説明

レーザレーダ装置

【課題】集光効率を向上でき受光感度が良く、低コスト化及び小型化を実現できるレーザレーダ装置を提供する。
【解決手段】一方向の断面が楕円の一部からなる楕円面反射鏡14を光走査手段12と受光手段16の光路間に設置している。そして、楕円面反射鏡14に対象物から反射してくる反射光を導く固定鏡13が楕円面反射鏡14の一方の楕円焦点位置に設置されている。また、受光手段16が楕円面反射鏡14の他方の楕円焦点位置に設置されている。このため、楕円面反射鏡14を反射した全ての反射光が楕円面反射鏡14の楕円焦点位置に集光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザレーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザレーダ装置はパルス波または変調波のレーザ光を対象物に向けて送信し、対象物で反射したレーザ光を受信し、パルス波の送信パルスと受信パルスの時間差、或いは変調波の送信波と受信波の位相差から、対象物までの距離値を算出する装置である。特に走査型のレーザレーダ装置は、送信するレーザ光を走査することにより広い範囲に存在する対象物の距離情報を算出することが可能になる。
【0003】
このような走査型のレーザレーダ装置としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。この特許文献1の走査型のレーザレーダ装置において、回転ミラーを使用して光軸を振ってレーザ光を走査するレーザレーダ装置であり、更には投光ミラーの光軸と受光ミラーを回転させるモータの軸を一致させた構造である。詳細にはモータの上下に回転軸を突出させた両軸のモータを使い、一方の軸に投光ミラー、他方の軸に受光ミラーを互いに同位相で取付けた構造である。このような構成を備えている上記特許文献1は、投光ミラーや受光ミラー、そしてこれらのミラーを回転させるモータを備えているため、装置全体が大型となっていた。また、装置の小型化を図る走査型のレーザレーダ装置として、例えば特許文献2に記載のものが知られている。この特許文献2では、走査用の反射ミラー部にMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)による小型の走査ミラーを用いている。そして、この小型の走査ミラーを用いて走査し対象物からの反射光は光学フィルタや結像レンズを介して受光素子に入射する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献2では、パルス波の送信波と受信波の時間差から対象物までの距離を正確に算出するためには、受信光の高精度の時間測定が必要になり、そのために応答速度の速い受光器が必要となる。一般に、受光器としてはフォトダイオードやフォトトランジスタが用いられるが、上記特許文献2では高速化のため受光素子の電気容量を小さくする必要があり、また受光素子を非常に小型化にする必要がある。更に、上記特許文献2に記載のような固定の光学系で受光する場合、反射光の入射角により反射光の結像位置が移動し、反射光の光量のばらつきが生じやすい。また、上記特許文献2では、集光用のレンズと受光素子に垂直に光が入射するため、一般的に受光素子の受光部への開口窓は直径0.1から0.5mm程度であると集光レンズに斜めに入射する光は受光素子の受光部からずれたところに集光してしまう。これでは、集光効率が低くなり受光感度が悪くなる。
【0005】
また、上記特許文献2に記載の発明では、対象物からの反射光を光走査用の反射面で反射して集光レンズを介して受光センサに集光させるため、反射光を十分に確保するためには面積の大きな光走査用の反射鏡が必要となる。走査ミラーの反射鏡の大型化は、デバイス及び駆動装置の大型化を招き、装置の小型化阻害の原因となる。
【0006】
本発明は以上のような問題に鑑みてなされたものであり、集光効率を向上でき受光感度が良く、小型化を実現できる、レーザレーダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、パルス波または変調波のレーザ光を出射する発光手段と、該発光手段から出射されたレーザ光を対象物に向けて走査する光走査手段と、前記出射光が対象物で反射した反射光を受光する受光手段と、反射光を該受光手段に集光するための集光手段と、前記出射光と前記反射光の時間差または位相差から対象物までの距離値を演算する距離値演算手段と、を有するレーザレーダ装置において、前記光走査手段と前記受光手段の光路間に設置され、少なくとも一方向の断面が楕円の一部からなる反射鏡を設け、前記反射鏡に前記反射光を導くための固定鏡を前記反射鏡の一方の楕円焦点位置に設置し、前記受光手段を前記反射鏡の他方の楕円焦点位置に設置することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1記載のレーザレーダ装置において、前記固定鏡と前記反射鏡の間の光路長が、前記受光手段と前記反射鏡の間の光路長より短いことを特徴とするものである。
更に、請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のレーザレーダ装置において、前記光走査手段は、基板に回転または揺動可能に支持されて前記発光手段からの出射光を偏向する反射面を備えた可動部材を有していることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3記載のレーザレーダ装置において、前記光走査手段の前記基板と所定の角度で保持された固定反射鏡が設けられ、該固定反射鏡は前記光走査手段の前記可動部材の反射面より広い面積の反射面を有していることを特徴とするものである。
更に、請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザレーダ装置において、前記反射鏡は、一方向の断面が楕円の一部からなり、かつ一方向の断面に直交する他方向の断面が円の一部からなる楕円球反射鏡であることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のレーザレーダ装置において、前記光走査手段は、基板に回転または揺動可能に支持され、前記発光手段からの出射光を偏向する反射面を備えた第1の可動部材と、該可動部材の回転または揺動方向と直交する方向に回転または揺動可能に支持する第2の可動部材とを有していることを特徴とするものである。
【0008】
本発明においては、従来レーザレーダ装置では広い走査範囲でレーザ光を走査し、反射光を固定された集光レンズで受光手段に集光させているために、反射光の入射角により、受光手段における反射光の結像位置が移動し、入射光量のばらつきが生じやすい。このため、本発明では少なくとも一方向の断面が楕円の一部からなる反射鏡を光走査手段と受光手段の光路間に設置している。そして、この反射鏡に反射光を導くための固定鏡を反射鏡の一方の楕円焦点位置に設置し、かつ受光手段を反射鏡の他方の楕円焦点位置に設置している。このような構成により、対象物から反射されてくる反射光は反射鏡の一対の楕円焦点位置のうち一方の楕円焦点位置に設置されている固定鏡によって反射鏡の楕円面の反射面に導かれる。そして、反射鏡に反射された反射光は、全て、反射鏡の他方の楕円焦点位置に配置されている受光手段に導かれて集光する。これにより、集光位置のずれがなくなり、集光効率を上げることができ、受光感度が良くなる。また、反射面積の広い反射鏡等を用いないため小型化を実現できる。
【発明の効果】
【0009】
以上、本発明によれば、集光効率を向上でき受光感度が良く、小型化を実現できるレーザレーダ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態のレーザレーダ装置の構成を示す概略斜視図である。
【図2】実施形態のレーザレーダ装置における光走査手段の構成の一例を示す図である。
【図3】実施形態のレーザレーダ装置の動作を示す平面図である。
【図4】楕円面反射鏡を介した固定鏡と受光手段に入射する光の関係を示した平面図である。
【図5】実施形態のレーザレーダ装置の構成を示す概略斜視図である。
【図6】実施形態のレーザレーダ装置における光走査手段の構成の一例を示す図である。
【図7】実施形態のレーザレーダ装置の動作を示す平面図である。
【図8】実施形態のレーザレーダ装置における光走査手段の構成の他の例を示す図である。
【図9】実施形態のレーザレーダ装置の構成を示す概略斜視図である。
【図10】実施形態のレーザレーダ装置における光走査手段の構成の一例を示す図である。
【図11】実施形態のレーザレーダ装置の動作を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用したレーザレーダ装置の実施形態について説明する。
図1は実施形態のレーザレーダ装置の構成を示す概略斜視図である。同図に示す本実施形態のレーザレーダ装置10は、発光手段11、光走査手段12、固定鏡13、楕円面反射鏡14、集光レンズ15及び受光手段16を含んで構成されている。なお、発光手段11と光走査手段12は互いの光軸(図中一点鎖線で示す)が一致するように配置されている。また、楕円面反射鏡14、集光レンズ15及び受光手段16も互いの光軸(図中一点鎖線で示す)が一致するように配置されている。そして、発光手段11はレーザ光を照射する光源である。光走査手段12は発光手段11から出射されたレーザ光を走査する。固定鏡13は光走査手段12で走査された光が図示されていない測定対象物に照射されて発生する反射光や散乱光を受光する鏡である。楕円面反射鏡14は固定鏡13からの反射光を反射する鏡であり、断面が楕円の一部をなす鏡である。集光レンズ15は楕円面反射鏡14で反射された光を受光手段16に集光する。そして、受光手段16は反射光を受光し、電気信号に変換するセンサである。なお、固定鏡13は楕円面反射鏡14の一方の楕円焦点位置に配置され、受光手段16は楕円面反射鏡14の他方の楕円焦点位置に設置されている。この場合、楕円面反射鏡14から受光手段16へ出射される光は集光レンズ15で屈折されるため、受光手段14の設置位置は楕円面反射鏡14の幾何学的な楕円焦点位置より楕円面反射鏡側に近づいている。
【0012】
ここで、図1の光走査手段12の構成の一例について図2を用いて説明する。同図の(a)に示すように、光走査手段12は基板12−1に設けられた可動鏡12−2を一対の捻りバネ12−3で支持して構成されている。同図の(b)に示すように、一対の捻りバネ12−3で支持されている可動鏡12−2が1軸周りに変位することで、可動鏡12−2に入射した光が一平面内で走査される。
【0013】
次に、図1に示す実施形態のレーザレーダ装置10の動作について当該動作を示す概略平面図である図3に従って説明する。図3において、図1と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。同図の(a)において、発光手段11から出射されたレーザ光は、図2に示す光走査手段12の可動鏡に入射し、走査範囲S内を走査された反射光が図示していない測定対象物に照射される。同図の(b)において、測定対象物により散乱、反射された光のうち固定鏡13に反射された光は楕円面反射鏡14に入射する。固定鏡13は楕円面反射鏡14の一方の楕円焦点位置に設置されているので、楕円面反射鏡14で反射された光は楕円の他方の焦点位置にある受光手段16に集光することになる。ただ、楕円面反射鏡14と受光手段16の間には凸レンズの集光レンズ15が置かれているので、実際の集光位置は幾何学的な楕円焦点位置より近くにある光学的な焦点位置となり、その位置に受光手段16は設置されている。同図の(c)は、光走査手段12によって同図の(a),(b)に図示している角度とは別の角度で反射された光の受光手段16への集光の様子である。同図に示すように、固定鏡13と受光手段16が楕円面反射鏡14の楕円焦点位置に配置されているので、どのような角度で反射されたレーザ光の反射、散乱光も受光手段16が配置された位置に集光することができる。
【0014】
図4は楕円面反射鏡を介した固定鏡と受光手段に入射する光の関係を示した平面図である。同図において、図3と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。同図に示すように、固定鏡13と受光手段16はある寸法の楕円の一部をなす楕円面反射鏡14の2つの楕円焦点位置にそれぞれ設置されている。この場合、例えば固定鏡12に30度の角度をなして入射する2本の光線は楕円面反射鏡14に反射された後に受光手段16に入射するときには17度の角度をなしている。このように、受光手段16に入射する角度を実際の測定対象物から戻ってくる反射光の角度より小さくできるので、従来のような集光レンズ単体による受光手段への集光を行う構成に比して集光効率を上げることができる。
【0015】
図5は実施形態のレーザレーダ装置の構成を示す概略斜視図である。同図において、図1と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。同図に示す実施形態のレーザレーダ装置20は、発光手段11、光走査手段12、楕円面反射鏡21、集光レンズ15及び受光手段16を含んで構成されている。図1に示す実施形態のレーザレーダ装置10と異なる構成要素としての図6の(a)に示す光走査手段21は、図6の(b)に示すような固定鏡21−1と、図6の(c)に示すような可動鏡21−2とを張り合わせて一体化されている。図6の(b)に示す固定鏡21−1には、鏡の一部に貫通穴が設けられ、この貫通穴は、発光手段11からのレーザ光が通って図6の(c)に示す可動鏡21−2の可動鏡部分に到達するための穴である。なお、可動鏡21−2は一対の捻りバネ21−3で支持されている。また、楕円面反射鏡22には、発光手段11から照射されたレーザ光が通る貫通穴が設けられている。更に、固定鏡一体型の光走査手段21は楕円面反射鏡22の一方の楕円焦点位置に、受光手段16は楕円面反射鏡22の他方の楕円焦点位置にそれぞれ設置されている。
【0016】
このような構成を有する実施形態のレーザレーダ装置20によれば、図7の(a)に示すように、発光手段11から照射されたレーザ光は、楕円面反射鏡22の一部に設けられた貫通穴22−1を通って、光走査手段21の可動鏡21−2に入射し、走査範囲S内を走査された反射光が図示していない測定対象物に照射される。そして、図7の(b)に示すように、光走査手段21で走査された光が、測定対象物に照射されて発生する反射、散乱光のうち光走査手段21の固定鏡21−1に反射される。更に、図7の(c)に示すように、反射光は楕円面反射鏡22に入射する。そして、光走査手段21は楕円面反射鏡22の一方の楕円焦点位置に設置されているので、楕円面反射鏡22で反射された光は楕円の他方の焦点位置にある受光手段16に集光することになる。この場合、楕円面反射鏡22から受光手段16へ出射される光は集光レンズ15で屈折するため、受光手段16の設置位置は楕円面反射鏡14の幾何学的な楕円焦点位置より楕円面反射鏡側に近づいている。なお、図6に示す固定鏡と可動鏡を張り合わせて一体化した固定鏡一体型の光走査手段以外に、図8に示すような可動鏡21−2を支持する基板部分に固定反射鏡21−1を形成したものがある。この実施形態のレーザレーダ装置でも受光手段に入射する角度を実際の測定対象物から戻ってくる反射光の角度より小さくできるので、従来のような集光レンズ単体による受光手段への集光を行う構成に比して集光効率を上げることができる。
【0017】
図9は実施形態のレーザレーダ装置の構成を示す概略斜視図である。同図において、図1と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。同図に示す実施形態のレーザレーダ装置30は、発光手段11、光走査手段32、固定鏡13、楕円面反射鏡31、集光レンズ15及び受光手段16を含んで構成されている。図1に示す実施形態のレーザレーダ装置10及び図5に示す実施形態のレーザレーダ装置20と異なる構成要素として、楕円球反射鏡31及び二軸可動型の光走査手段32を配置している。楕円球反射鏡31は、固定鏡13からの反射光を反射する断面が楕円で、更に直交する断面も円の一部をなす楕円球をなしている。二軸可動型の光走査手段32は図10に示すように、基板32−1に一対の捻りバネ32−2で支持され、更にもう一対の捻りバネ32−3で支持された可動鏡32−4が2軸周りに変位し、可動鏡32−4に入射した光を、立体的に走査する。本実施形態においても固定鏡13は楕円球反射鏡31の一方の楕円焦点位置に、そして受光手段16は楕円球反射鏡31の他方の楕円焦点位置に設置されている。この場合、楕円球反射鏡31から受光手段16へ出射される光は集光レンズ15で屈折するため、受光手段16の設置位置は幾何学的な楕円焦点位置より楕円球鏡側に近づいている。
【0018】
このような構成を有する実施形態のレーザレーダ装置30によれば、図11の(a)に示すように、図示していない発光手段から出射されたレーザ光は光走査手段32の可動鏡32−4に入射し、その走査された反射光が図示していない測定対象物に照射される。そして、同図の(b)に示すように、測定対象物から散乱、反射された光のうち固定鏡13に反射された光は楕円球反射鏡31に入射する。固定鏡13は楕円球反射鏡31の一方の楕円焦点位置に設置されている。これにより、楕円球反射鏡31で反射された反射光は楕円球反射鏡31のもう一方の楕円焦点位置にある受光手段16に集光する。楕円球反射鏡31と受光手段16の間には凸レンズの集光レンズ15が置かれているので、実際の集光位置は楕円球反射鏡31の幾何学的焦点より近くにある光学的な焦点位置となる。同図の(c)に示すように、同様に光走査手段32の別角度で反射された光は受光手段16へ集光する。固定鏡13と受光手段16が楕円球反射鏡31の光学的な焦点位置に配置されている。これにより、どのような角度で反射されたレーザ光の反射、散乱光も受光手段16の集光位置に集光することができる。この実施形態でも受光手段に入射する角度を実際の測定対象物から戻ってくる反射光の角度より小さくできるので、集光レンズに従来ような集光レンズ単体による受光手段への集光より、集光位置のずれを小さくでき、集光効率を上げることができる。
【0019】
以上説明したように、実施形態によれば、図1に示すように、一方向の断面が楕円の一部からなる楕円面反射鏡14を光走査手段12と受光手段16の光路間に設置している。そして、楕円面反射鏡14に対象物から反射してくる反射光を導く固定鏡13が楕円面反射鏡14の一方の楕円焦点位置に設置されている。また、受光手段16が楕円面反射鏡14の他方の楕円焦点位置に設置されている。このため、対象物から反射されてくる反射光は反射鏡の一対の楕円焦点位置のうち一方の楕円焦点位置に設置されている固定鏡によって反射鏡の楕円面の反射面に導かれる。そして、反射鏡に反射された反射光は、全て、反射鏡の他方の楕円焦点位置に配置されている受光手段に導かれて集光する。これにより、集光位置のずれがなくなり、集光効率を上げることができて受光感度が良くなる。また、従来のような高価なハーフミラーや反射面積の広い反射鏡等を用いないため低コスト化及び小型化を実現できる。
【0020】
また、実施形態によれば、図2に示すように、光走査手段12は、基板12−1に回転または揺動可能に支持されて発光手段からの出射光を偏向する可動鏡12−2を一対の捻りバネ12−3で支持して構成されている。これにより、従来のような走査用のモータを用いないため、装置全体の小型化を図れる。
【0021】
更に、実施形態によれば、図8に示すように、光走査手段21の基板と所定の角度で保持された固定反射鏡21−1が設けられている。この固定反射鏡21−1は光走査手段の可動部材21−2の反射面より広い面積の反射面を有している。これにより、受光手段に入射する角度を実際の測定対象物から戻ってくる反射光の角度より小さくできる。
【0022】
また、実施形態によれば、図9に示すように、一方向の断面が楕円の一部からなり、かつ一方向の断面に直交する他方向の断面が円の一部からなる楕円球反射鏡31を光走査手段32と受光手段16の光路間に設置している。また、図10に示すような二軸可動型の光走査手段32を用いている。このため、立体的に走査して反射してくる反射光に対しても楕円焦点位置に配置した固定鏡と受光手段に集光することできる。これにより、集光位置のずれをなくし全ての反射光が受光手段に集光するために集光効率を上げることができて受光感度が良くなる。また、高価なハーフミラーや反射面積の広い反射鏡等を用いないため低コスト化及び小型化を実現できる。
【符号の説明】
【0023】
10 レーザレーダ装置
11 発光手段
12 光走査手段
13 固定鏡
14 楕円面反射鏡
15 集光レンズ
16 受光手段
20 レーザレーダ装置
21 楕円面反射鏡
30 レーザレーダ装置
31 楕円球反射鏡
32 光走査手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】特許第3908226号公報
【特許文献2】特開2004−157044号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス波または変調波のレーザ光を出射する発光手段と、該発光手段から出射されたレーザ光を対象物に向けて走査する光走査手段と、前記出射光が対象物で反射した反射光を受光する受光手段と、反射光を該受光手段に集光するための集光手段と、前記出射光と前記反射光の時間差または位相差から対象物までの距離値を演算する距離値演算手段と、を有するレーザレーダ装置において、
前記光走査手段と前記受光手段の光路間に設置され、少なくとも一方向の断面が楕円の一部からなる反射鏡を設け、
該反射鏡に前記反射光を導く固定鏡を前記反射鏡の一方の楕円焦点位置に設置し、前記受光手段を前記反射鏡の他方の楕円焦点位置に設置することを特徴とするレーザレーダ装置。
【請求項2】
請求項1記載のレーザレーダ装置において、
前記固定鏡と前記反射鏡の間の光路長が、前記受光手段と前記反射鏡の間の光路長より短いことを特徴とするレーザレーダ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のレーザレーダ装置において、
前記光走査手段は、基板に回転または揺動可能に支持されて前記発光手段からの出射光を偏向する反射面を備えた可動部材を有していることを特徴とするレーザレーダ装置。
【請求項4】
請求項3記載のレーザレーダ装置において、
前記光走査手段の前記基板と所定の角度で保持された固定反射鏡が設けられ、該固定反射鏡は前記光走査手段の前記可動部材の反射面より広い面積の反射面を有していることを特徴とするレーザレーダ装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザレーダ装置において、
前記反射鏡は、一方向の断面が楕円の一部からなり、かつ一方向の断面に直交する他方向の断面が円の一部からなる楕円球反射鏡であることを特徴とするレーザレーダ装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のレーザレーダ装置において、
前記光走査手段は、基板に回転または揺動可能に支持され、前記発光手段からの出射光を偏向する反射面を備えた第1の可動部材と、該可動部材の回転または揺動方向と直交する方向に回転または揺動可能に支持する第2の可動部材とを有していることを特徴とするレーザレーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−58178(P2012−58178A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204176(P2010−204176)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】