説明

レーザ加工機

【課題】 加工開始点及びコーナ部において、加工不良を引き起こしたり、ノズル内のレンズを破損したりするおそれを防止することができるレーザ加工機を提供する。
【解決手段】 数値制御装置24の制御に基づいて、レーザ発振器19から出射されたレーザビームLBを、ノズル16を通過させてワーク12に照射するとともに、ノズル16をワーク12に対して相対移動させて切断加工する。数値制御装置24に速度ランピング制御プログラム作成部29を設け、この速度ランピング制御プログラム作成部29にて、加工開始点、コーナ部等において、加工速度を連続的に単調加速させる速度ランピング制御プログラムを作成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、レーザビームの照射によりワークを切断加工するレーザ加工機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種のレーザ加工機において、鋼板等のワークを所定形状に切断加工する場合には、ワークの材質及び板厚等から、加工速度、レーザ出力及びアシストガス圧力を含む切断加工条件が決定される。そして、この加工条件に基づいて数値制御装置の制御により、ノズルがワークに対して相対移動されながら、レーザ発振器から出射されるレーザビームがノズルを介してワークに照射されて、ワークの切断加工が行われる。
【0003】そして、例えば、図5に示すように、ワーク12に対してあらかじめ定められた所定の軌跡で切断加工が行われる場合、切断加工の開始位置Aでピアッシングが行われる。そして、このピアッシングの終了後、図4に示すように加工速度がゼロから加減速時定数に応じた急激な加速度で所定速度Vaまで上昇されて、加工開始点Aから指定位置Bまでの切断加工が実行される。
【0004】また、ワークの切断加工の途中で、鋭角状のコーナ部C,Dが存在する場合には、そのコーナ部で加工速度がゼロまたはゼロに近い値まで低下される。そして、この加工方向の変更後に、前記と同様に加工速度がゼロまたはゼロに近い値から急激に所定速度Vaまで上昇されて、そのコーナ部C,Dから次の指定位置までの切断加工が実行される。なお、コーナ部がB,Eのように直角状または鈍角状の場合には、加工速度が若干低下する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ピアッシング後あるいはコーナ部切断後において、加工速度がゼロあるいはゼロに近い状態から所定速度Vaまで急激に上昇されると、レーザビームの熱がワークの切断部に十分に伝達されないまま、ノズルが移動されて加工動作が行われるため、加工不良を引き起こしたり、スパッタ(溶融物)が多く発生し、そのスパッタがノズル内のレンズに侵入して、高価なレンズを破損したりするという問題があった。
【0006】このような問題点に対処するため、図6に示すように、ピアッシング後あるいはコーナ部通過後において、加工速度をゼロあるいはゼロに近い状態から所定速度Vaまで段階的に上昇させる制御方法が、従来から行われている。
【0007】しかしながら、この従来方法では、数値制御装置のための動作プログラムを作成する際に、加工速度を所定速度Vaまで段階的に上昇させるために、加工速度及びその加工速度上昇点までの移動距離を分割して、段階的に加工速度を設定している。そして、そのためのデータを作成する必要がある。理想的には、時間をかけて細かく分割したプログラムを作成する。このため、動作プログラムの作成作業が繁雑になって、特にワークに多数の加工開始点及びコーナ部が存在する場合には、そのプログラム作成に膨大な労力と時間を要するという問題があった。加えて、加工速度の上昇が段階的に行われるため、急激な速度上昇が断続することになり、所定の加工速度に達するまでに、前述した加工不良等の問題が狭い加工範囲内に複数回生じてしまうおそれがある。
【0008】また、加工速度をゼロあるいはゼロに近い状態から所定速度Vaまで、手動により連続的に上昇させることも従来行われているが、このような場合には、当然のことながら人手を要するために効率が悪く、しかも、正確に速度を変化させることができず、加工精度を維持するためには、熟練が必要であった。
【0009】この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、数値制御装置のための速度ランピング制御プログラムを容易かつ短時間に作成ことができて、加工開始点及びコーナ部からの切断加工において、加工速度を所定速度まで連続的に高くあるいは低くすることができて、加工不良を引き起こしたり、ノズル内のレンズを破損したりするおそれを防止することができるレーザ加工機を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、動作プログラムで指定された所定の距離を前記ノズルが相対移動する間に、加工速度を連続的に単調加速または単調減速させるための速度ランピングを行う速度制御用プログラム作成部を設けたことを特徴とするものである。
【0011】従って、加工開始点やコーナ部からの切断加工あるいは加工終了点やコーナ部への到達に際して、速度ランピング制御プログラムにより、加工速度を連続的に高くしたり、遅くしたりすることができて、加工不良を引き起こしたり、ノズル内のレンズを破損したりするおそれを防止することができる。、また、加工速度を所定速度まで上昇させる間で、移動距離及び加工速度のデータをそれぞれ細かく分割してプログラムを作成する必要がない。このため、動作プログラムの作成を容易かつ短時間に行うことができる。
【0012】請求項2に記載の発明おいては、指定された加速率または減速率で前記ノズルが相対移動するように、加工速度を連続的に単調加速または単調減速させるための速度ランピングを行うようにした速度ランピング制御プログラム作成部を設けたことを特徴とするものである。
【0013】従って、指定された速度上昇または速度加工に従う連続的な速度変化が確実に行われる。請求項3に記載の発明においては、請求項1に記載のレーザ加工機において、速度ランピング制御プログラム作成部は、所定の切断加工範囲内において速度ランピングが行われるように速度ランピング制御プログラムを作成するものである。
【0014】従って、ワークの材質や板厚等に応じて、好適な速度ランピング範囲を設定することにより、加工不良を生じない高精度加工が可能になる。請求項4に記載の発明においては、請求項1〜3のいずれかに記載のレーザ加工機において、速度ランピング制御プログラム作成部は、加工速度が予め指定された速度に達した時点で速度ランピングが中止されるようにした速度ランピング制御プログラムを作成するものである。
【0015】従って、加工速度を連続的に高くあるいは低くしながら、確実に加工速度に移行でき、所要の高精度加工を実現できる。請求項5に記載の発明では、請求項1または2に記載のレーザ加工機において、前記速度ランピングを行う速度制御用プログラム作成部は、所定の距離を指定されるかあるいは速度上昇率を指定されるか、いずれかを指定できるようにした速度ランピングプログラムを作成するものである。
【0016】従って、ワークの材質や板厚等に応じて、速度ランピング時のランピング実行距離あるいは速度上昇率を指定すれば、それに基づいて、加工速度を所定速度に達するまで連続的に高くあるいは低くすることができ、ワークの材質や板厚に応じた適切な速度ランピングを行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、この発明の一実施形態を、図1〜図5に基づいて説明する。図1に示すように、ワークテーブル11上には鋼板等よりなるワーク12が載置され、図示しないクランプ機構により所定位置に固定される。このワークテーブル11は、X軸サーボモータ14及びY軸サーボモータ15を備えたX−Y軸駆動機構13により、水平面内でX軸方向及びY軸方向にそれぞれ移動される。
【0018】前記ワークテーブル11の上方にはノズル16が装設され、Z軸サーボモータ18を備えたZ軸駆動機構17により、Z軸方向(垂直方向)に移動される。ノズル16にはレーザ発振器19から出射されたレーザビームLBが供給され、このノズル16内に設けられた図示しないレンズを通過して、ワーク12上に照射される。
【0019】前記ノズル16にはアシストガス発生源20から制御バルブ21を介して、酸素、窒素等のアシストガスが供給され、ノズル16の先端に設けられた孔からワーク12上の加工部に向かって吹き付けられる。そして、前記ワーク12とノズル16との間のX−Y軸方向への相対移動、ノズル16からワーク12上へのレーザビームLBの照射、及びアシストガスの吹き付けによって、ワーク12が所定形状に切断加工される。
【0020】前記X−Y軸駆動機構13及びZ軸駆動機構17にはモータ駆動回路22が接続され、このモータ駆動回路22により、ワークテーブル11のX軸及びY軸方向への移動、ノズル16のZ軸方向への移動が制御される。制御バルブ21にはバルブ駆動回路23が接続され、このバルブ駆動回路23により、ワーク12上へのアシストガスの流量あるいは圧力等が制御される。
【0021】前記レーザ発振器19、モータ駆動回路22及びバルブ駆動回路23は、数値制御装置24からの制御信号により制御される。この数値制御装置24は、制御手段及び速度ランピングモード判別手段としての中央演算処理装置25(以下単にCPU25という)、制御プログラムを記憶する記憶手段としてのリードオンリメモリ26(以下単にROM26という)、動作プログラム等を記憶する記憶手段としてのランダムアクセスメモリ27(以下単にRAM27という)、加工条件データベースを記憶するデータベース記憶部28及び後述の速度ランピング制御プログラムを作成するための速度ランピング制御プログラム作成部としての速度ランピング処理部29を備えている。
【0022】前記数値制御装置24のCPU25にはキーボードを備えた操作盤30が接続され、この操作盤30からCPU25に、各種の信号、プログラムデータ等の各種のデータが入力される。各サーボモータ14,15,18にはロータリエンコーダ31,32,33がそれぞれ配置され、これらのロータリエンコーダ31,32,33により、各サーボモータ14,15,18の回転量及び回転数(回転速度)が検出される。そして、それらの検出結果が、ワークテーブル11のX軸及びY軸方向への移動距離に比例した数のパルス信号、ならびにノズル16のZ軸方向への移動距離に比例した数のパルス信号として、CPU25に入力される。これらのロータリエンコーダ31,32,33からのパルス信号により、CPU25は、各サーボモータ14,15,18の動作を確認する。
【0023】前記数値制御装置24のRAM27には、ワーク12とノズル16との間に相対移動を生じさせて、ワーク12に所定形状の切断加工を施すための動作プログラムが記憶されている。データベース記憶部28には、ワーク12の材質や板厚等の加工条件に対応して、加工速度、レーザ出力,アシストガス圧力及び速度ランピングにおける速度上昇率等を含む各種の加工条件データが記憶されている。
【0024】例えば、前記動作プログラムのコードデータは、図5に示すように、ワーク12上の加工開始点Aにピアッシングを施した後、指定位置B〜Fを経て切断加工を順次行う場合、次のように設定されている。
【0025】
・005 GO1 B, S1W1, M11……………… ・006 G01 C……………… ・007 G01 D, M11……………… ・008 G01 E, M11………………ここで、先頭の3桁の数字は、前記データベース記憶部28に記憶されたコードデータのアドレスを示す。「GO1 B」,「GO1 C」,「GO1 D」,「G01 E」は、それぞれB,C,D,E位置までの加工送りの移動指令を示し、「B」,「C」,「D」,「E」は座標値を示している。また、「S1W1」は、加工速度、レーザ出力,アシストガス圧力及び速度ランピングにおける速度上昇率を含む切断加工条件を設定するために、それらの条件データが記憶されたデータベース記憶部28の該当アドレスを示している。さらに、「M11」は、指定された距離を移動する間にCPU25の外部装置の速度ランピング処理部29を動作させて、加工速度を連続的に単調加速させるための速度ランピング制御プログラムの作成を行わせる指令を示している。
【0026】そして、速度ランピング処理部29は、加工開始点やコーナ部の加工に際して、動作プログラムに「M11」の速度ランピングが指示されているとき、図3R>3に示すように、所定距離Laを移動する間、あるいは、所定の加工速度に達するまで、加工速度を直線的に、すなわち連続的に単調加速させるための速度ランピング制御プログラムを作成して、RAM27に転送し、格納する。この速度ランピング制御プログラムは、前記データベース記憶部28から選択された加工条件、すなわち加工速度,速度上昇率等のデータをもとに、速度ランピング処理部29がCPU25とともに作成する。
【0027】次に、前記のように構成されたレーザ加工機の動作を図2のフローチャート、図4及び図5の線図を参照しながら説明する。ここでは、速度ランピングにおける加工速度を連続的に単調加速する場合について説明する。
【0028】さて、このレーザ加工機において、例えば図2に示すように、ワーク12上に所定形状の切断加工を行う場合には、ワーク12の材質及び板厚等に応じて、データベース記憶部28から所要のアドレスの加工条件データが読み出されて、RAM27に転送される。そして、それに応じてRAM27に記憶された動作プログラムが起動し、その動作プログラムに基づいて、CPU25の制御により前記の各機構部が加工条件に応じた態様で作動される(ステップS1、以下単にステップをSとする)。そして、ノズル16がワーク12上の加工開始点Aに位置決めされ、ノズル16からワーク12にレーザビームLBが照射されてピアッシングが行われる(S2)。
【0029】その後、動作プログラム中からB位置までの加工データ「GO1, B, S1W1, M11」が読み出されるとともに、データベース記憶部28から、加工速度、レーザ出力,アシストガス圧力及び速度ランピングにおける速度上昇率を含む加工条件が設定される(S3)。この場合、加工データ中に連続的に速度を高める速度ランピング指示コード「M11」が存在するため、速度ランピング処理部29において、図3に実線示すように、加工開始点Aから所定距離Laを移動する間に、所定の加工速度Vaまで加工速度を連続的に単調加速するような速度ランピングを行わせるための速度ランピング制御プログラムが作成されてRAM27に転送格納される(S4)。
【0030】すなわち、図3に示すように、加工速度が連続的に単調加速されて、所定の速度に達した後は、その速度による加工が継続されるように、ΔLA /LAに加工速度の値を乗算する演算がなされ、その演算結果がRAM27に格納される。あるいは、速度上昇率を指示する指示コード「M12」が加工データ内に存在する場合は、図3に2点鎖線で示すように、速度上昇率Va/Laを切断加工条件として設定して、加工速度が所定の速度Vaに達した時点で、速度ランピングが終了するようにしてもよい。この場合も、速度ランピング中における速度上昇は、単調加速にて連続的に行われる。
【0031】そして、この作成された速度ランピング制御プログラムに基づいて、加工開始点Aから所定距離Laを移動する間は、加工速度が連続的に単調加速されながらワーク12の切断加工が行われる(S5)。この場合、速度ランピングの速度上昇率Raが規定の値に設定されているときには、所定距離Laだけ速度ランピングが行われて、所定の加工速度に達した時点で速度ランピングが終了される(S7,S11)。そして、その終了時の加工速度が一定に維持されて、動作プログラムで指定された加工速度の定速加工が実行される(S6,S7,S8,S11,S12)。なお、所定距離Laの切断加工が終了したか否かの確認は、ロータリエンコーダ31,32,33から出力されるパルス信号により行うことができる。
【0032】一方、速度ランピング指示が「M12」により指定されているときには、速度上昇率を含む切断条件で速度ランピングが実行され(S9,S10)、加工速度が予め指定された所定速度Vaに達した時点で、速度ランピングが中止され、以降は所定速度Vaで加工が実行される(S11,S12)。
【0033】以上のように、速度ランピング終了後、コーナ部Bまでは、所定の加工速度Vaで加工が行われる。この場合、コーナ部Bは、直角コーナなので、ノズル16が方向転換する間、加工速度が若干ダウンする。これと同時に、動作プログラム中からC位置までの加工データ「GO1 C」が読み出される。この場合には、加工データ中に速度ランピング指示「M11」が存在しないため、加工速度が直ちに所定速度Vaに復帰して、同速度による切断加工がコーナ部Cに向かって実行される(S12,S13,S15,S16)。
【0034】そして、ノズル16がコーナ部Cに達すると、そのコーナ部Cは鋭角をなしているため、ノズル16による加工速度がゼロ近くまでダウンする(S13,S15)。これと同時に、動作プログラム中からD位置までの加工データ「GO1D M11」が読み出され(S16)、その加工データに基づいて加工条件が設定される。この場合、速度ランピングを示すコード「M11」が含まれているため、プログラムが前述したS4に戻り、速度ランピングプログラムが作成されて、前記と同様な速度ランピングを経て、所定速度による加工が実行される(S6〜S12)。
【0035】そして、コーナ部Dにおいては、そのコーナ部Dが鋭角をなしているため、前記と同様に、加工速度がゼロ近くまでダウンする(S13,S15)。次いで、速度ランピングを経て、所定の加工速度でコーナ部Eに向かって加工が実行される(S4〜S12)。次いで、コーナ部Eは鈍角であるため、加工速度がわずかにダウンするのみで、加工終了位置Fに向かって所定の加工速度で加工が進む。そして、切断加工がE位置に達すると、一連の加工動作が終了する(S14)。
【0036】(変更例)なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記実施形態とは逆に、ノズル16側をワーク12に対してX−Y軸方向に相対移動させて、加工送りを行うように構成すること。
【0037】・ 速度ランピングにおいて、加工速度を連続的に上昇させるのに加えて、レーザ出力やアシストガスの出力を連続的に上昇させるように構成すること。このようにすれば、高効率で高精度な切断加工を行うことができる。
【0038】・ コーナ部の角度の大小に応じた加速度の速度ランピングが行われるように構成すること。例えば、コーナ部が鋭い鋭角の場合は、長時間の速度ランピングが行われ、鈍い鋭角の場合は、短時間の速度ランピングが行われるように構成すること。このようにすれば、最適な態様の速度ランピングが行われ、高効率で高精度な切断加工を行うことができる。
【0039】・ 各コーナ部及び切断加工終了点に到達する直前において、切断加工速度が連続的に減速される単調減速が行われるようにした速度ランピングプログラムが作成され、その速度ランピングプログラムが実行されるように構成すること。すなわち、コードデータの中に、単調減速の速度ランピングを示すコード、例えば「M13」を設けること。この場合も、コーナ部及び加工終了点に到達するまでの速度ランピングにおいて、距離及び速度下降率を指定できるようにしてもよい。このように、単調減速の速度ランピングを実行できるように構成すれば、高精度加工に寄与できる。
【0040】・ 速度ランピングにおけるランピングの実行種別を距離指定で行うか、上昇率指定で行うかを操作盤30にスイッチを設けて行うようにすること。
【0041】
【発明の効果】以上、実施形態で例示したように、この発明においては、以下の効果を発揮する。
【0042】請求項1に記載の発明では、加工速度を連続的に単調加速させるための速度ランピング速度制御用プログラム作成部を設けたことにより、加工速度を所定速度まで連続的に速めることができて、加工不良を引き起こしたり、ノズル内のレンズを破損したりするおそれを防止することができるとともに、動作プログラムの作成を容易かつ短時間に行うことができる。
【0043】請求項2記載の発明においては、速度ランピング制御プログラム作成部は、指定された速度上昇率が実行されるようにした速度ランピング制御プログラムを作成するようにしたことにより、指定された加速率または減速率に従う連続的な速度上昇または速度下降が確実に行われる。このため、定められた速度ランピングが確実に行われ、加工不良等を確実に防止できる。
【0044】請求項3に記載の発明においては、速度ランピング制御プログラム作成部は、所定の切断加工範囲内において速度ランピングが行われるように速度ランピング制御プログラムを作成するようにしたことにより、ワークの材質や板厚等に応じて、好適な速度ランピング範囲を設定することができ、加工不良を生じない高精度加工が可能になる。
【0045】請求項4に記載の発明においては、速度ランピング制御プログラム作成部は、加工速度が予め指定された速度に達した時点で速度ランピングが中止されるようにした速度ランピング制御プログラムを作成するようにしたことにより、加工速度を連続的に速めながら、確実に加工速度に移行でき、所要の高精度加工を実現できる。
【0046】請求項5に記載の発明では、前記速度ランピングを行う速度制御用プログラム作成部は、所定の距離を指定されるか、あるいは所定の速度変化率を指定されるか、いずれかを指定できる。その速度上昇の選択に基づいて、加工速度を所定速度に達するまで連続的に速めることができる。従って、ワークの材質や板厚等に応じて選択することで加工精度の向上に大きく寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明のレーザ加工機の一実施形態を示す概略構成図。
【図2】 同じく動作を示すフローチャート。
【図3】 同じく加工速度を示す線図。
【図4】 従来の加工方法における加工速度を示す線図。
【図5】 ワークの切断加工方法を例示する部分平面図。
【図6】 従来の加工方法における加工速度の制御方法を示す説明図。
【符号の説明】
11…ワークテーブル、12…ワーク、13…X−Y軸駆動機構、16…ノズル、17…Z軸駆動機構、19…レーザ発振器、22…モータ駆動回路、24…数値制御装置、25…制御手段及び速度ランピングモード判別手段としてのCPU、26…記憶手段としてのROM、27…記憶手段としてのRAM、28…データベース記憶部、29…速度ランピング制御プログラム作成部としての速度ランピング処理部、LB…レーザビーム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 数値制御装置の制御に基づいて、レーザ発振器から出射されたレーザビームを、ノズルを通過させてワークに照射するとともに、前記ノズルをワークに対して相対移動させて切断加工するレーザ加工機において、動作プログラムで指定された所定の距離を前記ノズルが相対移動する間に、加工速度を連続的に単調加速または単調減速させるための速度ランピングを行うようにした速度ランピング制御プログラム作成部を設けたレーザ加工機。
【請求項2】 数値制御装置の制御に基づいて、レーザ発振器から出射されたレーザビームを、ノズルを通過させてワークに照射するとともに、前記ノズルをワークに対して相対移動させて切断加工するレーザ加工機において、指定された加速率または減速率で前記ノズルが相対移動するように、加工速度を連続的に単調加速または単調減速させるための速度ランピングを行うようにした速度ランピング制御プログラム作成部を設けたレーザ加工機。
【請求項3】 請求項1または請求項2に記載のレーザ加工機において、速度ランピング制御プログラム作成部は、所定の切断加工範囲内において速度ランピングが行われるように速度ランピング制御プログラムを作成するレーザ加工機。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のレーザ加工機において、速度ランピング制御プログラム作成部は、加工速度が予め指定された速度に達した時点で速度ランピングが中止されるようにした速度ランピング制御プログラムを作成するレーザ加工機。
【請求項5】 請求項1または2に記載のレーザ加工機において、速度ランピング制御プログラム作成部は、所定の距離を指定されるかあるいは速度上昇率を指定されるか、いずれかを指定できるようにした速度ランピング制御プログラムを作成するレーザ加工機。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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