データをアナログ電圧に変換するDA変換部と、
前記アナログ電圧に従って、前記ガルバノスキャナを駆動制御するドライバ部とを備えた、レーザマーキング装置。
【請求項2】
前記座標系列のゲイン補償および位相進み補償を行なわれた後の前記座標系列のゲインは、共振周波数の手前で−20dBよりも小さくなるように急激に低下するような周波数特性を示す、請求項1記載のレーザマーキング装置。
【請求項3】
前記補償部は、もとのゲイン特性の減衰極を変更せずにゲイン補償する、請求項1記載のレーザマーキング装置。
【請求項4】
前記補償部は、n時点の元の座標を{x(n)、y(n)}としたときに、次式に従って、補償後のn時点の座標{Nx(n)、Ny(n)}を算出する、
Nx(n)=ax×x(n)+bx×x(n−1)+cx×x(n−2)+dx×Nx(n−1)+ex×Nx(n−2)・・・(A1)
Ny(n)=ay×y(n)+by×y(n−1)+cy×y(n−2)+dy×Ny(n−1)+ey×Ny(n−2)・・・(A2)
ただし、ax、bx、cx、dx、ex、ay、by、cy、dy、およびeyは定数である、請求項1記載のレーザマーキング装置。
【請求項5】
レーザ光源が、レーザ光を出射するステップと、
ガルバノスキャナが、前記レーザ光の照射点を走査するステップと、
制御部が、前記レーザ光が辿る軌跡を表わす、一定の時間間隔の座標系列を生成するステップと、
前記制御部が、所定の特性を有する伝達関数に従って、前記座標系列のゲイン補償および位相進み補償を行なうステップと、
DA変換部が、前記補償された座標系列の各データをアナログ電圧に変換するステップと、
ドライバが、前記アナログ電圧に従って、前記ガルバノスキャナを駆動制御するステップとを備えた、レーザマーキング方法。
【請求項6】
前記座標系列のゲイン補償および位相進み補償を行なわれた後の前記座標系列のゲインは、共振周波数の手前で−20dBよりも小さくなるように急激に低下するような周波数特性を示す、請求項5記載のレーザマーキング方法。
【請求項7】
前記座標系列のゲイン補償および位相進み補償を行なうステップは、もとのゲイン特性の減衰極を変更せずにゲイン補償するステップを含む、請求項5記載のレーザマーキング方法。
【請求項8】
前記座標系列のゲイン補償および位相進み補償を行なうステップは、n時点の元の座標を{x(n)、y(n)}としたときに、次式に従って、補償後のn時点の座標{Nx(n)、Ny(n)}を算出するステップを含む、
Nx(n)=ax×x(n)+bx×x(n−1)+cx×x(n−2)+dx×Nx(n−1)+ex×Nx(n−2)・・・(A1)
Ny(n)=ay×y(n)+by×y(n−1)+cy×y(n−2)+dy×Ny(n−1)+ey×Ny(n−2)・・・(A2)
ただし、ax、bx、cx、dx、ex、ay、by、cy、dy、およびeyは定数である、請求項5記載のレーザマーキング方法。
【請求項1】
レーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光の照射点を走査するガルバノスキャナと、
前記レーザ光が辿る軌跡を表わす、一定の時間間隔の座標系列を生成する座標生成部と、
所定の特性を有する伝達関数に従って、前記座標系列のゲイン補償および位相進み補償を行なう補償部と、
前記補償された座標系列の各データをアナログ電圧に変換するDA変換部と、
前記アナログ電圧に従って、前記ガルバノスキャナを駆動制御するドライバ部とを備えた、レーザマーキング装置。
【請求項2】
前記座標系列のゲイン補償および位相進み補償を行なわれた後の前記座標系列のゲインは、共振周波数の手前で−20dBよりも小さくなるように急激に低下するような周波数特性を示す、請求項1記載のレーザマーキング装置。
【請求項3】
前記補償部は、もとのゲイン特性の減衰極を変更せずにゲイン補償する、請求項1記載のレーザマーキング装置。
【請求項4】
前記補償部は、n時点の元の座標を{x(n)、y(n)}としたときに、次式に従って、補償後のn時点の座標{Nx(n)、Ny(n)}を算出する、
Nx(n)=ax×x(n)+bx×x(n−1)+cx×x(n−2)+dx×Nx(n−1)+ex×Nx(n−2)・・・(A1)
Ny(n)=ay×y(n)+by×y(n−1)+cy×y(n−2)+dy×Ny(n−1)+ey×Ny(n−2)・・・(A2)
ただし、ax、bx、cx、dx、ex、ay、by、cy、dy、およびeyは定数である、請求項1記載のレーザマーキング装置。
【請求項5】
レーザ光源が、レーザ光を出射するステップと、
ガルバノスキャナが、前記レーザ光の照射点を走査するステップと、
制御部が、前記レーザ光が辿る軌跡を表わす、一定の時間間隔の座標系列を生成するステップと、
前記制御部が、所定の特性を有する伝達関数に従って、前記座標系列のゲイン補償および位相進み補償を行なうステップと、
DA変換部が、前記補償された座標系列の各データをアナログ電圧に変換するステップと、
ドライバが、前記アナログ電圧に従って、前記ガルバノスキャナを駆動制御するステップとを備えた、レーザマーキング方法。
【請求項6】
前記座標系列のゲイン補償および位相進み補償を行なわれた後の前記座標系列のゲインは、共振周波数の手前で−20dBよりも小さくなるように急激に低下するような周波数特性を示す、請求項5記載のレーザマーキング方法。
【請求項7】
前記座標系列のゲイン補償および位相進み補償を行なうステップは、もとのゲイン特性の減衰極を変更せずにゲイン補償するステップを含む、請求項5記載のレーザマーキング方法。
【請求項8】
前記座標系列のゲイン補償および位相進み補償を行なうステップは、n時点の元の座標を{x(n)、y(n)}としたときに、次式に従って、補償後のn時点の座標{Nx(n)、Ny(n)}を算出するステップを含む、
Nx(n)=ax×x(n)+bx×x(n−1)+cx×x(n−2)+dx×Nx(n−1)+ex×Nx(n−2)・・・(A1)
Ny(n)=ay×y(n)+by×y(n−1)+cy×y(n−2)+dy×Ny(n−1)+ey×Ny(n−2)・・・(A2)
ただし、ax、bx、cx、dx、ex、ay、by、cy、dy、およびeyは定数である、請求項5記載のレーザマーキング方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−189359(P2011−189359A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56166(P2010−56166)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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