説明

レーダによって測定された乱流強度を垂直ディスプレイ上に表示するためのシステムおよび方法

【課題】レーダによって測定された乱流強度を垂直ディスプレイ上に表示するためのシステムおよび方法を提示すること。
【解決手段】気象レーダ検出システムおよび方法は、乱流領域(112、114、116)の強度の垂直図(602)を表示するように動作可能である。一例示的実施形態は、乱流を検出するように動作可能なレーダ(210)と、検出された乱流の位置および強度を決定するように動作可能な処理システム(212)と、航空機(104)に対する固有の地理位置と結合した複数のボクセルからなる三次元(3−D)気象情報データベース(236)であって、乱流強度に対応する情報が記憶されている三次元(3−D)気象情報データベース(236)と、選択された垂直スライス(306)の垂直図を表示するように動作可能なディスプレイ(222)であって、決定された乱流強度および決定された乱流の位置がこの表示される垂直図(602)によって表示されるディスプレイ(222)とを有している。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
航空機気象レーダは、解析されたレーダエコーに基づいて危険な気象情報を表示する。検出された危険な気象情報に対応するレーダエコー情報は、通常、航空機が飛行している地理領域を示す平面図を使用して、ディスプレイ上で航空機乗務員に提示される。いくつかのレーダシステムは、任意選択で、航空機に対する選択された方位、たとえば航空機の進行方向などに沿った垂直スライス図に対応する危険な気象情報のうちの選択された部分を提示するように構成することができる。このような垂直スライスにより、選択された垂直スライスに沿って位置するあらゆる危険な気象の航空機からの高度および相対距離が表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】米国特許第6667710号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
受け取った危険な気象情報を解析し、かつ解釈する処理システムは、ますます計算効率の良いものになりつつあり、その結果、より大量の危険な気象情報をより速やかに、かつ、より効率的に処理することができる。したがって、選択された垂直スライスに沿って表示される危険な気象情報に対応する追加情報が提示されることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
乱流領域の強度の垂直図をディスプレイ上に提示するシステムおよび方法が開示される。一例示的実施形態は、乱流を検出するように動作可能なレーダと、検出された乱流の位置および強度を決定するように動作可能な処理システムと、航空機に対する固有の地理位置と結合した複数のボクセルからなる三次元(3−D)気象情報データベースであって、乱流強度に対応する情報が記憶されている三次元(3−D)気象情報データベースと、選択された垂直スライスの垂直図を表示するように動作可能なディスプレイであって、表示される垂直図が、決定された乱流強度および決定された乱流の位置を表示するディスプレイとを有する。
【0005】
他の態様によれば、一例示的実施形態は、レーダエコー情報を受け取り、受け取ったレーダエコー情報から少なくとも第1の乱流領域および第2の乱流領域を識別し、第1の乱流領域の第1の位置および第2の乱流領域の第2の位置を決定し、かつ、第1の乱流領域の第1の重大度および第2の乱流領域の第2の重大度を決定する。この実施形態は、選択された垂直スライスに基づいて、選択された垂直スライスに沿って位置する第1の乱流領域の第1の部分および第2の乱流領域の第2の部分を、第1の乱流領域の第1の位置および第2の乱流領域の第2の位置に基づいて識別し、次いで、第1の乱流領域の第1の部分および第2の乱流領域の第2の部分の垂直スライス図を表示し、この垂直スライス図は、選択された垂直スライスに沿って位置する第1の乱流領域の第1の部分の第1の高度および第1の強度を示し、また、この垂直スライス図は、選択された垂直スライスに沿って位置する第2の乱流領域の第2の部分の第2の高度および第2の強度を示す。
【0006】
以下、好ましい代替実施形態について、次の図面を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】複数のストームセルおよび乱流領域を有する空間領域を通る航空機の計画飛行経路の一部の斜視図である。
【図2】垂直表示および乱流識別システムの一実施形態のブロック図である。
【図3】複数のボクセルからなる三次元(3D)気象情報記憶ブロックの一部の概念斜視図である。
【図4】複数のストームセルおよび乱流領域を有する空間領域を通る計画飛行経路の平面図を提示する表示イメージである。
【図5】飛行経路に沿って整列したボクセルの垂直スライスの概念斜視図である。
【図6】垂直スライスのボクセルに対応する気象情報を表示する垂直スライス図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、異なるタイプの気象を有する空間領域106を通る航空機104の計画飛行経路102の一部の斜視図である。この例における気象には、複数のストームセル108、110および乱流領域112、114、116、118が含まれる。「気象」という用語は、一般に、それらに限定されないが、航空機104が遭遇する可能性があるストームセル、乱流領域、雲、降水、雹、雪、風のシヤー、着氷状態など、任意のタイプの、気象レーダが検出することができる気象現象を意味する。
【0009】
乱流領域112は、ストームセル108を通り抜けた後に存在しており、概ね飛行経路102に沿って位置する。乱流領域114および116は、ストームセル108の中に存在している。乱流領域118は、ストームセル110の中に存在している。乱流領域112、114、116、118は、ストームセル108、110とは別に正確に描写するために断面線領域として概念的に示されている。乱流領域の重大度は、乱流領域の輪郭の太さによって概念的に示されている。たとえば、乱流領域112は、乱流領域114、116、118より烈しい。乱流領域116は、乱流領域112、114、118より穏やかである。したがって垂直表示および乱流識別システム200(図2)の実施形態は、検出される乱流の重大度の相対レベルを区別しており、したがって航空機104に対する危険のレベルを決定する。
【0010】
例示のために、計画飛行経路102は、上側の高度閾値120、下側の高度閾値122、2つの横方向の閾値124、126および距離範囲閾値128によって規定される空間領域106によって任意に境界が引かれている。下側の高度閾値122は、計画飛行経路102より低い距離によって規定されており、また、上側の高度閾値120は、計画飛行経路102より高い距離によって規定される。横方向の閾値124、126は、計画飛行経路102の両側までの距離によって規定される。距離範囲閾値128は、計画飛行経路102に沿った航空機104からのある距離によって規定される。高度閾値120、122、横方向の閾値124、126および距離範囲閾値128を規定するこれらの距離は、同じであってもあるいは異なっていてもよい。さらに、これらの距離は、予め規定することも、あるいは調整可能とすることもできる。たとえば、距離範囲閾値128は、航空機104の乗務員に対して表示されている他の情報に対応するように自動的に調整可能とすることができ、および/またはこの距離範囲閾値128は、航空機104の乗務員によって手動で重要な距離範囲に調整可能とすることができる。
【0011】
また、図には、航空機104からの様々な範囲の距離130、132、134が示されている。これらの距離130、132、134を乗務員に対して表示し、航空機104からのストームセル108、110および乱流領域112、114、116、118の相対距離を示すことができる。
【0012】
また、図1には、垂直スライス136が概念的に示されている。垂直スライス136は空間領域106の一部に対応している。ここでは、垂直スライス136は飛行経路102に沿って整列しており、上側の高度閾値120、下側の高度閾値122および距離範囲128によって任意に境界が引かれている。いくつかの実施形態では、垂直スライス136は、二次元平面(厚さがない)に存在していてもよい。他の実施形態では、垂直スライス136は、厚さによってさらに規定することも可能である。様々な実施形態では、垂直スライス136は、その境界を予め規定することができる。別法としては、他の実施形態は、垂直スライス136の複数の境界のうちの1つまたは複数を航空機104の乗務員に指定させることも可能である。たとえば、垂直スライス136は、航空機104からの方位および/または乗務員にとって重要な厚さによって選択的に規定することができる。
【0013】
垂直表示および乱流識別システム200(図2)の実施形態は、乱流領域の重大度のレベルを決定するように構成されており、また、さらに、垂直スライス136に対応する垂直図の中にアイコンをフォーマットし、かつ、提示するように構成されている。したがって、乗務員は、垂直図の上に表示されている重要な乱流領域の危険の相対程度および高度を評価することができる。
【0014】
図2は、航空機104の航空電子工学システム202の中に実施された垂直表示および乱流識別システム200の一例示的実施形態のブロック図である。航空電子工学システム202は、衛星航法システム(GPS)204、トランシーバ206、慣性測定ユニット(IMU)208、レーダシステム210、処理システム212、表示システム214、メモリ216および乗務員インタフェース218を備える。レーダシステム210は、レーダ信号を放出し、かつ、レーダエコーを受け取るように動作可能なアンテナ220を備える。表示システム214はディスプレイ222を備える。航空電子工学システム202は、図示されていない、あるいは本明細書において説明されていない他の多くのコンポーネントおよび/またはシステムを備えることは理解されよう。
【0015】
一例示的実施形態では、上で説明したコンポーネントは、通信バス224を介して一体に通信結合されている。航空電子工学システム202の代替実施形態では、上で説明したコンポーネントは、異なる方法で互いに通信結合することができる。たとえば、上で説明した複数のコンポーネントのうちの1つまたは複数は、処理システム212に直接結合することができ、あるいは中間に存在しているコンポーネント(図示せず)を介して処理システム212に結合することができる。
【0016】
レーダシステム210は、それには限定されないが、航空機104から比較的遠くに離れた位置の気象を検出するように動作可能な気象レーダなどの適切な任意のレーダシステムであってもよい。アンテナ220は、レーダパルスを放出し、かつ、レーダエコーを受け取るように動作可能である。レーダエコーは、放出されたレーダパルスが対象に入射し、その対象で反射したエネルギーである。アンテナ220は、レーダシステム210が気象、より詳細には航空機104の周囲の重要な領域の乱流を検出することができるよう、前後運動で上下の方向および/または他の重要な方向に掃引される。垂直表示および乱流識別システム200の実施形態は、船舶用レーダなどの他のタイプおよび/または他の用途のレーダの中で実施することができる。
【0017】
垂直表示および乱流識別システム200の一例示的実施形態は、協同して作用する複数のモジュールを備える。これらのモジュールは、レーダ情報処理モジュール226、飛行計画処理モジュール228、垂直表示処理モジュール230、乱流強度処理モジュール232および気象情報表示モジュール234として識別されている。これらのモジュール226、228、230、232、234は、メモリ216の中に存在しており、処理システム212によって検索され、かつ、実行される。一例示的実施形態では、三次元(3−D)気象情報データベース236がメモリ216の中に記憶されている。他の実施形態では、モジュール226、228、230、232、234は、共通モジュールとしてまとめて実施することができ、他のモジュールの中に統合することができ、あるいは他のメモリ(図示せず)の中に存在させることができる。さらに、3−D気象情報データベース236は、他のデータベースと共に実施することができ、バッファ、等々などの様々なフォーマットで実施することができ、および/または他のメモリの中で実施することができる。
【0018】
図3は、レンジビンとして規定された離散体積の領域としての3−D気象情報データベース236の一部302を概念的に示したものである。個々のレンジビンは複数の体積のうちの1つに対応しており、本明細書においてはボクセル(voxel)304と呼ばれている。これらのボクセル304は、航空機(または他の適切な基準)に対する地理的な空間位置にそれぞれ独自に対応している。位置に対する地理的な基準には適切な任意の座標系を使用することができる。3−D気象情報データベース236の一例示的実施形態は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2002年2月19日に出願した、本発明の譲受人に譲渡された、Cornellらに対する米国特許第6667710号に従って実施される。
【0019】
個々のボクセル304の地理位置に対応する気象情報は、3−D気象情報データベース236の中に保存されている。したがって、航空機104の周囲の気象からのレーダエコーに基づいて3−D気象情報マップ、等々を作成することができる。時刻表示および他の重要な情報を含めることも可能である。
【0020】
また、図3には、ボクセル304の垂直スライス306が示されている。例示的垂直スライス306は、航空機104の飛行経路102と整列している。ボクセル304の垂直スライスはすべて選択が可能であり、たとえば航空機104からの選択された方位に沿った任意の垂直スライスを選択することができる。垂直スライス306は、直線であってもあるいは曲線であってもよい。したがってこれらの実施形態は、選択された垂直スライス306に沿って位置する第1の乱流領域(乱流領域114など)の第1の部分および第2の乱流領域(乱流領域112など)の第2の部分を、第1の乱流領域の位置および第2の乱流領域の位置に基づいて識別する。
【0021】
別法としては、ボクセル304の複数のスライスを組み合わせて、より分厚い垂直スライス306を生成することも可能である。つまり、これらの実施形態は、三次元(3−D)気象情報データベース236内の複数のボクセル304から選択される垂直スライス306に基づいて、これらのボクセルの少なくとも2つの垂直スライスを識別する。次に、隣接する個々のボクセル304の中に存在している気象情報を組み合わせることにより、より分厚い垂直スライス306が生成される。隣接するボクセル304の中の気象情報は、様々な方法を使用して組み合わせることができる。一実施形態は、隣接するボクセル304に対する乱流強度情報を平均することができる。他の実施形態は、隣接するボクセル304から最も烈しい乱流強度情報を選択することができる。
【0022】
レーダ情報処理モジュール226は、レーダシステム210のアンテナ220によって検出されるレーダエコーを処理する。様々なタイプの気象およびそれらに関連する属性がこのレーダ情報処理モジュール226によって決定される。より詳細には、検出された乱流領域に対するレーダエコー情報が決定される。選択された決定済み気象情報が3−D気象情報データベース236の対応するボクセル304に保存される。
【0023】
気象情報表示モジュール234は、3−D気象情報データベース236の中に記憶されている気象情報にアクセスし、その気象情報の図形表現に対応する表示可能なイメージを構築する。気象情報のこの表示可能なイメージが表示システム214に送られ、ディスプレイ222上に提示される。
【0024】
飛行計画処理モジュール228は飛行計画情報を処理する。飛行計画は、乗務員が予め規定し、および/または入力することができる。予め規定される飛行計画には、通常、一連の中間地点に基づく複数の計画飛行経路セグメントが含まれる。計画飛行経路セグメントは、直線であってもあるいは曲線であってもよい。飛行計画情報には、中間地点および/または飛行経路セグメントの位置を規定する地理位置情報および計画高度情報が含まれる。飛行計画情報には、任意選択で、最低高度、最高高度および/または排他領域もしくはゾーンなどの様々なリミットを含めることも可能である。いくつかの実施形態では、飛行計画は、飛行中、GPS204および/またはIMU208によって提供される航空機104の現在位置に基づく乗務員の入力、および/またはトランシーバ206が受け取る指示または情報に基づく乗務員の入力に基づいて動的に調整することができる。
【0025】
乱流強度処理モジュール232は、レーダエコー情報をさらに処理し、検出された乱流に対する乱流強度情報および乱流領域の位置を決定する。乱流強度情報および位置情報は、3−D気象情報データベース236に保存され、好ましくは検出された乱流の地理位置に対応するボクセル304の中に保存される。
【0026】
垂直表示処理モジュール230は、垂直スライス306(図3)などの予め規定されている垂直平面または選択された垂直平面に沿った気象情報、より詳細には乱流位置情報および乱流強度情報を検索する。検索された気象情報は、気象情報を示す垂直スライス306に対応するイメージを準備する気象情報表示モジュール234に送られる。この垂直スライスイメージがディスプレイ222上に表示される。
【0027】
図4は、空間領域106を通る計画飛行経路102の平面図402を提示するディスプレイ222上に表示された概念イメージ表示である。この平面図402には、複数のストームセル108、110および乱流領域112、114、116、118が表示されている。図1と同様、図4のアイコンの参照数表示は、便宜上、図1のストームセル108、110および乱流領域112、114、116、118の参照数表示に対応している。
【0028】
この例示的実施形態では、乱流領域112、114、116、118の強度は、表示されている乱流アイコンの太い輪郭によって示されている。これらの実施形態は、選択された異なるアイコンフォーマット(充填パターンスキーム、充填カラースキームおよび/または強度スキーム)を使用して乱流領域の強度を区別することができる。たとえば、一実施形態は、マゼンタなどの予め規定された色を使用して乱流を示すことができる。より烈しい乱流領域、したがってより危険な乱流領域は、徐々に明るくなる(および/または徐々に暗くなる)マゼンタの陰を使用して識別される。さらに、表示されている乱流領域は、他のタイプの気象を表すアイコンの上に重畳している。たとえば、乱流領域114、116を表しているアイコンは、ストームセル108を表しているアイコンの上に重畳している。いくつかの実施形態では、単一の乱流領域は、強度が異なる部分を有することができ、このような異なる強度は、上で言及したようにして示される。
【0029】
この平面図402には、表示されている気象情報についての高度情報は示されていないことは理解されよう。たとえば、航空機104の乗務員は、補足情報がない場合、計画飛行経路102に対する乱流領域112、114、116、118の相対垂直位置を確認することはできない。
【0030】
図5は、航空機104の飛行経路102に沿って整列したボクセル304の垂直スライス306の概念斜視図である。垂直スライス306の様々なボクセル304に記憶されている気象情報を概念的に示すために、乱流領域112、114、116およびストームセル108が示されている。垂直スライス306に沿った気象情報が気象情報表示モジュール234によって3−D気象情報データベース236から検索される。図1と同様、図5のアイコンの参照数表示は、便宜上、図1の参照数表示に対応している。
【0031】
図6は、垂直スライス306のボクセルに対応する気象情報を表示する垂直スライス図602である。図1と同様、図6のアイコンの参照数表示は、便宜上、図1の参照数表示に対応している。表示されている乱流領域は、表示されているストームセルなどの他のタイプの気象情報の上に表示されている。
【0032】
垂直スライス図602には、乱流領域114、116、118の相対位置が飛行経路102と共に示されている。さらに、ディスプレイ222上の垂直スライス図602を見ている乗務員には乱流領域114、116、118の相対強度、したがって重大度を識別することができる。したがって乗務員は、航空機104が飛行経路102に沿った進路をこのまま維持した場合、ストームセル108を横切ることになり、かつ、ストームセル108を通過中に、重大度の程度が比較的穏やかな乱流領域114を横切ることになることを認識する。さらに、乗務員は、それが飛行経路102の上方に位置するため、航空機は乱流領域116を通過しないことを認識する。また、乗務員は、最後に、航空機104がこのまま計画飛行経路102を維持した場合、航空機は、ストームセル108を通り抜けた後に存在している烈しい乱流領域118を通過することになることを認識する。
【0033】
計画されている飛行経路102によれば、比較的烈しい乱流を航空機104が横切ることになる観点から、乗務員は、異なる飛行経路への変更を選択することができる。たとえば、乗務員は、乱流領域114、118の下側を通過するよう、高度を低くする道を選択することができる。
【0034】
これらの実施形態の場合、垂直スライス図602を調整することができる。たとえば例示的な垂直スライス図602は、最高高度120および最低高度122によって境界が引かれている。いくつかの実施形態では、表示されている垂直スライス図602の上に提示されている高度および/または提示されている距離範囲を手動で選択することができる。いくつかの実施形態では、垂直スライス図602の選択された部分の拡大図、つまりズームされた図を乗務員が選択することができる。
【0035】
さらに、垂直スライス図602は、飛行経路102の変更に基づいて動的に、かつ、自動的に調整することができる。たとえば、乗務員は、航空機104の飛行経路を変更し、乱流領域114を回避するために(また、恐らく、ストームセル108を通り抜けた後に存在している乱流領域112を回避するために)ストームセル108を迂回する決定を下すことができる。乗務員によって飛行計画が調整されると、飛行計画処理モジュール228および気象情報表示モジュール234は、更新された計画飛行経路に対応する複数の新しい垂直スライスを協同して識別し、かつ、新しい計画飛行経路に沿った気象情報を示す垂直スライス図602を提示することになる。
【0036】
垂直表示および乱流識別システム200の実施形態は、選択される任意の垂直空間スライスであって、その垂直空間スライスに対する気象情報を3−D気象情報データベース236で利用することができる垂直空間スライスに対応する垂直スライス図602を提示するように構成することができる。たとえば、計画飛行経路は、中間地点によって接続された複数の飛行経路セグメント(方向は異なっている)からなっていてもよい。飛行計画処理モジュール228および気象情報表示モジュール234は、計画飛行経路に対応する複数の垂直スライスを協同して識別し、かつ、その計画飛行経路に沿った気象情報を示す垂直スライス図602を提示することになる。中間地点は、一連の飛行経路セグメントからなるこのような飛行経路のための垂直スライス図602の上に示すことも可能である。
【0037】
いくつかの実施形態では、垂直スライス図602(図6)および平面図402(図4)の両方が同時にディスプレイ222(図2)上に表示される。したがって航空機104の乗務員は、3−D気象情報データベース236で利用することができる気象情報をより容易に相関させることができる。
【0038】
垂直表示および乱流識別システム200の実施形態は、それらに限定されないが、ファームウェア、ソフトウェアまたは処理システム212によって実行される他のコンピュータ可読媒体などの様々なフォーマットで実施することができる。また、垂直表示および乱流識別システム200の実施形態は、ハードウェアとファームウェアの組合せとして実施することも可能である。垂直表示および乱流識別システム200のすべてのこのような実施態様は、本開示の範囲内であることが意図されている。
【符号の説明】
【0039】
102 計画飛行経路
104 航空機
106 空間領域
108、110 ストームセル
112、114、116、118 乱流領域
120 上側の高度閾値(最高高度)
122 下側の高度閾値(最低高度)
124、126 横方向の閾値
128 距離範囲閾値
130、132、134 航空機104からの様々な範囲の距離
136、306 垂直スライス
200 垂直表示および乱流識別システム
202 航空電子工学システム
204 衛星航法システム(GPS)
206 トランシーバ
208 慣性測定ユニット(IMU)
210 レーダシステム
212 処理システム
214 表示システム
216 メモリ
218 乗務員インタフェース
220 アンテナ
222 ディスプレイ
224 通信バス
226 レーダ情報処理モジュール
228 飛行計画処理モジュール
230 垂直表示処理モジュール
232 乱流強度処理モジュール
234 気象情報表示モジュール
236 三次元(3−D)気象情報データベース
302 3−D気象情報データベース236の一部
304 ボクセル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乱流領域(112、114、116)の強度の垂直図をディスプレイ(222)上に提示するための方法であって、
レーダエコー情報を受け取るステップと、
前記受け取ったレーダエコー情報から少なくとも第1の乱流領域および第2の乱流領域を識別するステップと、
前記第1の乱流領域の第1の位置および前記第2の乱流領域の第2の位置を決定するステップと、
前記第1の乱流領域の第1の重大度および前記第2の乱流領域の第2の重大度を決定するステップと、
垂直スライス(306)を選択するステップと、
前記選択された垂直スライス(306)に沿って位置する前記第1の乱流領域の第1の部分および前記第2の乱流領域の第2の部分を、前記第1の乱流領域の前記第1の位置および前記第2の乱流領域の前記第2の位置に基づいて識別するステップと、
前記第1の乱流領域の前記第1の部分および前記第2の乱流領域の前記第2の部分の垂直スライス図(602)を表示するステップと、を含み、
前記垂直スライス図(602)は、前記選択された垂直スライス(306)に沿って位置する前記第1の乱流領域の前記第1の部分の第1の高度および第1の強度を示し、且つ、前記垂直スライス図(602)は、前記選択された垂直スライス(306)に沿って位置する前記第2の乱流領域の前記第2の部分の第2の高度および第2の強度を示す、
方法。
【請求項2】
前記第1の乱流領域の前記第1の位置を決定するステップ、および前記第2の乱流領域の前記第2の位置を決定するステップは、
三次元(3−D)気象情報データベース(236)の複数のボクセルに対する前記第1の乱流領域の前記第1の位置および前記第2の乱流領域の前記第2の位置を識別するステップと、
前記第1の乱流領域の前記第1の位置および前記第2の乱流領域の前記第2の位置に対応する情報を、前記ボクセルの対応する位置に基づいて前記ボクセルの中に記憶するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の乱流領域の前記第1の重大度を決定するステップ、および前記第2の乱流領域の前記第2の重大度を決定するステップは、
前記3−D気象情報データベース(236)の前記複数のボクセルに対する前記第1の乱流領域の前記第1の重大度および前記第2の乱流領域の前記第2の重大度を識別するステップと、
前記第1の乱流領域の前記第1の重大度および前記第2の乱流領域の前記第2の重大度に対応する情報を、前記ボクセルの前記位置に基づいて前記ボクセルの中に記憶するステップと、
を含む、請求項2に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate