説明

レーザ加工装置

【課題】ガルバノミラーの駆動系の寿命を容易に認識することができるレーザ加工装置を提供する。
【解決手段】レーザマーキング装置1は、軸を中心として回動可能なガルバノミラー23a,23bを回動させて、レーザ光源20から出力されたレーザ光を走査しつつ加工対象物Wに照射して加工する。制御装置26は、ガルバノミラーの累計の使用回数を計数して、累計の使用回数を記憶する。表示手段としての表示器7aにおいては、記憶した累計の使用回数に基づいてガルバノミラーの寿命に関する情報を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工装置において、光源から加工対象物に対してレーザ光を照射して加工を行う際に、ガルバノ駆動装置を用いて走査して加工を行っている。このガルバノ駆動装置の動作異常を検出することが行われている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−82304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ガルバノミラーの駆動系には寿命があり、メンテナンスが必要であるが、寿命が近いか否かの判断が困難であった。
本発明の目的は、ガルバノミラーの駆動系の寿命を容易に認識することができるレーザ加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明では、軸を中心として回動可能なガルバノミラーを回動させて、光源から出力されたレーザ光を走査しつつ加工対象物に照射して加工するレーザ加工装置であって、前記ガルバノミラーの累計の使用回数および動作時間の少なくとも一方を計数する計数手段と、前記計数手段による前記累計の使用回数および動作時間の少なくとも一方を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶した前記累計の使用回数および動作時間の少なくとも一方に基づいて前記ガルバノミラーの寿命に関する情報を表示する表示手段と、を備えたことを要旨とする。
【0006】
同構成によれば、計数手段によりガルバノミラーの累計の使用回数(動作回数)および動作時間の少なくとも一方が計数される。記憶手段により、計数手段による累計の使用回数および動作時間の少なくとも一方が記憶される。そして、表示手段により、記憶手段に記憶した累計の使用回数および動作時間の少なくとも一方に基づいてガルバノミラーの駆動系の寿命に関する情報が表示される。その結果、ガルバノミラーの駆動系の寿命を容易に認識することができる。
【0007】
請求項2に記載のように、請求項1に記載のレーザ加工装置において、第1の軸に中心として回動可能な第1のガルバノミラーおよび前記第1の軸に直交する第2の軸を中心として回動可能な第2のガルバノミラーを有し、前記計数手段は、前記第1のガルバノミラーの累計の使用回数および前記第2のガルバノミラーの累計の使用回数を計数し、前記表示手段は、前記第1のガルバノミラーの累計の使用回数および第2のガルバノミラーの累計の使用回数のうちの大きい方の累計の使用回数を表示するとよい。
【0008】
請求項3に記載のように、請求項2に記載のレーザ加工装置において、前記表示手段は、前記第1のガルバノミラーおよび第2のガルバノミラーのうちの前記レーザ光の下流側に配置したガルバノミラーの累計の使用回数を表示するとよい。
【0009】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザ加工装置において、前記計数手段による前記ガルバノミラーの累計の使用回数とその回数に至るに要した期間から前記累計の使用回数が規定値に達する時期を予測して前記表示手段に表示する予測手段を更に備えたことを要旨とする。
【0010】
同構成によれば、予測手段により、計数手段によって計数されるガルバノミラーの累計の使用回数とその回数に至るまでに要した期間とからガルバノミラーの累計の使用回数が規定値に達する時期が予測され、その予測時期が表示手段に表示される。これにより、表示手段に表示される予測時期を見ることで、ガルバノミラーの駆動系が寿命に至る、おおよその時期を把握することができるため、利便性が向上する。
【0011】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載のレーザ加工装置において、予測手段は、使用を開始してから規定の期間が経過したときに、その時点における前記計数手段による前記ガルバノミラーの累計の使用回数と前記規定の時期から前記累計の使用回数が規定値に達する時期を予測し、前記表示手段に表示することを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、予測手段により、レーザ加工装置の駆動を開始してから規定の期間が経過したときに、その時点において計数手段により計数されているガルバノミラーの累計の使用回数と規定の期間とからガルバノミラーの累計の使用回数が規定値に達する時期が予測され、その予測された時期が表示手段に表示される。これにより、レーザ加工装置の駆動開始時から規定の期間が経過したときに、ガルバノミラーの駆動系が寿命に至る予測時期が表示手段に自動的に表示されるため、当該レーザ加工装置のメンテナンスが容易となる。
【0013】
請求項6に記載の発明では、請求項4に記載のレーザ加工装置において、前記予測手段は、操作スイッチが操作されると、その時点における前記計数手段による前記ガルバノミラーの累計の使用回数とその回数に至るに要した期間から前記累計の使用回数が規定値に達する時期を予測し、前記表示手段に表示することを要旨とする。
【0014】
同構成によれば、操作スイッチが操作されると、その時点において計数手段により計数されているガルバノミラーの累計の使用回数とその回数に至るまでに要した期間とからガルバノミラーの累計の使用回数が規定値に達する時期が予測手段により予測され、その予測された時期が表示手段に表示される。これにより、所望のタイミングにて操作スイッチを操作すれば、ガルバノミラーの駆動系が寿命に至る予測時期をいつでも確認することができるため、利便性が向上する。
【0015】
請求項7に記載の発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザ加工装置において、前記計数手段による前記ガルバノミラーの累計の使用回数から当該使用回数が規定値に達するまでの残りの前記ガルバノミラーの回数を算出して前記表示手段に表示する残り回数算出手段を更に備えたことを要旨とする。
【0016】
同構成によれば、残り回数算出手段により、計数手段により計数されるガルバノミラーの累計の使用回数から当該使用回数が規定値に達するまでの残りのガルバノミラーの回数が算出され、表示手段に表示される。これにより、表示手段に表示される回数を見ることで、ガルバノミラーの駆動系が寿命に至る時期を容易に把握することができる。
【0017】
請求項8に記載の発明では、請求項4に記載のレーザ加工装置において、前記予測手段による前記規定値に達する時期になったら警告する警告手段を更に備えたことを要旨とする。
【0018】
同構成によれば、警告手段により、予測手段によって予測されるガルバノミラーの累計の使用回数が規定値に達する時期に至ったときに警告が行われる。これにより、予測時期になったことを認識することができる。
【0019】
請求項9に記載の発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザ加工装置において、前記計数手段による前記ガルバノミラーの累計の使用回数が規定値に達したか否か判定して判定結果を前記表示手段に表示する判定手段を更に備えたことを要旨とする。
【0020】
同構成によれば、判定手段により、計数手段によって計数されるガルバノミラーの累計の使用回数が規定値に達したか否かが判定され、判定結果が表示手段に表示される。これにより、ガルバノミラーの駆動系が寿命に至ったか否かを容易に認識することができる。
【0021】
請求項10に記載の発明では、請求項9に記載のレーザ加工装置において、前記判定手段による判定結果に基づいて警報する警報手段を更に備えたことを要旨とする。
同構成によれば、警報手段により、判定手段による判定結果に基づいて警報が行われる。これにより判定手段による判定結果をさらに容易に認識することができる。
【0022】
請求項11に記載の発明では、請求項9に記載のレーザ加工装置において、前記判定手段は、前記計数手段による前記ガルバノミラーの累計の使用回数が規定値に達する前の予め定めた値に達したか否か判定し、当該判定結果に基づいて警報するようにしたことを要旨とする。
【0023】
同構成によれば、判定手段により、計数手段によるガルバノミラーの累計の使用回数が規定値に達する前の予め定めた値に達したか否かが判定され、判定結果に基づいて警報が行われる。これにより、警報を通じてユーザはガルバノミラーの駆動系が寿命に至る直前の状態であることを知ることができるため、ガルバノミラーの駆動系の交換部品を予め用意することができる。このため、利便性が向上する。
【0024】
一方、ガルバノミラーの動作時間を計数する方法としては、請求項12に記載の発明によるように、
・前記ガルバノミラーの回動位置を検出する位置検出手段を更に備え、前記計数手段は、前記位置検出手段を通じて検出される前記ガルバノミラーの回動位置が変化している時間を計測し、計測された時間を前記ガルバノミラーの動作時間とする。
といった構成、あるいは、請求項13に記載の発明によるように、
・前記ガルバノミラーを所定の座標系内で回動させる駆動手段と、前記座標系内に設定された始点から終点に至るまでの軌跡上の複数の座標を示す座標データを前記駆動手段に順次送信することで前記ガルバノミラーを前記始点から前記終点まで回動させる制御手段とを備え、前記計数手段は、前記制御手段が前記始点に対応する座標データを前記駆動手段に送信した時点から前記終点に対応する座標データを前記駆動手段に送信した時点までの経過時間を計測し、計測された経過時間を前記ガルバノミラーの動作時間とする。
といった構成が有効であり、これによりガルバノミラーの動作時間を容易に計数することができる。
【0025】
請求項14に記載のように、請求項12又は13に記載のレーザ加工装置において、前記軸が、互いに直交する第1の軸及び第2の軸からなるとともに、前記ガルバノミラーが、前記第1の軸を中心として回動可能な第1のガルバノミラー及び前記第2の軸を中心として回動可能な第2のガルバノミラーとからなり、前記計数手段は、前記第1のガルバノミラーの累計の動作時間及び前記第2のガルバノミラーの累計の動作時間をそれぞれ計数し、前記表示手段は、前記第1のガルバノミラーの累計の動作時間及び前記第2のガルバノミラーの累計の動作時間のうちの長い方の累計の動作時間を表示するとよい。
【0026】
請求項15に記載のように、請求項14に記載のレーザ加工装置において、前記表示手段は、前記第1のガルバノミラー及び前記第2のガルバノミラーのうちの前記レーザ光の下流側に配置されたガルバノミラーの累計の動作時間を更に表示するとよい。
【0027】
請求項16に記載の発明では、請求項12〜15のいずれか一項に記載のレーザ加工装置において、前記ガルバノミラーの駆動系の寿命を示す動作時間を規定時間とするとき、前記表示手段は、前記計数手段により計数される前記ガルバノミラーの累計の動作時間と前記規定時間との差分の時間を更に表示することを要旨とする。
【0028】
同構成によれば、ガルバノミラーの動作時間と規定時間との差分の時間、すなわちガルバノミラーの駆動系が寿命に至るまでの残り時間が表示手段に表示される。このため、表示手段に表示される時間を見ることで、ガルバノミラーの駆動系が寿命に至る、おおよその時期を容易に把握することができる。
【0029】
請求項17に記載の発明では、請求項16に記載のレーザ加工装置において、当該レーザ加工装置の駆動が開始されてから所定の期間が経過したとき、その時点において前記計数手段により計数されている前記ガルバノミラーの累計の動作時間と前記所定の期間とから前記ガルバノミラーの累計の動作時間が前記規定時間に達する時期を予測し、予測された時期を前記表示手段に表示する予測手段を更に備えたことを要旨とする。
【0030】
同構成によれば、レーザ加工装置の駆動開始時から所定の期間が経過したときに、ガルバノミラーの駆動系が寿命に至る予測時期が表示手段に自動的に表示されるため、当該レーザ加工装置のメンテナンスが容易となる。
【0031】
請求項18に記載の発明では、請求項16に記載のレーザ加工装置において、操作スイッチが操作されると、その時点において前記計数手段により計数されている前記ガルバノミラーの累計の動作時間とその動作時間に至るまでに要した期間とから前記ガルバノミラーの累計の動作時間が前記規定時間に達する時期を予測し、予測された時期を前記表示手段に表示する予測手段を更に備えたことを要旨とする。
【0032】
同構成によれば、所望のタイミングにて操作スイッチを操作することによりガルバノミラーの累計の動作時間が規定時間に達すると予測される時期を表示手段に表示させることができる。これにより、ユーザは、自身の好きなタイミングで操作スイッチを操作すれば、ガルバノミラーの駆動系が寿命に至る予測時期をいつでも確認することができるため、利便性が向上する。
【0033】
請求項19に記載の発明では、請求項17又は18に記載のレーザ加工装置において、前記予測手段により予測される前記規定時間に達する予測時期になったときに警告を行う警告手段を更に備えたことを要旨とする。
【0034】
同構成によれば、予測手段により予測される時期になったときに警告手段により警告が行われる。このため、予測時期になったことを容易に認識することができる。
請求項20に記載の発明では、請求項12〜15に記載のレーザ加工装置において、前記ガルバノミラーの駆動系の寿命を示す動作時間を規定時間とするとき、前記計数手段により計測される前記ガルバノミラーの累計の動作時間が前記規定時間に達したか否かを判定して当該判定結果を前記表示手段に表示する判定手段を更に備えたことを要旨とする。
【0035】
同構成によれば、ガルバノミラーの累計の動作時間が規定時間に達したか否かの判定結果が表示手段に表示される。これにより、表示手段に表示される判定結果を見るだけで、ガルバノミラーの累計の動作時間が規定時間に達したか否かを容易に認識することができる。
【0036】
請求項21に記載の発明では、請求項20に記載のレーザ加工装置において、前記判定手段による前記判定結果に基づいて警報を行う警報手段を更に備えたことを要旨とする。
同構成によれば、ガルバノミラーの累計の動作時間が規定時間に達したか否かの判定結果に基づいて警報が行われる。このため、ガルバノミラーの累計の動作時間が規定時間に達したか否かをさらに容易に認識することができる。
【0037】
請求項22に記載の発明では、請求項21に記載のレーザ加工装置において、前記判定手段は、前記計数手段によって計数される前記ガルバノミラーの累計の動作時間が前記規定時間よりも短い所定時間に達したか否かを判定し、当該判定結果に基づいて前記警報手段による警報を更に行うようにしたことを要旨とする。
【0038】
同構成によれば、ガルバノミラーの累計の動作時間が規定時間よりも短い所定時間に達した時点で警報が更に行われる。これにより、警報を通じてユーザはガルバノミラーの駆動系が寿命に至る直前の状態であることを知ることができるため、ガルバノミラーの駆動系の交換部品を予め用意することができる。このため、利便性が向上する。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、ガルバノミラーの駆動系の寿命を容易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明にかかるレーザ加工装置を具体化したレーザマーキング装置の第1の実施形態についてその概略構成を示す斜視図。
【図2】同第1の実施形態のレーザマーキング装置についてその概略構成を示すブロック図。
【図3】同第1の実施形態のレーザマーキング装置についてそのガルバノ駆動装置を示す模式図。
【図4】同第1の実施形態のレーザマーキング装置についてその表示器の正面図。
【図5】同第1の実施形態のレーザマーキング装置の作用を説明するための説明図。
【図6】同第1の実施形態のレーザマーキング装置についてガルバノミラーの使用回数(動作回数)をカウントする方法を説明するためのタイムチャート。
【図7】同第1の実施形態のレーザマーキング装置についてガルバノミラーの駆動系が寿命に至る時期を予測する方法を説明するためのタイムチャート。
【図8】(a)〜(c)は、本発明にかかるレーザ加工装置を具体化したレーザマーキング装置の第2の実施形態についてガルバノミラーの動作時間を測定する方法を説明するためのタイミングチャート。
【図9】同第2の実施形態のレーザマーキング装置についてその表示器の正面図。
【図10】同第2の実施形態のレーザマーキング装置についてガルバノミラーの駆動系が寿命に至る時期を予測する方法を説明するためのタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0041】
<第1の実施形態>
以下、本発明にかかるレーザ加工装置をレーザマーキング装置に具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。
【0042】
図1は、レーザマーキング装置1の斜視図であり、図2はレーザマーキング装置のブロック図である。
図1に示すように、レーザマーキング装置1は、レーザ光Lを出射するコントローラ2を備えている。コントローラ2にはファイバケーブル3を介してヘッド4が接続されている。また、コントローラ2には電気ケーブル5を介してヘッド4が接続されるとともに、コントローラ2には電気ケーブル6を介してコンソール7が接続されている。そして、レーザマーキング装置1は、載置台8に載置された加工対象物Wのマーキング面Wa上に所望の文字、図形、記号等(以下、文字等という)をマーキングする。
【0043】
ヘッド4の下面には、レーザ光Lが出射される窓部9が形成されている。そして、ヘッド4は、窓部9が加工対象物Wのマーキング面Waと対向するように設置されている。
図2に示すように、コントローラ2はレーザ光源(レーザ発振器)20を備え、レーザ光源20からレーザ光Lが出射され、ファイバケーブル3に送られる。ファイバケーブル3を通してレーザ光がヘッド4に送られる。図1に示すようにヘッド4においてファイバケーブル3の一端がビームエキスパンダ収納部10に接続されている。ビームエキスパンダ収納部10にはビームエキスパンダ21(図2参照)が収納されており、ファイバケーブル3からのレーザ光がビームエキスパンダ21に送られる。
【0044】
図2に示すように、ヘッド4においてレーザ光Lの光路途中には、レーザ光源20側から順に、第1及び第2のガルバノミラー23a,23bと、集光レンズ24が配設されている。そして、ビームエキスパンダ21からのレーザ光Lは第1及び第2のガルバノミラー23a,23bに入射される。第1及び第2のガルバノミラー23a,23bは、ボールベアリングを用いた機械式のガルバノ駆動装置(駆動手段)25により駆動される。図3を用いて詳しく説明する。
【0045】
図3において、第1の軸としてのa1軸上には、ボールベアリング30,31、第1のガルバノモータ34の回動軸、第1のガルバノミラー23aの回動軸36が配置され、第1のガルバノモータ34の両側のボールベアリング30,31により第1のガルバノミラー23aが回動可能に支持されている。同様に、第2の軸としてのa2軸上には、ボールベアリング32,33、第2のガルバノモータ35の回動軸、第2のガルバノミラー23bの回動軸37が配置され、第2のガルバノモータ35の両側のボールベアリング32,33により第2のガルバノミラー23bが回動可能に支持されている。各ガルバノモータ34,35により、第1及び第2のガルバノミラー23a,23bを互いに略直交するa1,a2軸を中心としてそれぞれ正・逆方向に回動させることができる。
【0046】
そして、第1及び第2のガルバノミラー23a,23bは、ビームエキスパンダ21からのレーザ光Lを反射し、その出射方向を変更させる。具体的には、第1のガルバノミラー23aは、回動して加工対象物Wに向けて照射するレーザ光Lを、そのマーキング面Waの一方向(X方向、図1,2参照)に走査させる。また、第2のガルバノミラー23bは、回動して加工対象物Wに向けて照射するレーザ光Lを、そのマーキング面WaのX方向に対して直交する方向(Y方向、図1,2参照)に走査させる。従って、加工対象物Wに向けて照射するレーザ光Lは、第1及び第2のガルバノミラー23a,23bにより、加工対象物Wのマーキング面Waに対して、X方向及びY方向に走査されるようになっている。
【0047】
このようにして、第1のガルバノミラー23aは第1の軸としてのa1軸を中心として回動可能であり、第2のガルバノミラー23bは第2の軸としてのa2軸を中心として回動可能であり、第1及び第2のガルバノミラー23a,23bを回動させて、レーザ光源20から出力されたレーザ光Lを走査しつつ加工対象物Wに照射して加工が行われる。
【0048】
図1においてコンソール7には表示器7aと操作部7bが設けられている。操作部7bはテンキー等を具備しており、操作部7bにより加工対象物Wに加工を行うレーザパワーの設定等を行うことができるようになっている。表示器7aの詳細を図4に示す。
【0049】
図4において、表示器7aは、ガルバノミラー反転動作累計回数表示部40とメンテナンス時期表示部41を備えている。ガルバノミラー反転動作累計回数表示部40には、ガルバノミラー23a,23bの反転動作累計回数が表示される。メンテナンス時期表示部41には、ガルバノ駆動装置25がその動作により寿命に達する時期が表示される。
【0050】
図2において、コントローラ2は、レーザマーキング装置1を統括的に制御する制御装置(制御手段)26を備えている。制御装置26は不揮発性メモリ26aを具備しており、不揮発性メモリ26aには、印字される文字等のマーキング情報が記憶されている。このマーキング情報は、文字等を構成する各線分の始点及び終点の座標値、レーザ光Lの照射により形成される線分の太さ等の情報を含む。
【0051】
制御装置26はコンソール7の操作部7bと接続され、制御装置26には、操作部7bからレーザパワーの設定値等の情報が入力される。また、制御装置26は、レーザ光源20、及びガルバノミラー用の駆動装置25と接続されている。ガルバノミラー用の駆動装置25は、第1及び第2のガルバノモータ34,35を含んでおり、当該ガルバノモータ34,35を駆動することにより第1及び第2のガルバノミラー23a,23bの回動が制御される。
【0052】
制御装置26は、レーザ光源20を駆動してレーザ光Lを出射させ、不揮発性メモリ26aに記憶されたマーキング情報に基づいて第1及び第2のガルバノモータ34,35を駆動制御することでレーザ光Lを2次元的に走査し、加工対象物Wのマーキング面Waに所定の文字等をマーキングする。
【0053】
次に、このように構成したレーザマーキング装置1の作用を説明する。
計数手段としての制御装置26は、ガルバノミラー23a,23bの動作の累計回数を計数する。特に、本実施形態においては、ガルバノミラー23a,23bの反転動作(折り返し動作)の累計回数を計数する。図5,6を用いて詳しく説明する。なお、図5及び図6に示すX方向及びY方向は、先の図3に示すX方向及びY方向を示している。
【0054】
図5には「ABC」を印字する場合における第1のガルバノミラー23a及び第2のガルバノミラー23bのストロークの推移を示す。X方向用の第1のガルバノミラー23aとY方向用の第2のガルバノミラー23bとは、時刻t1で回動を開始し、時刻t2でY方向用の第2のガルバノミラー23bが反転し、時刻t3でX方向用の第1のガルバノミラー23a及びY方向用の第2のガルバノミラー23bが反転する。
【0055】
図6においては横軸に時間をとり、第1及び第2のガルバノミラー23a,23bのストロークの推移を示す。
図6において、X方向用の第1のガルバノミラー23aの反転動作がカウントされていく。これを図中、nx=1,2,3,4,5,6で示す。同様に、Y方向用の第2のガルバノミラー23bの反転動作がカウントされていく。これを図中、ny=1,2,3,4,5で示す。
【0056】
このカウント値nx,nyは不揮発性メモリ26aに記憶される。
このようにして、制御装置26は、ガルバノミラー23a,23bを駆動させるガルバノモータ34,35への指令内容からガルバノミラー23a,23bの反転動作の累計回数(カウント値nx,ny)を計数する。
【0057】
制御装置26は、ガルバノミラー23a,23bの反転動作の累計回数(カウント値nx,ny)を表示器7aのガルバノミラー反転動作累計回数表示部40に表示させる。より詳しくは、X方向用の第1のガルバノミラー23aの反転動作のカウント値nx、及びY方向用の第2のガルバノミラー23bの反転動作のカウント値nyのうちの大きい方の値をガルバノミラー反転動作累計回数表示部40に表示させる。
【0058】
また、制御装置26は、ガルバノ駆動装置25の寿命予測を行う。これを、図7を用いて説明する。
図7では、横軸に時間をとり、縦軸にカウント値をとっている。時刻t10でレーザマーキング装置1の駆動が開始されたとする。レーザマーキング装置1の使用により、カウント値nxは大きくなっていく。そして、制御装置26は、現在の時点(時刻t11のタイミング)における駆動開始から現在までの期間T1と、現在のカウント値nxの値n1と、規定値n10とから、以下の式(1)に基づき第1のガルバノミラー23aの駆動系の寿命予測時期t12を算出する。なお、規定値n10は、ガルバノ駆動装置25における第1のガルバノミラー23aの駆動系の寿命を示す使用回数(より詳細には、反転動作回数)である。
【0059】
t12=t11+(T1・(n10−n1))/n1
・・・(1)
つまり、このままのペースでレーザマーキング装置1の使用を継続していった場合、第1のガルバノミラー23aの駆動系が寿命に至る時期(寿命回数に達する時期)を推定する。
【0060】
具体的に説明する。例えば、設置後、一ヶ月分のデータをとり、このカウント値をn1として上記(1)式においてT1=一ヶ月として寿命予測時期t12を算出する。また、第2のガルバノミラー23bの駆動系が寿命に至る予測時期についても同様に算出する。
【0061】
そして、制御装置26は、このようにして算出した第1のガルバノミラー23aの駆動系の寿命予測時期、及び第2のガルバノミラー23bの駆動系の寿命予測時期のうち、より直近の時期を示しているものをガルバノ駆動装置25の寿命予測時期として、これを表示器7aのメンテナンス時期表示部41に表示させる。これにより、ガルバノ駆動装置25がその動作により寿命に達する時期を知ることができる。
【0062】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)レーザマーキング装置1は、a1軸及びa2軸を中心として回動可能な第1及び第2のガルバノミラー23a,23bを回動させて、レーザ光源20から出力されたレーザ光Lを走査しつつ加工対象物Wに照射して加工する。計数手段及び記憶手段としての制御装置26は、第1及び第2のガルバノミラー23a,23bの累計の使用回数(本実施形態では反転動作)を計数して、累計の使用回数を記憶する。表示手段としての表示器7aでは、記憶した累計の使用回数に基づいてガルバノ駆動装置25の寿命に関する情報を表示する。その結果、ガルバノ駆動装置25の寿命を容易に認識することができる。
【0063】
つまり、ガルバノ駆動装置25のボールベアリング30,31,32,33はガルバノミラー23a,23bが反転するときに不均一な応力が作用して劣化する。よって、ボールベアリング30,31,32,33には寿命があり、メンテナンスが必要である。本実施形態ではボールベアリング30〜33の寿命が近いか否かの判断を容易に行うことができる。
【0064】
(2)a1軸を中心として回動可能な第1のガルバノミラー23a及びa1軸に直交するa2軸を中心として回動可能な第2のガルバノミラー23bを有し、制御装置26は、第1のガルバノミラー23aの累計の使用回数及び第2のガルバノミラー23bの累計の使用回数を計数し、表示器7aは、第1のガルバノミラー23aの累計の使用回数及び第2のガルバノミラー23bの累計の使用回数のうちの大きい方の累計の使用回数を表示する。このような構成は、ガルバノ駆動装置25の寿命を認識する上で好ましい。
【0065】
(3)予測手段としての制御装置26はガルバノミラーの累計の使用回数とその回数に至るまでに要した期間から累計の使用回数が規定値に達する時期(メンテナンス時期、交換時期)を予測してこれを表示器7aに表示する。これにより、表示器7aに表示される予測時期を見ることで、ガルバノ駆動装置25が寿命に至る、おおよその時期を把握することができるため、利便性が向上する。
【0066】
(4)特に、制御装置26は、レーザマーキング装置1の駆動が開始されてから規定の期間(例えば一ヶ月)が経過したときに、その時点におけるガルバノミラーの累計の使用回数と規定の期間とから累計の使用回数が規定値に達する時期を予測して、これを表示器7aに表示する。これにより、レーザ加工装置の駆動開始時から規定の期間が経過したときに、ガルバノ駆動装置25の寿命予測時期が表示器7aに自動的に表示されるため、当該レーザ加工装置のメンテナンスが容易となる。
<第2の実施形態>
続いて、本発明にかかるレーザ加工装置をレーザマーキング装置に具体化した第2の実施形態を図面に従って説明する。本実施形態では、ガルバノミラーの累計の動作時間、及び同動作時間に基づいて求められるガルバノ駆動装置25の寿命予測時期を表示器7aにそれぞれ表示するようにしている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0067】
先の図2に破線で示すように、本実施形態では、第1のガルバノモータ34の回動軸36の回転角度を検出する回転角度センサ50、及び第2のガルバノモータ35の回動軸37の回転角度を検出する回転角度センサ51をそれぞれ設けるようにしている。なお、本実施形態では、これら回転角度センサ50,51が、第1及び第2のガルバノミラー23a,23bの回動位置を検出する位置検出手段となる。そして、これらのセンサ50,51の出力信号は、制御装置26に取り込まれている。制御装置26は、回転角度センサ50,51を通じて回動軸36,37の回転角度を検出するとともに、それらの回転角度の変化を監視する。そして、回動軸36,37の回転角度が変化している間の時間を、内蔵されるタイマ26b,26cによってそれぞれ計測することで、第1のガルバノミラー23a及び第2のガルバノミラー23bの動作時間をそれぞれ求める。
【0068】
次に、図8を参照して、ガルバノミラーの累計の動作時間を求める方法について説明する。なお、図8では、便宜上、第1のガルバノミラー23aの動作時間を求める方法についてのみ説明する。
【0069】
加工対象物Wのマーキング面Waに所定の文字を印字するにあたり、例えば図8(a)に示すように、時刻t1から時刻t4までの期間、レーザ光Lが加工対象物Wに照射されたとするときに、第1のガルバノモータ34の回動軸36の回転角度θ1が図中に示すように変化したとする。このとき、制御装置26は、時刻t1で回転角度センサ50を通じて検出される回動軸36の回転角度θ1の変化を検出すると、図8(b)に示すように、その時点からタイマ26bのカウントアップを開始する。その後、図8(a)に示すように、時刻t2で回動軸36の回転角度θ1の変化を検出することができなくなると、タイマ26bのカウントアップを停止する。このとき、制御装置26は、図8(c)に示すように、タイマ26bの値Taを、不揮発性メモリ26aに記憶されている第1のガルバノミラー23aの累計の動作時間S0に値Taを加算する。これにより、第1のガルバノミラー23aの累計の動作時間Sxは図中の時間S1(=S0+Ta)となる。またこのとき、制御装置26は、タイマ26bの値を初期化する。その後、図8(a)に示すように、時刻t3で再び回動軸36の回転角度θ1の変化を検出すると、図8(b)に示すように、その時点からタイマ26bのカウントアップを再び開始する。さらに、図8(a)に示すように、印字の終了に伴い時刻t4で回動軸36の回転角度θ1の変化を検出することができなくなると、図8(b)に示すように、その時点でタイマ26bのカウントアップを停止する。そしてこのときにも、制御装置26は、図8(c)に示すように、タイマ26bの値Tbを、不揮発性メモリ26aに記憶されている第1のガルバノミラー23aの累計の動作時間S1に加算する。これにより、第1のガルバノミラー23aの累計の動作時間Sxは図中の時間S2(=S1+Tb)となる。またこのとき、制御装置26は、タイマ26bの値を初期化する。
【0070】
本実施形態では、このようにタイマ26bの値を累積することにより第1のガルバノミラー23aの累計の動作時間Sxを計数するとともに、その値を不揮発性メモリ26aに記憶するようにしている。なお、第2のガルバノミラー23bの累計の動作時間についても同様に計数するとともに、計数された動作時間を不揮発性メモリ26aに記憶するようにしている。そして、制御装置26は、図9に示すように、第1のガルバノミラー23aの累計の動作時間、及び第2のガルバノミラー23bの累計の動作時間のうち、長い方の動作時間を表示器7aのガルバノミラー累計動作時間表示部42に表示する。
【0071】
一方、本実施形態では、第1及び第2のガルバノミラー23a,23bの累計の動作時間に基づいてガルバノ駆動装置25の寿命予測を行うようにしている。次に、図10を参照して、ガルバノ駆動装置25の寿命を予測する方法について説明する。
【0072】
図10に示すように、例えば、時刻t10でレーザマーキング装置1の駆動が開始された後、同装置1の使用に伴い、第1のガルバノミラー23aの累計の動作時間Sxが時間S1まで増加したとする。このとき、制御装置26は、現在の時刻t11の時点における駆動開始から現在までの期間T1と、現在の動作時間S1と、規定時間S10とから、以下の式(2)に基づき第1のガルバノミラー23aの駆動系の寿命予測時期t12を算出する。なお、規定時間S10は、ガルバノ駆動装置25における第1のガルバノミラー23aの駆動系の寿命を示す動作時間である。
【0073】
t12=t11+(T1・(S10−S1))/S1
・・・(2)
なお、第2のガルバノミラー23bの駆動系が寿命に至る予測時期についても同様に算出する。
【0074】
そして、制御装置26は、このようにして算出した第1のガルバノミラー23aの駆動系の予測時期、及び第2のガルバノミラー23bの駆動系の寿命予測時期のうち、より直近の時期を示しているものをガルバノ駆動装置25の寿命予測時期として、これを先の図9に示した表示器7aのメンテナンス時期表示部41に表示する。
【0075】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(5)制御装置26では、タイマ26b,26cを用いて第1及び第2のガルバノミラー23a,23bの累計の動作時間をそれぞれ計数するとともに、計数された累計の動作時間を不揮発性メモリ26aに記憶することとした。そして、第1及び第2のガルバノミラー23a,23bの累計の動作時間に基づいてガルバノ駆動装置25の寿命に関する情報を表示器7aに表示することとした。これにより、ガルバノ駆動装置25の寿命を容易に認識することができる。
【0076】
(6)表示器7aでは、第1のガルバノミラー23aの累計の動作時間、及び第2のガルバノミラー23bの累計の動作時間のうち、長い方の動作時間を表示することとした。このような構成は、ガルバノ駆動装置25の寿命を認識する上で好ましい。
【0077】
(7)制御装置26では、第1及び第2のガルバノミラー23a,23bの累計の動作時間とその動作時間に至るまでに要した時間から、累計の動作時間が規定値に達する時期(メンテナンス時期、交換時期)を予測してこれを表示器7aに表示することとした。これにより、表示器7aに表示される予測時期を見ることで、ガルバノ駆動装置25が寿命に至る、おおよその時期を把握することができるため、利便性が向上する。
【0078】
(8)特に、制御装置26では、レーザマーキング装置1の駆動を開始してから規定の期間(例えば一ヶ月)が経過したときに、その時点におけるガルバノミラーの累計の動作時間と規定の期間とから累計の動作時間が規定時間に達する時期を予測し、これを表示器7aに表示することとした。これにより、レーザ加工装置の駆動開始時から規定の期間が経過したときに、ガルバノ駆動装置25が寿命に至る予測時期が表示器7aに自動的に表示されるため、当該レーザ加工装置のメンテナンスが容易となる。
【0079】
<他の実施形態>
上記各実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
【0080】
・上記第1の実施形態では、第1のガルバノミラー23aの動作の累計回数(カウント値nx)、及び第2のガルバノミラー23bの動作の累計回数(カウント値ny)の両方の値を、ガルバノミラー反転動作累計回数表示部40に表示させるようにしてもよい。また、上記第2の実施形態では、第1のガルバノミラー23aの累計の動作時間、及び第2のガルバノミラー23bの累計の動作時間の両方の値を、ガルバノミラー累計動作時間表示部42に表示させるようにしてもよい。
【0081】
・上記第1の実施形態では、第1のガルバノミラー23aの動作の累計回数(カウント値nx)と、第2のガルバノミラー23bの動作の累計回数(カウント値ny)との和を、ガルバノミラー反転動作累計回数表示部40に表示させるようにしてもよい。また、上記第2の実施形態では、第1のガルバノミラー23aの累計の動作時間と、第2のガルバノミラー23bの累計の動作時間との和を、ガルバノミラー累計動作時間表示部42に表示させるようにしてもよい。
【0082】
・上記第1及び第2の実施形態では、第1のガルバノミラー23aの駆動系及び第2のガルバノミラー23bの駆動系のうちの寿命が短い方のガルバノミラーについてその動作(反転動作)の累計回数あるいは累計時間を、表示部40,42に表示させるようにしてもよい。
【0083】
・上記第1の実施形態では、制御装置26が、操作スイッチが操作されると、その時点におけるガルバノミラーの累計の使用回数とその回数に至るまでに要した期間から累計の使用回数が規定値に達する時期を予測して、その予測時期を表示器7aに表示するようにしてもよい。つまり、操作スイッチを押下した時点を基準として上記(1)式にて寿命予測時期t12を算出して、これを表示器7aに表示するようにしてもよい(更新機能を持たせてもよい)。また、上記第2の実施形態でも、同様に、操作スイッチの押下に基づいて寿命予測時期t12を算出して、これを表示器7aに表示するようにしてもよい。これにより、所望のタイミングにて操作スイッチを操作すれば、ガルバノ駆動装置25が寿命に至る予測時期をいつでも確認することができるため、利便性が向上する。
【0084】
・上記第1の実施形態では、制御装置26が、ガルバノミラーの累計の使用回数から当該使用回数が規定値に達するまでの残りのガルバノミラーの使用回数を算出して、これを表示器7aに表示するようにしてもよい。なおこの場合、制御装置26が残り回数算出手段となる。また、第2の実施形態でも、同様に、ガルバノミラーの累計の動作時間と規定時間との差分の時間を算出して、これを表示器7aに表示してもよい。これにより、表示器7aに表示される回数を見ることで、ガルバノ駆動装置25が寿命に至る、おおよその時期を容易に把握することができる。
【0085】
・上記第1及び第2の実施形態では、ガルバノ駆動装置25の寿命予測時期になったときに、例えばアラームなどにより警告を行うようにしてもよい。これにより、予測時期になったことを認識することができる。なおこの場合、アラームなどが警告手段となる。
【0086】
・上記第1の実施形態では、制御装置26が、第1のガルバノミラー23aの累計の使用回数が規定値に達したか、あるいは第2のガルバノミラー23bの累計の使用回数が規定値に達したか否かを判定して、その判定結果を表示器7aに表示するようにしてもよい。なお、判定結果の表示方法としては、例えば表示器7aにガルバノミラー寿命表示灯を新たに設けた上で、第1のガルバノミラーの累計の使用回数が規定値に達したとき、あるいは第2のガルバノミラーの累計の使用回数が規定値に達したときに、ガルバノミラー寿命表示灯を点灯させるといった方法などを採用することができる。また、上記第2の実施形態でも、同様に、第1のガルバノミラー23aの累計の動作時間が規定時間に達したか、あるいは第2のガルバノミラー23bの累計の動作時間が規定時間に達したかを判定して、その判定結果を表示記7aに表示してもよい。なおこの場合、制御装置26が判定手段となる。
【0087】
・上記第1の実施形態では、制御装置26が、第1のガルバノミラー23aの累計の使用回数が規定値に達したとき、あるいは第2のガルバノミラー23bの累計の使用回数が規定値に達したときに、例えばアラームなどを用いて音により警報を行ってもよい。また、上記第2の実施形態でも、同様に、第1のガルバノミラー23aの累計の動作時間が規定時間に達したとき、あるいは第2のガルバノミラー23bの累計の動作時間が規定時間に達したときに警報を行うようにしてもよい。これにより、ガルバノ駆動装置25が寿命に至ったか否かを容易に認識することができる。
【0088】
・上記第1の実施形態では、制御装置26が、第1のガルバノミラー23aの累計の使用回数、あるいは第2のガルバノミラー23bの累計の使用回数が規定値よりも小さい予め定めた値に達したとき、例えばアラームなどにより警報を行ってもよい。また、上記第2の実施形態でも、同様に、第1のガルバノミラー23aの累計の動作時間、あるいは第2のガルバノミラー23bの累計の動作時間が規定時間よりも短い所定時間に達したとき、警報を行ってもよい。これにより、警報を通じてユーザはガルバノ駆動装置25が寿命に至る直前の状態であることを知ることができるため、ガルバノ駆動装置25の交換部品を予め用意することができる。このため、利便性が向上する。なおこの場合、アラームなどが警報手段となる。
【0089】
・上記第1の実施形態のように、第1のガルバノミラー23aの累計の使用回数及び第2のガルバノミラー23bの累計の使用回数のうちの大きい方の累計の使用回数を表示器7aに表示するようにした場合には、次のような問題が生じるおそれがある。まず、第1のガルバノミラー23aの使用回数の方が多い状況では第2のガルバノミラー23bの使用回数が表示器7aに表示されないため、こうした状況が継続すると、ユーザは第2のガルバノミラー23bの使用回数を確認することができない。よって、例えばレーザ光の下流側に配置された第2のガルバノミラー23bの寿命の方が短い場合には、第2のガルバノミラー23bの使用回数をユーザが確認することができないまま、第2のガルバノミラー23bの駆動系が寿命に至ってしまうおそれがあり、好ましくない。そこで、表示器7aでは、第2のガルバノミラー23bの累計の使用回数を別途表示するようにしてもよい。これにより、レーザ光の下流側に配置したガルバノミラーの寿命の方が短い場合であっても、寿命が短いガルバノミラーの動作の累計回数について容易に認識することができる。また、上記第2の実施形態でも、同様に、第2のガルバノミラー23bの累計の動作時間を表示器7aに表示するようにしてもよい。
【0090】
・ガルバノミラーの駆動系の寿命は、ガルバノミラーの重量が重くなるほど、短くなる傾向がある。そこで、上記各実施形態では、第1及び第2のガルバノミラー23a,23bのうちの重量の重い方の累計の使用回数、あるいは累計の動作時間を表示器7aに表示してもよい。これにより、ガルバノ駆動装置25の寿命をより的確に把握することができる。
【0091】
・ガルバノミラーの累計の使用回数あるいは累計の動作時間を表示するときにその画面内に規定値を同時に表示するようにしてもよい。
・上記第1の実施形態では、表示の切替手段(切替スイッチ)を設けた上で、切替手段(切替スイッチ)を操作することにより、ガルバノミラー反転動作累計回数表示部40に表示される情報を、累計の使用回数、規定値(寿命回数)、及び規定値に達するまでの残り回数のいずれかに選択的に切り替えることができるようにしてもよい。また、上記第2の実施形態でも、これに準じた構成を採用することができる。
【0092】
・上記第1の実施形態では、例えば操作スイッチの操作などを通じて、レーザマーキング装置1の動作モードを、規定値の値を変更することができる第1のモードと、規定値よりも小さい予め定めた値を変更することのできる第2のモードとのいずれかに選択的に切り替えることができるようにしてもよい。また、上記第2の実施形態でも、これに準じた構成を採用することができる。
【0093】
・上記第1の実施形態では、制御装置26が、ガルバノミラー23a,23bの動作を検出するセンサ(ガルバノミラー動作検出手段)によるガルバノミラー動作検出信号に基づいてガルバノミラー23a,23bの動作の累計回数を計数するようにしてもよい。
【0094】
・上記第1の実施形態では、X方向用の第1のガルバノミラー23aの動作(反転動作)の累計回数を計数するとともにY方向用の第2のガルバノミラー23bの動作(反転動作)の累計回数を計数したが、一方のガルバノミラーの動作(反転動作)の累計回数のみを計数してこれを表示器7aに表示するようにしてもよい。また、上記第2の実施形態でも、これに準じた構成を採用することができる。
【0095】
・上記第1の実施形態では、ガルバノミラー23a,23bの反転動作の累計回数を計数したが、これに限ることなく、他にも例えばガルバノミラー23a,23bが少しでも回動したらその数をカウントしてもよい。
【0096】
・このようなレーザマーキング装置では、一般に、上記マーキング情報に基づく第1及び第2のガルバノモータ34,35の駆動制御が次のように行われる。まず、制御装置26は、マーキング情報のうち、文字等を構成する各線分の始点及び終点の座標データを不揮発性メモリ26aから読み込むと、各線分を始点から終点までの間で更に細かく分解して、始点から終点に至るまでの軌跡上の複数の座標を求める。そして、求めた複数の座標データをガルバノ駆動装置25に所定の時間間隔で順次送信することで、第1及び第2のガルバノミラー23a,23bの回転角度を徐々に変化させ、レーザ光Lを始点から終点まで移動させるようにしている。そこで、上記第2の実施形態では、制御装置26が、始点に対応する座標データをガルバノ駆動装置25に送信した時点から、終点に対応する座標データをガルバノ駆動装置25に送信した時点までの経過時間を計測し、この計測された経過時間を第1及び第2のガルバノミラー23a,23bの動作時間としてもよい。これにより、第1及び第2のガルバノミラー23a,23bの動作時間を計測するにあたり、上述した回転角度センサ50,51などを省略することができるため、構造の簡素化を図ることができる。
【0097】
・上記各実施形態では、本発明にかかるレーザ加工装置を、レーザマーキング装置に具体化したが、これに限定されるものではなく、他のレーザ加工装置、例えばレーザ溶接機、レーザ穴あけ機、レーザ切断機等に具体化してもよい。
【符号の説明】
【0098】
1…レーザマーキング装置、7a…表示器、20…レーザ光源、23a…第1のガルバノミラー、23b…第2のガルバノミラー、26…制御装置、34…第1のガルバノモータ、35…第2のガルバノモータ、40…ガルバノミラー反転動作累計回数表示部、41…メンテナンス時期表示部、L…レーザ光、W…加工対象物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸を中心として回動可能なガルバノミラーを回動させて、光源から出力されたレーザ光を走査しつつ加工対象物に照射して加工するレーザ加工装置であって、
前記ガルバノミラーの累計の使用回数および動作時間の少なくとも一方を計数する計数手段と、
前記計数手段による前記累計の使用回数および動作時間の少なくとも一方を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶した前記累計の使用回数および動作時間の少なくとも一方に基づいて前記ガルバノミラーの寿命に関する情報を表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
第1の軸に中心として回動可能な第1のガルバノミラーおよび前記第1の軸に直交する第2の軸を中心として回動可能な第2のガルバノミラーを有し、
前記計数手段は、前記第1のガルバノミラーの累計の使用回数および前記第2のガルバノミラーの累計の使用回数を計数し、前記表示手段は、前記第1のガルバノミラーの累計の使用回数および第2のガルバノミラーの累計の使用回数のうちの大きい方の累計の使用回数を表示することを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
前記表示手段は、前記第1のガルバノミラーおよび第2のガルバノミラーのうちの前記レーザ光の下流側に配置したガルバノミラーの累計の使用回数を表示することを特徴とする請求項2に記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
前記計数手段による前記ガルバノミラーの累計の使用回数とその回数に至るに要した期間から前記累計の使用回数が規定値に達する時期を予測して前記表示手段に表示する予測手段を更に備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項5】
前記予測手段は、使用を開始してから規定の期間が経過したときに、その時点における前記計数手段による前記ガルバノミラーの累計の使用回数と前記規定の時期から前記累計の使用回数が規定値に達する時期を予測し、前記表示手段に表示することを特徴とする請求項4に記載のレーザ加工装置。
【請求項6】
前記予測手段は、操作スイッチが操作されると、その時点における前記計数手段による前記ガルバノミラーの累計の使用回数とその回数に至るに要した期間から前記累計の使用回数が規定値に達する時期を予測し、前記表示手段に表示することを特徴とする請求項4に記載のレーザ加工装置。
【請求項7】
前記計数手段による前記ガルバノミラーの累計の使用回数から当該使用回数が規定値に達するまでの残りの前記ガルバノミラーの回数を算出して前記表示手段に表示する残り回数算出手段を更に備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項8】
前記予測手段による前記規定値に達する時期になったら警告する警告手段を更に備えたことを特徴とする請求項4に記載のレーザ加工装置。
【請求項9】
前記計数手段による前記ガルバノミラーの累計の使用回数が規定値に達したか否か判定して判定結果を前記表示手段に表示する判定手段を更に備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項10】
前記判定手段による判定結果に基づいて警報する警報手段を更に備えたことを特徴とする請求項9に記載のレーザ加工装置。
【請求項11】
前記判定手段は、前記計数手段による前記ガルバノミラーの累計の使用回数が規定値に達する前の予め定めた値に達したか否か判定し、当該判定結果に基づいて警報するようにしたことを特徴とする請求項9に記載のレーザ加工装置。
【請求項12】
前記ガルバノミラーの回動位置を検出する位置検出手段を更に備え、前記計数手段は、前記位置検出手段を通じて検出される前記ガルバノミラーの回動位置が変化している時間を計測し、計測された時間を前記ガルバノミラーの動作時間とすることを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項13】
前記ガルバノミラーを所定の座標系内で回動させる駆動手段と、前記座標系内に設定された始点から終点に至るまでの軌跡上の複数の座標を示す座標データを前記駆動手段に順次送信することで前記ガルバノミラーを前記始点から前記終点まで回動させる制御手段とを備え、前記計数手段は、前記制御手段が前記始点に対応する座標データを前記駆動手段に送信した時点から前記終点に対応する座標データを前記駆動手段に送信した時点までの経過時間を計測し、計測された経過時間を前記ガルバノミラーの動作時間とすることを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項14】
前記軸が、互いに直交する第1の軸及び第2の軸からなるとともに、前記ガルバノミラーが、前記第1の軸を中心として回動可能な第1のガルバノミラー及び前記第2の軸を中心として回動可能な第2のガルバノミラーとからなり、
前記計数手段は、前記第1のガルバノミラーの累計の動作時間及び前記第2のガルバノミラーの累計の動作時間をそれぞれ計数し、前記表示手段は、前記第1のガルバノミラーの累計の動作時間及び前記第2のガルバノミラーの累計の動作時間のうちの長い方の累計の動作時間を表示することを特徴とする請求項12又は13に記載のレーザ加工装置。
【請求項15】
前記表示手段は、前記第1のガルバノミラー及び前記第2のガルバノミラーのうちの前記レーザ光の下流側に配置されたガルバノミラーの累計の動作時間を更に表示することを特徴とする請求項14に記載のレーザ加工装置。
【請求項16】
前記ガルバノミラーの駆動系の寿命を示す動作時間を規定時間とするとき、前記表示手段は、前記計数手段により計数される前記ガルバノミラーの累計の動作時間と前記規定時間との差分の時間を更に表示することを特徴とする請求項12〜15のいずれか一項に記載のレーザ加工装置。
【請求項17】
当該レーザ加工装置の駆動が開始されてから所定の期間が経過したとき、その時点において前記計数手段により計数されている前記ガルバノミラーの累計の動作時間と前記所定の期間とから前記ガルバノミラーの累計の動作時間が前記規定時間に達する時期を予測し、予測された時期を前記表示手段に表示する予測手段を更に備えたことを特徴とする請求項16に記載のレーザ加工装置。
【請求項18】
操作スイッチが操作されると、その時点において前記計数手段により計数されている前記ガルバノミラーの累計の動作時間とその動作時間に至るまでに要した期間とから前記ガルバノミラーの累計の動作時間が前記規定時間に達する時期を予測し、予測された時期を前記表示手段に表示する予測手段を更に備えたことを特徴とする請求項16に記載のレーザ加工装置。
【請求項19】
前記予測手段により予測される前記規定時間に達する予測時期になったときに警告を行う警告手段を更に備えたことを特徴とする請求項17又は18に記載のレーザ加工装置。
【請求項20】
前記ガルバノミラーの駆動系の寿命を示す動作時間を規定時間とするとき、前記計数手段により計測される前記ガルバノミラーの累計の動作時間が前記規定時間に達したか否かを判定して、当該判定結果を前記表示手段に表示する判定手段を更に備えたことを特徴とする請求項12〜15のいずれか一項に記載のレーザ加工装置。
【請求項21】
前記判定手段による前記判定結果に基づいて警報を行う警報手段を更に備えたことを特徴とする請求項20に記載のレーザ加工装置。
【請求項22】
前記判定手段は、前記計数手段によって計数される前記ガルバノミラーの累計の動作時間が前記規定時間よりも短い所定時間に達したか否かを判定し、当該判定結果に基づいて前記警報手段による警報を更に行うようにしたことを特徴とする請求項21に記載のレーザ加工装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−91224(P2012−91224A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79994(P2011−79994)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000106221)パナソニック電工SUNX株式会社 (578)
【Fターム(参考)】