説明

ロック機構

【課題】簡単な構造で、自動的にロック及び解除が可能なロック機構を提供する。
【解決手段】板状部材2を倒した状態から立ち上げる際に、第1アーム6の軸線Lと第2アーム7の軸線Lとのなす角度θが増加し、板状部材2が立ち上がった状態になると、角度θが180°よりも大きい状態で、ストッパー20が第2アーム7の回動を止めることにより、板状部材2を倒す方向に押しても、第2アーム7は第1アーム6に対して回動しなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はロック機構に係り、特に、地面の一部を構成するように収納された防水板や侵入防止板等を立ち上げた時に、その状態をロックするためのロック機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の防水板が、例えば特許文献1に記載されている。このような防水板は、未使用時には、地面の一部を構成するように収容されており、使用時には、油圧等によって回動して立ち上がり、雨水等の侵入を堰き止めるようになっている。立ち上がった状態で油圧の油漏れが生じると防水板が倒れてしまうため、これを防ぐために防水板には、立ち上がった状態をロックするためのロック機構が設けられている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−226016号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の防水板に設けられた従来のロック機構は、電気式のロック機構や、突っ張り棒等のような手動でロックするタイプのものが多い。しかしながら、電気式のロック機構は、当該ロック機構を作動させるための別の動力が必要であり、コストが高いといった問題点があった。一方、突っ張り棒のような手動タイプのものは、ロック操作及び解除操作をいちいち手動で行なわなければならず、操作が大変であるといった問題点があり、ロック操作を忘れた場合には、使用中に防水板が倒れてしまう可能性もあった。
【0005】
この発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、簡単な構造で、自動的にロック及び解除が可能なロック機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るロック機構は、回動可能な板状部材を立ち上げた状態で維持するためのロック機構であって、一端が回動可能に固定された第1アームと、一端が該第1アームに回動可能に固定されると共に他端が前記板状部材に回動可能に固定された第2アームと、前記第1アームに対する前記第2アームの回動を止めるストッパーとを備え、前記板状部材を倒した状態から立ち上げる際に、前記第1アームの軸線と前記第2アームの軸線とのなす角度が増加し、前記板状部材が立ち上がった状態になると、前記角度が180°よりも大きい状態で、前記ストッパーが前記第2アームの回動を止める。
前記ストッパーは前記第1アームに設けられ、前記第2アームが前記ストッパーに当接することにより、該ストッパーが前記第2アームの回動を止めてもよい。
前記板状部材は、倒れた状態で地面の一部を構成し、前記ロック機構は、前記板状部材の下方に収納されてもよい。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、板状部材を倒した状態から立ち上げる際に、第1アームの軸線と第2アームの軸線とのなす角度が増加し、板状部材が立ち上がった状態になると、当該角度が180°よりも大きい状態で、ストッパーが第2アームの回動を止めることにより、板状部材を倒す方向に押しても、第2アームは第1アームに対して回動しなくなるので、簡単な構造で、自動的にロック及び解除が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
この発明の実施の形態に係るロック機構が設けられた防水板の立ち上がった状態の図を図1に示す。防水板1は、水平方向に長い長方形形状を有した板状部材2と、水平方向に間隔を空けて設けられた2つのロック機構3,3とを有している。板状部材2の下面2aには、短い方の縁部2bに平行に2つの回動部材25が互いに間隔を空けて設けられている。各回動部材25の一方の端部25aは、板状部材2の長い方の縁部2cよりも外方に延び、地面Gに対して窪んだ窪み部4の底部4aに設けられたフレーム5上に設けられた受け部26にピン27で回動可能に固定されている。
【0009】
各ロック機構3は、第1アーム6と第2アーム7とから構成されている。第1アーム6の一方の端部6aは、フレーム5上に固定された受け部8にピン9で回動可能に固定されている。第2アーム7の一方の端部7aは、第1アーム6の他方の端部6bに近い位置で、第1アーム6にピン10で回動可能に固定され、第2アーム7の他方の端部7bは、板状部材2の下面2aに固定された受け部11にピン12で回動可能に固定されている。
【0010】
窪み部4内において、各ロック機構3に隣り合うように、伸縮自在の2つの油圧シリンダー13,13が設けられている。窪み部4内において、ロック機構3,3の間を延びるように、シリンダー受け14が設けられている。油圧シリンダー13の一方の端部13aは、フレーム5上に固定された受け部15にピン16で回動可能に固定されている。
【0011】
図2に示されるように、油圧シリンダー13は、円筒形状のシリンダー部21と、シリンダー部21の内部で摺動可能に設けられたピストンロッド22とから構成され、ピストンロッド22の先端部、すなわち油圧シリンダー13の他方の端部13bが一方の端部13aから離れる方向にピストンロッド22が摺動することにより、油圧シリンダー13が伸び、この逆に、端部13bが端部13aに近づく方向にピストンロッド22が摺動することにより、油圧シリンダー13が縮むようになっている。油圧シリンダー13の端部13bは、シリンダー受け14に固定されたブラケット17にピン18で回動可能に固定されている。また、シリンダー受け14と第1アーム6とは、ブラケット19を介して連結されている。さらに、第1アーム6の端部6b付近には、第2アーム7の回動を止めるためのストッパー20が設けられている。
【0012】
次に、この実施の形態に係る防水板の動作について説明する。
板状部材2が倒れた状態を図3に示す。板状部材2は、窪み部4を覆うと共に地面Gの一部を構成している。つまり、板状部材2は、地面Gに対して面一になっている。各ロック機構3は、窪み部4の内部に収容されている。油圧シリンダー13は、最も縮んだ状態になっており、第2アーム7は、ピン10を中心としてピン12がピン9に向かって回動されて、第1アーム6に対して折り曲がった状態になっている。すなわち、第1アーム6の軸線Lと第2アーム7の軸線Lとのなす角度θは鋭角となっている。
【0013】
板状部材2を立ち上げるために、図示しない動力源によって各油圧シリンダー13が伸びると、ブラケット17が矢印Aの方向に回転し、これによってシリンダー受け14が矢印Bの方向に回転する。すると、ブラケット19が矢印Cの方向に回転し、これによって第1アーム6がピン9を中心にして端部6bが矢印Dの方向に移動するように回動する。第1アーム6が回動すると、第2アーム7を介して板状部材2が持ち上げられるので、板状部材2は、ピン27を中心にして矢印Eの方向に回動する。
【0014】
板状部材2がある程度まで立ち上がってくると、第2アーム7は、角度θが増加するように、第1アーム6に対して回動するようになる。図2に示されるように、板状部材2が最も立ち上がった状態になると、角度θは180°よりもわずかに大きい角度となる。この状態では、第2アーム7はストッパー20によって回動が止められ、角度θがこれ以上大きくならないようになる。この状態では、鉛直線Lに対する第2アーム7の軸線Lのなす角度θは、鉛直線Lに対する第1アーム6の軸線Lのなす角度θよりも小さくなっている。尚、角度θは181°以上が好ましく、さらに好ましくは、181°から183°程度である。
【0015】
この状態で、板状部材2の上面2dに対して板状部材2が倒れる方向(矢印Fの方向)に力を加えても、角度θが増加する方向に力が加えられることになるため、第2アーム7は第1アーム6に対してこの方向に回動することはない。従って、板状部材2は、ロック機構3,3によって最も立ち上がった状態を維持するようにロックされる。
【0016】
板状部材2を倒す場合には、図示しない動力源によって各油圧シリンダー13を縮ませると、上記動作と逆の動作により、図3の状態へ戻る。
【0017】
このように、板状部材2を倒した状態から立ち上げる際に、第1アーム6の軸線Lと第2アーム7の軸線Lとのなす角度θが増加し、板状部材2が立ち上がった状態になると、角度θが180°よりも大きい状態で、ストッパー20が第2アーム7の回動を止めることにより、板状部材2を倒す方向に押しても、第2アーム7は第1アーム6に対して回動しなくなるので、簡単な構造で、自動的にロック及び解除が可能になる。
また、板状部材2の上面2dに対して板状部材2が倒れる方向(矢印F)に力を加えても板状部材2は倒れないので、防水板1は、水が存在する方向とは逆側にロック機構3が位置するように配置できるので、ロック機構3が水の影響で不具合を生じてしまうのを防止できる。つまり、この発明に係るロック機構は、防水板に適用するのに適している。
【0018】
この実施の形態では、ストッパー20は、第1アーム6に設けられて、第2アーム7がストッパー20に当接することにより第2アーム7の回動を止める構成であるが、このような構成に限定するものではない。角度θを所定角度以上に増加しないように第2アーム7の回動を確実に止めることができるものであれば、どのような構成のものであってもよい。
【0019】
この実施の形態では、ロック機構3は2つ設けられていたが、2つに限定するものではない。防水板1の大きさによって、適宜増減することができる。また、板状部材2の形状は水平方向に長い長方形形状であったが、この形状に限定するものではなく、任意の形状の板状部材であってもよい。
【0020】
また、この実施の形態では、防水板1に適用した場合を例にして説明しているが、防水板に限定するものではない。開閉可能な板状の蓋等が立ち上がった状態を維持するためであればどのようなものに適用してもよく、例えば、侵入防止板等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の実施の形態に係るロック機構を備えた防水板の正面図である。
【図2】この実施の形態に係るロック機構を備えた防水板が立ち上がった状態の側面図である。
【図3】この実施の形態に係るロック機構を備えた防水板が倒れた状態の側面図である。
【符号の説明】
【0022】
2 板状部材、3 ロック機構、6 第1アーム、6a (第1アームの)端部(第1アームの一端)、7 第2アーム、7a (第2アームの)端部(第2アームの一端)、7b (第2アームの)端部(第2アームの他端)、G 地面、L 第1アームの軸線、L 第2アームの軸線、θ 第1アームの軸線Lと第2アームの軸線Lとのなす角度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動可能な板状部材を立ち上げた状態で維持するためのロック機構であって、
一端が回動可能に固定された第1アームと、
一端が該第1アームに回動可能に固定されると共に他端が前記板状部材に回動可能に固定された第2アームと、
前記第1アームに対する前記第2アームの回動を止めるストッパーと
を備え、
前記板状部材を倒した状態から立ち上げる際に、前記第1アームの軸線と前記第2アームの軸線とのなす角度が増加し、前記板状部材が立ち上がった状態になると、前記角度が180°よりも大きい状態で、前記ストッパーが前記第2アームの回動を止めるロック機構。
【請求項2】
前記ストッパーは前記第1アームに設けられ、
前記第2アームが前記ストッパーに当接することにより、該ストッパーが前記第2アームの回動を止める、請求項1に記載のロック機構。
【請求項3】
前記板状部材は、倒れた状態で地面の一部を構成し、
前記ロック機構は、前記板状部材の下方に収納される、請求項1または2に記載のロック機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−90590(P2010−90590A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260745(P2008−260745)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(593045488)日本機器鋼業株式会社 (12)
【Fターム(参考)】