説明

レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、レリーフ印刷版、及びレリーフ印刷版の製造方法

【課題】彫刻感度が充分に高く、レーザー彫刻により直接製版が可能であり、且つ、その際に発生する不快臭を抑制しうるレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、該レリーフ印刷版原版を用いたレリーフ印刷版の製造方法、及び該製造方法により得られたレリーフ印刷版を提供すること。
【解決手段】(A)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物、(B)バインダーポリマー、及び、(C)消臭能を有する化合物を少なくとも含有するレリーフ形成層を有するレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、レリーフ印刷版、及びレリーフ印刷版の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
支持体表面積に積層された感光性樹脂層に凹凸を形成して印刷版を形成する方法としては、感光性組成物を用いて形成したレリーフ形成層に、原画フィルムを介して紫外光により露光し、画像部分を選択的に硬化させて、未硬化部を現像液により除去する方法、いわゆる「アナログ製版」がよく知られている。
【0003】
レリーフ印刷版は、凹凸を有するレリーフ層を有する凸版印刷版であり、このような凹凸を有するレリーフ層は、主成分として、例えば、合成ゴムのようなエラストマー性ポリマー、熱可塑性樹脂などの樹脂、或いは、樹脂と可塑剤との混合物を含有する感光性組成物を含有するレリーフ形成層をパターニングし、凹凸を形成することにより得られる。このようなレリーフ印刷版うち、軟質なレリーフ層を有するものをフレキソ版と称することがある。
【0004】
レリーフ印刷版をアナログ製版により作製する場合、一般に銀塩材料を用いた原画フィルムを必要とするため、原画フィルムの製造時間及びコストを要する。更に、原画フィルムの現像に化学的な処理が必要で、且つ、現像廃液の処理をも必要とすることから、更に簡易な版の作製方法、例えば、原画フィルムを用いない方法、現像処理を必要としない方法などが検討されている。
【0005】
近年は、原画フィルムを必要とせず、走査露光によりレリーフ形成層の製版を行う方法が検討されている。
原画フィルムを必要としない手法として、レリーフ形成層上に画像マスクを形成可能なレーザー感応式のマスク層要素を設けたレリーフ印刷版原版が提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。これらの原版の製版方法によれば、画像データに基づいたレーザー照射によりマスク層要素から原画フィルムと同様の機能を有する画像マスクが形成されるため、「マスクCTP方式」と称されており、原画フィルムは必要ではないが、その後の製版処理は、画像マスクを介して紫外光で露光し、未硬化部を現像除去する工程であり、現像処理を必要とする点でなお改良の余地がある。
【0006】
現像工程を必要としない製版方法として、レリーフ形成層をレーザーにより直接彫刻し製版する、いわゆる「直彫りCTP方式」が多く提案されている。直彫りCTP方式は、文字通りレーザーで彫刻することにより、レリーフとなる凹凸を形成する方法で、原画フィルムを用いたレリーフ形成と異なり、自由にレリーフ形状を制御することができるという利点がある。このため、抜き文字の如き画像を形成する場合、その領域を他の領域よりも深く彫刻する、或いは、微細網点画像では、印圧に対する抵抗を考慮し、ショルダーをつけた彫刻をする、なども可能である。
しかしながら、所定の厚みを有するレリーフ形成層に印圧に耐える凹凸を有するレリーフを形成するには高エネルギーを要し、レーザー彫刻の速度が遅いため、マスクを介して画像形成するタイプに比較し、生産性が低いという問題がある。
【0007】
このため、レリーフ原版の感度を向上させることが試みられており、例えば、エラストマー発泡体を含むレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。この技術では、レリーフ形成層に密度の低い発泡体を用いることで、彫刻感度の向上を図っているが、低密度の材料であるため印刷版としての強度が不足し、耐刷性が著しく損なわれるという問題がある。
【0008】
また、例えば、特許文献4〜6には、レーザー彫刻可能なフレキソ版原版、或いはレーザー彫刻によって得られたフレキソ版が開示されている。これら文献では、バインダーとしてエラストマー性のゴムにモノマーを混合し、熱重合機構或いは光重合機構によりこれら混合物を硬化させた後、レーザー彫刻を行い、フレキソ版を得ているが、レーザー彫刻時にゴムが焼け焦げたような不快臭が発生するという問題がある。
【0009】
また、直彫りCTP方式が有する課題として、レーザー彫刻の速度が遅いことが挙げられる。これはマスクCTP方式では、アブレーションすべき対象のマスク層要素の厚さが1〜10μm程度であるのに対し、直彫りCTP方式では直接レリーフを形成する機能上、少なくとも100μmは彫刻する必要があるためである。
そのため、レーザー彫刻感度の向上を図った提案が、下記のように、いくつかなされている。
【0010】
例えば、エラストマー発泡体を含むレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版が提案されている(例えば、特許文献7参照。)。この技術では、密度の低い発泡体を用いることで、彫刻感度の向上を図っているが、低密度の材料であるため印刷版としての強度が不足し、耐刷性が著しく損なわれるという問題がある。
例えば、炭化水素系の気体を封入したマイクロスフィアを含有するレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版が提案されている(例えば、特許文献8参照。)。この技術では、レーザーで発生する熱によりマイクロスフィア内の気体が膨張して、被彫刻材料を崩壊させるシステムにより、彫刻感度の向上を図っているが、気泡を含む材料系なので、印刷版としての強度は不足しやすいという問題がある。また、気体は固体に比べて熱で膨張しやすい性質があり、熱変形開始温度の高いマイクロスフィアを選択しても、外温の変化による体積変化はさけられないことから、厚み精度の安定性が要求される印刷版に、気泡を含む材料を用いることは適していない。
例えば、天井温度が600度K未満の高分子充填剤を含有するレーザー彫刻用樹脂凸版印刷版が提案されている(例えば、特許文献9参照。)。この技術では、解重合温度の低い高分子充填剤を添加することで彫刻感度の向上を図っているが、このような高分子充填剤を用いると、印刷版原版の表面に凹凸がついてしまい、印刷品質に重大な影響を与えるといった問題を有する。
【0011】
また、レーザー彫刻に供した際に発生する不快臭を抑制する技術としては、例えば、繰り返し単位として45質量%以上のエチレン単位を含む重合体と、有機過酸化物とを含有する重合体組成物が架橋されてなるレーザー加工用重合体材料からなることを特徴とするフレキソ印刷版が提案されている(例えば、特許文献10参照)。このフレキソ印刷版によれば、重合体材料からの臭気を改善することができる。
【0012】
以上のように、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版のレリーフ形成層に関しては種々の技術が提案されているが、レーザー彫刻に供した際の彫刻感度を高く保ちつつ、レーザー彫刻時に発生する不快臭を抑制したものは、未だ殆ど提供されていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第2773847号公報
【特許文献2】特開平9−171247号公報
【特許文献3】特開2002−357907号公報
【特許文献4】特許第2846954号公報
【特許文献5】特開平11−338139号公報
【特許文献6】特開平11−170718号公報
【特許文献7】特開2000−318330号公報
【特許文献8】米国特許出願公開2003/180636号明細書
【特許文献9】特開2000−168253号公報
【特許文献10】特開2002−3665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、彫刻感度が充分に高く、レーザー彫刻により直接製版が可能であり、且つ、その際に発生する不快臭を抑制しうるレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、及び該レリーフ印刷版原版を用いたレリーフ印刷版の製造方法、並びに該製造方法により得られたレリーフ印刷版を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版は、(A)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物、(B)バインダーポリマー、及び、(C)消臭能を有する化合物を含有するレリーフ形成層を有することを特徴とする。
【0016】
本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版において、(A)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物が、分子内に硫黄原子を有する化合物であることが好ましい。
また、(C)消臭能を有する化合物は、ポリフェノール類から選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
特に、ポリフェノール類から選択される少なくとも1種の化合物としては、カテコール基及びピロガロール基の少なくとも一方を有する化合物であることが好ましく、下記構造式(I)で表される官能基を有する化合物であることも好ましい。
【0017】
【化1】

【0018】
更に、ポリフェノール類から選択される少なくとも1種の化合物が、カテキン誘導体であることも好ましい態様である。
加えて、本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層は、レリーフ形成層が、(D)700nm〜1300nmの波長の光を吸収可能な光熱変換剤を更に含有することが好ましく、また、光及び熱の少なくとも一方により硬化するものであることが好ましい。
【0019】
本発明のレリーフ印刷版の製造方法は、(1)本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層を光及び熱の少なくとも一方により架橋する工程、及び、(2)架橋されたレリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程、を含むことを特徴とする。
また、前記(1)工程が、レリーフ形成層を熱により架橋する工程であることが好ましい。
【0020】
本発明のレリーフ印刷版は、本発明のレリーフ印刷版の製造方法により製造された、レリーフ層を有することを特徴とする。
本発明のレリーフ印刷版において、レリーフ層の厚みが、0.05mm以上10mm以下であることが好ましく、また、レリーフ層のショアA硬度が、50°以上90°以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、彫刻感度が充分に高く、レーザー彫刻により直接製版が可能であり、且つ、その際に発生する不快臭を抑制しうるレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、及び該レリーフ印刷版原版を用いたレリーフ印刷版の製造方法、並びに該製造方法により得られたレリーフ印刷版を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に適用しうるファイバー付き半導体レーザー記録装置を備える製版装置を示す概略構成図(斜視図)である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、レリーフ印刷版、及びレリーフ印刷版の製造方法について詳細に説明する。
【0024】
[レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版]
本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版は、(A)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物、及び(B)バインダーポリマー、(C)消臭能を有する化合物を少なくとも含有するレリーフ形成層を有する。
以下、本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版については、単に、「本発明のレリーフ印刷版原版」とも称する。
【0025】
本発明のレリーフ印刷版原版は、レーザー彫刻に供した際の彫刻感度が充分に高く、高速でレーザー彫刻を行うことができるため、彫刻時間についても短縮することができると共に、また、レーザー彫刻時に発生する不快臭を抑えることができる。
以下、レリーフ形成層を構成する各成分について説明する。
【0026】
<(A)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物>
本発明におけるレリーフ形成層は、(A)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物を含有する。
本発明において用いられるエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物(以下、単に「重合性化合物」と称する場合がある。)は、エチレン性不飽和二重結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上、より好ましくは2個〜6個有する化合物の中から任意に選択することができる。
【0027】
以下、重合性化合物として用いられる、エチレン性不飽和二重結合を分子内に1つ有する単官能モノマー、及び、同結合を分子内に2個以上有する多官能モノマーについて説明する。
本発明におけるレリーフ形成層には、多官能モノマーが好ましく使用される。これらの多官能モノマーの分子量は、200〜2,000であることが好ましい。
単官能モノマー及び多官能モノマーとしては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)と多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。
【0028】
多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
【0029】
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0030】
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
【0031】
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
【0032】
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
更に、前述のエステルモノマーの混合物も挙げることができる。
【0033】
また、多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
【0034】
また、特開昭51−37193号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号の各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。更に日本接着協会誌Vol.20、No.7、300〜308頁(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも、使用することができる。
具体的には、NKオリゴ U−4HA、U−4H、U−6HA、U−6ELH、U−108A、U−1084A、U−200AX、U−122A、U−340A、U−324A、UA−100(以上、新中村化学工業製)、UA−306H、AI−600、UA−101T、UA−101I、UA−306T、UA−306I(以上、共栄社油脂製)、アートレジン UN−9200A、UN−3320HA、UN−3320HB、UN−3320HC、SH−380G、SH−500、SH−9832(以上、根上工業製)、PLEX6661−O(独・Degussa社製)等を挙げることができる。
【0035】
本発明においては、重合性化合物として、彫刻感度向上の観点から、分子内に硫黄原子を有する化合物を用いることが好ましい。
このように分子内に硫黄原子を有する重合性化合物としては、彫刻感度向上の観点から、特に、2つ以上のエチレン性不飽和結合を有し、そのうち2つのエチレン性不飽和結合間を連結する部位に炭素−硫黄結合を有する重合性化合物(以下、適宜、「含硫黄多官能モノマー」と称する。)を用いることが好ましい。
【0036】
本発明における含硫黄多官能モノマー中の炭素−硫黄結合を含んだ官能基としては、スルフィド、ジスルフィド、スルホキシド、スルホニル、スルホンアミド、チオカルボニル、チオカルボン酸、ジチオカルボン酸、スルファミン酸、チオアミド、チオカルバメート、ジチオカルバメート、又はチオ尿素を含む官能基が挙げられる。
【0037】
また、含硫黄多官能モノマーの分子内に含まれる硫黄原子の数は1つ以上であれば特に制限は無く、目的に応じて、適宜選択することができるが、彫刻感度と塗布溶剤に対する溶解性のバランスの観点から、1個〜10個が好ましく、1個〜5個がより好ましく、1個〜2個が更に好ましい。
一方、分子内に含まれるエチレン性不飽和部位の数は2つ以上であれば特に制限は無く、目的に応じて、適宜選択することができるが、架橋膜の柔軟性の観点で、2個〜10個が好ましく、2個〜6個がより好ましく、2個〜4個が更に好ましい。
【0038】
以下に好ましく用いられる含硫黄多官能モノマーの具体例を示す。
なお、下記具体例中のRは水素原子又はメチル基を示しており、分子中に複数存在するRは同じでも異なっていてもよい。
【0039】
【化2】

【0040】
【化3】

【0041】
【化4】

【0042】
【化5】

【0043】
本発明における含硫黄多官能モノマーは、硫黄原子含有ジカルボン酸とエポキシ基含有(メタ)アクリレートとの反応、硫黄原子含有ジオールとイソシアネート含有(メタ)アクリレートとの反応、ジチオールとイソシアネート含有(メタ)アクリレートとの反応、ジイソチオシアネートとヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとの反応、公知のエステル化反応などを用いて合成することができる。また、市販品を用いてもよい。
【0044】
本発明における含硫黄多官能モノマーの分子量としては、形成される膜の柔軟性の観点から、好ましくは120〜3000であり、より好ましくは120〜1500である。
【0045】
また、本発明における含硫黄多官能モノマーは単独で用いてもよいが、分子内に硫黄原子を持たない多官能重合性化合物や単官能重合性化合物との混合物として用いてもよい。
彫刻感度の観点からは、含硫黄多官能モノマー単独で用いる、若しくは、含硫黄多官能モノマーと単官能エチレン性モノマーとの混合物として用いる態様が好ましく、より好ましくは、含硫黄多官能モノマーと単官能エチレン性モノマーとの混合物として用いる態様である。
【0046】
本発明におけるレリーフ形成層は、含硫黄多官能モノマーをはじめとする重合性化合物を用いることにより、膜物性、例えば、脆性、柔軟性などを調整することもできる。
また、本発明におけるレリーフ形成層中の含硫黄多官能モノマーをはじめとする重合性化合物の総含有量は、架橋膜の柔軟性や脆性の観点から、5質量%〜90質量%の範囲が好ましく、10質量%〜75質量%がより好ましく、10質量%〜60質量%が更に好ましく、15質量%〜40質量%の範囲が特に好ましい。
なお、含硫黄多官能モノマーと他の重合性化合物とを併用する場合、全重合性化合物中の含硫黄多官能モノマーの量は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。
【0047】
<(B)バインダーポリマー>
本発明におけるレリーフ形成層は、(B)バインダーポリマーを含有する。
本発明において用いられる(B)バインダーポリマーは、レリーフ形成層に含有される主成分であり、通常は、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーなどを、目的に応じて用いる。
例えば、レーザー彫刻感度の観点からは、露光或いは加熱により熱分解する部分構造を含むポリマーが好ましい。
また、例えば、柔軟で可撓性を有する膜形成が目的とされる場合には、軟質樹脂や熱可塑性エラストマーが選択される。
更に、レリーフ形成層用塗布液組成物の調製の容易性、得られたレリーフ印刷版における油性インクに対する耐性向上の観点からは、親水性又は親アルコール性ポリマーを使用することが好ましい。
加えて、例えば、加熱や露光により硬化させ、強度を向上させる目的に使用する場合には、バインダーポリマーとして、分子内に炭素−炭素不飽和結合をもつポリマーが選択される。
このように、レリーフ印刷版原版の適用用途に応じた物性を考慮し、目的に応じたバインダーポリマーを選択し、当該バインダーポリマーの1種を、或いは、2種以上を組み合わせて用いることができる。
以下、本発明においてバインダーポリマーとして用いうる各種ポリマーについて説明する。
【0048】
(分解性を有するポリマー)
レーザー彫刻感度の観点から好ましく用いられるバインダーポリマーとしては、露光、加熱などのエネルギー付与により分解する部分構造をもつポリマー(分解性を有するポリマー)が挙げられる。
【0049】
分解性を有するポリマーとしては、分子鎖中に、分解、切断され易い部分構造を有するモノマー単位として、スチレン、α−メチルスチレン、α−メトキシスチレン、アクリルエステル類、メタクリルエステル類、上記以外のエステル化合物類、エーテル化合物類、ニトロ化合物類、カーボネート化合物類、カルバモイル化合物類、ヘミアセタールエステル化合物類、オキシエチレン化合物類、脂肪族環状化合物類等を含むポリマーが挙げられる。
【0050】
これらの中でも、特にポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラエチレングリコール等のポリエーテル類、脂肪族ポリカーボネート類、脂肪族カルバメート類、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ニトロセルロース、ポリオキシエチレン、ポリノルボルネン、ポリシクロヘキサジエン水添物、或いは分岐構造の多いデンドリマー等の分子構造を有するポリマーが、分解性の観点から好ましく挙げられる。
また、分子鎖中に酸素原子を多数含有するポリマーが分解性の観点から好ましい。このような観点からは、カーボネート基、カルバメート基、メタクリル基をポリマー主鎖中に有する化合物が好適に挙げられる。
例えば、(ポリ)カーボネートジオールや(ポリ)カーボネートジカルボン酸を原料として合成したポリエステルやポリウレタン、(ポリ)カーボネートジアミンを原料として合成したポリアミドなどを熱分解性の良好なポリマーの例として挙げることができる。これらのポリマーは、主鎖、側鎖に重合性不飽和基を含有しているものであっても構わない。特に、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の反応性官能基を有する場合には、このような熱分解性ポリマーに対し、重合性不飽和基を導入することも容易である。
【0051】
また、分解性を有するポリマーとして、ポリ乳酸などのヒドロキシルカルボン酸ユニットからなるポリエステルを用いることができる。このようなポリエステルとしては、具体的には、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、乳酸系ポリマー、ポリグリコール酸(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(ブチレンコハク酸)、これらの誘導体又は混合物から成る群から選択されるものが好ましい。
【0052】
(熱可塑性ポリマー)
レーザー彫刻感度の観点から好ましく用いられるバインダーポリマーの1つとして、熱可塑性ポリマーが挙げられる。
熱可塑性ポリマーとしては、エラストマーであっても非エラストマーの樹脂であってもよく、本発明のレリーフ印刷版原版の使用態様に応じて選択すればよい。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。これらの熱可塑性エラストマーのレーザー彫刻感度を向上させる目的で、エラストマーの主鎖に、カルバモイル基、カーボネート基等の易分解性官能基を導入したものを用いることもできる。また、熱可塑性ポリマーと前記熱分解性ポリマーと混合して用いてもよい。
熱可塑性エラストマーは、常温ではゴム弾性を示す材料であり、分子構造としては、ポリエーテル或いはゴム分子のようなソフトセグメントと、常温付近では加硫ゴムと同じく塑性変形を防止するハードセグメントからなり、ハードセグメントとしては凍結相、結晶相、水素結合、イオン架橋など種々のタイプが存在する。このような熱可塑性エラストマーは、本発明のレリーフ印刷版原版が、例えば、フレキソ版などのように可撓性を必要とする場合に好適である。
【0053】
熱可塑性エラストマーの種類は、目的に応じて選択され、例えば、耐溶剤性が要求される場合、ウレタン系、エステル系、アミド系、フッ素系熱可塑性エラストマーが好ましく、耐熱性が要求される場合、ウレタン系、オレフィン系、エステル系、フッ素系熱可塑性エラストマーが好ましい。また、熱可塑性エラストマーの種類を選択することにより、レリーフ形成層の硬度を大きく変えることができる。
【0054】
非エラストマー性の樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリイイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂、ヒドロキシエチレン単位を含む親水性ポリマー(例えばポリビニルアルコール誘導体)を挙げることができる。
【0055】
(親水性又は親アルコール性ポリマー)
本発明で用いるバインダーポリマーとしては、親水性又は親アルコール性のものが彫刻後のカスの除去性の観点で好ましい。親水性ポリマーとして詳細には、後述するもの挙げられるが、中でも、ヒドロキシエチレン単位を含む親水性ポリマーが好ましい。また、親アルコール性のバインダーとしては、例えば、ポリビニルブチラール等のポリマーも好適に用いることができる。
【0056】
−親水性ポリマー−
バインダーポリマーの好適な態様の1つである親水性ポリマーについて詳述する。
親水性ポリマーとは、水溶解性又は水膨潤性のポリマーを指す。ここで、本発明において、「水溶解性」とは、25℃の水に5質量%以上溶解することを指し、また、「水膨潤性」とは、25℃の水に5質量%になるように加えた際に、吸水して膨張し、目視で見たときに溶解はしていないが、明らかな固体状(粉末状)の沈殿物は無い状態であることを指す。
【0057】
親水性ポリマーとしては、単独のポリマーを用いてもよいし、複数種のポリマーを用いてもよい。
【0058】
親水性ポリマーとしては、例えば、ヒドロキシエチレン単位を含む親水性ポリマー、セルロースをはじめとする親水性官能基を有する多糖類、ポリアクリル酸ナトリウムのような酸性官能基が中和された塩構造やアミノ基が中和された塩構造やオニウム構造を含むアクリル樹脂、ポリエチレンオキサイドの如き親水性基を導入したポリアミド樹脂やポリエステル樹脂、ゼラチンなどが挙げられる。
【0059】
親水性ポリマーとしては、良好な親水性を示す点で、ヒドロキシエチレンを含む親水性ポリマー、アミノ基又はカルボン酸基/スルホン酸基/硫酸基及びこれらが中和された塩構造などの極性基含有セルロース、アミノ基又はカルボン酸基/スルホン酸基/硫酸基及びこれらが中和された塩構造などの極性基含有アクリル樹脂、ポリアミド樹脂が好ましい。より好ましくは、ヒドロキシエチレンを含む親水性ポリマー、アミノ基又はカルボン酸基/スルホン酸基/硫酸基及びこれらが中和された塩構造などの極性基含有アクリル樹脂、ポリアミド樹脂が好ましく、更に好ましくはポリビニルアルコール類、ポリアミド樹脂である。
【0060】
親水性ポリマーとして特に好ましくは、皮膜性とUVインキに対する耐性があるという観点から、ポリビニルアルコール(PVA)及びその誘導体から選択されるポリマーである。
【0061】
本発明においてPVA及びその誘導体とは、ヒドロキシエチレン単位を0.1モル%以上100モル%以下、好ましくは1モル%以上98モル%以下、更に好ましくは5モル%以上95モル%以下含有する共重合体或いは重合体並びにそれらの変性体を包含する。
ビニルアルコール構造単位とともに共重合体を形成するためのモノマーとしては、公知の共重合可能なモノマーから適宜選定することができる。
PVA及びその誘導体の中でも、特に好ましくは、PVA及びビニルアルコール/酢酸ビニル共重合体(部分鹸化ポリビニルアルコール)を例示することができ、これらの変性体もこれに該当する。
【0062】
親水性ポリマーとしては、特に、PVA及びその誘導体から選択される1種以上と、ヒドロキシエチレン単位を含まない親水性ポリマー(以下、適宜「非PVA誘導体」とも称する。)と、を併用してもよい。
【0063】
親水性ポリアミドの合成法としては、以下に示すものが挙げられる。
ε−カプロラクタム及び/又はアジピン酸を、両末端アミン変性のポリエチレングリコールと反応させることでポリエチレングリコール単位を有するポリアミドが得られ、ピペラジンと反応させることでピペラジン骨格を有する親水性ポリアミドが得られる。また、親水性ポリアミドのアミド基とグリシジルメタクリレートのエポキシ基とを反応させることで、架橋性の官能基がポリマー中に導入された親水性ポリアミドが得られる。これら非PVA誘導体は単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
【0064】
PVA誘導体の例として、ヒドロキシエチレン単位の水酸基の少なくとも一部をカルボキシル基に変性したポリマー、当該水酸基の一部を(メタ)アクロイル基に変性したポリマー、当該水酸基の少なくとも一部をアミノ基に変性したポリマー、当該水酸基の少なくとも一部にエチレングリコールやプロピレングリコール及びこれらの複量体を導入したポリマーなどが挙げられる。
【0065】
水酸基の少なくとも一部をカルボキシル基に変性したポリマーは、ポリビニルアルコール或いは部分鹸化ポリビニルアルコールと、例えばコハク酸、マレイン酸やアジピン酸のような多官能カルボン酸とでエステル化することによって得ることができる。当該ポリマーにおけるカルボキシル基の導入量は、水酸基1モルに対して、0.01モル〜1.00モルが好ましく、0.05モル〜0.80モルが更に好ましい。
【0066】
水酸基の少なくとも一部を(メタ)アクロイル基に変性したポリマーは、上記カルボキシル基変性ポリマーにグリシジル(メタ)アクリレートを付加することによって、又はポリビニルアルコール或いは部分鹸化ポリビニルアルコールと(メタ)アクリル酸とでエステル化することによって得ることができる。当該ポリマーにおける(メタ)アクロイル基の導入量は、水酸基1モルに対して0.01モル〜1.00モルが好ましく、0.03モル〜0.50モルが更に好ましい。なお、(メタ)アクロイル基との表記は、アクロイル基及び/又はメタクロイル基を総称するものである。なお、(メタ)アクリレートとの表記は、アクリレート及び/又はメタクリレートを総称するものである。また、(メタ)アクリル酸等もこれと同様である。
【0067】
水酸基の少なくとも一部をアミノ基に変性したポリマーは、ポリビニルアルコール或いは部分鹸化ポリビニルアルコールと、例えばカルバミン酸のようなアミノ基を含有するカルボン酸とでエステル化することによって得ることができる。当該ポリマーにおけるアミノ基の導入量は、当該水酸基1モルに対して0.01モル〜1.00モルが好ましく、0.05モル〜0.70モルが更に好ましい。
【0068】
水酸基の少なくとも一部にエチレングリコールやプロピレングリコール及びこれらの複量体を導入したポリマーは、ポリビニルアルコール或いは部分鹸化ポリビニルアルコールとグリゴール類を硫酸触媒のもと加熱し、副生成物である水を反応系外に取り除くことによって得ることができる。当該ポリマーにおけるエチレングリコールやプロピレングリコール及びこれらの複量体の総導入量は、水酸基1モルに対して0.01モル〜0.90モルが好ましく、0.03モル〜0.50モルが更に好ましい。
【0069】
PVA誘導体の変性体の中でも、水酸基の少なくとも一部を(メタ)アクロイル基に変性したポリマーが特に好ましく用いられる。親水性ポリマーに未反応の架橋性官能基を直接導入することで、前述の含硫黄多官能モノマーを多量に用いることなく、レリーフ形成層を架橋させた際の架橋物の強度を高めることができ、該架橋物の柔軟性と強度とを両立することができるからである。つまり、この態様であれば、本発明のレリーフ印刷版原版のレリーフ形成層において、柔軟性と強度とを両立することができる。
【0070】
また、非PVA誘導体とは、PVA及びその誘導体と相溶性を示す程度に極性が近いものを意味する。
非PVA誘導体として具体的には、例えば、アジピン酸や1,6−ヘキサンジアミン、ε−カプロラクタムのみの重合によって得られる非水溶性ポリアミドに、ポリエチレングリコールやピペラジンのような親水性基を導入した親水性ポリアミドが挙げられる。親水性ポリアミドは、その親水性基の働きでPVA誘導体との相溶性が発現するため、非PVA誘導体として用いるのに好適である。つまり、このような親水性ポリアミドは、PVA及びその誘導体との相溶性が良好であり、PVA及びその誘導体の分子間に容易に入り込むために、2種のポリマーの分子間力が低下し、ポリマーが柔軟化される。
【0071】
−親アルコール性ポリマー−
本発明における親アルコール性ポリマーとしては、水不溶、且つ、炭素数1〜4のアルコールに可溶のポリマー(以下、特定親アルコール性ポリマーと称する。)を用いることが好ましい。
本発明に係る特定親アルコール性ポリマーは、高極性でありながら水不溶であるといった特性を有しており、この特性を有することから、レリーフ形成層に適用した場合に水性インキ適性とUVインキ適性の双方を達成することができる。
ここで、以降、炭素数1〜4のアルコールを低級アルコールと称する場合がある。
【0072】
ここで、本発明において、所定の液に“不溶”とういう用語は、バインダーポリマー0.1gと所定の液(例えば、水や有機溶剤など)2mlとを混合し、蓋をして室温で24時間静置した後、目視観察したときにバインダーポリマーの沈殿が認められる場合及び沈殿は認められないが、溶液(分散液)が濁っている場合、当該液体に不溶であることを指し、“可溶”と言う用語は、上記条件において、目視観察したときに沈殿物が無く、透明で均一な状態を与える場合を当該液体に可溶であることを指すものとする。
【0073】
本発明における特定親アルコール性ポリマーとしては、炭素数1〜4のアルコールに対し可溶であることを要する。ここで、炭素数1〜4のアルコールとしては、良好なUVインキ適性を与えるという観点で、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノールが挙げられ、少なくともこれらのいずれかに可溶であることが好ましい。
より好ましくは、特定親アルコール性ポリマーとしては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノールのいずれかに溶解するものが、特にメタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノールの全てに溶解するものが好ましい。
【0074】
本発明における特定親アルコール性ポリマーは、更に、酢酸エチルに代表されるようなエステル系溶剤に対して不溶であることが好ましい。エステル系溶剤に不溶なものを選択することで、UVインキ適性が更に向上し、UVインキで印刷中に膨潤してレリーフ層中の低分子成分が溶出し膜強度が低下することを効果的に抑制することができる。
【0075】
また、特定親アルコール性ポリマーがガラス転移温度を有する物質である場合、該ガラス転移温度としては、彫刻感度と皮膜性のバランスの観点で、20℃以上200℃以下が好ましく、より好ましくは20℃〜170℃、特に好ましくは25℃〜150℃である。
なお、本発明においてガラス転移温度(Tg)が室温以上とは、Tgが20℃以上であることを指す。
【0076】
本発明に用いうる特定親アルコール性ポリマーが上記範囲のガラス転移温度を有する場合、本発明においてレリーフ形成層を構成する好ましい併用成分である、後述する(D)700nm〜1300nmの波長の光を吸収可能な光熱変換剤と組み合わせると、彫刻感度が向上するため、特に好ましい。このようなガラス転移温度を有するバインダーポリマーを、以下、「非エラストマー」と称する。
即ち、エラストマーとは、一般的に、ガラス転移温度が常温以下のポリマーであるとして学術的に定義されている(科学大辞典 第2版、編者 国際科学振興財団、発行 丸善株式会社、P154参照)。従って、非エラストマーとはガラス転移温度が常温を超える温度であるポリマーを指す。
【0077】
特定親アルコール性ポリマーのガラス転移温度が室温(20℃)以上である場合、常温ではガラス状態をとるため、ゴム状態をとる場合と比べ、熱的な分子運動はかなり抑制された状態にある。
本発明のレリーフ印刷版原版に対するレーザー彫刻においては、レーザー照射時(好ましくは赤外線レーザー照射時)に、付与される熱に加え、所望により併用される(D)光熱変換剤の機能により発生した熱が、周囲に存在する特定親アルコール性ポリマーに伝達され、これが熱分解、消散して、結果的に彫刻されて凹部が形成される。
本発明の好ましい態様では、特定親アルコール性ポリマーの熱的な分子運動が抑制された状態の中に(D)光熱変換剤が存在すると特定親アルコール性ポリマーへの熱伝達と熱分解が効果的に起こるものと考えられ、このような効果によって彫刻感度が更に増大したものと推定される。
【0078】
他方、特定親アルコール性ポリマーの熱的な分子運動が抑制されていないガラス転移温度が室温未満の状態(ゴム状態)では、その振動、即ち、熱的な分子運動の激しさに起因して(D)光熱変換剤と特定親アルコール性ポリマーの分子間距離が大きくなり、これらの間に存在する体積(空間)が非常に大きくなるため、(D)光熱変換剤から特定親アルコール性ポリマーへの熱伝達効率が下がるだけでなく、伝達された熱が活発な熱運動に寄与して熱損失を生じ、効率的な熱分解の生起への寄与が減少して彫刻感度の向上に寄与し難い。
【0079】
以上のことから、本発明において好ましく用いられる特定親アルコール性ポリマーの特に好ましい態様である非エラストマーであるポリマーの具体例を以下に挙げる。
本発明における特に好ましい特定親アルコール性ポリマーとしては、水性インキ適性とUVインキ適性を両立しつつ、かつ、彫刻感度が高く皮膜性も良好であるという観点で、ポリビニルブチラール(PVB)誘導体、ポリアミド、セルロース誘導体、エポキシ樹脂が挙げられ、中でも、ポリビニルブチラール(PVB)誘導体、ポリアミド、セルロース誘導体が好ましい。
【0080】
(1)ポリビニルブチラール及びその誘導体
ポリビニルブチラール(以下、PVBと称する)は、ホモポリマーを用いることもでき、また、ポリビニルブチラール誘導体を用いてもよい。
PVB誘導体中のブチラール含量(原料モノマーの総モル数を100%)は、30%〜90%が好ましく、50%〜85%がより好ましく、55%〜78%が特に好ましい。
PVB及びその誘導体の分子量としては、彫刻感度と皮膜性のバランスを保つ観点で、重量平均分子量として5000〜800000であることが好ましく、より好ましくは8000〜500000である。更に、彫刻カスのリンス性向上の観点からは、50000〜300000であることが特に好ましい。
【0081】
PVB及びその誘導体としては、市販品としても入手可能であり、その好ましい具体例としては、アルコール溶解性(特にエタノール)の観点で、積水化学製の「エスレックB」シリーズ、「エスレックK(KS)」シリーズ、デンカ製の「デンカブチラール」が好ましい。更に好ましくは、アルコール溶解性(特にエタノール)の観点で積水化学製の「エスレックB」シリーズとデンカ製の「デンカブチラール」であり、特に好ましくは「エスレックB」シリーズでは、「BL−1」、「BL−1H」、「BL−2」、「BL−5」、「BL−S」、「BX−L」、「BM−S」、「BH−S」、デンカ製の「デンカブチラール」では「#3000−1」、「#3000−2」、「#3000−4」、「#4000−2」、「#6000−C」、「#6000−EP」、「#6000−CS」、「#6000−AS」である。
PVBを特定親アルコール性ポリマーとして用いてレリーフ形成層を製膜する際には、溶媒に溶かした溶液をキャストし乾燥させる方法が、膜の表面の平滑性の観点で好ましい。
【0082】
(2)アルコール可溶性ポリアミド
ポリエチレングリコールやピペラジンのような極性基を主鎖に導入したポリアミドは、その極性基の働きでアルコール可溶性が向上するので本発明に用いる特定親アルコール性ポリマーとして好適である。
ε−カプロラクタム及び/又はアジピン酸を、両末端アミン変性のポリエチレングリコールと反応させることでポリエチレングリコール単位(ポリエチレンオキシドセグメントとも呼ぶ)を有するポリアミドが得られ、これをピペラジンと反応させることでピペラジン骨格を有するポリアミドが得られる。
【0083】
また、ポリエチレングリコール単位を含有するポリアミドとしては、通常α・ω−ジアミノプロピルポリオキシエチレンを原料ジアミン成分の少なくとも一部として公知の方法(例えば、特開昭55−79437号公報等)で重縮合、或いは共重縮合して得られるポリエーテルアミド、又はポリエチレングリコールを原料ジオール成分の少なくとも一部として公知の方法(例えば、特開昭50−159586号公報等)で重縮合、或いは共重縮合して得られるポリエーテルエステルアミドが使用されるが、特に限定されるものではなく、広く主鎖にアミド結合を有するポリマーが使用できる。
【0084】
ここで、ポリアミド中のポリエチレンオキシドセグメントの数平均分子量は、レリーフ形成層の形態保持性の観点で150〜5000の範囲であることが好ましく、より好ましくは200〜3000である。また、これらポリエチレンオキシドセグメントを有するポリアミドの数平均分子量は5000〜300000、更には10000〜200000の範囲にあることが好ましい。特に好ましくは10000〜50000である。
【0085】
上記のポリアミドは主鎖にポリエチレンオキシドのような高極性単位を有するものが好ましく用いられるが、ポリアミドの側鎖に高極性の官能基を有していても同様の機能を発現しうるため、側鎖に極性基を有するポリアミドもまた、本発明における特定親アルコール性ポリマーに適している。
【0086】
彫刻感度の観点からは、より好ましくは、ポリアミドの側鎖に高極性の官能基を有している場合である。
このようなポリアミドとして、具体的には、メトキシメチル化ポリアミド、メトキシメチル化ナイロンが好ましい。このようなポリアミド誘導体の市販品としては、ナガセケムテック製のメトキシメチル化ポリアミド「トレジン」シリーズが好ましい。特に好ましくはナガセケムテック製のメトキシメチル化ポリアミド「トレジンF−30K」、「トレジンEF−30T」である。
【0087】
(3)セルロース誘導体
通常のセルロースは水やアルコールなどには非常に溶けにくいが、グルコピラノース単位の残存OHを特定の官能基で修飾することにより水或いは溶剤溶解性を制御可能であり、このようにして水に不溶ではあるが、炭素数1〜4のアルコールには可溶としたセルロース誘導体もまた本発明に用いる特定親アルコール性ポリマーとして好適である。
本発明に適するものとしては、例えば、エチルセルロースやメチルセルロースのようなアルキルセルロース、ヒドロキシエチレンセルロース、ヒドロキシプロピレンセルロース、セルロースアセテートブチレート等であって、水不溶性且つ低級アルコール可溶性の物性を有するものが挙げられる。
更に、具体的な例として、信越化学製のメトローズシリーズが挙げられる。このシリーズの中身は、セルロースの水酸基の水素原子の一部をメチル基(−CH)、ヒドロキシプロピル基(−CHCHOHCH)、或いはヒドロキシエチル基(−CHCHOH)で置換したものである。
また、本発明においては、低級アルコールへの溶解性と彫刻感度の点で特に好ましいのは、アルキルセルロースであり、中でもエチルセルロースとメチルセルロースである。
【0088】
(4)エポキシ樹脂
本発明に用いうる水不溶性、且つ、アルコール可溶性のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を、変性剤などで高分子量化、高機能化した変性エポキシ樹脂などが、水不溶性の観点から好ましい。特に好ましくは、変性エポキシ樹脂である。
変性エポキシ樹脂の好ましい具体例としては、荒川化学工業製の「アラキード9201N」、「アラキード9203N」、「アラキード9205」、「アラキード9208」、「KA−1439A」、「モデピクス401」、「モデピクス402」が挙げられる。
【0089】
また、本発明における特定親アルコール性ポリマーとしては、水不溶性、且つ、低級アルコール可溶性であれば、以下に示すような、アクリル樹脂、ポリウレタンを好ましいものとして用いることができる。
【0090】
(5)アクリル樹脂
本発明における特定親アルコール性ポリマーとしては、水不溶性、且つ、低級アルコール可溶性のアクリル樹脂を用いることもできる。
このようなアクリル樹脂としては、公知のアクリル単量体を用いて得るアクリル樹脂であって上記物性条件を満たすように溶解性を制御したものを用いることができる。アクリル樹脂の合成に用いられるアクリル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類(メタ)アクリルアミド類が好ましい。このような単量体の具体例としては、例えば以下に示す化合物が挙げられる。
【0091】
即ち、(メタ)アクリル酸エステル類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、アセトキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体のモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0092】
アルコール可溶性の観点で、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体のモノメチルエーテル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0093】
クロトン酸エステル類としては、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシル等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−nブチルアクリル(メタ)アミド、N−tertブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリンなどが挙げられる。
【0094】
また、アクリル樹脂としては、ウレタン基やウレア基を有するアクリル単量体を含んで構成される変性アクリル樹脂も好ましく使用することができる。
本発明において特定親アルコール性ポリマーとして用いられるアクリル樹脂の合成に用いうるアクリル単量体の具体例としては、以下に示す例示モノマー(AM−1)〜(AM−22)のような化合物が挙げられる。
【0095】
【化6】

【0096】
【化7】

【0097】
本発明における特定親アルコール性ポリマーに好適に使用できるアクリル樹脂の具体例を、GPC法で測定した重量平均分子量〔Mw(GPC)と記載〕と共に以下に示すが、前述の好ましい特性を有するものであれば、本発明に使用しうるアクリル樹脂はこれらに限定されるものではない。
【0098】
【化8】

【0099】
【化9】

【0100】
(6)ポリウレタン樹脂
本発明における特定親アルコール性ポリマーとしては、水不溶性、且つ、低級アルコール可溶性のポリウレタン樹脂を用いることもできる。
本発明おいて特定親アルコール性ポリマーとして用いうるポリウレタン樹脂は、下記一般式(U−1)で表されるジイソシアネート化合物の少なくとも1種と、下記一般式(U−2)で表されるジオール化合物の少なくとも1種と、の反応生成物である構造単位を基本骨格とするポリウレタン樹脂である。
【0101】
OCN−X−NCO (U−1)
HO−Y−OH (U−2)
一般式(U−1)及び(U−2)中、X、Yは、それぞれ独立に、2価の有機残基を表す。但し、X及びYで表される有機残基の少なくとも一方は、NCO基或いはOH基と芳香族基で結合している。
【0102】
−ジイソシアネート化合物−
上記一般式(U−1)で表されるジイソシアネート化合物としては、Xで表される有機残基がNCO基に直接結合した芳香族基を構造内に含むことが好ましい。
好ましいジイソシアネート化合物は、下記一般式(U−3)で表されるジイソシアネート化合物である。
【0103】
OCN−L−NCO (U−3)
【0104】
一般式(U−3)中、Lは置換基を有していてもよい2価芳香族炭化水素基を表す。置換基としては、例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)などが挙げられる。必要に応じ、Lはイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えば、エステル基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基を有していてもよい。
【0105】
上記一般式(U−3)で表されるジイソシアネート化合物としては、具体的には以下に示すものが含まれる。
即ち、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートの二量体、2,6−トリレンジレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート等のような芳香族ジイソシアネート化合物が挙げられる。
特に熱分解性の観点で、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネートが好ましい。
【0106】
本発明において特定親アルコール性ポリマーとして使用されるポリウレタン樹脂は、例えば、レリーフ形成層中の他の成分との相溶性を向上させ、保存安定性を向上させるといった観点から、上記以外のジイソシアネート化合物を併用して合成されたものであってもよい。
併用しうるジイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等のような脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(又は2,6)ジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等のような脂環族ジイソシアネート化合物;1,3−ブチレングリコール1モルとトリレンジイソシアネート2モルとの付加体等のようなジオールとジイソシアネートとの反応物であるジイソシアネート化合物;等が挙げられる。
また、トリイソシアネートの3つのNCOのうちの1つに単官能アルコールを付加させて得たジイソシアネートを用いることもできる。
【0107】
−ジオール化合物−
上記一般式(U−2)で表されるジオール化合物としては、特にYで表される有機残基がOH基に直接結合した芳香族基を構造内に含むことが好ましい。
より具体的には、以下の一般式(A−1)〜(A−3)で表されるジオール化合物が好ましい。
【0108】
HO−Ar−OH 一般式(A−1)
HO−(Ar−Ar−OH 一般式(A−2)
HO−Ar−X−Ar−OH 一般式(A−3)
【0109】
一般式(A−1)〜(A−3)中、ArとArは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ芳香環を表す。このような芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、複素環等を挙げることができる。これらの芳香環は置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)などが挙げられる。
原料入手のしやすさの観点から、好ましくは、ベンゼン環とナフタレン環である。膜形成性も考慮するとベンゼン環が特に好ましい。
Xは2価の有機残基である。mは膜形成性の観点から1〜3が好ましい。特に好ましくは1である。
【0110】
一般式(A−1)で表されるジオール化合物の好ましい例としては、1,4−ジヒドロキシベンゼン、1,8−ジヒドロキシナフタレンがある。
一般式(A−2)で表されるジオール化合物の好ましい例としては、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ヒドロキシビナフチルがある。
一般式(A−3)で表されるジオール化合物の好ましい例としては、ビスフェノールA、4,4’−ビス(ヒドロキシフェニル)メタンがある。
【0111】
本発明において特定親アルコール性ポリマーとして使用されるポリウレタン樹脂は、例えば、レリーフ形成層中の他の成分との相溶性を向上させ、保存安定性を向上させるといった観点から、上記以外のジオール化合物を併用して合成されたものであってもよい。
併用しうるジオール化合物としては、例えば、ポリエーテルジオール化合物、ポリエステルジオール化合物、ポリカーボネートジオール化合物を挙げることできる。
【0112】
ポリエーテルジオール化合物としては、下記一般式(U−4)、(U−5)、(U−6)、(U−7)、又は(U−8)で表される化合物、及び、末端に水酸基を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム共重合体が挙げられる。
【0113】
【化10】

【0114】
上記一般式(U−4)〜(U−8)中、R14は水素原子又はメチル基を表し、Xは、以下の基を表す。また、a、b、c、d、e、f、及びgは、それぞれ独立に、2以上の整数を表し、好ましくは2〜100の整数である。
【0115】
【化11】

【0116】
上記一般式(U−4)、(U−5)で表されるポリエーテルジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
即ち、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ジ−1,2−プロピレングリコール、トリ−1,2−プロピレングリコール、テトラ−1,2−プロピレングリコール、ヘキサ−1,2−プロピレングリコール、ジ−1,3−プロピレングリコール、トリ−1,3−プロピレングリコール、テトラ−1,3−プロピレングリコール、ジ−1,3−ブチレングリコール、トリ−1,3−ブチレングリコール、ヘキサ−1,3−ブチレングリコール、重量平均分子量1000のポリエチレングリコール、重量平均分子量1500のポリエチレングリコール、重量平均分子量2000のポリエチレングリコール、重量平均分子量3000のポリエチレングリコール、重量平均分子量7500のポリエチレングリコール、重量平均分子量400のポリプロピレングリコール、重量平均分子量700のポリプロピレングリコール、重量平均分子量1000のポリプロピレングリコール、重量平均分子量2000のポリプロピレングリコール、重量平均分子量3000のポリプロピレングリコール、重量平均分子量4000のポリプロピレングリコール等である。
【0117】
また、上記一般式(U−6)で表されるポリエーテルジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
即ち、三洋化成工業(株)製、(商品名)PTMG650、PTMG1000、PTMG2000、PTMG3000等である。
【0118】
更に、上記一般式(U−7)で表されるポリエーテルジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
即ち、三洋化成工業(株)製、(商品名)ニューポールPE−61、ニューポールPE−62、ニューポールPE−64、ニューポールPE−68、ニューポールPE−71、ニューポールPE−74、ニューポールPE−75、ニューポールPE−78、ニューポールPE−108、ニューポールPE−128、ニューポールPE−61等である。
【0119】
上記一般式(U−8)で表されるポリエーテルジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
即ち、三洋化成工業(株)製、(商品名)ニューポールBPE−20、ニューポールBPE−20F、ニューポールBPE−20NK、ニューポールBPE−20T、ニューポールBPE−20G、ニューポールBPE−40、ニューポールBPE−60、ニューポールBPE−100、ニューポールBPE−180、ニューポールBPE−2P、ニューポールBPE−23P、ニューポールBPE−3P、ニューポールBPE−5P等である。
【0120】
末端に水酸基を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム共重合体としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
即ち、三洋化成工業(株)製、(商品名)ニューポール50HB−100、ニューポール50HB−260、ニューポール50HB−400、ニューポール50HB−660、ニューポール50HB−2000、ニューポール50HB−5100等である。
【0121】
ポリエステルジオール化合物としては、下記一般式(U−9)、又は(U−10)で表される化合物が挙げられる。
【0122】
【化12】

【0123】
上記一般式(U−9)、(U−10)中、L、L、及びLは、同一でも相違してもよく、それぞれ2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表し、Lは2価の脂肪族炭化水素基を表す。好ましくは、L〜Lは、それぞれ独立に、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基を表し、Lはアルキレン基を表す。また、L〜L中にはイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えば、エーテル基、カルボニル基、エステル基、シアノ基、オレフィン基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基、又はハロゲン原子等が存在していてもよい。n1、n2はそれぞれ2以上の整数であり、好ましくは2〜100の整数を表す。
【0124】
ポリカーボネートジオール化合物としては、下記一般式(U−11)で表される化合物が挙げられる。
【0125】
【化13】

【0126】
上記一般式(U−11)中、2つのLは、同一でも相違してもよく、それぞれ2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表す。好ましくは、Lは、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基を表す。また、L中にはイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えば、エーテル基、カルボニル基、エステル基、シアノ基、オレフィン基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基、又はハロゲン原子等が存在していてもよい。n3は2以上の整数であり、好ましくは2〜l00の整数を表す。
【0127】
前記一般式(U−9)、(U−10)、又は(U−11)で表されるジオール化合物の具体例を以下に示す〔例示化合物(No.1)〜(No.18)〕。具体例中のnは2以上の整数を表す。
【0128】
【化14】

【0129】
【化15】

【0130】
【化16】

【0131】
また、特定親アルコール性ポリマーとして用いられるポリウレタン樹脂の合成には、上記ジオール化合物の他に、イソシアネート基と反応しない置換基を有するジオール化合物を併用することもできる。このようなジオール化合物としては、例えば、以下に示すものが含まれる。
即ち、例えば、下記一般式(U−12)、又は(U−13)で表される化合物が用いられる。
【0132】
HO−L−O−CO−L−CO−O−L−OH (U−12)
HO−L−CO−O−L−OH (U−13)
上記一般式(U−12)、(U−13)中、L、Lは、同一でも相違していてもよく、それぞれ置換基(例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)など)を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、又は複素環基を表す。必要に応じ、L、L中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えば、カルボニル基、エステル基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基などを有していてもよい。なお、L及びLで環を形成してもよい。
【0133】
更に、特定親アルコール性ポリマーとして用いられるポリウレタン樹脂の合成には、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基などの酸基を有するジオール化合物を併用してもよい。特に、カルボキシル基を有するジオール化合物は、水素結合による膜強度向上と耐水性の観点で好ましい。
カルボキシル基を有するジオール化合物としては、例えば、以下の一般式(U−14)〜(U−16)に示すものが含まれる。
【0134】
【化17】

【0135】
上記一般式(U−14)〜(U−16)中、R15は、水素原子、置換基〔例えば、シアノ基、ニトロ基、−F、−Cl、−Br、−I等のハロゲン原子、−CONH、−COOR16、−OR16、−NHCONHR16、−NHCOOR16、−NHCOR16、−OCONHR16(ここで、R16は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜15のアラルキル基を表す。)など〕を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基を表し、好ましくは水素原子、炭素数1〜8個のアルキル基、炭素数6〜15個のアリール基を表す。L、L10、L11はそれぞれ同一でも相違していてもよく、単結合、置換基(例えば、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲノの各基が好ましい。)を有していてもよい2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表し、好ましくは炭素数1〜20個のアルキレン基、炭素数6〜15個のアリーレン基、更に好ましくは炭素数1〜8個のアルキレン基を表す。また必要に応じ、L〜L11中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えば、カルボニル基、エステル基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基、エーテル基を有していてもよい。なお、R15、L、L、及びLのうちの2又は3個で環を形成してもよい。
Arは置換基を有していてもよい三価の芳香族炭化水素基を表し、好ましくは炭素数6〜15個の芳香族基を表す。
【0136】
上記一般式(U−14)〜(U−16)で表されるカルボキシル基を有するジオール化合物としては具体的には以下に示すものが含まれる。
即ち、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸、N,N−ジヒドロキシエチルグリシン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−カルボキシ−プロピオンアミド等である。
【0137】
また、特定親アルコール性ポリマーとして用いられるポリウレタン樹脂の合成には、下記の一般式(U−17)〜(U−19)で表されるテトラカルボン酸二無水物をジオール化合物で開環させた化合物を併用することもできる。
【0138】
【化18】

【0139】
上記一般式(U−17)〜(U−19)中、L12は、単結合、置換基(例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲノ基、エステル基、アミド基などが好ましい。)を有していてもよい二価の脂肪族又は芳香族炭化水素基、−CO−、−SO−、−SO−、−O−、或いは−S−を表し、好ましくは、単結合、炭素数1〜15個の二価の脂肪族炭化水素基、−CO−、−SO−、−O−、又は−S−を表す。R17、R18は、同一でも相違していてもよく、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、又はハロゲノ基を表し、好ましくは、水素原子、炭素数1〜8個のアルキル基、炭素数6〜15個のアリール基、炭素数1〜8個のアルコキシ基、又はハロゲノ基を表す。また、L12、R17、R18のうちの2つが結合して環を形成してもよい。R19、R20は、同一でも相違していてもよく、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、又はハロゲノ基を表し、好ましくは、水素原子、炭素数1〜8個のアルキル、又は炭素数6〜15個のアリール基を表す。また、L12、R19、R20のうちの2つが結合して環を形成してもよい。L13、L14は、同一でも相違していてもよく、単結合、二重結合、又は二価の脂肪族炭化水素基を表し、好ましくは、単結合、二重結合、又はメチレン基を表す。Aは単核又は多核の芳香環を表す。好ましくは炭素数6〜18個の芳香環を表す。
【0140】
上記一般式(U−17)、(U−18)、又は(U−19)で表される化合物としては、具体的には以下に示すものが含まれる。
即ち、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−べンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−スルホニルジフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、4,4’−[3,3’−(アルキルホスホリルジフェニレン)−ビス(イミノカルボニル)]ジフタル酸二無水物、ヒドロキノンジアセテートとトリメット酸無水物の付加体、ジアセチルジアミンとトリメット酸無水物の付加体などの芳香族テトラカルボン酸二無水物;5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセシ−1,2−ジカルボン酸無水物(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンB−4400)、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物などの脂環族テトラカルボン酸二無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0141】
これらのテトラカルボン酸二無水物をジオール化合物で開環された化合物をポリウレタン樹脂中に導入する方法としては、例えば以下の方法がある。
a)テトラカルボン酸二無水物をジオール化合物で開環させて得られたアルコール末端の化合物と、ジイソシアネート化合物と、を反応させる方法。
b)ジイソシアネート化合物をジオール化合物過剰の条件下で反応させ得られたアルコール末端のウレタン化合物と、テトラカルボン酸二無水物と、を反応させる方法。
【0142】
また、このとき開環反応に使用されるジオール化合物としては、具体的には、以下に示すものが含まれる。
即ち、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−ビス−β−ヒドロキシエトキシシクロヘキサン、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、p−キシリレングリコール、ジヒドロキシエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−2,4−トリレンジカルバメート、2,4−トリレン−ビス(2−ヒドロキシエチルカルバミド)、ビス(2−ヒドロキシエチル)−m−キシリレンジカルバメート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソフタレート等が挙げられる。
【0143】
−その他の共重合成分−
本発明において特定親アルコール性ポリマーとして用いられるポリウレタン樹脂は、ウレタン結合以外に、官能基として、エーテル結合、アミド結合、ウレア結合、エステル結合、ウレタン結合、ビウレット結合、及びアロファネート結合を少なくとも一つ含んでなる有機基を含んでいてもよい。
【0144】
また、特定親アルコール性ポリマーとして用いられるポリウレタン樹脂は、更にエチレン性不飽和結合を有するユニットを有することが好ましい。エチレン性不飽和結合を有するユニットを有するポリウレタン樹脂としては、ポリウレタン樹脂の側鎖に、下記一般式(E1)〜(E3)で表される官能基のうち少なくとも1つを有することが好ましい。まず、下記一般式(E1)〜(E3)で表される官能基について説明する。
【0145】
【化19】

【0146】
上記一般式(E1)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。Rとしては、好ましくは、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、水素原子、メチル基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。また、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。
【0147】
Xは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R12)−を表し、R12は、水素原子、又は1価の有機基を表す。ここで、1価の有機基としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられる。中でも、R12は、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。
ここで、上記置換基として導入し得るものとしては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられる。
【0148】
【化20】

【0149】
上記一般式(E2)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。R〜Rは、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
上記置換基として導入し得るものとしては、一般式(E1)と同様のものが例示される。また、Yは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R12)−を表す。R12は、一般式(E1)のR12の場合と同義であり、好ましい例も同様である。
【0150】
【化21】

【0151】
上記一般式(E3)において、R〜R11は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。Rとしては、好ましくは、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、水素原子、メチル基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。R10、R11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。
ここで、上記置換基として導入し得るものとしては、一般式(E1)と同様のものが例示される。また、Zは、酸素原子、硫黄原子、−N(R13)−、又は置換基を有してもよいフェニレン基を表す。R13としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、メチル基、エチル基、イソプロピル基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。
【0152】
ポリウレタン樹脂の側鎖にエチレン性不飽和結合を導入する方法としては、ポリウレタン樹脂製造の原料として、エチレン性不飽和結合を含有するジオール化合物を用いる方法も好適である。そのようなジオール化合物は、例えば、トリメチロールプロパンモノアリルエーテルのように市販されているものでもよいし、ハロゲン化ジオール化合物、トリオール化合物、アミノジオール化合物と、エチレン性不飽和結合を含有するカルボン酸、酸塩化物、イソシアネート、アルコール、アミン、チオール、ハロゲン化アルキル化合物との反応により容易に製造される化合物であってもよい。これら化合物の具体的な例として、以下に示す化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0153】
【化22】

【0154】
【化23】

【0155】
【化24】

【0156】
【化25】

【0157】
また、より好ましいポリウレタン樹脂としては、ポリウレタン樹脂の合成に際して、エチレン性不飽和結合基を有するジオール化合物の少なくとも1つとして、下記一般式(G)で表されるジオール化合物を用いて得られたポリウレタン樹脂を挙げることができる。
【0158】
【化26】

【0159】
前記一般式(G)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表し、Aは2価の有機残基を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R12)−を表し、R12は、水素原子、又は1価の有機基を表す。
なお、この一般式(G)におけるR〜R及びXは、前記一般式(E1)におけるR〜R及びXと同義であり、好ましい態様もまた同様である。
Aで表される2価の有機残基としては、炭素原子及び水素原子を含み、更に、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子から選択される原子を必要に応じて組み合わせて構成される2価の有機連結基である。好ましくは、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)−O−、−NH−C(=O)−NH−、アルキレン基、アリーレン基、又は、これらを組み合わせて構成される基に、更に、−O−、−S−、又は−NH−を適宜組み合わせて構成される2価の有機連結基である。この2価の有機連結基に含まれる連結鎖を構成する原子の数は、60以内が適当であり、皮膜性を良好に保つ観点から、50以内が好ましく、40以内がより好ましい。
【0160】
このようなジオール化合物に由来するポリウレタン樹脂を用いることにより、立体障害の大きい2級アルコールに起因するポリマー主鎖の過剰な分子運動を抑制する効果が得られ、レリーフ形成層の被膜強度の向上が達成できるものと考えられる。
【0161】
以下、ポリウレタン樹脂の合成に好適に用いられる一般式(G)で表されるジオール化合物の具体例を示す。
【0162】
【化27】

【0163】
【化28】

【0164】
【化29】

【0165】
また、ポリウレタン樹脂を合成する際、NCO/OH比が1以上のNCO基過剰条件であると、主鎖末端がNCO基になるので、ここにエチレン性不飽和結合を有するアルコール(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ブレンマーPME200(日本油脂製)等)を別途加えて付加させることにより、主鎖末端にエチレン性不飽和結合を導入することができる。
つまり、本発明に好適なポリウレタン樹脂としては、側鎖以外に主鎖末端にもエチレン性不飽和基を有するものも挙げられる。
【0166】
また、本発明に好適なポリウレタン樹脂としては、上記のように、側鎖にエチレン性不飽和結合を有するもの以外にも、主鎖末端及び/又は主鎖中にエチレン性不飽和結合を有するものも挙げられる。
ポリウレタン樹脂の主鎖末端にエチレン性不飽和結合を導入する方法としては、以下に示す方法がある。
即ち、ポリウレタン樹脂の合成の際、得られた中間生成物の主鎖末端に残存イソシアネート基を、アルコール類又はアミン類等で処理する工程において、エチレン性不飽和基を有するアルコール類又はアミン類等を用いればよい。
【0167】
また、ポリウレタン樹脂の主鎖中にエチレン性不飽和結合を導入する方法としては、OH基とOH基とを連結する鎖中にエチレン性不飽和結合を有するジオール化合物を、ポリウレタン樹脂の合成に用いる方法がある。OH基とOH基とを連結する鎖中にエチレン性不飽和結合を有するジオール化合物としては、具体的に以下の化合物を挙げることができる。
即ち、cis−2−ブテン−1,4−ジオール、trans−2−ブテン−1,4−ジオール、ポリブタジエンジオール等である。
【0168】
エチレン性不飽和結合は、導入量の制御が容易で導入量を増やすことができ、また、架橋反応効率が向上するといった観点から、ポリウレタン樹脂の主鎖末端よりも側鎖に導入されることが好ましい。
導入されるエチレン性不飽和結合基としては、架橋硬化膜形成性の観点から、メタクリロイル基、アクリロイル基、スチリル基が好ましく、より好ましくはメタクリロイル基、アクリロイル基である。架橋硬化膜の形成性と生保存性との両立の観点からは、メタクリロイル基が更に好ましい。
【0169】
本発明で用いられるポリウレタン樹脂中に含まれるエチレン性不飽和結合の量としては、当量で言えば、側鎖に、エチレン性不飽和結合基を0.3meq/g以上、更には0.35〜1.50meq/g含有することが好ましい。即ち、側鎖にメタクロイル基を0.35〜1.50meq/g含有するポリウレタン樹脂が最も好ましい。
【0170】
また、本発明における特定親アルコール性ポリマーとしてのポリウレタン樹脂の分子量は、好ましくは重量平均分子量で10,000以上であり、より好ましくは、40,000〜20万の範囲である。特に、分子量がこの範囲であるポリウレタン樹脂を用いると、形成されたレリーフ層(画像部)の強度に優れる。
【0171】
本発明おいて特定親アルコール性ポリマーとして用いられるポリウレタン樹脂は、上記ジイソシアネート化合物及びジオール化合物を、非プロトン性溶媒中、それぞれの反応性に応じた活性の公知の触媒を添加し、加熱することにより合成される。合成に使用されるジイソシアネート及びジオール化合物のモル比(M:M)は、1:1〜1.2:1が好ましく、アルコール類又はアミン類等で処理することにより、分子量或いは粘度といった所望の物性の生成物が、最終的にイソシアネート基が残存しない形で合成される。
中でも、ビスマス触媒を用いた合成である方が、従来よく用いられてきたスズ触媒よりも環境及び重合速度の観点で好ましい。このようなビスマス触媒としては、ネオスタンU−600(商品名)(日東化成 製)が特に好ましい。
【0172】
以下に、本発明に用いられる特定ポリウレタン樹脂の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0173】
【化30】

【0174】
【化31】

【0175】
【化32】

【0176】
【化33】

【0177】
【化34】

【0178】
【化35】

【0179】
【化36】

【0180】
【化37】

【0181】
【化38】

【0182】
本発明に係る特定親アルコール性ポリマーとしてのポリウレタン樹脂は、通常のレリーフ形成層に用いられるバインダーポリマー(市販の汎用樹脂の場合、ほとんどが300℃〜400℃の高温で熱分解する)と対比して、比較的低温(250℃未満)で熱分解するという特徴を有する。従って、このようなポリウレタン樹脂を含有するレリーフ形成層は高感度での分解が可能となる。
また、このようなポリウレタン樹脂を特定親アルコール性ポリマーとして用い、更に、後述する併用バインダーポリマーと共存させた系では、特にこれらのポリマーが均一混合せず、相分離させた状態においても、レーザー照射による発熱により、まず、このポリウレタン樹脂が分解することになり、その結果、ポリウレタン樹脂が熱分解して気化する際に発生するガス(窒素など)が、共存する併用バインダーポリマーの気化を援助、促進する。このため、特定親アルコール性ポリマーとしてこのようなポリウレタン樹脂を用いたレリーフ形成層は、併用バインダーポリマーが共存する場合においても、特に、レーザー分解性が向上し、高感度化が達成されるという利点をも有することになる。
【0183】
(疎水性ポリマー)
本発明におけるバインダーポリマーとしては、比較的疎水性のバインダーポリマーを用いてもよい。
比較的疎水性のバインダーポリマーとしては、製膜時の膜硬度や柔軟性、共存する重合性化合物や開始剤のような他の成分との相溶性等の性質を調整するために、以下に示すようなモノマーを重合又は共重合成分として含むポリマーを使用することもできる。
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシ−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート、クロロエチル(メタ)アクリレート、クロロプロピル(メタ)アクリレートなどのハロゲン化アルキル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどのフェノキシアルキル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングレコール(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミドのような(メタ)アクリルアミド類、2、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、などのエチレン性不飽和結合を1個だけ有する化合物、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルに不飽和カルボン酸や不飽和アルコールなどのエチレン性不飽和結合と活性水素を持つ化合物を付加反応させて得られる多価(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和エポキシ化合物とカルボン酸やアミンのような活性水素を有する化合物を付加反応させて得られる多価(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミドなどの多価(メタ)アクリルアミド、ジビニルベンゼンなどの多価ビニル化合物、などの2つ以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物などが挙げられる。本発明においては、これらを単独で、若しくは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0184】
上記重合成分のモノマーとしては、皮膜性の観点で、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングレコール(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N−アクリロイルモルホリンが好ましい。この中で、アクリレート類が、得られるポリマーの柔軟性確保の点で特に好ましい。
【0185】
その他、バインダーポリマーとしては、以下のポリマーを用いることもできる。
即ち、主鎖にオレフィン及び炭素−炭素三重結合の少なくともいずれかを含むポリマーが挙げられ、例えば、SB(ポリスチレン−ポリブタジエン)、SBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン)等が挙げられる。
【0186】
(炭素−炭素不飽和結合を有するポリマー)
バインダーポリマーとしては、分子内に炭素−炭素不飽和結合をもつポリマーを好適に用いることができる。該炭素−炭素不飽和結合は、ポリマーの主鎖、側鎖のいずれかに存在すればよく、双方に存在していてもよい。以下、炭素−炭素不飽和結合を単に「不飽和結合」と称することがあり、また、主鎖或いは側鎖末端に存残する炭素−炭素不飽和結合を「重合性基」と称することがある。
炭素−炭素不飽和結合をポリマーの主鎖に有する場合、ポリマー主鎖の片末端、両末端、主鎖中のいずれに有してもよい。また、炭素−炭素不飽和結合をポリマーの側鎖に有する場合、該不飽和結合は主鎖構造に直接結合してもよく、適切な連結基を介して結合していてもよい。
【0187】
主鎖に炭素−炭素不飽和結合を含むポリマーとしては、例えば、SB(ポリスチレン−ポリブタジエン)、SBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン)等が挙げられる。
【0188】
側鎖に炭素−炭素不飽和結合をもつポリマーとして、メタクリロイル基のような反応性の高い重合性不飽和基を有するポリマーを用いた場合、極めて機械的強度の高い被膜を作製することができる。特にポリウレタン系、ポリエステル系熱可塑性エラストマーでは、比較的簡単に分子内に反応性の高い重合性不飽和基を導入することが可能である。
【0189】
バインダーポリマー中に不飽和結合或いは重合性基を導入する際には、重合性基に保護基を結合させてなる重合性基前駆体を有する構造単位をポリマーに共重合させ、保護基を脱離させて重合性基とする方法、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、ケトン基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、エステル基などの反応性基を複数有する高分子化合物を作製し、その後、上記反応性基と結合しうる基を複数有する結合剤(例えば、水酸基やアミノ基の場合のポリイソシアネートなど)を反応させ、分子量の調節、及び末端の結合性基への変換を行った後、この末端結合性基と反応する基と重合性不飽和基を有する有機化合物と反応させて、高分子反応により、重合性基を導入する方法など、公知のいずれの方法をとることができる。これらの方法によれば、高分子化合物中への不飽和結合、重合性基の導入量を制御することができる。
【0190】
このような不飽和結合を有するポリマーは、不飽和結合を有さないポリマーと併用することも好ましい。即ち、上記炭素−炭素不飽和結合を有するポリマーのオレフィン部分に水素を付加させて得られるポリマーや、オレフィン部分に水素添加したモノマー、例えば、ブタジエンやイソプレン等に水素添加したモノマーを原料としてポリマーを形成して得られるポリマーなどは、相溶性に優れることから併用し、バインダーポリマーが有する不飽和結合の量を調整することもできる。
これらを併用する場合、不飽和結合を有さないポリマーは、不飽和結合をもつポリマー100質量部に対して、一般的に1質量部〜90質量部、好ましくは5質量部〜80質量部の割合で用いることができる。
なお、後述するように、他の重合性化合物を併用する場合など、バンダーポリマーに硬化性を必要としない態様では、バインダーポリマーに不飽和結合は必ずしも必須ではなく、不飽和結合を有しない各種ポリマーのみをバインダーポリマーとして用いることもできる。そのような場合の不飽和結合を有しないポリマーとしては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、アクリル樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート、などが好ましく挙げられる。
【0191】
本発明に用いうる不飽和結合を有する、或いは、有しないバインダーポリマーの数平均分子量は、0.1万から100万の範囲が好ましい。より好ましい範囲としては、0.5万から50万である。数平均分子量が0.1万から100万の範囲であれば、形成される被膜の機械的強度を確保することができる。数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定し、分子量既知のポリスチレン標品に対して評価したものである。
【0192】
本発明におけるバインダーポリマーの重量平均分子量(GPC測定によるポリスチレン換算)は、0.5万〜50万が好ましい。重量平均分子量が0.5万以上であれば、単体樹脂としての形態保持性に優れ、50万以下であれば、水など溶媒に溶解しやすくレリーフ形成層用塗布液組成物を調製するのに好都合である。バインダーポリマーの重量平均分子量は、より好ましくは1万〜40万、特に好ましくは1.5万〜30万である。
【0193】
レリーフ形成層におけるバインダーポリマーの含有量は、5質量%〜80質量%が好ましく、15質量%〜75質量%が好ましく、20質量%〜65質量%がより好ましい。
特に、バインダーポリマーの含有量を15質量%以上とすることで、得られたレリーフ印刷版を印刷版として使用するに足る耐刷性が得られ、また、75質量%以下とすることで、他成分が不足することがなく、レリーフ印刷版をフレキソ印刷版とした際においても印刷版として使用するに足る柔軟性を得ることができるため、好ましい。
【0194】
<(C)消臭能を有する化合物>
本発明におけるレリーフ形成層は、(C)消臭能を有する化合物を必須成分として含有する。
本発明における消臭能を有する化合物は、本発明のレリーフ印刷版原版のレリーフ形成層に対し光及び/又は熱が付与された際に発生する不快な臭気を防止、低減しうる効果を備えるものであり、ジフェノール類、ポリフェノール類、ヒドロキノン類、ジアリールアミン類、アルキル化p−フェニレンジアミン類、ジヒドロキノン類、チオエーテル類、ヒンダードアミン類、フェノール類、ホスファイト類、ホスフォナイト類、カテキン類、タンニン類、天然物抽出、フェノール性化合物酸化酵素、及び多糖類よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物である。これらの化合物として具体的には、後述する防臭剤や消臭剤が挙げられる。
【0195】
〔防臭剤〕
本発明において用いられる防臭剤としては、光重合開始剤に起因する臭気を防止する観点からは、ラジカル禁止剤を挙げることができる。
ラジカル禁止剤とは、ラジカル重合を禁止又は停止するために、本発明におけるレリーフ形成層のようなラジカル重合性の組成物に添加される化合物である。
ラジカル禁止剤としては具体的には、重合禁止剤や、安定剤、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤が挙げられる。
以下、ラジカル禁止剤について詳細に説明する。
【0196】
従来より、多数のラジカル禁止剤が知られており、例えば、U.V. and E.B. Curing Formulations for Printing Inks, Coatings and Paints, SITA-Technology(ロンドン、1988年)の第22頁(R. HolmanとP. Oldringによる)に記載されている。
また、他のラジカル禁止剤としては、エンサイクロペディア・オブ・ケミカル・テクノロジー(Encyclopedia of Chemical Technology)第3巻(第4版、ウィリー・インターサイエンス、ニューヨーク、1992年)J.I.Kroschwitz編の第424〜447頁のM. Dexterによる「アンチオキシダンツ」の表4に挙げられており、モノフェノール類としては、例えば、次のようなCAS登録番号のもの:128−39−2、128−37−0、4130−42−1、4306−88−1、1879−09−0、110553−27−0、61788−44−1、17540−75−9、2082−79−3、103−99−1、88−27−7、991−84−4を挙げることができる。
【0197】
ラジカル禁止剤の1つである重合禁止剤は、本発明におけるレリーフ形成層のラジカル重合プロセスのプロセススピードを遅らせる、或いは禁止する添加剤である。
このような重合禁止剤としては、ジフェノール類、ポリフェノール類、ヒドロキノン類、ジアリールアミン類、アルキル化p−フェニレンジアミン類、ジヒドロキノン類、チオエーテル類、ヒンダードアミン類などが例として挙げられる。
【0198】
ジフェノール類としては、例えば、次に示すCAS登録番号のもの:119−47−1、88−24−4、118−82−1、35958−30−6、36443−68−2、85−60−9、96−69−5、96−66−2、35074−77−2、41484−35−9、23128−74−7、65140−91−2、30947−30−9、70331−94−1、32687−78−8、32509−66−3、105350−68−3を挙げることができる。
ポリフェノール類としては、例えば、次に示すCAS登録番号のもの:68610−51−5、6683−19−8、1709−70−2、27676−62−6、1843−03−4、34137−09−2、40601−76−1を挙げることができる。
ヒドロキノン類としては、例えば、次に示すCAS登録番号のもの:79−74−3、1948−33−0、121−00−6を挙げることができる。
ジアリールアミン類としては、例えば、次に示すCAS登録番号のもの:90−30−2、68442−68−2、68259−36−9、101−67−7、10081−67−1を挙げることができる。
【0199】
アルキル化p−フェニレンジアミン類としては、例えば、次に示すCAS登録番号のもの:793−24−8、101−72−4、69796−47−0、15233−47−3、101−87−1、74−31−7、93−46−9、3081−14−9、139−60−6、793−24−8、103−96−8、100−93−6を挙げることができる。
ジヒドロキノン類としては、例えば、次に示すCAS登録番号のもの:26780−96−1、89−28−1、91−53−2を挙げることができる。
チオエーテル類としては、例えば、次に示すCAS登録番号のもの:2500−88−1、123−28−4、693−36−7、16545−54−3、10595−72−9、29598−76−3、53988−10−6、61617−00−3、26523−78−4、26741−53−7、3806−34−6、31570−04−4、38613−77−3、118337−09−0を挙げることができる。
ヒンダードアミン類としては、例えば、次に示すCAS登録番号のもの:70624−18−9、82541−48−7、106990−43−6を挙げることができる。
【0200】
重合禁止剤の具体的化合物としては、例えば、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、メトキシベンゾキノン、フェノチアジン、カテコール類、アルキルフェノール類、アルキルビスフェノール類、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅、サリチル酸銅、チオジプロピオン酸エステル類、メルカプトベンズイミダゾール、ホスファイト類などが挙げられ、p−メトキシフェノール、カテコール類、アルキルフェノール類、アルキルビスフェノール類が好ましい。
【0201】
カテコール類としては、例えば、p−t−ブチルカテコールが挙げられる。
アルキルフェノール類、アルキルビスフェノール類としては、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(2’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などが挙げられる。また、フェノール類としては、油溶性であることが好ましい。
【0202】
また、ラジカル禁止剤の1つである酸化防止剤は、有機物質が大気中の酸素によってヒドロペルオキシド(容易に開裂してラジカルを生成する)になることを阻止する添加剤である。特に、エチレン性不飽和オリゴマーに対する添加剤として使用されたときに、この過程を阻止する酸化防止剤は、通常、ラジカル禁止剤と称されるものである(エンサイクロペディア・オブ・ケミカル・テクノロジー第3巻(第4版、ウィリー・インターサイエンス、ニューヨーク、1992年)J.I. Kroschwitz編の第424〜447頁のM Dexterによる「アンチオキシダンツ(Antioxidants)」)。
【0203】
本発明において用いられる酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤(フェノール類)、ホスファイト系酸化防止剤(ホスファイト類)、ホスフォナイト系酸化防止剤(ホスフォナイト類)、イオウ系酸化防止剤(チオエーテル類)、ヒンダードアミン系酸化防止剤(ヒンダードアミン類)等が挙げられる。
【0204】
フェノール系酸化防止剤としては、特に限定されないが、下記の一般式〔A〕で表される化合物や、ハイドロキノン類が好ましく例示できる。
【0205】
【化39】

【0206】
上記一般式〔A〕中、R及びRは、それぞれ独立に、低級アルキル基を表し、nは0〜2の整数を表し、mは1〜4の整数を表し、Zは水素原子又は1価〜4価の有機基を表す。
【0207】
及びRで表される低級アルキル基とは、炭素数1〜8のアルキル基を表し、直鎖状であっても、分岐を有していても、環構造を有していてもよい。
Zにおける1価〜4価の有機基としては、一般式〔A〕で表される部分構造を有する化合物の消臭能を損なわない有機基であれば特に制限はない。
【0208】
前記一般式〔A〕で表される部分構造を有する化合物の中でも、下記一般式〔A1〕又は一般式〔A2〕で表される化合物が好ましい。
【0209】
【化40】

【0210】
上記一般式〔A1〕中、Rは低級アルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は低級アルキル基を表し、nは1〜4の整数を表す。nが1の場合は、Xは単結合又はアルキレンカルボニルオキシ基を表し、Xが単結合である場合、Rは水素原子、アルコキシ基、又は、アルコキシ基若しくはアミノ基が置換していてもよい低級アルキル基を表し、Xがアルキレンカルボニルオキシ基である場合、Rは水素原子又はアルキル基を表す。nが2〜4の場合は、Xはアルキレンカルボニルオキシ基を表し、Rは残基内にヘテロ原子を含んでいてもよい2価〜4価のアルコール残基を表す。また、nが3の場合は、Xはアルキレン基で、Rはイソシアヌル酸残基であってもよい。
【0211】
【化41】

【0212】
上記一般式〔A2〕中、R及びRは、前記一般式〔A1〕のR及びRと同義であり、好ましい範囲も同様である。分子内に複数存在するR及びRは、それぞれ、同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、Yはアルキレン基又は硫黄原子を表す。Rは水素原子、アクリル酸残基、又はメタクリル酸残基を表す。
【0213】
フェノール系酸化防止剤の具体例としては、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、3,9’−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−4,6−ビス(n−オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−sec−ブチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1,3−トリス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、ビス[2−t−ブチル−4−メチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2,2’−チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン等が挙げられる。
【0214】
本発明において、イオウ系酸化防止剤としては特に限定されないが、下記の一般式〔B〕で表される化合物、及び、一般式〔C〕で表される化合物が例示される。
S−(CHCH−COOR 〔B〕
上記一般式〔B〕中、Rはアルキル基を表し、炭素数12〜18のアルキル基であることが好ましい。
【0215】
(RS−CHCH−COOCH−C 〔C〕
上記一般式〔C〕中、Rはアルキル基を表し、炭素数12のアルキル基であることが好ましい。
【0216】
イオウ系酸化防止剤の具体例としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、テトラキス(3−ラウリルチオプロピオニルオキシメチル)メタン等が挙げられる。
【0217】
本発明において、ホスファイト系酸化防止剤及びホスフォナイト系酸化防止剤としては特に限定されないが、下記一般式〔D〕〜〔I〕で表される化合物が挙げられる。
P−(OR10 〔D〕
上記一般式〔D〕中、R10は置換されていてもよいアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基を表す。
【0218】
【化42】

【0219】
上記一般式〔E〕及び〔F〕中、R11は置換されていてもよいアルキル基又はアリール基を表し、R12、R13、及びR14は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、R15はフッ素原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、又はジアルキルアミノ基を表す。
【0220】
【化43】

【0221】
上記一般式〔G〕及び〔H〕中、R16及びR17は各々独立に水素原子又はアルキル基を表し、R18は水素原子又はアルキル基を表す。ただし、R18が水素原子である場合、下記〔I〕で表される共鳴構造が存在し、ホスフィネート化合物となる。
【0222】
【化44】

【0223】
ホスファイト系酸化防止剤及びホスフォナイト系酸化防止剤の具体例としては、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール・ジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール・ジホスファイト・ジステアリルペンタエリスリトール・ジホスファイト、フェニルジイソオクチルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(フェニルジアルキルホスファイト)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フルオロホスフォナイト等が挙げられる。
【0224】
本発明において、ヒンダードアミン系酸化防止剤としては特に限定されないが、下記の部分構造を有する化合物が好ましく例示できる。
【0225】
【化45】

【0226】
上記式中、R19は水素原子又は置換されていてもよいアルキル基を表し、波線部分は他の化学構造との結合位置を表す。
【0227】
ヒンダードアミン系酸化防止剤の具体例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ{[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチル{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}}、ポリ{(6−モルホリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]}、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、N,N’−4,7−テトラキス{4,6−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル}−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン等が挙げられる。
【0228】
他に酸化防止剤としては、例えば、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号の各公報に記載の酸化防止剤、特開昭61−154989号公報に記載のヒドラジド類、特開昭61−146591号公報に記載のヒンダードアミン系酸化防止剤、特開昭61−177279号公報に記載の含窒素複素環メルカプト系化合物、特開平1−115677号公報及び同1−36479号公報に記載のチオエーテル系酸化防止剤、特開平1−36480号公報に記載の特定構造のヒンダードフェノール系酸化防止剤、特開平7−195824号公報及び同8−150773号公報に記載のアスコルビン酸類、特開平7−149037号公報に記載の硫酸亜鉛、特開平7−314882号公報に記載のチオシアン酸塩類など、特開平7−314883号公報に記載のチオ尿素誘導体など、特開平7−276790号公報及び同8−108617号公報に記載の糖類、特開平8−118791号公報に記載のリン酸系酸化防止剤が、特開平8−300807号公報に記載の亜硝酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩などが、また、特開平9−267544号公報に記載のヒドロキシルアミン誘導体等を酸化防止剤として挙げることができる。更に、特開2000−263928号公報等に記載のジシアンジアミドとポリアルキレンポリアミンの重縮合物なども用いることができる。
【0229】
本発明に用いることができる酸化防止剤は、公知の方法に従って合成して得ることができ、また、市販品として容易に入手することができる。
本発明において、酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤を用いることが好ましい。
【0230】
また、ラジカル禁止剤の1つである安定剤は、本発明におけるレリーフ形成層が活性光線硬化型組成物から構成されている場合には、その安定化を図ることができる添加剤である。
【0231】
本発明においては、重合開始剤に起因する臭気を抑制する点から、防臭剤としては、フェノール類、ジフェノール類、ポリフェノール類、ヒドロキノン類、ジヒドロキノン類などのフェノール性ヒドロキシ基を有する化合物が好ましい。
【0232】
〔消臭剤〕
本発明において用いられる消臭剤としては、特に限定されないが、例えば「最新の消臭剤と消臭技術(工業技術会)」、「新しい消臭剤 工業用消臭剤の開発と製品化へのアプローチ(技術情報協会)」などに記載の化合物が挙げられる。
本発明に用いることができる消臭剤は、天然抽出成分であることが好ましい。
天然抽出成分としては、カテキン類やタンニン類などの植物からの抽出物であるカテキン、エピガロカテキン、ガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレード、ガロタンニン、エラジタンニン、また、ローズマリー、ヒマワリ種子、生コーヒー、茶、ブドウの果皮、ブドウの種子、リンゴ等の天然物からの抽出物、また、フェノール性化合物を酸化する酵素を含むもの等が例示できる。また、キトサン等に代表される多糖類、又は、ヒノキオイル、ドクダミエキス、オレンジの精油等に代表される植物抽出成分等も好ましい。これらの中でも、カテキン類やタンニン類が好ましく、カテキン、エピカテキンガレート、及び、ガロタンニンがより好ましい。
これらの消臭剤は1種単独でも、複数の種類のものを併用してもよい。
【0233】
本発明においては、入手性、汎用性の点から、(C)消臭能を有する化合物が、重合禁止剤として前述した、ジフェノール類、ポリフェノール類、ヒドロキノン類、ジアリールアミン類、アルキル化p−フェニレンジアミン類、ジヒドロキノン類、チオエーテル類、ヒンダードアミン類;酸化防止剤として前述した、フェノール系酸化防止剤(フェノール類)、ホスファイト系酸化防止剤(ホスファイト類)、ホスフォナイト系酸化防止剤(ホスフォナイト類)、イオウ系酸化防止剤(チオエーテル類)、ヒンダードアミン系酸化防止剤(ヒンダードアミン類);消臭剤(天然抽出成分)として前述した、カテキン類、タンニン類、天然物からの抽出物(天然物抽出物)、フェノール性化合物を酸化する酵素を含むもの(フェノール性化合物酸化酵素)、多糖類であることが好ましい。
中でも、重合禁止剤として前述した、ジフェノール類、ポリフェノール類、ヒドロキノン類、ジヒドロキノン類、酸化防止剤として前述した、フェノール系酸化防止剤(フェノール類)、消臭剤(天然抽出成分)として前述した、カテキン類、タンニン類などのフェノール性水酸基を有する化合物が好ましく用いられる。フェノール性水酸基を有する化合物の中でも、フェノール性水酸基を複数有するものが好ましい。特に、1分子内に2個〜10個のフェノール性水酸基を有する化合物が好ましく用いられ、カテコール基又はピロガロール基(より好ましくはガロイル基)を有する化合物が更に好ましい。また、フラバン骨格を有するカテキン類が好ましく用いられ、水酸基を5〜10個有するカテキン類が好ましく用いられる。
【0234】
以下に、消臭能を有する化合物として好ましい化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0235】
【化46】

【0236】
【化47】

【0237】
【化48】

【0238】
【化49】

【0239】
【化50】

【0240】
本発明において用いられる消臭能を有する化合物としては、消臭効果の高い点において、ポリフェノール類から選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
ここで、本発明における「ポリフェノール類」とは、フェノール性水酸基を複数有する化合物のことであり、水酸基を有する芳香環を複数有する化合物のみならず、同一芳香環上に複数の水酸基を有するものも含む。
【0241】
特に、ポリフェノール類から選択される少なくとも1種の化合物としては、カテコール基及びピロガロール基の少なくとも一方を有する化合物であることが好ましく、下記構造式(I)で表される官能基を有する化合物であることがより好ましい。中でも、カテキン誘導体であることが最も好ましい。ここで、下記構造式おける「*」は、他の構造との結合部位である。
ここで、カテキン誘導体としては、(+)−カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレートなどに代表され、フラバン構造を基本骨格としてその構造中の芳香環や脂肪族環状エーテル環にOHが導入されたものや、これらOHが更に置換基で修飾されている化合物が挙げられる。
【0242】
【化51】

【0243】
上記のように、消臭能を有する化合物としてポリフェノール類を用いた場合には、前述の含硫黄多官能モノマーとの組み合わせにおいて、膜を作成に用いる塗布液の安定性(ポットライフ)が良化するといった効果を有する、この理由は定かではないが、ポリフェノール類又はフェノール類中のOH基と含硫黄多官能モノマー中のS原子とが多点で水素結合する結果、ポリフェノール類又はフェノール類と含硫黄多官能モノマーと近接して存在することとなる。一般に、ポリフェノール類やフェノール類は重合禁止効果があることが知られており、上述のように、ポリフェノール類又はフェノール類と含硫黄多官能モノマーとが近接することにより、この重合禁止効果が高まり、結果として塗布液安定性が向上したと推定される。
【0244】
また、本発明において用いられる消臭能を有する化合物としては、レリーフ形成層のタック性向上の点から、重合性基を有し、且つ、消臭能を有する化合物であってもよい。
本発明において、重合性基を有し、且つ、消臭能を有する化合物として具体的には、以下に示す化合物1〜化合物20が好ましく挙げられる。
【0245】
【化52】

【0246】
【化53】

【0247】
【化54】

【0248】
【化55】

【0249】
また、重合性基を有し、且つ、消臭能を有する化合物の具体例としては、前記化合物1〜化合物9において、下記(Et−1)〜(Et−3)で表される部分構造を、下記(Re−1)又は(Re−2)で表される部分構造に代えた化合物をも好ましく例示できる。
なお、下記式における波線部分は他の構造との結合部分である。
【0250】
【化56】

【0251】
【化57】

【0252】
本発明におけるレリーフ形成層において、消臭能を有する化合物は、1種単独で用いてもよいし、複数の種類のものを併用してもよい。
また、消臭能を有する化合物として、防臭剤又は消臭剤のどちらか1方を使用しても、防臭剤と消臭剤とを併用してもよい。
【0253】
消臭能を有する化合物として防臭剤を用いる場合、この防臭剤のレリーフ形成層への添加量としては、臭気低減効果と、レリーフ形成層の硬化性の観点から、レリーフ形成層の全質量に対し、0.01質量%〜13質量%であることが好ましく、0.05質量%〜10質量%であることがより好ましい。
また、消臭能を有する化合物として消臭剤を用いる場合、この消臭剤のレリーフ形成層への添加量としては、臭気低減効果、レリーフ形成層の硬化感度、及び、硬化膜の充分な強度の観点から、レリーフ形成層の全質量に対し0.01質量%〜15質量%であるが好ましく、0.05質量%〜10質量%であることがより好ましい。
【0254】
以下、本発明におけるレリーフ形成層に好適に用いられる任意成分について説明する。
任意成分としては、(D)700nm〜1300nmの波長の光を吸収可能な光熱変換剤や、重合開始剤等が好ましく用いられる。
【0255】
<(D)光熱変換剤>
本発明におけるレリーフ形成層は、(D)光熱変換剤を含有することが好ましい。光熱変換剤は、レーザーの光を吸収し発熱することでレリーフ形成層の熱分解を促進すると考えられる。ゆえに、彫刻に用いるレーザー波長の光を吸収する光熱変換剤を選択することが好ましい。
【0256】
波長700nm〜1300nmの赤外線を発するレーザー(YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー、面発光レーザー等)を光源としてレーザー彫刻に用いる場合には、本発明におけるレリーフ形成層は、700nm〜1300nmの波長の光を吸収可能な光熱変換剤を含有することが好ましい。
本発明における光熱変換剤としては、種々の染料又は顔料が用いられる。
【0257】
光熱変換剤のうち、染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、ジインモニウム化合物、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
【0258】
本発明において好ましく用いられる染料としては、特開2008−63554号公報の段落〔0124〕〜〔0137〕に記載の染料を挙げることができる。
本発明における光熱変換剤として好適もの1つは、彫刻感度が高い点から、シアニン系化合物及びフタロシアニン系化合物から選択される少なくとも1種の化合物である。更に、これらの光熱変換剤の熱分解温度が、バインダーポリマーとして好適な親水性ポリマーの熱分解温度同等以上という組み合わせ(条件)で使用する場合に更に彫刻感度が高くなる傾向であり好ましい。
【0259】
また、本発明において用いられる光熱変換剤のうち、染料としては、波長700nm〜1300nmに吸収極大を有する染料が好ましい。
本発明で好ましく用いうる染料としては、ヘプタメチンシアニン色素等のシアニン系色素、ペンタメチンオキソノール色素等のオキソノール系色素、インドリウム系色素、ベンズインドリウム系色素、ベンゾチアゾリウム系色素、キノリニウム系色素、顕色剤と反応させたフタリド化合物等のうち、700nm〜1300nmに極大吸収波長を有するものが挙げられる。置換基の種類及び分子内での位置、共役結合の数、対イオンの種類、色素分子の存在する周囲の環境などにより、光吸収特性が極めて大きく変化する。
【0260】
また、一般に市販されているレーザー色素、過飽和吸収色素、近赤外線吸収色素を使用することもできる。例えば、レーザー色素として、アメリカン・ダイ・ソース社(カナダ国)の商標「ADS740PP」、「ADS745HT」、「ADS760MP」、「ADS740WS」、「ADS765WS」、「ADS745HO」、「ADS790NH」、「ADS800NH」、株式会社林原生物化学研究所社製の商標「NK−3555」、「NK−3509」、「NK−3519」を挙げることができる。また、近赤外線吸収色素として、アメリカン・ダイ・ソース社(カナダ国)商標「ADS775MI」、「ADS775MP」、「ADS775HI」、「ADS775PI」、「ADS775PP」、「ADS780MT」、「ADS780BP」、「ADS793EI」、「ADS798MI」、「ADS798MP」、「ADS800AT」、「ADS805PI」、「ADS805PP」、「ADS805PA」、「ADS805PF」、「ADS812MI」、「ADS815EI」、「ADS818HI」、「ADS818HT」、「ADS822MT」、「ADS830AT」、「ADS838MT」、「ADS840MT」、「ADS845BI」、「ADS905AM」、「ADS956BI」、「ADS1040T」、「ADS1040P」、「ADS1045P」、「ADS1050P」、「ADS1060A」、「ADS1065A」、「ADS1065P」、「ADS1100T」、「ADS1120F」、「ADS1120P」、「ADS780WS」、「ADS785WS」、「ADS790WS」、「ADS805WS」、「ADS820WS」、「ADS830WS」、「ADS850WS」、「ADS780HO」、「ADS810CO」、「ADS820HO」、「ADS821NH」、「ADS840NH」、「ADS880MC」、「ADS890MC」、「ADS920MC」、山本化成株式会社製、商標「YKR−2200」、「YKR−2081」、「YKR−2900」、「YKR−2100」、「YKR−3071」、有本化学工業株式会社製、商標「SDO−1000B」、株式会社林原生物化学研究所社製、商標「NK−3508」、「NKX−114」を挙げることができる。ただし、これらのみに限定されるものではない。
【0261】
本発明において使用される光熱変換剤のうち、顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
【0262】
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
【0263】
カーボンブラックは、レリーフ形成層用塗布液組成物中における分散性などが安定である限り、ASTMによる分類のほか、用途(例えば、カラー用、ゴム用、乾電池用など)の如何に拘らずいずれも使用可能である。カーボンブラックには、例えば、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラックなどが含まれる。なお、カーボンブラックなどの黒色着色剤は、分散を容易にするため、必要に応じて分散剤を用い、予めニトロセルロースやバインダーなどに分散させたカラーチップやカラーペーストとして使用することができ、このようなチップやペーストは市販品として容易に入手できる。
【0264】
本発明においては、比較的低い比表面積及び比較的低いDBP吸収を有するカーボンブラックや比表面積の大きい微細化されたカーボンブラックまでを使用することも可能である。好適なカーボンブラックの例は、Printex(登録商標)U、Printex(登録商標)A、又はSpezialschwarz(登録商標)4(Degussaより)を含む。
【0265】
本発明に適用しうるカーボンブラックとしては、光熱変換により発生した熱を周囲のポリマー等に効率よく伝えることで彫刻感度が向上するという観点で、比表面積が少なくとも150m/g及びDBP数が少なくとも150ml/100gである、伝導性カーボンブラックが好ましい。
【0266】
この比表面積は好ましくは、少なくとも250、特に好ましくは少なくとも500m/gである。DBP数は好ましくは少なくとも200、特に好ましくは少なくとも250ml/100gである。上述したカーボンブラックは酸性の又は塩基性のカーボンブラックであってよい。カーボンブラックは、好ましくは塩基性のカーボンブラックである。異なるバインダーの混合物も当然に、使用され得る。
【0267】
約1500m/gにまで及ぶ比表面積及び約550ml/100gにまで及ぶDBP数を有する適当な伝導性カーボンブラックが、例えば、Ketjennlack(登録商標)EC300J、Ketjennlack(登録商標)EC600J(Akzoより)、Prinrex(登録商標)XE(Degussaより)又はBlack Pearls(登録商標)2000(Cabotより)、ケッチェンブラック(ライオン(株)製)の名称で、商業的に入手可能である。
【0268】
レリーフ形成層における光熱変換剤の含有量は、その分子固有の分子吸光係数の大きさにより大きく異なるが、レリーフ形成層全質量に対して0.01質量%〜20質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.05質量%〜10質量%、特に好ましくは0.1質量%〜5質量%の範囲である。
【0269】
<(E)重合開始剤>
本発明におけるレリーフ形成層は、(E)重合開始剤を含有することが好ましい。
重合開始剤は当業者間で公知のものを制限なく使用することができる。具体的には、例えば、Bruce M. Monroeら著、Chemical Revue, 93, 435 (1993) やR.S.Davidson著、Journal of Photochemistry and biology A:Chemistry,73.81 (1993); J.P.Faussier, “Photoinitiated Polymerization-Theory and Applications”:Rapra Review vol.9, Report, Rapra Technology(1998); M.Tsunooka et al., Prog.Polym.Sci., 21, 1 (1996)等に多く記載されている。また、F.D.Saeva, Topics in Current Chemistry, 156, 59 (1990); G.G.Maslak, Topics in Current Chemistry, 168, 1 (1993); H.B.Shuster et al,JACS, 112,6329 (1990); I.D.F.Eaton et al, JACS, 102, 3298 (1980)等に記載されているような、酸化的若しくは還元的に結合解裂を生じる化合物群も知られる。
【0270】
以下、好ましい重合開始剤の具体例に関し、光及び/又は熱のエネルギーによってラジカルを発生し、重合性化合物の重合反応を開始、促進させる化合物であるラジカル重合開始剤について詳述するが、本発明はこれらの記述により制限を受けるものではない。
【0271】
本発明において、好ましいラジカル重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)メタロセン化合物、(j)活性エステル化合物、(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物、(l)アゾ系化合物等が挙げられる。以下に、上記(a)〜(l)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0272】
本発明においては、感度とレリーフエッジ形状を良好とするといった観点から、(c)有機過酸化物及び(l)アゾ系化合物がより好ましく、(c)有機過酸化物が特に好ましい。
通常、レリーフのエッジ形状を良化させるべく硬度を上げると彫刻感度が下がるが、前述した、重合性化合物の好ましい態様として挙げられた含硫黄多官能モノマーと上記のような好ましい重合開始剤とを用いることで、彫刻感度を下げることなくエッジ形状を良化させることができる。これはおそらく、重合開始剤中の酸素原子や窒素原子が含硫黄多官能モノマーの硫黄原子との相互作用を形成し、両成分が近接して存在することで重合度が上がり硬度が上がるため、エッジ形状が良化すると共に、また、含硫黄多官能モノマーの低温熱分解特性により、重合度が上がることによる感度の低下を抑制しているものと予想される。
【0273】
前記(a)芳香族ケトン類、(b)オニウム塩化合物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)メタロセン化合物、(j)活性エステル化合物、及び(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物としては、特開2008−63554号公報の段落〔0074〕〜〔0118〕に挙げられている化合物を好ましく用いることができる。
また、(c)有機過酸化物及び(l)アゾ系化合物としては、以下に示す化合物が好ましい。
【0274】
(c)有機過酸化物
本発明に用いうるラジカル重合開始剤として好ましい(c)有機過酸化物としては、分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、その例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)ブタン、ターシャリイブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジターシャリイブチルパーオキサイド、ターシャリイブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(ターシャリイブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリイブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−キサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、メタ−トルオイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ターシャリイブチルパーオキシアセテート、ターシャリイブチルパーオキシピバレート、ターシャリイブチルパーオキシネオデカノエート、ターシャリイブチルパーオキシオクタノエート、ターシャリイブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ターシャリイブチルパーオキシラウレート、ターシャリーカーボネート、3,3’4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等がある。
【0275】
中でも、3,3’4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレートなどの過酸化エステル系が好ましい。
【0276】
(l)アゾ系化合物
本発明に用いうるラジカル重合開始剤として好ましい(l)アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスプロピオニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等を挙げることができる。
【0277】
本発明における重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用することも可能である。
重合開始剤は、レリーフ形成層の全質量に対し、好ましくは0.01質量%〜10質量%、より好ましくは0.1質量%〜3質量%の割合で添加することができる。
【0278】
<その他の添加剤>
本発明におけるレリーフ形成層は、可塑剤を含有することが好ましい。
可塑剤は、レリーフ形成層を柔軟化する作用を有するものであり、バインダーポリマーに対して相溶性のよいものである必要がある。
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート等や、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール(モノオール型やジオール型)、ポリプロピレングリコール(モノオール型やジオール型)好ましく用いられる。
【0279】
本発明におけるレリーフ形成層は、彫刻感度向上のための添加剤として、ニトロセルロースや高熱伝導性物質を加えることがより好ましい。
ニトロセルロースは自己反応性化合物であるため、レーザー彫刻時、自身が発熱し、共存する親水性ポリマー等のバインダーポリマーの熱分解をアシストする。その結果、彫刻感度が向上すると推定される。
また、高熱伝導性物質は、熱伝達を補助する目的で添加され、熱伝導性物質としては、金属粒子等の無機化合物、導電性ポリマー等の有機化合物が挙げられる。
金属粒子としては、粒径がマイクロメートルオーダーから数ナノメートルオーダーの、金微粒子、銀微粒子、銅微粒子が好ましい導電性ポリマーとしては、特に共役ポリマーが好ましく、具体的には、ポリアニリン、ポリチオフェンが挙げられる。
また、共増感剤を用いることで、レリーフ形成層を光硬化させる際の感度を更に向上させることができる。
【0280】
更に、レリーフ形成層は少量の熱重合禁止剤を含んでいてもよい。この熱重合禁止剤は、レリーフ形成層の製造中或いは保存中において重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために用いられる。
更に、レリーフ形成層の着色を目的として染料若しくは顔料等の着色剤を添加してもよい。これにより、画像部の視認性や、画像濃度測定機適性といった性質を向上させることができる。
更に、レリーフ形成層の硬化した際の物性を改良するために、充填剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
【0281】
<レリーフ印刷版原版の構成>
本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版は、前述のような各成分から構成されるレリーフ形成層を有する。このレリーフ形成層は、支持体上に設けられることが好ましい。
ここで、本発明において「レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版」とは、架橋性を有するレリーフ形成層が、光及び熱の少なくとも一方により硬化された状態のものをいう。その後、このレリーフ印刷版原版をレーザー彫刻することにより「レリーフ印刷版」が作製される。
【0282】
本発明のレリーフ印刷版原版は、必要により、支持体とレリーフ形成層との間に接着層を有していてもよいし、また、レリーフ形成層上にスリップコート層、保護フィルムを有していてもよい。
以下、本発明のレリーフ印刷版原版の構成要素について説明する。
【0283】
<レリーフ形成層>
レリーフ形成層は、前述のような各成分から構成され、光及び熱の少なくとも一方により硬化する層、即ち、架橋性を有する層であることが好ましい。
本発明のレリーフ印刷版原版によるレリーフ印刷版の作製態様としては、レリーフ形成層を架橋させ、次いでレーザー彫刻することによりレリーフ層を形成することでレリーフ印刷版を作製する態様であることが好ましい。レリーフ形成層を架橋することにより、印刷時におけるレリーフ層の摩耗を防ぐことができ、また、レーザー彫刻後にシャープな形状のレリーフ層を有するレリーフ印刷版を得ることができる。
【0284】
なお、レリーフ形成層は、レリーフ形成層用塗布液組成物を用い、これをシート状或いはスリーブ状に成形することで形成することができる。
【0285】
<支持体>
本発明のレリーフ印刷版原版に使用しうる支持体について説明する。
本発明のレリーフ印刷版原版に支持体に使用する素材は特に限定されないが、寸法安定性の高いものが好ましく使用され、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属、ポリエステル(例えばPET、PBT、PAN)やポリ塩化ビニルなどのプラスチック樹脂、スチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴム、ガラスファイバーで補強されたプラスチック樹脂(エポキシ樹脂やフェノール樹脂など)が挙げられる。支持体としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムやスチール基板が好ましく用いられる。支持体の形態は、レリーフ形成層がシート状であるかスリーブ状であるかによって決定される。
【0286】
<接着層>
本発明のレリーフ印刷版原版において、レリーフ形成層と支持体の間には、両層間の接着力を強化する目的で接着層を設けてもよい。
【0287】
接着層に使用しうる材料は、レリーフ形成層が架橋された後において接着力を強固にするものであればよく、レリーフ形成層が架橋される前も接着力が強固であることが好ましい。ここで、接着力とは支持体/接着層間及び接着層/レリーフ形成層間の接着力の両者を意味する。
【0288】
支持体/接着層間の接着力は、支持体/接着層/レリーフ形成層からなる積層体から接着層及びレリーフ形成層を400mm/分の速度で剥離する際、サンプル1cm幅当たりの剥離力が1.0N/cm以上又は剥離不能であることが好ましく、3.0N/cm以上又は剥離不能であることがより好ましい。
【0289】
接着層/レリーフ形成層の接着力は、接着層/レリーフ形成層から接着層を400mm/分の速度で剥離する際、サンプル1cm幅当たりの剥離力が1.0N/cm以上又は剥離不能であることが好ましく、3.0N/cm以上又は剥離不能であることがより好ましい。
【0290】
接着層に使用しうる材料(接着剤)としては、例えば、I.Skeist編、「Handbook of Adhesives」、第2版(1977)に記載のものを用いることができる。
【0291】
<保護フィルム、スリップコート層>
レリーフ形成層は、レーザー彫刻後レリーフが造形される部分(レリーフ層)となり、そのレリーフ層表面はインキ着肉部として機能する。架橋後のレリーフ形成層は架橋により強化されているので、レリーフ形成層表面に印刷に影響を及ぼすほどの傷や凹みが発生することはほとんどない。しかし、架橋前のレリーフ形成層は強度が不足している場合が多く、表面に傷や凹みが入りやすい。かかる観点からは、レリーフ形成層表面への傷・凹み防止の目的で、レリーフ形成層表面に保護フィルムを設けてもよい。
【0292】
保護フィルムは、薄すぎると傷・凹み防止の効果が得られず、厚すぎると取り扱いが不便になり、コスト高にもなる。よって、保護フィルムの厚さは25μm〜500μmが好ましく、50μm〜200μmがより好ましい。
【0293】
保護フィルムは、印刷版の保護フィルムとして公知の材質、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)のようなポリエステル系フィルム、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)のようなポリオレフィン系フィルムを用いることができる。またフィルムの表面はプレーンでもよいし、マット化されていてもよい。
【0294】
レリーフ形成層上に保護フィルムを設ける場合、保護フィルムは剥離可能でなければならない。
【0295】
保護フィルムが剥離不可能な場合や、逆にレリーフ形成層に接着しにくい場合には、両層間にスリップコート層を設けてもよい。
【0296】
スリップコート層に使用される材料は、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、部分鹸化ポリビニルアルコール、ヒドロシキアルキルセルロース、アルキルセルロース、ポリアミド樹脂など、水に溶解又は分散可能で、粘着性の少ない樹脂を主成分とすることが好ましい。これらの中で、粘着性の面から、鹸化度60モル%〜99モル%の部分鹸化ポリビニルアルコール、アルキル基の炭素数が1〜5のヒドロキシアルキルセルロース及びアルキルセルロースが特に好ましく用いられる。
【0297】
レリーフ形成層(及びスリップコート層)/保護フィルムから保護フィルムを200mm/分の速度で剥離する時、1cm当たりの剥離力が5mN/cm〜200mN/cmであることが好ましく、10mN/cm〜150mN/cmが更に好ましい。5mN/cm以上であれば、作業中に保護フィルムが剥離することなく作業でき、200mN/cm以下であれば無理なく保護フィルムを剥離することができる。
【0298】
−レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の作製方法−
次に、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の作製方法について説明する。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層の形成は、特に限定されるものではないが、例えば、レリーフ形成層用塗布液組成物を調製し、このレリーフ形成層用塗布液組成物から溶剤を除去した後に、支持体上に溶融押し出しする方法が挙げられる。また、レリーフ形成層用塗布液組成物を、支持体上に流延し、これをオーブン中で乾燥して塗布液組成物から溶媒を除去する方法でもよい。
その後、必要に応じてレリーフ形成層の上に保護フィルムをラミネートしてもよい。ラミネートは、加熱したカレンダーロールなどで保護フィルムとレリーフ形成層を圧着することや、表面に少量の溶媒を含浸させたレリーフ形成層に保護フィルムを密着させることよって行うことができる。
保護フィルムを用いる場合には、先ず保護フィルム上にレリーフ形成層を積層し、次いで支持体をラミネートする方法を採ってもよい。
接着層を設ける場合は、接着層を塗布した支持体を用いることで対応できる。スリップコート層を設ける場合は、スリップコート層を塗布した保護フィルムを用いることで対応できる。
【0299】
レリーフ形成層用塗布液組成物は、例えば、バインダーポリマー、及び、任意成分としての、光熱変換剤、可塑剤を適当な溶媒に溶解させ、次いで、重合性化合物及び重合開始剤を溶解させることによって製造できる。
【0300】
溶媒成分のほとんどは、レリーフ印刷版原版を製造する段階で除去する必要があるので、溶媒としては揮発しやすい低分子アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコ−ルモノメチルエーテル)等を用い、且つ、溶媒の全添加量をできるだけ少なく抑えることが好ましい。系を高温にすることで、溶媒の添加量を抑制することができるが、温度が高すぎると重合性化合物が重合反応し易くなるため、重合性化合物及び/又は重合開始剤の添加後の塗布液組成物の調製温度は30℃〜80℃が好ましい。
【0301】
ここで、本発明において、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版といった場合、前述のように、レリーフ形成層が架橋された状態までを指す。レリーフ形成層を架橋する方法には、レリーフ形成層を活性光線の照射及び/又は加熱により架橋する工程(後述の本発明のレリーフ印刷版の製造方法における工程(1))を行うことが好ましい。
【0302】
本発明のレリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層の厚さは、架橋の前後において、0.05mm以上10mm以下が好ましく、より好ましくは0.05mm以上7mm以下、特に好ましくは0.05mm以上3mm以下である。
【0303】
[レリーフ印刷版及びその製造]
本発明のレリーフ印刷版の製造方法は、(1)本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版における未架橋のレリーフ形成層を活性光線の照射及び加熱の少なくとも一方により架橋する工程(以下、適宜「工程(1)」と称する。)、及び(2)架橋されたレリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程(以下、適宜「工程(2)」と称する。)、を含むことを特徴とする。本発明のレリーフ印刷版の製造方法により、支持体上にレリーフ層を有する本発明のレリーフ印刷版を製造することができる。
【0304】
<工程(1)>
本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版は、前述のように、架橋により硬化された状態のレリーフ形成層を有する。このようなレリーフ形成層を得るためには、本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版における未架橋のレリーフ形成層を活性光線の照射及び/又は加熱により架橋する工程を用いることが好ましい。
本発明における「架橋」とは、バインダーポリマー同士を連結する架橋反応を含む概念であり、また、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物同士の重合反応やバインダーポリマーと重合性化合物の反応によるレリーフ形成層の硬化反応をも含む概念である。
【0305】
上記のように、工程(1)では、未架橋のレリーフ形成層の架橋は、活性光線の照射、及び/又は、熱により行われる。
工程(1)において、光により架橋する工程と、熱により架橋する工程とが併用される場合には、これらの工程は、互いに同時工程でも別時工程としてもよい。
【0306】
工程(1)は、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版のレリーフ形成層を、照射及び加熱の少なくとも一方により架橋する工程である。
レリーフ形成層は、好ましくは、重合性化合物、バインダーポリマー、光熱変換剤、及び重合開始剤を含むものであり、工程(1)は重合開始剤の作用で重合性化合物をポリマー化し、架橋を形成する工程である。
重合開始剤はラジカル発生剤であることが好ましく、該ラジカル発生剤は、ラジカルを発生するきっかけが光か熱かによって、光重合開始剤と熱重合開始剤に大別される。
【0307】
レリーフ形成層が光重合開始剤を含有する場合には、光重合開始剤のトリガーとなる活性光線をレリーフ形成層に照射することで、レリーフ形成層を架橋することができる(光により架橋する工程)。
活性光線の照射は、レリーフ形成層全面に行うのが一般的である。活性光線としては可視光、紫外光或いは電子線が挙げられるが、紫外光が最も一般的である。レリーフ形成層の支持体側を裏面とすれば、表面に活性光線を照射するだけでもよいが、支持体が活性光線を透過する透明なフィルムならば、更に裏面からも活性光線を照射することが好ましい。表面からの照射は、保護フィルムが存在する場合、これを設けたまま行ってもよいし、保護フィルムを剥離した後に行ってもよい。酸素の存在下では重合阻害が生じる恐れがあるので、レリーフ形成層に塩化ビニルシートを被せて真空引きした上で、活性光線の照射を行ってもよい。
【0308】
レリーフ形成層が熱重合開始剤を含有する場合には(上記の光重合開始剤が熱重合開始剤にもなりえる)、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を加熱することで、レリーフ形成層を架橋することができる(熱により架橋する工程)。加熱手段としては、印刷版原版を熱風オーブンや遠赤外オーブン内で所定時間加熱する方法や、加熱したロールに所定時間接する方法が挙げられる。
【0309】
工程(1)が、光により架橋する工程である場合は、活性光線を照射する装置が比較的高価であるものの、印刷版原版が高温になることがないので、印刷版原版の原材料の制約がほとんどない。
工程(1)が、熱により架橋する工程である場合には、特別高価な装置を必要としない利点があるが、印刷版原版が高温になるので、高温で柔軟になる熱可塑性ポリマーは加熱中に変形する可能性がある等、使用する原材料は慎重に選択する必要がある。
熱架橋の際には、熱重合開始剤を加え得る。熱重合開始剤としては、遊離基重合(free radical polymerization)用の商業的な熱重合開始剤として使用され得る。このような熱重合開始剤としては、例えば、適当な過酸化物、ヒドロペルオキシド又はアゾ基を含む化合物が挙げられる。代表的な加硫剤も架橋用に使用できる。熱架橋性(heat−curable)の樹脂、例えば、エポキシ樹脂を架橋成分として層に加えることにより熱架橋も実施され得る。
【0310】
工程(1)におけるレリーフ形成層の架橋方法としは、レリーフ形成層を表面から内部まで均一に硬化(架橋)可能という観点で、熱による架橋の方が好ましい。
レリーフ形成層を架橋することで、第1にレーザー彫刻後形成されるレリーフがシャープになり、第2にレーザー彫刻の際に発生する彫刻カスの粘着性が抑制されるという利点がある。未架橋のレリーフ形成層をレーザー彫刻すると、レーザー照射部の周辺に伝播した余熱により、本来意図していない部分が溶融、変形しやすく、シャープなレリーフ層が得られない場合がある。また、素材の一般的な性質として、低分子なものほど固形ではなく液状になり、すなわち粘着性が強くなる傾向がある。レリーフ形成層を彫刻する際に発生する彫刻カスは、低分子の材料を多く用いるほど粘着性が強くなる傾向がある。低分子である重合性化合物は架橋することで高分子になるため、発生する彫刻カスは粘着性が少なくなる傾向がある。
【0311】
<工程(2)>
本発明のレリーフ印刷版の製造方法において、前記した工程(1)の後、(2)架橋されたレリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程を行うことを特徴とする。本発明のレリーフ印刷版の製造方法により、支持体上にレリーフ層を有する本発明のレリーフ印刷版を製造することができる。
【0312】
本発明のレリーフ印刷版の製造方法では、工程(2)に次いで、更に、必要に応じて下記工程(3)〜工程(5)を含んでもよい。
工程(3): 彫刻後のレリーフ層表面を、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスする工程(リンス工程)。
工程(4): 彫刻されたレリーフ層を乾燥する工程(乾燥工程)。
工程(5): 彫刻後のレリーフ層にエネルギーを付与し、レリーフ層を更に架橋する工程(後架橋工程)。
【0313】
工程(2)では、前記工程(1)で架橋されたレリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程である。具体的には、架橋されたレリーフ形成層に対して形成したい画像に対応したレーザー光を照射して彫刻を行うことによりレリーフ層を形成する。好ましくは、形成したい画像のデジタルデータを元にコンピューターでレーザーヘッドを制御し、レリーフ形成層に対して走査照射する工程が挙げられる。
この工程(2)には、赤外線レーザーが好ましく用いられる。赤外線レーザーが照射されると、レリーフ形成層中の分子が分子振動し、熱が発生する。赤外線レーザーとして炭酸ガスレーザーやYAGレーザーのような高出力のレーザーを用いると、レーザー照射部分に大量の熱が発生し、レリーフ形成層中の分子は分子切断或いはイオン化されて選択的な除去、すなわち彫刻がなされる。レーザー彫刻の利点は、彫刻深さを任意に設定できるため、構造を3次元的に制御することができる点である。例えば、微細な網点を印刷する部分は、浅く或いはショルダーをつけて彫刻することで、印圧でレリーフが転倒しないようにすることができ、細かい抜き文字を印刷する溝の部分は深く彫刻することで、溝にインキが埋まりにくくなり、抜き文字つぶれを抑制することが可能となる。
中でも、光熱変換剤の吸収波長に対応した赤外線レーザーで彫刻する場合には、より高感度でレリーフ形成層の選択的な除去が可能となり、シャープな画像を有するレリーフ層が得られる。このような工程(2)に用いられる赤外レーザーとしては、生産性、コスト等の面から、炭酸ガスレーザー又は半導体レーザーが好ましい。特に、ファイバー付き半導体赤外線レーザーが好ましく用いられる。
【0314】
〔半導体レーザーを備えた製版装置〕
一般に、半導体レーザーは、COレーザーに比べレーザー発振が高効率且つ安価で小型化が可能である。また、小型であるためアレイ化が容易である。ビーム径の制御は、結像レンズ、特定の光ファイバーを用いて行われる。ファイバー付き半導体レーザーは、更に光ファイバーを取り付けることで効率よくレーザー光を出力できるため本発明における画像形成には有効である。更に、ファイバーの処理によりビーム形状を制御できる。例えば、ビームプロファイルはトップハット形状とすることができ安定に版面にエネルギーを与えることができる。半導体レーザーの詳細は、「レーザーハンドブック第2版」レーザー学会編、実用レーザー技術 電子通信学会 等に記載されている。
また、本発明のレリーフ印刷版原版を用いたレリーフ印刷版の製造方法に好適に使用しうるファイバー付き半導体レーザーを備えた製版装置は、本願出願人が提出した特願2008−15460号明細書、特願2008−58160号明細書に詳細に記載され、これを本発明に係るレリーフ印刷版の製版に使用することができる。
【0315】
以下、本発明のレリーフ印刷版原版を用いたレリーフ印刷版の作製に使用しうるファイバー付き半導体レーザー記録装置10を備える製版装置11の一態様について、図1を参照して、その構成について説明する。
本発明に使用しうるファイバー付き半導体レーザー記録装置10を備える製版装置11は、外周面に、本発明のレリーフ印刷版原版F(記録媒体)が装着されたドラム50を主走査方向に回転させると共に、レリーフ印刷版原版Fに彫刻(記録)すべき画像の画像データに応じた複数のレーザービームを同時に射出しつつ、所定ピッチで露光ヘッド30を主走査方向と直交する副走査方向に走査させることで、2次元画像をレリーフ印刷版原版Fに高速で彫刻(記録)する。また、狭い領域を彫刻(細線や網点などの精密彫刻)する場合などはレリーフ印刷版原版Fを浅彫りし、広い領域を彫刻する場合などはレリーフ印刷版原版Fを深彫りする。
【0316】
図1に示すように、製版装置11は、レーザービームによって彫刻され画像が記録されるレリーフ印刷版原版Fが装着され且つレリーフ印刷版原版Fが主走査方向に移動するように図1矢印R方向に回転駆動されるドラム50と、レーザー記録装置10と、を含んで構成されている。レーザー記録装置10は、複数のレーザービームを生成する光源ユニット20と、光源ユニット20で生成された複数のレーザービームをレリーフ印刷版原版Fに露光する露光ヘッド30と、露光ヘッド30を副走査方向に沿って移動させる露光ヘッド移動部40と、を含んで構成されている。
【0317】
光源ユニット20には、各々光ファイバー22A,22Bの一端部が個別にカップリングされたブロードエリア半導体レーザーによって構成された半導体レーザー21A,21Bと、半導体レーザー21A,21Bが表面に配置された光源基板24A,24Bと、光源基板24A,24Bの一端部に垂直に取り付けられると共にSC型光コネクタ25A、25Bのアダプタが複数(半導体レーザー21A,21Bと同数)設けられたアダプタ基板23A,23Bと、光源基板24A,24Bの他端部に水平に取り付けられると共にレリーフ印刷版原版Fに彫刻(記録)する画像の画像データに応じて半導体レーザー21A,21Bを駆動するLDドライバー回路26が設けられたLDドライバー基板27A,27Bと、が備えられている。
【0318】
露光ヘッド30には、複数の半導体レーザー21A,21Bから射出された各レーザービームを取り纏めて射出するファイバーアレイ部300が備えられている。このファイバーアレイ部300には、各々アダプタ基板23A,23Bに接続されたSC型光コネクタ25A,25Bに接続された複数の光ファイバー70A,70Bによって、各半導体レーザー21A,21Bから射出されたレーザービームが伝送される。
【0319】
図1に示すように、露光ヘッド30には、ファイバーアレイ部300側より、コリメータレンズ32、開口部材33、及び結像レンズ34が、順番に並んで配列されている。なお、開口部材33は、ファイバーアレイ部300側からみ見て、開口がファーフィールド(far field)の位置となるように配置されている。これによって、ファイバーアレイ部300における複数の光ファイバー70A,70Bの光ファイバー端部71A,71Bから射出された全てのレーザービームに対して同等の光量制限効果を与えることができる。
【0320】
コリメータレンズ32及び結像レンズ34で構成される結像手段によって、レーザービームはレリーフ印刷版原版Fの露光面(表面)FAの近傍に結像される。
前記ファイバー付き半導体レーザーではビーム形状を変化させることが可能であるため、本発明においては、結像位置(結像位置)Pは、露光面FAから内部側(レーザービームの進行方向側)の範囲とすることで、露光面(レリーフ形成層表面)FAのビーム径を10μm〜80μmの範囲に制御することが、効率のよい彫刻を行う、細線再現性が良好となる等の観点から望ましい。
【0321】
露光ヘッド移動部40には、長手方向が副走査方向に沿うように配置されたボールネジ41及び2本のレール42が備えられており、ボールネジ41を回転駆動する副走査モータ43を作動させることによって、露光ヘッド30が設けられた台座部310をレール42に案内された状態で副走査方向に移動させることができる。また、ドラム50は主走査モータ(図示せず)を作動させることによって、図1の矢印R方向に回転させることができ、これによって主走査がなされる。
【0322】
また、彫刻したい形状の制御において、ファイバー付き半導体レーザーのビーム形状を変化させず、レーザーに供給するエネルギー量を変化させることで彫刻領域の形状を変化させることも可能である。
具体的には、半導体レーザーの出力を変えて制御する方法、レーザー照射時間を変えて制御する方法がある。
【0323】
彫刻表面に彫刻カスが付着している場合は、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスして、彫刻カスを洗い流す工程(3)を追加してもよい。リンスの手段として、水道水で水洗する方法、高圧水をスプレー噴射する方法、感光性樹脂凸版の現像機として公知のバッチ式或いは搬送式のブラシ式洗い出し機で、彫刻表面を主に水の存在下でブラシ擦りする方法などが挙げられ、彫刻カスのヌメリがとれない場合は、界面活性剤を添加したリンス液を用いてもよい。
彫刻表面をリンスする工程(3)を行った場合、彫刻されたレリーフ形成層を乾燥してリンス液を揮発させる工程(4)を追加することが好ましい。
更に、必要に応じてレリーフ形成層を更に架橋させる工程(5)を追加してもよい。追加の架橋工程(5)を行うことにより、彫刻によって形成されたレリーフをより強固にすることができる。
【0324】
以上のようにして、支持体上にレリーフ層を有する、本発明のレリーフ印刷版が得られる。
レリーフ印刷版が有するレリーフ層の厚さは、耐磨耗性やインキ転移性のような種々のフレキソ印刷適性を満たす観点からは、0.05mm以上10mm以下が好ましく、より好ましくは0.05mm以上7mm以下、特に好ましくは0.05mm以上0.3mm以下である。
【0325】
また、レリーフ印刷版が有するレリーフ層のショアA硬度は、50°以上90°以下であることが好ましい。
レリーフ層のショアA硬度が50°以上であると、彫刻により形成された微細な網点が凸版印刷機の強い印圧を受けても倒れてつぶれることがなく、正常な印刷ができる。また、レリーフ層のショアA硬度が90°以下であると、印圧がキスタッチのフレキソ印刷でもベタ部での印刷かすれを防止することができる。
なお、本明細書におけるショアA硬度は、測定対象の表面に圧子(押針又はインデンタと呼ばれる)を押し込み変形させ、その変形量(押込み深さ)を測定して、数値化するデュロメータ(スプリング式ゴム硬度計)により測定した値である。
【0326】
本発明の方法で製造されたレリーフ印刷版は、凸版用印刷機による油性インキやUVインキでの印刷が可能であり、また、フレキソ印刷機によるUVインキでの印刷も可能である。
【実施例】
【0327】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0328】
まず、実施例、比較例で用いる、含硫黄多官能モノマーM1、M2、及び多官能モノマーCの合成例と構造、更には、含硫黄多官能モノマーM3の構造を示す。
【0329】
〔合成例:含硫黄多官能モノマーM1の合成〕
撹拌羽及び冷却管をつけた500mLの3つ口フラスコ中に、3,3’−チオジプロピオン酸(和光純薬製、89.05g)、メタクリル酸グリシジル(和光純薬製、156.26g)、1−メトキシ−2−プロパノール(日本乳化剤(株)製、27.78g),テトラエチルアンモニウムブロミド(東京化成製、4.20g)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピリジン1−オキシル フリーラジカル(東京化成製、0.5
0g)を入れて、80℃で4時間撹拌した。この溶液に、水(500g)と酢酸エチル(500g)を加え分液ロートに移して激しく撹拌した後、水層を除去した、続いて、飽和炭酸ナトリウム水溶液(200g)を加え激しく撹拌した後、水層を除去した。続いて、飽和食塩水(200g)を加え激しく撹拌した後、水層を除去した。有機層を1Lのエルレンマイヤーフラスコに移した後、硫酸マグネシウム(100g)を加え乾燥させた。濾過により硫酸マグネシウムを除き、減圧下で酢酸エチルを除去することで、下記構造の含硫黄多官能モノマーM1(233.04g)を得た。得られた含硫黄多官能モノマーM1M1の構造は、H NMRにより同定した。
【0330】
【化58】

【0331】
〔合成例:含硫黄多官能モノマーM2の合成〕
下記構造の含硫黄多官能モノマーM2は、前記含硫黄多官能モノマーM1と同様の合成法を適用し、「3,3’−チオジプロピオン酸」を、それぞれ、「3,3’−ジチオジプロピオン酸」に代えて、合成した。得られた含硫黄多官能モノマーM2の構造は、H NMRにより同定した。
【0332】
【化59】

【0333】
【化60】

【0334】
〔合成例:多官能モノマーCの合成〕
下記構造の多官能モノマーCは、前記含硫黄多官能モノマーM1と同様の合成法を適用し、「3,3’−チオジプロピオン酸」を「ピメリン酸」に代えて、合成した。得られた多官能モノマーCの構造は、H NMRにより同定した。
【0335】
【化61】

【0336】
また、下記に実施例で用いる消臭能を有する化合物C−1〜C−12の構造を示す。
【0337】
【化62】

【0338】
続いて、実施例で用いる、化合物1、化合物6、化合物7、及び化合物8の合成例及び構造を示す。
【0339】
〔合成例:重合性基を有し、且つ、防臭能を有する化合物(化合物1)の合成〕
4−ヒドロキシ安息香酸(0.2モル)、2−ブロモエタノール(0.2モル)、ジアザビシクロウンデセン(0.2モル)、及び、アセトニトリル(300ml)を混合し、80℃で6時間反応させた。その後、得られた反応液に対して、塩酸水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液を用いて分液操作を行い、有機層を抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムにて乾燥させた後にエバポレーターで溶剤を除去し、下記構造の前駆体(1−a)を得た(収率86%)。
【0340】
【化63】

【0341】
次に、得られた前駆体(1−a)(0.1モル)をN−メチルピロリドン(200ml)に溶解した混合液に、アクリル酸クロライド(0.3モル)を滴下し、室温で24時間反応させた。反応終了後、反応液を氷水(2L)に滴下し、未反応のアクリル酸クロライドをアクリル酸へと分解した後に、炭酸水素ナトリウム水溶液を用いて分液操作を行い、有機層を抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムにて乾燥させた後にエバポレーターで溶剤を除去し、重合性基を有し、且つ、防臭能を有する化合物(下記構造の化合物1)を得た(収率79%)。
【0342】
【化64】

【0343】
〔合成例:重合性基を有し、且つ、防臭能を有する化合物(化合物6)の合成〕
エピカテキン(0.2モル)をN−メチルピロリドン(200ml)に溶解した混合液に、メタアクリル酸クロライド(0.3モル)を滴下し、室温で24時間反応させた。反応終了後、反応液を氷水(2L)に滴下し、未反応のメタアクリル酸クロライドをメタアクリル酸へと分解した後に、炭酸水素ナトリウム水溶液を用いて分液操作を行い、有機層を抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムにて乾燥させた後にエバポレーターで溶剤を除去し、重合性基を有し、且つ、防臭能を有する化合物(下記構造の化合物6)を得た(収率84%)。
【0344】
【化65】

【0345】
〔合成例:重合性基を有し、且つ、防臭能を有する化合物(化合物7)の合成〕
エピガロカテキン(0.2モル)をN−メチルピロリドン(200ml)に溶解した混合液に、アクリル酸クロライド(0.3モル)を滴下し、室温で24時間反応させた。反応終了後、反応液を氷水(2L)に滴下し、未反応のアクリル酸クロライドをアクリル酸へと分解した後に、炭酸水素ナトリウム水溶液を用いて分液操作を行い、有機層を抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムにて乾燥させた後にエバポレーターで溶剤を除去し、重合性基を有し、且つ、防臭能を有する化合物(下記構造の化合物7)を得た(収率69%)。
【0346】
【化66】

【0347】
〔合成例:重合性基を有し、且つ、防臭能を有する化合物(化合物8)の合成〕
エピカテキン(0.2モル)をN−メチルピロリドン(200ml)に溶解した混合液に、カレンズMOI(0.2モル)を滴下し、室温で24時間反応させた。反応終了後、反応液を氷水(2L)に滴下した後に、炭酸水素ナトリウム水溶液を用いて分液操作を行い、有機層を抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムにて乾燥させた後にエバポレーターで溶剤を除去し、重合性基を有し、且つ、防臭能を有する化合物(下記構造の化合物8)を得た(収率77%)。
【0348】
【化67】

【0349】
[実施例A−1]
1.レリーフ形成層用塗布液組成物の調製
撹拌羽及び冷却管をつけた3つ口フラスコ中に、バインダーポリマーとして「デンカブチラール#3000−2」(電気化学工業製、ポリビニルブチラール誘導体 Mw=9万)50g、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート47gを入れ、撹拌しながら70℃で120分間加熱しポリマーを溶解させた。その後、溶液を40℃にし、更に重合性化合物(含硫黄多官能モノマー)としてM2(前記構造)を15g、重合性化合物(単官能モノマー)としてブレンマーLMA(日油製)8g、重合開始剤としてパーブチルZ(日油製)を1.6g、光熱変換剤としてケッチェンブラックEC600JD(カーボンブラック、ライオン(株)製)を1g、消臭能を有する化合物C−1(前記構造、β−シクロデキストリン)1gを添加して30分間撹拌した。この操作により、流動性のある架橋性レリーフ形成層用塗布液Aを得た。
【0350】
<評価>
−塗布液安定性−
得られた流動性のある架橋性レリーフ形成層用塗布液(2g)をサンプル瓶に入れて蓋をした。これを70℃の水温に設定したウォーターバス中に、サンプル瓶の底から半分の高さまで浸漬し、塗布液の流動性がなくなる(サンプル瓶を逆さにしても液が落ちてこなくなる)時間(ゲル化時間)を測定し、これを塗布液安定性の指標とした。ゲル化時間が長いほど塗布液安定性が良好であることを意味する。
【0351】
2.レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の作製
PET基板上に所定厚のスペーサー(枠)を設置し、上記より得られたレリーフ形成層用塗布液組成物Aをスペーサー(枠)から流出しない程度に静かに流延し、70℃のオーブン中で4時間乾燥させて、厚さが凡そ1mmのレリーフ形成層を設けた。
得られたレリーフ形成層を、80℃で3時間加熱した後、更に、100℃で3時間加熱してレリーフ形成層を熱架橋し、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を得た。
【0352】
3.レリーフ印刷版の作製
架橋後のレリーフ形成層に対し、下記3−1及び3−2に記載の2種類のレーザーを用いて彫刻を行った。
【0353】
3−1.FC−LDを用いた彫刻
半導体レーザー彫刻機として、最大出力8.0Wのファイバー付き半導体レーザー(FC−LD)SDL−6390(JDSU社製、波長 915nm)を装備した、前述の図1に示すファイバー付きレーザー記録装置を用いた。この半導体レーザー彫刻機で、架橋後のレリーフ形成層に対し、レーザー出力:6W、ヘッド速度:100mm/秒、ピッチ設定:2400DPIの条件で、1cm四方のベタ部分をラスター彫刻した。(このレーザーを用いて評価した結果は表中に「FC−LD」と表記する。)
【0354】
3−1.COレーザーを用いた彫刻
炭酸ガスレーザー彫刻機として、高品位COレーザーマーカーML−9100シリーズ(KEYENCE(株)製)を用いた。この炭酸ガスレーザー彫刻機で、架橋後のレリーフ形成層に対し、出力:12W、ヘッド速度:200mm/秒、ピッチ設定:2400DPIの条件で、1cm四方のベタ部分をラスター彫刻した。(この第1のレーザーを用いて評価した結果は表中に「COレーザー」と表記する。)
【0355】
彫刻後のレリーフ印刷版が有するレリーフ層の厚さは1.14mmであった。
また、レリーフ層のショアA硬度を、前述の測定方法により測定したところ、74°であった。なお、レリーフ層のショア硬度Aの測定は、後述する各実施例及び比較例においても同様に行った。
【0356】
[実施例A−2〜A−21]
実施例A−1で用いた「含硫黄多官能モノマーM2」を、下記表1に記載の多官能モノマーに、及び/又は、「消臭能を有する化合物C−1」を、下記表1に記載の各化合物に変更してレリーフ形成層用塗布液組成物を調製した以外は、実施例A−1と同様にして、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を作製した後、該レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版からレリーフ印刷版を作製した。
また、得られたレリーフ印刷版が有するレリーフ層の厚さ、及びショアA硬度は、下記表1に示す通りである。
【0357】
[比較例A−1〜A−3]
実施例A−1で用いた「含硫黄多官能モノマーM2」を、下記表1に記載の多官能モノマーに変更し、及び/又は、「消臭能を有する化合物C−1」を用いずにレリーフ形成層用塗布液組成物を調製した以外は、実施例A−1と同様にして、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を作製した後、該レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版からレリーフ印刷版を作製した。
また、得られたレリーフ印刷版が有するレリーフ層の厚さ、及びショアA硬度は、下記表1に示す通りである。
【0358】
<評価>
−彫刻深さ−
彫刻後のレリーフ印刷版が有するレリーフ層の「彫刻深さ」を、以下のように測定した。ここで、「彫刻深さ」とは、レリーフ層の断面を観察した場合の、彫刻された位置(高さ)と彫刻されていない位置(高さ)との差をいう。本実施例における「彫刻深さ」は、レリーフ層の断面を、超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK9510((株)キーエンス製)にて観察することにより測定した。彫刻深さが大きいことは、彫刻感度が高いことを意味する。結果を表1に示す。
【0359】
−臭気性評価−
前述の方法でレーザー彫刻中の印刷版原版について、臭気を嗅いで官能評価を行い、以下のようにして臭気のレベルを評価した。結果を表1に示す。
専門パネラー6人で下記評価基準(評価点)にて評価した。
評価基準(評価点):
◎:6人中4人以上が臭気低減効果を認めた。
○:6人中2人以上が臭気低減効果を認めた。
×:臭気低減効果が認められなかった
なお、評価点が△以上の場合、実用使用上問題がないと考えられる。
ここで、上記の「臭気低減効果」とは、消臭能を有する化合物が添加されているレリーフ印刷版原版と、消臭能を有する化合物が添加されていないだけでその他の組成は全く同じレリーフ印刷版原版と、の両方を前述の方法でレーザー彫刻して、その際の臭気を比較して得られる効果のことを言う。
【0360】
【表1】

【0361】
表1に示されるように、消臭能を有する化合物の添加により、レーザー彫刻時の不快臭が抑制されていることが確認できた。また、彫刻深さはいずれも300μmを超えており、彫刻感度が充分に高いことが分かる。
特に、重合性化合物として硫黄原子を有する重合性化合物(含硫黄多官能モノマー)を用いた際には、彫刻深さが特に大きく、この重合性化合物に、カテコール基及びピロガロール基(ガロイル基)の少なくとも一方を含む消臭能を有する化合物を併用することで、顕著な臭気抑制効果が表れることが確認できた。
【0362】
[実施例B−1]
1.レリーフ形成層用塗布液組成物の調製
撹拌羽及び冷却管をつけた3つ口フラスコ中に、バインダーポリマーとしてゴーセナールT−215(日本合成化学工業(株)製、PVA誘導体)34g、光熱変換剤としてケッチェンブラックEC600JD(カーボンブラック、ライオン(株)製)を0.75g、可塑剤としてジエチレングリコール20g、溶媒として水35g及びエタノール12gを入れ、撹拌しながら60℃で120分間加熱しポリマーを溶解させた。更に、前述のようにして合成した含硫黄多官能モノマーM1を34g、重合開始剤としてパーブチルZ(日本油脂(株)製)を1.8g、消臭剤としてカテキン1.5gを添加して30分間撹拌し、流動性のあるレリーフ形成層用塗布液組成物Bを得た。
【0363】
2.レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の作製
PET基板上に所定厚のスペーサー(枠)を設置し、上記より得られたレリーフ形成層用塗布液組成物Bをスペーサー(枠)から流出しない程度に静かに流延し、70℃のオーブン中で4時間乾燥させて、厚さが凡そ1mmのレリーフ形成層を設けた。
得られたレリーフ形成層を、100℃で3時間加熱してレリーフ形成層を熱架橋し、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を得た。
【0364】
3.レリーフ印刷版の作製
架橋後のレリーフ形成層に対し、近赤外レーザー彫刻機として、最大出力16Wの半導体レーザー(レーザー発振波長840nm)を装備した“FD−100”((株)東成エレクトロビーム製)を用い、彫刻条件を、レーザー出力:15W、走査速度:100mm/秒、ピッチ間隔:0.15mmに設定し、2cm四方のベタ部分を彫刻することにより、レリーフ層を形成し、レリーフ印刷版を得た。
【0365】
彫刻後のレリーフ印刷版が有するレリーフ層の厚さは1.36mmであった。
また、レリーフ層のショアA硬度を、前述の測定方法により測定したところ、64°であった。
【0366】
[実施例B−2〜B−8、比較例B−1〜B−3]
実施例B−1で用いた「含硫黄多官能モノマーM1」を、下記表2に記載の多官能モノマーに、また、「カテキン」を、下記表2に記載の各化合物に変更してレリーフ形成層用塗布液組成物を調製した以外は、実施例B−1と同様にして、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を作製した後、該レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版からレリーフ印刷版を作製した。
また、得られたレリーフ印刷版が有するレリーフ層の厚さ、及びショアA硬度は、下記表2に示す通りである。
更に、実施例A−1と同様にして、彫刻深さの測定と臭気性評価を行った。結果を表2に示す。
【0367】
[実施例B−9〜B−16、比較例B−4〜B−6]
実施例B−1で用いた「含硫黄多官能モノマーM1」を、下記表2に記載の多官能モノマーに、また、「カテキン」を、下記表2に記載の各化合物に変更してレリーフ形成層用塗布液組成物を調製した以外は、実施例B−1と同様にして、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を作製した。
得られたレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版に対し、下記のように炭酸ガスレーザー彫刻機を用いてレーザー彫刻を行った以外は、実施例B−1と同様にして、レリーフ印刷版を作製した。
即ち、炭酸ガスレーザー彫刻機として、最大出力30Wの炭酸ガスレーザーを装備した“COレーザーマーカーML−Z9500”((株)キーエンス製)を用いた。彫刻条件は、レーザー出力:15W、走査速度:100mm/秒、ピッチ間隔:0.15mmに設定し、2cm四方のベタ部分を彫刻し、レリーフ印刷版を得た。
ここで、得られたレリーフ印刷版が有するレリーフ層の厚さ、及びショアA硬度は、下記表2に示す通りである。
更に、実施例A−1と同様にして、彫刻深さの測定と臭気性評価を行った。結果を表2に示す。
【0368】
【表2】

【0369】
表2に示されるように、消臭能を有する化合物の添加により、レーザー彫刻時の不快臭が抑制されていることが確認できた。また、彫刻深さはいずれも100μmを超えており、彫刻感度が充分に高いことが分かる。
特に、重合性化合物として硫黄原子を有する重合性化合物(含硫黄多官能モノマー)を用いた際には、彫刻深さが特に大きく、また、顕著な臭気抑制効果が表れることが確認できた。
【符号の説明】
【0370】
10 レーザー記録装置(露光装置)
30 露光ヘッド
70A 光ファイバー
70B 光ファイバー
32 コリメータレンズ(結像手段)
34 結像レンズ(結像手段)
300 ファイバーアレイ部
F レリーフ印刷版原版
FA 露光面(レリーフ印刷版原版の表面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物、(B)バインダーポリマー、及び、(C)消臭能を有する化合物を含有するレリーフ形成層を有するレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
【請求項2】
前記(A)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物が、分子内に硫黄原子を有する化合物である請求項1に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
【請求項3】
前記(C)消臭能を有する化合物がポリフェノール類から選択される少なくとも1種の化合物である請求項1又は請求項2に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
【請求項4】
前記ポリフェノール類から選択される少なくとも1種の化合物が、カテコール基及びピロガロール基の少なくとも一方を有する化合物である請求項3に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
【請求項5】
前記ポリフェノール類から選択される少なくとも1種の化合物が、下記構造式(I)で表される官能基を有する化合物である請求項3又は請求項4に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
【化1】



【請求項6】
前記ポリフェノール類から選択される少なくとも1種の化合物が、カテキン誘導体である請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
【請求項7】
前記レリーフ形成層が、(D)700nm〜1300nmの波長の光を吸収可能な光熱変換剤を更に含有する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
【請求項8】
前記レリーフ形成層が、光及び熱の少なくとも一方により硬化する請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
【請求項9】
(1)請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層を光及び熱の少なくとも一方により架橋する工程、及び、
(2)架橋されたレリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程、
を含むレリーフ印刷版の製造方法。
【請求項10】
前記(1)工程が、前記レリーフ形成層を熱により架橋する工程である請求項9に記載のレリーフ印刷版の製造方法。
【請求項11】
請求項9又は請求項10に記載のレリーフ印刷版の製造方法により製造された、レリーフ層を有するレリーフ印刷版。
【請求項12】
前記レリーフ層の厚みが、0.05mm以上10mm以下である請求項11に記載のレリーフ印刷版。
【請求項13】
前記レリーフ層のショアA硬度が、50°以上90°以下である請求項11又は請求項12に記載のレリーフ印刷版。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2010−208313(P2010−208313A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144529(P2009−144529)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】