レーザモジュール
【課題】パッケージの反りによる光学部品間の角度変動が抑制されたレーザモジュールを提供する。
【解決手段】レーザ光を出力するレーザモジュールであって、光学部品と、光学部品を格納するパッケージと、パッケージの内壁に設置されるベース部と、ベース部の表面に設置され、光学部品を載置する載置部と、ガラス転移温度がレーザモジュールの使用温度の下限値より低く、ベース部および載置部を接着する接着部とを備えるレーザモジュール。
【解決手段】レーザ光を出力するレーザモジュールであって、光学部品と、光学部品を格納するパッケージと、パッケージの内壁に設置されるベース部と、ベース部の表面に設置され、光学部品を載置する載置部と、ガラス転移温度がレーザモジュールの使用温度の下限値より低く、ベース部および載置部を接着する接着部とを備えるレーザモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パッケージの内部に半導体レーザ素子などの光学部品を支持する光学ベンチを設け、当該光学ベンチをパッケージ内部に配置された温度制御素子等の表面に固定し、光ファイバをパッケージの側面から挿入してパッケージを気密封止したレーザモジュールが知られている。ここで、光学ベンチと温度制御素子とが半田によって接合されるもの、および、樹脂により接合されるものがある(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1 特開平8−204256号公報
特許文献2 特開2004−317841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
パッケージの外部の環境温度が変化すると、パッケージに反りが生じる。すると、パッケージの反りに応じて光学ベンチも反る。そのため、光学部品の角度が光軸からずれて、レーザモジュールの光学特性が変動してしまう。その結果、広範囲な温度範囲でのレーザモジュールの信頼性が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、レーザ光を出力するレーザモジュールであって、光学部品と、光学部品を格納するパッケージと、パッケージの内壁に設置されるベース部と、ベース部の表面に設置され、光学部品を載置する載置部と、ガラス転移温度がレーザモジュールの使用温度の下限値より低く、ベース部および載置部を接着する接着部とを備えるレーザモジュールが提供される。
【0005】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1実施形態にかかるレーザモジュールの断面図である。
【図2】図1に示すレーザモジュールの光学系を単純化した模式図である。
【図3】図2に示す光学系における角度変動と出力変動の関係を示すグラフである。
【図4】図1に示す接着部に使用する接着材のヤング率と、−20℃から80℃の使用温度範囲における角度変動との関係を示すグラフである。
【図5】第2実施形態にかかるレーザモジュールの断面図である。
【図6】第3実施形態にかかるレーザモジュールの断面図である。
【図7】第4実施形態にかかるレーザモジュールの断面図である。
【図8】第5実施形態にかかるレーザモジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
図1は、本発明の第1実施形態にかかるレーザモジュール100の断面図を示す。レーザ光を出力するレーザモジュール100は、光学部品10と、光学部品10を格納するパッケージ20と、パッケージ20の内壁に設置されるベース部30と、ベース部30の表面に設置され、光学部品10を載置する載置部40と、ベース部30および載置部40を接着する接着部50と、一方の先端62がパッケージ20の内側に配置された光ファイバ60と、光ファイバ60を挿通させパッケージ20内部に誘導する導入部70とを備える。
【0009】
導入部70は、長さ方向の中心軸に沿って導入孔72が貫通する略円筒形の形状を有する。導入部70は、パッケージ20の側板24を貫通して設けられる。導入孔72は光ファイバ60をパッケージ20の外側からパッケージ20の内側に挿通する。導入孔72の、パッケージ20の内側に設けられた開口は、ガラスまたは半田等の封止部74で封止される。
【0010】
パッケージ20には、複数の光学部品10が格納される。本例のレーザモジュール100は、複数の光学部品10として、レーザ素子10−1、コリメートレンズ10−2および集光レンズ10−3を有する。レーザモジュール100は、光学部品10として、他に、アイソレータ、モニター用半導体受光素子、ビームスプリッタ、エタロン等を有してよい。
【0011】
レーザ素子10−1は、半導体レーザ素子であってよい。レーザ素子10−1は、ポンピング光を出射する励起用半導体レーザ素子ではなく、信号出力用の半導体レーザ素子であってよい。
【0012】
集光レンズ10−3は、パッケージ20の外部に固定されてもよい。その場合、光ファイバ60の先端62は、パッケージ20の外部であって集光レンズ10−3の後方に配置される。
【0013】
本例のパッケージ20は、底板22、側板24及び天板26から構成される略直方体の箱型形状を有する。底板22及び側板24は、一体成形により形成されてよい。底板22、側板24及び天板26は、ガラス材により形成されてよい。また、底板22、側板24及び天板26は、ガラス材と熱膨張率が近いコバール材により形成されてもよい。コバール材の熱膨張率は、例えば、7×10−7/Kである。
【0014】
ベース部30は、底板22に半田等により固定される。ここで、半田は、例えば、AuSn、SnPb、SnAgCu、In等であり、ヤング率は数十GPa程度である。ベース部30は、光学部品10と、光ファイバ60との垂直方向の高さを合わせるための厚さを有する板状の土台であってよい。
【0015】
ベース部30は、半導体、セラミックス、金属等から形成されてよい。ベース部30は、パッケージ20とは熱膨張率の異なる材料で形成されてよい。また、ベース部30は、光学部品10の温度を制御するための温度制御素子を有してもよい。温度制御素子は、ペルチェ素子等の熱電冷却素子(TEC)であってよい。
【0016】
載置部40は、ベース部30と略同一の面形状を有する板状部材であってよい。載置部40は、ベース部30より薄くてよい。載置部40は、表面上において光学部品10を載置する光学ベンチとして機能する。載置部40およびベース部30は、異なる線膨張係数を有してよい。載置部40は、例えば、AlN、Al2O3などのセラミック材、シリコンなどの半導体、銅タングステンのような金属により形成される。
【0017】
載置部40の表面には金メッキが施され、その上に半田により光学部品10が固定されてよい。載置部40の表面上において光学部品10が所定の位置に配置されることにより、レーザ素子10−1と光ファイバ60とが光学的に結合される。ここで、光学的に結合されるとは、載置部40の表面上に載置されたレーザ素子10−1の出射面から出射したレーザ光が、載置部40の表面上に載置された他の光学部品10を介して、光ファイバ60の先端62のコアに入射することをさす。
【0018】
接着部50は、ベース部30の表面と載置部40の裏面との間に設けられ、ベース部30と載置部40とを接着する。接着部50は、レーザモジュール100の使用温度範囲において、ヤング率が1GPa以下等の柔らかい樹脂接着材であってよい。接着部50のヤング率が低いことで、パッケージ20、ベース部30および載置部40の線膨張係数の違いによって生じる載置部40の反りを低減できる。このため、載置部40上の光学部品10の光軸のずれを低減することができる。
【0019】
また、接着部50における接着材は、ガラス転移温度がレーザモジュール100の使用温度の下限値より低い。接着部50は、熱硬化性弾性エポキシ接着材、熱硬化性弾性アクリル接着材、熱硬化性弾性ウレタン接着材のうち、少なくとも一つを含んでよい。
【0020】
ここで、レーザモジュール100の使用温度とは、レーザモジュール100の使用時における周囲温度範囲の製品仕様値であってよい。また、レーザモジュール100の使用温度とは、製品仕様値に対して数度程度のオフセットを設けた値であってもよい。例えば、レーザモジュール100の製品仕様値の下限値が−10℃の場合において、接着部50のガラス転移温度は−7℃であってよく、−5℃であってよい。オフセット温度があまり大きいと、製品仕様値の下限値付近の温度での角度変動が大きくなり光学特性に影響を与えるので好ましくない。
【0021】
また、レーザモジュール100の使用温度の下限値は、−5℃、−10℃または−20℃等の予め定められた値であってもよい。また、レーザモジュール100の使用温度の上限値は、70℃、75℃、80℃等の予め定められた値であってよい。
【0022】
接着部50のガラス転移温度がレーザモジュール100の使用温度の下限値より低いので、接着部50は、レーザモジュール100の使用時において、柔軟性を維持することができる。このため、レーザモジュール100の使用時において、光学部品10の光軸のずれを低減できる。
【0023】
パッケージ20の外気の環境温度が変化すると、各部品間の線膨張係数の差によってベース部30に反りが生じる。例えば、パッケージ20と、パッケージ20が固定される外部部品との線膨張係数の差によってパッケージ20に反りが生じる。パッケージ20の反りは、パッケージ20の底板22とベース部30との間の接合面に応力を生じさせる。ベース部30は底板22と半田により固着されているので、応力によりベース部30にも反りが生じる。また、パッケージ20およびベース部30の間の線膨張係数の差によってもベース部30に反りが生じる。
【0024】
ベース部30と載置部40とを半田により固着した場合、その接合面で発生する応力により、ベース部30の反りが載置部40にも伝播する。また、ベース部30および載置部40の間の線膨張係数の差によっても、載置部40に反りが生じうる。その結果、載置部40上に固定された光学部品10間の相対位置及び光軸に対する角度が変動し、レーザ出力変動などのレーザモジュール100の光学特性が変化してしまう。なお、載置部40のサイズは、光学部品10のサイズに比べ大きいので、光学部品10自体の反りよりも載置部40の反りの方がレーザモジュール100の光学特性に与える影響が大きい。
【0025】
ベース部30と載置部40とを、レーザモジュール100の使用温度範囲において柔軟性を維持する接着部50により接着することで、ベース部30と載置部40との間に生じる応力が緩和され、載置部40の反りが低減される。したがって、載置部40上に載置された光学部品10間の相対位置及び光軸に対する角度の変動を抑えることができるので、光ファイバ60からの出力変動などのレーザモジュール100の光学特性の変化を抑えることができる。また、光学部品10としてエタロンを使用した場合には透過するレーザ光のピーク波長の変動を低減することができる。結果として、レーザモジュール100の信頼性が向上する。
【0026】
また、パッケージ20、ベース部30、載置部40などの部品の材料を線膨張係数が近いもので構成する必要がなくなるので、部品の材料選択の幅が広がる。また、レーザ素子10−1が信号出力用の半導体レーザ素子の場合、発熱量が小さいので、樹脂接着材を用いても接着部50の劣化が小さい。
【0027】
接着部50の接着材のガラス転移温度は、接着材の材料を選択することにより調整することができる。接着材の材料が、アクリル系接着材である場合には、アルキル基の炭素数等でガラス転移温度を調整できる。例えば、アクリル酸エチル(アルキル基の炭素数2)のガラス転移温度は−20度程度であり、アクリル酸ブチル(アルキル基の炭素数4)のガラス転移温度は−55度程度であり、アクリル酸ジエチルヘキシル(アルキル基の炭素数8)のガラス転移温度は−70度程度である。
【0028】
同様に、接着材の材料がウレタン系接着材またはエポキシ系接着材である場合には、ウレタン基、エポキシ基の濃度等でガラス転移温度を調整できる。例えば、ウレタン基またはエポキシ基の濃度を小さくすれば、ガラス転移温度を下げることができる。このため、レーザモジュール100の使用温度の下限値よりもガラス転移温度が低い接着部50を形成することができる。
【0029】
また、ベース部30が温度制御素子を有する場合には、接着部50の熱伝導率は、1W/K・m以上であるのが好ましい。熱伝導率の大きい接着材を用いることで、載置部40に載置された光学部品10の温度を正確かつ迅速に制御することができる。また、接着部50の熱硬化温度は、レーザモジュールの使用温度の上限値より大きいことが好ましい。熱硬化温度がレーザモジュールの使用温度の上限値より低いと、接着部50が硬化後さらに高温となった場合、接着部50から有機ガスが発生する。発生した有機ガスはパッケージ20内に充満し、レーザモジュール100の信頼性に影響を与えるため好ましくない。
【0030】
図2は、レーザモジュール100の光学系を単純化して示す。光学系は、レーザ素子10−1、コリメートレンズ10−2、集光レンズ10−3及び光ファイバ60を含む。レーザ素子10−1は出射面から所定の波長のレーザ光を出射する。コリメートレンズ10−2は、出射されたレーザ光をコリメート光に変換する。集光レンズ10−3はコリメート光を光ファイバ60のコア部に集光する。光ファイバ60は、コア部を通じてレーザ素子10−1からの光信号を伝送する。
【0031】
図3は、図2に示す光学系において、レーザ素子10−1及びコリメートレンズ10−2の光軸が一緒に角度変動した場合の角度変動値と光ファイバ60からの出力変動値(dB)との関係を示すグラフである。他の光学部品10の光軸は変動しないものとする。
【0032】
つまり、図3における角度変動値は、図2に示したレーザ素子10−1およびコリメートレンズ10−2の光軸の角度変動値を示す。出力変動値とは、角度変動が0度の場合に対する、光ファイバ60からのレーザ出力値の変動を示す。なお、レーザ素子10−1のスポットサイズは2μm、コリメートレンズ10−2の焦点距離は1.5mm、集光レンズ10−3の焦点距離は3mmのものを使用した。
【0033】
一例として、レーザモジュールの出力変動は、信頼性の観点から使用温度の範囲で±0.3dB以下であることが要求される。したがって、本例では、光学系の角度変動を約0.015°以下に抑えることが好ましい。
【0034】
図4は、接着部50の接着材のヤング率と、レーザモジュール100の光学系の角度変動との関係を示すグラフである。図4における角度変動は、図3における角度変動と対応する。本例では、ベース部30を銅タングステンで形成し、載置部40をシリコンにより形成した。また、ベース部30及び載置部40の表面サイズを10mm平方とし、載置部40の厚さを1mm程度とした。また、レーザ素子10−1及びコリメートレンズ10−2を載置部40の端部に配置した。つまり、図4の角度変動は、載置部40の端部と、載置部40の中央部との角度差の変動を示す。
【0035】
図4の例では、パッケージ20の外部環境温度を−20℃から80℃まで変化させたときの各接着材のヤング率と角度変動との関係を調べた。グラフより、ヤング率が0から約1GPaまでは、角度変動が急激に増加する。また、ヤング率が約1GPa以上では、角度変動は徐々に増加するのがわかる。本例において、角度変動を約0.015°以下とするためには、ヤング率が約1GPa以下の接着材を接着部50に使用するのが好ましい。また、接着材のヤング率は、2GPa以下であってもよい。
【0036】
また、ベース部30と載置部40とを、ヤング率が数十GPa程度のIn半田により接合した場合、角度変動は0.028°となった。尚、ヤング率と角度変動との関係は、ベース部30及び載置部40の線膨張係数、ベース部30及び載置部40の大きさ及び形状、使用温度範囲等によって異なる。したがって、接着部50の接着材は、ヤング率が1GPa以下のものに限定されない。つまり、接着部50の接着材は、レーザモジュールの使用温度範囲内において、角度変動が約0.015°以下となるようなヤング率を有する程度に柔軟であればよい。
【0037】
図5は、第2実施形態にかかるレーザモジュール200の断面を示す。第1実施形態と機能が同一の部材には同一の符号を付し説明を省略する。レーザモジュール200は、載置部40および接着部50を複数備える点で第1実施形態と異なる。本例のレーザモジュール200は、2つの載置部40−1および40−2を有する。また、本例のレーザモジュール200は、2つの接着部50−1および50−2を有する。
【0038】
それぞれの載置部40は、共通のベース部30に、対応する接着部50により接着される。それぞれの載置部40には、光学部品10が固定される。本例の載置部40−1上には、レーザ素子10−1が固定され、載置部40−2上にはコリメートレンズ10−2、集光レンズ10−3が固定される。
【0039】
本例のレーザモジュール200によっても、ベース部30と、それぞれの載置部40とを柔軟な接着部50により接着することで、載置部40の反りが防止される。したがって、それぞれの載置部40上に載置された光学部品10の相対位置及び角度変動を抑えることができる。
【0040】
尚、それぞれの接着部50のヤング率は同じであってよく、異なっていてもよい。また、それぞれの接着部50の厚さは同じであってよく、異なっていてもよい。例えば、それぞれの接着部50は、対応する載置部40の、線膨張係数、面積、厚さ等に応じたヤング率および厚さを有する。また、ベース部30は、載置部40ごとに設けられてもよい。つまり、レーザモジュール200は、図1に示した載置部40、接着部50およびベース部30の組み合わせを複数有してよい。
【0041】
図6は、第3実施形態にかかるレーザモジュール300の断面を示す。レーザモジュール300は、レーザモジュール100またはレーザモジュール200に対して、載置部40、接着部50およびベース部30の組み合わせを複数備える点、及び、それぞれのベース部30が共通に固定される共通板80を更に備える点で異なる。他の構成は、レーザモジュール100またはレーザモジュール200と同一であってよい。
【0042】
本例では、組み合わせが2個の場合を説明するが、組み合わせの数は2個に限定されない。共通板80は、それぞれのベース部30およびパッケージ20の間に、それぞれのベース部30に対して共通に設けられる。ここで、共通に設けられるとは、一枚の共通板80上に複数のベース部30が設置されることをさす。
【0043】
共通板80は、略正方形の薄い板状の部材であり、ベース部30と線膨張係数が等しいか、または、近い材料により形成されている。共通板80とパッケージ20の底板22の内側面とは半田または樹脂接着材により固定されてよい。本例の共通板80上には、所定の距離だけ離隔されて、2つのベース部30が設置されている。それぞれのベース部30の表面積は等しくてもよいし、異なってもよい。それぞれのベース部30と共通板80とは、半田により固定されてよい。それぞれのベース部30の厚さは、互いに異なってよい。
【0044】
このような構成により、それぞれのベース部30が、パッケージ20と直接接続されないので、ベース部30に独立に応力が生じることを防ぐことができる。つまり、ベース部30と線膨張係数が略等しい共通板80を設けることで、パッケージ20との接合面で生じる応力を、共通板80で受けることができ、それぞれのベース部30に、同様の応力を生じさせることができる。
【0045】
図7は、第4実施形態にかかるレーザモジュール400の断面を示す。レーザモジュール400は、レーザモジュール100、200または300に対して、レーザ素子10−1および載置部40−1に替えて、光導波路10−4、導入部82および光ファイバ84を備える点で異なる。他の構成は、レーザモジュール100、200または300のいずれかと同一であってよい。
【0046】
光導波路10−4は、接着部50を介してベース部30に固定される。光導波路10−4には、光ファイバ84を介して外部からレーザ光が導入され、コリメータレンズ10−2等の光学部品10にレーザ光を出力する。光導波路10−4は、コア部をシリコンにより形成したシリコン光導波路であってよい。また、光導波路10−4は、シリコン基板上にSiO2のアンダークラッドと、SiO2−GeO2の導波路コアと、SiO2からなるオーバークラッドを順に堆積して形成したPLC光導波路であってもよい。本例では、光導波路10−4における基板が、載置部40−1に対応する。
【0047】
光ファイバ84は、導入部82の導入孔86を通じてパッケージ20を貫通して設けられる。導入孔86のパッケージ20の内部における開口は、ガラスまたは半田等の封止部88で封止させる。
【0048】
図8は、第5実施形態にかかるレーザモジュール500の断面を示す。レーザモジュール500は、レーザモジュール400に対して、光ファイバ60および導入部70に替えて、受光素子10−5を備える点で異なる。他の構成は、レーザモジュール400と同一であってよい。受光素子10−5は、載置部40−2に固定され、集光レンズ10−3からのレーザ光を受光する。受光素子10−5は、フォトダイオードであってよい。
【0049】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0050】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0051】
10・・・光学部品、20・・・パッケージ、22・・・底板、24・・・側板、26・・・天板、30・・・ベース部、40・・・載置部、50・・・接着部、60・・・光ファイバ、62・・・先端、70・・・導入部、72・・・導入孔、74・・・封止部、80・・・共通板、82・・・導入部、84・・・光ファイバ、86・・・導入孔、88・・・封止部、100、200、300、400、500・・・レーザモジュール
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パッケージの内部に半導体レーザ素子などの光学部品を支持する光学ベンチを設け、当該光学ベンチをパッケージ内部に配置された温度制御素子等の表面に固定し、光ファイバをパッケージの側面から挿入してパッケージを気密封止したレーザモジュールが知られている。ここで、光学ベンチと温度制御素子とが半田によって接合されるもの、および、樹脂により接合されるものがある(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1 特開平8−204256号公報
特許文献2 特開2004−317841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
パッケージの外部の環境温度が変化すると、パッケージに反りが生じる。すると、パッケージの反りに応じて光学ベンチも反る。そのため、光学部品の角度が光軸からずれて、レーザモジュールの光学特性が変動してしまう。その結果、広範囲な温度範囲でのレーザモジュールの信頼性が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、レーザ光を出力するレーザモジュールであって、光学部品と、光学部品を格納するパッケージと、パッケージの内壁に設置されるベース部と、ベース部の表面に設置され、光学部品を載置する載置部と、ガラス転移温度がレーザモジュールの使用温度の下限値より低く、ベース部および載置部を接着する接着部とを備えるレーザモジュールが提供される。
【0005】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1実施形態にかかるレーザモジュールの断面図である。
【図2】図1に示すレーザモジュールの光学系を単純化した模式図である。
【図3】図2に示す光学系における角度変動と出力変動の関係を示すグラフである。
【図4】図1に示す接着部に使用する接着材のヤング率と、−20℃から80℃の使用温度範囲における角度変動との関係を示すグラフである。
【図5】第2実施形態にかかるレーザモジュールの断面図である。
【図6】第3実施形態にかかるレーザモジュールの断面図である。
【図7】第4実施形態にかかるレーザモジュールの断面図である。
【図8】第5実施形態にかかるレーザモジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
図1は、本発明の第1実施形態にかかるレーザモジュール100の断面図を示す。レーザ光を出力するレーザモジュール100は、光学部品10と、光学部品10を格納するパッケージ20と、パッケージ20の内壁に設置されるベース部30と、ベース部30の表面に設置され、光学部品10を載置する載置部40と、ベース部30および載置部40を接着する接着部50と、一方の先端62がパッケージ20の内側に配置された光ファイバ60と、光ファイバ60を挿通させパッケージ20内部に誘導する導入部70とを備える。
【0009】
導入部70は、長さ方向の中心軸に沿って導入孔72が貫通する略円筒形の形状を有する。導入部70は、パッケージ20の側板24を貫通して設けられる。導入孔72は光ファイバ60をパッケージ20の外側からパッケージ20の内側に挿通する。導入孔72の、パッケージ20の内側に設けられた開口は、ガラスまたは半田等の封止部74で封止される。
【0010】
パッケージ20には、複数の光学部品10が格納される。本例のレーザモジュール100は、複数の光学部品10として、レーザ素子10−1、コリメートレンズ10−2および集光レンズ10−3を有する。レーザモジュール100は、光学部品10として、他に、アイソレータ、モニター用半導体受光素子、ビームスプリッタ、エタロン等を有してよい。
【0011】
レーザ素子10−1は、半導体レーザ素子であってよい。レーザ素子10−1は、ポンピング光を出射する励起用半導体レーザ素子ではなく、信号出力用の半導体レーザ素子であってよい。
【0012】
集光レンズ10−3は、パッケージ20の外部に固定されてもよい。その場合、光ファイバ60の先端62は、パッケージ20の外部であって集光レンズ10−3の後方に配置される。
【0013】
本例のパッケージ20は、底板22、側板24及び天板26から構成される略直方体の箱型形状を有する。底板22及び側板24は、一体成形により形成されてよい。底板22、側板24及び天板26は、ガラス材により形成されてよい。また、底板22、側板24及び天板26は、ガラス材と熱膨張率が近いコバール材により形成されてもよい。コバール材の熱膨張率は、例えば、7×10−7/Kである。
【0014】
ベース部30は、底板22に半田等により固定される。ここで、半田は、例えば、AuSn、SnPb、SnAgCu、In等であり、ヤング率は数十GPa程度である。ベース部30は、光学部品10と、光ファイバ60との垂直方向の高さを合わせるための厚さを有する板状の土台であってよい。
【0015】
ベース部30は、半導体、セラミックス、金属等から形成されてよい。ベース部30は、パッケージ20とは熱膨張率の異なる材料で形成されてよい。また、ベース部30は、光学部品10の温度を制御するための温度制御素子を有してもよい。温度制御素子は、ペルチェ素子等の熱電冷却素子(TEC)であってよい。
【0016】
載置部40は、ベース部30と略同一の面形状を有する板状部材であってよい。載置部40は、ベース部30より薄くてよい。載置部40は、表面上において光学部品10を載置する光学ベンチとして機能する。載置部40およびベース部30は、異なる線膨張係数を有してよい。載置部40は、例えば、AlN、Al2O3などのセラミック材、シリコンなどの半導体、銅タングステンのような金属により形成される。
【0017】
載置部40の表面には金メッキが施され、その上に半田により光学部品10が固定されてよい。載置部40の表面上において光学部品10が所定の位置に配置されることにより、レーザ素子10−1と光ファイバ60とが光学的に結合される。ここで、光学的に結合されるとは、載置部40の表面上に載置されたレーザ素子10−1の出射面から出射したレーザ光が、載置部40の表面上に載置された他の光学部品10を介して、光ファイバ60の先端62のコアに入射することをさす。
【0018】
接着部50は、ベース部30の表面と載置部40の裏面との間に設けられ、ベース部30と載置部40とを接着する。接着部50は、レーザモジュール100の使用温度範囲において、ヤング率が1GPa以下等の柔らかい樹脂接着材であってよい。接着部50のヤング率が低いことで、パッケージ20、ベース部30および載置部40の線膨張係数の違いによって生じる載置部40の反りを低減できる。このため、載置部40上の光学部品10の光軸のずれを低減することができる。
【0019】
また、接着部50における接着材は、ガラス転移温度がレーザモジュール100の使用温度の下限値より低い。接着部50は、熱硬化性弾性エポキシ接着材、熱硬化性弾性アクリル接着材、熱硬化性弾性ウレタン接着材のうち、少なくとも一つを含んでよい。
【0020】
ここで、レーザモジュール100の使用温度とは、レーザモジュール100の使用時における周囲温度範囲の製品仕様値であってよい。また、レーザモジュール100の使用温度とは、製品仕様値に対して数度程度のオフセットを設けた値であってもよい。例えば、レーザモジュール100の製品仕様値の下限値が−10℃の場合において、接着部50のガラス転移温度は−7℃であってよく、−5℃であってよい。オフセット温度があまり大きいと、製品仕様値の下限値付近の温度での角度変動が大きくなり光学特性に影響を与えるので好ましくない。
【0021】
また、レーザモジュール100の使用温度の下限値は、−5℃、−10℃または−20℃等の予め定められた値であってもよい。また、レーザモジュール100の使用温度の上限値は、70℃、75℃、80℃等の予め定められた値であってよい。
【0022】
接着部50のガラス転移温度がレーザモジュール100の使用温度の下限値より低いので、接着部50は、レーザモジュール100の使用時において、柔軟性を維持することができる。このため、レーザモジュール100の使用時において、光学部品10の光軸のずれを低減できる。
【0023】
パッケージ20の外気の環境温度が変化すると、各部品間の線膨張係数の差によってベース部30に反りが生じる。例えば、パッケージ20と、パッケージ20が固定される外部部品との線膨張係数の差によってパッケージ20に反りが生じる。パッケージ20の反りは、パッケージ20の底板22とベース部30との間の接合面に応力を生じさせる。ベース部30は底板22と半田により固着されているので、応力によりベース部30にも反りが生じる。また、パッケージ20およびベース部30の間の線膨張係数の差によってもベース部30に反りが生じる。
【0024】
ベース部30と載置部40とを半田により固着した場合、その接合面で発生する応力により、ベース部30の反りが載置部40にも伝播する。また、ベース部30および載置部40の間の線膨張係数の差によっても、載置部40に反りが生じうる。その結果、載置部40上に固定された光学部品10間の相対位置及び光軸に対する角度が変動し、レーザ出力変動などのレーザモジュール100の光学特性が変化してしまう。なお、載置部40のサイズは、光学部品10のサイズに比べ大きいので、光学部品10自体の反りよりも載置部40の反りの方がレーザモジュール100の光学特性に与える影響が大きい。
【0025】
ベース部30と載置部40とを、レーザモジュール100の使用温度範囲において柔軟性を維持する接着部50により接着することで、ベース部30と載置部40との間に生じる応力が緩和され、載置部40の反りが低減される。したがって、載置部40上に載置された光学部品10間の相対位置及び光軸に対する角度の変動を抑えることができるので、光ファイバ60からの出力変動などのレーザモジュール100の光学特性の変化を抑えることができる。また、光学部品10としてエタロンを使用した場合には透過するレーザ光のピーク波長の変動を低減することができる。結果として、レーザモジュール100の信頼性が向上する。
【0026】
また、パッケージ20、ベース部30、載置部40などの部品の材料を線膨張係数が近いもので構成する必要がなくなるので、部品の材料選択の幅が広がる。また、レーザ素子10−1が信号出力用の半導体レーザ素子の場合、発熱量が小さいので、樹脂接着材を用いても接着部50の劣化が小さい。
【0027】
接着部50の接着材のガラス転移温度は、接着材の材料を選択することにより調整することができる。接着材の材料が、アクリル系接着材である場合には、アルキル基の炭素数等でガラス転移温度を調整できる。例えば、アクリル酸エチル(アルキル基の炭素数2)のガラス転移温度は−20度程度であり、アクリル酸ブチル(アルキル基の炭素数4)のガラス転移温度は−55度程度であり、アクリル酸ジエチルヘキシル(アルキル基の炭素数8)のガラス転移温度は−70度程度である。
【0028】
同様に、接着材の材料がウレタン系接着材またはエポキシ系接着材である場合には、ウレタン基、エポキシ基の濃度等でガラス転移温度を調整できる。例えば、ウレタン基またはエポキシ基の濃度を小さくすれば、ガラス転移温度を下げることができる。このため、レーザモジュール100の使用温度の下限値よりもガラス転移温度が低い接着部50を形成することができる。
【0029】
また、ベース部30が温度制御素子を有する場合には、接着部50の熱伝導率は、1W/K・m以上であるのが好ましい。熱伝導率の大きい接着材を用いることで、載置部40に載置された光学部品10の温度を正確かつ迅速に制御することができる。また、接着部50の熱硬化温度は、レーザモジュールの使用温度の上限値より大きいことが好ましい。熱硬化温度がレーザモジュールの使用温度の上限値より低いと、接着部50が硬化後さらに高温となった場合、接着部50から有機ガスが発生する。発生した有機ガスはパッケージ20内に充満し、レーザモジュール100の信頼性に影響を与えるため好ましくない。
【0030】
図2は、レーザモジュール100の光学系を単純化して示す。光学系は、レーザ素子10−1、コリメートレンズ10−2、集光レンズ10−3及び光ファイバ60を含む。レーザ素子10−1は出射面から所定の波長のレーザ光を出射する。コリメートレンズ10−2は、出射されたレーザ光をコリメート光に変換する。集光レンズ10−3はコリメート光を光ファイバ60のコア部に集光する。光ファイバ60は、コア部を通じてレーザ素子10−1からの光信号を伝送する。
【0031】
図3は、図2に示す光学系において、レーザ素子10−1及びコリメートレンズ10−2の光軸が一緒に角度変動した場合の角度変動値と光ファイバ60からの出力変動値(dB)との関係を示すグラフである。他の光学部品10の光軸は変動しないものとする。
【0032】
つまり、図3における角度変動値は、図2に示したレーザ素子10−1およびコリメートレンズ10−2の光軸の角度変動値を示す。出力変動値とは、角度変動が0度の場合に対する、光ファイバ60からのレーザ出力値の変動を示す。なお、レーザ素子10−1のスポットサイズは2μm、コリメートレンズ10−2の焦点距離は1.5mm、集光レンズ10−3の焦点距離は3mmのものを使用した。
【0033】
一例として、レーザモジュールの出力変動は、信頼性の観点から使用温度の範囲で±0.3dB以下であることが要求される。したがって、本例では、光学系の角度変動を約0.015°以下に抑えることが好ましい。
【0034】
図4は、接着部50の接着材のヤング率と、レーザモジュール100の光学系の角度変動との関係を示すグラフである。図4における角度変動は、図3における角度変動と対応する。本例では、ベース部30を銅タングステンで形成し、載置部40をシリコンにより形成した。また、ベース部30及び載置部40の表面サイズを10mm平方とし、載置部40の厚さを1mm程度とした。また、レーザ素子10−1及びコリメートレンズ10−2を載置部40の端部に配置した。つまり、図4の角度変動は、載置部40の端部と、載置部40の中央部との角度差の変動を示す。
【0035】
図4の例では、パッケージ20の外部環境温度を−20℃から80℃まで変化させたときの各接着材のヤング率と角度変動との関係を調べた。グラフより、ヤング率が0から約1GPaまでは、角度変動が急激に増加する。また、ヤング率が約1GPa以上では、角度変動は徐々に増加するのがわかる。本例において、角度変動を約0.015°以下とするためには、ヤング率が約1GPa以下の接着材を接着部50に使用するのが好ましい。また、接着材のヤング率は、2GPa以下であってもよい。
【0036】
また、ベース部30と載置部40とを、ヤング率が数十GPa程度のIn半田により接合した場合、角度変動は0.028°となった。尚、ヤング率と角度変動との関係は、ベース部30及び載置部40の線膨張係数、ベース部30及び載置部40の大きさ及び形状、使用温度範囲等によって異なる。したがって、接着部50の接着材は、ヤング率が1GPa以下のものに限定されない。つまり、接着部50の接着材は、レーザモジュールの使用温度範囲内において、角度変動が約0.015°以下となるようなヤング率を有する程度に柔軟であればよい。
【0037】
図5は、第2実施形態にかかるレーザモジュール200の断面を示す。第1実施形態と機能が同一の部材には同一の符号を付し説明を省略する。レーザモジュール200は、載置部40および接着部50を複数備える点で第1実施形態と異なる。本例のレーザモジュール200は、2つの載置部40−1および40−2を有する。また、本例のレーザモジュール200は、2つの接着部50−1および50−2を有する。
【0038】
それぞれの載置部40は、共通のベース部30に、対応する接着部50により接着される。それぞれの載置部40には、光学部品10が固定される。本例の載置部40−1上には、レーザ素子10−1が固定され、載置部40−2上にはコリメートレンズ10−2、集光レンズ10−3が固定される。
【0039】
本例のレーザモジュール200によっても、ベース部30と、それぞれの載置部40とを柔軟な接着部50により接着することで、載置部40の反りが防止される。したがって、それぞれの載置部40上に載置された光学部品10の相対位置及び角度変動を抑えることができる。
【0040】
尚、それぞれの接着部50のヤング率は同じであってよく、異なっていてもよい。また、それぞれの接着部50の厚さは同じであってよく、異なっていてもよい。例えば、それぞれの接着部50は、対応する載置部40の、線膨張係数、面積、厚さ等に応じたヤング率および厚さを有する。また、ベース部30は、載置部40ごとに設けられてもよい。つまり、レーザモジュール200は、図1に示した載置部40、接着部50およびベース部30の組み合わせを複数有してよい。
【0041】
図6は、第3実施形態にかかるレーザモジュール300の断面を示す。レーザモジュール300は、レーザモジュール100またはレーザモジュール200に対して、載置部40、接着部50およびベース部30の組み合わせを複数備える点、及び、それぞれのベース部30が共通に固定される共通板80を更に備える点で異なる。他の構成は、レーザモジュール100またはレーザモジュール200と同一であってよい。
【0042】
本例では、組み合わせが2個の場合を説明するが、組み合わせの数は2個に限定されない。共通板80は、それぞれのベース部30およびパッケージ20の間に、それぞれのベース部30に対して共通に設けられる。ここで、共通に設けられるとは、一枚の共通板80上に複数のベース部30が設置されることをさす。
【0043】
共通板80は、略正方形の薄い板状の部材であり、ベース部30と線膨張係数が等しいか、または、近い材料により形成されている。共通板80とパッケージ20の底板22の内側面とは半田または樹脂接着材により固定されてよい。本例の共通板80上には、所定の距離だけ離隔されて、2つのベース部30が設置されている。それぞれのベース部30の表面積は等しくてもよいし、異なってもよい。それぞれのベース部30と共通板80とは、半田により固定されてよい。それぞれのベース部30の厚さは、互いに異なってよい。
【0044】
このような構成により、それぞれのベース部30が、パッケージ20と直接接続されないので、ベース部30に独立に応力が生じることを防ぐことができる。つまり、ベース部30と線膨張係数が略等しい共通板80を設けることで、パッケージ20との接合面で生じる応力を、共通板80で受けることができ、それぞれのベース部30に、同様の応力を生じさせることができる。
【0045】
図7は、第4実施形態にかかるレーザモジュール400の断面を示す。レーザモジュール400は、レーザモジュール100、200または300に対して、レーザ素子10−1および載置部40−1に替えて、光導波路10−4、導入部82および光ファイバ84を備える点で異なる。他の構成は、レーザモジュール100、200または300のいずれかと同一であってよい。
【0046】
光導波路10−4は、接着部50を介してベース部30に固定される。光導波路10−4には、光ファイバ84を介して外部からレーザ光が導入され、コリメータレンズ10−2等の光学部品10にレーザ光を出力する。光導波路10−4は、コア部をシリコンにより形成したシリコン光導波路であってよい。また、光導波路10−4は、シリコン基板上にSiO2のアンダークラッドと、SiO2−GeO2の導波路コアと、SiO2からなるオーバークラッドを順に堆積して形成したPLC光導波路であってもよい。本例では、光導波路10−4における基板が、載置部40−1に対応する。
【0047】
光ファイバ84は、導入部82の導入孔86を通じてパッケージ20を貫通して設けられる。導入孔86のパッケージ20の内部における開口は、ガラスまたは半田等の封止部88で封止させる。
【0048】
図8は、第5実施形態にかかるレーザモジュール500の断面を示す。レーザモジュール500は、レーザモジュール400に対して、光ファイバ60および導入部70に替えて、受光素子10−5を備える点で異なる。他の構成は、レーザモジュール400と同一であってよい。受光素子10−5は、載置部40−2に固定され、集光レンズ10−3からのレーザ光を受光する。受光素子10−5は、フォトダイオードであってよい。
【0049】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0050】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0051】
10・・・光学部品、20・・・パッケージ、22・・・底板、24・・・側板、26・・・天板、30・・・ベース部、40・・・載置部、50・・・接着部、60・・・光ファイバ、62・・・先端、70・・・導入部、72・・・導入孔、74・・・封止部、80・・・共通板、82・・・導入部、84・・・光ファイバ、86・・・導入孔、88・・・封止部、100、200、300、400、500・・・レーザモジュール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出力するレーザモジュールであって、
光学部品と、
前記光学部品を格納するパッケージと、
前記パッケージの内壁に設置されるベース部と、
前記ベース部の表面に設置され、前記光学部品を載置する載置部と、
ガラス転移温度が前記レーザモジュールの使用温度の下限値より低く、前記ベース部および前記載置部を接着する接着部と
を備えるレーザモジュール。
【請求項2】
前記載置部、前記接着部および前記ベース部の組み合わせを複数備える
請求項1に記載のレーザモジュール。
【請求項3】
それぞれの前記ベース部および前記パッケージの間に、それぞれの前記ベース部に対して共通に設けられ、それぞれの前記ベース部が固定される共通板を更に備える
請求項2に記載のレーザモジュール。
【請求項4】
前記載置部を複数備え、
それぞれの前記載置部は、共通の前記ベース部に前記接着部を介して設置される
請求項1に記載のレーザモジュール。
【請求項5】
前記レーザモジュールの使用温度の下限値が摂氏−5度である
請求項1から4のいずれか一項に記載のレーザモジュール。
【請求項6】
前記接着部の熱硬化温度は、前記使用温度の上限値より大きい
請求項1から5のいずれか一項に記載のレーザモジュール。
【請求項7】
前記パッケージおよび前記ベース部は、異なる線膨張係数を有する
請求項1から6のいずれか一項に記載のレーザモジュール。
【請求項8】
前記載置部および前記ベース部は、異なる線膨張係数を有する
請求項1から6のいずれか一項に記載のレーザモジュール。
【請求項1】
レーザ光を出力するレーザモジュールであって、
光学部品と、
前記光学部品を格納するパッケージと、
前記パッケージの内壁に設置されるベース部と、
前記ベース部の表面に設置され、前記光学部品を載置する載置部と、
ガラス転移温度が前記レーザモジュールの使用温度の下限値より低く、前記ベース部および前記載置部を接着する接着部と
を備えるレーザモジュール。
【請求項2】
前記載置部、前記接着部および前記ベース部の組み合わせを複数備える
請求項1に記載のレーザモジュール。
【請求項3】
それぞれの前記ベース部および前記パッケージの間に、それぞれの前記ベース部に対して共通に設けられ、それぞれの前記ベース部が固定される共通板を更に備える
請求項2に記載のレーザモジュール。
【請求項4】
前記載置部を複数備え、
それぞれの前記載置部は、共通の前記ベース部に前記接着部を介して設置される
請求項1に記載のレーザモジュール。
【請求項5】
前記レーザモジュールの使用温度の下限値が摂氏−5度である
請求項1から4のいずれか一項に記載のレーザモジュール。
【請求項6】
前記接着部の熱硬化温度は、前記使用温度の上限値より大きい
請求項1から5のいずれか一項に記載のレーザモジュール。
【請求項7】
前記パッケージおよび前記ベース部は、異なる線膨張係数を有する
請求項1から6のいずれか一項に記載のレーザモジュール。
【請求項8】
前記載置部および前記ベース部は、異なる線膨張係数を有する
請求項1から6のいずれか一項に記載のレーザモジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2012−256770(P2012−256770A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129753(P2011−129753)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
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