説明

ロック蓋付き薬剤容器

【課題】容器本体の開口部を内蓋で密閉し揮散口付き外蓋で覆うタイプの容器であって、内蓋除去のために外蓋を取り外すことができ、且つ内蓋除去後は外蓋をロック状態とし得る薬剤容器を提供する。
【解決手段】容器本体10は外周面に外面結合部12を備え、内蓋30は、容器本体の開口周縁部に係合し得る係合部32と、該係合部から上方へ延びた厚肉部37とを備え、外蓋20は、装着時に内蓋の厚肉部37に接触するフランジ部23と、内周面に内面結合部26を有した環状壁25とを備え、外面結合部12及び内面結合部26は、外蓋20を容器本体10に被せて回転することによって結合する構造を有し、容器本体10及び外蓋20には、内蓋30を外した状態で結合したときにラチェット係合する内部片13及び外部片27が設けられていることを特徴とするロック蓋付き薬剤容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用時にロック状態とし得る蓋を備えたロック蓋付き薬剤容器に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香剤、消臭剤、脱臭剤等を収容した容器は、一般に、揮散口を備えた蓋体で容器本体の開口部を覆うようにして使用される。しかしながら、蓋体は通常着脱自在に設けられているため、子供や老人が誤って蓋体を取り外して、薬剤をこぼしたり食べてしまったりするという不測の事態を招くことがある。
【0003】
これに対処すべく、容器本体の側壁に複数の凸部または凹部を設け、これに揮散口付きの蓋体を係止して内蓋とすることにより、容器本体から内蓋を外し難くした容器が提案されている(例えば、特許文献1)。この容器は、揮散口付きの内蓋を容器開口部より下に設け、容器開口部はアルミ箔等の気密シートで覆うことにより、使用前の薬剤の揮散を防止している。このように揮散口付き内蓋を容器本体内に収める形態とすると、容器開口部を気密シートで閉じ、該シートの保護等のために揮散口付きの外蓋をさらに被せるという3重構造となり、構造が複雑化し、製造に手間が掛かる。また、内蓋に揮散口を設けるため開口面積が限られ、薬剤によっては十分な揮散効果が得られない場合もある。
【0004】
一方、容器本体の開口面を内蓋で気密に閉じ、上方から揮散口付きの外蓋を被せるタイプの薬剤容器が多数用いられている。この場合は、内蓋と外蓋との2重構造で済み、構造が簡単で製造が容易である。また、揮散口の開口面積も大きく取りやすい。この場合にも、取り外しに伴う上記問題を解決するために、外蓋を取り外し難くするのが望ましい。例えば特許文献2に記載された芳香剤容器は、カバー(蓋体)の嵌合内周面に内方へ突出した爪部を設け、容器本体の嵌合外周面に周方向に傾斜した面を設け、傾斜面の上部に凹部を形成し、傾斜面の途中に複数の突起状係合部を設けた構造を有している。この容器は、カバーを容器本体に装着する際、カバーを周方向に回転させると、爪部が傾斜面に乗り上げて凹部に係合し、その状態を保持する。また、容器本体が内容物に含まれる有機溶剤で膨潤したときは、傾斜面の途中にある係合部に爪部が係合しその状態を保持する。
【0005】
しかしながら、この芳香剤容器は、使用開始時に一旦カバーを外して容器本体の口部からキャップを取り外し、その後再びカバーを装着して使用する。したがって、爪部と凹部または係合部との係合は、ユーザによって解除できる程度に保持されるに過ぎない。この構図においては、依然として、子供や老人が誤って蓋体を取り外して、不測の事態を招く畏れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−173186号公報
【特許文献2】特開平11−262518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題を解決し、容器本体の開口部を内蓋で密閉し揮散口付き外蓋で覆うタイプの容器であって、内蓋除去のために外蓋を取り外すことができ、且つ内蓋除去後は外蓋をロック状態とし得る薬剤容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記目的を達成するため、収容部の上部に開口部を備えた容器本体と、該容器本体の開口部を密閉する内蓋と、該容器本体の上部に装着される外蓋とを備えたロック蓋付き薬剤容器であって、前記容器本体は外周面に外面結合部を備え、前記内蓋は、前記開口部を閉じる面部材と、前記容器本体における開口周縁部に上方から係合し得る係合部と、該係合部から上方へ延びた厚肉部とを備え、前記外蓋は、揮散口を有した中央壁と、該中央壁の径方向外側に設けられ装着時に前記内蓋の厚肉部に接触するフランジ部と、該フランジ部の外周縁から垂下し内周面に内面結合部を有した環状壁とを備え、前記外面結合部及び内面結合部は、前記外蓋を前記容器本体に被せた状態で周方向の一方向へ回転することによって係合する構造を有し、前記容器本体の外周面及び前記外蓋の環状壁の内周面には、前記一方向への回転により係合し逆方向への回転を阻止するラチェット係合をなすように内部片及び外部片が各々設けられており、前記内部片及び外部片は、前記内蓋を外した状態で前記容器本体と外蓋とを前記内面結合部26及び外面結合部12によって結合したときにラチェット係合する位置に設けられていることを特徴とするロック蓋付き薬剤容器を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るロック蓋付き薬剤容器は、上記構成を備えているので、容器本体の開口周縁部に内蓋の係合部を係合させることにより、該係合部と面部材とで開口部を密閉することができる。そして、容器本体の外面結合部に外蓋の内面結合部を係合させることにより、外蓋を容器本体に装着することができる。このとき、外蓋は、フランジ部が内蓋の厚肉部に当接してそれ以上の下降が阻止されるので、容器本体及び外蓋の内部片及び外部片によるラチェット係合は生じない。したがって、容器の使用開始時には、外蓋を取り外し、内蓋を除去して密閉を解くことができる。
【0010】
そして、内蓋除去後に再び外蓋を容器本体に装着することにより、揮散口を通じて薬剤成分の揮散が可能となる。この装着の際、外蓋は内蓋の厚肉部に邪魔されることなく下降させることができる。これにより、容器本体及び外蓋の各々に設けられた内部片及び外部片によるラチェット係合が可能となり、容器本体に対する外蓋の回転によりラチェット係合が生じる。これにより、外蓋は逆方向に回転できなくなる。したがって、使用開始後は、外蓋を誤って取り外すのが防止され、薬剤をこぼしたり食べてしまったりするという不足の事態が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る容器の平面図である。
【図2】図1に示した容器の正面図である。
【図3】図1に示した容器の断面図であり、(a) は全体の縦断面、(b) はその一部の拡大断面を示す。
【図4】図1に示した容器を分解して示す縦断面図である。
【図5】図1に示した容器の容器本体を示す図であり、(a) 上方から見た斜視図、(b) はその一部を拡大して示す横断面図である。
【図6】図1に示した容器の外蓋を示す図であり、(a) 下方から見た斜視図、(b) はその一部を上方から見た状態を示す拡大横断面図である。
【図7】図1に示した容器の内蓋を下方から見た斜視図である。
【図8】図1に示した容器から内蓋を除去した後の外蓋装着状態を示す図であり、(a) は容器全体の縦断面図、(b) はその一部の横断面図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る容器を分解して示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。図面中の同一又は同種の部分については、同じ番号を付して説明を一部省略する。
【0013】
図1〜図3は、本発明の一実施形態に係る容器を示しており、図1は平面図、図2は正面図、図3(a) は縦断正面図である。
【0014】
この容器は、芳香剤を収容し使用時に芳香成分を揮散させるものであり、これらの図は、容器本体10に外蓋20を被せた状態を示している。図4は容器を分解して示す縦断面図であり、容器本体10と外蓋20とが分離され、内蓋30が容器本体10から取り出された状態が示されている。また、図5(a)、図6(a) 及び図7は、各々、容器本体10を上方から見た斜視図、外蓋20を下方から見た斜視図、内蓋30を下方から見た斜視図である。
【0015】
容器本体10は、下端が閉じられた円筒状をなし、上部に開口部11を備えている。容器本体10における開口部11付近の外周面には雄ねじが設けられ、該雄ねじは外蓋20との係合のための外面結合部12を形成している。外面結合部12のすぐ下方には、以下に説明するラチェット係合をなすための内部片13が設けられている。内部片13は、この実施形態においては周方向に等間隔をなす4箇所に設けられており、図には2箇所が表れている。尤も、この数及び配置はこれに限定されるものではない。さらに、内部片13のすぐ下方には、円形に突出した突縁14が設けられている。容器本体10には、多数の粒状ゲルの薬剤Pが収容されている。
【0016】
外蓋20は、揮散口22を有した中央壁21と、該中央壁から径方向外側へ延びたフランジ部23と、該フランジ部の外周縁から垂下した環状壁25とを備えている。環状壁25は短筒状をなし、その内面の上部には、容器本体10の外面結合部12である雄ねじと螺合する雌ねじが設けられ、該雌ねじは内面結合部26を形成している。内面結合部26のすぐ下方には、容器本体10の内部片13にラチェット係合するための外部片27が多数設けられている。また、フランジ部23の内周縁から環状の補助壁24が垂下している。揮散口22は、手指が入らない程度の大きさの多数の小孔によって形成され、デザイン性をもつ規則的な配置とされている。これらの小孔の形状及び配置は他のもの等適宜決めることができる。
【0017】
内蓋30は、容器本体10の開口部11を閉じる面部材31と、容器本体における開口周縁部に上方から係合し得る係合部32とを備えている。係合部32は、容器本体10における開口周縁部の内面15及び外面16に各々嵌合し得る内端壁35及び外端壁36と、これら内端壁及び外端壁の上端を結合し上方へ延びた厚肉部37とを備え、断面は逆U字状をなしている。内蓋30はさらに、容器本体10から取り外す際に指を掛けるための引っ張りリング38を備えている。引っ張りリング38は、脚部39を介して面部材31に結合されている。
【0018】
この実施形態では、内蓋30と容器本体10との係合状態を確実に保持するための構造が設けられている。すなわち、図3(b) に示すように、容器本体10には、外面16の先端部に環状の凸部161を形成するように浅い溝162が設けられ、内蓋30には、外端壁36の内面にも先端部に環状の凸部361を形成するように浅い溝362が設けられている。そして、内蓋30を容器本体10に装着するときには、容器本体10の溝162及び内蓋30の溝362に、内蓋30の凸部361及び容器本体10の凸部161が各々係合することにより、係合状態が確実に保持される。この係合は両部材の弾性変形に基づいて行なわれるので、引っ張りリング38を引っ張ることにより、係合を解いて内蓋30を取り外すことができる。
【0019】
容器本体10に対して内蓋30及び外蓋20を装着した場合には、次のように各部が位置する。内蓋30を容器本体10に嵌合すると、係合部32の内端壁35及び外端壁36が、容器本体10の開口周縁部の内面15及び外面16に各々嵌合し、厚肉部37の下面が容器本体10の環状の上端面17に当接する。その上から外蓋20を被せ、内面結合部26の雌ねじを容器本体10の外面結合部12の雄ねじに螺合して行くと、容器本体10に対して外蓋20が下降して行き、フランジ部23の下面が内蓋30の厚肉部37の上面に当接して下降が停止する。したがって、フランジ部23の下面を厚肉部37の上面に当接させた状態で、外面結合部12及び内面結合部26の雌ねじ及び雄ねじを緊く螺合させることにより、堅固な締結が得られる。この状態において、外蓋20の外部片27は、容器本体10の内部片13より高い位置にあり、係合していない。外蓋20の補助壁24は、内蓋30の内端壁35を内側から押圧して容器本体10の開口周縁部に押し付けており、内蓋30の密閉性を高めている。なお、内蓋30の密閉性が十分に確保される場合は、補助壁24を省略することもできる。
【0020】
容器に薬剤が収容され芳香(または消臭、脱臭)器具として流通、販売される際には、薬剤を容器本体10に収容した状態で内蓋30及び外蓋20が装着される。薬剤は、容器からのこぼれ防止の点から一体の塊状または多数の粒状のゲルとするのが望ましいが、液状または粘性のある流動状、或いは粉体とすることもできる。容器本体10の開口部11は内蓋30により密閉されるので、容器内の薬剤は使用時まで容器外へ揮散するのが防止される。
【0021】
薬剤を収容した容器は、使用開始時に次のように操作される。まず、外蓋20を装着時とは反対方向に回転して、内面結合部26の雌ねじと容器本体10の外面結合部12の雄ねじとの螺合を解き、容器本体10から取り外す。次に引っ張りリング38を引っ張ることにより、内蓋30を容器本体10から除去する。そして、再び外蓋20を装着方向に回転して、内面結合部26の雌ねじを容器本体10の外面結合部12の雄ねじに螺合して行く。このとき、内蓋30が除去されているので、外蓋20フランジ部23は、内蓋30の厚肉部37に邪魔されることなく、容器本体10の上端面17に当接するまで下降する。この状態を図8(a) に示す。
【0022】
容器本体10の外部片27と外蓋20の内部片13とは、外蓋20が下降してフランジ部23が厚肉部37に当接していた位置より低くなったときに、相互に近い高さの部分から係合し始め、フランジ部23が容器本体10の上端面17に当接するまで下降したときに、全体またはほぼ全体が係合するように配置されている。
【0023】
内部片13及び外部片27の形状は、次のように決められている。すなわち、容器本体10の内部片13は、図5(a), (b) に示すように、外蓋20が装着時に回転させられる方向Rgに凸形状の高さ(径方向寸法)が増す傾斜面131と、該傾斜面131の先端から容器本体10の外周面にほぼ垂直(径方向)に延びる起立面132とを備えた形状となっている。また、外部片27は、図6(a), (b) に示すように、外蓋20の環状壁25の内面から径方向内側へ突出するように延びた舌片によって形成されており、該舌片は、外蓋20が容器本体10に対して装着時に回転させられる方向Rgに突出高さが低くなるように傾斜し、低い方の端部が環状壁25内面に結合され、高い方の端部は自由端となっている。なお、図6(b) は、外蓋20の環状壁25の水平断面を上から見た状態を示している。
【0024】
したがって、内部片13と外部片27とが係合し得る状態で、容器本体10に対して外蓋20を装着方向へ回転すると、内部片13の傾斜面131に接触した外部片27が傾斜角を小さくするように撓み内部片13がこれを乗り越えることができ、回転の継続が可能となる。一方、容器本体10に対して外蓋20を逆方向へ回転すると、内部片13の起立面132に外部片27の先端部が当接することとなる。この当接状態で回転力を付与しても、外部片27の傾斜角を小さくする方向には力が作用しない。したがって、当接状態からさらなる回転をさせようとしても阻止される。こうして、一方向へのみ回転でき、逆方向への回転が阻止されるラチェット係合が得られる。
【0025】
容器本体10の外部片27と外蓋20の内部片13とは、以上のように形成されているので、内蓋30除去状態で容器本体10に対して外蓋20を装着方向へ回転して行くと、外部片27と内部片13との係合がし始めた状態で、ラチェット係合により逆方向への回転が抑止され、全高またはほぼ全高或いはこれに近い十分な高さで両者が係合することにより、逆方向への回転が確実に阻止されたロック状態となる。
【0026】
このように、内蓋30除去後に外部片27と内部片13との係合によるロック状態を確実に得るためには、厚肉部37の高さhは、1〜5mmとするのが望ましく、この実施形態では3mmとされている。この高さが上記下限より低いと外部片27と内部片13との係合量が少なくなり、回転の阻止力が十分に得られない場合がある。また、この高さが上記上限より高いと、内蓋30除去後に外蓋20を装着する際の下降量が大きくなり、操作をし難くなる。この観点から、厚肉部37の高さhは、2〜4mmとするのがより望ましい。
【0027】
したがって、この容器によれば、使用開始時に、外蓋20を取り外し容器本体10から内蓋30を除去した後、外蓋20を容器本体10に被せ、装着方向に回転し、内部片13と外部片27とを係合させると、外蓋20を容器本体10から取り外すことができなくなる。その結果、誤って外蓋20を取り外して、収容されている薬剤をこぼしたり誤食したりするという畏れがなくなるという効果が得られる。また、外蓋は緩み方向への回転が阻止されるので、自動車の中等、振動を受ける場所での使用時にも、容器本体に対する外蓋の外れが確実に防止されるという効果も得られる。
【0028】
容器本体の外面結合部及び外蓋の内面結合部は、外蓋を容器本体に被せた状態で周方向の一方向へ回転することによって係合する種々の構造とすることができる。図9は、他の結合構造を備えた容器の例を分解して示す図である。図は、容器本体10、内蓋30及び外蓋20を示しており、外蓋20のみを断面で示している。この実施形態においては、容器本体10の外面結合部12a及び外蓋20の内面結合部26aの形態が先の実施形態のものと異なっており、他の構造は先の実施形態と同じである。
【0029】
外面結合部12aは、容器本体10の外周面に形成された係合溝120として形成されている。係合溝120は、容器本体10の上端から中心軸線の方向に延びる軸方向溝121と、その下端から容器本体10の周方向に延びる周方向溝122と、該周方向溝の先端から同じ周方向の向きへ下降しつつ延びる下方溝123とを備えている。内面結合部26aは、外蓋20の環状壁25の内面に設けられた係合突部261により形成されている。
【0030】
係合溝120と係合突部261は、次のように設けられてバヨネット式結合をなす。容器本体10に内蓋30が装着された状態では、外蓋20を容器本体10に被せて下降させる際に係合突部261は軸方向溝121に進入し、その状態から外蓋20を一方へ回転すると係合突部261は周方向溝122に進入する。この場合、周方向溝122の幅を係合突部261を密に受け入れる寸法とすることにより、係合突部261は周方向溝122から容易に抜け出せなくなるので、外蓋20を容器本体10に対して堅固に締結することができる。
【0031】
一方、容器本体10から内蓋30が除去された状態では、外蓋20を容器本体10に被せて係合突部261を軸方向溝121に進入させ、外蓋20を回転して係合突部261を周方向溝122に進入させ、さらに外蓋20を同じ方向へ回転させると、係合突部261は外蓋20の下降を伴って下方溝123へと進入する。下方溝123への進入は、外蓋20が内蓋30の厚肉部37に邪魔されることなく下降することにより可能となる。外蓋20のこの下降によって、容器本体10の内部片13と外蓋20の外部片27とは係合可能な高さとなると共に、外蓋20の周方向への回転で相互に係合する。こうしてラチェット係合が生じ、先の実施形態と同様に逆方向へ回転が阻止される。その結果、外蓋20を誤って取り外すのが防止される。なお、下方溝123は、外蓋20の周方向への回転範囲を確保するために、図9に一点鎖線で示すように、斜めに下降する前段溝124と、その後、水平に延びる後段溝125により形成してもよい。
【0032】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、図1〜図8に示した実施形態においては、ラチェット係合構造の配置を逆にして、内部片13を外蓋20、外部片27を容器本体10に設けることも可能である。また、これらの双方を混合させて各々を外蓋20と容器本体10とに設けてもよい。
【0033】
図9に示した実施形態においては、バヨネット式結合構造の配置を逆にして、係合溝120を外蓋20、係合突部261を容器本体10に設けることも可能である。また、これらの双方を混合させて各々を外蓋20と容器本体10とに設けてもよい。
【符号の説明】
【0034】
10 容器本体
11 開口部
12,12a 外面結合部
13 凸部
20 外蓋
21 中央壁
22 揮散口
23 フランジ部
25 環状壁
26,26a 内面結合部
27 突起
30 内蓋
31 面部材
32 係合部
35 内端壁
36 外端壁
37 厚肉部
120 係合溝
121 軸方向溝
122 周方向溝
123 下方溝
261 係合突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部の上部に開口部を備えた容器本体と、該容器本体の開口部を密閉する内蓋と、該容器本体の上部に装着される外蓋とを備えたロック蓋付き薬剤容器であって、
前記容器本体は外周面に外面結合部を備え、
前記内蓋は、前記開口部を閉じる面部材と、前記容器本体における開口周縁部に上方から係合し得る係合部と、該係合部から上方へ延びた厚肉部とを備え、
前記外蓋は、揮散口を有した中央壁と、該中央壁の径方向外側に設けられ装着時に前記内蓋の厚肉部に接触するフランジ部と、該フランジ部の外周縁から垂下し内周面に内面結合部を有した環状壁とを備え、
前記外面結合部及び内面結合部は、前記外蓋を前記容器本体に被せた状態で周方向の一方向へ回転することによって係合する構造を有し、
前記容器本体の外周面及び前記外蓋の環状壁の内周面には、前記一方向への回転により係合し逆方向への回転を阻止するラチェット係合をなすように内部片及び外部片が各々設けられており、
前記内部片及び外部片は、前記内蓋を外した状態で前記容器本体と外蓋とを前記内面結合部26及び外面結合部12によって結合したときにラチェット係合する位置に設けられていることを特徴とするロック蓋付き薬剤容器。
【請求項2】
前記厚肉部が1〜5mmの高さとされていることを特徴とする請求項1に記載のロック蓋付き薬剤容器。
【請求項3】
前記外面結合部及び内面結合部が、相互に螺合可能な雄ねじ及び雌ねじにより構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のロック蓋付き薬剤容器。
【請求項4】
前記外面結合部及び内面結合部が、曲折した係合溝と該係合溝に係合する係合突起とからなるバヨネット式結合構造をなし、前記係合溝は、軸方向溝と、その先端から延びる周方向溝と、該周方向溝の先端から同じ周方向へ下降しつつ延びる下方溝とを備え、該下方溝は、前記内蓋を外した状態で前記外蓋の内面結合部を前記容器本体の外面結合部に係合させるときに前記係合突起が該下方溝に進入する位置に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のロック蓋付き薬剤容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−280394(P2010−280394A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133174(P2009−133174)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】