説明

レーダシステム、物体検出方法、レーダ装置、電波反射体

【課題】 レーダ装置と電波反射体とを併用する物体検出において、設置環境等に影響されることなく、高精度の物体検出を実現する。
【解決手段】 レーダ送受信機10は、水平偏波の偏波送信波21を検出反射体30に向けて送信する水平偏波送信アンテナ11aと、垂直偏波のみを選択的に受信する垂直偏波受信アンテナ11cを備えている。検出反射体30は、入射した偏波送信波21の偏波面を90°変化させて垂直偏波の偏波受信波22として送受信アンテナ11に向けて反射する機能を備えている。検出反射体30の近傍にノイズ物体が存在しても、このノイズ物体からは水平偏波の偏波送信波21がそのまま反射されるため、レーダ送受信機10では、検出反射体30から返される垂直偏波の偏波受信波22を選択的に検出でき、この偏波受信波22が障害物等にて遮断されたときの受信電力の変化を高精度に検知できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダシステム、物体検出方法、レーダ装置、電波反射体に関し、特に、レーダによる障害物の監視、侵入監視等の物体検出技術等に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーダを用いた障害物の検知技術としては、特許文献1に示される技術が知られている。すなわち、監視対象領域を挟んで対向する位置に、レーダ送受信部と反射板を配置し、レーダ送受信部と反射板との間を往復した後にレーダ送受信部にて検出されるレーダ波の受信電力(RCSレベル:Rader Cross Section Level)の変化によって、レーダ送受信部と反射板との間の空間(監視対象領域)を横切る障害物を検知するものである。
【0003】
ところが、レーダ送受信部および反射板の設置環境は様々であり、反射板の近傍に不要物体が存在すると、この不要物体からの反射波がノイズとなって反射板からレーダ送受信部に入射する本来のレーダ波に重畳され、障害物の検知精度を低下させる、という技術的課題があった。
【0004】
すなわち、特許文献1のような従来技術では反射板付近に不要物体などが存在すると、反射板からの反射電力以外に不要物体からの反射電力が混在して検出される。不要物体が不安定な場合は、振動、風などのわずかな変位でRCSレベルが変動することになる。
【0005】
そして、本来の反射板からの反射波よりも大きいRCSレベルの変動があると障害物分離性能(すなわち障害物の有無の判定精度)が劣化し、また不要物体からの反射波の検出レベルの変動による誤検知(監視対象領域に障害物が存在しないにも関わらず、不要物体からの反射波の検出レベル変動により障害物が存在すると誤認する)等、障害物の検知に支障をきたすといった問題があった。
【0006】
なお、他の関連する従来技術としては、特許文献2に示される技術がある。この特許文献2では、レーダ装置を利用して検出された障害物データにチェックコードを付加して外部の入出力制御装置に出力することにより、入出力制御装置の側で障害物データの正常性を確認可能にしたものである。しかし、この特許文献2では、上述のような本発明の技術的課題は認識されていない。
【特許文献1】特開2001−325690号公報
【特許文献2】特開2002−37078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、レーダ装置と電波反射体とを併用する物体検出において、高精度の物体検出が可能な技術を提供することにある。
本発明の他の目的は、レーダ装置と電波反射体とを併用する物体検出において、設置環境等に影響されることなく、高精度の物体検出を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点は、第1電波を送信する送信手段と、前記第1電波とは偏波面の異なる第2電波を受信する受信手段とを含むレーダ装置と、
前記レーダ装置から前記第1電波を受けて前記第2電波として返す電波反射体と、
を具備したレーダシステムを提供する。
【0009】
本発明の第2の観点は、レーダ装置と電波反射体との間を往復する電波の変化によって前記レーダ装置と前記電波反射体との間における物体を検出する物体検出方法であって、
前記レーダ装置から前記電波反射体に入射する第1電波、および前記電波反射体から前記レーダ装置に返される第2電波の各々の偏波面を異ならせ、前記第2電波の強度変化を前記レーダ装置において検出する物体検出方法を提供する。
【0010】
本発明の第3の観点は、第1電波を送信する送信手段と、前記第1電波とは偏波面の異なる第2電波を受信する受信手段とを含むレーダ装置を提供する。
本発明の第4の観点は、レーダ装置から受けた第1電波を前記第1電波とは偏波面の異なる第2電波として返す偏波変更手段を備えた電波反射体を提供する。
【0011】
上記した本発明によれば、レーダ装置から電波反射体に向けて放射される第1電波と、この第1電波の入射によって電波反射体から反射されてレーダ装置に帰る第2電波とが、互いに異なる偏波面を持つので、本来の電波反射体から反射される第2電波のみをレーダ装置の受信手段にて選択的に受信し、この第2電波の受信電力の変動に基づいて物体の検知を精度良く行うことができる。
【0012】
また、電波反射体の周囲に不要物体が存在しても、当該不要物体から反射されてノイズ電波としてレーダ装置に戻る第1電波の偏波面は、当該レーダ装置から放射されたときのままであるため、偏波面の異なる第2電波の受信電力の検出レベルには影響しない。従って、レーダ装置や電波反射体の設置環境に影響されることなく、高精度の物体検出を実現することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、レーダ装置と電波反射体とを併用する物体検出において、高精度の物体検出ができる、という効果が得られる。
また、レーダ装置と電波反射体とを併用する物体検出において、設置環境等に影響されることなく、高精度の物体検出を実現することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態であるレーダシステムの動作原理を示す概念図であり、図2は、本実施の形態のレーダシステムの構成の一例を示すブロック図、図3は、本実施の形態のレーダシステムの設置状態の一例を示す俯瞰図である。
【0015】
本実施の形態のレーダシステムRS1は、たとえば美術館、宝石店等における防犯システムを構成する侵入者の検知、あるいは線路の踏み切り内などにおける人や車などの障害物の検知に適用することができる。
【0016】
図3の例では、本実施の形態のレーダシステムRS1を踏切101に設置して、人や車等の障害物102の検知を行う場合が示されている。
すなわち、線路100と交差する踏切101には、当該踏切101を挟んで対向するようにレーダ送受信機10および送受信アンテナ11からなるレーダ装置と、複数の検出反射体30が配置されている。
【0017】
図2に例示されるように、本実施の形態のレーダ送受信機10は、偏波切り替えスイッチ15を介して当該送受信アンテナ11に接続される送信部12および受信部13と、レーダ信号処理制御部14と、マイクロプロセッサ16、不揮発性メモリ17、外部入出力インターフェイス18およびユーザインターフェイス19を備えている。
【0018】
送受信アンテナ11は、水平偏波送信アンテナ11a、垂直偏波送信アンテナ11b、垂直偏波受信アンテナ11c、水平偏波受信アンテナ11dとして機能することが可能になっている。
【0019】
そして、送信側の水平偏波送信アンテナ11aおよび垂直偏波送信アンテナ11bは、偏波切り替えスイッチ15により、いずれか一方が送信部12に接続されて有効となる。また、受信側の垂直偏波受信アンテナ11cおよび水平偏波受信アンテナ11dは、偏波切り替えスイッチ15により、いずれか一方が受信部13に接続されて有効となる。
【0020】
送信部12は、水平偏波送信アンテナ11aまたは垂直偏波送信アンテナ11bを介してレーダ波を外部に出力する。本実施の形態の場合には、水平偏波送信アンテナ11aを使用することで、水平偏波の偏波送信波21を出力する。
【0021】
受信部13は、垂直偏波受信アンテナ11cまたは水平偏波受信アンテナ11dを介して水平偏波の電波、または垂直偏波の電波を選択的に受信する。本実施の形態では、垂直偏波受信アンテナ11cを受信部13に接続して垂直偏波の偏波受信波22を選択的に受信する。
【0022】
すなわち、本実施の形態の場合、送受信アンテナ11は、レーダ波20として、水平偏波の偏波送信波21を検出反射体30に向けて放射し、垂直偏波の偏波受信波22を受信する。
【0023】
レーダ信号処理制御部14は、送信部12および受信部13を制御するとともに、送受信アンテナ11を介して受信部13にて検出された偏波受信波22の受信電力の大小に基づいて、送受信アンテナ11と検出反射体30との間における障害物102の有無を判別する。
【0024】
マイクロプロセッサ16は、レーダ送受信機10の全体を制御する。不揮発性メモリ17は、マイクロプロセッサ16が実行する制御プログラムやデータが格納される。外部入出力インターフェイス18は、レーダ信号処理制御部14における障害物102の検出結果を、外部システムに出力したり、外部からマイクロプロセッサ16に制御コマンドを入力するために用いられる。
【0025】
ユーザインターフェイス19は、ボタンスイッチ、キーボード、ディスプレイ等で構成され、作業者が、レーダ送受信機10を操作する場合に用いられる。
一方、図4に例示されるように、本実施の形態の検出反射体30は、一例として、反射面31、反射面32および反射面33の互いに直交する三つの反射面を備えた三面体コーナレフレクタからなる。
【0026】
そして、検出反射体30は、この直交する三つの反射面の交点(頂点30a)を通る中心軸を送受信アンテナ11に向ける姿勢で設置される。これにより、送受信アンテナ11から検出反射体30に入射する入射波(偏波送信波21)は、図5に例示されるように、反射面31、反射面32および反射面33の、第1反射点31a、第2反射点32aおよび第3反射点33aに順次反射された後、反射波(偏波受信波22)となって送受信アンテナ11の側に反射される。
【0027】
なお、三面体コーナレフレクタによる電波の反射機能については、たとえば、McGraw-Hill Book Company、1961年発行、「Antenna Engineering Handbook second edition」、P17-27、Fig.17-27、等の文献に記載されている。
【0028】
本実施の形態の場合、図4および図6に例示されるように、検出反射体30における反射波の通過経路(検出反射体30の開口部の右側半分)を覆うように、偏波変更膜34が備えられている。この偏波変更膜34は、当該偏波変更膜34を通過する入射波である水平偏波の偏波送信波21を、垂直偏波の偏波受信波22に変換する機能を備えている。
【0029】
すなわち、図7Aに例示されるように、この偏波変更膜34は、たとえば、絶縁膜34aの両面に、互いに逆方向に±45°に傾斜するように配置されたメタルストリップパターン34bおよびメタルストリップパターン34cで構成されるミリ波変換膜からなる。メタルストリップパターン34bおよびメタルストリップパターン34cの幅wおよび間隔sは、入射波の周波数に応じて適宜設定される。そして、このような構成の偏波変更膜34を通過する入射波の電界方向Ei(偏波面)は、90°回転し、電界方向Eoとなる。なお、図7Bの線図に例示されるように、偏波変更膜34を通過する入射波は、偏波面が90°回転するだけで、強さは減衰しない。
【0030】
そして、偏波変更膜34は、水平偏波の入射面を検出反射体30の反射面側に向けた姿勢で当該検出反射体30に装着される。
すなわち、本実施の形態の場合、検出反射体30に水平偏波として入射する偏波送信波21は、反射面33で反射された後、裏面側から偏波変更膜34を通過することによって、ほとんど減衰することなく偏波面が90°回転し、垂直偏波の偏波受信波22として反射される。また、偏波変更膜34の表面(出射面)側に入射した電波は散乱される。
【0031】
以下、本実施の形態の作用の一例について説明する。
まず、レーダ送受信機10の側では、送受信アンテナ11では、送信側が水平偏波送信アンテナ11aが選択され、受信側が垂直偏波受信アンテナ11cが選択されている。
【0032】
そして、送信部12を起動すると、水平偏波の偏波送信波21が検出反射体30に向けて放射される。この偏波送信波21は、図5に示すように検出反射体30の反射面31〜反射面33にて3回反射した後、偏波変更膜34を通過して偏波面を変換され、垂直偏波の偏波受信波22として、送受信アンテナ11に向けて反射される。
【0033】
すなわち、検出反射体30内における偏波送信波21の経路は、同じく図5に示すように検出反射体30の中央の頂点30aからの最初の第1反射点31aまでの距離L1と、三面体コーナレフレクタの頂点30aからの最後の第3反射点33aとの距離L2が等しくなる(点対象)軌跡をつくる。これにより、検出反射体30への入射波である偏波送信波21は、偏波膜を1度だけ通過して偏波面を90°回転するように変換され、垂直偏波の偏波受信波22として送受信アンテナ11に反射されることとなる。また、偏波変更膜34の表面側と異なった偏波面をもつ送信波は検出反射体30の反射面に入らず散乱する。
【0034】
このようにして、送受信アンテナ11からの水平偏波の偏波送信波21の入射によって、検出反射体30からは、垂直偏波の偏波受信波22が、送受信アンテナ11に反射されてくる。
【0035】
レーダ送受信機10の受信側では、垂直偏波受信アンテナ11cが選択されているため、受信部13には、検出反射体30から反射されて到来する垂直偏波の偏波受信波22の信号の電力のみが検出される。
【0036】
従って、受信部13では、検出反射体30から反射された垂直偏波の偏波受信波22が、送受信アンテナ11に到達する前に障害物102にて遮られることによる受信電力のレベル変動に基づいて、送受信アンテナ11と検出反射体30との間の空間(すなわち、監視対象の踏切101)における障害物102の有無を高精度にて検知することができる。
【0037】
また、図3のような設置環境において、検出反射体30の近傍に存在するノイズ物体103に偏波送信波21が入射しても、水平偏波のままでの偏波送信波21が反射されるだけであり、この反射された水平偏波の偏波送信波21が送受信アンテナ11にノイズとして入射しても、本来の反射波である偏波受信波22とは偏波面が異なるため、垂直偏波受信アンテナ11cを介して受信部13にて検出されることはない。
【0038】
従って、検出反射体30の近傍にノイズ物体103が存在するような劣悪な設置環境においても、ノイズ物体103の存在に影響されることなく、送受信アンテナ11と検出反射体30との間の空間(すなわち、監視対象の踏切101)における障害物102の有無を正確に検知することが可能になる。
【0039】
図8は、本実施の形態における検出反射体の変形例を示す概念図である。この変形例では、自身が受信した電波の増幅機能を持つアクティブ反射体40を用いる場合を示している。
【0040】
このアクティブ反射体40は、偏波受信アンテナ41と、偏波送信アンテナ42と、増幅器43を備えている。偏波受信アンテナ41は、水平偏波である偏波送信波21を受信する。増幅器43は、偏波受信アンテナ41の受信信号を増幅して、偏波送信アンテナ42の側に出力する。
【0041】
偏波送信アンテナ42の前には、上述の偏波変更膜34が配置されている。偏波送信アンテナ42から放射される電波は、水平偏波である偏波送信波21を増幅したもので水平偏波のままであり、この増幅された水平偏波は、偏波変更膜34を通過することによって、垂直偏波の偏波受信波22に変換され、この偏波受信波22が送受信アンテナ11に向けて反射される。
【0042】
従って、上述の検出反射体30を用いる場合と同様に、アクティブ反射体40から反射された垂直偏波の偏波受信波22を、垂直偏波受信アンテナ11cを介して選択的に受信部13にて検出することが可能となり、送受信アンテナ11とアクティブ反射体40との間の空間における障害物102の検知精度を向上させることが可能となる。
【0043】
また、増幅器43を備えていることにより、送受信アンテナ11との距離が大きい場合でも、送受信アンテナ11から減衰して到来する偏波送信波21を増幅して、強度の大きな垂直偏波の偏波受信波22として送受信アンテナ11に返すことができる。この結果、送受信アンテナ11とアクティブ反射体40との間の距離が大きい場合、すなわち、監視対象の踏切101等の空間が広い場合でも、偏波送信波21の減衰に影響されることなく、精度良く障害物102の検知を行うことができる。
【0044】
図9は、本実施の形態における検出反射体のさらに他の変形例を示す概念図である。この図9の例では、検出反射体50は、反射変更板51と偏波変更板52で構成されている。そして、送受信アンテナ11から入射する水平偏波の偏波送信波21を、垂直偏波の偏波受信波22に変換して送受信アンテナ11に反射する。
【0045】
すなわち、図10Aの(a)は検出反射体50の正面図、(b)は側面図である。この図10Aに例示されるように、反射変更板51は、+45°方向のメタルストリップパターン51aからなるグリッドで構成されている。偏波変更板52は、−45°方向のメタルストリップパターン52aからなるグリッドで構成されている。また、反射変更板51と偏波変更板52の間隔は、入射する偏波送信波21の波長λの1/4、すなわちλ/4に設定されている。
【0046】
図10Bの(a)〜(c)は、この検出反射体50における偏波面の変更の過程を示す概念図である。水平偏波が(a)に示すように+45°成分(V1)、−45°成分(V2)に分解され、これらがλ/4だけ走行し、反射変更板51で反射されると、(b)に示すように、+45°成分(V1)、−45°成分(V2)ともそれぞれ180°反転する。そして、奥側の反射変更板51で反射される−45°成分V1はλ/4を往復してλ/2を走行することで位相がさらに180°反転し、(c)に示されるように、この−45°成分(V1)が180°反転した成分と、もとの+45°成分(V2)で合成される垂直偏波に変換されることになる。
【0047】
これにより反射変更板51および偏波変更板52からなる検出反射体50への入射波は必ず偏波面を90°変換されて反射されることとなる。また、設置した偏波変更板52と異なった偏波面をもつ送信波は検出反射体50の反射面に入らず散乱する。
【0048】
そこで、この検出反射体50の偏波面と同じ偏波面の反射波(この場合、垂直偏波の偏波受信波22)を受信できるアンテナ(この場合、垂直偏波受信アンテナ11c)を送受信アンテナ11で選択しておけば、偏波面変換機能を持たない不要なノイズ物体103等の測定対象物からの反射波に関しては受信電力を抑制し(偏波が異なるため)、検出反射体50から反射された垂直偏波の偏波受信波22の受信電力だけが検出が可能となる。
【0049】
これら手段により不要な測定対象物検知を抑圧したうえで、レーダ送受信機と検出反射体間の障害物検知手段を提供することが可能となる。
なお、グリッドによる電波の反射機能については、たとえば、McGraw-Hill Book Company、1961年発行、「Antenna Engineering Handbook second edition」、P18-18、Fig18-18、等の文献に記載されている。
【0050】
図11は、本実施の形態における検出反射体のさらに他の変形例を示す概念図である。
この図11の例の検出反射体60は、互いに直交する三つの反射面61、反射面62および反射面63を備えた三面体コーナレフレクタである。この場合、反射面61、反射面62および反射面63の各々は、上述の検出反射体50のような偏波変更板61a、偏波変更板62a、偏波変更板63aで構成されている。
【0051】
そして、検出反射体60に入射する水平偏波の偏波送信波21は、反射面61〜反射面63の各々で反射されるたびに、偏波面が90°づつ変化し、上述の図5に例示したような合計3回(奇数回)の反射後には、元の偏波面が90°回転された垂直偏波の偏波受信波22となって、送受信アンテナ11に戻るようにしたものである。
【0052】
すなわち、この検出反射体60における個々の偏波変更板61a、偏波変更板62a、偏波変更板63aの各々における偏波面の変化の過程は上述の図10Aに示した検出反射体50の場合と同様である。
【0053】
これにより、検出反射体60のへの入射波(水平偏波の偏波送信波21)は偏波面を90°変換されて垂直偏波の偏波受信波22として反射されることとなる。
この結果、レーダ送受信機10の受信側では、送受信アンテナ11として垂直偏波受信アンテナ11cを選択して偏波受信波22を受信することにより、ノイズの影響を受けることなく、送受信アンテナ11と検出反射体60との間の空間における障害物102を精度良く検知できる。
【0054】
また、検出反射体60は、反射面自体を利用して偏波面の変更を行わせる構成であるため、検出反射体60に偏波送信波21が入射することによって生じる偏波受信波22の強度を大きくできる、という利点もある。
【0055】
図12は、本発明の他の実施の形態であるレーダシステムRS2の構成を示す概念図である。この図12の実施の形態の場合には、送受信アンテナ11と検出反射体30との間を往復する、互いに偏波面の異なる偏波送信波21および偏波受信波22が、障害物102にて遮断されることを利用した検知方法(以下、遮断検知と記す)と、送受信アンテナ11から放射される偏波送信波21等のレーダ波が障害物102自体にて反射されることによって生じた反射波を直接的に送受信アンテナ11にて検出することで、障害物102の検知を行う方法(以下、直接検知と記す)を併用する場合について説明する。
【0056】
この場合、遮断検知と直接検知を実現するため、レーダ送受信機10では、図13に例示されるようなフローチャートの動作を行う。なお、この図13のフローチャートの動作は、たとえば、不揮発性メモリ17に実装された制御プログラムをマイクロプロセッサ16が実行し、レーダ信号処理制御部14等の動作を制御することによって実現される。
【0057】
すなわち、遮断検知によって障害物102が検知されるまでは、当該遮断検知のみを行い、障害物102が検知された後は、直接検知を行う。これにより、送受信アンテナ11と検出反射体30との間における障害物102の有無のみならず、送受信アンテナ11から障害物102までの距離や、障害物102の大きさ等を検出することが可能となる。
【0058】
最初は、送信側では水平偏波送信アンテナ11aを選択し、受信側では垂直偏波受信アンテナ11cを選択して、遮断検知を開始する。
そして、送受信アンテナ11から水平偏波の偏波送信波21を検出反射体30に向けて放射する(ステップ201)。
【0059】
検出反射体30の側では、送受信アンテナ11から到来する偏波送信波21の偏波面を90°変化させて垂直偏波の偏波受信波22として送受信アンテナ11に反射する(ステップ202)。
【0060】
レーダ送受信機10では、垂直偏波受信アンテナ11cにて垂直偏波の偏波受信波22を選択的に検出し、受信電力を算出する(ステップ203)。
そして、垂直偏波の偏波受信波22の受信電力の減少量が所定の閾値レベルを超えた否か、すなわち障害物102によって偏波受信波22が遮断されたか否かを判定し(ステップ204)、障害物102が検知されるまで、ステップ201〜ステップ203を反復する。
【0061】
そして、ステップ204で障害物102が検出されたと判定された場合には、レーダ送受信機10において、受信側のアンテナを、水平偏波受信アンテナ11dに切り替えて直接検知の準備をした後(ステップ205)、水平偏波送信アンテナ11aが水平偏波の偏波送信波21を、上述の遮断検知にて検出された障害物102の方向に放射し(ステップ206)、この偏波送信波21は、障害物102にて水平偏波のまま反射され(ステップ207)、反射された水平偏波の偏波受信波22は、レーダ送受信機10の水平偏波受信アンテナ11dにて検出された後、受信部13に入力される(ステップ208)。
【0062】
そして、受信部13では、送信部12による偏波送信波21の送信時刻から、受信部13での偏波受信波22の受信時刻までの時間と、レーダ波の伝播速度に基づいて、障害物102までの距離を計測し、さらに、必要に応じて、偏波受信波22の受信電力の値に基づいて障害物102の大きさを計測する(ステップ209)。
【0063】
なお、この直接検知における距離の測定では、障害物102は、検出反射体30と送受信アンテナ11との間に存在することが確定しているので、たとえば、レーダ送受信機10がパルスレーダ方式の場合における、二次エコー等に起因するレンジアンビギュイティが解消され、正確な距離の測定を行うことができる。
【0064】
その後、レーダ送受信機10では、受信側の水平偏波受信アンテナ11dを元の垂直偏波受信アンテナ11cに切り替えて、ステップ201以降の遮断検知に移行する。
このように、本実施の形態では、偏波送信波21と偏波受信波22の偏波面の違いを利用して、送受信アンテナ11と検出反射体30との間における障害物102の有無を精度良く検知する遮断検知を実行し、この遮断検知にて障害物102が検知された後に、直接検知に移行して、送受信アンテナ11から障害物102までの距離や、障害物102の大きさを測定する。
【0065】
すなわち、直接検知の前に、送受信アンテナ11と検出反射体30との間における障害物102の存在(レーダ送受信機10から見た障害物102の方向等)が確定した後、直接検知による障害物102行われるので、直接検知における障害物102までの距離や大きさの測定精度が向上する。
【0066】
こうして検出された、障害物102の有無、障害物102までの距離、障害物102の大きさ等の情報は、必要に応じて、外部入出力インターフェイス18を経由して外部の情報処理システムに出力される。
【0067】
図14は、本発明のさらに他の実施の形態であるレーダシステムRS3の構成の一例を示す概念図である。
この実施の形態のレーダシステムRS2の場合、一つのレーダ送受信機10に対して、複数の検出反射体30を配置し、比較的広範囲の空間における障害物102の検知を行う。この場合、一つで複数の検出反射体30を包含する空間にレーダ波(偏波送信波21)を放射することが可能な水平広ビームアンテナ11−1が用いられる。
【0068】
すなわち、図14の例では、踏切101に沿って複数の検出反射体30を配列し、踏切101を挟んで反対側にレーダ送受信機10を設置している。
隣り合う二つの検出反射体30の配列間隔ΔGは、各々のレーダ送受信機10(水平広ビームアンテナ11−1)に対する距離R1〜R6(たとえばR1とR2)の差ΔRが、レーダ送受信機10の距離分解能よりも大きくなるように設定されている。
【0069】
従って、個々の検出反射体30は、水平広ビームアンテナ11−1までの距離(偏波送信波21と偏波受信波22の往復所要時間)の違いとして、レーダ送受信機10の側で区別できる。
【0070】
水平広ビームアンテナ11−1の指向性は、遠方の検出反射体30に対しては偏波送信波21の放射電力を強め、近傍の検出反射体30に対しては偏波送信波21の放射電力を弱めるように放射強度分布が制御された矩形ビームとすることもできる。この場合には、障害物102による遮断による偏波受信波22の受信電力の変動を、複数の検出反射体30のすべてについて、共通の閾値を用いて判定することができる。
【0071】
この場合、水平広ビームアンテナ11−1と個々の検出反射体30との間における障害物102による遮断検知は、当該検出反射体30との間の距離に応じた偏波送信波21と偏波受信波22の往復時間に合わせて、受信部13における偏波受信波22の検出タイミングを設定することで実現される。
【0072】
すなわち、受信部13では、任意のタイミングで水平偏波の偏波送信波21の放射してから、検出反射体30との往復時間に応じたタイムスロット毎に、垂直偏波の偏波受信波22の受信電力の変動判定を順次実行する。これにより、個々の検出反射体30と水平広ビームアンテナ11−1との間における障害物102の有無を、個別に判定することができる。
【0073】
このように、本実施の形態のレーダシステムRS3では、比較的広い範囲の空間における障害物102の検知を精度良く行うことができる。
また、個々の検出反射体30との間における障害物102の検知状態の時間的な変化から、複数の検出反射体30と水平広ビームアンテナ11−1との間を横切って移動する障害物102の移動状態の検出も可能になる。
【0074】
なお、本発明は、上述の実施の形態に例示した構成に限らず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
たとえば、上述の各実施の形態の説明では、簡単のため、送受信アンテナ11が個別の水平偏波送信アンテナ11a〜水平偏波受信アンテナ11dにて構成され、これらを偏波切り替えスイッチ15にて切り替えて使用する場合を例示したが、これに限らない。
【0075】
たとえば、放射方向の周りに回転させることで、放射波および受信波の偏波面を変化させることが可能な送受信アンテナ11の場合には、特定の偏波面を持つ偏波送信波21の送信タイミング、および特定の偏波面を持つ偏波受信波22の受信タイミングと、送受信アンテナ11の回転姿勢を同期させることで、送信波および受信波で異なる偏波面を用いることを可能にしてもよい。
【0076】
(付記1)
第1電波を送信する送信手段と、前記第1電波とは偏波面の異なる第2電波を受信する受信手段とを含むレーダ装置と、
前記レーダ装置から前記第1電波を受けて前記第2電波として返す電波反射体と、
を具備したことを特徴とするレーダシステム。
【0077】
(付記2)
付記1記載のレーダシステムにおいて、前記レーダ装置は、前記電波反射体から到来する前記第2電波の検出レベルの変化に基づいて、前記電波反射体との間における物体を検知する物体検出手段をさらに備えたことを特徴とするレーダシステム。
【0078】
(付記3)
付記1記載のレーダシステムにおいて、複数の電波反射体の各々が、前記レーダ装置に対して、前記レーダ装置の距離分解能以上の距離をおいて配列されていることを特徴とするレーダシステム。
【0079】
(付記4)
付記1記載のレーダシステムにおいて、前記レーダ装置は、当該レーダ装置の距離分解能以上の距離をおいて当該レーダ装置に対して配列された複数の前記電波反射体を包含する整形ビームとして前記第1電波を放射する手段をさらに備えたことを特徴とするレーダシステム。
【0080】
(付記5)
付記1記載のレーダシステムにおいて、前記レーダ装置は、アンテナを時分割で切り替えて、互いに偏波面の異なる前記第1および第2電波の送受信を行う機能をさらに備えたことを特徴とするレーダシステム。
【0081】
(付記6)
付記1記載のレーダシステムにおいて、前記電波反射体は、透過または反射する前記第1電波の偏波面を90°変化させる偏波変更体を備えたことを特徴とするレーダシステム。
【0082】
(付記7)
付記1記載のレーダシステムにおいて、前記電波反射体は、受信した前記第1電波を増幅して前記第2電波として送信する増幅機能を備えたアクティブ反射体であることを特徴とするレーダシステム。
【0083】
(付記8)
レーダ装置と電波反射体との間を往復する電波の変化によって前記レーダ装置と前記電波反射体との間における物体を検出する物体検出方法であって、
前記レーダ装置から前記電波反射体に入射する第1電波、および前記電波反射体から前記レーダ装置に返される第2電波の各々の偏波面を異ならせ、前記第2電波の強度変化を前記レーダ装置において検出することを特徴とする物体検出方法。
【0084】
(付記9)
付記8記載の物体検出方法において、前記電波反射体に偏波変更体を設け、前記偏波変更体において透過または反射する前記第1電波の偏波面を90°変化させて前記第2電波として前記レーダ装置に返すことを特徴とする物体検出方法。
【0085】
(付記10)
付記8記載の物体検出方法において、複数の電波反射体の各々を、前記レーダ装置に対して、前記レーダ装置の距離分解能以上の距離をおいて配列し、前記レーダ装置から、複数の前記電波反射体を包含する整形ビームとして、前記第1電波を放射するとともに、前記第2電波が個々の前記電波反射体との前記距離に比例した強度分布を持つように前記整形ビームを制御することを特徴とする物体検出方法。
【0086】
(付記11)
付記8記載の物体検出方法において、前記電波反射体は、受信した前記第1電波を増幅して前記第2電波として送信する増幅機能を備えたアクティブ反射体であることを特徴とする物体検出方法。
【0087】
(付記12)
第1電波を送信する送信手段と、前記第1電波とは偏波面の異なる第2電波を受信する受信手段とを含むことを特徴とするレーダ装置。
【0088】
(付記13)
付記12記載のレーダ装置において、前記第2電波は、前記レーダ装置から前記第1電波を受けて偏波面を変化させて前記第2電波として返す電波反射体から到来した電波であることを特徴とするレーダ装置。
【0089】
(付記14)
付記12記載のレーダ装置において、前記第2電波は、前記レーダ装置から前記第1電波を受けて前記第2電波として返す電波反射体から到来し、前記第2電波の受信レベルの変化に基づいて、前記電波反射体との間における物体の有無を判別する物体検出手段をさらに備えたことを特徴とするレーダ装置。
【0090】
(付記15)
付記12記載のレーダ装置において、前記レーダ装置は、当該レーダ装置の距離分解能以上の距離をおいて当該レーダ装置に対して配列された複数の前記電波反射体を包含する整形ビームとして前記第1電波を放射する手段をさらに備えたことを特徴とするレーダ装置。
【0091】
(付記16)
レーダ装置から受けた第1電波を前記第1電波とは偏波面の異なる第2電波として返す偏波変更手段を備えたことを特徴とする電波反射体。
【0092】
(付記17)
付記16記載の電波反射体において、前記電波反射体は、互いに直交する反射面を有する三面体コーナレフレクタからなり、前記偏波変更手段は、前記三面体コーナレフレクタから前記レーダ装置に向けて出射される前記第1電波が透過する領域に配置された偏波面変換膜からなり、前記レーダ装置に向けて出射される前記第1電波が前記偏波面変換膜を透過する際に前記第2電波に変換されることを特徴とする電波反射体。
【0093】
(付記18)
付記16記載の電波反射体において、前記電波反射体は、互いに直交する反射面を有する三面体コーナレフレクタからなり、前記偏波変更手段は、前記反射面を構成する偏波面変換膜からなり、前記第1電波が、前記偏波面変換膜において奇数回反射された後に前記第2電波として前記レーダ装置に返されることを特徴とする電波反射体。
【0094】
(付記19)
付記16記載の電波反射体において、前記電波反射体は、前記レーダ装置の方向に正対される反射面を構成する偏波変更板からなり、前記第1電波が前記第2電波として前記レーダ装置に反射されるようにしたことを特徴とする電波反射体。
【0095】
(付記20)
レーダ装置から受けた第1電波を増幅し、前記第1電波とは偏波面の異なる第2電波として返す増幅手段を備えたことを特徴とする電波反射体。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の一実施の形態であるレーダシステムの動作原理を示す概念図である。
【図2】本発明の一実施の形態であるレーダシステムの構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態であるレーダシステムの設置状態の一例を示す俯瞰図である。
【図4】本発明の一実施の形態であるレーダシステムを構成する検出反射体の構成の一例を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施の形態であるレーダシステムを構成する検出反射体の内部構成の一例を示す正面図である。
【図6】本発明の一実施の形態であるレーダシステムを構成する検出反射体の構成の一例を示す正面図である。
【図7A】本発明の一実施の形態であるレーダシステムを構成する検出反射体の構成の一例を示す説明図である。
【図7B】本発明の一実施の形態であるレーダシステムを構成する検出反射体の作用の一例を示す線図である。
【図8】本発明の一実施の形態における検出反射体の変形例を示す概念図である。
【図9】本発明の一実施の形態における検出反射体のさらに他の変形例を示す概念図である。
【図10A】本発明の一実施の形態における検出反射体のさらに他の変形例の構成を説明する説明図である。
【図10B】本発明の一実施の形態における検出反射体のさらに他の変形例の作用を説明する説明図である。
【図11】本発明の一実施の形態における検出反射体のさらに他の変形例を示す概念図である。
【図12】本発明の他の実施の形態であるレーダシステムの構成を示す概念図である。
【図13】本発明の他の実施の形態であるレーダシステムの作用の一例を示すフローチャートである。
【図14】本発明のさらに他の実施の形態であるレーダシステムRS3の構成の一例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0097】
10 レーダ送受信機
11 送受信アンテナ
11−1 水平広ビームアンテナ
11a 水平偏波送信アンテナ
11b 垂直偏波送信アンテナ
11c 垂直偏波受信アンテナ
11d 水平偏波受信アンテナ
12 送信部
13 受信部
14 レーダ信号処理制御部
15 偏波切り替えスイッチ
16 マイクロプロセッサ
17 不揮発性メモリ
18 外部入出力インターフェイス
19 ユーザインターフェイス
20 レーダ波
21 偏波送信波
22 偏波受信波
30 検出反射体
31 反射面
32 反射面
33 反射面
34 偏波変更膜
34a 絶縁膜
34b メタルストリップパターン
34c メタルストリップパターン
40 アクティブ反射体
41 偏波受信アンテナ
42 偏波送信アンテナ
43 増幅器
50 検出反射体
51 反射変更板
51a メタルストリップパターン
52 偏波変更板
52a メタルストリップパターン
60 検出反射体
61 反射面
61a 偏波変更板
62 反射面
62a 偏波変更板
63 反射面
63a 偏波変更板
100 線路
101 踏切
102 障害物
103 ノイズ物体
RS1 レーダシステム
RS2 レーダシステム
RS3 レーダシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電波を送信する送信手段と、前記第1電波とは偏波面の異なる第2電波を受信する受信手段とを含むレーダ装置と、
前記レーダ装置から前記第1電波を受けて前記第2電波として返す電波反射体と、
を具備したことを特徴とするレーダシステム。
【請求項2】
請求項1記載のレーダシステムにおいて、前記レーダ装置は、前記電波反射体から到来する前記第2電波の検出レベルの変化に基づいて、前記電波反射体との間における物体を検知する物体検出手段をさらに備えたことを特徴とするレーダシステム。
【請求項3】
請求項1記載のレーダシステムにおいて、複数の電波反射体の各々が、前記レーダ装置に対して、前記レーダ装置の距離分解能以上の距離をおいて配列されていることを特徴とするレーダシステム。
【請求項4】
請求項1記載のレーダシステムにおいて、前記レーダ装置は、当該レーダ装置の距離分解能以上の距離をおいて当該レーダ装置に対して配列された複数の前記電波反射体を包含する整形ビームとして前記第1電波を放射する手段をさらに備えたことを特徴とするレーダシステム。
【請求項5】
請求項1記載のレーダシステムにおいて、前記レーダ装置は、アンテナを時分割で切り替えて、互いに偏波面の異なる前記第1および第2電波の送受信を行う機能をさらに備えたことを特徴とするレーダシステム。
【請求項6】
請求項1記載のレーダシステムにおいて、前記電波反射体は、透過または反射する前記第1電波の偏波面を90°変化させる偏波変更体を備えたことを特徴とするレーダシステム。
【請求項7】
請求項1記載のレーダシステムにおいて、前記電波反射体は、受信した前記第1電波を増幅して前記第2電波として送信する増幅機能を備えたアクティブ反射体であることを特徴とするレーダシステム。
【請求項8】
レーダ装置と電波反射体との間を往復する電波の変化によって前記レーダ装置と前記電波反射体との間における物体を検出する物体検出方法であって、
前記レーダ装置から前記電波反射体に入射する第1電波、および前記電波反射体から前記レーダ装置に返される第2電波の各々の偏波面を異ならせ、前記第2電波の強度変化を前記レーダ装置において検出することを特徴とする物体検出方法。
【請求項9】
第1電波を送信する送信手段と、前記第1電波とは偏波面の異なる第2電波を受信する受信手段とを含むことを特徴とするレーダ装置。
【請求項10】
レーダ装置から受けた第1電波を前記第1電波とは偏波面の異なる第2電波として返す偏波変更手段を備えたことを特徴とする電波反射体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図3】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate