説明

レーザ加工装置

【課題】容易にレーザ光の広がり角を調整可能なレーザ加工装置を提供する。
【解決手段】ヘッドコネクタ13には、拡散レンズ18とコリメートレンズ23(集束レンズ)との離間距離を調整することによりレーザ光Lの広がり角を調整する広がり角調整機構50と、外部から操作可能な操作部52と、この操作部52の操作に応じて広がり角調整機構50に操作量を伝達する駆動伝達部51とを備える。操作部52は、レーザヘッド14とヘッドコネクタ13とが組み付けられた状態で操作可能に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光を加工対象物に照射して加工を行うレーザ加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のレーザ加工装置は、レーザ光を発振するレーザ発振器を収容したレーザ出射ユニットと、該レーザ出射ユニットからのレーザ光を加工対象物に照射するためのレーザヘッド及び走査ユニットとが光ファイバケーブルで接続されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなレーザ加工装置では、レーザヘッドと走査ユニットとが一体に形成され、そのレーザヘッド及び走査ユニットとレーザ出射ユニットとは独立した筐体で形成されている。そして、レーザ出射ユニットから出力されるレーザ光が光ファイバケーブルを介してレーザヘッドに供給される。
【0004】
また、レーザヘッド及び走査ユニットのメンテナンス時に、光ファイバケーブルをレーザヘッドから取り外すことにより、レーザヘッド及び走査ユニットを容易に交換可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−351516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のようなレーザ加工装置では、レーザヘッドの光学系にばらつきがある。このため、レーザヘッドに対する光ファイバケーブルの取付精度を確保できない場合には、レーザヘッドに供給されるレーザ光の光軸のずれが加工対象物の加工品質に大きく影響する。
【0007】
すると、レーザヘッド及び走査ユニットの交換時や使用者の要望により、出力されるレーザ光の広がり角などをレーザヘッド内のビームエキスパンダで調整する必要性が生じる場合がある。しかしながら、従来のレーザ加工装置では使用者自らが広がり角を調整するといったことが考慮されておらず、利便性の面で更なる向上が望まれている。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、容易にレーザ光の広がり角を調整可能なレーザ加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、レーザ光を発生するレーザ発生手段を備えたレーザ出射ユニットと、前記レーザ出射ユニットから出力されるレーザ光を加工対象物に照射するガルバノスキャナを有するレーザヘッドと、前記レーザ出射ユニットから前記レーザヘッドにレーザ光を伝送する光ファイバケーブルに設けられて前記レーザヘッドに対して着脱可能に構成されるヘッドコネクタとを備え、前記ヘッドコネクタ及び前記レーザヘッドに、これらヘッドコネクタとレーザヘッドとを接続する接続部を設け、ヘッドコネクタ側の接続部を凸状とするとともに、レーザヘッド側の接続部を凹状とし、少なくとも前記光ファイバケーブルから出射されるレーザ光を拡散させる拡散レンズと、前記拡散レンズから出射されるレーザ光を平行光に集束させる集束レンズとを備えたビームエキスパンダを前記ヘッドコネクタに収納し、前記拡散レンズと前記集束レンズとの離間距離を調整可能としたレーザ加工装置において、前記ヘッドコネクタには、前記拡散レンズと前記集束レンズとの離間距離を調整することにより前記レーザ光の広がり角を調整する広がり角調整手段と、外部から操作可能な操作部と、該操作部の操作に応じて前記広がり角調整手段に操作量を伝達する伝達手段とを備え、前記操作部は、前記レーザヘッドと前記ヘッドコネクタとが組み付けられた状態で操作可能に構成されたことをその要旨とする。
【0010】
この発明では、ヘッドコネクタには、拡散レンズと集束レンズとの離間距離を調整することによりレーザ光の広がり角を調整する広がり角調整手段と、外部から操作可能な操作部と、この操作部の操作に応じて広がり角調整手段に操作量を伝達する伝達手段とを備える。操作部は、レーザヘッドとヘッドコネクタとが組み付けられた状態で操作可能に構成される。このため、使用者がヘッドコネクタの外側(外部)から操作部によって拡散レンズと集束レンズとの離間距離を調整することが可能となり、容易にこれらの距離を調整してレーザ光の広がり角を調整することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のレーザ加工装置において、前記拡散レンズと前記集束レンズとの間には、前記集束レンズから出射される前記レーザ光のビーム径を設定する少なくとも1枚以上の調整レンズの光軸方向の位置を調整するビーム径調整手段を備えたことをその要旨とする。
【0012】
この発明では、拡散レンズと前記集束レンズとの間には、前記集束レンズから出射される前記レーザ光のビーム径を設定する少なくとも1枚以上の調整レンズの光軸方向の位置を調整するビーム径調整手段を備える。このように少なくとも1枚以上の調整レンズの光軸方向の位置を調整するビーム径調整手段を備えることでレーザ発生手段からのレーザ光のビーム径のばらつきを抑えることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のレーザ加工装置において、外部から前記ビーム径調整手段を介して前記調整レンズの光軸方向の位置を調整可能なビーム径調整用操作部を備え、前記ビーム径調整用操作部は、前記レーザヘッドと前記ヘッドコネクタとが組み付けられた状態で操作可能に構成されたことをその要旨とする。
【0014】
この発明では、外部からビーム径調整手段を介して調整レンズの光軸方向の位置を調整可能なビーム径調整用操作部を備え、レーザヘッドとヘッドコネクタとが組み付けられた状態でこのビーム径調整用操作部が操作可能に構成される。このため、使用者がヘッドコネクタの外側(外部)からビーム径調整用操作部によって調整レンズの光軸方向の位置を調整することが可能となり、容易に位置調整してレーザ光のビーム径を調整することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のレーザ加工装置において、前記操作部の操作量に基づく前記広がり角の調整情報及び前記レーザ光のビーム径の情報の少なくとも一方を表示する表示部を備えたことをその要旨とする。
【0016】
この発明では、操作部の操作量に基づく前記広がり角の調整情報及びレーザ光のビーム径の情報の少なくとも一方を表示する表示部を備えるため、使用者に対して広がり角の情報及びビーム径の情報の少なくとも一方を表示して報知することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のレーザ加工装置において、前記表示部は、前記ヘッドコネクタに設けられたことをその要旨とする。
この発明では、表示部を操作部等が設けられるヘッドコネクタに設けることで、操作部を操作しながら表示部を見ることができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のレーザ加工装置において、前記ヘッドコネクタには、前記操作部を隠蔽するカバー部を備え、前記カバー部は、外部から着脱可能に構成されたことをその要旨とする。
【0019】
この発明では、ヘッドコネクタには、操作部を隠蔽するカバー部を備え、カバー部は、外部から着脱可能に構成される。これにより、カバー部にて操作部を隠蔽することができるため、使用者が不用意に操作部に触れることを防止でき、広がり角が使用者の意向に反して変更されることを防止できる。
【発明の効果】
【0020】
従って、上記記載の発明によれば、容易にレーザ光の広がり角を調整可能なレーザ加工装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】一実施形態のレーザ加工装置の概要図である。
【図2】ヘッドコネクタの斜視図である。
【図3】レーザヘッドの斜視図である。
【図4】ヘッドコネクタをレーザヘッドに取着した状態を示す斜視図である。
【図5】操作部について説明するためのヘッドコネクタの斜視図である。
【図6】操作部と伝達部について説明するための説明図である。
【図7】操作部と伝達部について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示す本実施形態のレーザマーキング装置(レーザ加工装置)11は、レーザ出射ユニット12から出力されるレーザ光をヘッドコネクタ13を介してレーザヘッド14に伝送し、レーザヘッド14でレーザ光により加工対象物Wを加工するものである。
【0023】
レーザ出射ユニット12内には、装置全体の稼働状態を制御する制御部15とレーザ光Lを発振するレーザ発振部(レーザ発振器)16とが収容されている。制御部15は、レーザ発振部16と電気的に接続されるとともに、レーザ発振部16の駆動を制御する。
【0024】
レーザ出射ユニット12は、光ファイバケーブル17を介してヘッドコネクタ13に接続されている。前記ヘッドコネクタ13内には、光ファイバケーブル17の先端から出射されるレーザ光Lを拡散させるための拡散レンズ18と、この拡散レンズ18によって拡散されたレーザ光Lを所要の出射径(スポット径)を持つ平行光にするためのコリメートレンズ23とが配置されている。本実施形態では、拡散レンズ18と集束レンズとしてのコリメートレンズ23とによりビームエキスパンダが構成されている。
【0025】
そして、ビームエキスパンダにより、レーザ発振部16から発振されるレーザ光Lは、ヘッドコネクタ13から所要の平行光として出射されるようにあらかじめ調整されている。
【0026】
図1に示すように、前記ビームエキスパンダは、前記拡散レンズ18とコリメートレンズ23との離間距離(相対的距離)を調整することによりレーザ光の広がり角を調整可能である。また、拡散レンズ18とコリメートレンズ23との間に複数枚(図1では2枚)の調整レンズ45が介在され、各レンズ45の離間距離(光軸方向の位置)の調整により、ビーム径(出射径、平行光の幅)を調整し、よってビームエキスパンダの焦点距離におけるスポット径のサイズを一定に調整される。
【0027】
図1及び図2に示すように、ヘッドコネクタ13の先端部には同ヘッドコネクタ13を前記レーザヘッド14に着脱可能に嵌合する第1接続部19が設けられている。前記第1接続部19の中央部には、レーザ光Lの光軸方向に沿って突出する円筒状の突出部20が突出長さAで突出され、その突出部20の先端の開口部21は円板状の保護ガラス22に
よって閉塞されている。前記突出部20内に前記コリメートレンズ23が配設されている。
【0028】
前記ヘッドコネクタ13の第1接続部19の周囲には、四角枠状の第1接触面24が形成され、その第1接触面24の四隅部分には、ヘッドコネクタ13をレーザヘッド14に固定するための固定ねじ25が挿通孔26にそれぞれ挿通されている。また、第1接触面24の上部において、前記固定ねじ25間には前方に向かって突出する一対の位置決めピン27が設けられている。また、前記ヘッドコネクタ13の下面には、溝状の凹部28が設けられている。
【0029】
図1及び図3に示すように、前記レーザヘッド14の前記ヘッドコネクタ13との接続面である第2接続部29には、前記ヘッドコネクタ13の突出部20を収容可能とした円筒状の収容部30が設けられている。
【0030】
前記収容部30の奥部31とレーザヘッド14の内部とは円板状の保護ガラス32によって仕切られている。そして、突出部20を収容部30に収容した状態では、突出部20の保護ガラス22と収容部30の保護ガラス32とが近接して対向するようになっている。
【0031】
図1及び図3に示すように、前記レーザヘッド14の第2接続部29には前記ヘッドコネクタ13の第1接触面24と接触する第2接触面33が形成されている。前記第2接触面33には前記ヘッドコネクタ13の固定ねじ25を螺合可能としたねじ孔34と、位置決めピン27を嵌合可能とした位置決め孔35が形成されている。
【0032】
また、各位置決め孔35のうち、図3において左側に位置する位置決め孔35は左右方向に長い長孔によって構成されているため、嵌入された位置決めピン27の左右方向の若干の移動を許容するようになっている。なお、本実施形態では、各位置決めピン27及び各位置決め孔35により、ヘッドコネクタ13とレーザヘッド14とをレーザ光Lの光軸と直交する方向に位置決めする位置決め手段が構成されている。
【0033】
前記第2接触面33の各位置決め孔35のうち、右側の位置決め孔35とねじ孔34との間には、接続状態検出手段としての近接センサ36が該第2接触面33と面一となるように設けられている。前記近接センサ36は、レーザヘッド14に対するヘッドコネクタ13の接続状態を検出する。
【0034】
前記レーザヘッド14の第2接触面33の上側には、前記制御部15から延設される電気ケーブル37を着脱自在に接続可能とした接続端子部38が設けられている。
前記接続端子部38は、前記近接センサ36と、前記レーザヘッド14内に配設されるガルバノモータ39と電気的に接続されている。従って、前記制御部15は電気ケーブル37及び接続端子部38を介して近接センサ36及びガルバノモータ39と電気的に接続されている。そして、制御部15は、近接センサ36から送信される検出信号に基づいてレーザヘッド14に対するヘッドコネクタ13の接続状態に異常があると判断した場合にレーザ発振部16の駆動を停止するとともに、ガルバノモータ39の駆動を制御する。
【0035】
前記レーザヘッド14内には、前記ヘッドコネクタ13から保護ガラス32を経て入射されるレーザ光Lを下方、すなわち加工対象物Wに向かって反射させる一対のガルバノミラー40が配置されている。
【0036】
各ガルバノミラー40は、ガルバノモータ39によってそれぞれ回動されるようになっている。そして、各ガルバノミラー40の回動により、加工対象物Wに照射されるレーザ
光LがX−Y方向(2次元方向)に走査されるようになっている。
【0037】
前記ガルバノミラー40の下方には、ガルバノミラー40によって反射されたレーザ光Lを加工対象物Wの表面において所定のスポット径となるまで収束させてマーキング加工に適したエネルギー密度まで高めるためのfθレンズ(収束レンズ)41が設けられている。
【0038】
前記fθレンズ41の下方には、保護ガラス43で仕切られた開口部42が形成されている。そして、前記fθレンズ41で収束されたレーザ光Lが保護ガラス43を経て加工対象物Wの表面に沿って2次元走査される。このような動作により、加工対象物Wの表面に文字や図形などがマーキング(印字)される。
【0039】
本実施形態では、保護ガラス32、各ガルバノミラー40、fθレンズ41及び保護ガラス43によって、ヘッドコネクタ13から出射されるレーザ光Lを加工対象物Wに照射する照射光学系が構成されている。
【0040】
前記レーザヘッド14の第2接続部29の下縁部(第2接触面33よりも下側)には直方体状の凸部44が設けられ、前記ヘッドコネクタ13の凹部28に嵌合可能となっている。また、凹部28に凸部44を嵌合した状態で、ヘッドコネクタ13をレーザヘッド14に対し図1において左右方向に摺動可能となっている。
【0041】
また、凸部44の突出長さBは、ヘッドコネクタ13の前記突出部20の突出長さAよりも長くなるように設定されている。なお、凹部28の前後方向の長さは、凸部44の突出長さBよりも若干長くなるように設定されている。凸部44は、各ヘッドコネクタ13とレーザヘッド14の第1及び第2接触面24,33が接触するまで移動させると、凸部44の全てが凹部28内に収められるように構成される(図4参照)。
【0042】
次に、本実施形態の上記構成のレーザマーキング装置11に備えられる操作部52によるレーザ光の広がり角調整について主に図1、図6及び図7を用いて説明する。
本実施形態のレーザマーキング装置11のヘッドコネクタ13には、拡散レンズ18とコリメートレンズ23(集束レンズ)との離間距離を調整することによりレーザ光Lの広がり角を調整する広がり角調整機構50と、この広がり角調整機構50を駆動伝達部51を介して操作可能な操作部52とを備える。また、ヘッドコネクタ13は、この操作部52の操作量に基づく広がり角の調整情報を表示する表示部53を備える。
【0043】
操作部52は、ヘッドコネクタ13の側面13aに設けられ、非調整時にはカバー部55が2つのねじ56によって固定されることで隠蔽状態とされ、このカバー部55を取り外すことで操作部52が外部に露出されるようになっている(図5参照)。操作部52は、図7に示すように回転軸60に組み付けられて回転軸60と一体回転可能に構成される。そして、操作部52は、一方向に凹状をなす凹部52aを備え、この凹部52aに例えばマイナスドライバー等を嵌合させて凹部52a(操作部52)を回転軸60を中心として回動可能に構成される。
【0044】
操作部52の操作に応じた操作量を広がり角調整機構50に伝達させる駆動伝達部51は、複数の歯車が噛合されて構成される。駆動伝達部51は、前記操作部52が組み付けられる回転軸60に組み付けられて同回転軸60と一体回転されるかさ歯車51aを備える。このかさ歯車51aは、前記回転軸60と直交する方向に延びる回転軸61と一体回転可能に組み付けられるかさ歯車51bと噛合される。このかさ歯車51bは前記回転軸61の基端側に組み付けられ、同回転軸61の先端側には回転軸61と一体回転する平歯車51cが組み付けられる。この平歯車51cは、前記突出部20の基端側に形成される歯車51dと噛合され、この歯車51dが回動されることで、広がり角調整機構50が駆動して拡散レンズ18とコリメートレンズ23との離間距離を変更可能とされる。
【0045】
また、本実施形態のレーザマーキング装置11では、操作部52の操作量に基づいて広がり角の調整情報を表示する表示部53を備える。この表示部53は、ヘッドコネクタ13の側面13aに備えられ、前記操作部52の操作量(回動量)によって広がり角に関する調整情報を表示するようになっている。
【0046】
また、操作部52の操作量の検出方法としては、ロータリエンコーダ70によって回転角度を検出することで、操作部52の操作量の検出することが可能となっている。詳しくは、例えば前記かさ歯車51aと一体成形されて一体回転する平歯車55aと噛合されるとともに前記回転軸60と同方向に延びる回転軸62に一体回転可能に組み付けられる平歯車55bを備える。そして、前記回転軸62に一体回転可能に組み付けられる平歯車55cが平歯車55dと噛合され、この平歯車55dがロータリエンコーダ70によってその回転角度が検出される。ロータリエンコーダ70は前記表示部53と電気的に接続されて、ロータリエンコーダ70によって検出された回転角度情報(調整情報)が表示部53に出力される。このとき、ロータリエンコーダ70からの回転角度情報はそのままの情報を表示部53に出力しているが、その回転角度情報から広がり角度に変換して出力したり、拡散レンズと集束レンズとの離間距離に変換して出力したりしてもよい。
【0047】
次に、上記構成のレーザマーキング装置11の動作例(作用)について説明する。
本実施形態のレーザマーキング装置11では、制御部15によってレーザ発振部16が駆動されると、レーザ出射ユニット12から光ファイバケーブル17を介してヘッドコネクタ13側にレーザ光が出力される。このレーザ光は拡散レンズ18及びコリメートレンズ23からなるビームエキスパンダによってレーザ光の広がり角が調整される。このとき、例えば操作部52を使用者が操作することで拡散レンズ18及びコリメートレンズ23の離間距離が伝達部51及び広がり角調整機構50によって調整されることで、所望の広がり角のレーザ光とされる。また複数の調整レンズ45が備えられて、レーザ発振部16(レーザ出射ユニット12)からのレーザ光のビーム径のばらつきが抑えられて所定のビーム径とされる。
【0048】
ビームエキスパンダ及び調整レンズ45によって調整されたレーザ光Lは、ガルバノミラー40によって2方向に走査されて加工対象物Wの表面上を走査することにより所望のマーキングが行われる。
【0049】
次に、上記構成のレーザマーキング装置11の効果について説明する。
(1)ヘッドコネクタ13には、拡散レンズ18とコリメートレンズ23(集束レンズ)との離間距離を調整することによりレーザ光Lの広がり角を調整する広がり角調整機構50と、外部から操作可能な操作部52と、この操作部52の操作に応じて広がり角調整機構50に操作量を伝達する駆動伝達部51とを備える。操作部52は、レーザヘッド14とヘッドコネクタ13とが組み付けられた状態で操作可能に構成される。このため、使用者がヘッドコネクタ13の外側(外部)から操作部によって拡散レンズ18とコリメートレンズ23(集束レンズ)との離間距離を調整することが可能となり、容易にこれらの距離を調整してレーザ光のL広がり角を調整することができる。
【0050】
(2)拡散レンズ18とコリメートレンズ23(集束レンズ)との間には、コリメートレンズ23から出射される前記レーザ光Lのビーム径を設定する2枚の調整レンズ45を備え、この調整レンズ45の光軸方向の位置が調整される。このように調整レンズ45の光軸方向の位置が調整されることでレーザ発振部16からのレーザ光のビーム径のばらつきを抑えることができる。
【0051】
(3)操作部52の操作量に基づく広がり角の調整情報を表示する表示部53を備えるため、使用者に対して広がり角の情報を表示して報知することができる。
(4)表示部53を操作部52等が設けられるヘッドコネクタ13に設けることで、使用者が操作部52を操作しながら表示部53を見ることができる。
【0052】
(5)ヘッドコネクタ13には、操作部52を隠蔽するカバー部55を備え、カバー部55は、外部から着脱可能に構成される。これにより、カバー部55にて操作部52を隠蔽することができるため、使用者が不用意に操作部に触れることを防止でき、広がり角が使用者の意向に反して変更されることを防止できる。
【0053】
(6)ヘッドコネクタ13をレーザヘッド14に取着する際に、突出部20が収容部30内に入り込むため、接続状態にあるヘッドコネクタ13及びレーザヘッド14の全長を短くして、レーザマーキング装置11の小型化を図ることができる。
【0054】
(7)ヘッドコネクタ13に突出部20を設け、レーザヘッド14に収容部30を設けたので、突出部20を収容部30に嵌合すると、ヘッドコネクタ13を取着したレーザヘッド14の外形寸法を、ヘッドコネクタ13から出射されるレーザ光の光軸方向に縮小することができる。光ファイバケーブル17から出射されるレーザ光を平行光とするために必要とする拡散レンズ18とコリメートレンズ23との距離を突出部20で確保することができる。
【0055】
(8)ヘッドコネクタ13は、レーザ出射ユニット12に収容されたレーザ発振部16から光ファイバケーブル17を介して伝送されるレーザ光Lを出射するように構成されている。すなわち、ヘッドコネクタ13内にレーザ発振部16が配置されていないため、ヘッドコネクタ13の小型化を図ることができる。
【0056】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、表示部53にレーザ光の広がり角の調整情報を表示する構成としたが、これに加えて、レーザ光Lのビーム径の情報を表示してもよい。また、レーザ光Lのビーム径の情報のみを表示する構成を採用してもよい。
【0057】
・上記実施形態では、表示部53の位置はヘッドコネクタ13に限らず、適宜変更してもよい。また、表示部53を設ける構成としたが、この表示部53を省略した構成を採用してもよい。
【0058】
・上記実施形態では、ビーム径調整手段を構成する調整レンズ45を2枚設ける構成としたが、これに限らず、1枚や3枚以上設ける構成を採用してもよい。
・上記実施形態では、伝達手段としての駆動伝達部51を複数の歯車で構成したが、ベルトやチェーン等の他の伝達機構を単体又は組み合わせて伝達手段として構成してもよい。
【0059】
・上記実施形態では、特に言及していないが、駆動伝達部51を構成する各歯車51a,51b,51c,51dの減速比を調整してもよい。このように各歯車51a,51b,51c,51dの減速比を調整することで操作部52の操作量に対するレーザ光Lの広がり角の変化量を変更することが可能となる。
【0060】
・上記実施形態では、ロータリエンコーダ70により、所定の歯車(上記実施形態では、平歯車55d)の回転角度を検出することで、操作部52の操作量の検出する構成としたが、操作部52の操作量やこの操作に基づく広がり角の情報の算出等はその他の計測機器にて算出してもよい。
【0061】
・上記実施形態では、操作部52を隠蔽状態とするカバー部55を備えたが、このカバー部55を省略し、操作部52を常時外部に露出するような構成を採用してもよい。
・上記実施形態では、操作部52を設ける構成としたが、これに加えて外部からビーム径調整手段を構成する調整レンズ45の光軸方向の位置を調整可能なビーム径調整用操作部を備える構成を採用してもよい。このとき、ビーム径調整用操作部は、レーザヘッド14とヘッドコネクタ13とが組み付けられた状態で操作可能に構成されることが好ましい。このような構成とすることで、使用者がヘッドコネクタ13の外側(外部)からビーム径調整用操作部によって調整レンズ45の光軸方向の位置を調整することが可能となり、容易に位置調整してレーザ光のビーム径を調整することができる。
【0062】
・レーザ発振部16の出射部に上記ビームエキスパンダを備えたヘッドコネクタを一体に形成してもよい。このような構成により、レーザマーキング装置の全長を短縮することができる。
【0063】
・レーザマーキング装置以外の、レーザ光を加工対象物に照射して加工(例えば、切断加工など)を施すレーザ加工装置に具体化してもよい。
【符号の説明】
【0064】
11…レーザマーキング装置(レーザ加工装置)、12…レーザ出射ユニット、13…ヘッドコネクタ、14…レーザヘッド、16…レーザ発振部(レーザ発生手段)、17…光ファイバケーブル、18…拡散レンズ、45…調整レンズ(ビーム径調整手段)、50…広がり角調整機構(広がり角調整手段)、51…駆動伝達部(伝達手段)、52…操作部、53…表示部、55…カバー部、L…レーザ光、W…加工対象物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を発生するレーザ発生手段を備えたレーザ出射ユニットと、
前記レーザ出射ユニットから出力されるレーザ光を加工対象物に照射するガルバノスキャナを有するレーザヘッドと、
前記レーザ出射ユニットから前記レーザヘッドにレーザ光を伝送する光ファイバケーブルに設けられて前記レーザヘッドに対して着脱可能に構成されるヘッドコネクタと
を備え、
前記ヘッドコネクタ及び前記レーザヘッドに、これらヘッドコネクタとレーザヘッドとを接続する接続部を設け、ヘッドコネクタ側の接続部を凸状とするとともに、レーザヘッド側の接続部を凹状とし、
少なくとも前記光ファイバケーブルから出射されるレーザ光を拡散させる拡散レンズと、前記拡散レンズから出射されるレーザ光を平行光に集束させる集束レンズとを備えたビームエキスパンダを前記ヘッドコネクタに収納し、
前記拡散レンズと前記集束レンズとの離間距離を調整可能としたレーザ加工装置において、
前記ヘッドコネクタには、前記拡散レンズと前記集束レンズとの離間距離を調整することにより前記レーザ光の広がり角を調整する広がり角調整手段と、外部から操作可能な操作部と、該操作部の操作に応じて前記広がり角調整手段に操作量を伝達する伝達手段とを備え、
前記操作部は、前記レーザヘッドと前記ヘッドコネクタとが組み付けられた状態で操作可能に構成されたことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ加工装置において、
前記拡散レンズと前記集束レンズとの間には、前記集束レンズから出射される前記レーザ光のビーム径を設定する少なくとも1枚以上の調整レンズの光軸方向の位置を調整するビーム径調整手段を備えたことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項3】
請求項2に記載のレーザ加工装置において、
外部から前記ビーム径調整手段を介して前記調整レンズの光軸方向の位置を調整可能なビーム径調整用操作部を備え、
前記ビーム径調整用操作部は、前記レーザヘッドと前記ヘッドコネクタとが組み付けられた状態で操作可能に構成されたことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のレーザ加工装置において、
前記操作部の操作量に基づく前記広がり角の調整情報及び前記レーザ光のビーム径の情報の少なくとも一方を表示する表示部を備えたことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項5】
請求項4に記載のレーザ加工装置において、
前記表示部は、前記ヘッドコネクタに設けられたことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のレーザ加工装置において、
前記ヘッドコネクタには、前記操作部を隠蔽するカバー部を備え、
前記カバー部は、外部から着脱可能に構成されたことを特徴とするレーザ加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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