説明

レーザ装置

【課題】レーザ出力再開後、最初に設定した時間の残り時間の確認ができるレーザ装置を提供する。
【解決手段】非常時に装置を緊急停止する非常停止スイッチ1、装置の始動/停止を行う鍵スイッチ2、レーザ出力表示部3、タイム表示部8、パルス時間表示部10等表示する操作パネルを設ける。タイム表示部8は装置操作者が出力信号入力手段からの入力を中断した場合停止するとともにその時点での表示を続け、入力再開後はその表示値からカウントダウンを再開するようにし、初期設定時のレーザ照射時間を容易に確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は操作者によるレーザ出力開始からの時間をカウントダウン表示するタイム表示部を備え、またレーザ出力パターンのレーザ出力設定切り替えスイッチがパターン選択中の出力条件を記憶させるメモリ機能を兼ね備えるレーザ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、レーザ装置はあらゆる分野で技術活用され発展しているが、特に、医療の分野でも日進月歩で応用化されその真価を発揮しつつある。なかでも歯科治療においても応用が進み、例えば炭酸ガスレーザなどのレーザ発振器を備えたレーザ治療器は診療現場で用いられている。
【0003】
従来の歯科用で用いられるレーザ装置の一例としては特許文献1で示すものがあり、特許文献1におけるレーザ装置は、図7に示すようにレーザヘッド部104、光学部103を装置本体105に内蔵し、操作者がフットスイッチ101を踏み込むことによりその期間ハンドピース106から被出力対象(図示せず)にレーザが出力されるようにしている。そして特許文献1におけるレーザ装置は図8で示すようにタイム表示部36を備えており、装置のトータルのレーザ出力時間が表示されるようになっている。また特許文献1にはタイマー設定スイッチ37が設けられ、出力スイッチすなわちフットスイッチ101がオンの状態である間、設定された期間レーザが出力されるようにすることが示されている。
【特許文献1】特開2000−51230号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上記した従来のレーザ装置におけるタイム表示部36はトータル時間が表示されることは示されているが、タイマ設定スイッチ37で設定した時間の表示については特に示されていない。
【0005】
レーザ装置の機能として、設定した時間のみレーザを出力するようにする用途は装置操作者には有用な機能である。この機能は装置操作者がレーザ出力を停止させる時間を気にすることなく、設定した時間がきたら出力スイッチすなわちフットスイッチを踏み込み続けてもレーザ出力が自動的に停止するので、作業に専念できるからである。
【0006】
しかしその操作は必ずしも連続しているわけではなく、途中で出力を中断する場合もある。そして再開後は最初に設定した時間から、再開までの時間を初期設定時間から除いた残り時間のみ出力するようになるが、その場合装置操作者は、作業を再開するかどうかなどを判断するのに残り時間の確認を必要とすることがあった。
【0007】
また従来のレーザ装置では特許文献1にもあるように、連続波かパルス波かといったレーザ出力パターンの種類が設定されている。またレーザ出力にはそれぞれの出力パターンにおいて出力の大きさと出力時間の条件設定が目的、用途に応じて変更、調整する。しかしながら、従来のレーザ装置ではこれらレーザ出力パターンの種類を切り替える切り替えスイッチは備えているものの、条件設定を記憶すること機能がなかったり煩雑な方法であったりして装置操作者は、前回と同じ条件設定でのレーザ出力が容易にできないという課題を有していた。
【0008】
本発明は、装置操作者が途中で中断した場合でも、再開後は最初に設定した時間の残り時間のみ出力するようし、さらにレーザ出力パターンの種類を切り替え、同じ条件設定でレーザ出力が容易にできるレーザ装置を提供する事を目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために本発明におけるレーザ装置は、レーザ発振するレーザ発振器と、レーザ発振器から出力するレーザの出力を制御するレーザ制御部と、レーザ制御部に対してレーザ発振器からレーザ光を出力させるための信号を入力するための出力信号入力手段と、出力信号入力手段からのレーザ出力信号が入力されてからの経過時間に対応した値を初期設定表示値からカウントアップまたはカウントダウンして表示するタイム表示部と、前記タイム表示部が表示する値を保持する保持手段と、前記出力されたレーザ光を被検体対象部位に入射するよう導くレーザ導波管とを備えたレーザ装置である。
【0010】
この構成により、装置操作者が途中で中断した場合でも、保持手段が保持する値に対応して再開後はカウントアップまたはカウントダウンに対応してレーザ出力することができる。
【0011】
また本発明におけるレーザ装置は、タイム表示部は装置操作者が出力信号入力手段からの入力を中断した場合停止するとともにその時点での表示を続け、入力再開後はその表示値からカウントアップまたはカウントダウンを再開するようにしたものである。
【0012】
この構成により、装置操作者が途中で中断した場合でも、保持手段が保持する値を見て、再開後はカウントアップまたはカウントダウンに対応してレーザ出力することができる。
【0013】
また本発明におけるレーザ装置は、レーザ出力する出力時間を設定する出力時間設定部をさらに備え、タイム表示部は出力時間設定部で設定された出力時間を初期値として表示すると共に、出力信号入力手段で入力されてレーザ出力中はタイム表示部の表示が初期値からカウントダウンして表示するようにしたものである。
【0014】
この構成により、装置操作者が途中で中断した場合でも、保持手段が保持する値を見て、初期値に対しての残時間を確認し、再開後はその残時間分カウントダウンしつつレーザ出力することができる。
【0015】
また本発明におけるレーザ装置は、タイム表示部におけるタイマ表示を、レーザ出力中カウントアップさせるかカウントダウンさせるかを切り替えるカウンタ切り替えスイッチをさらに備えたものである。
【0016】
この構成により、使用用途に対応じて、装置操作者がカウントアップさせるかカウントダウンさせるかを切り替えることができる。
【0017】
また本発明におけるレーザ装置は、カウンタ切り替えスイッチを所定時間以上オンにするとカウントアップとカウントダウンが切り替わるようにしたものである。
【0018】
この構成により、使用用途に対応じて、装置操作者が所定時間以上オンにするだけの簡単な操作で、カウントアップさせるかカウントダウンさせるかを切り替えることができる。
【0019】
また本発明におけるレーザ装置は、タイム表示部がカウントダウンする状態にある時、カウンタ切り替えスイッチを所定時間以下オンにするとレーザ表示部は、予め設定した所定種類の出力時間の候補が順にレーザ出力時間初期値として表示されるようにしたものである。
【0020】
この構成により、使用用途に対応じて、予め設定した所定種類の出力時間を容易に選択することができる。
【0021】
また本発明におけるレーザ装置は、タイム表示部がカウントアップする状態にある時、カウンタ切り替えスイッチを所定時間以下オンにするとレーザ表示部は、カウンタリセットされて表示するようにしたものである。
【0022】
この構成により、カウントアップする状態にある時は、容易にカウントリセットすることができる。
【0023】
また本発明におけるレーザ装置は、タイム表示部が0になると出力信号入力手段がオン状態であってもレーザ出力されないようにしたものである。
【0024】
この構成により、所定のレーザ出力時間以上、被検体対象部位にレーザ照射することを防ぐことができる。
【0025】
また本発明におけるレーザ装置は、出力信号入力手段は装置操作者の踏み込みによりオン状態となるフットスイッチとしたものである。
【0026】
この構成により、操作者の両手が他の作業でふさがっている場合でも、容易にレーザ出力操作をすることができる。
【0027】
また本発明におけるレーザ装置は、レーザ発振するレーザ発振器と、レーザ発振器から出力するレーザの出力を制御するレーザ制御部と、レーザ制御部によって複数の出力パターンで制御されて出力するレーザを患者患部に入射するよう導くレーザ導波管とを備え、複数の各出力パターンについて出力条件を記憶するメモリと、装置操作者により前記出力パターンのいずれかを選択、設定するレーザ出力設定切り替えスイッチとをさらに備え、レーザ出力設定切り替えスイッチは出力パターン毎に設けられ、パターン選択中の出力条件を前記メモリに記憶させるメモリ機能を兼ね備えたものである。
【0028】
さらに本発明におけるレーザ装置は、出力条件はレーザ出力の大きさと出力時間の少なくとも1つを含むようにしたものである。
【0029】
この構成により、レーザ出力設定切り替えが出力パターン毎に設けられたスイッチを操作するだけで、容易に選択することができる。
【0030】
本発明におけるレーザ装置は、使用用途に応じて出力時間、出力の大きさ、出力パターンの種類の設定を前記使用用途に関連付けて記憶する出力条件記憶手段と、使用用途の入力を設定できる使用用途入力部と、使用用途入力部により入力された使用用途から出力条件記憶手段で記憶した出力条件が設定されるようにしたものである。
【0031】
この構成により、操作者が使用用途を設定することで容易に出力条件を設定することができる。
【発明の効果】
【0032】
以上のように、本発明は、レーザ出力オンしてからタイマカウントをカウントダウンするタイム表示部を設け、装置操作者が途中で中断した場合にその状態で表示を維持するようにしたので残り時間の確認ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図1から図3を用いて説明する。
【0034】
(実施の形態1)
図2は本発明の実施の形態1におけるレーザ装置全体図を示し、レーザ光を発振するレーザ発振器21と、その出力を制御するレーザ制御部22を本体部23に内蔵し、装置操作者はレーザ出力の条件設定などを操作パネル部24で行う。レーザ光は先端のプローブ26までレーザ導波管25で導く。なお導波管25は本実施の形態においては光ファイバを用いるが、本発明はこれに固執するものではなく他の部材であっても良い。
【0035】
またプローブ26はレーザ光をレーザ導波管25で導かれ、出力対象に具合よく当たるようにする。また出力信号入力手段であるフットスイッチ20で、装置操作者により踏み込まれてオン状態となった時のみレーザ出力されるようにしている。なお本実施の携帯では出力信号入力手段にフットスイッチ20を用いているが、これに固執するものではなく操作者がオン状態にできるものであれば代用してもよい。
【0036】
図1は、図2で示す操作パネル部24の拡大図であり、非常時に装置を緊急停止する非常停止スイッチ1、装置の始動/停止を行う鍵スイッチ2、レーザ発振器21が動作中に点灯するレーザ出力表示部3、装置操作者にレーザ出力が可能な状態かどうかを示すREADY表示部4、レーザ出力が可能な状態にするかどうかを設定するSTBY/READY切換スイッチ5を示す。このSTBY/READY切換スイッチ5を押すことでレーザ出力可能な状態が設定でき、READY表示部4が点灯する。この状態においてフットスイッチ20をオンにすることでレーザが出力される。
【0037】
さらにレーザ出力設定値を表示するレーザ出力設定表示部6、レーザ出力設定表示部6で表示するレーザ出力をアップまたはダウンさせて変更するレーザ出力設定スイッチ7を示す。
【0038】
さらにタイマのカウントダウンまたはカウントアップするタイム表示部8、パルスの出力パターン設定の種類を切り替えるレーザ出力設定切り替えスイッチ9、レーザ出力設定切り替えスイッチ9で設定した出力パターンが、パルス幅を可変ものに設定した場合にその設定を表示するパルス時間表示部10を示す。
【0039】
さらにタイマモード表示部11は、後述するタイマモードとカウンタモードの選択状態を示す。そしてカウンタ切り替えスイッチ12は、詳細は後述するが、タイマモードとカウンタモードの切り替え機能を有すると共に、タイマモードでレーザ出力する時間を設定する機能も備える。なお本実施の形態ではこのカウンタ切り替えスイッチ12は、レーザ出力する出力時間を設定する出力時間設定部の兼ね備えたものとして構成しているが、これに固執するものではなく、別々の独立したスイッチであっても良い。
【0040】
このような構成における本実施の形態におけるレーザ装置についてその作用を説明する。
【0041】
図1および図2に示す本実施の形態におけるレーザ装置は、本体部23に内蔵されたレーザ制御部22によってレーザの出力パターンを制御され、同じく本体部23に内蔵されたレーザ発振器21がレーザ発振する。この時、レーザ制御部22は操作パネル部24上でのキー操作により装置操作者が設定したレーザ出力パターンに応じてレーザ発振器21における出力を制御する。
【0042】
ここで出力パターンの一例を図3に示す。図3は本実施の形態におけるレーザ出力パターンの一例を示す図であり、この例ではレーザ光照射時間0.8ms、停止時間30msのパターンを繰り返して出力する。さらにこの例ではレーザ光照射時間において、100μsの出力期間と100μsの休止期間のデューティー比50%で200μsの周期で繰り返しレーザ出力する。なおレーザ光照射停止時間においても200μsに1μsの割合でレーザ出力しているのはレーザ発振器21の特性を維持するためである。
【0043】
また別の出力パターンの一例を図4に示す。図4は本実施の形態におけるレーザ出力パターンの別の一例を示す図であり、50μsの出力期間と50μsの休止期間のデューティー比50%で100μsの周期で繰り返しレーザ出力している点が図3と異なる。
【0044】
そして本実施のレーザ装置は、このような使用上有効と思われる出力パターンをあらかじめ用意し、操作者が目的に応じて出力パターンの種類の設定を変更できるようにしている。
【0045】
ここで一例として用途に応じてどのような条件設定が考えられるかについて図5により説明する。図5は使用用途に応じた出力パターンの各条件を示す図であり、歯科用レーザ装置を用いた治療における疾患とレーザ出力の条件の目安を示している。図5において疾患または目的の欄が使用用途に対応するもので、例えば口内炎の治療の場合、照射モードすなわちパルス波形はSPまたはΣと呼ばれる出力パターン(詳細な波形は省略)で出力し、その時の出力設定はそれぞれ2.5W、4.0W、照射時間は30s以上、50秒以上出力すればよいことを示す。このように使用用途によりレーザ出力パターン、出力設定、照射時間は標準的に適切な数値設定があり、操作者は用途に応じて条件設定を行う。
【0046】
次に図1を用いて本実施の形態におけるレーザ装置の操作方法について説明する。
【0047】
操作者は最初に非常停止スイッチ1を解除し、鍵スイッチ2をオンにする。すると装置が稼動し始め、所定時間後STBY/READY切換スイッチを押すとレーザ発振器21に電圧がかかりREADY表示部が点灯する。この状態で操作者がフットスイッチ20をオンにするとレーザ発振器21からレーザ光が出射され同時に照射中であることを示すレーザ照射表示部3が点灯し、後述する出力条件により図2のレーザ導波管25を通して先端のプローブ26からレーザが出力される。
【0048】
操作者は、レーザ出力(レーザ光を出射)するパターンを選択するために、用途に応じて図1で示すレーザ出力設定切り替えスイッチ9を操作する。本実施の形態ではレーザ出力パターンは図示するようにΣ、S1、S2、R1、R2、CWとレーザ出力パターンの種類を6種類設けている。そしてそれぞれのスイッチの上部に選択された状態を示す表示部が設けられ、それが点灯することによりどのパターンが選択されているかを示す。
【0049】
さらに選択した出力パターンのレーザ出力の大きさ(単位はW)を、レーザ出力設定スイッチ7を用いて適当な数値に設定する。本実施の形態では、上方向と下方向への数値を上下する+―のスイッチが備えられており、操作者はレーザ出力設定表示部6により表示された数値を見て変更したい方向にレーザ出力設定スイッチ7を操作する。
【0050】
また操作者はレーザ出力する方法を、設定した時間だけ操作するタイマモードにするか、フットスイッチ20をオンにしている間はレーザ出力し続けるカウンタモードにするかをカウンタ切り替えスイッチ12を用いて設定する。そしてどちらが選択されているかはタイマモード表示部11の点灯表示によって操作者に知らせる。
【0051】
タイマモードを選択した場合は、設定した時間がタイム表示部8に表示される。この時時間設定はカウンタ切り替えスイッチ12の操作により候補が順に切り替わってタイム表示部に表示され操作者は適当な数値になるように設定する。なおカウンタ切り替えスイッチ12は所定時間より長く押すとモードが切り替わり短く押すと時間設定候補が順に切り替わるようになっている。また設定時間の候補は通常使用される範囲の10種類程度以下の数値をあらかじめ備えており、順に表示させるようにしている。
【0052】
例えばタイマモードを設定してレーザ出力をする場合は最初に設定する時間を30(30秒を意味する)とした場合、レーザ出力開始と同時に1秒経過ごとに29、28とカウントダウンしていき、0になった時点でレーザ出力を停止する。なおレーザ出力は操作者がフットスイッチ20をオンにすることで、タイマのカウントダウンと同時に開始されるが、タイム表示部8の表示がカウントダウンにより0に達するとフットスイッチ20によりオンされ続けていてもレーザ出力は停止する。
【0053】
またタイム表示部8の表示が0になる前に操作者が操作を中断しフットスイッチ20をオフにした場合はレーザ出力はその時点で停止する。この時、タイム表示部8は停止した時点での表示を維持し続け、操作者が再度フットスイッチ20をオンにしてレーザ出力を再開するとタイム表示部の表示も停止時の表示(初期設定時間の残り時間)を初期値として再びカウントダウンを始める。これによりレーザ出力の中断があってもトータルとして最初に設定した設定時間の出力が完了し、タイム表示部8の表示が0になるまでレーザ出力を行う。このように、操作者が何らかの都合でレーザ出力を中断せざるを得なくなっても、予定していた設定時間の出力を完了させることができる。さらには中断時に残り時間を確認することができ、さらにレーザを照射すべきかどうかを検討し操作続行の判断材料とすることもできる。
【0054】
一方、カウンタモードに設定した場合は、タイマモード表示部11の表示はカウンタモードが設定されていることを示し、タイム表示部8は初期状態において、「0」と表示される。そしてタイム表示部8の表示はレーザ出力開始と同時に1、2とカウントアップする。この場合は、この場合は、操作者がフットスイッチ20をオンにしている間はずっとレーザ出力され続ける。そして、操作者が照射を終了し、初期の「0」に戻すためにカウンタリセットする場合は、カウンタ切り替えスイッチ12を所定の時間よりも短く押す(所定の時間を2秒とした場合、それよりも短く、0.5秒程度から1秒程度が望ましい。)ことでタイム表示部の表示は0にリセットされる。また、上記のようにカウンタモードに設定した場合は、操作者がフットスイッチ20をオンにしている間はずっとレーザ出力され続け、さらに、操作者がフットスイッチ20をオフにするとレーザ出力は停止し、タイム表示部8の表示はその時点での表示を維持する。そして再開後タイム表示はその表示を初期値としてさらにカウントアップを再開する。これにより操作者が時折出力を停止してタイム表示部8の表示を確認することでトータルのレーザ出力を把握できる。
【0055】
このように操作者によって装置にレーザの出力時間の管理をさせるか(タイマモード)、自分で判断するか(カウンタモード)どうかを選択できるようになっている。
【0056】
次にレーザ出力設定切り替えスイッチ9の機能について説明する。操作者は、操作盤上のレーザ出力設定切り替えスイッチ9(Σ、S1、S2、R1、R2、CW)から用途に応じてレーザの出力パターンを選択する。この時、それぞれの出力パターンによって選択する適切なレーザ出力、パルス幅、照射時間などの出力条件が異なる。そこで操作者は選択した出力パターンに応じてレーザ出力設定スイッチ7を操作してレーザ出力を変更し、場合によってはパルス幅、照射時間を変更設定する。
【0057】
そして本実施の形態では出力パターンを変更するごとにこれらの出力条件を再設定するのは不便であるので、その条件を記憶させるためのメモリ(図示せず)を備えた。そしてレーザ出力設定切り替えスイッチ9によって選択した各出力パターンにおける設定条件をメモリに記憶させ、再度その条件が設定された時は記憶した条件を初期として表示させるようにした。さらに本実施の形態では、操作者が設定した設定条件を次回もそのまま使用したい場合、レーザ出力設定切り替えスイッチ9のうち、選択中のレーザ出力パターンのスイッチを押すことで設定条件を記憶させるようにしている。
【0058】
このようにレーザ出力設定切り替えスイッチ9は出力パターンの切り替え機能と同時に、選択中の出力条件をメモリに記憶させるメモリ機能を兼ね備えるようにしている。なお、記憶させる設定条件は出力の大きさと出力時間の少なくとも1つを含んでいる。場合によってはパルス幅も記憶する設定条件に含ませても良い。
【0059】
さらにはこれを発展させる実施の形態として、図6に示すように操作パネル部14に、図5で示す疾患または目的のような使用用途の入力を設定できる使用用途入力部30を備え、使用用途に応じた出力時間、出力の大きさ、出力パターンの種類の設定を使用用途に関連付けて記憶する出力条件を記憶する記憶手段(図示せず)を備えておけば、使用用途入力部30により入力された使用用途から出力条件記憶手段で記憶した出力条件が設定される。このようにすることで、操作者がレーザ出力条件を特に意識せずとも患者の疾患などの用途をスイッチで選択するだけで適切な条件が設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明のレーザ装置は操作者が有効に効率的に操作ができ、しかも操作キーの操作を工夫することで操作性がよく容易に条件設定を記憶させることができるので、出力時間、出力の大きさなどの条件が異なる複数の出力パターンを備えることが必要とされるレーザ装置、特に、医科、歯科用のレーザ装置などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態1におけるレーザ装置の操作パネル部を示す図
【図2】本発明の実施の形態1におけるレーザ装置全体図
【図3】本発明の実施の形態におけるレーザ出力パターンの一例を示す図
【図4】本発明の実施の形態におけるレーザ出力パターンの別の一例を示す図
【図5】使用用途に応じた出力パターンの各条件を示す図
【図6】本実施の形態のさらに発展させたレーザ装置における操作パネル部における使用用途入力部のスイッチ配列の一例を示す図
【図7】従来のレーザ装置の全体図
【図8】従来のレーザ装置の操作部を示す図
【符号の説明】
【0062】
8 タイム表示部
9 レーザ出力設定切り替えスイッチ
10 パルス時間表示部
12 カウンタ切り替えスイッチ(出力時間設定部)
20 フットスイッチ(レーザ出力オン状態入力部)
21 レーザ発振器
22 レーザ制御部
25 レーザ導波管
30 使用用途入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ発振するレーザ発振器と、前記レーザ発振器から出力するレーザの出力を制御するレーザ制御部と、前記レーザ制御部に対して前記レーザ発振器からレーザ光を出力させるための信号を入力するための出力信号入力手段と、前記出力信号入力手段からのレーザ出力信号が入力されてからの経過時間に対応した値を初期設定表示値からカウントアップまたはカウントダウンして表示するタイム表示部と、前記タイム表示部が表示する値を保持する保持手段と、前記出力されたレーザ光を被検体対象部位に入射するよう導くレーザ導波管とを備えたレーザ装置。
【請求項2】
タイム表示部は前記出力信号入力手段からのレーザ出力信号が前記初期設定時間が経過する前に中断した場合に前記レーザ出力を停止するとともにその時点での表示値を保持し続け、レーザ出力信号が入力再開後はその表示値から前記カウントアップまたはカウントダウンを再開する請求項1記載のレーザ装置。
【請求項3】
レーザ出力する出力タイマ時間を設定する出力タイマ時間設定部をさらに備え、前記タイム表示部は前記出力タイマ時間設定部で設定された前記出力タイマ時間を初期値として表示すると共に、前記出力信号入力手段で入力されてレーザ出力中は前記タイム表示部の表示が前記初期値からカウントダウンして表示する請求項1または2記載のレーザ装置。
【請求項4】
前記タイム表示部におけるタイマ表示をレーザ出力中カウントアップさせるかカウントダウンさせるかを切り替えるカウンタ切り替えスイッチをさらに備えた請求項1または2記載のレーザ装置。
【請求項5】
前記カウンタ切り替えスイッチは所定時間以上オン状態にされるとカウントアップとカウントダウンが切り替わることを特徴とする請求項4記載のレーザ装置。
【請求項6】
前記タイム表示部がカウントダウンする状態にある時、前記カウンタ切り替えスイッチを前記所定時間よりも短い時間オン状態にされると前記タイマ表示部は、予め設定した所定種類の出力タイマ時間の候補が順にレーザ出力時間初期値として表示される請求項5記載のレーザ装置。
【請求項7】
前記タイム表示部がカウントアップする状態にある時、前記カウンタ切り替えスイッチを前記所定時間よりも短いオン状態にするとにするとレーザ表示部がカウンタリセットされることを特徴とする請求項5または6記載のレーザ装置。
【請求項8】
前記タイム表示部が0になると出力信号入力手段がオン状態であってもレーザ出力されないようにした請求項1から7のいずれかに記載のレーザ装置。
【請求項9】
前記出力信号入力手段は装置操作者の踏み込みによりレーザ出力がオン状態となるフットスイッチである請求項1から8のいずれかに記載のレーザ装置。
【請求項10】
レーザ発振するレーザ発振器と、前記レーザ発振器から出力するレーザの出力を制御するレーザ制御部と、前記レーザ制御部によって複数の出力パターンで制御されて出力するレーザを患者患部に入射するよう導くレーザ導波管とを備えたレーザ装置であって、前記複数の各出力パターンについて出力条件を記憶するメモリと、装置操作者により前記出力パターンのいずれかを選択、設定するレーザ出力設定切り替えスイッチとをさらに備え、前記レーザ出力設定切り替えスイッチは前記出力パターン毎に設けられ、パターン選択中の出力条件を前記メモリに記憶させるメモリ機能を兼ね備える請求項1ないし9記載のレーザ装置。
【請求項11】
出力条件は出力の大きさと出力時間の少なくとも1つを含む請求項10記載のレーザ装置。
【請求項12】
使用用途に応じて出力時間、出力の大きさ、出力パターンの種類の設定を前記使用用途に関連付けて記憶する出力条件記憶手段と、使用用途の入力を設定できる使用用途入力部と、前記使用用途入力部により入力された使用用途から前記出力条件記憶手段で記憶した出力条件が設定される請求項1ないし11記載のレーザ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−97865(P2007−97865A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−292237(P2005−292237)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】