説明

ロストワックス鋳造法におけるワックス注入用ゴム型およびワックス注入用ゴム型給排装置

【課題】ゴム型の注入口をワックス充填装置のノズルに対して所定の位置に配置させるための構成を簡略化できるワックス注入用ゴム型およびワックス注入用ゴム型給排装置を提供すること。
【解決手段】ゴム型2を載置するテーブル3を備えたワックス注入用ゴム型給排装置1において、中心軸A1の後端面22から先端面21に向かって互いに接近する傾斜面23A,23Bを設けたゴム型2を使用するとともに、テーブル3には、各傾斜面23A,23Bとそれぞれ当接するガイド面33A,33Bを形成した。従って、傾斜面23A,23Bがガイド面33A,33Bに当接するようにゴム型2を押し込むだけで、ゴム型2の注入口25とワックス充填装置のノズルとの水平方向の位置決めを容易に行うことができ、機器構成の簡略化、省スペース化を図ることができ、位置の調整作業を容易化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロストワックス鋳造法におけるワックス注入用ゴム型およびワックス注入用ゴム型給排装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にロストワックス鋳造法では、製造しようとする原型を生ゴムで被覆して、生ゴムを加硫することで弾力性を具備したゴム型を形成し、このゴム型を分割して原型を取り出した後、ゴム型の内部に蝋(ワックス)を注入してワックスパターン(蝋模型)を形成する工程がある。
従来、ゴム型へのワックス注入作業は、手作業で実施されていたが、この作業を半自動で行うためのゴム型給排装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置には、ゴム型をワックス充填装置に対して送戻させる送戻装置と、この送戻方向に直交する方向にゴム型を移動させる押送機とが設けられ、前者の送戻装置は、ゴム型に形成された注入口にワックス充填装置のノズルを当接させるため、後者の押送機は、ゴム型の注入口の軸とノズルの軸とが同一軸になるようにゴム型の幅方向の位置を位置決めするためのものである。
押送機には、押送方向の前方に設けられたチャックにゴム型が到来したことを感知して、ゴム型の注入口の軸がノズルの軸と同一軸となる位置に押送機を停止させることによって、ゴム型の幅方向の位置を決める感知器が設けられている。具体的には、ゴム型の注入口の上面にアルミ箔製の被検体が接着されていて、感知器から発信された感知波が被検体によって反射され、感知器がその反射波を感知できるようになっている。
このような構成によって、ゴム型にワックスを注入する際のゴム型の注入口とワックス充填装置のノズルとの位置調整が行われるようになっている。
【0003】
【特許文献1】特開昭62−292238号公報(第6〜第10頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のゴム型給排装置は、ゴム型の注入口をワックス充填装置のノズルに対して所定の位置に配置させるために、検知体、押送機、感知器等を必要とするので、手作業で実施するときに比べて複雑で大掛かりな装置となるという問題があった。また、送戻装置と押送機とを用いて2方向の位置調整をしなければならず、調整作業が煩雑となっていた。さらに、非常に大きな設置スペースを必要とし、高価格であったため、省スペース化、コストダウンという点での問題もあった。
【0005】
本発明の目的は、ゴム型の注入口をワックス充填装置のノズルに対して所定の位置に配置させるための構成を従来よりも簡略化でき、省スペース化できるとともに、位置の調整作業が容易で、調整時間を短縮することができるロストワックス鋳造法におけるワックス注入用ゴム型およびワックス注入用ゴム型給排装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のロストワックス鋳造法におけるワックス注入用ゴム型は、先端面および後端面と、これら先端面および後端面を結ぶ一対の側面とを備えて構成され、前記先端面には、前記型内空間に連通する注入口が形成され、前記各側面には、前記先端面に直交しかつ前記注入口を通る中心軸に対して、所定の角度で傾斜する傾斜面がそれぞれ形成され、前記各傾斜面は、前記中心軸において前記後端面から先端面に向かうにしたがって互いに接近する方向にそれぞれ傾斜されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のロストワックス鋳造法におけるワックス注入用ゴム型給排装置は、前記テーブルには、前記ゴム型の一方の傾斜面に対して平行に配置されて当該傾斜面に対して当接するガイド面を有する第1のガイド手段と、前記ゴム型の他方の傾斜面に対して平行に配置されて当該傾斜面に対して当接するガイド面を有する第2のガイド手段とが設けられ、2つの前記ガイド面から互いに等距離となる前記テーブル上の移動軸において、前記ガイド面が互いに接近する方向の延長線上にワックス充填装置のノズルが配置されていることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、ゴム型の一対の側面には、中心軸に対して所定の角度で傾斜する傾斜面がそれぞれ形成され、これらの傾斜面は、中心軸において後端面から先端面に向かうにしたがって互いに接近する方向にそれぞれ傾斜されているとともに、テーブルの第1、第2のガイド手段には、ゴム型の各傾斜面に対してそれぞれ平行に配置されて当該傾斜面に対して当接するガイド面がそれぞれ形成され、移動軸において各ガイド面が互いに接近する方向の延長線上にノズルが配置されているので、ゴム型をテーブルに載置する際に、ゴム型の2つの傾斜面がテーブルの各ガイド面にそれぞれ当接する位置にゴム型を配置するだけで、ゴム型を所定の位置に容易に配置させることができる。例えば、ゴム型を移動軸に沿って各ガイド面が接近する方向に押し込むことで、各傾斜面を各ガイド面にそれぞれ当接させることができる。すなわち、各傾斜面を各ガイド面にそれぞれ当接させるだけで、ゴム型の中心軸とテーブル上の移動軸とを容易に同一軸上にすることができ、中心軸上の注入口と移動軸上のノズルとが同一軸上となるようにゴム型を容易に位置決めすることができる。従って、ゴム型の位置を調整する機器構成の簡略化および省スペース化を図ることができるとともに、容易にゴム型の位置の調整作業ができて、調整時間を短縮することができる。
【0009】
また、ゴム型は、金属枠にセットされた生ゴムを加圧加熱して加硫する成形工程によって製造されるので、この成形工程での収縮度合いの違いによって2つの傾斜面の形状が相似的な差を有した状態で製造されることがあるが、ゴム型の各傾斜面を各ガイド面にそれぞれ当接させることで注入口とノズルとを同一軸上にすることができるので、ゴム型の成形工程での収縮度合いに関係なく、ゴム型を容易に位置決めすることができる。
【0010】
本発明のロストワックス鋳造法におけるワックス注入用ゴム型給排装置は、押圧部と、この押圧部を前記ゴム型に対して昇降させる駆動源とを有する押圧手段を備えていることが好ましい。
このような構成によれば、ゴム型の分割面は、挟持用ジグ等によって密着した状態を確保されてもよいが、押圧手段の駆動源によって所定の押圧力でゴム型が押圧されることによって、ゴム型の分割面は常に密着した状態に確保され、型内空間にワックスが注入されて内圧が加わる際にゴム型の分割面に隙間が生じて、ばり等が発生することを容易に抑止することができる。
【0011】
本発明のロストワックス鋳造法におけるワックス注入用ゴム型給排装置は、前記移動軸に沿った方向に前記テーブルを進退自在に案内するテーブル案内手段を備え、前記テーブル案内手段は、前記テーブルを案内する案内部と、前記テーブルを進退方向に駆動する駆動源とを有していることが好ましい。
このような構成によれば、テーブルを移動軸のノズル側の方向に進退自在に案内させることができるので、ワックス充填装置のノズルに対して、ゴム型の注入口を当接させるようにテーブルを自動的に前進させ、ノズルに対して注入口が当接する位置で自動的にテーブルを停止させ、ワックス注入後、自動的に注入口をノズルから後退させるようにテーブルを後退させることができる。
【0012】
本発明のロストワックス鋳造法におけるワックス注入用ゴム型給排装置は、前記テーブルを垂直方向に昇降させるテーブル昇降手段を備えていることが好ましい。
このような構成によれば、テーブルからゴム型の注入口までの高さ寸法を変更した際に、テーブルの高さを調整することによって、注入口の高さをノズルの高さに合わせることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のロストワックス鋳造法におけるワックス注入用ゴム型およびワックス注入用ゴム型給排装置によれば、ゴム型をテーブルに載置する際に、ゴム型の各傾斜面がテーブルの各ガイド面にそれぞれ当接する位置にゴム型を配置するだけで、容易にゴム型を所定の位置に配置させることができ、ゴム型の位置を調整する機器構成の簡略化および省スペース化を図ることができるとともに、容易にゴム型の位置の調整作業ができて、調整時間を短縮することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明にあたって、同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
本実施形態に係るロストワックス鋳造法におけるワックス注入用ゴム型2およびワックス注入用ゴム型給排装置1は、図1〜図3に示すように、ゴム型2がゴム型給排装置1によってゴム型給排装置1の前方に配置されたワックス充填装置9に対して給排され、ゴム型の内部にワックスを注入する際に使用されるものである。
【0015】
ゴム型2は、先端面21および後端面22と、これら先端面21および後端面22を結ぶ一対の側面としての傾斜面23A,23Bと、上面27および下面28とを備えて形成され、上下面27,28は図3に示すように台形状に形成されている。
ゴム型2の内部には、蝋(ワックス)を注入されることによって蝋模型(ワックスパターン)を成形する型内空間26が形成されていて、この型内空間26に連通するワックスの注入口25が先端面21の水平方向(幅方向)における中央に形成されている。先端面21および後端面22は互いに平行に設定され、幅方向の長さ寸法は先端面21の方が短く設定されている。注入口25は、下面28から寸法Bの高さに形成されている。
各傾斜面23A,23Bは、先端面21に直交しかつ注入口25を通る中心軸(図3中の軸A1)に対して、所定の角度で傾斜されている。また、各傾斜面23A,23Bは、中心軸A1において後端面22から先端面21に向かうにしたがって互いに接近する方向にそれぞれ傾斜されている。ここで、傾斜面23A,23Bの傾斜角度は、例えば、3〜15度に設定されている。
【0016】
ゴム型給排装置1は、ゴム型2が載置される載置面31を有する鋼製のテーブル3と、このテーブル3に設けられてゴム型2をテーブル3に対して押圧する押圧手段4と、テーブル3をワックス充填装置9に対して進退させるテーブル案内手段5と、水平な基礎に設置されてテーブル3を垂直方向に昇降させるテーブル昇降手段6とを備えて構成されている。
【0017】
テーブル3の載置面31には、ゴム型2をガイドする第1、第2のガイド手段としての2つのガイド部材32A,32Bが設けられ、これらのガイド部材32A,32Bには、ゴム型2の傾斜面23A,23Bとそれぞれ平行に配置されて当該傾斜面23A,23Bと当接するガイド面33A,33Bが形成されている。各ガイド面33A,33Bから互いに等距離となり、載置面31から寸法B分だけ上方となる移動軸A2において、各ガイド面33A,33Bが互いに近接する方向の延長線上にワックス充填装置9のノズル91が配置されている。各ガイド面33A,33Bは、移動軸A2においてノズル91に向かうにしたがって互いに接近する方向にそれぞれ傾斜されている。ゴム型2が所定の位置、つまり、ゴム型2の傾斜面23A,23Bとガイド面33A,33Bとがそれぞれ当接する位置に配置される際には、ゴム型2の中心軸A1とテーブル3の移動軸A2とが同一軸上に配置され、中心軸A1上に設けられた注入口25の中心と移動軸A2上に配置されたノズル91の中心とが同一軸上となるようにゴム型2が載置面31に配置される。また、ガイド面33A,33Bの移動軸A2からの距離は、ゴム型2の幅寸法に対応して設定されているので、ゴム型2の移動軸A2に沿った方向の位置も所定の位置に決められる。
【0018】
押圧手段4は、図1,図2に示すようにテーブル3に固定された案内支持部43と、この案内支持部43に案内される押圧部41と、この押圧部41をゴム型2に対して昇降させるとともにゴム型2に対して押圧力を作用させる駆動源としての押圧用エアシリンダー42とを備えて構成されている。押圧用エアシリンダー42は、押圧力を所定の大きさに調整可能に構成されている。
【0019】
テーブル案内手段5は、テーブル3を案内する断面略凸状の案内部51(あり部)と、テーブル3に形成された断面略凹状の被案内部34(あり溝部)と、移動軸A2に沿ってノズル91に対してテーブル3を進退自在に駆動する駆動源としてのテーブル案内用エアシリンダー52とを備えて構成されている。ここで、案内部51と被案内部34とはあり溝型のスライド機構を構成している。また、テーブル案内手段5には、テーブル3が前進方向に移動して、ゴム型2がノズル91に当接したこと(図1中、一点鎖線で示す位置)を検出する図示しない当接用の近接センサーと、テーブル3が後退方向に移動して、ゴム型2を載置する際のテーブル3の位置を検出する図示しない後退用の近接センサーとを有している。
テーブル昇降手段は6、水平な基礎に設置されるベース部61と、ベース部61に設けられテーブル案内手段5を昇降自在に案内支持する案内支持部としてのねじ部62と、テーブル案内手段5の回転防止用の回転防止部材63と、図示しない駆動部とを備えて構成されている。
【0020】
ワックス注入用ゴム型2は、図4〜図6に示すように、金型7によって成形される。
金型7は、平面台形の成形部72を有する金属枠71と、この成形部72の内周に先端が突出するように金属枠71に取り付けられた注入口成形ジグ73と、金属枠71の下部にボルト75にて固定された固定板74とを備えて構成されている。注入口成形ジグ73は、固定板74の上面に形成された基準面76から寸法Bだけ上方に金属枠71に対して螺合により固定されている。注入口成形ジグ73の先端には、ワックスパターンの原形としての原型77が取り付けられる。固定板74の基準面76と金属枠71の成形部72とによってゴム型2の成形空間78が区画形成されている。
【0021】
次に、ワックス注入用ゴム型2の成形方法について図6に基づいて説明する。
まず、金型7の注入口成形ジグ73の先端に、原型77を取り付ける。次に、成形空間78に生ゴム79を詰め込む。次に、成形空間78の開口側から加圧加熱装置8によって生ゴム79を加圧加熱する。このようにして、生ゴムから弾性力を備えたゴム型2が成形される。ゴム型2を金型7から取り外し、さらにゴム型2を分割して原型77を取り出すことによって、内部に原型77に応じた型内空間26が形成されたゴム型2を成形することができる。
ここで、固定板74の基準面76から注入口成形ジグ73の中心までの高さ寸法Bは、一定に設定されているので、この基準面76によって形成された台形面を下面28としてゴム型2をテーブル3に載置させれば、高さ寸法Bを常に一定にすることができる。従って、同じ金型7で形成したゴム型2を使用する際には、一度設定したテーブル3の高さを変更する必要がない。
【0022】
次に、ゴム型2にワックスを注入してワックスパターンを成形する方法について説明する。
まず、ゴム型2の注入口25をノズル91に向けて、ゴム型2を第1、第2のガイド部材32A,32Bの間(図3中、実線で示す位置)に載置する。次に、ゴム型2を移動軸A2に沿ってノズル91に向かって押し込んで、傾斜面23A,23Bをガイド面33A,33Bにそれぞれ当接させる(一点鎖線で示す位置)。
次に、押圧用エアシリンダー42を作動させて、押圧部41を降下させゴム型2を所定の圧力で押圧する(図1中、一点鎖線で示す位置)。次に、テーブル案内用エアシリンダー52を作動させて、テーブル3をワックス充填装置9に向かって前進させ、ノズル91にゴム型2の注入口25を当接させる。ここで、ノズル91に注入口25が当接されたことを当接用の近接センサーで検出する。
【0023】
次に、ノズル91からワックスをゴム型2内に一定時間射出する。この射出時間は、ゴム型2内の型内空間26の大きさ等から、ワックス注入による「ひけ」や「バリ」が生じない条件に設定される。次に、テーブル案内用エアシリンダー52を逆方向に作動させて、テーブル3を元の位置(ゴム型2をテーブル3に載置する際の位置)に戻すとともに、元の位置に戻ったことを後退用の近接センサーで検出する。
次に、ゴム型2へのワックス注入開始時から所定時間(タイマー設定)経過後に押圧用エアシリンダー42を逆方向に作動させて、押圧部41を上昇させる。ここで、所定時間は、ゴム型2へのワックス注入開始後、ワックスが固まるまでの十分な時間に設定される。次にテーブル3からゴム型2を取り出す。最後に、ゴム型2から注入されたワックスパターンを取り出す。
このようにして、ゴム型2によってワックスパターンが成形される。
【0024】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)ゴム型2をテーブル3の移動軸A2に沿ってノズル91に向かって押し込むことによって、傾斜面23A,23Bをガイド面33A,33Bに当接させるだけで、ゴム型2を所定の位置に位置決めすることができる。従って、ゴム型2の位置を調整する機器構成の簡略化および省スペース化を図ることができるとともに、容易にゴム型2の位置の調整作業ができて、調整時間を短縮することができる。
【0025】
(2)ゴム型2の各傾斜面23A,23Bを各ガイド面33A,33Bにそれぞれ当接させることで注入口25とノズル91とを同一軸上にすることができるので、ゴム型2の成形工程での収縮度合いに関係なく、ゴム型2を容易に位置決めすることができる
【0026】
(3)押圧手段4の押圧用エアシリンダー42によって、ゴム型2は、所定の押圧力で押圧されるので、ゴム型2の分割面は常に密着した状態に確保され、型内空間26にワックスが注入され内圧が加わる際にゴム型2の分割面に隙間が生じて、ばり等が発生することを抑止することができる。
【0027】
(4)ノズル91に対して、ゴム型2を自動的に前進させ、注入口25に対してノズル91が当接する位置で自動的に停止させ、ワックス注入後、自動的にゴム型2をノズル91から後退させることができる。
【0028】
(5)テーブル昇降手段6は、載置面31から注入口25までの高さ寸法が変更された際に、注入口25の高さをノズル91の高さと同じになるように調整することができる。
【0029】
(6)同じ金型7で形成したゴム型2を使用する際には、一度設定したテーブル3の高さを変更する必要がなく、テーブル3の高さ調整の作業を省くことができる。なお、金型7において基準面76から注入口成形ジグ73までの高さ寸法Bが一定に設定されているので、金型7に詰め込む生ゴム79の量にばらつきによってゴム型2の高さ寸法が変化しても、この変化分は注入口25よりも上部に現れるため、ゴム型2の載置面31に載置される下面28から注入口25までの高さ寸法Bを常に一定にすることができる。
【0030】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、金型7の設計変更等によって、ゴム型2の各傾斜面23A,23B間の寸法が変更された場合に、各ガイド面33A,33B間の寸法を変更されたゴム型2の各傾斜面23A,23B間の寸法に合わせて調整することができるように、各ガイド部材32A,32Bが設けられていてもよい。
また、前記実施形態では、ゴム型2の側面全体に傾斜面23A,23Bが形成されていたが、側面の一部にだけ傾斜面が形成されていてもよく、傾斜面以外の部分の形状は制限されない。例えば、上下に分割されるゴム型2の一方の側面全体に傾斜面を形成して、他方の側面は互いに平行に形成してもよい。このようにすることで、成形されたゴム型2を上下に分割する作業を容易にすることができる。
【0031】
また、前記実施形態では、ゴム型2に設けられた傾斜面23A,23Bは、ゴム型2と一体的に形成されていたが、ゴム型は、ゴム型本体部と傾斜面を有する部分とを別体で形成されていてもよい。例えば、ゴム型本体部には従来のゴム型と同様に直方体に形成されたゴム型を採用して、このゴム型本体部とは別体で傾斜面を有するカートリッジ部を用いて、カートリッジ部をゴム型本体部の少なくとも側面部に取り付けることによってゴム型の傾斜面を形成してもよい。このような構成によれば、ゴム型本体部には、従来と同様のゴム型を使用することができる。
また、前記実施形態では、テーブル案内手段5として、あり溝型のスライド機構を採用したが、スライド機構としてはボールの転がりを利用して直線運動を行うものやレールとブロックの間に循環式ボールを用いることによって直線運動を可能にするものなどが利用できる。
また、前記実施形態では、テーブル昇降手段6を備えていたが、基準面から注入口までの高さ寸法が同じゴム型を使用する場合は、テーブル昇降手段6を省略できる。
【0032】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質等を限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質等の限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態に係るロストワックス鋳造法におけるワックス注入用ゴム型給排装置の一部断面を示す正面図。
【図2】前記ワックス注入用ゴム型給排装置を示す側面図。
【図3】図1における III−III 線断面図であり、前記ワックス注入用ゴム型給排装置のテーブルを示す横断面図。
【図4】前記ワックス注入用ゴム型給排装置に載置されるゴム型を成形する金型を示す横断面図。
【図5】前記金型を示す縦断面図。
【図6】前記ゴム型を成形する方法を示す縦断面図。
【符号の説明】
【0034】
1…ワックス注入用ゴム型給排装置、2…ワックス注入用ゴム型、3…テーブル、4…押圧手段、5…テーブル案内手段、6…テーブル昇降手段、9…ワックス充填装置、21…先端面、22…後端面、23A,23B…傾斜面(側面)、25…注入口、26…型内空間、32A,32B…ガイド部材(第1、第2のガイド手段)、33A,33B…ガイド面、41…押圧部、42…押圧用エアシリンダー(駆動源)、51…案内部、52…テーブル案内用エアシリンダー(駆動源)、91…ノズル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にワックスを注入される型内空間が形成されるとともに、
先端面および後端面と、
これら先端面および後端面を結ぶ一対の側面とを備えて構成され、
前記先端面には、前記型内空間に連通する注入口が形成され、
前記各側面には、前記先端面に直交しかつ前記注入口を通る中心軸に対して、所定の角度で傾斜する傾斜面がそれぞれ形成され、
前記各傾斜面は、前記中心軸において前記後端面から先端面に向かうにしたがって互いに接近する方向にそれぞれ傾斜されていることを特徴とするロストワックス鋳造法におけるワックス注入用ゴム型。
【請求項2】
請求項1に記載のワックス注入用ゴム型を載置するテーブルを備え、
前記テーブルには、前記ゴム型の一方の傾斜面に対して平行に配置されて当該傾斜面に対して当接するガイド面を有する第1のガイド手段と、前記ゴム型の他方の傾斜面に対して平行に配置されて当該傾斜面に対して当接するガイド面を有する第2のガイド手段とが設けられ、
2つの前記ガイド面から互いに等距離となる前記テーブル上の移動軸において、前記ガイド面が互いに接近する方向の延長線上にワックス充填装置のノズルが配置されていることを特徴とするロストワックス鋳造法におけるワックス注入用ゴム型給排装置。
【請求項3】
請求項2に記載のロストワックス鋳造法におけるワックス注入用ゴム型給排装置において、
押圧部と、この押圧部を前記ゴム型に対して昇降させる駆動源とを有する押圧手段を備えていることを特徴とするロストワックス鋳造法におけるワックス注入用ゴム型給排装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のロストワックス鋳造法におけるワックス注入用ゴム型給排装置において、
前記移動軸に沿った方向に前記テーブルを進退自在に案内するテーブル案内手段を備え、
前記テーブル案内手段は、前記テーブルを案内する案内部と、前記テーブルを進退方向に駆動する駆動源とを有していることを特徴とするロストワックス鋳造法におけるワックス注入用ゴム型給排装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれかに記載のロストワックス鋳造法におけるワックス注入用ゴム型給排装置において、
前記テーブルを垂直方向に昇降させるテーブル昇降手段を備えていることを特徴とするロストワックス鋳造法におけるワックス注入用ゴム型給排装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−237186(P2007−237186A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−58689(P2006−58689)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】