説明

レーザ走査型顕微鏡および顕微鏡観察方法

【課題】光刺激領域における光刺激開始から終了までの光刺激実行時間を短縮することのできるレーザ走査型顕微鏡を提供することを目的とする。
【解決手段】標本Pに光刺激を与えるための刺激用レーザ光を発する刺激用レーザ光源15と、刺激用レーザ光L2を走査する第2のスキャナ17と、第2のスキャナ17を制御する制御装置20と、第2のスキャナ17により走査された刺激用レーザ光L2を集光して標本Pに照射する対物レンズ5とを有し、第2のスキャナ17が、刺激用レーザ光L2の光路上に配置された少なくとも1つの音響光学素子17a,17bを備え、制御装置20が、光刺激領域の位置および範囲に基づいて一または複数の周波数を決定し、決定した一または複数の周波数の高周波信号を、音響光学素子17a,17bに取り付けられている各振動子18a,18bに対して、同時に印加するレーザ走査型顕微鏡を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ走査型顕微鏡に係り、特に、音響光学効果を用いて刺激用レーザ光を走査するレーザ走査型顕微鏡および顕微鏡観察方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、標本を観察するための観察用走査光学系と、標本に光刺激を与える刺激用走査光学系とを備えるレーザ走査型顕微鏡が知られている(例えば、特開平10−206742号公報参照。)。
このようなレーザ走査型顕微鏡では、刺激用レーザ光源から発せられた刺激用レーザ光をガルバノミラーによるスキャナによって2次元的に走査し、標本に照射することで、光刺激領域に対して光刺激を与えている。
【特許文献1】特開平10−206742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述した光刺激は、光刺激領域の全域に対して略同時に与えることが好ましい。しかしながら、上述した従来のレーザ走査型顕微鏡では、刺激用レーザ光をガルバノミラーにより標本上で2次元的に走査させて光刺激を行うことから、光刺激の開始から終了までに時間がかかるという問題があった。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、光刺激領域における光刺激開始から終了までの光刺激実行時間を短縮することのできるレーザ走査型顕微鏡よび顕微鏡観察方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、標本を観察するための観察用レーザ光をステージに載置された標本に対して2次元的に照射し、前記標本から発せられる光を検出して、蛍光画像を構築し、表示するレーザ走査型顕微鏡であって、前記標本に光刺激を与えるための刺激用レーザ光を射出する刺激用レーザ光源と、前記刺激用レーザ光を走査する刺激用走査部と、前記刺激用走査部を制御する制御部と、前記刺激用走査部により走査された前記刺激用レーザ光を集光して標本に照射する対物レンズとを有し、前記刺激用走査部が、前記刺激用レーザ光の光路上に配置された少なくとも1つの音響光学素子を備え、前記制御部が、光刺激を与える領域の位置および範囲に基づいて複数の周波数を決定し、決定した複数の周波数の高周波信号を、前記音響光学素子に取り付けられている振動子に対して、同時に印加することにより、前記領域に同時に前記刺激用レーザ光を照射するレーザ走査型顕微鏡を提供する。
【0006】
上記構成によれば、刺激用レーザ光源から出射された刺激用レーザ光は、刺激用走査部が備える音響光学素子によって走査され、対物レンズを介して標本に照射されることとなる。この場合において、音響光学素子に取り付けられている振動子には、光刺激領域の位置および範囲に基づいて決定された複数の周波数の高周波信号が制御部から同時に印加される。
複数の周波数の高周波信号が同時に振動子に印加された場合には、音響光学素子に入射した刺激用レーザ光は、高周波信号の各周波数に応じた回折角度でそれぞれ同時に回折されることにより、一方向に配列された複数のスポット光として出射されることとなる。ここで、振動子に与えられる高周波信号の周波数間隔が狭いほど、一列に配列された各スポット光間の距離も狭くなる。これにより、高周波信号の周波数間隔を調節することにより、スポット光の間隔を調整することができ、また、周波数間隔をある程度狭くすることで、一列に配列された各スポット光に重なり合う部分を持たせ、ライン状のレーザ光を生成することも可能である。
本発明によれば、標本に対して複数のスポット光を同時に照射することが可能となるので、単一のスポット光を2次元的に走査させる場合に比べて、光刺激を効率的に行うことができる。
【0007】
上記レーザ走査型顕微鏡において、前記刺激用走査部が、入射された刺激用レーザ光を第1の方向に回折させる第1の音響光学素子と、入射された刺激用レーザ光を前記第1の方向と交わる方向に回折させる第2の音響光学素子とを具備することとしてもよい。
【0008】
上記構成によれば、刺激用レーザ光源から出射された刺激用レーザ光は、第1及び第2の音響光学素子により第1の方向および第1の方向と交わる方向、例えば、水平方向及び垂直方向に回折されることとなる。これにより、例えば、第1及び第2の音響光学素子に取り付けられている振動子に対して、複数の周波数の高周波信号が同時に印加されていた場合には、2次元的な分布を有するレーザ光を生成させることができる。この結果、2次元的な領域を同時に照射することができるので、光刺激を更に効率的に行うことができる。
【0009】
上記レーザ走査型顕微鏡において、前記第1の音響光学素子と前記第2の音響光学素子のそれぞれの振動子に対して、それぞれ複数の周波数の高周波信号を同時に印加することにより、標本上の二次元の領域に同時に刺激用レーザ光を照射することとしてもよい。このようにすると、例えば、矩形等の二次元の領域に対して刺激用レーザ光を効率的に照射することが可能となる。
【0010】
上記レーザ走査型顕微鏡において、前記第1の音響光学素子と前記第2の音響光学素子の一方の振動子に対して複数の周波数の高周波信号を同時に印加することにより、標本上の一直線上の領域に同時に刺激用レーザ光を照射することとしてもよい。このようにすると、例えば、所定長さの線分に対して刺激用レーザ光を効率的に照射することが可能となる。
【0011】
上記レーザ走査型顕微鏡において、前記第1の音響光学素子と前記第2の音響光学素子の一方の振動子に対して複数の周波数の高周波信号を同時に印加するとともに、他の振動子に少なくとも一つで時間的に変化する周波数の高周波信号を印加することにより、前記一方の振動子によって駆動される音響光学素子から射出される一直線状の照射領域を前記他方の振動子により駆動される音響光学素子によって切り替え、これにより標本上の二次元領域に刺激レーザ光を照射することとしてもよい。
【0012】
上記レーザ走査型顕微鏡において、前記一方の振動子に印加される高周波信号が有する周波数は、時間的に変化してもよい。このようにすると、例えば、円形等の二次元領域に対して刺激用レーザ光を効率的に照射することが可能となる。
【0013】
上記レーザ走査型顕微鏡において、前記刺激用走査部は、入射された刺激用レーザ光を水平方向または垂直方向に回折させる音響光学素子と、前記音響光学素子の回折方向に略直交する方向に、入射された刺激用レーザ光を走査する走査用ミラーとを具備することとしてもよい。
【0014】
このような構成によれば、音響光学素子によりスポット光である刺激用レーザ光を一方向に配列された複数のスポット光(なお、高周波信号の周波数間隔がある程度狭ければ、ライン状のレーザ光とすることが可能である)とすることができ、また、走査用ミラーによって、光刺激用レーザ光を該一方向に直交する方向に走査することができる。これにより、標本上において、複数のスポット光をその配列に直交する方向に走査することができる。この結果、光刺激を効率的に実行することができる。また、音響光学素子に取り付けられた振動子に印加する高周波信号の周波数を光刺激領域の形状に応じて変化させることにより、四角形だけではなく、円や、楕円などのさまざまな形状に対しても効率的に光刺激を実行することができる。
【0015】
上記レーザ走査型顕微鏡において、前記音響光学素子の振動子に対して複数の周波数の高周波信号を同時に印加することにより、標本上の一直線状の領域に同時に刺激用レーザ光を照射することとしてもよい。該一直線状の領域は、例えば、所定長さの線分である。
【0016】
上記レーザ走査型顕微鏡において、前記音響光学素子の振動子に対して複数の周波数の高周波信号を同時に印加し、前記音響光学素子によって同時に照射される一直線状の領域の照射位置を走査ミラーによって走査することにより、標本上の二次元領域に刺激用レーザ光を照射することとしてもよい。
【0017】
上記レーザ走査型顕微鏡において、前記振動子に印加される高周波信号が有する周波数を時間的に変化させてもよい。このようにすることで、例えば、円形等の二次元領域に対して刺激用レーザ光を効率的に照射させることが可能となる。
【0018】
上記レーザ走査型顕微鏡において、前記制御部が、前記刺激用レーザ光の波長を考慮して前記高周波信号の周波数を決定することとしてもよい。
【0019】
このような構成によれば、刺激用レーザ光の波長に応じて、高周波信号の周波数が決定されることとなるので、刺激用レーザ光の波長が切り替えられた場合でも、所望の回折角度で入射光を回折することができ、一定の走査精度を保つことができる。
【0020】
上記レーザ走査型顕微鏡において、前記制御部が、前記音響光学素子の回折光強度の回折角度特性に応じて、前記高周波信号の振幅を補正することとしてもよい。
【0021】
このような構成によれば、音響光学素子の回折光強度の回折角度特性に応じて、高周波信号の振幅が補正されるので、音響光学素子から出射される刺激用レーザ光の光強度を所望の強度に制御することが可能となる。これにより、光刺激領域の全域において、刺激用レーザ光の光強度を均一にすることや、或いは、刺激用レーザ光の光強度を局部的に異ならせることが可能となる。
【0022】
上記レーザ走査型顕微鏡において、前記観察用レーザ光を前記標本上で走査する走査部を備えることとしてもよい。
【0023】
上記レーザ走査型顕微鏡において、前記刺激用レーザ光が照射される前記領域は、観察用レーザ光の照射によって予め取得された画像上で指定可能とされていてもよい。
【0024】
上記レーザ走査型顕微鏡において、前記高周波信号の複数の周波数の間隔を所定値より狭めることで、前記刺激用レーザ光が同時に照射される領域を空間的に連続となるようにしてもよい。
【0025】
上記レーザ走査型顕微鏡において、前記制御部は、前記決定した複数の周波数ごとに振幅の異なる高周波信号を前記振動子に同時に印加することにより、前記領域ごとの前記刺激用レーザ光の照射強度を異ならせることとしてもよい。
【0026】
本発明は、標本を観察するための観察用レーザ光をステージに載置された標本に対して2次元的に照射し、前記標本から発せられる光を検出して、蛍光画像を構築し、表示する顕微鏡観察方法であって、前記標本に光刺激を与えるための刺激用レーザ光の光路上に少なくとも1つの音響光学素子を配置し、各前記音響光学素子に取り付けられている振動子に対して、光刺激領域の位置および範囲に応じて決定される複数の周波数の高周波信号を同時に印加する顕微鏡観察方法を提供する。
【0027】
このような方法によれば、刺激用レーザ光源から出射された刺激用レーザ光は、刺激用走査部が備える音響光学素子によって走査され、対物レンズを介して標本に照射されることとなる。この場合において、音響光学素子に取り付けられている振動子には、光刺激領域の位置および範囲に基づいて決定された一または複数の周波数の高周波信号が同時に印加される。
複数の周波数の高周波信号が同時に振動子に印加された場合には、音響光学素子に入射した刺激用レーザ光は、高周波信号の各周波数に応じた回折角度でそれぞれ同時に回折されることにより、一方向に配列された複数のスポット光として出射されることとなる。ここで、振動子に与えられる高周波信号の周波数間隔が狭いほど、一列に配列された各スポット光間の距離も狭くなる。これにより、高周波信号の周波数間隔を調節することにより、スポット光の間隔を調整することができ、また、周波数間隔をある程度狭くすることで、一列に配列された各スポット光に重なり合う部分を持たせ、ライン状のレーザ光を生成することも可能である。
本発明によれば、標本に対して複数のスポット光を同時に照射することが可能となるので、単一のスポット光を2次元的に走査させる場合に比べて、光刺激を効率的に行うことができる。
【0028】
本発明は、標本を観察するための観察用レーザ光をステージに載置された標本に対して2次元的に照射する観察用走査光学系と、前記標本から発せられる光を検出する光検出部と、前記標本に光刺激を与えるための刺激用走査光学系とを有し、該刺激用走査光学系が少なくとも1つの音響光学素子を有するレーザ走査型顕微鏡において、前記刺激用走査光学系の制御を行うための光刺激制御プログラムであって、光刺激領域の位置および範囲に応じて、前記音響光学素子の回折範囲を設定する処理と、前記回折範囲に対応する一または複数の周波数を求める処理と、前記一または複数の周波数を有する高周波信号を同時に、前記音響光学素子に取り付けられている振動子に対して印加させる処理とをコンピュータに実行させるための光刺激制御プログラムをコンピュータに実行させるための光刺激制御プログラムを提供する。
【0029】
このような光刺激制御プログラムがハードウェア資源によって実行されることにより、光刺激領域の位置および範囲に応じて音響光学素子の回折範囲が設定され、該回折範囲に対応する一または複数の周波数が算出され、この一または複数の周波数の高周波信号が同時に音響光学素子に取り付けられている振動子に印加されることとなる。これにより、音響光学素子に入射された刺激用レーザ光は、高周波信号の各周波数に応じた回折角度でそれぞれ同時に回折されることとなる。これにより、一方向に配列された複数のスポットレーザ光、或いは、上記高周波信号の周波数間隔によっては、ライン状とされた刺激用レーザ光、または、音響光学効果を利用することにより高速走査された刺激用レーザ光を標本に照射させることが可能となる。この結果、光刺激を効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、光刺激領域における光刺激開始から終了までの光刺激実行時間を短縮することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明に係るレーザ走査型顕微鏡の実施形態について、図を参照して説明する。
【0032】
〔第1の実施形態〕
図1に示すように、本実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡は、レーザ走査型共焦点顕微鏡である。図1中、各種レンズおよびピンホール等の光学部品は、説明の簡略化のために省略している。
本発明の第1の本実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡1は、図1に示されるように、観察用レーザ光L1を走査する観察用走査光学系2と、刺激用レーザ光L2を走査する刺激用走査光学系3と、観察用レーザ光L1および刺激用レーザ光L2を合波するダイクロイックミラー4と、合波された観察用レーザ光L1および刺激用レーザ光L2を集光して標本Pに照射する一方、観察用レーザ光L1を標本Pに照射することにより、標本P内の蛍光物質が励起されて発生した蛍光Fを集光する対物レンズ5と、該対物レンズ5により集光された蛍光Fを検出する光検出器6とを備えている。
【0033】
観察用走査光学系2は、観察用レーザ光L1を出射する観察用レーザ光源8と、観察用レーザ光源8から発せられた観察用レーザ光L1を光軸に交差する方向に2次元的に走査する第1のスキャナ9とを備えている。
【0034】
観察用走査光学系2の観察用レーザ光源8と第1のスキャナ9との間には、標本Pにおいて発生し、対物レンズ5により集光され、ダイクロイックミラー4、および第1のスキャナ9を経由して戻る蛍光Fを観察用レーザ光L1から分岐して光検出器6に向かわせるダイクロイックミラー12が備えられている。
第1のスキャナ9は、後述する蛍光画像の左右方向に対応する水平方向に観察用レーザ光L1を走査する第1のガルバノミラー9aと、蛍光画像の上下方向に対応する垂直方向に観察用レーザ光L1を走査する第2のガルバノミラー9bとを備える、いわゆる近接ガルバノミラーである。これにより、観察用レーザ光L1がラスタスキャン方式で標本P上に2次元的に走査されるようになっている。
【0035】
刺激用走査光学系3は、刺激用レーザ光L2を出射する刺激用レーザ光源15と、該刺激用レーザ光源15から発せられた刺激用レーザ光L2を光軸に交差する方向に2次元的に走査する第2のスキャナ(刺激用走査部)17とを備えている。この刺激用走査光学系3の詳細については後述する。
【0036】
光検出器6は、共焦点ピンホール31、ダイクロイックミラー32,33、第1の光検出部34、及び第2の光検出部35を備えて構成されている。
第1の光検出部34は、分散素子36、レンズ37、スリット38、および光電変換素子39を備えている。また、第2の光検出部35は、測光フィルタ40、光電変換素子41を備えている。本実施形態では、分散素子36として平面回折格子を用い、この平面回折格子を回転させることにより検出する波長帯域の中心を選択するようにしたものである。測光フィルタ40は、特定波長の光のみを透過する特性を持つ。
【0037】
各光電変換素子39,41は、A/D変換器(図示せず)を介して制御装置20に接続されている。制御装置20は、記憶装置21、CPU22、メモリ23を備えている。この制御装置20は、いわゆるパーソナルコンピュータにより構成されていてもよい。CPU22は、記憶装置21に格納されている各種データならびに各種プログラムをメモリ23に読み出し、情報の加工・演算処理を実行することにより、種々の制御内容を実現させる。記憶装置21は、例えば、HD(Hard Disc),ROM(Read Only Memory)等である。メモリ23は、例えば、RAM(Random Access Memory)等である。
CPU22は、第1のスキャナ9による観察用レーザ光L1の標本P上における走査位置情報と、光検出器6により検出された蛍光Fの光強度情報とに基づいて、2次元的な蛍光画像を構築し、表示装置24に表示するようになっている。
また、制御装置20には、入力装置25が接続されている。この入力装置25は、オペレータによる各種入力操作に用いられる。
【0038】
上記刺激用走査光学系3において、第2のスキャナ17は、後述する蛍光画像の左右方向に対応する水平方向に刺激用レーザ光L2を回折させる第1の音響光学素子17aと、蛍光画像の上下方向に対応する垂直方向に刺激用レーザ光L2を回折させる第2の音響光学素子17bとを備えている。
本実施形態において、第1の音響光学素子17a、第2の音響光学素子17bは、音響光学偏光器(AOD:acousto optical deflector)である。
これら各音響光学素子17a、17bには、後述する走査制御部19によって印加される高周波信号で駆動する振動子(振動供給部)18a,18bが取り付けられている。
走査制御部19は、制御装置20と接続されており、制御装置20からの信号制御情報に応じた周波数帯域の高周波信号を振動子18a,18bにそれぞれ印加する。
【0039】
上記制御装置20の記憶装置21は、各音響光学素子17a,17bの1次回折角度θと周波数fとの対応関係を記憶している。例えば、走査制御部19は、以下の(1)式に示す関係式を記憶している。
【0040】
θ=λ・f/Va (1)
【0041】
上記(1)式において、θは、図2に示すように、音響光学素子17a,17bの基準線と1次回折光とがなす角度(以下、「回折角度」という。)であり、λは刺激用レーザ光L2の波長であり、fは振動子に与える高周波信号の周波数であり、Vaは音響光学素子17a,17bにおける結晶内の音速速度である。このVaは、固体差があり、個々の音響光学素子17a,17bによって異なる値である。
更に、制御装置20は、表示装置24に表示した蛍光画像の各画素位置と各音響光学素子17a,17bにおける回折角度θとを対応付けて記憶している。これにより、表示装置24に表示した蛍光画像上において、オペレータにより光刺激領域が指定された場合には、CPU22が、その光刺激領域に刺激用レーザ光L2が照射されるように、各音響光学素子17a,17bの回折角度θの範囲を決定し、この回折角度θの範囲に対応する複数の周波数の高周波信号を走査制御部19を介して同時に振動子18a,18bに印加させることが可能となる。
【0042】
これにより、各振動子18a,18bの振動に応じた屈折率変化を第1及び第2の音響光学素子17a,17b内で生じさせ、図3に示すように、第1の音響光学素子17aに入射した刺激用レーザ光L2を水平方向の異なる回折角度に同時に回折させることにより、水平方向に配列された複数のスポット光、換言すると、1次元分布のスポット光とすることができる。なお、振動子18aに印加する高周波信号の周波数間隔を狭くすればするほど、スポット光間の距離が短くなる。したがって、高周波信号の周波数間隔をある一定値よりも狭めることにより、隣接する各スポット光に重なり部分を持たせ、水平方向に伸びるライン状のレーザ光とすることも可能である。なお、以下の第2の音響光学素子17bについても同様である。
そして、更に、この水平方向に配列された複数のスポット光を第2の音響光学素子17bによって垂直方向に対して複数の回折角度に同時に回折させることにより、2次元分布のスポット光とすることができる。
【0043】
〔光刺激領域;四角形〕
このように構成された本実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡1の作用について以下に説明する。ここでは、後述する光刺激領域Bとして「四角形」が指定された場合について説明する。
【0044】
まず、実験開始の前段階として、プレスキャンが行われる(図4のステップSA1)。このプレスキャンでは、CPU22が観察用走査光学系2および光検出器6を作動させることにより、標本Pの蛍光画像を表示装置24に表示させる。具体的には、CPU22は、観察用レーザ光源8、第1のスキャナ9を作動させる。これにより、観察用レーザ光源8から出射された観察用レーザ光L1が、第1のスキャナ9によって2次元的に走査され、ダイクロイックミラー4、および対物レンズ5を経て、標本Pに照射される。標本Pに観察用レーザ光L1が照射されると、標本P内に存在する蛍光物質が観察用レーザ光L1によって励起され、蛍光Fが発生する。標本Pにおいて発生した蛍光Fは、対物レンズ5、ダイクロイックミラー4および第1のスキャナ9を経由して観察用レーザ光L1と同じ経路を戻り、ダイクロイックミラー12によって観察用レーザ光L1と分離されて、光検出器6に導かれる。
【0045】
光検出器6において、蛍光Fは、共焦点ピンホール31で結像し、ダイクロイックミラー32に入射し、ここで波長に応じて2つに分岐される。ダイクロイックミラー32によって反射された蛍光F1は、分散素子36により波長ごとに異なる角度に反射される。この状態で分散素子36を回転させると、分散素子36の回転角度に応じた各波長中心の光がレンズ37によりスリット38に集光され、スリット38を通過した波長の光のみが光変換素子39に入射される。
【0046】
一方、ダイクロイックミラー32を透過した蛍光F2は、ダイクロイックミラー33によって第2の光検出部35に導かれる。第2の光検出部35において、蛍光F2は、測光フィルタ40により特定の波長の光が選択透過され、光電変換素子41に入射される。
光電変換素子39,40に入射された蛍光F1、F2は、それぞれ輝度に応じた電気信号として出力され、A/D変換器(図示せず)によってディジタル信号に変換されて、制御装置20に送られる。
制御装置20では、CPU22により、このディジタル信号に基づいて2次元的な蛍光画像が構築され、表示装置24に表示される。これにより、表示装置24には、図5に示すように、観察面における蛍光画像Cが表示されることとなる。
【0047】
次に、表示装置24に表示された蛍光画像Cにおいて、図5に示すように、オペレータにより画像取得領域Aおよび光刺激領域Bが指定されると(図4のステップSA2)、制御装置20のCPU22は、指定された画像取得領域Aの位置および範囲に応じて第1のスキャナ9の走査範囲を設定するとともに(図4のステップSA3)、指定された光刺激領域Bの位置および範囲に応じて振動子18a,18bに印加する高周波信号の周波数を算出する(図4のステップSA4)。
以下、図4のステップSA4において行われる周波数帯域の設定手順について、図6を用いて詳しく説明する。
【0048】
まず、制御装置20のCPU22は、刺激用レーザ光の波長λ、第1の音響光学素子17aにおける結晶内の音波速度Va1、第2の音響光学素子17bにおける結晶内の音波速度Va2を記憶装置21からメモリ23に読み出す(図6のステップSB1)。
続いて、CPU22は、光刺激領域Bにおける水平方向の位置および範囲(図5におけるポイントPh1〜Ph2)に基づいて、第1の音響光学素子17aの回折角度の範囲θh1〜θh2を決定し(図6のステップSB2)、この回折角度の範囲θh1〜θh2にそれぞれ対応する複数の周波数fh1〜fh2を上記(1)式に基づいて決定する(図6のステップSB3)。
【0049】
例えば、回折角度θh1に対応する周波数fh1、及び、回折角度θh2に対応する周波数fh2は、以下のように求められる。
fh1=θh1・Va1/λ
fh2=θh2・Va1/λ
同様に、CPU22は、光刺激領域Bにおける垂直方向の位置および範囲(図5におけるポイントPv1〜Pv2)に基づいて、第2の音響光学素子17bの回折角度の範囲θv1〜θv2を決定し(図6のステップSB4)、この回折角度の範囲θv1〜θv2にそれぞれ対応する複数の周波数fv1〜fv2を上記(1)式に基づいて決定する(図6のステップSB5)。
例えば、回折角度θv1に対応する周波数fv1、及び、回折角度θv2に対応する周波数fv2は、以下のように求められる。
fv1=θv1・Va2/λ
fv2=θv2・Va2/λ
このようにして、CPU22は、光刺激領域Bの位置および範囲に基づいて、複数の周波数を求めると、これらの情報を走査制御部19に出力する(図6のステップSB6)。
【0050】
このようにして、画像取得および光刺激の準備が完了すると、CPU22は、観察用レーザ光源8を作動させるとともに、第1のスキャナ9を上記走査範囲で走査することで、観察用レーザ光L1を標本Pの画像取得領域Aに2次元的に照射させ、これにより発生する蛍光を検出することにより、画像取得領域Aにおける蛍光画像を構築して、表示装置24に表示させる。また、上記画像取得と並行して、走査制御部19は、CPU22から取得した上記周波数fh1〜fh2およびfv1〜fv2の範囲における複数の周波数を予め設定されている周波数間隔で決定し、離散的に分布する各周波数からなる高周波信号を各振動子18a、18bに同時に印加する(図4のステップSA5)。なお、周波数間隔は、予め一意に決められていてもよいし、複数の周波数間隔が候補として予め登録されており、これらの候補の中から1つを走査制御部19が選択して設定することとしてもよい。また、オペレータが入力装置25から周波数間隔を設定できるような構成としてもよい。
【0051】
これにより、各周波数の高周波信号に基づいて振動子18a,18bがそれぞれ振動することにより、この振動が第1の音響光学素子17aおよび第2の音響光学素子17bにそれぞれ伝搬して、各音響光学結晶内に周期的な屈折率変化が生じることとなる。この状態で、CPU22により刺激用レーザ光源15が作動されると、刺激用レーザ光源15から刺激用レーザ光L2が出射され、光路上に設けられた第1の音響光学素子17aに入射することとなる。
【0052】
第1の音響光学素子17aに入射した刺激用レーザ光L2は、高周波信号の各周波数(fh1からfh2までの離散的な周波数の値)に応じた回折角度でほぼ同時に回折されることにより、図3に示すように、光刺激領域Bの水平方向に配列される複数のスポット光、換言すると、1次元分布の刺激用レーザ光L2とされて、第2の音響光学素子17bに導かれる。第2の音響光学素子17bに入射された1次元分布の刺激用レーザ光L2は、高周波信号の各周波数(fv1〜fv2までの離散的な周波数の値)に応じた回折角度でほぼ同時に回折される。これにより、光刺激領域Bの垂直方向に配列される複数のスポット光が生成され、図3に示すように、第2の音響光学素子17bからは、水平方向および垂直方向に配列された複数のスポット光、換言すると、2次元分布の刺激用レーザ光L2が出射されることとなる。
【0053】
2次元分布とされた刺激用レーザ光L2は、ダイクロイックミラー4において上述した観察用レーザ光L1と合波され、対物レンズ5を介して標本Pに照射されることとなる。これにより、刺激用領域Bの全域に対してほぼ同時に光刺激を実施することが可能となる。CPU22は、このような光刺激を指定された光刺激時間にわたって実行すると、光刺激を終了する。また、光刺激を行われている間もCPU22が観察用走査光学系2の第1のスキャナ9等を継続的に作動させることにより、光刺激前後の蛍光画像が取得され、表示装置24に連続的に表示されることとなる。
【0054】
〔光刺激領域;楕円形〕
次に、上述した図4のステップSA2において、図7に示すように、光刺激領域Bとして楕円形が指定された場合における高周波信号の周波数の設定手順について説明する。なお、光刺激領域Bとして楕円形が設定された場合には、上述した四角形のときのように、同時に全ての領域を照射することは不可能である。そこで、楕円形の場合には、時間に応じてその照射範囲が変化する1次元分布の刺激用レーザ光L2を走査することにより、楕円形の光刺激領域B全体を照射することとする。本実施形態では、第1の音響光学素子17aを走査用の光学素子として用い、第2の音響光学素子17bにより、スポット光である刺激用レーザ光L2を垂直方向に配列される複数のスポット光に変換するとともに、この複数のスポット光の端から端までの距離を時間に応じて変化させることする。なお、以下の説明においては、複数の周波数において最小周波数から最大周波数までの幅を「周波数帯域」と定義する。
【0055】
まず、制御装置20のCPU22は、刺激用レーザ光L2の波長λ、第1の音響光学素子17aにおける結晶内の音波速度Va1、第2の音響光学素子17bにおける結晶内の音波速度Va2を記憶装置21からメモリ23に読み出す。
続いて、CPU22は、この光刺激領域Bの全域を刺激するのに要する時間Tw、換言すると、この光刺激領域Bに対する光刺激開始から終了までの光刺激時間Twを決定し、この光刺激時間Tw内の任意の時間tkにおける第1の音響光学素子の回折角度をθh(tk)を求め、このtkを光刺激開始時t0から終了時twまで微小時間Δtで変化させることにより、光刺激時間Tw内における微小時間Δt毎の第1の音響光学素子17aの回折角度θh(tk:k=0,・・・,w)を求める。
【0056】
続いて、微小時間Δt毎に求めた回折角度の範囲θh(t0),・・・,θh(tw)に対応する高周波信号の周波数帯域fh(t0),・・・,fh(tw)を上記(1)式に基づいて決定する。
例えば、時刻tkにおける回折角度θh(tk)に対応する高周波信号の周波数帯域fh(tk)は、以下のように求められる。
fh(tk)=θh(tk)・Va1/λ
この結果、図8に示すように、周波数が時間に比例して、fh(t0)からfh(tw)まで離散的に増加する高周波信号が印加されることとなる。
【0057】
続いて、CPU22は、上記光刺激時間Tw内の任意の時間tkにおける第2の音響光学素子の回折角度の範囲θh1(tk)〜θh2(tk)を光刺激領域Bの垂直方向における位置及び範囲に基づいて求め、このtkを光刺激開始時t0から終了時twまで微小時間Δtで変化させることにより、光刺激時間Tw内における微小時間Δt毎の第2の音響光学素子の回折角度の範囲θv1(t0)〜θv2(t0),・・・θv1(tk)〜θv2(tk)・・・,θv1(tw)〜θv2(tw)を求める。
【0058】
続いて、微小時間Δt毎に求めた回折角度の範囲θv1(t0)〜θv2(t0)(ここでは、θv1(t0)=θv2(t0)),・・・θv1(tk)〜θv2(tk)・・・,θv1(tw)〜θv2(tw)(ここでは、θv1(tw)=θv2(tw))に対応する高周波信号の周波数帯域fv1(t0)〜fv2(t0),・・・,fv1(tw)〜fv2(tw)を上記(1)式に基づいて決定する。
例えば、時刻tkにおける回折角度の範囲θv1(tk)〜θv2(tk)に対応する高周波信号の周波数帯域fv1(tk)〜fv2(tk)は、以下のように求められる。
fv1(tk)=θv1(tk)・Va2/λ
fv2(tk)=θv2(tk)・Va2/λ
この結果、図9に示すように、周波数帯域が時間に応じて変化する高周波信号が印加されることとなる。
【0059】
このようにして、CPU22は、光刺激領域Bの位置および範囲に基づいて、振動子18a,18bにそれぞれ与える高周波信号の周波数帯域を求めると、これらの周波数情報を走査制御部19に出力する。
この結果、上述した光刺激実行時においては、上記周波数情報に基づく高周波信号が、振動子18a,18bに対して印加され、この高周波信号に応じて第1及び第2の音響光学素子17a,17bの音響光学結晶内に屈折率変化が生ずる。刺激用レーザ光源15から発せられた刺激用レーザ光L2は、第1の音響光学素子17aに入射されることにより、蛍光画像における水平方向に周波数に応じた角度分、回折されて第2の音響光学素子17bに入射する。第2の音響光学素子17bでは、周波数帯fv1(tk)〜fv2(tk)の範囲でほぼ同時に回折されることにより、蛍光画像の垂直方向に配列される複数のスポット光が生成される。換言すると、1次元分布の刺激用レーザ光L2に変換される。
【0060】
この1次元分布の刺激用レーザ光L2は、ダイクロイックミラー4において上述した観察用レーザ光L1と合波され、対物レンズ5を介して標本Pに照射されることとなる。そして、第1及び第2の振動子18a,18bに印加される高周波信号の周波数や周波数帯域が時間とともに変化することにより、標本P上で、時間に応じて垂直方向の長さが変化する1次分布の刺激用レーザ光が水平方向に走査されることとなる。この結果、図7に示した楕円形の光刺激領域Bの全域に対して刺激用レーザ光L2が照射されることとなる。
【0061】
〔光刺激領域;直線〕
次に、上述したステップSA2において、図10に示すように、光刺激領域Bとして蛍光画像の水平方向に沿った直線が指定された場合における高周波信号の周波数の設定手順について説明する。
【0062】
まず、制御装置20のCPU22は、刺激用レーザ光L2の波長λ、第1の音響光学素子17aにおける結晶内の音波速度Va1、第2の音響光学素子17bにおける結晶内の音波速度Va2を記憶装置21からメモリ23に読み出す。
続いて、CPU22は、この光刺激領域Bにおける水平方向の位置および範囲(図5におけるポイントPh1からPh2)に基づいて、第1の音響光学素子17aの回折角度の範囲θh1〜θh2を決定し、この回折角度の範囲θh1〜θh2に対応する高周波信号の周波数帯域fh1〜fh2を上記(1)式に基づいて決定する。
【0063】
例えば、回折角度θh1に対応する周波数fh1、及び、回折角度θh2に対応する周波数fh2は、以下のように求められる。
fh1=θh1・Va1/λ
fh2=θh2・Va1/λ
同様に、CPUは、光刺激領域Bにおける垂直方向の位置に基づいて、第2の音響光学素子17bの回折角度θvを決定し、この回折角度θvに対応する高周波信号の周波数帯域fvを上記(1)式に基づいて決定する。
例えば、回折角度θvに対応する周波数fvは以下のように求められる。
fv=θv・Va2/λ
【0064】
このようにして、CPU22は、光刺激領域Bの位置および範囲に基づいて、振動子18a,18bにそれぞれ与える高周波信号の周波数帯域を求めると、これらの情報を走査制御部19に出力する。
この結果、上述した光刺激実行時においては、上記周波数情報に基づく各周波数の高周波信号が、振動子18a,18bに対して印加され、この高周波信号に応じて第1及び第2の音響光学素子17a,17bの音響光学結晶内に屈折率変化が生ずる。刺激用レーザ光源15から発せられた刺激用レーザ光L2は、第1の音響光学素子17aに入射されることにより、蛍光画像における水平方向に周波数に応じた角度分、同時に回折されて1次元分布のレーザ光に変換されて、第2の音響光学素子17bに入射する。第2の音響光学素子17bでは、周波数帯fvで回折されることにより、蛍光画像の垂直方向における位置調整がなされる。位置調整された1次元分布の刺激用レーザ光L2は、ダイクロイックミラー4において上述した観察用レーザ光L1と合波され、対物レンズ5を介して標本Pに照射されることとなる。
この結果、図10に示した直線状の光刺激領域全域に対して刺激用レーザ光L2が複数のスポット光として同時に照射されることとなる。
【0065】
以上、説明してきたように、本実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡1によれば、刺激用走査光学系3が、入射された刺激用レーザ光L2を水平方向に回折させる第1の音響光学素子17aと、入射された刺激用レーザ光を垂直方向に回折させる第2の音響光学素子17bとを備えているので、2次元分布の刺激用レーザ光L2を標本Pに照射させることが可能となる。これにより、光刺激領域Bの全域に対して略同時に光刺激を実行することが可能となる。この結果、光刺激が開始されてから終了するまでの光刺激実行時間を短縮することができる。また、振動子18a,18bに印加する高周波信号の周波数の間隔を狭くすることにより、より決め細やかな光照射を行うことが可能となる。
【0066】
また、光刺激領域Bが円、楕円状に設定された場合には、第1及び第2の音響光学素子17a,17bのいずれか一方を走査用の光学素子として用いて、1次元分布の刺激用レーザ光L2を走査することにより、円、楕円状の光刺激領域Bの全域に光刺激を実行することができる。このように、1次元分布の刺激用レーザ光L2を走査する場合でも、音響光学効果を利用して刺激用レーザ光を走査することとなるので、ガルバノミラーなどを利用して刺激用レーザ光を走査する場合に比べて、走査時間を短縮することができる。
【0067】
なお、上記音響光学素子17a,17bの回折角特性、つまり、高周波信号の周波数と音響光学素子17a,17bから出射される刺激用レーザ光L2の回折角度θとの対応関係は、刺激用レーザ光L2の波長によって変化する。したがって、刺激用レーザ光L2の波長と音響光学素子の回折角特性とを対応付けて制御装置20内の記憶装置21に予め保存しておき、刺激用レーザ光L2の波長に対応する回折角特性をそのつど参照することにより、CPU22が上記高周波信号の周波数範囲を決定することとしてもよい。このように、刺激用レーザ光L2の波長と音響光学素子17a,17bの回折角特性とをそれぞれ対応付けて記憶装置21に保存しておくことで、刺激用レーザ光L2の波長を切り替えた場合でも、同じ位置に刺激用レーザ光L2を照射させることが可能となる。
【0068】
また、本実施形態においては、光刺激領域Bが四角形、円、及び直線の場合についてそれぞれ説明したが、例えば、曲線、複数の点の集合等の光刺激領域Bが指定された場合も、CPU22がこの光刺激領域Bの位置および範囲に応じて振動子18a,18bに印加する周波数または周波数帯域を決定することにより、同様に、該光刺激領域Bに対して光刺激を実行することができる。
また、本実施形態では、観察用走査光学系2と刺激用走査光学系3とを同時に作動させる場合について述べたが、この作動態様に限られず、例えば、刺激用走査光学系3を作動させている間は、観察用走査光学系2を停止させていてもよい。
更に、本実施形態では、音響光学素子として音響光学偏光器を用いる場合について述べたが、これに限れず、例えば、音響光学変調器などの他の音響光学素子を用いることとしてもよい。
また、上記実施形態では、走査制御部19がCPU22から与えられた周波数情報に基づいて、この周波数の範囲に属する各周波数を所定の周波数間隔で決定することとしたが、走査制御部19ではなくCPU22が各周波数範囲に属する離散的な周波数を決定することとしてもよい。
【0069】
また、本実施形態では、2つの音響光学素子17a,17bの組み合わせにより第2のスキャンを構成することとしたが、これに代えて、いずれか一方の音響光学素子17a,17bにより構成することとしてもよい。このような構成では、1次元的な刺激用レーザ光が標本Pに照射されることとなる。
また、音響光学素子17aと17bの配置を逆にしてもよい。
【0070】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡について説明する。
本実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡は、CPU22が振動子18a,18bに印加する高周波信号の振幅についても制御する点で第1の実施形態と異なる。
以下、本実施形態のレーザ走査型顕微鏡について、第1の実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0071】
図1において、第2のスキャナ17に採用される音響光学素子17a,17bは、振動子18a、18bに印加される高周波信号の周波数帯域に応じて、回折後、つまり出射される刺激用レーザ光L2の強度にばらつきが生ずるという特質を持つ。ここで、音響光学素子17a,17bから出射される刺激用レーザ光L2の強度と振動子18a,18bに印加される高周波信号の振幅とは比例関係にある。そこで、本実施形態においては、振動子18a,18bに印加する高周波信号の振幅を補正することにより、高周波信号の周波数帯域に応じて発生するレーザ光の強度のばらつきを解消することとしている。
【0072】
本実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡において、記憶装置23には、上述した情報に加えて、第1及び第2の音響光学素子の回折光強度特性が保存されている(図11参照)。
CPU22は、上述した第1の実施形態と同様の手順により、光刺激領域Bに応じて各振動子18a、18bに印加する高周波信号の周波数または周波数帯域を設定すると、この設定した周波数または周波数帯域に応じて、高周波信号の振幅を補正する。
具体的には、以下の(2)式を用いて、高周波信号の振幅を補正する。
【0073】
Pf´=(Pmax/Pcur)・Pf (2)
上記(2)式において、Pf´は補正後の高周波信号の振幅、Pmaxは回折後におけるレーザ光の最大強度、Pcurは補正の対象となる周波数におけるレーザ光の強度、Pfは補正前の高周波信号の振幅である。
【0074】
CPU22は、上記(2)を用いて、各高周波信号の振幅を補正し、補正後の振幅情報と設定した周波数情報とを走査制御部19に出力する。これにより、補正された振幅の高周波信号が各振動子18a,18bに印加されることとなり、第1及び第2の音響光学素子17a,17bから出力される刺激用レーザ光L2の光強度は、振動子に印加される周波数に依存せず、つまり、刺激用レーザ光L2の回折角度θにかかわらずに、同じ光強度を維持することが可能となる。
【0075】
以上説明してきたように、本実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡によれば、振動子18a,18bに印加する高周波信号の周波数に応じて振幅を補正するので、第1及び第2の音響光学素子17a,17bから出力される刺激用レーザ光L2の強度を回折角度に依存することなく同じ強度にすることができる。これにより、均一な強度を有する2次元的な刺激用レーザ光を標本Pに照射することができる。
【0076】
なお、本実施形態では、音響光学素子17a,17bにおける回折角度θによらずに、刺激用レーザ光L2の強度を均一にする場合について述べたが、図11に示した回折光強度特性を用いることにより、意図的に光強度を制御することもできる。具体的には、光刺激領域Bの一部に対して他の部分よりも強い光を照射したい場合には、その部分に関する周波数の高周波信号の振幅を大きく設定すればよい。このように、本実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡によれば、標本Pに照射させる刺激用レーザ光L2の強度制御の精度を向上させることができる。
【0077】
例えば、図5に示した矩形状の光刺激領域Bにおいて、水平方向に対して光強度を変化させたい場合には、水平方向に対応する第1の音響光学素子17aの第1の振動子18aに与える各周波数の高周波信号の振幅を位置に応じて変化させればよい。
【0078】
例えば、図12に示すように、光刺激領域Bにおいて、左側の領域A1、中央の領域A2、右側の領域A3の順で段階的に光強度を低くする場合には、図13に示されるように、左側の領域に対応する周波数の高周波信号の振幅を最も高くし、中央の領域A2に対応する周波数の高周波信号の振幅を中間的な値とし、右側の領域に対応する周波数の高周波信号の振幅を最も低くするとよい。なお、ここでは、水平方向に沿って光強度を変化させたい場合について説明したが、同様に、第2の音響光学素子17bに対応する第2の振動子18bに印加する高周波信号の振幅を周波数に応じて変化させることで、2次元的に光強度を変化させることが可能となる。これにより、より細やかな強度制御が実現できる。
【0079】
また、例えば、図14に示すように、楕円型の光刺激領域Bの中央部に刺激用レーザ光L2を照射させたくない場合、つまり、ドーナツ型の光刺激領域Bに刺激用レーザ光L2を照射させる場合には、第2の音響光学素子17bにおいて、光刺激を実施させたくない領域に対応する周波数帯域の振幅をゼロとすることにより、光照射を回避させることが可能となる。例えば、図15に示すように、ある時刻tkにおいては、fvaからfvdの周波数帯域において、fvbからfvcの周波数帯域については、光強度をゼロにすることで、この周波数fvbからfvcに対応する領域への刺激用レーザL2の照射を回避することが可能となる。そして、時間に応じて、振幅をゼロにする周波数帯域を変化させることで、図14に示すようなドーナツ型の光刺激領域Bに対して光刺激を行うことが可能となる。
【0080】
このように、高周波信号の振幅について制御することにより、各位置における光強度を調節することで、図14に示したようなドーナツ型の光刺激領域Bをはじめ、様々な形状の光刺激領域Bに対応することが可能となる。これにより、生細胞等の非幾何学的形状の対象物であっても、その形状に合せて光刺激を行うことが可能となる。例えば、神経等の1つの細胞全体において、細胞核の部分だけを除いて光刺激することが可能となる。
【0081】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡について説明する。
本実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡が、第1の実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡1と異なる点は、図16に示すように、上記第2の音響光学素子17bに代えて、ガルバノミラー51を配置し、このガルバノミラー51を機械的に振動させて光偏向を行う点である。
このガルバノミラー51は、第1の音響光学素子17aにより蛍光画像の水平方向における位置調整等がされた刺激用レーザ光L2を、蛍光画像の垂直方向に走査するものである。
【0082】
例えば、このようなレーザ走査型顕微鏡では、刺激用レーザ光源15から出射された刺激用レーザ光L2は、第1の音響光学素子17aによって水平方向における1次元分布の刺激用レーザ光L2とされてガルバノミラー51に導かれる。ガルバノミラー51では、1次元分布の刺激用レーザ光L2が垂直方向に走査され、ミラー52を介してダイクロイックミラー4に導かれ、観察用レーザ光L1と合波されて、対物レンズ5を介して標本Pに照射される。これにより、水平方向における1次元分布の刺激用レーザ光L2が垂直方向に走査されることにより、所望の光刺激領域Bに対して効率的に光刺激を実行することができる。
【0083】
なお、上記実施形態において、ガルバノミラー51と第1の音響光学素子17aとの配置を入れ替えてもよく、また、ガルバノミラー51とミラー52との配置を入れ替えてもよい。また、第2のスキャン17を第2の音響光学素子17bとガルバノミラー51との組み合わせによって構成することとしてもよい。
【0084】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡を示す全体構成図である。
【図2】図1に示した音響光学素子の作用を説明するための説明図である。
【図3】図1に示した第2のスキャナの作用を説明するための説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【図5】蛍光画像において画像取得領域と四角形の光刺激領域とが指定されたときの表示画面の一例を示した図である。
【図6】刺激用走査条件設定において、高周波信号の周波数を決定するための処理手順の一例を示したフローチャートである。
【図7】蛍光画像において画像取得領域と楕円形の光刺激領域とが指定されたときの表示画面の一例を示した図である。
【図8】楕円形の光刺激領域が指定されたときの第1の振動子に印加される高周波信号の周波数と時間との関係を示した図である。
【図9】楕円形の光刺激領域が指定されたときの第2の振動子に印加される高周波信号の周波数と時間との関係を示した図である。
【図10】蛍光画像において画像取得領域と楕円形の光刺激領域とが指定されたときの表示画面の一例を示した図である。
【図11】回折光強度特性の一例を示した図である。
【図12】光刺激領域内の光強度を変化させる場合の一例を示した図である。
【図13】図12に示した光強度となるように刺激用レーザ光を照射させる場合において、第1の振動子に印加される周波数と振幅との関係を示した図である。
【図14】ドーナツ型の光刺激領域を示した図である。
【図15】図14に示したドーナツ型の光刺激領域が指定されたときの時刻tkにおいて第2の振動子に印加される高周波信号の周波数と振幅の関係を示した図である。
【図16】本発明の第3の実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡における第2のスキャナの構成の一例を示した図である。
【符号の説明】
【0086】
P 標本
F 蛍光
L1 観察用レーザ光
L2 刺激用レーザ光
1 レーザ走査型顕微鏡
2 観察用走査光学系
3 刺激用走査光学系
4 ダイクロイックミラー
5 対物レンズ
6 光検出器
8 観察用レーザ光源
9 第1のスキャナ
9a 第1のガルバノミラー
9b 第2のガルバノミラー
15 刺激用レーザ光源
17 第2のスキャナ
17a,17b 音響光学素子
18a,18b 振動子
19 走査制御部
20 制御装置
21 記憶装置
22 CPU
23 メモリ
24 表示装置
25 入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標本を観察するための観察用レーザ光をステージに載置された標本に対して2次元的に照射し、前記標本から発せられる光を検出して、蛍光画像を構築し、表示するレーザ走査型顕微鏡であって、
前記標本に光刺激を与えるための刺激用レーザ光を射出する刺激用レーザ光源と、
前記刺激用レーザ光を走査する刺激用走査部と、
前記刺激用走査部を制御する制御部と、
前記刺激用走査部により走査された前記刺激用レーザ光を集光して標本に照射する対物レンズと
を有し、
前記刺激用走査部が、前記刺激用レーザ光の光路上に配置された少なくとも1つの音響光学素子を備え、
前記制御部が、光刺激を与える領域の位置および範囲に基づいて複数の周波数を決定し、決定した複数の周波数の高周波信号を、前記音響光学素子に取り付けられている振動子に対して、同時に印加することにより、前記領域に同時に前記刺激用レーザ光を照射するレーザ走査型顕微鏡。
【請求項2】
前記刺激用走査部が、
入射された刺激用レーザ光を第1の方向に回折させる第1の音響光学素子と、
入射された刺激用レーザ光を前記第1の方向と交わる方向に回折させる第2の音響光学素子と
を具備する請求項1に記載のレーザ走査型顕微鏡。
【請求項3】
前記第1の音響光学素子と前記第2の音響光学素子のそれぞれの振動子に対して、それぞれ複数の周波数の高周波信号を同時に印加することにより、標本上の二次元の領域に同時に刺激用レーザ光を照射する請求項2に記載のレーザ走査型顕微鏡。
【請求項4】
前記刺激用レーザ光に照射される二次元の領域は矩形である請求項3に記載のレーザ走査型顕微鏡。
【請求項5】
前記第1の音響光学素子と前記第2の音響光学素子の一方の振動子に対して複数の周波数の高周波信号を同時に印加することにより、標本上の一直線上の領域に同時に刺激用レーザ光を照射する請求項2に記載のレーザ走査型顕微鏡。
【請求項6】
前記刺激用レーザ光に照射される一直線上の領域は、所定長さの線分である請求項5に記載のレーザ走査型顕微鏡。
【請求項7】
前記第1の音響光学素子と前記第2の音響光学素子の一方の振動子に対して複数の周波数の高周波信号を同時に印加するとともに、他の振動子に少なくとも一つで時間的に変化する周波数の高周波信号を印加することにより、前記一方の振動子によって駆動される音響光学素子から射出される一直線状の照射領域を前記他方の振動子により駆動される音響光学素子によって切り替え、これにより標本上の二次元領域に刺激レーザ光を照射する請求項2に記載のレーザ走査型顕微鏡。
【請求項8】
前記一方の振動子に印加される高周波信号が有する周波数は、時間的に変化する請求項7に記載のレーザ走査型顕微鏡。
【請求項9】
前記刺激用レーザ光が照射される標本上の二次元領域は円形である請求項8に記載のレーザ走査型顕微鏡。
【請求項10】
前記刺激用走査部は、
入射された刺激用レーザ光を水平方向または垂直方向に回折させる音響光学素子と、
前記音響光学素子の回折方向に略直交する方向に、入射された刺激用レーザ光を走査する走査用ミラーと
を具備する請求項1に記載のレーザ走査型顕微鏡。
【請求項11】
前記音響光学素子の振動子に対して複数の周波数の高周波信号を同時に印加することにより、標本上の一直線状の領域に同時に刺激用レーザ光を照射する請求項10に記載のレーザ走査型顕微鏡。
【請求項12】
前記刺激用レーザ光に照射される一直線状の領域は所定長さの線分である請求項11に記載のレーザ走査型顕微鏡。
【請求項13】
前記音響光学素子の振動子に対して複数の周波数の高周波信号を同時に印加し、前記音響光学素子によって同時に照射される一直線状の領域の照射位置を走査ミラーによって走査することにより、標本上の二次元領域に刺激用レーザ光を照射する請求項10に記載のレーザ走査型顕微鏡。
【請求項14】
前記振動子に印加される高周波信号が有する周波数は時間的に変化する請求項13に記載のレーザ走査型顕微鏡。
【請求項15】
前記刺激用レーザ光が照射される標本上の二次元領域は円形である請求項14に記載のレーザ走査型顕微鏡。
【請求項16】
前記制御部が、前記刺激用レーザ光の波長を考慮して前記高周波信号の周波数を決定する請求項1から請求項15のいずれかに記載のレーザ走査型顕微鏡。
【請求項17】
前記制御部が、前記音響光学素子の回折光強度の回折角度特性に応じて、前記高周波信号の振幅を補正する請求項1から請求項16のいずれかに記載のレーザ走査型顕微鏡。
【請求項18】
前記観察用レーザ光を前記標本上で走査する走査部を備える請求項1から請求項17のいずれかに記載のレーザ走査型顕微鏡。
【請求項19】
前記刺激用レーザ光が照射される前記領域が、観察用レーザ光の照射によって予め取得された画像上で指定可能とされている請求項1から請求項18のいずれかに記載のレーザ走査型顕微鏡。
【請求項20】
前記高周波信号の複数の周波数の間隔を所定値より狭めることで、前記刺激用レーザ光を同時に照射する領域が空間的に連続する請求項1から請求項19のいずれかに記載のレーザ走査型顕微鏡。
【請求項21】
前記制御部は、前記決定した複数の周波数ごとに振幅の異なる高周波信号を前記振動子に同時に印加することにより、前記領域ごとの前記刺激用レーザ光の照射強度を異ならせる請求項1から請求項20のいずれかに記載のレーザ走査型顕微鏡。
【請求項22】
標本を観察するための観察用レーザ光をステージに載置された標本に対して2次元的に照射し、前記標本から発せられる光を検出して、蛍光画像を構築し、表示する顕微鏡観察方法であって、
前記標本に光刺激を与えるための刺激用レーザ光の光路上に少なくとも1つの音響光学素子を配置し、各前記音響光学素子に取り付けられている振動子に対して、光刺激領域の位置および範囲に応じて決定される複数の周波数の高周波信号を同時に印加する顕微鏡観察方法。
【請求項23】
標本を観察するための観察用レーザ光をステージに載置された標本に対して2次元的に照射する観察用走査光学系と、前記標本から発せられる光を検出する光検出部と、前記標本に光刺激を与えるための刺激用走査光学系とを有し、該刺激用走査光学系が少なくとも1つの音響光学素子を有するレーザ走査型顕微鏡において、前記刺激用走査光学系の制御を行うための光刺激制御プログラムであって、
光刺激領域の位置および範囲に応じて、前記音響光学素子の回折範囲を設定する処理と、
前記回折範囲に対応する一または複数の周波数を求める処理と、
前記一または複数の周波数を有する高周波信号を同時に、前記音響光学素子に取り付けられている振動子に対して印加させる処理と
をコンピュータに実行させるための光刺激制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−9395(P2008−9395A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−137373(P2007−137373)
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】