説明

レーダ装置

【課題】 レーダ部における個々の周波数帯域や観測する角度を制御して、任意の周波数帯域を選択可能なレーダ部を使用した場合においても、目標の推定姿勢及び各レーダ部の使用可能帯域から各レーダ部の空間周波数領域上の観測領域を算出し、空間周波数領域での所望の信号領域を観測する新規なレーダ装置を提供すること。
【解決手段】 リソース管理部から出力される各レーダ部の観測可能な方位・時間・送信周波数・周波数帯域から目標姿勢推定処理部が推定した目標が観測された時刻以降の所定の時刻毎に前記目標の姿勢と前記各レーダ部とのアスペクト角をそれぞれ算出し、観測条件算出部に入力された観測条件を満たす空間周波数領域上の信号領域である要求領域に対し、目標の姿勢となすアスペクト角が一致するレーダ部の観測領域の割り当てを決定し、この割り当てに基づいて複数のレーダ部に目標を観測させる観測計画算出部とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のレーダ部により目標の観測を行い、観測した目標の高分解能画像を得るために、これらレーダ部に対して、それぞれ観測する周波数・時間を指示することによって、空間周波数領域を確保する目標識別制御を行うレーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーダ装置における分解能は占有周波数に依存する。例えば3cmの分解能を実現するためには5GHzの帯域幅が必要となる。従来のレーダ装置では、その帯域幅を実現するために相互コヒーレント化手段を用いて複数の周波数帯域をコヒーレントに合成する方法を用いる。例えば、第1のレーダ部では5.0〜5.5GHzの周波数帯域、第2のレーダ部では9.5〜10.0GHzの周波数帯域を使用してそれぞれ観測を行い、その受信信号スペクトルを補間することによって、あたかも5.0〜10.0GHzの周波数領域で観測したスペクトルを推定することにより高分解能化を図っていた。また、複数のレーダ部の配置を目標から見て異なる角度に配置し、レンジ方向のみならず、クロスレンジ方向の帯域を拡張することによってレーダが単独で達成できる分解能を超えた高分解能な画像の取得を実現する方法があるが(例えば特許文献1)、このレーダ装置の操作員が目標に対し何らかの対処を行う目的で識別を行う場合は、対処を行う時刻までに識別に足る分解能が必要である。つまり、目標識別には所望の時刻と所望の分解能を満たす必要がある。
【0003】
【特許文献1】特開2007−225442号公報(第1図、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のレーダ装置は、個々のレーダ部が観測した結果に基づいて処理を行うものであり、レーダ部における個々の周波数帯域や観測する角度を制御しておらず、複数の周波数帯域のうち1つを選択して観測するレーダ部を用いた場合、個々のレーダ部では所望の時刻と所望の分解能とを満足する周波数帯域と観測時間が分からず、任意の周波数帯域でいつまでも観測することとなる。その結果として、「分解能を向上する周波数帯域を選択できず、所望の分解能が得られない可能性がある。」、「所望の分解能を達成する時間が所望の時刻を満たさない可能性がある。」、「所望の分解能を満たしているにもかかわらず長時間観測を実施し、無駄にレーダ装置のリソースを使用している可能性がある。」などの課題があった。
【0005】
また、任意の周波数帯域にて観測可能なレーダ部を用いても、個々のレーダ部は所望の時刻と所望の分解能とを満足する周波数帯域と観測時間がわからないため、できるだけ分解能を向上させるように最大の周波数帯域で、いつまでも観測することとなる。その結果として、所望の分解能を満たしているにもかかわらず最大の周波数帯域の使用や長時間観測を実施し、無駄にレーダ装置のリソースを使用している可能性があるという課題があった。さらに、空間周波数領域において重複した個々のレーダ部の領域を観測することは、他に使用可能なレーダ装置のリソースを余計に占有することになるので非効率で、個々のレーダ部のリソースを1つの目標に集中する可能性が高まり、多数の目標に対処することが困難となる可能性があるという課題もあった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解消するためになされたもので、レーダ部における個々の周波数帯域や観測する角度を制御して、任意の周波数帯域を選択可能なレーダ部を使用した場合においても、目標の推定姿勢及び各レーダ部の使用可能帯域から各レーダ部の空間周波数領域上の観測領域を算出し、空間周波数領域での所望の信号領域(要求領域)を観測する新規なレーダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明に係るレーダ装置は、異なる位置に配置され、送信波を送信し、目標に反射した反射波を受信する複数の送受信アンテナ、この複数の送受信アンテナがそれぞれ受信した反射波を受信処理して受信信号及び受信信号スペクトルを算出する受信処理部からなる複数のレーダ部と、前記受信処理部が前記複数の送受信アンテナごとに算出した受信信号スペクトルの位相を一致させるコヒーレント化処理部と、このコヒーレント化処理部が位相を一致させた受信信号スペクトルをレンジ方向及びクロスレンジ方向に内挿又は外挿処理を行い、前記コヒーレント化処理部が位相を一致させた受信信号スペクトルのレンジ方向及びクロスレンジ方向の帯域幅を拡張して、連続スペクトルを導出し、この導出された連続スペクトルのレンジ方向及びクロスレンジ方向の帯域を圧縮する帯域合成処理部と、この帯域合成処理部が圧縮した連続スペクトルを前記目標の画像として表示する画像表示部とを備えたレーダ装置において、前記受信処理部が前記複数の送受信アンテナごとに算出した受信信号から前記目標の追尾処理により前記目標の位置や姿勢を特定する追尾処理部と、各レーダ部の観測可能な方位・時間・送信周波数・周波数帯域をそれぞれ前記複数のレーダ部から取得するリソース管理部と、前記追尾処理部が特定した前記目標の位置や姿勢及び帯域合成処理部が圧縮した連続スペクトルによる前記目標のモデルから前記目標が観測された時刻以降の前記目標の姿勢を推定する目標姿勢推定処理部と、所望の観測条件が入力される観測条件算出部と、前記リソース管理部から出力される前記各レーダ部の観測可能な方位・時間・送信周波数・周波数帯域から前記目標姿勢推定処理部が推定した前記目標が観測された時刻以降の所定の時刻毎に前記目標の姿勢と前記各レーダ部とのアスペクト角をそれぞれ算出し、前記観測条件算出部に入力された観測条件を満たす空間周波数領域上の信号領域である要求領域に対し、前記目標の姿勢となすアスペクト角が一致するレーダ部の観測領域の割り当てを決定し、この割り当てに基づいて前記複数のレーダ部に前記目標を観測させる観測計画算出部とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2の発明に係るレーダ装置は、前記観測条件入力部が、前記所望の観測条件が所望の分解能のみときに、仮観測時間を生成し、前記複数のレーダ部による前記目標の観測結果が前記所望の分解能を満たす最短時間が決定するまで、前記仮観測時間を変更して前記観測計画算出部の処理を繰り返して実行させる請求項1に記載のものである。
【0009】
請求項3の発明に係るレーダ装置は、前記観測計画算出部が、空間周波数領域上で前記要求領域を移動させ、前記目標の姿勢となすアスペクト角が一致するレーダ部の観測領域、又は前記目標の姿勢となすアスペクト角が一致するレーダ部の観測領域のうち、前記目標の投影面とが一致するレーダ部の観測領域とを重ねて、前記要求領域に割り当てられる前記各レーダ部の観測領域を決定する請求項1又は2に記載のものである。
【0010】
請求項4の発明に係るレーダ装置は、前記観測計画算出部が、最適解算出アルゴリズムにより前記目標の姿勢となすアスペクト角が一致するレーダ部の観測領域、又は前記目標の姿勢となすアスペクト角が一致するレーダ部の観測領域のうち、前記目標の投影面とが一致するレーダ部の観測領域の中で、前記各レーダ部の観測領域同士が重複している部分を解消して前記複数のレーダ部に前記目標を観測させる請求項3に記載のものである。
【0011】
請求項5の発明に係るレーダ装置は、請求項1〜5のいずれかに記載の装置において、予め前記目標として推定される物体の形状を記憶するデータベース部と、前記追尾処理部が特定した前記目標の姿勢と前記画像表示部に表示される前記目標の画像とから前記目標の形状と前記データベース部で記憶された物体の形状とを類似度を算出する類識別処理部とを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、請求項1に係る発明によれば、複数のレーダ部の周波数帯域や観測時間を制御して、効率的にレーダ部のリソースを使用することができることから多数の目標に対処することができるレーダ装置を得ることができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、請求項1の効果に加えて、観測時間が設定されなくとも所望の分解能を最短時間で実現できるレーダ装置を得ることができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、請求項1〜2の効果に加えて、より少ないレーダ部のリソースで所望の分解能を所望の時刻までに得ることができ、所望の時刻までに達成できる最大の分解能や、所望の分解能を得る最短の時刻を少ないレーダ部のリソースで実行可能なレーダ装置を得ることができる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、請求項1〜3の効果に加えて、最適解算出アルゴリズムにより、各レーダ部の観測領域同士が重複している領域を解消するので、レーダ部のリソースを重複して使用することを避けたレーダ装置を得ることができる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、請求項1〜4の効果に加えて、得られた画像を基に目標を特定することが可能であるレーダ装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について図1〜6を用いて説明する。図1は実施の形態1に係るレーダ装置の観測のジオメトリを示す説明図、図2は実施の形態1に係るレーダ装置の機能ブロック図、図3は実施の形態1に係るレーダ装置の追尾処理部以降の機能ブロック図と類似する従来技術のレーダ装置図、図3(a)は従来技術の観測のジオメトリを示す説明図、図3(b)は従来技術のレーダ装置の機能ブロック図、図3(c)は目標識別を行う装置の信号スペクトルを示す模式図、図4は実施の形態1に係る観測値の空間周波数領域へのプロット説明図、図5は実施の形態1に係るレーダ装置の空間周波数概念図、図5(a)はレーダ装置の空間周波数上の観測領域を示す模式図、図5(b)はレーダ装置の空間周波数上の観測領域及び要求領域を示す模式図、図5(c)は要求領域移動後におけるレーダ装置の空間周波数上の観測領域及び要求領域を示す模式図、図5(d)は観測領域同士が重複している部分を解消後におけるレーダ装置の空間周波数上の最適な観測領域を示す模式図、図6は実施の形態1に係るレーダ装置の空間周波数概念図、図6(a)はレーダ装置の空間周波数上の観測領域を示す模式図、図6(b)はレーダ装置の空間周波数上の観測領域及び要求領域を示す模式図、図6(c)は要求領域移動後におけるレーダ装置の空間周波数上の観測領域及び要求領域を示す模式図、図6(d)は観測領域同士が重複している部分を解消後におけるレーダ装置の空間周波数上の最適な観測領域を示す模式図である。
【0018】
図1〜6において、1は観測対象である目標、2はレーダ装置を構成するレーダ部であり、複数設置されている。3は識別処理制御部、4は複数設置された各レーダ部2それぞれと識別処理制御部3とを結ぶ信号線(無線であってもよい)、5はそれぞれ異なる位置に配置され、送信波を送信し、目標1に反射した反射波を受信する複数の送受信アンテナ、6は送受信アンテナ5毎に対応して設けれ、送受信アンテナ5それぞれが受信した反射波を受信処理して受信信号及び受信信号スペクトルを算出する受信処理部(送受信機)、なお、レーダ部2は送受信アンテナ5と受信処理部6とから構成される。7は受信処理部6が複数の送受信アンテナ5ごとに算出した受信信号スペクトルの位相を一致させるコヒーレント化処理部、8はコヒーレント化処理部7が位相を一致させた受信信号スペクトルをレンジ方向及びクロスレンジ方向に内挿又は外挿処理を行い、コヒーレント化処理部7が位相を一致させた受信信号スペクトルのレンジ方向及びクロスレンジ方向の帯域幅を拡張して、連続スペクトルを導出し、この導出された連続スペクトルのレンジ方向及びクロスレンジ方向の帯域を圧縮する帯域合成処理部、9は帯域合成処理部8が圧縮した連続スペクトルを目標の画像として表示する画像表示部であり、図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0019】
ここで、前述の従来のレーダ装置について図3を用いて詳細に説明する。基本的な処理手順は、実施の形態1に係るレーダ装置と同等である。図3において、18は目標1の観測信号スペクトル、19は観測信号スペクトル18を従来のレーダ装置が拡張した連続スペクトルである。2次元相互コヒーレント化手段7(a)はコヒーレント化処理部に対応し、2次元帯域拡張手段8(a),レンジ圧縮手段8(b),クロスレンジ圧縮手段8(c)は帯域合成処理部8に対応し、表示手段9(a)が画像表示部9に対応する。図3(a)は従来のレーダ装置の観測のジオメトリを示している。1つの目標に対して2つのレーダ部2が目標1から見て互いに異なる方位に設置されていることを想定している。なお、実施の形態1に係るレーダ装置は、1つの目標に対して3つのレーダ部2が目標1から見て互いに異なる方位に設置されていることを想定している。図3(b)は従来のレーダ装置の機能ブロック図である。二つの受信処理部(送受信機)6は、二つの送受信アンテナ5をそれぞれ用いて異なる周波数帯域で目標を観測する二つのレーダ部2を構成する。2次元相互コヒーレント化手段7(a)は受信処理部6で得られる受信信号スペクトルの位相を一致させる処理を行う手段である。2次元帯域拡張手段8(a)は、2次元コヒーレント化手段7(a)で得られた位相を一致させた受信信号スペクトルを、レンジ方向とクロスレンジ方向に内挿あるいは外挿して帯域幅を拡張した連続スペクトルを生成する手段である。レンジ圧縮手段8(b)は、2次元帯域拡張手段8(a)で生成された連続スペクトルのレンジを圧縮する手段である。クロスレンジ圧縮手段8(c)は、レンジ圧縮手段8(b)でレンジが圧縮された連続スペクトルのクロスレンジを圧縮する手段である。表示手段9は、処理して得られた目標の画像を表示する手段である。
【0020】
次に動作について、図3(c)を用いて説明する。図3(c)は図3(a)に示すようなジオメトリにおける空間周波数領域の模式図である。観測信号スペクトル18(a)は、横軸は空間周波数fを、縦軸は空間周波数fとした空間周波数領域上の一部となる。また、濃淡は複素信号振幅を表す。ここで、x方向の分解能はf方向の帯域幅で、y方向の分解能はf方向の帯域幅で規定される。分解能を向上させるためには、それぞれ帯域幅が大きいほど高分解能となるので、最終的に図3(c)のように個々のスペクトルを合成することで大きなスペクトルとし、帯域幅を確保すればよい。まず、スペクトルを内挿あるいは外挿するためには受信信号スペクトルの位相の連続性を確保する必要があり、図3(c)の真ん中の図ように2次元コヒーレント化手段7(a)を用い位相を一致させるように補償する(観測信号スペクトル18(b))。次に、2次元帯域拡張手段8(a)において、f,fのそれぞれの方向に内挿あるいは外挿してスペクトルの帯域幅を拡張する。その結果、図3(c)の右図に示すように、拡張された連続スペクトル19が生成される。次に、レンジ圧縮手段8(b)において、拡張された連続スペクトル19をf方向にフーリエ変換して空間周波数領域のf方向を圧縮し、f方向の分解能を向上させる。最後にクロスレンジ圧縮手段8(c)において、レンジ圧縮手段8(b)から出力される信号をf方向にフーリエ変換してf方向を圧縮しfの方向の分解能を向上させる。
【0021】
図1〜6において、10は受信処理部6が複数の送受信アンテナ5ごとに算出した受信信号から目標の追尾処理により目標の位置や姿勢を特定する追尾処理部、11は各レーダ部2の観測可能な方位・時間・送信周波数・周波数帯域をそれぞれ複数のレーダ部2から取得するリソース管理部、12は追尾処理部10が特定した目標1の位置や姿勢及び帯域合成処理部8が圧縮した連続スペクトルによる目標1のモデルから、目標1が観測された時刻以降の目標1の推定軌道から姿勢を推定する目標姿勢推定処理部、13は外部から分解能、又は、分解能と観測時間とが入力されて観測条件として、後述の観測計画算出部14へ出力する観測条件算出部、14はリソース管理部11から出力される各レーダ部2の今後の観測可能な方位・時間・送信周波数・周波数帯域から目標姿勢推定処理部12が推定した目標1が観測された時刻以降の所定の時刻毎に目標1の姿勢と各レーダ部2とのアスペクト角をそれぞれ算出し、観測条件算出部13が出力した観測条件を満たす空間周波数領域の要求領域に対し、目標1の姿勢となすアスペクト角が一致するレーダ部2ごとの観測領域の割り当てを決定し、この割り当てに基づいて複数のレーダ部2に観測条件の一つである観測時間の間、目標1を観測させる観測計画算出部、15は観測計画算出部14を構成し、リソース管理部11から出力される各レーダ部2の今後の観測可能な方位・時間・送信周波数・周波数帯域から目標姿勢推定処理部12が推定した目標1が観測された時刻以降の所定の時刻毎に目標1の姿勢と各レーダ部2とのアスペクト角をそれぞれ算出し、観測可能な送信周波数・周波数帯域と合わせて、観測領域を推定する観測領域推定部、16は観測計画算出部14を構成し、観測条件算出部が出力した観測条件から要求領域を算出する要求領域算出部、17は観測計画算出部14を構成し、要求領域に対し、目標1の姿勢となすアスペクト角が一致するレーダ部2ごとの観測領域の割り当てを決定する観測領域決定部、前述のように18と19は、それぞれ観測信号スペクトルと連続スペクトルである。20はレーダ部2が観測可能な空間周波数領域である観測領域、21は目標1に観測するための要求領域、22は観測計画算出部14により、要求領域21を満たすように各レーダ部2の観測領域20を割り当てられた観測領域である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0022】
図1は、実施の形態1に係るレーダ装置の観測のジオメトリを示している。このジオメトリは、従来のレーダ装置として示したものと同等のもので、目標1から見て異なる方位にレーダ部2が設置されることを想定しているほか、全てのレーダ部2が識別処理制御部3に信号線3などで接続されている。なお、レーダ装置の台数は図1では3台であるが実際に観測に使用するレーダ部2の台数は、1台以上で設置台数以下(実施の形態1に係るレーダ装置では3台以下)の台数であればよい。図2は実施の形態1に係るレーダ装置の機能構成ブロック図である。このように、図1及び2のように、実施の形態1に係るレーダ装置は、複数台のレーダ部2と識別処理制御部3(画像表示部9)から構成される。なお、複数台のレーダ部2は任意の周波数帯域で目標を観測が可能であるものとする。識別処理制御部3は、以下の複数の処理を担当する。追尾処理部10は、複数のレーダ部2からの受信信号から追尾処理を行い、目標の位置や姿勢を特定する。コヒーレント化処理部7は、従来のレーダ装置と同様に2次元コヒーレント化手段を用い、複数の受信信号スペクトルの位相を補償する。帯域合成処理部8は、従来のレーダ装置と同様に2次元帯域拡張手段を用い、位相を補償したスペクトルを内挿あるいは外挿して帯域幅を拡張させた連続スペクトルを作成する。画像表示部9は、従来のレーダ装置と同様にレンジ圧縮手段及び、クロスレンジ圧縮手段を用い、フーリエ変換にて目標の画像を生成、表示する。
【0023】
実施の形態1に係るレーダ装置でレーダ部2の目標識別制御及びリソース管理に関して、図1及び2、図4〜6を用いて説明する。目標姿勢推定処理部12は、追尾処理部10の追尾処理の結果から目標1の今後の位置、速度等の航跡を推定して、目標の画像又は連続スペクトルから航空機、艦船、飛翔体等の目標1のモデルに従って、今後の時刻ごとの姿勢の推定を行い、推定値を算出する。リソース管理部11は、各レーダ部2の観測可能な方位・時間・送信周波数・周波数帯域をそれぞれ複数のレーダ部2から取得して、その情報を管理する。観測条件算出部13は、オペレータなどにより外部から入力された目標の識別を行うために必要な所望の分解能及び所望の観測時刻を観測条件として観測計画算出部14へ出力する。観測計画算出部14は、所望の分解能及び所望の時刻を効率的に満たすべく、3台のレーダ部2における個々の使用の要否(観測計画)をリソース管理部11の管理している情報と目標姿勢推定処理部12が推定している目標の今後の姿勢情報とから最適化する。
【0024】
次に、動作について説明する。目標1を検出したレーダ部2からの目標1の受信信号・送信周波数・周波数帯域、及び以後目標1を観測したレーダ部2が観測可能な方位・時間・送信周波数・周波数帯域が識別処理制御部3に送信される。なお、3台のレーダ部のうち、目標1を検出していないレーダ部2があった場合、その目標1を検出していないレーダ部2の観測可能な方位・時間・送信周波数・周波数帯域も識別処理制御部3に送信される。識別処理制御部3では、大きく2つの処理を行っている。1つは目標の高分解能画像を生成する処理であり、追尾処理部10、コヒーレント化処理部7、帯域合成処理部8、画像表示部9で構成される。もう1つは、3台のレーダ部2の個々を制御し、高分解能画像の精度の向上や、個々のレーダ部2のリソース使用を効率化する処理であり、目標姿勢推定処理部12、リソース管理部11、観測条件算出部13、観測計画算出部14で構成される。追尾処理部10にて、3台レーダ部2からの受信信号から追尾処理を行い、目標1の位置や姿勢を特定する。ここで、図5(a)に示すように、空間周波数領域上に各レーダ部2の送信周波数、周波数帯域及び各レーダ部2が観測可能な目標とビームのなす角(以下、アスペクト角と記載する)にて特定される個々のレーダ部2の観測可能な空間周波数領域上の信号領域(以下、観測領域と記載する)20(a)〜(c)がマッピングされる。図2にレーダ部2が3台以上の表記となっているが、実施の形態1に係るレーダ装置では、レーダ部2が3台であるものを例に説明している。レーダ部2の観測領域20は、観測領域20(a),観測領域20(b),観測領域20(c)の三つの領域が、空間周波数領域上にマッピングされる。
【0025】
次に、高分解能画像を生成する処理では、前述のように、コヒーレント化処理部7にて、3台のレーダ部2の信号に2次元コヒーレント化手段を施し、位相を補償して帯域合成処理部8にて連続スペクトルを生成する。最後に、画像表示部9にて、連続スペクトルのf方向,f方向のそれぞれにフーリエ変換を行い画像として表示する。以上の動作を通して、f方向にもf方向にも複数のレーダの受信信号スペクトルを合成した帯域を得られ、高い分解能の画像を実現できることになる。なお、一般的には図4に示すように観測値の空間周波数領域へのプロットは、アスペクト角が原点を中心とした角度θを表し、送信周波数が原点からの距離f、周波数帯域が長さΔfを表す。
【0026】
レーダ部2個々のリソース使用を効率化する処理では、送受信アンテナ5がそれぞれ受信した目標1の反射波を受信処理部6が受信処理して算出した受信信号及び受信信号スペクトルから、目標姿勢推定処理部12が目標1の今後の位置、速度等の航跡を推定し、帯域合成処理部8が圧縮した連続スペクトル又は画像表示部9が連続スペクトルを変換した目標1の画像(図示せず)から、航空機、艦船、飛翔体等の目標1のモデルに従って、今後の時刻ごとの姿勢の推定を行い、その情報を観測計画算出部14へ送出する。リソース管理部11おいて個々のレーダ部2が以後観測可能な方位・時間・送信周波数・周波数帯域を追尾処理部6又はレーダ部2個々から取得し、その情報を観測計画算出部14へ送出する。オペレータなどの外部からの入力により、観測条件算出部13を経由した目標1の識別を行うための所望の分解能及び所望の観測時間が、観測条件として要求領域算出部16に入力される。
【0027】
次に、観測計画算出部14の観測領域推定部15にて、目標姿勢推定処理部12が推定した目標1の今後の時刻ごとの姿勢の情報と、リソース管理部11が管理している目標1の観測後に各レーダ部2が観測可能な方位・時間・送信周波数・周波数帯域の情報から、目標1の推定された時刻ごとの位置・姿勢・個々のレーダ部2(3台)の位置・観測可能な方位・時間・所望の時刻からアスペクト角を算出し、観測可能な送信周波数・周波数帯域と合わせて、観測領域20(a)〜20(c)を計算する。図5(a)に空間周波数上の観測領域20(a)〜20(c)の模式図を示す。ここで、観測領域20(a)〜20(c)は、目標1が観測された時間以降であって目標1の推定された時刻ごとに、それぞれ複数存在するが、実施の形態1では、一例として、所望の観測条件を満たす、ある観測領域20(a)〜20(c)を例に挙げて説明していく。要求領域算出部16は、観測条件算出部13より入力された観測条件(所望の分解能・所望の観測時間)を満たす空間周波数領域上の信号領域である要求領域21を計算する。なお、観測領域20(a)〜20(c)は、センサ(レーダ部2の特に送受信アンテナ5)の位置と目標の位置関係やリソース使用状況によって1つに決まる。これに対して、要求領域21は観測条件である分解能から計算され、大きさ(面積)が指定されるのみで、分解能は空間周波数領域における面積のみに依存し、空間周波数領域における位置や角度によらない。したがって、以下で説明する要求領域の位置の移動や回転という処理が観測計画算出部14の観測領域決定部17で可能となる。
【0028】
図5(b)と図5(c)とは、観測計画算出部14において、観測領域20(a)〜20(c)と要求領域21とが重複する面積を最大となる位置を導出する一連の流れを模式的に示した図である。観測領域決定部17は、要求領域21を空間周波数領域上で最大限に確保するために要求領域21をスライド・移動、回転させて、観測領域20(a)〜20(c)と重複する面積が最大で、最も観測領域20(a),観測領域20(b),観測領域20(c)の三つの領域における重複の少ない要求領域21(a)の位置を算出する。つまり、観測領域20(a)〜20(c)のうち、「要求領域」として使用する領域が導出される。その後、さらに観測領域決定部17において、最適解算出アルゴリズムを用いて個々のレーダ部2の観測領域20(a)〜20(c)の重複しいている領域を解消する。例えば、最適解算出アルゴリズムに貪欲法を採用して、各レーダ部2の最小のリソースで最大の観測領域22(a)〜22(c)の集合を得るなどが想定される。図5(d)に重複を解消した要求領域21(a)内の「観測領域」である観測領域22(a)〜22(c)の模式図を示す。
【0029】
そして、観測計画算出部14(観測領域決定部17)が算出した個々のレーダ部2の観測領域22(a)〜22(c)に従った観測時間及び周波数帯域にて観測を行うように各レーダ部2に指示を行う。言い換えると、観測条件算出部13より入力された観測条件を満たす要求領域21(実際は、要求領域21(a))の内部に含まれ、かつ、互いに重なっていない観測領域22(a)〜22(c)の領域を各レーダ部2が、それぞれ目標1を観測できるように、観測時間及び周波数帯域を観測計画算出部14が各レーダ部2を制御するということになる。例えば、要求領域21の中で最も大きな面積の観測領域22(a)を占めるレーダ部2から優先的に割り当てていくように制御し、観測領域22(a)〜22(c)を算出する。つまり、所望の時間までに所望の解像度を満たす空間周波数領域上の要求領域21を満たし、かつ効率的な、最適な観測領域22(a)〜22(c)を確保できるように、各レーダ部2の目標1に対するアスペクト角の予想値及び使用可能な帯域から、観測レーダ、各レーダ部2の観測周波数、観測時間をそれぞれ選択し、各レーダ部2に指示することとなる。もちろん、図6(a)に示すように、観測領域20(a)〜20(c)の全てが重複していない場合も想定されるが、その場合、観測領域決定部17は図6(b)の要求領域21が図6(c)に示すように、面積が最大である観測領域20(a)に対して、要求領域21を空間周波数領域上で最大限に確保するために要求領域21をスライド・移動、回転させて、観測領域20(a)における要求領域21(a)の位置を算出する。3台(複数)のレーダ部2におけるそれぞれの観測領域マッピングは必ずしも接しないで、重複部分や空隙部分を生じる。
【0030】
以上の動作を行うことによって、最小のレーダ部2のリソースで所望の分解能の画像を、所望の時刻までに得ることが可能になり、観測領域22(a)〜22(c)以外の観測領域20(a)〜20(c)において、目標1以外の「目標」を観測することも可能となる。また、各レーダ部2におけるそれぞれの観測値の空間周波数領域へのプロットは、アスペクト角が原点(レーダ部2)を中心とした角度を表し、送信周波数が原点からの距離、周波数帯域が掃引する幅を表すことから逆算し、最適な観測領域22(a)〜22(c)から各レーダ部2の観測するアスペクト角、観測周波数と周波数帯域を算出する。アスペクト角はレーダ部2における時刻を表すため、アスペクト角、観測周波数と周波数帯域から観測開始時刻と観測終了時刻、時刻ごとの観測周波数と周波数帯域を算出する。このようにすることにより、各レーダ部2の観測開始時刻と終了時刻、時刻ごとの観測周波数と周波数帯域が出力される。つまり、図5(d)のような観測領域21(a)が時間ごとに出力される。上記動作によって、所望の時刻までに・所望の分解能を・各レーダ部2のリソース管理部11及び目標姿勢推定処理部12の情報から計算されうる最小のリソースを用いて達成することが可能である。このように、実施の形態1に係るレーダ装置の特徴的な部分はレーダの使用可能帯域及び目標のアスペクト角を用いて、高分解能画像に適切な空間周波数における領域を計算し、各レーダに指示を行う観測計画算出部14である。
【0031】
これまでは、観測計画算出部部14(観測領域算出部15,要求領域算出部16,観測領域決定部17)の動作は、観測条件算出部13から出力される所望の分解能と所望の観測時間から、適切な観測領域22(a)〜22(c)を得ると説明してきたが、所望の分解能のみが観測条件として観測条件算出部13に外部から入力され、観測計画算出部14(要求領域算出部16)へ出力された場合でも、所望の分解能を満たす最短の時刻を観測計画算出部14にて算出することも可能である。この場合、まず、観測条件算出部13は、所望の観測時間を仮観測時間として仮に設定し、上記の観測計画算出部部14内の処理を実行し、目標1の画像(この段階では、所望の分解能を満たしていない可能性があるので、高分解能画像といえない場合がある。)を算出するための観測計画を作成する。この観測計画による帯域合成処理部8が算出した画像又は観測領域決定部13で決定された観測領域が、所望の分解能を満たしていた場合は、観測条件算出部13が仮観測時間をその設定値以下に再度設定した短縮仮観測時間により上記の観測計画算出部部14内の処理を実行し、所望の分解能を満たさなくなるまで繰り返し実行することで、所望の分解能を満たす最短の観測時間を計算できる。また、所望の分解能を満たしていない場合は、観測条件算出部13が仮観測時間をその設定値以上に再度設定した拡張仮観測時間により上記の観測計画算出部部14内の処理を実行し、所望の分解能を満たすまで繰り返し実行することで、所望の分解能を満たす最短の観測時間を計算できる。なお、場合によっては、所望の分解能を満たしていた場合は、短縮仮観測時間を算出せずに、仮観測時間のこのままで3台のレーダ部2を制御してもよい。
【0032】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2について図7を用いて説明する。図7は実施の形態2に係るレーダ装置の機能ブロック図であり、図7において、23は目標1の投影面とが一致するレーダ部2の観測領域を選択する投影面一致観測領域選択部である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。実施の形態1に係るレーダ装置と実施の形態2に係るレーダ装置の違いは、実施の形態2に係るレーダ装置の観測領域推定部15に投影面一致観測領域選択部23が加わったことである。
【0033】
実施の形態1に係るレーダ装置の場合は、3台のレーダ部2による観測を合成し画像化する場合は、目標1が回転対称の必要がある。例えば、空間中の円錐状の目標を考えた場合、レーダ部2からの画像の投影面は、どの位置に配置されたレーダ部2からもアスペクト角のみ規定され、同じアスペクト角のレーダ部2から見た目標の形状は一致するため、アスペクト角のみに従い、空間周波数領域でのマッピングを考慮すればよい。しかし、目標1が回転対称ではない場合は画像の投影面が異なり、同じアスペクト角のレーダ部2でも形状は一致しない。例えば、航空機などはアスペクト角だけでは目標の形状は一致しない。そのため、更に目標の水平面とのなす角を考慮し、同じ画像の投影面を持つレーダ部2による観測が必要である。実施の形態2に係るレーダ装置の投影面一致観測領域選択部23は、目標1の姿勢となすアスペクト角が一致するレーダ部2の観測領域のうち、目標1の投影面とが一致するレーダ部2の観測領域の組み合わせを選択する処理である。組み合わせ選択後、実施の形態1に係るレーダ装置と同様の処理を適用し、最も分解能の高い、もしくは所望の分解能を得る時間が短い画像の投影面を選択する。
【0034】
実施の形態3.
この発明の実施の形態2について図8及び9を用いて説明する。図8は実施の形態3に係るレーダ装置の機能ブロック図、図9は実施の形態3に係るレーダ装置の機能ブロック図であり、図8及び9において、24は予め目標1として推定される物体の形状を記憶するデータベース部、25は追尾処理部10が特定した目標1の姿勢と画像表示部9に表示される目標1の画像とから目標1の形状とデータベース部24で記憶された物体の形状とを類似度を算出する類識別処理部である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。実施の形態1及び2に係るレーダ装置と実施の形態3に係るレーダ装置の違いは、帯域合成処理部8の後段に類識別処理部25とデータベースとが設けられているので、画像表示部9にて画像化された目標に対し、類識別処理部25は目標1の姿勢をキーとしてデータベース24を検索し、類似度が高いデータベース24に保存された目標を画像表示部9などでオペレータに通知したり、データベース24に保存された目標と目標1との類似度を画像表示部9などでオペレータに通知したりすることが可能となる。それ以外の動作は、図8に示すレーダ装置は、実施の形態1に係るレーダ装置と同様であり、図9に示すレーダ装置は、実施の形態2に係るレーダ装置と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明の実施の形態1に係るレーダ装置の観測のジオメトリを示す説明図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るレーダ装置の機能ブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るレーダ装置の追尾処理部以降の機能ブロック図と類似する従来技術のレーダ装置図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る観測値の空間周波数領域へのプロット説明図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係るレーダ装置の空間周波数概念図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係るレーダ装置の空間周波数概念図である。
【図7】この発明の実施の形態2に係るレーダ装置の機能ブロック図である。
【図8】この発明の実施の形態3に係るレーダ装置の機能ブロック図である。
【図9】この発明の実施の形態3に係るレーダ装置の機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0036】
1…目標、2…レーダ部、3…識別処理制御部、4…信号線、5…送受信アンテナ、
6…受信処理部、7…コヒーレント化処理部、8…帯域合成処理部、9…画像表示部、
10…追尾処理部、11…リソース管理部、12…目標姿勢推定処理部、
13…観測条件算出部、14…観測計画算出部、15…観測領域推定部、
16…要求領域算出部、17…観測領域決定部、18…観測信号スペクトル、
19…連続スペクトル、20…観測領域、21…要求領域、22…観測領域、
23…投影面一致観測領域選択部、24…データベース、25…類識別処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる位置に配置され、送信波を送信し、目標に反射した反射波を受信する複数の送受信アンテナ、この複数の送受信アンテナがそれぞれ受信した反射波を受信処理して受信信号及び受信信号スペクトルを算出する受信処理部からなる複数のレーダ部と、前記受信処理部が前記複数の送受信アンテナごとに算出した受信信号スペクトルの位相を一致させるコヒーレント化処理部と、このコヒーレント化処理部が位相を一致させた受信信号スペクトルをレンジ方向及びクロスレンジ方向に内挿又は外挿処理を行い、前記コヒーレント化処理部が位相を一致させた受信信号スペクトルのレンジ方向及びクロスレンジ方向の帯域幅を拡張して、連続スペクトルを導出し、この導出された連続スペクトルのレンジ方向及びクロスレンジ方向の帯域を圧縮する帯域合成処理部と、この帯域合成処理部が圧縮した連続スペクトルを前記目標の画像として表示する画像表示部とを備えたレーダ装置において、前記受信処理部が前記複数の送受信アンテナごとに算出した受信信号から前記目標の追尾処理により前記目標の位置や姿勢を特定する追尾処理部と、各レーダ部の観測可能な方位・時間・送信周波数・周波数帯域をそれぞれ前記複数のレーダ部から取得するリソース管理部と、前記追尾処理部が特定した前記目標の位置や姿勢及び帯域合成処理部が圧縮した連続スペクトルによる前記目標のモデルから前記目標が観測された時刻以降の前記目標の姿勢を推定する目標姿勢推定処理部と、所望の観測条件が入力される観測条件算出部と、前記リソース管理部から出力される前記各レーダ部の観測可能な方位・時間・送信周波数・周波数帯域から前記目標姿勢推定処理部が推定した前記目標が観測された時刻以降の所定の時刻毎に前記目標の姿勢と前記各レーダ部とのアスペクト角をそれぞれ算出し、前記観測条件算出部に入力された観測条件を満たす空間周波数領域上の信号領域である要求領域に対し、前記目標の姿勢となすアスペクト角が一致するレーダ部の観測領域の割り当てを決定し、この割り当てに基づいて前記複数のレーダ部に前記目標を観測させる観測計画算出部とを備えたレーダ装置。
【請求項2】
前記観測条件入力部は、前記所望の観測条件が所望の分解能のみときに、仮観測時間を生成し、前記複数のレーダ部による前記目標の観測結果が前記所望の分解能を満たす最短時間が決定するまで、前記仮観測時間を変更して前記観測計画算出部の処理を繰り返して実行させる請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項3】
前記観測計画算出部は、空間周波数領域上で前記要求領域を移動させ、前記目標の姿勢となすアスペクト角が一致するレーダ部の観測領域、又は前記目標の姿勢となすアスペクト角が一致するレーダ部の観測領域のうち、前記目標の投影面とが一致するレーダ部の観測領域とを重ねて、前記要求領域に割り当てられる前記各レーダ部の観測領域を決定する請求項1又は2に記載のレーダ装置。
【請求項4】
前記観測計画算出部は、最適解算出アルゴリズムにより前記目標の姿勢となすアスペクト角が一致するレーダ部の観測領域、又は前記目標の姿勢となすアスペクト角が一致するレーダ部の観測領域のうち、前記目標の投影面とが一致するレーダ部の観測領域の中で、前記各レーダ部の観測領域同士が重複している部分を解消して前記複数のレーダ部に前記目標を観測させる請求項3に記載のレーダ装置。
【請求項5】
請求項1〜5のいずれかに記載の装置において、予め前記目標として推定される物体の形状を記憶するデータベース部と、前記追尾処理部が特定した前記目標の姿勢と前記画像表示部に表示される前記目標の画像とから前記目標の形状と前記データベース部で記憶された物体の形状とを類似度を算出する類識別処理部とを備えたレーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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