レーダ装置及び移動機器用レーダシステム

【課題】DOAの不定性を軽減し、被測定物の形状や速度に関する情報の損失を抑えることの可能なレーダ装置を提供する。
【解決手段】移動機器120に備えられ、被測定物までの距離、被測定物が存在する方向及び被測定物の相対速度を測定するレーダ装置110であって、被測定物に対して電波を放射する第1送信アンテナ114と、被測定物からの電波の反射波を受信する受信アンテナ群115と、受信アンテナ群115で受信された反射波に基づいて、被測定物までの距離、被測定物が存在する方向及び被測定物の相対速度を算出する運動検知部131とを備え、第1送信アンテナ114は、第1送信アンテナ114の仰角方向の電波放射特性において電界強度が極小となる方向である電界強度極小方向が、移動機器120の走行面と略平行になるように移動機器120に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定物までの距離、被測定物が存在する方向及び被測定物の相対速度を測定するレーダ装置及び移動機器用レーダシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、安全及び快適に暮らせる住環境、又は社会インフラの整備が重視されるようになるに伴い、日常生活において、例えば高齢者の行動もしくは動作を補助する支援機器、又は人間の負担を軽減するために働く自律型ロボットの実現が望まれるようになっている。実際の生活環境においては、人間又はその他多数の障害物が存在している。その中を移動機器又はロボットが走り回るようになると、障害物との衝突を回避することが望まれる。つまり、それら移動機器又はロボットが効率的に障害物との衝突を避けたり、障害物の接近を警告したり、停止したりしながら、安全を確保することが強く望まれる。その一方で、そのような移動機器が走行する際に障害となる障害物のうち、運動又は行動を予測するのが困難なものは人間であり、また、対人衝突は歩行者及び搭乗者の双方に与える影響が大きいという問題がある。
【0003】
移動機器に取り付ける衝突防止又は衝突回避のためのセンシング手段としては、ミリ波レーダなどの電波センサがある。電波センサ(レーダ)は相対速度と相対距離とを同時かつ瞬時に測定可能であることから、特に自動車用のセンシングシステムとして既に実用化されている。
【0004】
従来、物体との相対速度及び距離を測定して、センサ周辺の物体を検知する方法として、ドップラーレーダを用いた移動体検知・報知システムがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図25は、特許文献1に記載されている従来の移動体検知・報知システムを示している。
【0006】
移動体検知・報知システム99は、移動体Mの絶対距離、速度及び移動方向を測定するマイクロ波又はミリ波を利用したドップラー方式のレーダ1と、レーダ1によって測定された移動体Mの絶対距離、速度及び移動方向に基づき、所定の報知を行う報知手段2とを備えている。
【0007】
この従来例によると、位相の異なる2つの電波を放射し、送受の周波数差(ドップラーシフト)を用いて相対速度を検出し、位相差を用いて距離を測定している。このように測定された速度の大小を、報知の必要な人間と報知の不要な小動物との識別に用いている。
【0008】
このように、レーダを利用して移動体(相対的に動くものも含む)を検知する場合には、検知漏れや誤検知をできる限り低減するために、予め被測定物を定めた上で、その被測定物の大きさ(高さ)の半分程度の位置にレーダなどのセンサを設置し、電波を水平方向に放射するのが最も効率的な方法である。
【0009】
ところが、上記従来例のレーダ1から得られる情報は、結局のところ、物体までの距離と速度のみであり、人間と小動物、又は人間と自動車などを区別するためには十分な情報ではない。そのため、物体が何であるのかをできる限り精度よく区別するためには、物体の運動(速度)に加え、物体の形状(大きさなど)を測定する方法がよい。
【0010】
そのようなレーダ(電波)を用いて歩行者など人間の形状や運動を測定する試みとして、ドップラー(Doppler)シフトによる速度検知とDOA(Direction−of−Arrival)による到来方向検知とを組み合わせたDDOA(Doppler and Direction−of−Arrival)法と呼ばれる方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0011】
図26に、DDOA法を用いたレーダ装置の構成を示す。
【0012】
図26に示すレーダ装置901は、送信器910と、受信器920及び930と、送信アンテナ911と、受信アンテナ912及び913とを備える。
【0013】
レーダ装置901は、被測定物931〜933を検知対象とする。レーダ装置901は、送信器910からある周波数の探知電波を出射し、被測定物931〜933から反射されてきた電波を受信器920及び930で受信する。
【0014】
レーダ装置901に対して、被測定物931〜933がある視線方向速度で動いている場合、受信器920及び930で受信した反射波の周波数は、送信アンテナ911から放射された探知電波の周波数に対して、視線方向速度に対応する周波数だけシフトする。そのシフトした周波数から、被測定物931〜933のそれぞれの視線方向速度を検出できる。
【0015】
ここで、「視線方向速度」とは、被測定物931〜933が持つ速度のうち、レーダ装置901から被測定物への方向に沿った速度成分のことである。ここでは、レーダ装置901に対する、被測定物931〜933の相対的な速度成分のことを言う。言い換えると、図26に示すように、被測定物931〜933の速度をそれぞれV1、V2及びViとすると、被測定物931〜933の視線方向速度とは、当該速度をレーダ装置901から被測定物931〜933への方向に沿って分解した速度であるV1f、V2f及びVifとなる。
【0016】
つまり、レーダ装置901は、探知電波の周波数に対する、受信器920及び930で受信した反射波の周波数から、被測定物931〜933の視線方向速度V1f、V2f及びVifを検出する。
【0017】
ところで、レーダ装置901では、図26に示すように、受信アンテナ及びその受信アンテナに対応する受信器を含む受信系統が2系統ある。さらに、それぞれの受信アンテナ912及び913は、異なる場所に配置されている。
【0018】
これにより、各被測定物931〜933から受信アンテナ912までの距離と、当該被測定物931〜933から受信アンテナ913までの距離とは、互いに異なる。
【0019】
このように被測定物931〜933から2つの受信アンテナ912及び913までの距離が異なることで、被測定物931〜933の方向検出が可能になる。以下、方向検出の原理について具体的に説明する。
【0020】
図26において、例えば、被測定物933は、受信アンテナ912より受信アンテナ913に近い位置にあるので、被測定物933からの反射波は受信アンテナ912より受信アンテナ913に早く到着する。受信アンテナ912で受信した反射波と受信アンテナ913で受信した反射波とを比較すると、受信アンテナ912で受信した反射波は受信アンテナ913で受信した反射波より位相が遅れることになる。ここで、被測定物933が受信アンテナ912及び受信アンテナ913の正面からθiの方向にあり、2つの受信アンテナ912及び913が距離dだけ離れて配置されているとすると、受信アンテナ912で受信した反射波と受信アンテナ913で受信した反射波との位相差は式1で表される。なお、受信アンテナ912で受信した反射波の位相をφ1、受信アンテナ913で受信した反射波の位相をφ2、送信アンテナ911から出射された探知電波の波長をλとする。
【0021】
φ2−φ1=2πd sinθ/λ ・・・(式1)
【0022】
この式1を変形すると、下記の式2となり、2つの受信アンテナ912及び913で受信した反射波の位相差φ2−φ1から被測定物933の方向θを検出できる。
【0023】
θ=sin-1{(φ2−φ1)λ/(2πd)} ・・・(式2)
【0024】
これがDOA(direction−of−arrival)と呼ばれる技術である。
【0025】
以上説明したように、図26に示す従来のレーダ装置901は、位相とドップラー周波数の両方を検知することで、複数の被測定物の識別が可能になりそれぞれの方向と速度を検知することができる。なお、図26では2つの受信アンテナ912及び913を有するので1次元方向しか検知できないが、たとえば受信アンテナ912と受信アンテナ913とを含む直線上以外に、もう一つの受信アンテナを配置することで、水平/垂直の2次元方向を検知することができる。
【0026】
このようなレーダ装置901は、例えば人体検知に対しては、人の各部位が異なる動きをすることを利用して人体を検知できる。具体的には、胴体に対して、頭、手、脚が異なる速度で動くため、その方向と速度から人体を検知することが可能になる。
【0027】
つまり、DDOA法によると、人間の腕、脚、胴体及び頭部などの運動が、スペクトルの微細な構造(マイクロドップラー)として観測可能であることから、その微細構造を分析及び解析することによって、人間の検出あるいは人間の動作同定にも利用することができる。このため、DDOA法では、人間とそれ以外とを区別することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】特開2004−192097号公報
【非特許文献】
【0029】
【非特許文献1】“Two−dimensional human tracking using a three−element Doppler and direction−of−arrival (DDOA) radar” Lin, A.; Ling, H., IEEE Radar Conference, April 2006.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
しかしながら、従来のDDOA法に基づくレーダ装置によると、被測定物上に存在する複数の電波の反射点が複数の相対速度を有し、その中に、視線方向成分が同一となるものが複数個存在している場合、その相対速度の起源となった反射点の方向をDOA法によって分離して算出できない、という課題がある。
【0031】
これは、DDOA法がレーダ受信信号をドップラーフィルタで弁別した後、ドップラー周波数毎にDOA法による到来方向算出を行うためである。つまり、レーダ受信信号の段階で、同一のドップラー周波数となっているものから、元の反射波をドップラーフィルタで弁別できないことが原因である。
【0032】
図27及び図28を参照し、上記の課題の影響を具体的に説明する。
【0033】
図27は、従来の移動機器用レーダシステムの外観図である。
【0034】
従来の移動機器用レーダシステム200は、送信アンテナと受信アンテナとを含むレーダと、移動機器とを備える。レーダは、DDOA法に基づいて被測定物190までの距離、被測定物190の相対速度及び被測定物190の移動方向を測定する。
【0035】
説明を単純化するために、被測定物190を人間と同じ程度の大きさ及び高さを有する一様な線状物体とみなし、その表面は、受けた送信波を散乱するような非鏡面の粗い柱であると考える。なお、移動機器は、図27に示すような座席に座った人間を移動させるものには限定されず、自動車などであってもよい。
【0036】
送信アンテナ及び受信アンテナは、被測定物190の高さの半分程度の位置、又は移動機器の高さ(例えば、移動機器が自動車であれば車高)の半分程度の位置に設置される。このような位置にアンテナを設置することにより、送信波を被測定物190に対して効率的に照射でき、また、被測定物190からの反射波を効率的に受信できる。
【0037】
また、従来の移動機器用レーダシステム200は、散乱断面積が例えば1平方メートル(1メートル四方)程度の人間又は自動車などの大きな物体を、観測対象として想定している。このため、散乱断面積の中心位置における物体の相対速度さえわかれば、物体の接近速度が分かる。例えば、移動中の自動車から前方の物体を観測する場合には、自車に対する物体の相対速度の平均値を測定すれば、前方の物体が衝突する危険性のある物体なのか、衝突の心配のない先行する自動車なのかを判断することができる。
【0038】
一方、図27に示すような人間の移動を支援するための移動機器用レーダシステム200では、図28に示す利用シーンように、移動機器120にレーダを搭載し、前方の人間190A、190B及び小動物190Cを判別しながら移動機器120を安全に走行させたい場合が多い。この場合には、人間の運動及び形状などを詳しく測定し、抽出する必要があるので、観測の対象となるのは頭部、腕、手、胴体及び脚といった部位単位、すなわち、散乱断面積が100平方センチメートル(10センチメートル四方)程度の大きさの物体である。さらに、それらの部位ごとに相対速度を適切に算出する必要がある。
【0039】
ここで、一般にレーダを利用して物体の相対速度を測定する場合、物体の運動のうちレーダのレンジ方向(視線方向と呼ぶ)の速度成分のみを測定することができる。その視線方向の相対速度は、電波のドップラー効果によって受信周波数が送信周波数に対して偏移することから算出できる。すなわち、レーダ受信信号を周波数解析して周波数偏移量を計算し、それに比例する量として相対速度を計算することができる。
【0040】
ところが、レーダで受信できる電波は、複数の周波数成分を有する反射波の重ね合わせである。すなわちこれは、2つの反射点がレーダから等距離にあって、かつ、同一の周波数で運動していると、もともと独立だった2つの電波は加算され、直交せず独立でなくなってしまう、ということを意味する。
【0041】
アンテナが被測定物190の高さの半分程度の位置に設置され、アンテナの向きが移動機器の走行面121と平行であり、被測定物190が図27のような柱状物体である場合には、レーダから見た視線方向速度が同一になる点が多数存在することは明白である。なお、視線方向速度が同一とは、視線方向速度の大きさ(絶対値)が同一であり、かつ、視線方向速度の方向が同じであることを意味する。また、視線方向速度の大きさ及び方向が同一とは、判別できない程度に小さい差であることも含む。
【0042】
また、人間のように極めて近い範囲に運動の異なる部位を持つ物体であっても、胴体部分のように比較的面積が大きく、単調な動きをする部位では、同じような現象が起こりうる。
【0043】
したがって、柱状物体からの反射波であるか人間からの反射波であるかに関わらず、距離が同一で、かつ反射波のドップラー周波数が同一となる点からの反射波の重ね合わせは、レーダから見た反射点の方向が異なっていても分離することはできない。このため、対象物体の運動及び形状を推定するための情報が失われる、という望まざる結果となる。
【0044】
このように、被測定物が人間である場合、人間の運動に応じたマイクロドップラーのスペクトルが測定できる一方、その人間の反射点の中に、方位角又は仰角が異なるが視線方向速度が等しくなる複数の反射点が存在すると、反射点の位置を正しく弁別することができない、ということが起こる。
【0045】
例えば、視線方向速度が同一となる反射点が3つあった場合、(i)3つの反射点が1つの反射点として判別されてしまう、(ii)3つの反射点が1つの反射点として判別されることにより、その算出位置が実際の位置とは全く異なる、(iii)全く無意味な像(干渉又は雑音)の原因となる、などの問題を生じる。これを「DOAの不定性」と呼ぶことにする。
【0046】
DDOA法に基づくレーダシステムを移動機器に搭載する場合、被測定物の動きに加えて移動機器そのものの動きが加わった相対運動を測定することになる。移動機器が路面状態などの影響を受けて微小に振動していたり、移動機器の備える車軸の歪みなどの影響を受けて微小な蛇行運動をしていたりすると、DDOA法による被測定物の測定値に大きな影響が現れる。上記のような振動や偏心などの運動を予め移動機器自身に通知するためには多数のセンサ(加速度センサ、角速度センサ、ジャイロ)を積載し、さらにそれらを有機的に組み合わせて補正することが必要である。また、仮に補正するとしても、その影響を完全に相殺し、ゼロにするのは極めて困難である。
【0047】
そこで、本発明は、従来の課題を鑑み、DOAの不定性を極めて簡便に軽減することができるレーダ装置及び移動機器用レーダシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0048】
本発明のある局面に係るレーダ装置は、移動機器に備えられ、被測定物までの距離、前記被測定物が存在する方向及び前記被測定物の相対速度を測定するレーダ装置であって、前記被測定物に対して電波を放射する第1送信アンテナと、前記被測定物からの前記電波の反射波を受信する複数の受信アンテナと、前記複数の受信アンテナの各々で受信された前記反射波に基づいて、前記被測定物までの距離、前記被測定物が存在する方向及び前記被測定物の相対速度を算出する運動検知部とを備え、前記第1送信アンテナは、前記第1送信アンテナの仰角方向の電波放射特性において電界強度が極小となる方向である電界強度極小方向が、前記移動機器の走行面と略平行になるように前記移動機器に固定される。
【0049】
このように第1送信アンテナの仰角方向の電波放射特性における電界強度極小方向を移動機器の走行面と略平行になるように、第1送信アンテナが移動機器に固定される。このため、例えば、被測定物が同一の相対速度で移動していたとしても、被測定物上での高さの異なる点ごとに、視線方向速度も異なることとなる。このため、DOAの不定性を極めて簡便に軽減することができる。
【0050】
具体的には、前記第1送信アンテナは、前記第1送信アンテナの仰角方向の電波放射特性のメインビームとサイドローブとの境界面における電界強度が極小となる方向が、前記移動機器の走行面と略平行になるように前記移動機器に固定される。
【0051】
好ましくは、前記第1送信アンテナは、前記第1送信アンテナが放射する電波の電力が前記第1送信アンテナの仰角方向の電波放射特性のメインビームの電力の最大値の半分となる方向が、前記移動機器の走行面と略平行になるように前記移動機器に固定される。
【0052】
上記のように第1送信アンテナを移動機器に固定することにより、走行面の高さから第1送信アンテナの高さまでの間に生じる死角を軽減することができる。
【0053】
また、前記第1送信アンテナは、前記第1送信アンテナの仰角方向の電波放射特性のメインビームにおいて電界強度が最大となる方向であるメインビーム方向が、前記第1送信アンテナの仰角方向の電波放射特性における電界強度極小方向に対して上方になるよう固定されていても良い。
【0054】
第1送信アンテナのメインビーム方向を上向きにすることにより、第1送信アンテナよりも上方に位置する被測定物のまでの距離、被測定物が存在する方向及び被測定物の相対速度を測定することができる。このため、例えば、第1送信アンテナを移動機器の下方に設置することにより、移動機器の前方に位置する被測定物の相対速度等の測定が可能となる。
【0055】
また、上述のレーダ装置は、さらに、前記走行面に対して前記第1送信アンテナとは異なる高さに設置され、前記被測定物に対して電波を放射する第2送信アンテナを備えていても良い。
【0056】
第2送信アンテナを設けることにより、第1送信アンテナによる観測が不可能な領域を観測することができるようになる。
【0057】
具体的には、前記第2送信アンテナは、前記第2送信アンテナの仰角方向の電波放射特性のメインビームにおいて電界強度が最大となる方向であるメインビーム方向が常に水平になるように調整される。
【0058】
例えば、移動機器が上り坂を登っている場合などでは、第1送信アンテナによる観測では上り坂の先の範囲が死角になる。しかし、第2送信アンテナの電波放射特性のメインビーム方向が常に水平になるように調整することにより、上り坂の先の死角に存在する被測定物を早い段階で測定することができる。
【0059】
また、前記第1送信アンテナの仰角方向の電波放射特性における電界強度極小方向と前記第2送信アンテナの仰角方向の電波放射特性における電界強度極小方向とが略同一であり、前記第1送信アンテナの仰角方向の電波放射特性のメインビーム方向が、前記第1送信アンテナの仰角方向の電波放射特性における電界強度極小方向より上方であり、前記第2送信アンテナの仰角方向の電波放射特性のメインビームにおいて電界強度が最大となる方向であるメインビーム方向が、前記第2送信アンテナの仰角方向の電波放射特性における電界強度極小方向より下方であってもよい。
【0060】
第1送信アンテナにより上方に位置する被測定物の相対速度等を測定することができ、第2送信アンテナにより下方に位置する被測定物の相対速度等を測定することができる。これにより、被測定物の相対速度等を測定する際の死角を低減することができる。
【0061】
また、上述のレーダ装置は、さらに、走行面に対して前記第1送信アンテナと略同一高さに設置され、前記被測定物に対して電波を放射する第3送信アンテナを備え、前記第1送信アンテナの方位角方向の電波放射特性における電界強度極小方向と前記第3アンテナの方位角方向の電波放射特性における電界強度極小方向とは、前記第1送信アンテナのメインビーム方向と前記第3送信アンテナのメインビーム方向の両方を含む平面において略同一であってもよい。
【0062】
この構成によると、第1送信アンテナ及び第3送信アンテナのそれぞれにより、横方向に発生しうるDOAの不定性の影響を軽減できるため、被測定物の形状又は速度に関する情報損失を抑えることができる。また、一方の送信アンテナが左方向を測定対象範囲とし、他方の送信アンテナが右方向を測定対象範囲とすることで、被測定物の測定対象範囲の死角を低減することができる。
【0063】
また、上述のレーダ装置は、さらに、前記運動検知部の出力に基づいて、被測定物の運動を推定する運動推定部と、前記運動推定部で推定された前記被測定物の運動に基づいて、前記移動機器の走行を制御する走行制御部とを備えていても良い。
【0064】
例えば、被測定物が移動機器から一定距離内に存在し、かつ移動機器に対して近付いていると運動推定部が判断した場合には、走行制御部は、移動機器のブレーキを掛けるなどの、安全走行のための制御を行うことができる。
【0065】
具体的には、前記運動検知部は、スペクトラム拡散方式に従って前記被測定物までの距離を算出する。
【0066】
また、前記運動検知部により算出される前記被測定物までの距離の量子化単位が、1メートル以下である。
【0067】
本発明の他の局面に係る移動機器用レーダシステムは、被測定物までの距離、前記被測定物が存在する方向及び前記被測定物の相対速度を測定する移動機器用レーダシステムであって、走行面上を移動する移動機器と、前記移動機器に備えられるレーダ装置とを備え、前記レーダ装置は、前記被測定物に対して電波を放射する第1送信アンテナと、前記被測定物からの前記電波の反射波を受信する複数の受信アンテナと、前記複数の受信アンテナの各々で受信された前記反射波に基づいて、前記被測定物までの距離、前記被測定物が存在する方向及び前記被測定物の相対速度を算出する運動検知部とを備え、前記第1送信アンテナは、前記第1送信アンテナの仰角方向の電波放射特性において電界強度が極小となる方向である電界強度極小方向が、前記移動機器の前記走行面と略平行になるように前記移動機器に固定される。
【0068】
このように第1送信アンテナの仰角方向の電波放射特性における電界強度極小方向を移動機器の走行面と略平行になるように、第1送信アンテナが移動機器に固定される。このため、例えば、被測定物が同一の相対速度で移動していたとしても、被測定物上での高さの異なる点ごとに、視線方向速度も異なることとなる。このため、DOAの不定性を極めて簡便に軽減することができる。
【発明の効果】
【0069】
本発明によれば、DOAの不定性を極めて簡便に軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施の形態1における移動機器用レーダシステムの概略構成を示す図
【図2】本発明の実施の形態1における移動機器の一例を示す図
【図3】本発明の実施の形態1における移動機器の走行と仰角方向の電波放射特性との関係を示す図
【図4】本発明の実施の形態1における指向性を有する第1送信アンテナの電波放射特性を示す図
【図5】本発明の実施の形態1における第1送信アンテナの方位角方向及び仰角方向の電波放射特性のうち、メインビームと、2つの第1サイドローブにおける電力特性を示すグラフ
【図6】本発明の実施の形態1における移動機器の走行と仰角方向の電波放射特性との関係を示す図
【図7】本発明の実施の形態1における第1送信アンテナの仰角方向の電波放射特性の設定方法を示す図
【図8】本発明の実施の形態1における第1送信アンテナの仰角方向の電波放射特性の設定方法を示す図
【図9】本発明の実施の形態1における第1送信アンテナのメインビーム方向の調整方法を示す図
【図10】本発明の実施の形態1における移動機器用レーダシステムの利用シーンを示す図
【図11】本発明の実施の形態1における移動機器用レーダシステムの利用シーンを示す図
【図12】本発明の実施の形態1の効果を説明する図
【図13】本発明の効果を複雑な運動物体を想定して計算するための条件を説明する図
【図14】本発明の効果を複雑な運動物体を想定して計算した結果を示す図
【図15】本発明において、スペクトラム拡散方式を用いて距離測定を行うことによる効果を説明するための図
【図16】本発明の実施の形態2における移動機器用レーダシステムの概略を示す図
【図17】本発明の実施の形態2における第2送信アンテナの機構の一例を示す図
【図18】本発明の実施の形態2における第2送信アンテナの機構の一例を示す図
【図19】本発明の実施の形態2における効果を説明する図
【図20】本発明の実施の形態3における移動機器用レーダシステムの概略構成を示す図
【図21】本発明の実施の形態3における移動機器用レーダシステムの概略構成を示す図
【図22】一般的なダイバーシティによるDOAの不定性を解消する手法を説明する図
【図23】本発明の実施の形態4における移動機器用レーダシステムの概略構成を示す図
【図24】本発明の実施の形態4における移動機器用レーダシステムの概略構成を示す図
【図25】従来の移動体検知・報知システムの概略図
【図26】DDOA法を用いたレーダ装置の構成を示す図
【図27】従来の移動機器用レーダシステムの問題点を説明する図
【図28】従来の移動機器用レーダシステムの利用シーンを示す図
【発明を実施するための形態】
【0071】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0072】
(実施の形態1)
図1に、本発明の実施の形態1における移動機器用レーダシステムの概略構成を示す。
【0073】
本実施の形態の移動機器用レーダシステム100は、被測定物までの距離、前記被測定物が存在する方向及び前記被測定物の相対速度を測定するシステムであり、移動機器120とレーダ装置110とを備える。
【0074】
(移動機器120)
図2に、移動機器120の例である電動車椅子120a、立位型移動機器120bを示す。移動機器120は、無人の移動型ロボット(図示せず)であってもよい。
【0075】
移動機器120は、車台123、車輪124、座席125、及び走行制御ユニット122を備える。
【0076】
車台123は、移動機器120をささせる基台である。
【0077】
車輪124は、車台123に取り付けられる。
【0078】
走行制御ユニット122は、車台123に取り付けられ、動力により車輪124を回転させることにより、移動機器120を移動させる。
【0079】
座席125は、車台123上に取り付けられ(図2では、車台123上の走行制御ユニット122に取り付けられている)、座席125には、搭乗者101が座る。
【0080】
(レーダ装置110)
レーダ装置110は、移動機器120に備えられ、被測定物までの距離、被測定物が存在する方向及び被測定物の相対速度を測定する装置であり、送信部111、第1送信アンテナ114、受信部112、レーダ制御部113、受信アンテナ群115、及び演算処理部130を備える。
【0081】
送信部111は、マイクロ波帯又はミリ波帯の搬送波を発生する発振回路と、レーダ測定のために搬送波を変調する変調回路とを有する。送信部111は、マイクロ波又はミリ波などの搬送波を発生させ、レーダ制御部113の制御信号に基づいて搬送波を変調し、増幅器又は減衰器を用いて利得制御を行い、さらに濾波器を用いて周波数帯域制限を行い、変調搬送波を出力する。この変調搬送波を「レーダ送信信号」と呼ぶことにする。
【0082】
第1送信アンテナ114は、被測定物に対して電波を放射する。つまり、第1送信アンテナ114は、送信部111から出力されたレーダ送信信号を送信波として空中に放射する。第1送信アンテナ114として、パッチアンテナなどの平面アンテナ、又はホーンアンテナなどの開口面アンテナを使用することができる。
【0083】
受信アンテナ群115は、複数のアンテナ素子から構成され、各アンテナ素子が被測定物から反射又は散乱されてきた第1送信アンテナ114から放射された送信波の反射波を受信する。ここで、被測定物上で送信波を反射した点を「反射点」と呼ぶ。また、散乱も反射の一種であるため、被測定物上で送信波を散乱した点のことも反射点と呼ぶ。反射点は単一ではなく、一般に被測定物上に複数点存在する。受信アンテナ群115は、それら複数の反射点からの反射波が相互に重ね合わされたものを受信することになる。受信アンテナ群115を構成する各受信アンテナの電波放射特性は、第1送信アンテナ114と同じ電波放射特性が望ましいが、同じでなくても構わない。
【0084】
受信部112は、受信アンテナ群115が受信した反射波を、送信部111で生成した搬送波を用いて復調し、レーダ送信信号と反射波との相関関数を計算することで、レーダ受信信号を得る。
【0085】
レーダ制御部113は、レーダ送信信号の生成や反射波の処理に必要な制御信号を生成する。
【0086】
演算処理部130は、受信アンテナ群115で受信された反射波に基づいて、被測定物までの距離、被測定物が存在する方向及び被測定物の相対速度を算出する運動検知部131を備える。
【0087】
次に、第1送信アンテナ114の設置位置について説明する。
【0088】
第1送信アンテナ114は、第1送信アンテナ114の仰角方向の電波放射特性において電界強度が極小となる方向である電界強度極小方向152が、移動機器120の走行面121と略平行になるように移動機器120に固定される。
【0089】
以下、第1送信アンテナ114の設置位置の具体例について図3を用いて説明する。
【0090】
第1送信アンテナ114は、図3に示すように、その仰角方向の電波放射特性において、その電界強度極小方向が、移動機器120の走行面121と略平行になるように構成されている。電界強度極小方向を、「ヌル方向」と呼ぶことにする。
【0091】
図4及び図5を参照して、ヌル方向について説明する。
【0092】
図4は、指向性を有する第1送信アンテナ114の電波放射特性を示す。放射方向と電界強度の関係を表している。この例では、第一送信アンテナ114が、4つの極大領域(ローブ)と4つの極小領域(ヌル)を有している。具体的には、第1送信アンテナ114の電波放射特性において、送信波の電界強度が最大となる方向であるメインビーム方向に伸びるメインビームと、メインビームに接する2つの第1サイドローブと、メインビーム方向と反対方向に伸びる第2サイドローブとが存在する。
【0093】
図5(a)及び図5(b)は、それぞれ、方位角方向及び仰角方向における第1送信アンテナ114の電波放射特性を示す。ここで、方位角とは、移動機器120の走行面121と平行な面内における方向を特定するための角度である。また、仰角とは、反射点の方向のうち、移動機器120の走行面121に対して上下方向を特定するための角度である。
【0094】
図5(a)及び図5(b)に示す第1送信アンテナ114は、メインビームと、2つの第1サイドローブにおける電力特性を有する。図5(a)及び図5(b)において、それぞれ横軸が第1送信アンテナ114の送信波の方位角又は仰角を示し、縦軸が送信波の電力を示す。図5に示すようにメインビームと各第1サイドローブとの間で電力が極小となる点である第1ヌル点が存在する。図5(a)に示す方位角方向の電力特性と、図5(b)に示す仰角方向の電力特性とのそれぞれに、第一ヌル点は存在する。
【0095】
なお、電波放射特性の方位角方向、仰角方向のいずれのパターンも、メインビームの最大点を含むように、すなわち、メインビーム方向のベクトルを含むように空間的な電波放射特性を切断した形状である。それぞれ「方位角方向の電波放射特性」、「仰角方向の電波放射特性」と呼んで区別する。メインビーム方向は、そのベクトルが空間的な電波放射特性の中で一意に定まる。空間的な電波放射特性を面で切断して初めて定まるヌル方向とは定義が異なっている。したがって、方位角方向の電波放射特性におけるメインビーム方向、仰角方向の電波放射特性におけるメインビーム方向とは、それぞれメインビーム方向の方位角方向、メインビーム方向の仰角方向という意味である。
【0096】
図3に示すヌル方向152aとは、第1ヌル点で示される仰角の方向である。つまり、ヌル方向152aとは、図4においてメインビームと第1サイドローブとの接線方向である。なお、メインビームと第1サイドローブとの接線方向は2つ存在するが、そのうちの一方の接線方向がヌル方向として用いられる。つまり、第1送信アンテナ114は、第1送信アンテナ114の電波放射特性のメインビームにおけるメインビーム方向151が、第1送信アンテナ114の仰角方向の電波放射特性における電界強度極小方向(ヌル方向152a)に対して上方になるよう固定される。
【0097】
本実施の形態では、仰角方向の電波放射特性におけるメインビーム150の設定方法に特徴があり、サイドローブに関しては、なるべく小さくなるようアンテナを設計することが望ましい。したがって、電界強度又は電力に関しては、メインビーム150での値を指すものであり、電界強度極小方向152は、メインビーム150とサイドローブとの境界面を指している。
【0098】
なお、第1送信アンテナ114は、図6に示すように、第1送信アンテナ114の送信波のメインビーム150において、電力が最大値の半分(電界強度が最大値の1/√2)となる電力半値点に向かう方向が、移動機器120の走行面121と略平行となるように構成してもよい。この電力半値点に向かう方向を「半値方向」と呼ぶことにする。なお、第1送信アンテナ114は、第1送信アンテナ114の電波放射特性のメインビームにおけるメインビーム方向151が、第1送信アンテナ114の仰角方向の電波放射特性における半値方向152bに対して上方になるよう固定される。
【0099】
本実施の形態においては、電界強度極小方向152が走行面121と略平行といった場合、ヌル方向152aが走行面121と略平行である場合のみならず、半値方向152bが走行面121と略平行である場合も含むものとする。つまり、メインビーム150とサイドローブの境界面において電界強度が極小となる厳密な意味でのヌル方向152aのみならず、電力半値点に向かう方向である半値方向152b、又はヌル方向152aと半値方向152bとの間の電界方向を電界強度極小方向152に含めて考えるものとする。
【0100】
このように仰角方向の電波放射特性における電界強度極小方向152を移動機器120の走行面121と略平行となるように構成するためには、図7のように、開口面アンテナを物理的及び機械的に傾斜させておく方法がある。ここで、開口面アンテナは、第1送信アンテナ114と、受信アンテナ115a〜115cから構成される受信アンテナ群115とを含む。
【0101】
図7(a)は、開口面アンテナの正面図であり、図7(b)は、開口面アンテナを傾斜させる前の左側面図であり、図7(c)は、開口面アンテナを傾斜させた後の左側面図である。
【0102】
開口面アンテナを移動機器120に設置するとき、開口面アンテナ近傍の開口面アンテナと同じ高さの位置にパワーメータのディテクタ部を置き、開口面アンテナの傾斜角を変化させながら電力を測定し、検出電力が極小となった点で開口面アンテナの傾斜角を固定するとよい。開口面アンテナの開口部とパワーメータとの間隔を変化させて複数点で測定しておくと、さらに適切に傾斜角を設定できる。開口アンテナの傾斜前は図7(b)に示すようにメインビーム150が水平方向を向いていたのに対し、開口アンテナを傾斜させることにより図7(c)に示すようにメインビーム150が上方に向くようにすることができる。なお、図7(b)に示す第1送信アンテナ114を模式的に図7(d)のように三角形で表し、図7(c)に示す第1送信アンテナ114を模式的に図7(e)のように三角形で表すことにする。つまり、三角形の一辺が、メインビーム150のメインビーム方向151に直交する方向を示している。この第1送信アンテナ114の模式的な図示の方法は他の図においても同様である。
【0103】
また、図8のように、アンテナアレーにより第1送信アンテナ114及び受信アンテナ群115を構成してもよい。なお、受信アンテナ群115は、受信アンテナ115a〜115cを含む。各アンテナを構成するアンテナアレー素子の位相角を予め設定しておいて電子的に仰角方向の電波放射特性を変更する。図8(a)、図8(b)及び図8(c)は、それぞれ、アンテナアレーにより構成された第1送信アンテナ114及び受信アンテナ群115の正面図、電波放射特性変更前の左側面図及び電波放射特性変更後の左側面図である。このように、アンテナアレー素子の位相角を電子的に変更して仰角方向の電波放射特性を変更することにより、図8(b)のように水平方向を向いていたメインビーム150を、図8(c)のように上方に向くように変更することができる。この場合は、アンテナを物理的に傾斜させる必要はないが、電界強度極小方向152が走行面121と略平行になるようにアンテナの電波放射特性を設計しておく必要がある。なお、図8(b)に示す第1送信アンテナ114を模式的に図8(d)のように三角形で表し、図8(c)に示す第1送信アンテナ114を模式的に図8(e)のように三角形で表すことにする。つまり、三角形の一辺が、メインビーム150のメインビーム方向151に直交する方向を示している。この第1送信アンテナ114の模式的な図示の方法は他の図においても同様である。
【0104】
図7及び図8に示したいずれの方法であっても、レーダ装置110を初めて移動機器120に装着する時又はレーダ装置110の点検時など、アンテナの据付角度を調整する必要のある場合にのみアンテナが可動であることが望ましく、通常使用する場合にはアンテナは固定され、メインビーム150の方向が変化しないことが望ましい。
【0105】
レーダ装置110の装着時又は点検時において第1送信アンテナ114のメインビーム方向151を以下のようにして調整しても良い。つまり、図9のように、ヌル方向152a又は半値方向152bに、電力を監視するためのモニタ用受信アンテナ116を車台123に設置する。モニタ用受信アンテナ116にパワーメータを接続して、その点での第1送信アンテナ114の送信波の電力を測定する。測定した電力が、その距離において予め測定され、規定された第1送信アンテナ114の送信波の電力の最大値に対して規定の電力になっていることを確認するようにすれば、アンテナの放射方向が適切であるかどうかを確認することができる。例えば、規定の電力を含む所定の電力幅を記憶しておき、モニタ用受信アンテナ116に接続されたパワーメータが測定した電力と上記所定の電力幅とを比較し、測定電力が上記所定の電力幅内に収まっていなければ警告を出力するようにしても良い。モニタ用受信アンテナ116は、第1送信アンテナ114が走行時にずれていないかのメンテナンス用に用いても良いし、製品出荷時の第1送信アンテナ114の取付け時に用いても良い。
【0106】
なお、「規定の電力」とは、電力の極小値あるいは電力の最大値の半値、あるいはその間の値を定めるために用いる指標とし、予め測定した上で定めておく。
【0107】
このようにモニタ用受信アンテナ116を車台123に設置することにより、被測定物の像に異常が発生した場合に、アンテナに障害物又は搭乗者の体の一部が接触してアンテナの方向がずれたためにDOAの不定性が生起した結果として起こった像の異常なのか、全く別の原因により起こった像の異常なのかを切り分けるための判断材料を得ることができる。
【0108】
このためには、モニタ用受信アンテナ116は、第1送信アンテナ114及び受信アンテナ群115とは独立に移動機器120の車台123に設置されていることが望ましい。
【0109】
次に、受信アンテナ群115の構成について詳細に説明する。
【0110】
受信アンテナ群115は、複数のアンテナ素子から構成されており、少なくとも2つの受信アンテナから構成されているものとする。
【0111】
図7及び図8においては、受信アンテナ群115が、受信アンテナ115a、115b及び115cの3つのアンテナ素子から構成されている場合を示している。
【0112】
水平方向に並んで配置された受信アンテナ115a及び115bを使用すれば、反射点の方向のうち方位角方向を特定できる。
【0113】
鉛直方向に並んで配置された受信アンテナ115b及び115cを使用すれば、反射点の方向のうち仰角方向を特定できる。
【0114】
少なくとも2つの受信アンテナを備えれば、方向の成分のひとつを得られ、3つの受信アンテナをすべて使用すれば、3次元空間上の方向を特定できる。
【0115】
なお、実施の形態1においては、前記の第1送信アンテナ114と受信アンテナ群115とは、移動機器120の車高に対して十分低い位置に取り付けることが望ましい。例えば、アンテナを取り付けた位置におけるヌル方向152aの走行面121からの高さが30センチメートル程度かそれ以下、すなわち、人間の膝よりも下の脛程度の高さになるように、アンテナを設置し、メインビーム方向151を走行面121に対して上方にすると良い。このようにアンテナを設置することで、図3に示すヌル方向152aより下側の観測不可領域161をできる限り小さくし、被測定物が人間の場合には観測できない運動を脛より下の足の運動にとどめることができる。膝や大腿の運動など主要な運動部位はメインビーム150内の観測可能領域160にあるため、主要な情報は失われずに済む。なお、メインビーム150内を「観測可能領域」、メインビーム150外を「観測不可領域」と呼ぶことにする。
【0116】
また、この場合、電界強度極小方向152を半値方向152b程度にしておくと、DOAの不定性の影響を僅かに受ける反面、観測不可領域161にはみ出す部位の体積が低減され、死角を軽減できるので都合が良い。
【0117】
また、逆に移動機器120の車高に対して十分高い2メートル程度の位置、すなわち、人間の身長より高い位置にアンテナを設置し、第1送信アンテナ114のメインビーム方向151を走行面121の側に向けるように設置してもよい。このようにすることで、人間の身長より下側が観測可能領域160内となり、人間の全身を測定できる。ただし、この場合は移動機器120に第1送信アンテナ114と受信アンテナ群115を設置するための取り付け枠の必要性など、デザインや高さの制約も加味する必要がある。
【0118】
再度図1を参照して、演算処理部130について説明する。演算処理部130は、運動検知部131の他に、ドップラー信号処理部を備える。
【0119】
ドップラー信号処理部は、レーダ受信信号をA/D変換して離散化及び量子化をし、レーダ受信信号の直流成分除去、レーダ受信信号の振幅不均衡の解消、及び位相不均衡の解消などのキャリブレーションを行う。その後、ドップラー信号処理部は、離散化されたレーダ受信信号をドップラーフィルタで処理する、すなわち、高速フーリエ変換(FFT)などを用いて離散化されたレーダ受信信号を周波数解析する。
【0120】
運動検知部131は、ドップラーフィルタによって周波数分離された信号に対し、分離周波数成分ごとに到来方向算出と速度算出を行う。つまり、運動検知部131は、DDOA法を用いて被測定物が存在する方向及び被測定物の相対速度を算出する。DDOA法の詳細は、図26を用いて説明した通りである。このため、その詳細な説明は繰り返さない。また、運動検知部131は、第1送信アンテナ114及び受信アンテナ群115から被測定物の反射点までの距離をレーダ送信信号と反射波の相関関数の出力ピーク位置に基づいて決定する。
【0121】
運動検知部131は、具体的には、物体の反射点までの距離と物体の反射点の方向とによる位置情報に加え、ドップラー信号処理の結果から得られる反射点の速度情報を使うことで、被測定物の中から、静止物体、接近する物体、高速で接近する物体、遠ざかる物体などを検出する。運動検知部131は、検出した結果をディスプレイなどに画像として表示しても良い。
【0122】
なお、演算処理部130は、運動検知部131のほかに、運動検知部131で検知された反射点の運動情報を入力として、運動のパターンや反射点のクラスタリングなどによって被測定物の運動を推定する運動推定部を有してもよい。演算処理部130は、さらに、その運動推定部の出力を利用して、移動機器120を適切に制御する走行制御部を備えてもよい。例えば、運動推定部は、被測定物が移動機器120に対して接近しているか否かを判断する。具体的には、運動推定部は、被測定物の相対速度と被測定物までの距離に基づいて、被測定物が移動機器120から一定距離内に存在し、かつ移動機器120に対して近付いているか否かを判断する。被測定物が移動機器120から一定距離内に存在し、かつ移動機器120に対して近付いていると運動推定部が判断した場合には、走行制御部は、移動機器120のブレーキを掛ける制御を行う。
【0123】
図10に、実施の形態1の移動機器用レーダシステム100の使用シーンを示す。また、図10を用いて、実施の形態1の効果を説明する。
【0124】
例えば、ショッピングモールなどのように人が多数存在する環境の中でも移動機器120が安全走行できるようにするためには、周辺環境をモニタするための周辺センサが必要である。
【0125】
周辺センサとしては、位置情報と相対速度をリアルタイムに算出可能な電波センサ(レーダ)が望ましい。レーダは、移動機器120の例えば前方に設置する。
【0126】
図11に示すように、移動機器120から送信した電波が、人間190A、190B又は小動物190Cなどの被測定物190に照射されて、被測定物190で反射又は散乱され、そこから移動機器120に電波が戻ってくるとき、被測定物190上に反射点を置いて考えることができる。
【0127】
送信された電波が被測定物の表面状態の違いによって反射するか、散乱するかは特に区別しないものとする。また、受信された電波が反射されたものか、散乱されたものかは特に区別しないものとする。ここでは被測定物における散乱、反射は同義であるとする。また、第1送信アンテナ114から送出する電波を送信波、被測定物190によって散乱あるいは反射されて受信アンテナ群115に到達する電波を反射波とする。図11では、反射点からの反射波を破線で示している。
【0128】
被測定物190上に移動機器120の速度と異なる反射点、すなわち相対速度がゼロでない反射点があれば、それは移動機器120に対して近づいているか、遠ざかっているかのどちらかであり、ドップラー周波数の符号によってそれを判断できる。移動機器120の速度と同一の反射点、すなわち相対速度がゼロである反射点は、移動機器120から見て静止した反射点であるから、移動機器120に衝突する可能性は低い。
【0129】
続いて、従来構成のDDOA法に基づくレーダの問題点について、本実施の形態と比較しながら明確にする。
【0130】
図27は従来のDDOA法に基づくレーダを用いた移動機器用レーダシステム200を示す。
【0131】
ここでは説明を単純化するため、被測定物として人間程度の大きさ及び高さを有する一様な線状物体として、表面の粗い柱状の被測定物190を考える。
【0132】
従来の移動機器用レーダシステム200におけるレーダでは、送信波を被測定物190に照射し、かつ、被測定物190からの反射波を効率的に受信するため、送信アンテナ及び受信アンテナが被測定物190の高さの半分程度の位置に設置されていることが多かった。なお、移動機器用レーダシステム200のようにレーダを移動機器120に搭載する場合は、移動機器120の高さの半分程度の位置に、例えば、移動機器120が自動車であれば、車高の半分程度の位置に送信アンテナ及び受信アンテナが設置されていた。
【0133】
送信アンテナから水平方向、すなわち、走行面121に対して平行な方向に伝播する電波が、被測定物190において反射されるポイントをP0とする。
【0134】
簡単のため、移動機器120が静止し、被測定物190が速度V0で接近してくるものと考える。レーダが観測する運動は相対運動であるから、どちらが運動していても等価である。
【0135】
奥行きすなわちクロスレンジ方向の広がりは考えないものとすると、アンテナからの仰角の大きさがE1となる点P1は2点存在する。仰角が+E1の点を点P1U、−E1の点を点P1Lとする。
【0136】
このとき、レーダが受信する電波は、視線方向の相対速度に対応するため、点P1L、P1Uからの反射波が示す反射点の速度は、それぞれをVc1L及びVc1Uとして、式3および式4で表すことができる。
【0137】
Vc1L=V0cos(−E1)=V0cos(E1) ・・・(式3)
Vc1U=V0cos(+E1)=V0cos(E1) ・・・(式4)
【0138】
Vc1L=Vc1Uであることより、DDOA法では、点P1Lと点P1Uとを区別することができない。
【0139】
同様にして、仰角Ei(Ei=±|Ei|、i=1,2,3,...)についても、式5で表すことができる。
【0140】
VciL=VciU=V0cos(Ei) ・・・(式5)
【0141】
これも同様に、点PiLと点PiUとを分離できないことを意味する。
【0142】
このことから、もっとも極端な条件になると、点P0からの反射波のみが正しい結果を与えるということになり、これでは方向の情報が得られていないということを意味している。
【0143】
一方、図12は、本実施の形態による移動機器用レーダシステム100の外観図である。
【0144】
本実施の形態では、第1送信アンテナ114からの仰角方向の電波放射特性における電界強度極小方向152が、移動機器120の走行面121に対して略平行であるという特徴がある。
【0145】
このとき、第1送信アンテナ114からの水平方向(走行面に対して平行)に伝播する電波が被測定物190において反射される反射点をQ0とする。また、第1送信アンテナ114からの仰角の大きさがE1となる反射点をQ1とし、Q1での反射波の視線方向速度をV1とすると、V1=V0cos(E1)である。
【0146】
同様にして、アンテナから仰角の大きさEi(i=1,2,3,...)となる反射点Qi(i=1,2,3,...)を考えると、本実施の形態の場合には、反射点Qiはi毎にそれぞれ1点ずつしか存在しない。反射点Qiで散乱された反射波の視線方向速度Viは、式6で表すことができ、すべてのViは一致しない。
【0147】
Vi=V0cos(Ei) ・・・(式6)
【0148】
このように、単純な柱のような物体が被測定物190の場合には、反射点ごとに視線方向速度が異なるため、反射点を弁別することができ、従来にはない効果があるとわかる。
【0149】
続いて、本実施の形態が観測の対象としている人間のような複雑な運動をする物体の場合における効果の程度について考える。
【0150】
図13に示すようにここで考えている被測定物190のモデルも、線状物体であり、被測定物190上に多数の速度生成点P1〜Pnを配置し、速度生成点P1〜Pnがそれぞれ速度v1〜vnで近付いてくるものとする。速度生成点P1〜Pnでの視線方向速度について、FFTにおける速度分解能を超えない速度差のものを1点に集約することで、不定でない速度成分を抽出する。第1送信アンテナ114からの送信波が速度生成点P1〜Pnで反射されるものとする。このように考えることで、複雑な運動をする物体を模擬し、簡易な数値計算で、移動機器用レーダシステム100の効果を検証することができる。図13に示すように速度v1〜vnはランダムに設定されるものとする。また、第1送信アンテナ114がいずれの高さであっても、速度生成点P1〜Pnでの反射波はすべて受信されているものとする。
【0151】
移動機器用レーダシステム100の典型的な利用シーンを考慮して、被測定物190の高さを2m、最大運動速度を1.5m/秒、距離を5mとした。FFTサンプル点数を256点とする。FFTの速度分解能は約1.1cm/秒である。
【0152】
図14は、アンテナの高さをパラメータとして計算し、DOAの不定性の程度を評価した結果である。横軸は、第1送信アンテナ114の高さを示し、縦軸は抽出点数の比率を示す。図13に示すように第1送信アンテナ114の高さが0mの場合には、第1送信アンテナ114の上半分から送信波を照射され、レーダ装置110における第1送信アンテナ114の配置と等価となる。また、第1送信アンテナ114の高さが1mの場合には、従来の移動機器用レーダシステム200における第1送信アンテナ114の配置と等価となる。図14に示すように、第1送信アンテナ114の高さが0mに近付くにつれ、抽出点数の比率が大きくなり、1mに近付くにつれ、抽出点数の比率が小さくなっている。このように、シミュレーションにおいても、本実施の形態に係る移動機器用レーダシステム100における第1送信アンテナ114の配置の優位性が示される。
【0153】
つまり、この図14から、DOAの不定性を低減するためには被測定物190に対して放射される電波(あるいは被測定物から反射されてくる反射波)の電波放射特性について、走行面121と平行な面を横断するようにメインビーム150を形成した場合には、DOAの不定性が大きくなることがわかる。
【0154】
したがって、放射される電波は、その仰角方向の電波放射特性におけるヌル方向152aが移動機器120の走行面121に対して略平行であることが好ましい。その際、メインビーム150におけるメインビーム方向はヌル方向152aに対して走行面121より上方である。
【0155】
また、運動検知部131は、スペクトラム拡散方式を利用して反射点までの距離を測定する。
【0156】
スペクトラム拡散方式では、送信時の変調信号として、拡散符号、すなわちM系列などの擬似雑音(Pseudo−Noise、PN)符号を用いた搬送波を拡散変調し、受信時に上記PN符号を位相シフトした符号と反射波とを逆拡散(復調)することで相関関数を評価し、相関関数の出力から距離を決定するものである。
【0157】
同一の2つのPN符号の相関関数は、その位相が完全に一致するとき、最大となり、その位相が互いに1チップ(PN符号の1ビット)相当分異なるだけで、相関関数の出力の大きさが最小となるという性質を有している。なお、同一のPN符号とは、符号を生成する多項式とシードとが同一の符号を指す。
【0158】
言い換えれば、PN符号における1チップに相当する距離をDcとすると、スペクトラム拡散方式を用いることで、距離Dcごとに、反射波を量子化して独立した信号処理を行うことができる。独立した信号処理を行うことができるとは、隣接する量子化された単位の影響をほとんど受けることなく、ドップラー信号処理やDOA信号処理を行うことができる、ということである。
【0159】
この量子化された単位をレンジゲートと呼ぶことにする。この場合、Dcは距離分解能あるいはレンジゲート長である。
【0160】
距離分解能はPN符号の速度に反比例し、500Mcps(mega chip per second)のPN符号の場合30cmである。なお、測定距離の量子化単位は1メートル以下であるのが好ましい。
【0161】
なお、距離分解能以下の距離は補間によって、より細かく推定できることが知られている。
【0162】
したがって、スペクトラム拡散方式を用いることで、例えば、人間であれば図15に示すようにそれをさらに細かい単位に分割し、独立した処理ブロックを構築できる。分割された人間の各処理ブロックは、それぞれが独立しているので、もともと同一の速度成分であったためにDOAの不定性が発生していた反射点であれば、それらを分離できるようになる。
【0163】
図15(a)は、従来の第1送信アンテナ114の配置位置における分離性能を示す図であり、被測定物190は、直径方向に2つのレンジゲートに属する。これに対して、図15(b)は、本実施の形態の第1送信アンテナ114の配置位置における分離性能を示す図である。被測定物190は、直径方向に3つのレンジゲートに属する。このように、本実施の形態によると従来に比べ、同一の被測定物190であっても、直径方向の分離性能が高くなる。このため、被測定物190上にある同一速度成分の複数の反射点をそれぞれ異なるレンジゲートに割り当てることのできる確率が高まり、方向決定精度を向上させることができる。
【0164】
このように1つの被測定物190に対し、DOAの不定性が低減される程度は、最大で被測定物を分割するレンジゲートの個数倍だけ高まることになる。
【0165】
また、複数の被測定物190が存在する場合、それぞれが距離分解能以上離れて存在している限り、少なくともすべての観測範囲を分割するレンジゲートの個数倍だけDOAの不定性を低減できる確率が高まる。
【0166】
以上、本発明の実施の形態1の構成によると、第1送信アンテナの仰角方向の電波放射特性における電界強度極小方向を移動機器の走行面と略平行になるように、第1送信アンテナが移動機器に固定される。このため、例えば、被測定物が同一の相対速度で移動していたとしても、被測定物上での高さの異なる点ごとに、視線方向速度も異なることとなる。このため、DOAの不定性を軽減できるため、被測定物の形状や速度に関する情報の損失を最小限度に抑えた移動機器用レーダシステムを実現できる。
【0167】
(実施の形態2)
実施の形態1の場合、移動機器120が上り坂を上昇しているとき、上り坂の先の範囲が死角となるため、その範囲にある障害物など被測定物を観測できないという問題がある。
【0168】
そこで、本発明の実施の形態2は、実施の形態1に対して、放射方向が可動となっている第2の送信アンテナがさらに備えられている点が異なっている。図16を用い、実施の形態2を説明する。
【0169】
図16において、第2送信アンテナ214以外の第1送信アンテナ114及びその他の構成は実施の形態1と同様であるので、説明は省略する。
【0170】
第2送信アンテナ214は、第1送信アンテナ114よりも上方、つまり高い位置に設置される。例えば、第2送信アンテナ214は、移動機器120のアームレストやバンパーの上方、フードの前方などに設置されるとよい。第2送信アンテナ214のメインビーム方向214bは、常に水平になるように調整される。第2送信アンテナ214は、第1送信アンテナ114と同様に指向性を有するアンテナである。
【0171】
つまり、第2送信アンテナ214は、図17に示すように、錘によって水平方向に安定点を持つような機構が設けられる。図17(a)は、水平な走行面121を移動機器120が走行しているときの第2送信アンテナ214の状態を示し、図17(b)は上り坂の走行面121を移動機器120が走行しているときの第2送信アンテナ214の状態を示す。どちらの状態においても、第2送信アンテナ214のメインビーム方向214bを常に水平にすることができる。なお、第2送信アンテナ214を模式的に図17(c)のように示すものとする。つまり、三角形の一辺が、メインビーム方向214bに直交する方向を示している。
【0172】
また、図18に示すように、鉛直方向を検知する鉛直センサと水平維持制御装置などを用いて、移動機器120の姿勢、すなわち走行面の傾斜に関わらず、走行面121が水平方向になるように、第2送信アンテナ214の傾きを調整しても良い。図18(a)は、水平な走行面121を移動機器120が走行しているときの第2送信アンテナ214の状態を示し、図18(b)は上り坂の走行面121を移動機器120が走行しているときの第2送信アンテナ214の状態を示す。どちらの状態においても、第2送信アンテナ214のメインビーム方向214bを常に水平にすることができる。なお、第2送信アンテナ214を模式的に図18(c)のように示すものとする。つまり、三角形の一辺が、メインビーム方向214bに直交する方向を示している。
【0173】
この結果、図16に示すように、第2送信アンテナ214によって、第1送信アンテナ114による上り坂の先の死角をカバーすることができ、第1送信アンテナ114の死角に存在する障害物191などを早い段階で検知することができる。
【0174】
また、図19に示すように、移動機器120が水平に走行している場合であって、被測定物190のさらに手前に障害物192や電波遮蔽物がある場合、下方に設けられた第1送信アンテナ114では遮蔽物の後方に大きな死角が発生してしまう。しかし、本実施の形態2によると、第2送信アンテナ214によって遮蔽物後方の死角を大幅に低減できる。
【0175】
なお、第2送信アンテナ214から送出し、反射された電波を受信するための受信アンテナは、反射波の受信効率を高めるため、第2送信アンテナ214の近傍に設けられるほうが好ましい。
【0176】
なお、受信アンテナ(図示せず)は第1送信アンテナ114及び第2送信アンテナ214の近傍にそれぞれ第1受信アンテナ(図示せず)及び第2受信アンテナ(図示せず)として独立に設けておくことが好ましい。また、受信アンテナを見通し範囲の広い第2送信アンテナ214の近傍のみに設置してもよいし、他の適する場所に設置してもよい。
【0177】
また、第1受信アンテナ及び第2受信アンテナのように複数の受信アンテナを設置する場合、鉛直センサなどで取得した移動機器120の傾斜角に基づいて、第1受信アンテナと第2受信アンテナのどちらで受信した信号を解析に採用するかを切り替えられるようになっていても良い。例えば、傾斜角が大きく、移動機器120が登坂中であると判断される場合には、第2受信アンテナからの信号を解析に利用し、ほぼ水平に走行していると判断される場合には、第1受信アンテナからの信号を解析に利用するなどが考えられる。
【0178】
また、運動検知部131は、スペクトラム拡散方式を利用して反射点までの距離を測定するのが好ましい。
【0179】
第1送信アンテナ114、第2送信アンテナ214から送出される電波に割り当てるPN符号を第1PN符号、第2PN符号と異なるものにしておく。第1PN符号と第2PN符号とは相互相関の小さいものを選択する。
【0180】
このようにすれば、第1送信アンテナ114のメインビーム150aと第2送信アンテナ214のメインビーム150bとの間に重なりが生じても、受信アンテナで受信した反射波に対して、第1PN符号で逆拡散復調すれば第1送信アンテナから送信された電波による反射波の信号のみが得られ、第2PN符号で逆拡散復調すれば第2送信アンテナから送信された電波による反射波の信号のみが得られる。すなわち、2箇所から同時に送信した電波の混信によって生じる問題を回避できる。
【0181】
なお、このとき、複数のPN符号を同時に用いるために、送信部111には搬送波を拡散変調するための独立した複数の拡散変調部を設けておくとよい。受信部112については、反射波を逆拡散変調するための独立した複数の逆拡散復調部を設けておいてもよいし、逆拡散復調部は共用し、入力するPN符号を切り替えるようにしておいてもよい。
【0182】
以上、実施の形態2の構成によると、第1送信アンテナ114によってDOAの不定性を軽減しながら、第1送信アンテナ114の前方に遮蔽物が存在することがあっても、放射方向を水平自動調整する機構を有する第2送信アンテナ214によって、遮蔽物後方の死角を大幅に軽減できるため、移動機器用レーダシステムの検出精度及び安定性を高めることができる。
【0183】
(実施の形態3)
実施の形態1においては、第1送信アンテナの仰角方向の電波放射特性のヌル方向を移動機器の走行面と略平行となるように設置しているため、ヌル方向より下方に対しては死角となる可能性がある。
【0184】
そこで本発明の実施の形態3に係る移動機器用レーダシステムは、第1送信アンテナと第2送信アンテナとを備え、第1送信アンテナと第2送信アンテナとを隣接して設置する。以下、実施の形態3に係る移動機器用レーダシステムについて図20及び図21を用いて説明する。
【0185】
図20に示すように、実施の形態3に係る移動機器用レーダシステム100は、第1送信アンテナ114と、第2送信アンテナ314とを備える。第2送信アンテナ314以外の第1送信アンテナ114及びその他の構成は実施の形態1と同様であるので、説明は省略する。第2送信アンテナ314は、第1送信アンテナ114と同様に指向性を有するアンテナである。
【0186】
第1送信アンテナ114は、第1送信アンテナ114の仰角方向の電波放射特性におけるヌル方向152aが移動機器120の走行面121と略平行になるように、移動機器120に固定設置されており、メインビーム方向151aは、ヌル方向152aに対して上方になるように設置される。
【0187】
一方、第2送信アンテナ314は、第2送信アンテナ314の仰角方向の電波放射特性におけるヌル方向152aが移動機器120の走行面121と略平行になるように固定設置されており、メインビーム方向151bは、ヌル方向152aに対して下方になるように設置される。
【0188】
また、第1送信アンテナ114と第2送信アンテナ314とは、隣接して設置されているため、第1送信アンテナ114のヌル方向152aと第2送信アンテナ314のヌル方向152aとは略一致していると考えてよい。
【0189】
なお、第1送信アンテナ114のヌル方向152a及び第2送信アンテナ314のヌル方向152aをそれぞれ走行面121と略平行としてしまうと、移動機器120の走行面121と完全に平行な方向について、放射電界強度が極小となり、被測定物190に対して盲点が形成される恐れがある。したがって、図21のように第1送信アンテナ114の仰角方向の電波放射特性における半値方向152bと、第2送信アンテナ314の仰角方向の電波放射特性における半値方向152bとが移動機器120の走行面121と略平行になるように設置するほうが、好ましいといえる。
【0190】
実施の形態3のように第1送信アンテナ114及び第2送信アンテナ314を上下方向に隣接して配置する場合には、第1送信アンテナ114及び第2送信アンテナ314は任意の高さに設置することができる。このため、移動機器120の外形デザインの自由度が向上する、という利点がある。
【0191】
なお、上述の例では、第1送信アンテナ114と第2送信アンテナ314とを隣接して設置することとしているが、必ずしも隣接して配置する必要はない。例えば、第1送信アンテナ114を移動機器120の上方に設置し、第2送信アンテナ314を移動機器120の下方に設置してもよい。その場合であっても、ヌル方向152aとメインビーム方向に関する制約は上述の通りであることが望ましい。
【0192】
なお、受信アンテナ(図示せず)は第1送信アンテナ114及び第2送信アンテナ314とそれぞれ組となるように複数設置し、受信部112もそれに対応するように複数設けることが好ましい。
【0193】
また、受信アンテナは共用にして、受信部112は複数とし、それぞれの受信部112には、受信アンテナで受信された第1送信アンテナ114の送信波の反射波と第2送信アンテナ314の送信波の反射波とを2分岐させて入力するようにしてもよい。
【0194】
また、実施の形態2と同様に、運動検知部131は、スペクトラム拡散方式を利用して反射点までの距離を測定しても良い。
【0195】
この場合、第1送信アンテナ114からの送信電波用に第1PN符号を用い、第2送信アンテナ314からの送信電波用に第2PN符号を用いる。
【0196】
特に、図21のように第1送信アンテナ114のメインビーム150aと第2送信アンテナ314のメインビーム150bとの間に重なりが生じても、実施の形態2の場合と同様、電波の混信によって生じる問題を回避できる。
【0197】
また、スペクトラム拡散方式を用いると、受信アンテナと受信部112をそれぞれ共用にしても、受信部112に入力する反射波のPN符号を第1PN符号とするか第2PN符号とするかを切り替えることによって、ヌル方向152aに対して上下方向を独立に観測することができる。
【0198】
なお、受信アンテナと受信部112とをそれぞれ共用にする場合には、少なくとも受信部112に関しては、反射波を復調するための独立な複数の復調部を設けることが望ましい。
【0199】
以上、実施の形態3の構成によると、第1送信アンテナ114及び第2送信アンテナ314のそれぞれにより、DOAの不定性を低減することができる。また、第1送信アンテナ114及び第2送信アンテナ314を移動機器120に設置した場合の死角を低減することができる。さらに、第1送信アンテナ114及び第2送信アンテナ314の設置場所の自由度を向上させることができる。
【0200】
(実施の形態4)
実施の形態1〜3では、被測定物の高さ方向のDOAの不定性を軽減するための構成である。ところが、DOAの不定性は横方向においても同様に発生し、人間に限らず、被測定物の広がりの情報を損失する可能性を有している。そこで、実施の形態4では、横方向のDOAの不定性を軽減するための移動機器用レーダシステムについて説明する。
【0201】
図22は、単純に2つの送信アンテナをある程度の距離を離して左右に配置した移動機器用レーダシステム100の上面図である。このような送信アンテナの配置によると、被測定物190上の反射点の運動を異なる方向から観測できるため、同一の反射点であっても、それぞれの送信アンテナにおける視線方向速度が異なる値になるという効果がある。この効果を発揮するには、前記の送信アンテナ間の距離を移動機器の幅に対して十分大きくとらなければならない。しかし、移動機器の幅には制限があるため、送信アンテナ間の距離を大きくとることが困難な場合が生じる。
【0202】
そこで、実施の形態4では、図23及び図24に示すような移動機器用レーダシステム100の構成とする。図23及び図24は、移動機器用レーダシステム100の上面図である。
【0203】
実施の形態4に係る移動機器用レーダシステム100は、実施の形態1に係る移動機器用レーダシステム100の構成において、第1送信アンテナ114の代わりに第3送信アンテナ414aが用いられ、さらに、第4送信アンテナ414bが付け加えられた構成である。第4送信アンテナ414b以外のその他の構成は実施の形態1と同様であるので、説明は省略する。第3送信アンテナ414a及び第4送信アンテナ414bは、第1送信アンテナ114と同様に指向性を有するアンテナである。
【0204】
図23に示すように、移動機器用レーダシステム100には、第3送信アンテナ414a及び第4送信アンテナ414bのそれぞれの方位角方向の電波放射特性におけるヌル方向152aが、移動機器の進行方向に対して略平行となるように、第3送信アンテナ414a及び第4送信アンテナ414bが設置されている。
【0205】
なお、移動機器120の進行方向は、移動機器120の移動軌跡に対して平行であるか、移動機器120が旋回する場合などの場合には移動軌跡の接線方向に対して平行であることが望ましい。したがって、移動機器用レーダシステム100には、移動機器120の移動軌跡の接線方向と平行になるように、前記第3送信アンテナ414a及び第4送信アンテナ414bの向きを制御する機構が設けられていることが望ましい。
【0206】
これにより、被測定物190が一様な平板である場合など、移動機器120の進行方向に対する左右の領域で同一速度が発生しやすい物体であっても、被測定物190の右の領域と左の領域とを分離することができるという特徴がある。また、方位角方向の視野角を広くすることもできる。
【0207】
なお、図24に示すように、第3送信アンテナ414a及び第4送信アンテナ414bそれぞれの方位角方向の電波放射特性における半値方向152bが移動機器120の進行方向に対して略平行であるほうが好ましい。なぜなら、図23に示したように第3送信アンテナ414a及び第4送信アンテナ414bそれぞれの方位角方向の電波放射特性におけるヌル方向152aを移動機器120の進行方向に対して略平行にする構成では、移動機器120の進行方向に死角となる盲点が発生する可能性が高くなり、盲点の発生は、DOAの不定性より危険である場合が多いためである。図24のように第3送信アンテナ414a及び第4送信アンテナ414bを配置することにより、盲点をなくすことができる。
【0208】
なお、受信アンテナ(図示せず)は第3送信アンテナ414a及び第4送信アンテナ414bとそれぞれ組となるように複数設置し、受信部112もそれに対応するように複数設けることが好ましい。
【0209】
また、受信アンテナは共用にして、受信部112は複数とし、それぞれの受信部112には、受信アンテナで受信された第3送信アンテナ414aの送信波の反射波と第4送信アンテナ414bの送信波の反射波とを2分岐させて入力するようにしてもよい。
【0210】
また、実施の形態2と同様に、運動検知部131は、スペクトラム拡散方式を利用して反射点までの距離を測定しても良い。
【0211】
この場合、第3送信アンテナ414aからの送信電波用に第1PN符号を用い、第4送信アンテナ414bからの送信電波用に第2PN符号を用いる。
【0212】
特に、図24のように第3送信アンテナ414aのメインビーム450aと第4送信アンテナ414bのメインビーム450bとの間に重なりが生じても、実施の形態2の場合と同様、電波の混信によって生じる問題を回避できる。
【0213】
また、スペクトラム拡散方式を用いると、受信アンテナと受信部112をそれぞれ共用にしても、受信部112に入力する反射波のPN符号を第1PN符号とするか第2PN符号とするかを切り替えることによって、ヌル方向152aに対して左右方向を独立に観測することができる。
【0214】
なお、受信アンテナと受信部112とをそれぞれ共用にする場合には、少なくとも受信部112に関しては、反射波を復調するための独立な複数の復調部を設けることが望ましい。
【0215】
なお、高さ方向のDOAの不定性を排除するため、実施の形態1、2又は3と、実施の形態4とを組み合わせて用いるのが好ましい。例えば、図21に示した移動機器用レーダシステム100の構成において、第1送信アンテナ114を第3送信アンテナ414a及び第4送信アンテナ414bで構成し、第2送信アンテナ314を第3送信アンテナ414a及び第4送信アンテナ414bで構成してもよい。つまり、4つの送信アンテナを移動機器120に設置するようにしても良い。これにより、高さ方向及び横方向においてDOAの不定性を軽減することができるとともに、観測可能領域を広く取ることができる。
【0216】
以上、実施の形態4の構成によると、第3送信アンテナ414a及び第4送信アンテナ414bのそれぞれにより、横方向に発生しうるDOAの不定性の影響を軽減できるため、被測定物の形状又は速度に関する情報損失を抑えることができる。
【0217】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0218】
本発明に係る移動機器用レーダシステムは、移動機器に搭載し、被測定物の運動そのものを利用して被測定物の形状又は速度を測定又は推定し、その結果を利用して移動機器の走行を制御する装置等として有用である。また、据置型の移動体検知システムとしても利用できる。
【符号の説明】
【0219】
100、200 移動機器用レーダシステム
101 搭乗者
110 レーダ装置
111 送信部
112 受信部
113 レーダ制御部
114 第1送信アンテナ
115 受信アンテナ群
115a〜115c 受信アンテナ
116 モニタ用受信アンテナ
120 移動機器
120a 電動車椅子
120b 立位型移動機器
121 走行面
122 走行制御ユニット
123 車台
124 車輪
125 座席
130 演算処理部
131 運動検知部
150、150a、150b、450a、450b メインビーム
151、151a、151b、214b メインビーム方向
152 電界強度極小方向
152a ヌル方向
152b 半値方向
160 観測可能領域
161 観測不可領域
190 被測定物
190A、190B 人間
190C 小動物
191、192 障害物
214、314 第2送信アンテナ
414a 第3送信アンテナ
414b 第4送信アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動機器に備えられ、被測定物までの距離、前記被測定物が存在する方向及び前記被測定物の相対速度を測定するレーダ装置であって、
前記被測定物に対して電波を放射する第1送信アンテナと、
前記被測定物からの前記電波の反射波を受信する複数の受信アンテナと、
前記複数の受信アンテナの各々で受信された前記反射波に基づいて、前記被測定物までの距離、前記被測定物が存在する方向及び前記被測定物の相対速度を算出する運動検知部とを備え、
前記第1送信アンテナは、前記第1送信アンテナの仰角方向の電波放射特性において電界強度が極小となる方向である電界強度極小方向が、前記移動機器の走行面と略平行になるように前記移動機器に固定される
レーダ装置。
【請求項2】
前記第1送信アンテナは、前記第1送信アンテナの仰角方向の電波放射特性のメインビームとサイドローブとの境界面における電界強度が極小となる方向が、前記移動機器の走行面と略平行になるように前記移動機器に固定される
請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項3】
前記第1送信アンテナは、前記第1送信アンテナが放射する電波の電力が前記第1送信アンテナの仰角方向の電波放射特性のメインビームの電力の最大値の半分となる方向が、前記移動機器の走行面と略平行になるように前記移動機器に固定される
請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項4】
前記第1送信アンテナは、前記第1送信アンテナの仰角方向の電波放射特性のメインビームにおいて電界強度が最大となる方向であるメインビーム方向が、前記第1送信アンテナの仰角方向の電波放射特性における電界強度極小方向に対して上方になるよう固定される
請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーダ装置。
【請求項5】
さらに、
前記走行面に対して前記第1送信アンテナとは異なる高さに設置され、前記被測定物に対して電波を放射する第2送信アンテナを備える
請求項4に記載のレーダ装置。
【請求項6】
前記第2送信アンテナは、前記第2送信アンテナの仰角方向の電波放射特性のメインビームにおいて電界強度が最大となる方向であるメインビーム方向が常に水平になるように調整される
請求項5に記載のレーダ装置。
【請求項7】
前記第1送信アンテナの仰角方向の電波放射特性における電界強度極小方向と前記第2送信アンテナの仰角方向の電波放射特性における電界強度極小方向とが略同一であり、
前記第1送信アンテナの仰角方向の電波放射特性のメインビーム方向が、前記第1送信アンテナの仰角方向の電波放射特性における電界強度極小方向より上方であり、
前記第2送信アンテナの仰角方向の電波放射特性のメインビームにおいて電界強度が最大となる方向であるメインビーム方向が、前記第2送信アンテナの仰角方向の電波放射特性における電界強度極小方向より下方である
請求項5に記載のレーダ装置。
【請求項8】
さらに、
走行面に対して前記第1送信アンテナと略同一高さに設置され、前記被測定物に対して電波を放射する第3送信アンテナを備え、
前記第1送信アンテナの方位角方向の電波放射特性における電界強度極小方向と前記第3アンテナの方位角方向の電波放射特性における電界強度極小方向とは、前記第1送信アンテナのメインビーム方向と前記第3送信アンテナのメインビーム方向の両方を含む平面において略同一である
請求項1〜7のいずれか1項に記載のレーダ装置。
【請求項9】
さらに、
前記運動検知部の出力に基づいて、被測定物の運動を推定する運動推定部と、
前記運動推定部で推定された前記被測定物の運動に基づいて、前記移動機器の走行を制御する走行制御部とを備える
請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項10】
前記運動検知部は、スペクトラム拡散方式に従って前記被測定物までの距離を算出する
請求項1〜9のいずれか1項に記載のレーダ装置。
【請求項11】
前記運動検知部により算出される前記被測定物までの距離の量子化単位が、1メートル以下である
請求項10に記載のレーダ装置。
【請求項12】
被測定物までの距離、前記被測定物が存在する方向及び前記被測定物の相対速度を測定する移動機器用レーダシステムであって、
走行面上を移動する移動機器と、
前記移動機器に備えられるレーダ装置とを備え、
前記レーダ装置は、
前記被測定物に対して電波を放射する第1送信アンテナと、
前記被測定物からの前記電波の反射波を受信する複数の受信アンテナと、
前記複数の受信アンテナの各々で受信された前記反射波に基づいて、前記被測定物までの距離、前記被測定物が存在する方向及び前記被測定物の相対速度を算出する運動検知部とを備え、
前記第1送信アンテナは、前記第1送信アンテナの仰角方向の電波放射特性において電界強度が極小となる方向である電界強度極小方向が、前記移動機器の前記走行面と略平行になるように前記移動機器に固定される
移動機器用レーダシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−189338(P2012−189338A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50723(P2011−50723)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】