説明

レーザー印刷用積層体、レーザー印刷方法及び該レーザー印刷用積層体を利用した包装体

【課題】包装材料に求められる様々な要求仕様に対応でき,かつ,GS1DataBar等の2次元バーコードなどの細密な図柄をコントラスト高くレーザー印刷できる製造コストの安価なレーザー印刷用積層体を提供する。
【解決手段】本願発明のレーザー印刷用積層体1は、金属粒子としてアルミニウム粒子を含有する遮光インキ層31と,遮光インキ層31の一部又は全てを隠蔽するように形成され,白色顔料を含有する背景インキ層30とを含むレーザー印刷層3が,単層又は積層の基材フィルム2上の一部に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細密な図形や文字をレーザー印刷しうるレーザー印刷用積層体、該レーザー印刷用積層体を用いたレーザー印刷方法及び食品、医薬品、医薬部外品、および医療器具等の包装に使用され,該レーザー印刷用積層体を利用した包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒートシール性を有する積層体の周縁端部をヒートシールして成形される袋体に内容物を収納した包装体などが流通している。これらの包装体には、商品名、内容物、使用上の注意などの消費者による目視確認が可能な文字や図柄が印刷され、また、生産者、商品名等を数字化した後に図柄化したバーコードが当該商品の固定情報として印刷されている。
【0003】
このような固定情報は、包装材料の製造段階で印刷することができるが、一方、消費期限、ロットナンバー等の日々変化しうる変動情報は、包装材料の製造段階では印刷することができないため,包装体を成形する前に,サーマルプリンタ、インクジェットプリンタ、およびレーザー印刷機等を用いて包装材料に直接印刷したり、消費期限、ロットナンバー等の日々変化しうる変動情報を予め印刷しておいたラベルを,包装体又は包装体に収納される内容物に貼付する。
【0004】
このような変動情報として、消費期限の他に製造日時、ロットナンバーなどを印刷することが一般的であったが、近年の「安全・安心」に対する国民的関心の高まりにより、特に食品、医薬品、医薬部外品または医療器具の分野においてはトレーサビリティが求められ、この要望に応えるためには,上述した情報に加え,トレーサビリティに関する様々な情報を変動情報として包装体に印刷する必要がある。
【0005】
変動情報が,消費期限,製造日時、ロットナンバーなどであれば1次元のバーコードは長くなり過ぎることはないが,トレーサビリティに関する様々な情報を変動情報に加えると,包装体によっては1次元のバーコードの長さが包装体のサイズを超えてしまうこともあるため,1次元のバーコードよりも情報密度が大きく,サイズをコンパクトにできるGS1DataBar等の2次元バーコードが変動情報の印刷に利用されつつある。
【0006】
包装体に固定情報と変動情報とを印刷する方法として、包装体を製造する包装機械上で,固定情報が印刷された包装材料に変動情報を直接印刷する方法や、包装材料に変動情報と固定情報とを該包装機械上で直接印刷する方法が特許文献1で提案されている。
【0007】
変動情報は日々変化しうる情報であるため,変動情報の印刷には、印刷データを容易に変更可能なサーマルプリンタやインクジェットプリンタを用いることが多いが、サーマルプリンタのインクリボンやインクジェットプリンタのインキ等の消耗品は高価であり、多くの変動情報を印刷するにはランニングコストが高額になるという問題がある。また、これら消耗品の交換期限を徒過すると印刷不良が発生してしまう。
【0008】
更に、サーマルプリンタやインクジェットプリンタ以外では,UV硬化型インキを用いたオフセット印刷を用いて包装材料へ変動情報を直接印刷することもあるが、包装材料の汚れや包装材料の厚みむらなどによっては、印刷カスレや文字欠け等が発生してしまう。
【0009】
そこで,消耗品を必要せず印字性能に優れたレーザー印刷を変動情報の印刷に利用する試みがなされ,これまでに,包装材料または包装体上にレーザー印刷するための様々な発明が開示されている。
【0010】
例えば,特許文献2においては,アルミ蒸着紙のアルミ蒸着面上に、白インキ、黒インキおよびOPニスを塗布して製造したレーザー印刷用積層体が開示されている。
【0011】
しかしながら、特許文献2で開示されている発明は、その実施例に示されているように、アルミ蒸着紙のアルミ蒸着面上にレーザー用印刷部分を形成するものであるため,包装体に利用される包装材料が限定されてしまう問題がある。例えば,アルミ蒸着紙は不透明であるため,内容物を目視で確認できることが要求されている包装体には特許文献2の発明は適用できにくい。
【0012】
包装体に利用される包装材料が限定されずにレーザー印刷する解決策として,完成された包装体にラベルを貼ることが考えられる。例えば,レーザー印刷可能なラベルとしては,特許文献3において,透明基材シートの表面に不透明な塗膜からなる表示部が形成され、該表示部と対向する該透明基材シートの裏面に該表示部とは異なる色の塗膜からなる遮蔽部が形成されたラベルが開示されている。
【0013】
しかし,特許文献3で開示されているラベルには、レーザー印刷の際に、ラベルに形成された粘着剤がレーザー光により加熱され臭気を発生する場合があり、作業環境を確保するための設備投資となってしまう問題がある。
【0014】
一方,生産者、商品名などの固定情報と,消費期限の他に製造年月日、製造時、ロットナンバー,トレーサビリティに関する様々な情報などの変動情報を一つのコードに含ませることを考えると、上述しているように,広く利用されている1次元バーコードではなく,倍率1.0の最小バー幅0.33mmや倍率0.76倍の最小バー幅0.25mmのGS1DataBar等の複雑かつ細密な2次元バーコードを用いなければならないが,このような2次元バーコードをバーコードリーダで安定して読み取らせるためには,包装体にレーザー印刷される2次元バーコードのコントラストを向上させる必要がある。
【0015】
包装体にレーザー印刷される2次元バーコードのコントラストを向上させるためには,レーザー光が照射された箇所を黒色に発色させることが必要で、レーザー光が照射された箇所が黒色に発色する材料として,特許文献4では,メラミン樹脂、ポリアミド、およびポリエチレンイミン等の窒素原子含有樹脂、および無機材料を含有する感熱記録組成物が開示されている。
【0016】
しかしながら、実際にこのような発色インキを使用した印刷物にレーザー光を照射しても、黒色に発色した樹脂成分はレーザー光を吸収し、容易に分解してしまうため、充分な発色は得られず、製造年月日、消費期限等の文字のように、人間が目で読み取る情報や、JANコード等の1次元バーコードのように、赤色LEDで読み取る情報は印刷可能でも、高いコントラストが必要となるGS1DataBar、データマトリクス等の2次元バーコードを印刷するには向かなかった。また,レーザー光によって発色するインキは非常に高価で、通常のインキの数百倍の価格であるため、製造コストが高くなってしまう問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平10−181721号公報
【特許文献2】特開平9−123607号公報
【特許文献3】特開2006−220695号公報
【特許文献4】特開2004−34329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
そこで,上述した内容を鑑みて,包装材料に求められる様々な要求仕様に対応でき,かつ,GS1DataBar等の2次元バーコードなどの細密な図柄をコントラスト高くレーザー印刷できる製造コストの安価なレーザー印刷用積層体,レーザー印刷方法及びレーザー印刷用積層体を利用した包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者は、レーザー印刷用積層体について詳細に検討した結果、金属粒子を含有する遮光インキ層と,前記遮光インキ層の一部又は全てを隠蔽するように形成され,顔料を含有する背景インキ層とを含むレーザー印刷層が,単層又は積層の基材フィルム上の一部に形成されていることを特徴とするレーザー印刷用積層体を用いることで,上述した課題を解決できることを見出し,本発明を完成させた。
【0020】
本願発明のレーザー印刷方法に従い,背景インキ層については,レーザー光の大部分が透過し,遮光インキ層については,レーザー光が金属粒子で遮光されるように調整されたレーザー光を,印刷パターンに従い走査させると,レーザー光の大部分は背景インキ層を貫通し遮光インキ層に到達するが,遮光インキ層に含有されている金属粒子によってレーザー光は反射され,レーザー光は遮光インキ層を貫通することなく熱を発し,レーザー光が照射された箇所の遮光インキ層は表面のみが除去され,各インキ層の樹脂成分が炭化して黒色を呈して遮光インキ層に残り,黒色の印刷パターンをレーザー印刷層上に印刷することができる。
【0021】
なお,レーザー印刷用積層体に照射するレーザー光としては,レーザー光の出力が安定し,1点にレーザー光が集中するシングルモード(ガウシアンモード)ビームのYVO4レーザー光を用いることが好適である。
【0022】
上述したレーザー印刷用積層体において,遮光インキ層は背景インキ層で覆われているため,背景インキ層の色を適切に選べば,黒色と背景インキ層とのコントラストが高まり,レーザー印刷された印刷パターンの光学的な認識性も高まるため,GS1DataBar等の2次元バーコードなどの細密な図柄をコントラスト高くレーザー印刷できるようになる。
【0023】
更に,遮光インキ層に含有されている金属粒子によってレーザー光は遮光されるため,基材フィルムは破壊されることはなく,包装材料に求められる様々な要求仕様に対応し単層又は積層のフィルムを基材フィルムとして利用できるし,遮蔽インキ層及び背景インキ層は通常の印刷インキでも形成可能であるため,レーザー印刷用積層体を安価に製造できるようになる。
【0024】
レーザー印刷用積層体にレーザー印刷される印刷パターンは黒色であるため,黒色との明暗の差が大きくなるように,背景インキ層は,白色顔料を含有していることが好適で,更に,遮光インキ層は,アルミニウム粒子を含有していることが好適である。
【0025】
更に,基材フィルムにヒートシール層を積層することで,様々な包装体への利用が可能になる。また,遮光インキ層に含有されている金属粒子によってレーザー光は遮光されて,基材フィルムは破壊されることはないため,基材フィルムにはガスバリア性フィルムを用いることもできる。
【0026】
更に,基材フィルムに二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いると,レーザー印刷用積層体の剛性が高まり,レーザー印刷用積層体にレーザー印刷された印刷パターンの誤認識を低下させることができる。
【0027】
本願発明のレーザー印刷用積層体は様々な包装体に利用でき,例えば,ヒートシール層が積層された基材フィルムが用いられたレーザー印刷用積層体を折り,折られた後の該レーザー印刷用積層体の少なくとも一端をヒートシールすることで袋状の包装体を成形できる。また,ブリスターパックのような包装体においては,本願発明のレーザー印刷用積層体を蓋材として利用することもできる。
【発明の効果】
【0028】
このように,本発明によれば,包装材料に求められる様々な要求仕様に対応でき,かつ,GS1DataBar等の2次元バーコードなどの細密な図柄をコントラスト高くレーザー印刷できる製造コストの安価なレーザー印刷用積層体,レーザー印刷方法及びレーザー印刷用積層体を利用した包装体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】レーザー印刷用積層体を説明する図。
【図2】レーザー印刷されたレーザー印刷用積層体を説明する図。
【図3】ヒートシール層が積層されたレーザー印刷用積層体を説明する図。
【図4】ガスバリア性フィルムが積層されたレーザー印刷用積層体を説明する図。
【図5】レーザー印刷用積層体が連続して印刷されたレーザー印刷用積層原反を説明する図。
【図6】レーザー印刷用積層体を蓋材に利用したブリスターパックを説明する図。
【図7】横ピロー包装体を製造する横ピロー包装機の概略外観図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
ここから,包装材料に求められる様々な要求仕様に対応でき,かつ, 2次元バーコードなどの細密な図柄をコントラスト高くレーザー印刷できる製造コストの安価なレーザー印刷用積層体,レーザー印刷方法及びレーザー印刷用積層体を利用した包装体について,本願発明の技術分野に係わる当業者が,本願発明の内容を理解し,本願発明の実施できる程度に説明する。
【0031】
<レーザー印刷用積層体>
まず,本願発明のレーザー印刷用積層体について説明する。図1は,本願発明に係わるレーザー印刷用積層体1を説明する図で,図1に示すように,レーザー印刷用積層体1は,レーザー印刷されるレーザー印刷層3が基材フィルム2上の一部に形成された積層体である。
【0032】
基材フィルム2上の一部に形成されるレーザー印刷層3には,金属粒子(例えば,アルミニウム粒子)が含有された印刷インキを用いて形成され,金属粒子を含有する遮光インキ層31と,顔料(例えば,白色の顔料)が含有された印刷インキを用いて形成され,顔料を含有する背景インキ層30が含まれる。遮光インキ層31は基材フィルム2上に形成され,背景インキ層30は,遮光インキ層31のレーザー印刷領域を少なくとも隠蔽するように形成されている。
【0033】
図2は,レーザー印刷されたレーザー印刷用積層体1を説明する図で,レーザー光(例えば,シングルモードのYVO4レーザー光)の出力・焦点を調整し,文字や図柄などの印刷パターンに合わせて位置を制御しながらレーザー光を照射すると,レーザー光が照射された箇所の背景インキ層30が除去され,レーザー光は背景インキ層30を貫通し遮光インキ層31に到達する。
【0034】
背景インキ層30で隠蔽された遮光インキ層31に含有されている金属粒子によってレーザー光は遮光され,レーザー光は遮光インキ層31を貫通することなく,レーザー光が照射された箇所の遮光インキ層31は表面のみが除去され,各インキ層の樹脂成分が炭化して黒色を呈して遮光インキ層31に残り,黒色の印刷パターンがレーザー印刷層3上に印刷される。
【0035】
レーザー印刷層3の遮光インキ層31には,レーザー光を遮光するために金属粒子が含まれるため,金属粒子からの乱反射光などの影響によって,レーザー印刷された印刷パターンと遮光インキ層31のコントラストは低いが,本願発明のレーザー印刷用積層体1においては,レーザー印刷された印刷パターンの背景は背景インキ層30の色になるため,レーザー印刷された印刷パターンの色(黒色)とのコントラストが大きい色の印刷インキを選択して背景インキ層30を形成すれば,レーザー印刷された印刷パターンのコントラストを高めることができる。
【0036】
レーザー印刷された黒色の印刷パターンを光学認識させる場合,光学認識に利用する装置(例えば,バーコードリーダ)が正常に認識できる範囲で,背景インキ層30の色を選択することができる。上述しているようにレーザー印刷された印刷パターンは黒色を呈するため,レーザー印刷された印刷パターンのコントラストを最も高めるためには,黒色とのコントラストが最も大きい白色の顔料を含有した白インキを用いて背景インキ層30を形成するとよい。
【0037】
また,本願発明において,レーザー印刷層3に遮光インキ層31を含ませることで,遮光インキ層31に含有される金属粒子によってレーザー光は遮光され,レーザー印刷するときに照射されるレーザー光の基材フィルム2への影響を排除することができるようなる。
【0038】
基材フィルム2へのレーザー光の影響は排除されることは,様々な機能性フィルム(例えば,ガスバリア性フィルム)をレーザー印刷用積層体1の基材フィルム2に用いることができることを意味し,レーザー印刷用積層体1を利用した包装体に求められる様々な要求仕様に対応することができるようになる。
【0039】
例えば,レーザー印刷層3は基材フィルム2の一部に形成しておけばよいので,透明な基材フィルム2を用いれば,完成後の包装体であっても,外側から内容物の内容を目視で確認できるし,ガスバリア製を有するフィルムを基材フィルム2に利用することもできる。
【0040】
更に,基材フィルム2に機能性フィルム等を積層させ,レーザー印刷用積層体1を利用した包装体に求められる様々な要求仕様に対応することもでき、更に、内容物を包装した後でもレーザー印刷が可能である。
【0041】
図3は,ヒートシール層を基材フィルム2に積層させたレーザー印刷用積層体1aを説明する図で,図3で図示したレーザー印刷用積層体1aの基材フィルム2には,レーザー印刷層3が形成される反対側にヒートシール層2aが積層されている。また、ヒートシール層2aに代えて粘着層と剥離シートとを基材フィルム2に積層させれば、レーザー印刷用積層体をラベルとして使用することもできる。
【0042】
図4は、ガスバリア性フィルムを基材フィルム2に積層させたレーザー印刷用積層体1bを説明する図で,図4で図示したレーザー印刷用積層体1bの基材フィルム2には,レーザー印刷層3が形成される反対側にガスバリア性フィルム2b1が積層され,更に,ガスバリア性フィルム2b1にはヒートシール層2b2が積層されている。
【0043】
また,図1に図示しているように,レーザー印刷用積層体1の基材フィルム2には,レーザー印刷層3に加え,レーザー印刷用積層体1を用いた包装体の内容物に係わる文字や図柄などが印刷されるデザイン印刷層4を形成することもできる。このデザイン印刷層4は,図1に図示しているように,レーザー印刷する範囲を妨げないようにレーザー印刷層3が形成される側に設けてもよく,また, レーザー印刷層3の裏側に設けてもよい。
【0044】
<レーザー印刷用積層体/レーザー印刷層>
まず,本願発明に係わるレーザー印刷用積層体1のレーザー印刷層3について詳細に説明する。
【0045】
レーザー印刷層3は、上述しているように遮光インキ層31と,レーザー印刷される遮光インキ層31の領域を少なくとも隠蔽するように形成された背景インキ層30とから少なくとも構成され,好ましくは,背景インキ層30のサイズは遮光インキ層31のサイズよりもやや大きくし(例えば,+1mm程度),遮光インキ層31を完全に隠蔽するように背景インキ層30は形成される。
【0046】
レーザー印刷層3の遮光インキ層31の形成には,レーザー光を遮光する金属粒子を含有する印刷インキが用いられ,例えば,インキ重量に対し平均粒径5〜20μmのアルミニウム粒子を5〜20重量%になるように,アルミニウムペーストをメジウムに分散させた銀インキを用いることができる。
【0047】
アルミニウム粒子にはリーフィングタイプ及びノンリーフィングタイプの2つのタイプがあり,いずれのタイプを選択しても構わないが、りん(鱗)片状のアルミニウム粒子がインキ膜に浮き,遮光性と金属光沢の点で優れるリーフィングタイプの銀インキを選択するとよい。
【0048】
更に,遮光インキ層31に利用する銀インキに白色顔料を混合しておくと、遮光インキ層31自体が白っぽくなり,遮光インキ層31の上に形成される背景インキ層30の白色度が向上し,レーザー印刷された文字や図柄のコントラストがより大きくなるので好ましい。
【0049】
遮光インキ層31の上に形成される背景インキ層30の形成には,白色などの顔料を含む印刷インキが用いられ,レーザー印刷される印刷パターンの色は黒色を呈するため,印刷パターンのコントラストを最も高めるために,黒色とのコントラストが最も大きくなる白色顔料を含有する白インキを用いて背景インキ層30を形成することが好ましい。
【0050】
背景インキ層30に用いる白インキを用いる場合,白インキに含有される白色顔料についての限定はないが、コスト面を考えれば、白色顔料として最も一般的な酸化チタン顔料を用いることもできる。
【0051】
このようなレーザー印刷層3は,グラビア印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷等の印刷方式を用い,基材フィルム2上に遮光インキ層31を印刷した後,遮光インキ層31の上に背景インキ層30を重ね刷りすることでることで形成でき,高価な発色インキを利用する必要がないため,レーザー印刷用積層体1を安価に製造できる。
【0052】
レーザー印刷層3の厚さの限定はないが,遮光インキ層31に銀インキを用いる場合,遮光インキ層31の厚さは2〜50μmであることが好ましく、より好ましくは5〜10μmである。遮光インキ層31に銀インキを用いる場合,遮光インキ層31の厚さが2μmを下回ると、レーザー光を遮光する機能が阻害される可能性がある。また、遮光インキ層31に銀インキを用いる場合,遮光インキ層31の厚さが50μmを超えても,レーザー印刷された文字や図柄のコントラスト向上に及ぼす影響は殆どなく、無駄である。
【0053】
背景インキ層30に白インキを用いる場合,背景インキ層30の厚さは2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは2〜5μmである。背景インキ層30に白インキを用いる場合,背景インキ層30の厚さが2μm未満だと,背景インキ層30の隠蔽が不十分で白色度が低下し、レーザー印刷された文字や図柄のコントラストが低下するので好ましくない。ただし、2μm未満のインキ塗膜でも充分な白色度が得られる場合はその限りではない。一方、背景インキ層30に白インキを用いる場合,背景インキ層30の厚さが10μmを越えても白色度の向上は望めず、更には塗膜の耐摩耗性が低下するため無駄である。
【0054】
<レーザー印刷用積層体/レーザー印刷方法>
これまで説明したレーザー印刷用積層体1に対するレーザー印刷方法について説明する。レーザー印刷用積層体1のレーザー印刷層3にレーザー印刷するとき,レーザー光の出力・焦点が調整される。
【0055】
レーザー印刷用積層体1にレーザー印刷する前,遮光インキ層31を貫通したり、樹脂成分の炭化で発現した黒点を除去してしまったりすることがない程度に,レーザー光の出力は調整され,更に,GS1DataBar等の複雑かつ細密なシンボルをもレーザー印刷することができるようにレーザー光の焦点を調整した後,ガルバノスキャニング方式などの走査方式を用い,印刷バターンに従いレーザー光の照射位置を制御しながら,レーザー印刷用積層体1に対してレーザー印刷が実施される。
【0056】
このようにレーザー印刷することで,レーザー印刷された印刷パターンは黒色を呈するため,背景インキ層30に白色インキを用いれば,レーザー印刷された印刷パターンのコントラストは最大に高められ,適切なレーザーを選択すれば高精細なレーザー印刷も可能になり,倍率1.0の最小バー幅0.33mmは基より、倍率0.52倍の最小バー幅0.17mmのGS1DataBar等の複雑かつ細密なシンボルをもレーザー印刷することができるようになり、更には、モジュール幅0.16mmのQRコード、Data Matrix等の二次元バーコードをもレーザー印刷することができる。
【0057】
本願発明のレーザー印刷方法に利用できるレーザーとしては,赤外線レーザー,YAGレーザー、炭酸ガスレーザー、半導体レーザー等が考えられるが、遮光インキ層31に銀インキを用い,背景インキ層30に白インキを用いる場合,赤外線レーザーの一つであるYVO4レーザーが好適で,その中でも特に、ビーム中心の1点にパワーが集中するシングルモード(ガウシアンモード)ビームのYVO4レーザーが、安定したパワーをレーザー印刷層3に加えられるため、文字、図柄、およびシンボル等の高精細な印刷に適している。
【0058】
<レーザー印刷用積層体/基材フィルム>
ここから,レーザー印刷用積層体1の基材フィルム2について説明する。基材フィルム2の仕様は,レーザー印刷用積層体1が利用して成形される包装体の要求仕様に対応し,中間層、ヒートシール層、粘着層、剥離シートなどを必要に応じて基材フィルム2に積層してもよい。
【0059】
なお,本願発明で使用する基材フィルム2の厚さは、特に制限を受けるものではないが、包装材料としての適性及び加工性を考慮すると、単層又は積層に係わらず,基材フィルム2の厚さは12〜120μmであることが好ましく、より好ましくは12〜80μmである。
【0060】
まず,基材フィルム2について説明する。基材フィルム2としては透明フィルムを用いることが好適で,基材フィルム2に一部にレーザー印刷層3を形成しておけば、レーザー印刷用積層体1を利用した装体の内容物を目視で確認できるようにすることができるようになるが、紙、熱可塑性樹脂製を含む滅菌紙や、金属蒸着フィルム、乳白色フィルム、パール調フィルム等の遮光性フィルムを用いても構わない。
【0061】
透明フィルムとしては,例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルム;ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム;6,6−ナイロン等のポリアミドフィルム;ポリカーボネートフィルム;ポリアクリロニトリルフィルム;ポリイミドフィルム等を,基材フィルム2に用いることができる。
【0062】
上述した透明フィルムは、延伸、未延伸のどちらでもよいが、機械強度や寸法安定性を有するものが好ましく,耐熱性や機械的強度に優れる二軸延伸ポリプロピレンフィルムを好適に使用することができる。二軸延伸ポリプロピレンフィルムを基材フィルム2に利用すると,レーザー光の出力の調整が困難な場合であっても、レーザー印刷層3を透過したレーザー光によりフィルムが分解して生じる臭気の発生を極力回避することができる。
【0063】
当然のことながら,上述した透明フィルムには、上記樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができる。
一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、染料、顔料等の着色剤などに加え、改質用樹脂等も使用することができる。
【0064】
更に、本願発明では,レーザー印刷層3の遮光インキ層31によってレーザー光が遮光され,ガスバリア性を損なうことはないため,透明なガスバリアフィルムを基材フィルム2として用いることができる。
【0065】
基材フィルム2として利用できる透明なガスバリアフィルムとしては、ポリ塩化ビニリデン系樹脂フィルム、ポリ塩化ビニリデン系樹脂やポリビニルアルコールを主成分とする組成物をコーティングした樹脂フィルム、メタキシレンジアミン(MXD)ナイロンなどの延伸ポリアミド系樹脂フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂層を含む二軸延伸多層ポリアミドフィルム、環状ポリオレフィンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物からなるフィルム、基材層に酸化珪素、酸化アルミニウム等の金属酸化物の透明蒸着膜を有する樹脂のフィルム等が挙げられる。
【0066】
なお、金属酸化物の蒸着膜を有するフィルムの基材層としては、ポリエチレンテレフタレイト等のポリエステル系樹脂フィルム、各種ナイロン等のポリアミド系樹脂フィルム、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリブデン樹脂フィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレイト樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニリデンフィルム、アセタール系樹脂フィルム、フッ素系樹脂、その他がある。また、無機酸化物の蒸着膜の膜厚としては、厚さ50〜3000Å、より好ましくは100〜1000Åのものを好適に使用することができる。このようなフィルムとしては、市販品を使用することもでき、例えば、大日本印刷株式会社製、製品名「IB−PET−WUB」、「IB−ON−FWRC」などを好適に使用することができる。
【0067】
レーザー印刷用積層体1の基材フィルム2として透明なガスバリアフィルムを用いても、そのガスバリア性を損なうことはないが,強力なレーザー光を照射するレーザーを誤って選択してしまうと,該レーザー光が遮光インキ層31を貫通し、基材フィルム2のガスバリア性が損なわれる可能性もあるが、この場合はレーザー印刷された印刷パターンの機械的読み取りが不能になるため、レーザー印刷された印刷パターンの読み取りが可能か否か機械検査を実施することによって、レーザー印刷により基材フィルム2がダメージを受けたか否かを判断できる。
【0068】
次に、基材フィルム2に機能性フィルム等を積層させた形態について説明する。
【0069】
基材フィルム2に積層するときは、基材フィルムを二軸延伸ポリプロピレンフィルムとし,他の透明フィルムを積層させた形態が好適で,例えば、二軸延伸ポリプロピレンフィルムに、接着層を介して他の2層以上のフィルムを積層した形態であっても構わない。積層可能な他のフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−ビニルアルコールフィルム、ポリアミドフィルム、アクリル酸エステル又はメタアクリル酸エステルを主成分とするアクリル樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリアセタールフィルム、アセチル・ジ又はトリ・セルロースの繊維素誘導体フィルムや、ポリカーボネートフィルムなどを例示することができる。
【0070】
基材フィルム2に機能性フィルム等を積層させた最も簡単な構成は,レーザー印刷用積層体1を袋状の包装体(例えば,シール袋やピロー包装)に利用するために、例えば、二軸延伸ポリプロピレンフィルムである基材フィルム2に,10〜200μm程度の厚みの範囲でヒートシール層を積層させた構成である。
【0071】
基材フィルム2に積層させるヒートシール層としては、熱によって溶融し相互に融着し得る各種の熱融着性を有するポリオレフィン系樹脂等を使用することができし,エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物、環状ポリオレフィン、ポリアクリロニトリル等の、ヒートシール性を有すると共にバリア性を有するフィルムを用いることもできる。
【0072】
具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、及びそれらの金属架橋物等の樹脂、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の樹脂からなる1種以上のフィルムもしくはシートまたは塗布膜などを使用することができる。上記のヒートシール層には、内容物の視認性が損なわれない範囲内で、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤等の各種添加剤を添加することができる。
【0073】
基材フィルム2に積層されるヒートシール層は、一般には、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂の1種または2種以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法、その他等の製膜化法を用いて単層で製膜化したもの、または2種以上の樹脂を使用して共押し出しなどで多層製膜したもの、または2種以上の樹脂を混合使用して製膜することができる。
【0074】
なお、基材フィルム2に、ヒートシール層の代わりに,粘着層を介して積層された剥離シートを積層させると、レーザー印刷用積層体1をラベルとして使用することもできる。このような粘着層や剥離シートは、従来のラベルに使用されるものを利用できる。また、基材フィルム2に滅菌紙を用いた場合、本発明では滅菌紙にダメージを与えないので、滅菌紙を用いて作成した袋体、または、蓋材を用いた滅菌包装体において、滅菌後の無菌性を維持でき、好都合である。
【0075】
加えて,基材フィルム2に機能性フィルム等を積層させた形態として,物理的強度の向上、ガスバリア性の向上等を目的とし、透明な基材フィルム2とヒートシール層の間に中間層を積層させた構成とすることができる。
【0076】
本発明の中間層に用いるフィルムは、目的に応じて選択され,例えば,ガスバリア性の向上等を目的とする場合,中間層に用いるフィルムにはガスバリア性を有するフィルムが用いられる。
【0077】
レーザー印刷用積層体1をシール袋に利用する場合,シール袋の内容物の形状によってはシール袋の表面に凸凹が発生し、レーザー印刷の機械読み取りが困難となり、誤読み取りが多発する場合があるが、基材フィルム2に二軸延伸ポリプロピレンフィルムを利用すれば、基材フィルム2の剛性を確保することができ、レーザー印刷の機械読み取りを円滑に行うことができる。更に、包装体のレーザー印刷が、ヒートシール時の熱収縮により生じるヒートシール部の波打ち現象の影響を受け易い場合には、耐熱性が大きい二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを基材フィルム2に使用することが好ましい。
【0078】
基材フィルム2に2層以上を積層させるときは、2液反応硬化型接着剤を用いて複数のフィルムを貼り合わせるドライラミネート法、無溶剤接着剤を用いて貼り合わせるノンソルベントラミネート法、上述した樹脂を加熱溶融させて押し出し貼り合わせるエキストルージョンラミネート法等の公知の積層方法によって形成することができる。Tダイ押し出しラミネーション法の場合は必要に応じてアンカーコート剤を用いることで製造される。
【0079】
<レーザー印刷用積層体/デザイン層>
レーザー印刷用積層体1の基材フィルム2の表側や裏側に形成されるデザイン印刷層4は,樹脂と溶媒から通常のインキビヒクルの1種ないし2種以上を調製し、これに、必要ならば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、その他等の助剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に、染料・顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練してインキ組成物を調整して得たインキ組成物を使用し,グラビア印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷、その他等の印刷方式で形成することができる。
【0080】
このようなインキビヒクルとしては、公知のもの、例えば、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム、その他などの1種または2種以上を併用することができる。インクビヒクルは、版から被印刷物に着色剤を運び、被膜として固着させる働きをする。
【0081】
また、溶剤によってインキの乾燥性が異なる。印刷インキに使用される主な溶剤は、トルエン、MEK、酢酸エチル、IPAであり、速く乾燥させるために沸点の低い溶剤を用いるが、乾燥が速すぎると印刷物がかすれたり、うまく印刷できない場合があり、沸点の高い溶剤を適宜混合することができる。これによって、細かい文字もきれいに印刷できるようになる。着色剤には、溶剤に溶ける染料と、溶剤には溶けない顔料とがあり、グラビアインキでは顔料を使用する。顔料は無機顔料と有機顔料に分けられ、無機顔料としては酸化チタン(白色)、カーボンブラック(黒色)、アルミ粉末(金銀色)などがあり、有機顔料としてはアゾ系のものを好適に使用することができる。
【0082】
<レーザー印刷用積層体を利用した包装体>
ここから,これまで述べたレーザー印刷用積層体1を利用した包装体について説明する。なお,レーザー印刷用積層体1を利用した包装体とは,包装体の完成品に加え,完成された包装体を成形する過程で生まれる半完成品も含まれる。
【0083】
例えば,ヒートシール層が基材フィルム2に積層されたレーザー印刷用積層体1を半折りした後に,三方をヒートシールすることで成形され,一つの開口部を有するシール袋の半完成品や,該シール袋の半完成品に内容物を収納した開口部をヒートシールしたシール袋の完成品も,本願発明の包装体に含まれる。
【0084】
まず,包装体の成形に利用される原反について説明する。図5は,レーザー印刷用積層体1が連続して印刷されたレーザー印刷用積層原反を説明する図で,図5(a)は,レーザー印刷用積層体1が複数列連続されて印刷された第1のレーザー印刷用積層原反5aで,図5(b)は,第1のレーザー印刷用積層原反5aがスリッター加工されて製造される第2のレーザー印刷用積層原反5bを説明する図である。
【0085】
材質が基材フィルム2である巻き取り原反に所定のレーザー印刷層3やデザイン層4が印刷加工されて,図5(a)で図示したような,レーザー印刷用積層体1が複数列連続されて印刷された第1のレーザー印刷用積層体原反5aが製造され,第1のレーザー印刷用積層体原反5aがスリッター加工されて,図5(b)で図示したような,小巻の第2のレーザー印刷用積層体原反5bが製造される。なお、デザイン印刷層4の印刷加工面は、レーザー印刷層3と同一面上である必要性は無く、むしろ、表面に出さず、積層フィルムの内面に設けるのが一般的である。
【0086】
第1のレーザー印刷用積層体原反5aをそのまま包装機械に装着し,包装機械上でレーザー印刷をオンラインで行い,シール袋やラベル材などの包装体を製造することもできるが、一般的には,第1のレーザー印刷用積層体原反5aがスリッター加工されて製造される第2のレーザー印刷用積層体原反5bが包装機械に装着されて包装体が成形される。
【0087】
なお、完成された包装体にレーザー印刷を施すことも可能で、完成された包装体においてレーザー印刷用積層体1の平面性が損なわれなければ,レーザー印刷を容易に実施できる。また、加熱収縮が少なく、平面性が損なわれていなければ、ヒートシール部にレーザー印刷を施すことも可能である。レーザー印刷部の平面性は、レーザー印刷する際にも重要だが、バーコード等、機械でレーザー印刷物を読み取る際にも重要な事柄である。
【0088】
次に,レーザー印刷用積層体1を利用した包装体の形態について例を示しながら説明する。
【0089】
<レーザー印刷用積層体を利用した包装体/シール袋>
レーザー印刷用積層体1を利用した包装体の形態としてシール袋が挙げられる。シール袋には,シール袋に収納する内容物の酸化防止を防ぐためにガスバリア性が求められることが多く,ガスバリア性を損なうことなくレーザー印刷可能なレーザー印刷用積層体1の用途に適している。
【0090】
レーザー印刷用積層体1を利用してシール袋を成形するとき,ヒートシール層が積層された基材フィルム2が用いられ,該レーザー印刷用積層体1のレーザー印刷層3にレーザー印刷した後,該レーザー印刷用積層体1の基材フィルム2に積層されたヒートシール層を対向して重ね、一端に開口部を残して他の周縁端部をヒートシールしてシール袋の半完成品が形成される。
【0091】
なお,シール袋の形態としては、筒状タイプ、三方シールタイプ、四方シールタイプ、スタンディングパウチ、ガセットタイプ、封筒貼りシールタイプ、縦ピロー、横ピローなどのピロー包装形態等を任意に選ぶことができ、特に限定されるものではない。
【0092】
加えて、ヒートシールの方法としては、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の周知の方法で行うことができる。なお、袋体のヒートシール部には易開封性手段として開封用ノッチを設けてもよい。
【0093】
シール袋の半完成品には,固体,液体、粘調体、粉体、顆粒状等の内容物が開口部から収納された後、開口部がヒートシールされて密封され,内容物が収納されたシール袋の完成品が製造される。なお,内容物の酸化を防止するために,内容物と共に脱酸素剤がシート袋に封入されることが一般的である。
【0094】
<レーザー印刷用積層体を利用した包装体/ブリスターパック>
更に、レーザー印刷用積層体1を利用した包装体の形態としてブリスターパックが挙げられ,レーザー印刷用積層体1はブリスターパックの蓋材として利用される。
【0095】
なぜなら,シリンジなどの医療器具を収納するブリスターパックに対しては、安全、安心への要求が極めて高く、医療器具の原材料情報等のトレーサビリティに関する情報提供の要望が強い。
上述しているように,レーザー印刷用積層体1のレーザー印刷層3には細密なレーザー印刷が可能で,GS1DataBar等の2次元バーコードをレーザー印刷することができるため、レーザー印刷用積層体1を,医療器具などを収納するブリスターパックの蓋材に利用すれば,トレーサビリティに関する情報などがエンコードした2次元バーコードをレーザー印刷でき、上記要求を担保することができる。
【0096】
図6は,レーザー印刷用積層体1を蓋材に利用したブリスターパック6を説明する図で,図6(a)は側面図,図6(b)は平面透視図である。
【0097】
レーザー印刷用積層体1をブリスターパック6の蓋材とするとき,ヒートシール層が基材フィルム2に積層された基材フィルム2が用いられ,図6(a)で図示したように、開口部をヒートシールしうるプラスチック製容器60にシリンジなどの内容物62や、必要に応じて併用しうる脱酸素剤63を同封し、該開口部にレーザー印刷用積層体1の最内に設けられたヒートシール層を対向して重ねてヒートシールしたヒートシール部61が設けられたブリスターパック6が成形される。
【0098】
図6(b)で図示したように,プラスチックで内容物の形状に適した形状のプラスチック容器60を成型しておき、2次元バーコード64(ここでは,RSS-Limited Stacked CCA)をレーザー印刷したレーザー印刷用積層体1を蓋材として使用すると、蓋材に印刷されたコンポジットコードである2次元バーコード64をバーコードリーダで読み取れば,内容物62のトレーサビリティを容易に確認できるようになし,また,蓋材として使用するレーザー印刷用積層体1の基材フィルム2として透明のフィルムを利用すれば,ブリスターパック6に収納された内容物62を目視で確認できるようになる。
【0099】
なお,ブリスターパック6の本体になるプラスチック製容器60は、開口部がヒートシールしうるものであればよく、滅菌紙や不透明なフィルムを積層し、または他の異材質との組み合わせにより外観が不透明なものであってもよい。プラスチック製容器60の開口部がヒートシール可能であれば、ヒートシール性を備えたレーザー印刷用積層体1を蓋材として使用することできる。
【0100】
<レーザー印刷用積層体を利用した包装体/製造方法>
上述したようなレーザー印刷用積層体1を利用した包装体は、従来公知の方法で包装体を製造することができる。図7は,シール袋の一つである横ピロー包装体を製造する横ピロー包装機8の概略外観図である。
【0101】
例えば、横ピロー包装体を製造する場合には、図7に示すように、上述した第2のレーザー印刷用積層体原反5bのような,レーザー印刷用積層体1が連続して印刷された巻き取り原反80が横ピロー包装機8に装着され、定量送りローラー84aによって印刷図柄1単位毎に間歇送りを行い、受け台81でレーザー印刷用積層体1を平面状とし、その上部に設けたレーザー光照射装置82(シングルモードのYVO4レーザー)からレーザー光を照射してレーザー印刷用積層体1のレーザー印刷層3にレーザー印刷を行い、次いで、印刷検査装置83で、レーザー印刷が正常であったかどうか確認し、その後に、ダンサーロール85を上下させながらレーザー印刷用積層体1を通過させ、間歇送りから定量送りローラー84bに切り換えて連続的に送りだし、次いでフォーマー86で筒状に形成し、ヒートシール装置87aにより背シールを施すと共に内容物89aを内包させ、次いでヒートシール装置87bによって開口部をヒートシールおよび切断して包装体89を製造し、排出コンベア88から製造した包装体89を排出させる。
【0102】
上記のようにレーザー印刷工程についで印刷検査工程を設けることで、所定の基準に達しないレーザー印刷を有する包装体89を除去し、製品の品質を向上させることができる。このような検査工程では、例えばレーザー印刷用積層体1に予め光電管マーク等を印刷しておき、別途のセンサーで光電管マークの位置を読み取り、印刷検査装置83の検査位置に印刷部を停止させる。印刷検査装置83は、赤色LEDやCCDカメラ等を用いて印刷内容を検査するものであり、コントラストなどの所定項目を測定し評価する。このような評価基準は適宜選択することができるが、たとえば、実施例に示す米国基準ANSI X3.182は、などに準じて評価することができる。所定の基準に到達しない印刷不良を発見した場合はアラーム信号を出力して、当該不良印刷部を含むレーザー印刷用積層体1に目印となるラベルを貼ったり、内容物89aの包装を止めて前記の不良積層体で空の袋体を製造したりすることができる。尚、一次元バーコード、二次元バーコードのいずれも、赤色LED、または、CCDカメラで読み取ることができ、バーコードの評価はCCDカメラで実施することができる。
【0103】
また、レーザー印刷用積層体1を蓋材として用いるブリスターパックを製造する場合には、ブリスターパックの本体になるプラスチック製容器は、射出成形、ブロー成形、シート成形などで製造され,トレーシーラーなどが用いられて,蓋材となるレーザー印刷用積層体1とプラスチック製容器がヒートシールされて密封される。
【実施例】
【0104】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
(実施例1)
透明の基材フィルム2として、厚さ30μm、幅620mmの両面コロナ処理二軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学株式会社製、製品名「FOS−BT」)を使用し、グラビア両面印刷機を用いて、該基材フィルム2の裏面にデザイン印刷層4を形成した後、該基材フィルム2を表裏反転させ、該基材フィルム2の表面の所定位置にアルミニウム箔片含有銀インキ(ザ・インクテック株式会社製、製品名「CLIOS銀」)を用いて、24mm×74mmで印刷して遮光インキ層31を形成し、次いで、酸化チタン顔料の白インキ(大日精化工業株式会社製、製品名「NT−HRカラー」)で遮光インキ層31を隠蔽ように25mm×75mmの背景インキ層30を印刷してレーザー印刷層3を形成して、実施例1のレーザー印刷用積層体1を製造した。
【0105】
次いで、実施例1のレーザー印刷用積層体1の前記二軸延伸ポリプロピレンフィルムのデザイン印刷層4が形成された面の側に、二液硬化型ウレタン樹脂系アンカー剤を塗布しつつ、厚さ30μm、幅640mmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(東洋紡績株式会社製、製品名「L4102」)を、溶融ポリエチレン樹脂の押し出しラミネーションで貼り合わせ、幅640mmのレーザー印刷用積層体原反を製造した。
【0106】
(実施例2)
透明の基材フィルム2として、厚さ25μm、幅660mmの両面コロナ処理二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(フタムラ化学株式会社製、製品名「FE2002」)を使用し、グラビア両面印刷機を用いて、実施例1と同様にして、該基材フィルム2の裏面にデザイン印刷層4を形成し、表面の所定位置に遮光インキ層31と背景インキ層30を印刷してレーザー印刷層3を形成して、実施例2のレーザー印刷用積層体1を製造した。
【0107】
次いで、実施例2のレーザー印刷用積層体1の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのデザイン印刷層が形成された面の側に、厚さ30μm、幅660mmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(東洋紡績株式会社製、製品名「L4102」)を二液硬化型ウレタン樹脂系接着剤を用いて貼り合わせ、幅660mmの第1のレーザー印刷用積層体原反を製造した後、両端を取り除きながらスリット加工を施して、幅420mmのレーザー印刷用積層体原反を得た。
【0108】
(実施例3)
透明の基材フィルム2として、厚さ12μm、幅860mmのアルミナ蒸着二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(大日本印刷株式会社製、製品名「IB−PET−WPUB」)を使用し、グラビア両面印刷機を用いて、実施例1と同様にして、透明の基材フィルム2の裏面(蒸着面側)にデザイン印刷層4を形成し、表面の所定位置に銀インキ層と白インキ層を印刷してレーザー印刷層3を形成して、実施例3のレーザー印刷用積層体1を製造した。
【0109】
次いで、実施例3のレーザー印刷用積層体1の前記二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのデザイン印刷層が形成された面の側に、厚さ15μm、幅860mmの両面コロナ処理二軸延伸ポリアミドフィルム(東洋紡績株式会社製、製品名「N2202」)と、厚さ30μm、幅860mmのポリプロピレン容器用イージーピールシーラントフィルム(株式会社DNPテクノフィルム製、製品名「JME41CA」)とを、この順に二液硬化型ウレタン樹脂系接着剤を用いて貼り合わせ、幅860mmの第1のレーザー印刷用積層体原反を製造した後、両端を取り除きながら2列にスリット加工を施して、幅420mmのレーザー印刷用積層体原反を得た。
【0110】
(実験1)
実施例1〜3で作成したレーザー印刷用積層体原反上に形成されているレーザー印刷用積層体1のレーザー印刷層3それぞれに、シングルモードビームYVO4レーザー印刷機(株式会社キーエンス製、商品名「MD−V9900」)を用いて、周波数40kHz、出力:平均出力(13W)の40%、スキャンスピード1000mm/sの条件で、一次元バーコード(RSSリミテッド)と二次元バーコード(CCA)とで構成されるコンポジットコードであるRSS-Limited Stacked CCAを、最小バー幅0.25mmで印刷した。上記条件で、該レーザー印刷層3の背景インキ層30の一部が除去され、遮光インキ層31の表面が除去されつつ両インキ中の樹脂分が炭化して黒色を呈し、該RSS-Limited Stacked CCAが印刷された。
【0111】
(実験2)
実験1で印刷を行った後に、YVO4レーザー印刷機にて印刷したRSS-Limited Stacked CCAの印刷部分の下部に白色板、または黒色板を敷き,検証機(ムナゾウ株式会社製、商品名「TC201−RL」)でRSS-LimitedとCCAの印刷品質の検証を行い、米国基準ANSI X3.182の規定に準じて評価した。なお、米国基準ANSI X3.182は、エレメント判定/エッジ判定(Element/Edge)、復号(Decode)、デコーダビリテイ(復号容易度;Decodability)、最小反射率(Reference Minimum)、シンボルコントラスト(Symbol Contrast)、最小エッジコントラスト(ECmin)、モジュレーション(変位幅;Modulation)欠陥(ポイド/スポット;Defects)の8つの項目を評価したのち所定の基準で総合評価し、その結果をA、B、C、D、Fの5段階で示すものである。Aが最高グレードであり、B、C、Dの順にグレードが低下し、Fは欠陥を示す。結果を表1に示す。
【0112】
【表1】

【0113】
表1の結果から、実施例1〜3で作成したレーザー印刷用積層体原反上に形成されているレーザー印刷用積層体1のレーザー印刷層3それぞれに,コンポジットコードであるRSS-Limited Stacked CCAなど,2次元バーコードを含むバーコードがレーザー印刷可能であることが示された。加えて,レーザー印刷用積層体1のレーザー印刷層3に含まれる遮光インキ層31が裏面からの光も遮光し,レーザー印刷用積層体1の裏側に存在する物体の色の影響を受けないことも判明した。このことは、レーザー印刷用積層体1の基材フィルム2が透明で内容物の視認が可能でありながら、内容物の色、模様、及び影がレーザー印刷されたバーコードの機械的読み取りに影響を及ぼさないという効果があることを示している。
【0114】
(実験3)
真空圧空成型方式ブリスター包装機(ムルチバック社製、製品名「R240」)に、蓋材として実施例3のレーザー印刷用積層体原反をセットし、レーザー印刷機を蓋材ヒートシールセクションの次のセクションに据え付けて、製造年月日、及び最小バー幅0.25mmのRSS-Limited Stacked CCAを、レーザー印刷しながらブリスター包装を実施し、図6(a)で図示したようなブリスターパックを製造した。
【0115】
ブリスターパックの蓋材にレーザー印刷されたRSS-Limited Stacked CCAを検証機で検証した結果、内容物がレーザー印刷部の背面に存在するにも拘らず、RSS-LimitedはCグレード、CCAはBグレードの評価結果が得られ、本発明の効果が明白となった。
【0116】
(実験4)
実験3で製造したブリスターパックの蓋材を剥がし、レーザー印刷されたレーザー印刷用積層体1の、温度23℃、湿度90%RHの条件下における酸素透過度と、温度40℃、湿度100%RHの条件下における水蒸気透過度を測定した(酸素透過度測定機:MOKON社製、機種名「OX−TRAN2/20」、水蒸気透過度測定機:MOCON社製、機種名「PERMATRAN3/31」)。尚、比較対照としてレーザー印刷されていないレーザー印刷用積層体1についても同様に測定した。この結果を表2に示す。
【0117】
【表2】

【0118】
表2の結果から、本発明に係るレーザー印刷は、遮光インキ層31がレーザー印刷時のレーザー光透過を防止するため、バリア性を有する基材フィルム2にダメージを与えないため、レーザー印刷後であってもバリア性を容易に担保することができることが判明した。
また、万一レーザー光が遮光インキ層31を破壊してしまうと、レーザー印刷された印刷パターンの品質が悪化して機械的読み取りも不能になるため、レーザー印刷後に機械的読み取り装置で検査、または検証することによって、バリア性が低下した積層体の流通を防止することができる。
【符号の説明】
【0119】
1 レーザー印刷用積層体
2 基材フィルム
3 レーザー印刷層
30 背景インキ層
31 遮光インキ層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属粒子を含有する遮光インキ層と,前記遮光インキ層の一部又は全てを隠蔽するように形成され,顔料を含有する背景インキ層とを含むレーザー印刷層が基材フィルム上の一部に形成されていることを特徴とするレーザー印刷用積層体。
【請求項2】
前記背景インキ層は,白色顔料を含有していることを特徴とする,請求項1に記載するレーザー印刷用積層体。
【請求項3】
前記遮光インキ層は,アルミニウム粒子を含有していることを特徴とする,請求項1又は請求項2に記載するレーザー印刷用積層体。
【請求項4】
前記遮光インキ層は,アルミニウム粒子に加えて白色顔料を含有していることを特徴とする,請求項3に記載するレーザー印刷用積層体。
【請求項5】
前記基材フィルムにヒートシール層を積層したことを特徴とする,請求項1から請求項4のいずれか一つに記載するレーザー印刷用積層体。
【請求項6】
前記基材フィルムにガスバリア性フィルムを積層したことを特徴とする,請求項1から請求項4のいずれか一つに記載するレーザー印刷用積層体。
【請求項7】
前記基材フィルムに二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いることを特徴とする,請求項1から請求項4のいずれか一つに記載するレーザー印刷用積層体。
【請求項8】
金属粒子を含有する遮光インキ層と,前記遮光インキ層の一部又は全てを隠蔽するように形成され,顔料を含有する背景インキ層とを含むレーザー印刷層が基材フィルム上の一部に形成されているレーザー印刷用積層体に対するレーザー印刷方法であって,前記背景インキ層については,レーザー光の大部分が透過し,前記遮光インキ層については,レーザー光が前記金属粒子で遮光されるように調整されたレーザー光を,印刷パターンに従い走査させることを特徴とするレーザー印刷方法。
【請求項9】
前記レーザー印刷用積層体に照射するレーザー光はシングルモードのYVO4レーザー光であることを特徴とする,請求項8に記載するレーザー印刷方法。
【請求項10】
金属粒子を含有する遮光インキ層と,前記遮光インキ層の一部又は全てを隠蔽するように形成され,顔料を含有する背景インキ層とを含むレーザー印刷層が基材フィルム上の一部に形成されているレーザー印刷用積層体を利用して成形された包装体。
【請求項11】
前記基材フィルムには最内層にヒートシール層が積層され,前記レーザー印刷用積層体を折り,折られた後の該レーザー印刷用積層体の少なくとも一端をヒートシールすることで袋状に成形された,請求項10に記載する包装体。
【請求項12】
前記基材フィルムには最内層にヒートシール層が積層され,前記レーザー印刷用積層体の該ヒートシール層と,プラスチック製容器のヒートシール層をヒートシールすることで成形された,請求項10に記載する包装体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−5707(P2011−5707A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150344(P2009−150344)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】