説明

レーザ加工装置

【課題】レーザ光を照射する際の安全性が高いレーザ加工装置を提供する。
【解決手段】レーザ発振器11と、レーザ発振器11に対して移動可能に接続され、レーザ発振器11において発生したレーザ光Lを受け取って被加工物Wに照射するレーザトーチ3と、レーザトーチ3に設けられた第1のスイッチ33と、レーザトーチ3に設けられ、被加工物Wの有無を検出する第1の検出手段35と、レーザトーチ3とは別個に設けられた第2のスイッチ41とを有し、第1の検出手段35が被加工物Wを検出し、且つ第1のスイッチ33がオンの状態で、さらに第2のスイッチ41がオンされた場合にレーザ光Lが出射されるように形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が手に持った状態で使用するレーザトーチによりレーザ光を被加工物に照射して、穴あけ、切断、溶接などの加工を行うレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、レーザ光を被加工物に照射し、高密度の熱エネルギによって穴あけ、切断、溶接などの加工を行うレーザ加工装置が知られている。このようなレーザ加工装置の一種として、手動操作、詳しくは、使用者が手に持った状態で使用するレーザトーチ(レーザ出射ユニット)を備えたものが、多種多様の加工を行うのに使用者による使い勝手がよいなどという理由により、板金加工やオブジェの作成などに用いられている。
【0003】
このような従来のレーザ加工装置に用いられるレーザトーチとしては、加工開始前の被加工物の有無を検出する第1の検出手段と、加工中に被加工物の有無を検出する第2の検出手段とをレーザトーチに設け、第1の検出手段により加工開始前の被加工物が検出されたときのみレーザ光の照射を可能にするレーザ出射スイッチとしてのスタートスイッチをレーザトーチに設ける構成がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
第1の検出手段としては、被加工物に照射したガイド光の反射光を非接触で検出する光センサ(フォトダイオード)、被加工物との接触により作動するリミットスイッチ、被加工物である金属の存在を非接触で検出する近接センサ(近接スイッチ:静電容量タイプ)などが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−239771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のレーザ加工装置においては、レーザトーチに設けた第1の検出手段によって加工開始前の被加工物を検出した後に、スタートスイッチが作動する(入る)と、レーザトーチからレーザ光が出射される構成とされているため、被加工物を検出した後に、使用者の操作とは関わりなく、何らかの理由により、スタートスイッチが作動して、レーザ光が思わぬ方向に照射されてしまうという問題点があった。
【0007】
例えば、被加工物を検出した後に、レーザトーチを大きなサイズの被加工物上に落としたときに、スタートスイッチが被加工物に当接すると、レーザトーチの自重あるいは当接時の接触圧などによりスタートスイッチが作動してレーザ光が思わぬ方向に照射されることになる。
【0008】
また、被加工物に物が載っている場合、被加工物を検出した後に、レーザトーチが傾いたときにスタートスイッチが物に当接すると、スタートスイッチが作動してレーザ光が思わぬ方向に照射されることになる。
【0009】
そこで、レーザ光を照射する際の安全性が高いレーザ加工装置が求められている。
【0010】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、レーザ光を照射する際の安全性が高いレーザ加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の本発明のレーザ加工装置の特徴は、被加工物の加工に供するレーザ光を発生させるレーザ発振器と、該レーザ発振器に対して移動可能に接続され、当該レーザ発振器において発生したレーザ光を受け取って被加工物に照射するレーザトーチと、前記レーザトーチに設けられた第1のスイッチと、前記レーザトーチに設けられ、前記被加工物の有無を検出する第1の検出手段と、前記レーザトーチとは別個に設けられた第2のスイッチとを有し、前記第1の検出手段が被加工物を検出し、且つ前記第1のスイッチがオンの状態で、さらに前記第2のスイッチがオンされた場合にレーザ光が出射される点にある。
【0012】
そして、このような構成を採用したことにより、第1の検出手段が被加工物を検出し、且つ第1のスイッチがオンの状態で、さらに前2のスイッチがオンされた場合にレーザ光が出射されるため、使用者の操作とは関わりなく、何らかの理由により、第1のスイッチが作動してもレーザ光が出射されることがない。すなわち、加工開始前に被加工物を検出した状態で、第1のスイッチに加えて第2のスイッチがオンされない限り、レーザ光が出射されることがないので、レーザ光を照射する際の安全性を格段に高くすることができる。
【0013】
請求項2に記載の本発明のレーザ加工装置の特徴は、請求項1において、前記第1の検出手段は、レーザトーチと被加工物との距離を検出する手段である点にある。そして、このような構成を採用したことにより、被加工物の有無の検出に加えて、被加工物を検出したときには、レーザトーチと被加工物との距離、すなわち、加工時におけるレーザ光の照射距離を検出することができる。
【0014】
請求項3に記載の本発明のレーザ加工装置の特徴は、請求項1または請求項2において、前記レーザトーチからレーザ光を出射した後の前記被加工物の有無を検出する第2の検出手段をさらに有し、該第2の検出手段はレーザ光の照射による加工部位の発熱により発生する放射光あるいは加工部位で反射するレーザ光の反射光による光の明暗を検出する受光素子を具備する光センサである点にある。そして、このような構成を採用したことにより、レーザ光の出射後における被加工物の有無を非接触で検出することができるので、レーザトーチを操作するときに邪魔にならない。その結果、加工時におけるレーザトーチの操作性を向上することができる。
【0015】
請求項4に記載の本発明のレーザ加工装置の特徴は、請求項2または請求項3において、レーザ加工装置の動作部の動作制御を司るコントローラをさらに有し、該コントローラは、前記第1の検出手段が検出した前記レーザトーチと被加工物との距離に基づいて加工開始前における被加工物の有無を判定する点にある。そして、このような構成を採用したことにより、加工開始前における被加工物の有無をリアルタイムで判定することができる。
【0016】
請求項5に記載の本発明のレーザ加工装置の特徴は、請求項4において、前記コントローラは、前記第1の検出手段の検出した距離が所定の閾値以下の場合に被加工物が有と判定し、閾値より長い場合に被加工物が無と判定する点にある。そして、このような構成を採用したことにより、レーザトーチと被加工物との距離が予め設定された範囲にある場合のみ被加工物を検出したと判定することができる。その結果、レーザトーチと被加工物との距離がレーザ加工に適している場合のみレーザ光を出射することが可能になる。
【0017】
請求項6に記載の本発明のレーザ加工装置の特徴は、請求項3において、レーザ加工装置の動作部の動作制御を司るコントローラをさらに有し、該コントローラは、前記光センサが検出した反射光の明るさに基づいて加工開始後における被加工物の有無を判定する点にある。そして、このような構成を採用したことにより、コントローラは、加工開始後における被加工物の有無をリアルタイムで判定することができるし、加工開始後における被加工物の有無を監視することができる。
【0018】
請求項7に記載の本発明のレーザ加工装置の特徴は、請求項6において、前記コントローラは、前記光センサの出力電圧が所定の閾値以上の場合に被加工物が有と判定し、閾値未満の場合に被加工物が無と判定する点にある。そして、このような構成を採用したことにより、光センサの出力電圧が予め設定された範囲にある場合のみ被加工物を検出したと判定することができる。その結果、レーザトーチが被加工物から予め設定された範囲にある場合のみ被加工物を検出したと判定して、レーザ光の出射、ひいてはレーザ加工を継続することができる。
【0019】
請求項8に記載の本発明のレーザ加工装置の特徴は、請求項6において、前記コントローラの判定結果が被加工物が無の場合、あるいは、前記第1のスイッチのオンが解除された場合、レーザ光の出射を停止するように、前記レーザ加工装置の可動部の動作制御を行う点にある。そして、このような構成を採用したことにより、レーザ光の出射後に被加工物を検出しない場合、すなわち、レーザ光の出射後にレーザトーチが被加工物から離脱した場合には、レーザ光の出射を自動的に停止することができるし、使用者が第1のスイッチのオンを解除することでもレーザ光の出射を停止することができる。その結果、レーザ光を出射した後の安全性を格段に高くすることができる。
【0020】
請求項9に記載の本発明のレーザ加工装置の特徴は、被加工物の加工に供するレーザ光を発生させるレーザ発振器と、該レーザ発振器に対して移動可能に接続され、当該レーザ発振器において発生したレーザ光を受け取って被加工物に照射するレーザトーチと、前記レーザトーチに設けられた第1のスイッチと、前記レーザトーチとは別個に設けられた第2のスイッチと、前記レーザトーチに設けられ、前記被加工物の有無を検出する第1の検出手段と、前記レーザトーチに設けられ、前記レーザトーチからレーザ光を出射した後の前記被加工物の有無を検出する第2の検出手段と、レーザ加工装置の動作部の動作制御を司るコントローラとを有し、前記レーザトーチは、手動操作されるものであり、前記第1のスイッチは、スタートスイッチであり、前記第2のスイッチは、別置きスイッチであり、前記第1の検出手段は、前記レーザトーチと被加工物との距離を非接触で検出する距離センサであり、前記第2の検出手段は、レーザ光の照射による加工部位の発熱により発生する放射光あるいは加工部位で反射するレーザ光の反射光による光の明暗を検出する受光素子を具備する光センサであり、前記コントローラは、前記距離センサが検出した前記レーザトーチと被加工物との距離に基づいて加工開始前における被加工物の有無を判定し、その判定結果が被加工物が有の場合、この被加工物が有の状態で前記スタートスイッチがオンされ、且つ前記スタートスイッチがオンの状態でさらに前記別置きスイッチがオンされた場合に、前記レーザトーチからのレーザ光の出射を開始するとともに、レーザ光の出射状態を保持し、レーザ光の出射後には、前記距離センサあるいは前記光センサが検出した前記レーザトーチと被加工物との距離に基づいてレーザ光の出射後における被加工物の有無を判定し、その判定結果が被加工物が無の場合、あるいは、前記スタートスイッチのオンが解除された場合、レーザ光の出射を停止するように、レーザ加工装置の動作部の動作制御を行う点にある。
【0021】
そして、このような構成を採用したことにより、被加工物を検出した状態で、スタートスイッチに加えて別置きスイッチがオンされない限り、使用者の操作とは関わりなく、何らかの理由により、スタートスイッチが作動してもレーザ光が出射されることがないので、従来に比較して、レーザ光を照射する際の安全性を格段に高くすることができる。また、レーザ光の出射後に被加工物の有無の判定結果が無、すなわち、レーザ光の出射後にレーザトーチが被加工物から離脱した場合には、レーザ光の出射を停止することができるし、使用者がスタートスイッチのオンを解除することでもレーザ光の出射を停止することができるので、レーザ光を出射した後の安全性を格段に高くすることができる。よって、高い安全性を確保することができる。
【0022】
請求項10に記載の本発明のレーザ加工装置の特徴は、被加工物の加工に供するレーザ光を発生させるレーザ発振器と、該レーザ発振器に対して移動可能に接続され、当該レーザ発振器において発生したレーザ光を受け取って被加工物に照射するレーザトーチと、前記レーザトーチに設けられた第1のスイッチと、前記レーザトーチとは別個に設けられた第2のスイッチと、前記レーザトーチに設けられ、前記被加工物の有無を検出する第1の検出手段と、前記レーザトーチに設けられ、前記レーザトーチからレーザ光を出射した後の前記被加工物の有無を検出する第2の検出手段と、レーザ加工装置の動作部の動作制御を司るコントローラとを有し、前記レーザトーチは、手動操作されるものであり、前記第1のスイッチは、スタートスイッチであり、前記第2のスイッチは、別置きスイッチであり、前記第1の検出手段は、前記コントローラに設けられ、前記レーザトーチと被加工物との相互間の距離を前記レーザトーチと前記被加工物との相互間に印加した電圧の変化により検出する距離検出回路であり、前記第2の検出手段は、レーザ光の照射による加工部位の発熱により発生する放射光あるいは加工部位で反射するレーザ光の反射光による光の明暗を検出する受光素子を具備する光センサであり、前記コントローラは、前記距離検出回路が検出した前記レーザトーチと被加工物との距離に基づいて加工開始前における被加工物の有無を判定し、その判定結果が被加工物が有の場合、この被加工物が有の状態で前記スタートスイッチがオンされ、且つ前記スタートスイッチがオンの状態でさらに前記別置きスイッチがオンされた場合に、前記レーザトーチからのレーザ光の出射を開始するとともに、レーザ光の出射状態を保持し、レーザ光の出射後には、前記光センサが検出した前記レーザトーチと被加工物との距離に基づいてレーザ光の出射後における被加工物の有無を判定し、その判定結果が被加工物が無の場合、あるいは、前記スタートスイッチのオンが解除された場合、レーザ光の出射を停止するように、レーザ加工装置の動作部の動作制御を行う点にある。
【0023】
そして、このような構成を採用したことにより、距離検出回路がコントローラに設けられているので、レーザトーチを操作するときに邪魔にならないし、出力電圧の電圧の変化によって距離を検出するから、ゴミ、異物などの外乱による検出誤差を少なくすることができる。また、被加工物を検出した状態で、スタートスイッチに加えて別置きスイッチがオンされない限り、使用者の操作とは関わりなく、何らかの理由により、スタートスイッチが作動してもレーザ光が出射されることがないので、従来に比較して、レーザ光を照射する際の安全性を格段に高くすることができる。さらに、レーザ光の出射後に被加工物の有無の判定結果が無、すなわち、レーザ光の出射後にレーザトーチが被加工物から離脱した場合には、レーザ光の出射を停止することができるし、使用者がスタートスイッチのオンを解除することでもレーザ光の出射を停止することができるので、レーザ光を出射した後の安全性を格段に高くすることができる。よって、高い安全性を確保することができるとともに、使用者による使い勝手の向上を図ることができる。
【0024】
請求項11に記載の本発明のレーザ加工装置の特徴は、請求項4ないし請求項10のいずれか1項において、被加工物に照射されるレーザ光の照射位置を視認させるための可視光からなるガイド光を発生するガイド光発生装置と、前記レーザトーチに設けられた第3のスイッチとをさらに有し、前記ガイド光発生装置により発生させたガイド光は、レーザ光の光路に導入可能に形成されており、前記コントローラは、前記第3のスイッチがオンされた場合、前記レーザトーチからガイド光を出射するようにレーザ加工装置の動作部の動作制御を行う点にある。そして、このような構成を採用したことにより、第3のスイッチからなるガイドスイッチをオンすることにより、レーザ光の照射位置、すなわち加工位置を目視で確認するのためガイド光をレーザトーチから出射することができるので、被加工物に対するレーザ光の出射位置を正確に得ることができる。その結果、レーザ光の照射位置を被加工物の加工部位に対して正確に誘導、すなわち、加工部位に対するレーザ光の出射位置がずれるのを防止することができるので、使用者による使い勝手を向上することができる。
【発明の効果】
【0025】
請求項1に記載の本発明のレーザ加工装置によれば、加工開始前に被加工物を検出した状態で、第1のスイッチに加えて第2のスイッチがオンされない限り、レーザ光が出射されることがないので、レーザ光を照射する際の安全性を格段に高くすることができるなどの優れた効果を奏する。
【0026】
請求項2に記載の本発明のレーザ加工装置によれば、被加工物の有無の検出に加えて、被加工物を検出したときには、レーザトーチと被加工物との距離、すなわち、加工時におけるレーザ光の照射距離を検出することができるなどの優れた効果を奏する。
【0027】
請求項3に記載の本発明のレーザ加工装置によれば、レーザ光の出射後における被加工物の有無を非接触で検出することができるので、レーザトーチを操作するときに邪魔にならない。その結果、加工時におけるレーザトーチの操作性を向上することができるなどの優れた効果を奏する。
【0028】
請求項4に記載の本発明のレーザ加工装置によれば、加工開始前における被加工物の有無をリアルタイムで判定することができるなどの優れた効果を奏する。
【0029】
請求項5に記載の本発明のレーザ加工装置によれば、レーザトーチと被加工物との距離が予め設定された範囲にある場合のみ被加工物を検出したと判定することができる。その結果、レーザトーチと被加工物との距離がレーザ加工に適している場合のみレーザ光を出射することが可能になるなどの優れた効果を奏する。
【0030】
請求項6に記載の本発明のレーザ加工装置によれば、コントローラは、加工開始後における被加工物の有無をリアルタイムで判定することができるし、加工開始後における被加工物の有無を監視することができるなどの優れた効果を奏する。
【0031】
請求項7に記載の本発明のレーザ加工装置によれば、光センサの出力電圧が予め設定された範囲にある場合のみ被加工物を検出したと判定することができる。その結果、レーザトーチが被加工物から予め設定された範囲にある場合のみ被加工物を検出したと判定して、レーザ光の出射を継続することができるなどの優れた効果を奏する。
【0032】
請求項8に記載の本発明のレーザ加工装置によれば、レーザ光の出射後に被加工物を検出しない場合、すなわち、レーザ光の出射後にレーザトーチが被加工物から離脱した場合には、レーザ光の出射を自動的に停止することができるし、使用者が第1のスイッチのオンを解除することでもレーザ光の出射を停止することができるなどの優れた効果を奏する。その結果、レーザ光を出射した後の安全性を格段に高くすることができるなどの優れた効果を奏する。
【0033】
請求項9に記載の本発明のレーザ加工装置によれば、被加工物を検出した状態で、スタートスイッチに加えて別置きスイッチがオンされない限り、使用者の操作とは関わりなく、何らかの理由により、スタートスイッチが作動してもレーザ光が出射されることがないので、従来に比較して、レーザ光を照射する際の安全性を格段に高くすることができるなどの優れた効果を奏する。また、レーザ光の出射後に被加工物の有無の判定結果が無、すなわち、レーザ光の出射後にレーザトーチが被加工物から離脱した場合には、レーザ光の出射を停止することができるし、使用者がスタートスイッチのオンを解除することでもレーザ光の出射を停止することができるので、レーザ光を出射した後の安全性を格段に高くすることができるなどの優れた効果を奏する。よって、高い安全性を確保することができるなどの優れた効果を奏する。
【0034】
請求項10に記載の本発明のレーザ加工装置によれば、距離検出回路がコントローラに設けられているので、レーザトーチを操作するときに邪魔にならないし、出力電圧の電圧の変化によって距離を検出するから、ゴミ、異物などの外乱による検出誤差を少なくすることができるなどの優れた効果を奏する。また、被加工物を検出した状態で、スタートスイッチに加えて別置きスイッチがオンされない限り、使用者の操作とは関わりなく、何らかの理由により、スタートスイッチが作動してもレーザ光が出射されることがないので、従来に比較して、レーザ光を照射する際の安全性を格段に高くすることができるなどの優れた効果を奏する。さらに、レーザ光の出射後に被加工物の有無の判定結果が無、すなわち、レーザ光の出射後にレーザトーチが被加工物から離脱した場合には、レーザ光の出射を停止することができるし、使用者がスタートスイッチのオンを解除することでもレーザ光の出射を停止することができるので、レーザ光を出射した後の安全性を格段に高くすることができるなどの優れた効果を奏する。よって、高い安全性を確保することができるとともに、使用者による使い勝手の向上を図ることができるなどの優れた効果を奏する。
【0035】
請求項11に記載の本発明のレーザ加工装置によれば、ガイドスイッチをオンすることにより、レーザ光の照射位置、すなわち加工位置を目視で確認するのためガイド光をレーザトーチから出射することができるので、被加工物に対するレーザ光の出射位置を正確に得ることができるなどの優れた効果を奏する。その結果、レーザ光の照射位置を被加工物の加工部位に対して正確に誘導、すなわち、加工部位に対するレーザ光の出射位置がずれるのを防止することができるので、使用者による使い勝手を向上することができるなどの優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係るレーザ加工装置の第1実施形態の要部を示す構成図
【図2】本発明に係るレーザ加工装置の第2実施形態の要部を示す図1と同様の図
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明を図面に示す実施形態により説明する。
【0038】
図1は本発明に係るレーザ加工装置の第1実施形態の要部を示す構成図である。
【0039】
本実施形態は、手動操作、詳しくは使用者が手に持って使用するレーザトーチによりレーザ光を金属板などの被加工物に照射(放射)して、穴あけ、切断、溶接などの加工に用いられるレーザ加工装置を例示している。なお、本明細書における金属製の被加工物とは、加工部位のみが金属であるものを含む。
【0040】
図1に示すように、本実施形態のレーザ加工装置1は、レーザ装置2と、レーザ出射ユニットとしてのレーザトーチ3と、光ファイバ4と、コントローラ5とを有している。
【0041】
前記レーザ装置2は、被加工物Wの加工に供するレーザ光Lを得るためのものであり、レーザ光Lを発生するレーザ発振器11と、レーザ装置2の動作部の制御を司るレーザ用制御部12とを有している。
【0042】
本実施形態のレーザ発振器11は、レーザとしての固体レーザを発生するためのものであり、相互に平行に延在するようにして設けられた反射ミラー14(光共振器)と出力ミラー15(光共振器)との間に、レーザ媒質16(レーザロッド)を設け、所望の位置に配設された図示しない駆動電源により駆動される励起ランプからの光(励起エネルギ)によりレーザ媒質内の原子を励起(光励起)させた後、出力ミラー15を通してレーザ光Lを出力するようにされている。この出力ミラー15から出力されたレーザ光Lは、出力ミラー15の前方(図1の上方)に配設された光路制御ミラー18により進行方向が右側に90度屈折されて光コネクタなどからなるレーザ出力端20に導かれ出力可能にされている。また、レーザ媒質16と反射ミラー14、および、レーザ媒質16と出力ミラー15との間には、それぞれ安全保持用のメインシャッタ22、22が配設されている。さらに、光路制御ミラー18とレーザ出力端20との間にも安全保持用の出力シャッタ23が配設されている。
【0043】
前記レーザ光Lとしては、ルビーロッドを励起して得られるルビーレーザ、YAGロッドを励起して得られるYAGレーザ、Nd−YAGロッドを励起して得られるNd−YAGレーザ、Nd−ガラスロッドを励起して得られるNd−ガラスレーザなどの各種の固体レーザから選択することができる。本実施形態においては、YAGロッドを励起して得られるYAGレーザが用いられている。
【0044】
なお、レーザ光Lとしては、気体レーザ、液体レーザ、半導体レーザを用いてもよい。
【0045】
前記レーザ用制御部12は、各種の演算処理を行う演算部として機能するCPUと、プログラムやデータを記憶する記憶部として機能するメモリ(共に図示せず)とを有しており、レーザ光Lの発生および停止に必要な、駆動電源の動作制御、メインシャッタ22、22および出力シャッタ23のそれぞれの開閉動作制御などのレーザ装置2の動作部の動作制御を行うようになっている。また、レーザ用制御部12は、制御用配線12aによってコントローラ5と電気的に接続されており、コントローラ5から送出される制御指令に基づいてレーザ装置2の可動部の動作制御を行うように形成されている。
【0046】
前記レーザ発振器11には、適宜なガイド光発生装置25が配設されている。このガイド光発生装置25は、被加工物Wに照射されるレーザ光Lの照射位置、すなわち、被加工物Wの加工位置を目視で確認するのために用いられるものであり、例えば、He−Neレーザなどの可視光からなるビーム状のガイド光Gが出力可能とされている。そして、ガイド光発生装置25により発生されるガイド光Gは、レーザ発振器11の反射ミラー14の背面に入射された後、レーザ出力端20から出力可能に形成されている。なお、ガイド光発生装置25としては、照明装置およびレンズ(光学系)を組み合わせたものであってもよい。また、ガイド光Gは、レーザ装置2の内部におけるレーザ光Lの光路調整などにも用いられる。
【0047】
前記レーザ装置2で発生したレーザ光Lあるいはガイド光Gは、レーザ出力端20から光ファイバ4を介してレーザトーチ3に伝送されるように形成されている。この光ファイバ4の一端は、レーザ出力端20に着脱自在に取り付けられており、他端は、レーザトーチ3に接続されている。
【0048】
すなわち、レーザトーチ3は、レーザ装置2(レーザ発振器11)に対して移動可能に接続されており、レーザ発振器11において発生したレーザ光Lと、ガイド光発生装置25において発生したガイド光Gとのそれぞれを受け取って被加工物Wに照射することができるようにされている。
【0049】
なお、光ファイバ4の他端は、レーザトーチ3に着脱自在に取り付けられいてもよいし、レーザトーチ3の内部に固定されていてもよい。
【0050】
前記レーザトーチ3は、手動操作、詳しくは、使用者が手に持って使用するものであり、筒状に形成されたトーチ本体31を有している。このトーチ本体31の図1の下方に示す下端部は、先細のノズル状に形成された出射部32とされており、レーザトーチ3に伝送されたレーザ光Lあるいはガイド光Gは、出射部32の先端から出射されて被加工物Wに照射されるようになっている。なお、出射部32の形状としては、筒状であってもよい。また、出射部32としては、着脱自在に取り付けられたものであってもよい。
【0051】
前記トーチ本体31の内部には、図示しない複数のレンズ、例えば相互に平行に延在するようにして設けられた2枚のレンズが配設されている。また、出射部32の開口端は、図示しない透明な保護部材により閉塞されている。
【0052】
前記トーチ本体31には、第1のスイッチとしてのスタートスイッチ33、第3のスイッチとしてのガイドスイッチ34、第1の検出手段としての第1距離検出手段35および第2の検出手段としての第2距離検出手段36が設けられている。
【0053】
前記スタートスイッチ33は、レーザ光Lの出射および停止に用いられるものであり、このスタートスイッチ33としては、常時は電路を断ち切り(開く)、押圧操作によってスイッチング動作して電路をつなげ(閉じる)、押圧力を解除、すなわち、オン操作を解除すると回路を断ち切りもとの状態に復帰する押しボタンスイッチが用いられている。この押しボタンスイッチは、少なくとも操作部の操作端がトーチ本体31の外部に露出されており、外部から操作可能にされている。また、スタートスイッチ33は、スタート用配線33aによってコントローラ5と電気的に接続されており、スタートスイッチ33の状態、すなわち、常時は非操作状態を示すオフ信号をコントローラ5に送出し、押圧操作によりオン操作された場合にはスイッチング動作して操作状態を示すオン信号をコントローラ5に送出できるようになっている。したがって、スタートスイッチ33のオン操作を解除すると、コントローラ5に送出する信号がオンからオフになる。なお、スタートスイッチ33の配置箇所は、設計コンセプトなどの必要に応じて設定することができる。
【0054】
前記ガイドスイッチ34は、ガイド光Gの出射および停止に用いられるものであり、このガイドスイッチ34としては、スタートスイッチ33と同様に、押しボタンスイッチが用いられている。この押しボタンスイッチは、少なくとも操作部の操作端がトーチ本体31の外部に露出されており、外部から操作可能にされている。また、ガイドスイッチ34は、ガイド用配線34aによってコントローラ5と電気的に接続されており、ガイドスイッチ34の状態、すなわち、常時は非操作状態を示すオフ信号をコントローラ5に送出し、押圧操作によりオン操作された場合にはスイッチング動作して操作状態を示すオン信号をコントローラ5に送出できるようになっている。したがって、ガイドスイッチ34のオン操作を解除すると、コントローラ5に送出する信号がオンからオフになる。なお、ガイドスイッチ34の配置箇所は、設計コンセプトなどの必要に応じて設定することができる。
【0055】
前記第1距離検出手段35は、加工開始前におけるレーザトーチ3と被加工物Wとの距離Dを検出するためのものである。
【0056】
本実施形態の第1距離検出手段35としては、レーザトーチ3と被加工物Wとの距離Dを検出する距離センサ37が用いられている。この距離センサ37としては、渦電流式変位センサ、光学式変位センサ、超音波式変位センサ、接触式変位センサなどが挙げられる。なお、渦電流式変位センサは、被加工物Wの少なくとも加工部位が金属(磁性体)の場合にのみ使用することができる。また、距離センサ37は、距離センサ用配線37aによってコントローラ5と電気的に接続されており、レーザトーチ3と被加工物Wとの距離Dを検出し、検出した距離Dに対応した出力をコントローラ5に送出することができるようになっている。
【0057】
例えば、距離センサ37として渦電流式変位センサを用いた場合には、距離Dに比例した電圧が出力される。すなわち、被加工物Wまでの距離Dが遠いと、距離センサ37の出力電圧は低く(小さく)、被加工物Wまでの距離Dが近いと、距離センサ37の出力電圧は高く(大きく)なる。なお、被加工物Wがないときには、出力電圧は0Vになる。
【0058】
前記距離センサ37の配置箇所は、出射部32の図1下方に示す下端など、設計コンセプトなどの必要に応じて設定することができる。
【0059】
前記第2距離検出手段36は、レーザトーチ3からレーザ光Lを出射した後の出射後における被加工物Wとの距離Dを非接触で検出するためのものである。
【0060】
本実施形態の第2距離検出手段36としては、レーザ光Lの照射による加工部位の発熱により発生する放射光、あるいは、加工部位で反射するレーザ光Lの反射光による光の明暗を検出する受光素子(図示せず。)を具備する光センサ38が用いられている。この光センサ38は、レーザトーチ3と被加工物Wとの距離Dを受光した光の明暗で検出し、検出した距離Dに対応した出力電圧を光センサ用配線38aによってコントローラ5に送出することができるようになっている。なお、光センサ38は、光が明るい(強い)と、出力電圧が高く(大きく)なる。すなわち、光センサ38の受光素子に到達する放射光あるいは反射光は完全な平行光でないために、光センサ38までの距離Dが遠い(長い)と光が暗く(弱く)なるので、受光素子が受光する電荷量が少なくなり、光センサ38の出力電圧は低く(小さく)なる。勿論、光センサ38は、受光素子が受光した光の明暗を電荷の量に光電変換し、これを読み出して電気信号に変換した出力(検出信号:電圧)を光センサ38内に内蔵されたAD変換素子によりAD変換して出力するものである。なお、光センサ38の配置箇所は、出射部32の図1下方に示す下端で距離センサ37と干渉しない箇所など、設計コンセプトなどの必要に応じて設定することができる。
【0061】
前記コントローラ5は、動作部の動作制御を司るためのものであり、少なくとも各種の演算処理を行う演算部として機能するCPUと、プログラムやデータを記憶する記憶部として機能するメモリ(共に図示せず。)とを主として形成されている。また、メモリは、適宜な容量のROM、RAMおよびデータの消去と書き込みとを行うことのできるEEPROMやフラッシュメモリなどの不揮発性メモリなどにより形成されている。なお、不揮発性メモリとしては、着脱可能なものであってもよい。
【0062】
前記コントローラ5には、第2のスイッチとしての別置きスイッチ41が電気的に接続されている。この別置きスイッチ41は、レーザ光Lの出射に用いられるものであり、この別置きスイッチ41としては、常時は電路を断ち切り、1回目の押圧操作によってスイッチング動作して電路をつなげて操作状態(オン状態)を保持し、2回目の押圧操作によって回路を断ち切りもとの状態に復帰する足踏みスイッチが用いられている。また、別置きスイッチ41は、別置き用配線41aによってコントローラ5と電気的に接続されており、別置きスイッチ41の状態、すなわち、常時は非操作状態を示すオフ信号をコントローラ5に送出し、押圧操作によりオン操作された場合にはスイッチング動作して操作状態を示すオン信号をコントローラ5に送出できるようになっている。
【0063】
なお、別置きスイッチ41は、少なくともレーザトーチ3とは別個に配置されていればよく、例えば、レーザ装置2に配設されていてもよい。この場合、別置き用配線41aをレーザ用制御部12に接続して、足踏みスイッチの操作状態を示すオン信号をレーザ用制御部12を介してコントローラ5に送出するように構成してもよい。また、足踏みスイッチとしては、常時は電路を断ち切り、押圧操作によってスイッチング動作して電路をつなげて、押圧力を解除すると回路を断ち切りもとの状態に復帰するものであってもよい。
【0064】
前記コントローラ5のメモリには、少なくともCPUがレーザ加工装置1の動作制御を行うためのプログラムおよびデータと、初期設定動作制御を行うためのプログラムおよびデータとが予め記憶されている。
【0065】
このような動作制御を行うためのプログラムおよびデータとしては、レーザ光Lの出射を実行するための動作制御を行うためのプログラムおよびデータと、レーザ光Lを出射した後の動作制御を行うためのプログラムおよびデータと、ガイド光Gの出射を実行する動作制御を行うためのプログラムおよびデータとを挙げることができる。
【0066】
前記レーザ光Lの出射を実行するための動作制御を行うためのプログラムおよびデータとしては、第1距離検出手段35が被加工物Wを検出し、且つスタートスイッチ33がオンの状態で、さらに別置きスイッチ41がオンされた場合にレーザ光Lが出射されるものを挙げることができる。また、第1距離検出手段35が検出したレーザトーチ3と被加工物Wとの距離Dに基づいて加工開始前における被加工物Wの有無を判定し、その判定結果が被加工物Wが有の場合、この被加工物Wが有の状態でスタートスイッチ33がオン(オン操作)され、さらにこの状態で別置きスイッチ41がオン(オン操作)された場合に、レーザトーチ3からのレーザ光Lの出射を開始するとともに、レーザ光Lの出射状態を保持するようにレーザ装置2の動作制御を行うものを挙げることができる。
【0067】
ここで、本実施形態における加工開始前における被加工物Wの有無の判定は、第1距離検出手段35としての距離センサ3が検出した距離を予め設定された閾値と比較することにより行われる。例えば、距離センサ37として渦電流式変位センサを用いた場合には、渦電流式変位センサの出力電圧が予め設定した基準電圧以上の場合に、加工開始前における被加工物Wの有無を有と判定する。
【0068】
なお、レーザ光Lの出射は、レーザ発振器11を駆動させるとともに、メインシャッタ22、22および出力シャッタ23を閉状態から開状態として保持させる動作制御により行われる。
【0069】
前記レーザ光Lを出射した後の動作制御を行うためのプログラムおよびデータとしては、第1に、第1距離検出手段35としての距離センサ37が検出したレーザトーチ3と被加工物Wとの距離Dがレーザ光の出射後に閾値より大きくなって被加工物Wの有無を無と判定した場合、第2に、第2距離検出手段36としての光センサ38が検出したレーザトーチ3と被加工物Wとの距離Dに基づいて出射後における被加工物Wの有無を判定し、その判定結果が被加工物Wが無の場合、あるいは、第3に、スタートスイッチ33の操作が解除された場合にそれぞれレーザ光Lの出射を停止するように、レーザ装置2の動作制御を行うものを挙げることができる。なお、前記第1の判定を省くこともできる。
【0070】
ここで、本実施形態におけるレーザ光Lの出射後における前記第2の被加工物Wの有無の判定は、光センサ38の出力電圧を予め設定された閾値と比較することにより行われる。例えば、レーザトーチ3が被加工物Wより遠くに離れたり、レーザ光Lを空中に向けて出射した場合のように、光センサ38の出力電圧が予め設定した基準電圧以下の場合に、レーザ光Lの出射後における被加工物Wの有無を無と判定する。なお、レーザ光Lの出射の停止は、レーザ発振器11の駆動を停止させるとともに、メインシャッタ22、22および出力シャッタ23を開状態から閉状態として保持させる動作制御により行われる。
【0071】
前記ガイド光Gの出射を実行する動作制御を行うためのプログラムおよびデータとしては、ガイドスイッチ34がオン操作された場合、レーザトーチ3からガイド光Gを出射するようにガイド光発生装置25およびレーザ装置2の動作を制御するものを挙げることができる。
【0072】
ここで、ガイド光Gの出射は、ガイド光発生装置25を駆動させるとともに、メインシャッタ22、22および出力シャッタ23を閉状態から開状態として保持させる動作制御により行われる。
【0073】
なお、出射した後にガイド光Gを停止させる動作制御は、ガイドスイッチ34のオン操作が解除された場合、ガイド光発生装置25の駆動を停止させる動作制御により行われる。
【0074】
前記レーザ発振器11の駆動および停止、ガイド光発生装置25の駆動および停止、メインシャッタ22、22および出力シャッタ23の開閉動作などは、レーザ用制御部12がコントローラ5からの制御指令を受けて実行することになる。
【0075】
前記レーザトーチ3の出射部32から出射されるガイド光Gおよびレーザ光Lのそれぞれの光軸は、同軸となるように形成されている。
【0076】
なお、レーザ装置2、レーザトーチ3、光ファイバ4、コントローラ5およびガイド光発生装置25のその他の構成については、従来と同様とされているので、その詳しい説明については省略する。
【0077】
つぎに、前述した構成からなる本実施形態の作用について説明する。
【0078】
まず、本実施形態のレーザ加工装置1における被加工物Wに照射されるレーザ光Lの照射位置の確認動作について説明する。
【0079】
本実施形態のレーザ加工装置1におけるレーザ光Lの照射位置の確認は、レーザトーチ3の出射部32を被加工物Wに近づけてガイドスイッチ34をオン操作(押圧操作)することにより実行する。
【0080】
そして、ガイドスイッチ34をオン操作すると、コントローラ5は、ガイドスイッチ34からのオン信号(信号のオンからオフへの切り変わり。)を受けて、ガイド光発生装置25を駆動させるとともに、レーザ装置2のメインシャッタ22、22および出力シャッタ23のそれぞれを閉状態から開状態とする。これにより、レーザトーチ3の出射部32から可視光であるガイド光Gが被加工物Wに照射される。このとき、被加工物Wに対するガイド光Gの照射位置が、レーザ光Lによる被加工物Wの加工位置となるので、被加工物Wに対するレーザ光Lの出射位置を正確に得ることができる。その結果、レーザ光Lの照射位置を被加工物Wの加工部位に対して正確に誘導、すなわち、加工部位に対するレーザ光Lの出射位置がずれるのを防止することができるので、使用者による使い勝手を向上することができる。なお、ガイド光Gの出射は、ガイドスイッチ34のオン操作を解除することにより停止、すなわち、ガイド光発生装置25の駆動が停止する。
【0081】
つぎに、本実施形態のレーザ加工装置1におけるレーザ光Lの出射動作について説明する。
【0082】
レーザトーチ3の出射部32を被加工物Wに近づける。すると、第1距離検出手段35としての距離センサ37がレーザトーチ3と被加工物Wとの相互間の距離Dを検出して、その検出した距離Dをコントローラ5に送出する。例えば、距離センサ37として渦電流式変位センサを用いた場合には、検出値である距離Dに応じた出力電圧をコントローラ5に送出する。
【0083】
ついで、コントローラ5は、距離センサ37からの距離Dの検出値に基づいて加工開始前における被加工物Wの有無を判定する。すなわち、距離センサ37の検出した距離Dを予め設定された閾値と比較することにより加工開始前における被加工物Wの有無を判定する。例えば、距離センサ37の出力電圧が予め設定した基準電圧以上の場合に、加工開始前における被加工物Wの有無を有と判定、すなわち、加工開始前における被加工物Wの存在を検出する。なお、検出した距離Dを閾値と比較することにより、被加工物Wの有無を判定する構成とすることにより、レーザトーチ3と被加工物Wとの距離Wが予め設定した範囲のときに被加工物Wの有無を有と判定させることができる。すなわち、レーザトーチ3の前方に被加工物Wが存在したとしても、距離Dが予め設定された値より大きい(離れている)場合には、被加工物Wを無と判定させることができる。これにより、レーザトーチ3と被加工物Wとが予め設定した範囲にある場合にのみレーザ光Lを出射可能とすることができる。
【0084】
ついで、距離センサ37によって加工開始前における被加工物Wの有無を有と判定した場合後に、スタートスイッチ33をオン操作し、さらにこの状態で別置きスイッチ41としての足踏みスイッチをオン操作することで、レーザ発振器11が駆動するとともに、メインシャッタ22、22および出力シャッタ23のそれぞれが開状態となり、レーザトーチ3からのレーザ光Lの出射が開始されるとともに、レーザ光Lの出射状態が保持される。これによりレーザ光Lの照射による被加工物Wの加工が開始されることになる。
【0085】
すなわち、本実施形態のレーザ加工装置1によれば、加工開始前に、レーザトーチ3と被加工物Wとの距離Dを第1距離検出手段35で検出し、検出した距離Dに基づいて加工開始前における被加工物Wの有無を判定し、その判定結果が被加工物Wが有の場合、この被加工物Wが有の状態でスタートスイッチ33が操作され、さらにこの状態で別置きスイッチ41が操作された場合に、レーザトーチ3からのレーザ光Lの出射を開始するとともに、レーザ光Lの出射状態を保持するように、レーザ装置2の動作制御が行われる。なお、スタートスイッチ33と、距離センサ37での有判定とはどちらが先であってもよい。つまり、スタートスイッチ33をオン操作した状態でレーザトーチ3を被加工物Wに近づけて距離センサ37で被加工物Wを検出した場合でも、レーザトーチ3からのレーザ光Lの出射が開始される。
【0086】
前記レーザトーチ3からレーザ光Lを出射した後は、第1距離検出手段35としての距離センサ37および第2距離検出手段36としての光センサ38がそれぞれレーザトーチ3と被加工物Wとの相互間の距離Dを検出して、その検出値をコントローラ5に連続的に送出する。
【0087】
ついで、コントローラ5は、距離センサ37および光センサ38からの距離Dの検出値に基づいて出射後における被加工物Wの有無の判定する。すなわち、コントローラ5は、距離センサ37および光センサ38からの距離Dの検出値に基づいて被加工物Wの有無を監視する。
【0088】
具体的には、距離センサ37および光センサ38による距離Dの検出値である出力電圧を予め設定された閾値と比較することにより出射後における被加工物Wの有無を判定する。例えば、距離センサ37または光センサ38の出力電圧が予め設定した基準電圧以下の場合に、出射後における被加工物Wの有無を無と判定、すなわち、被加工物Wが存在しない(所定の位置から離脱した)ことを検出する。なお、検出した距離Dを閾値と比較することにより、被加工物Wの有無を判定する構成とすることにより、レーザトーチ3と被加工物Wとの距離Wが予め設定した範囲より大きくなったときに被加工物Wの有無を無と判定させることができる。すなわち、レーザトーチ3の前方に被加工物Wが存在したとしても、距離Dが予め設定された値より大きい(離れている)場合には、被加工物Wを無と判定させることができる。これにより、レーザトーチ3が被加工物Wから必要以上に離れたらレーザ光Lの出射を停止させることができる。
【0089】
ついで、コントローラ5は、被加工物Wを無と判定した場合には、レーザ用制御部12にレーザ発振器11の停止指令を発して、レーザ発振器11の駆動を停止するとともに、メインシャッタ22、22および出力シャッタ23のそれぞれが開状態から閉状態となり、レーザトーチ3からのレーザ光Lの出射を停止する。
【0090】
また、被加工物Wが有と判定されている場合においても、スタートスイッチ33のオン操作を解除することによって、前記と同様に、コントローラ5、レーザ発振器11、レーザ用制御部12、各シャッタ22、23が動作して、レーザトーチ3からのレーザ光Lの出射が停止される。
【0091】
すなわち、本実施形態のレーザ加工装置1によれば、レーザトーチ3からレーザ光Lを出射した後におけるレーザトーチ3と被加工物Wとの距離Dを距離センサ37および光センサ38で検出し、検出した距離Dに基づいて出射後における被加工物Wの有無を判定し、判定結果が被加工物Wが無の場合、あるいは、スタートスイッチ33の操作が解除された場合、レーザ光Lの出射を停止するように、レーザ装置2の動作制御が行われる。
【0092】
本実施形態においては、距離Dの検出に利用する自然法則が異なる2種類のセンサ37、38が、共に被加工物Wの存在を検出している間のみレーザ光Lの出射を可能に制御するので、安全性が高いとともに加工精度を常に一定に保持することができる。
【0093】
このように本実施形態のレーザ加工装置1によれば、第1距離検出手段35は、加工開始前および加工開始後におけるレーザトーチ3と被加工物Wとの距離Dを確実かつ容易に検出することができる。また、コントローラ5は、第1距離検出手段35が検出したレーザトーチ3と被加工物Wとの距離Dに基づいて加工開始前および加工開始後における被加工物Wの有無を判定、すなわち、加工開始前および加工開始後における被加工物Wの検出をすることができる。さらに、コントローラ5は、加工開始前における被加工物Wの有無をリアルタイムで判定することができる。またさらに、コントローラ5は、加工開始前における被加工物Wの有無の判定結果が有、すなわち、加工開始前における被加工物Wを検出した状態で、スタートスイッチ33に加えて別置きスイッチ41が操作されない限り、使用者の操作とは関わりなく、何らかの理由により、スタートスイッチ33が作動してもレーザ光Lが出射されることがないので、レーザ光Lを照射する際の安全性を格段に高くすることができる。
【0094】
また、本実施形態のレーザ加工装置1によれば、第1距離検出手段35としての距離センサ37がレーザトーチ3に設けられているので、加工開始前および加工開始後におけるレーザトーチ3と被加工物Wとの距離Dを確実かつ容易に検出することができる。なお、第1距離検出手段35としての距離センサ37は、加工開始前の距離Dを検出することのみに利用してもよい。また、第1距離検出手段35としては、加工開始後は非接触であることが好ましいが、加工開始前においては、接触検知(距離D=0)を行うものの方が非接触のものよりも正確な距離の検出を行うことができる。
【0095】
さらに、本実施形態のレーザ加工装置1によれば、第2距離検出手段36としての光センサ38は、レーザ光Lの出射後におけるレーザトーチ3と被加工物Wとの距離Dを非接触で検出することができるので、レーザトーチ3を操作するときに邪魔にならない。その結果、加工時におけるレーザトーチ3の使用者による操作性を向上することができる。また、コントローラ5は、第2距離検出手段36としての光センサ38が検出したレーザトーチ3と被加工物Wとの距離Dに基づいて出射後における被加工物Wの有無を判定、すなわち、出射後における被加工物Wの存在を検出することができる。またさらに、コントローラ5は、加工開始後における被加工物Wの有無をリアルタイムで判定することができるし、加工開始後における被加工物Wの有無を監視することができる。さらに、コントローラ5は、出射後における被加工物Wの有無の判定結果が無、すなわち、出射後にレーザトーチ3が被加工物Wから離脱した場合には、レーザ光Lの出射を停止することができるし、使用者がスタートスイッチ33のオン操作を解除することでもレーザ光Lの出射を停止することができる。その結果、レーザ光Lの出射後に、レーザトーチ3を被加工物Wに接触させることなく操作することができるので、レーザトーチ3の円滑な操作、すなわち、操作性を向上することができるし、レーザ光Lを出射した後の安全性を格段に高くすることができる。
【0096】
さらにまた、本実施形態のレーザ加工装置1によれば、ガイド光発生装置25は、レーザトーチ3から出射するガイド光Gを確実かつ容易に発生することができる。また、ガイドスイッチ34は、レーザトーチ3からのガイド光Gの出射および停止の操作を確実に行うことができる。さらに、コントローラ5は、レーザトーチ3からのガイド光Gの出射および停止をガイドスイッチ34の操作状態に応じて制御することができる。すなわち、ガイドスイッチ34をオン操作することにより、レーザ光Lの照射位置(加工位置)を目視で確認するのためにガイド光Gをレーザトーチ3から出射することができるので、被加工物Wに対するレーザ光Lの出射位置を正確に得ることができる。その結果、レーザ光Lの照射位置を被加工物Wの加工部位に対して正確に誘導、すなわち、加工部位に対するレーザ光Lの出射位置がずれるのを防止することができるので、使用者による使い勝手を格段に向上させることができる。
【0097】
図2は、本発明に係るレーザ加工装置の第2実施形態を示すものである。
【0098】
本実施形態のレーザ加工装置1Aは、前述した第1実施形態のレーザ加工装置1における第1距離検出手段35をレーザトーチ3と被加工物Wとの相互間の距離Dをレーザトーチ3と被加工物Wとの相互間に印加した電圧変化により検出する距離検出回路43としたものである。
【0099】
さらに説明すると、本実施形態のレーザ加工装置1Aは、図2に示すように、第1距離検出手段35としての距離検出回路43がコントローラ5に設けられている。この距離検出回路43は、トーチ配線43aによってレーザトーチ3と電気的に接続されているとともに、ワーク配線43bによって金属製の被加工物Wに接続されており、レーザトーチ3と被加工物Wとの相互間に電圧を印加できるように形成されている。また、レーザトーチ3は、少なくとも被加工物Wとの接触部位、例えば、出射部32の全体、あるいは、出射部32の表面が導電性を備えており、レーザトーチ3の出射部32を被加工物Wに接触させることにより、レーザトーチ3の出射部32と被加工物Wとが通電するようになっている。この出射部32の導電性は、出射部32を金属、導電性樹脂、導電性セラミックスなどの導電性の材料で形成する構成や、出射部32の表面に導電層あるいは導電回路を設ける構成を挙げることができる。勿論、トーチ本体31を金属、導電性樹脂、導電性セラミックスなどの導電性の材料で形成してもよい。
【0100】
また、コントローラ5は、距離検出回路43の出力電圧を予め設定された閾値と比較することにより加工開始前における被加工物Wの有無を判定するように形成されている。例えば、距離検出回路43の出力電圧が予め設定した基準電圧以下の場合、すなわち出力電圧が電圧降下した場合に、加工開始前における被加工物Wの有無を有と判定するようになっている。
【0101】
具体的に説明すると、距離検出回路43は、電圧を出力するアンプ44(差動アンプ)および、電圧検出用抵抗R1を有している。そして、レーザトーチ3と被加工物Wとの相互間の距離Dによる距離抵抗をR2とし、印加電圧をV1とし出力電圧をVoutとする。ここで、コントローラ5は、出力電圧Voutの変化に基づいて、加工開始前における被加工物Wの有無を判定する。つまり、コントローラ5は、Vout=(R2/(R1+R2))×V1<V1の状態、すなわち、レーザトーチ3の出射部32が被加工物Wと接触して出力電圧が低下(電圧降下)した場合に、コントローラ5は、加工開始前における被加工物Wの有無を有と判定する。この電圧降下は、レーザトーチ3と被加工物Wとの相互間の距離Dが「ゼロ」であることを示している。したがって、コントローラ5は、レーザトーチ3と被加工物Wとの相互間の距離Dが「ゼロ」の場合、加工開始前における被加工物Wの有無を有と判定する。これにより、コントローラ5は、加工開始前における被加工物Wの存在を検出する。このコントローラ5による加工開始前における被加工物Wの有無の判定は、距離検出回路43からの出力電圧Voutの入力を受けてメモリに記憶されたプログラムおよびデータに基づいてCPUが実行することになる。
【0102】
その他の構成は、前述した第1実施形態のレーザ加工装置1と同様とされているので同一の符号を符し、その詳しい説明は省略する。なお、本実施形態では、加工開始後における被加工物Wの存在の検出が専ら光センサ38によって行われる点が第1実施形態とは異なっている。
【0103】
このような構成により、本実施形態のレーザ加工装置1Aは、前述した第1実施形態のレーザ加工装置1と同様の効果を奏することができるとともに、第1距離検出手段35としての距離検出回路43がコントローラ5に設けられているので、レーザトーチ3を操作するときに邪魔にならない。
【0104】
また、本実施形態のレーザ加工装置1Aの距離検出回路43は、レーザトーチ3が被加工物Wと接触したときの出力電圧の変化、すなわち電圧低下によって距離Dを検出するから、他の非接触の距離センサ37に比較してゴミ、異物などの外乱による距離Dの検出誤差を少なくすることができる。
【0105】
さらに、本実施形態のレーザ加工装置1Aの距離検出回路43は、前述した第1実施形態のレーザ加工装置1における距離センサ37に比較して安価なので、低コスト化を図ることもできる。
【0106】
なお、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0107】
1、1A レーザ加工装置
2 レーザ装置
3 レーザトーチ
4 光ファイバ
5 コントローラ
11 レーザ発振器
12 レーザ用制御部
22 メインシャッタ
23 出力シャッタ
25 ガイド光発生装置
31 トーチ本体
32 出射部
33 スタートスイッチ
34 ガイドスイッチ
35 第1距離検出手段
36 第2距離検出手段
37 距離センサ
38 光センサ
41 別置きスイッチ
43 距離検出回路
D (レーザトーチと被加工物との)距離
G ガイド光
L レーザ光
R1 電圧検出用抵抗
R2 (レーザトーチと被加工物との相互間の距離による)距離抵抗
V1 印加電圧
Vout (距離検出回路の)出力電圧
W 被加工物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物の加工に供するレーザ光を発生させるレーザ発振器と、
該レーザ発振器に対して移動可能に接続され、当該レーザ発振器において発生したレーザ光を受け取って被加工物に照射するレーザトーチと、
前記レーザトーチに設けられた第1のスイッチと、
前記レーザトーチに設けられ、前記被加工物の有無を検出する第1の検出手段と、
前記レーザトーチとは別個に設けられた第2のスイッチと、を有し、
前記第1の検出手段が被加工物を検出し、且つ前記第1のスイッチがオンの状態で、さらに前記第2のスイッチがオンされた場合にレーザ光が出射されることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
前記第1の検出手段は、レーザトーチと被加工物との距離を検出する手段であることを特徴とする請求項1記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
前記レーザトーチからレーザ光を出射した後の前記被加工物の有無を検出する第2の検出手段をさらに有し、該第2の検出手段はレーザ光の照射による加工部位の発熱により発生する放射光あるいは加工部位で反射するレーザ光の反射光による光の明暗を検出する受光素子を具備する光センサであることを特徴とする請求項1または請求項2記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
レーザ加工装置の動作部の動作制御を司るコントローラをさらに有し、
該コントローラは、前記第1の検出手段が検出した前記レーザトーチと被加工物との距離に基づいて加工開始前における被加工物の有無を判定することを特徴とする請求項2または請求項3に記載のレーザ加工装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記第1の検出手段の検出した距離が所定の閾値以下の場合に被加工物が有と判定し、閾値より長い場合に被加工物が無と判定することを特徴とする請求項4記載のレーザ加工装置。
【請求項6】
レーザ加工装置の動作部の動作制御を司るコントローラをさらに有し、
該コントローラは、前記光センサが検出した反射光の明るさに基づいて加工開始後における被加工物の有無を判定することを特徴とする請求項3記載のレーザ加工装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記光センサの出力電圧が所定の閾値以上の場合に被加工物が有と判定し、閾値未満の場合に被加工物が無と判定することを特徴とする請求項6記載のレーザ加工装置。
【請求項8】
前記コントローラの判定結果が被加工物が無の場合、あるいは、前記第1のスイッチのオンが解除された場合、レーザ光の出射を停止するように、前記レーザ加工装置の可動部の動作制御を行うことを特徴とする請求項4ないし請求項7のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項9】
被加工物の加工に供するレーザ光を発生させるレーザ発振器と、
該レーザ発振器に対して移動可能に接続され、当該レーザ発振器において発生したレーザ光を受け取って被加工物に照射するレーザトーチと、
前記レーザトーチに設けられた第1のスイッチと、
前記レーザトーチとは別個に設けられた第2のスイッチと、
前記レーザトーチに設けられ、前記被加工物の有無を検出する第1の検出手段と、
前記レーザトーチに設けられ、前記レーザトーチからレーザ光を出射した後の前記被加工物の有無を検出する第2の検出手段と、
レーザ加工装置の動作部の動作制御を司るコントローラと、を有し、
前記レーザトーチは、手動操作されるものであり、
前記第1のスイッチは、スタートスイッチであり、
前記第2のスイッチは、別置きスイッチであり、
前記第1の検出手段は、前記レーザトーチと被加工物との距離を非接触で検出する距離センサであり、
前記第2の検出手段は、レーザ光の照射による加工部位の発熱により発生する放射光あるいは加工部位で反射するレーザ光の反射光による光の明暗を検出する受光素子を具備する光センサであり、
前記コントローラは、前記距離センサが検出した前記レーザトーチと被加工物との距離に基づいて加工開始前における被加工物の有無を判定し、その判定結果が被加工物が有の場合、この被加工物が有の状態で前記スタートスイッチがオンされ、且つ前記スタートスイッチがオンの状態でさらに前記別置きスイッチがオンされた場合に、前記レーザトーチからのレーザ光の出射を開始するとともに、レーザ光の出射状態を保持し、レーザ光の出射後には、前記距離センサあるいは前記光センサが検出した前記レーザトーチと被加工物との距離に基づいてレーザ光の出射後における被加工物の有無を判定し、その判定結果が被加工物が無の場合、あるいは、前記スタートスイッチのオンが解除された場合、レーザ光の出射を停止するように、レーザ加工装置の動作部の動作制御を行うことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項10】
被加工物の加工に供するレーザ光を発生させるレーザ発振器と、
該レーザ発振器に対して移動可能に接続され、当該レーザ発振器において発生したレーザ光を受け取って被加工物に照射するレーザトーチと、
前記レーザトーチに設けられた第1のスイッチと、
前記レーザトーチとは別個に設けられた第2のスイッチと、
前記レーザトーチに設けられ、前記被加工物の有無を検出する第1の検出手段と、
前記レーザトーチに設けられ、前記レーザトーチからレーザ光を出射した後の前記被加工物の有無を検出する第2の検出手段と、
レーザ加工装置の動作部の動作制御を司るコントローラと、を有し、
前記レーザトーチは、手動操作されるものであり、
前記第1のスイッチは、スタートスイッチであり、
前記第2のスイッチは、別置きスイッチであり、
前記第1の検出手段は、前記コントローラに設けられ、前記レーザトーチと被加工物との相互間の距離を前記レーザトーチと前記被加工物との相互間に印加した電圧の変化により検出する距離検出回路であり、
前記第2の検出手段は、レーザ光の照射による加工部位の発熱により発生する放射光あるいは加工部位で反射するレーザ光の反射光による光の明暗を検出する受光素子を具備する光センサであり、
前記コントローラは、前記距離検出回路が検出した前記レーザトーチと被加工物との距離に基づいて加工開始前における被加工物の有無を判定し、その判定結果が被加工物が有の場合、この被加工物が有の状態で前記スタートスイッチがオンされ、且つ前記スタートスイッチがオンの状態でさらに前記別置きスイッチがオンされた場合に、前記レーザトーチからのレーザ光の出射を開始するとともに、レーザ光の出射状態を保持し、レーザ光の出射後には、前記光センサが検出した前記レーザトーチと被加工物との距離に基づいてレーザ光の出射後における被加工物の有無を判定し、その判定結果が被加工物が無の場合、あるいは、前記スタートスイッチのオンが解除された場合、レーザ光の出射を停止するように、レーザ加工装置の動作部の動作制御を行うことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項11】
被加工物に照射されるレーザ光の照射位置を視認させるための可視光からなるガイド光を発生するガイド光発生装置と、前記レーザトーチに設けられた第3のスイッチとをさらに有し、
前記ガイド光発生装置により発生させたガイド光は、レーザ光の光路に導入可能に形成されており、
前記コントローラは、前記第3のスイッチがオンされた場合、前記レーザトーチからガイド光を出射するようにレーザ加工装置の動作部の動作制御を行うことを特徴とする請求項4ないし請求項10のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate