説明

ロボットシステム

【課題】従来ロボットコントローラでは対応していなかった安全PLCをロボットコントローラ内部に設置するとともに、複雑な配線経路をとることのない省配線化、安全性、信頼性を高いレベルで達成する。
【解決手段】コントローラ200は、ロボット100の制御指令を処理するロボットコントローラ制御基板210と、ロボット本体の非常停止を制御する安全PLC220と、サーボ電源遮断用リレーの溶着を検知する溶着検知手段230と、から構成され、安全PLCには、教示操作端末400からの安全に関する信号(前記モード切替スイッチ、前記サーボオンスイッチ、前記非常停止スイッチ及び前記イネーブルスイッチからの信号)が直接入力されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットシステムの非常停止装置および安全制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、産業用ロボットが設置される工場では、ロボットを含む生産ライン(ロボットシステム)を安全に制御するために、各所に非常停止ボタンなどの非常停止機器が設けられている。また、ロボットの作動する領域を安全柵で囲って、作業員の立ち入りを制限している。例えば、特許文献1に記載されたロボットシステムは、複数のロボットを使用する生産ラインにおいて、安全柵のドアのインターロックをバイパススイッチにより個別に制御している。また、従来のロボットシステムは、ロボットおよび周辺装置を含む生産ライン全体を制御する外部制御盤などの上位装置が、安全柵のインターロックや非常停止装置等の安全機器の状況を確認し、システムの危険状態を判断する一方、上位装置の制御と指令に基づき個々のロボットの制御装置が対応する各ロボットを制動制御している。例えば、特許文献2に記載されたロボット制御装置は、各種の非常停止要因を受け付ける非常停止要因受付回路を複数備え、この受付回路からの信号に基づく非常停止指令装置の非常停止信号により、制動装置がロボットを非常停止させている。
【0003】
また、PLC(Programmable logic controller)を利用したロボットシステムの制御が提案されている。例えば、特許文献3に記載されたロボットシステムは、PLCをロボット制御装置の外部に備え、PLCとロボット制御装置とを幾つもの送受信機を介したデータ通信ケーブルでネットワーク接続している。また、特許文献4に記載されたロボット制御装置は、他のロボットや搬送装置などの周辺装置に関係するシーケンスを制御するPLCが内蔵されている。
【0004】
【特許文献1】特開平3−136790号公報
【特許文献2】特開昭63−318287号公報
【特許文献3】特開平8−11074号公報(明細書[0015])
【特許文献4】特開2003−228418号公報(明細書[0016]、[0029]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、産業用ロボットの運用では、安全柵に立ち入り教示やメンテナンス作業を行うことが必須であり、そのために生産ラインの作業が中断され、生産効率が低下するという問題がある。特許文献1のロボットシステムでは、安全柵のドアのインターロックにバイパススイッチを設けてその対策としているが、スイッチ切替が煩雑であり、また複雑な配線回路の追加も必要であるため、操作や作動の面で安全の信頼性が不十分である。
【0006】
また、産業用ロボットの教示作業は、ロボットを教示作動モードに切り替えた上で、作業者が教示操作盤(教示操作端末またはティーチングペンダントともいう)を持って安全柵のドアを開放状態にして、ロボット作動領域の中に立ち入り単独でロボットを作動させる必要がある。その場合、従来のロボットシステムでは、ロボット作動モード切替え信号、安全柵のドアのインターロック信号等に基づき、外部制御盤の上位装置が周辺機器やロボットの制御装置に制御信号を送信することで、各周辺機器やロボットを制御している。従って、ロボットの制御装置に接続される教示操作盤からの非常停止スイッチ、イネーブルスイッチ、モード切替スイッチなどの信号は一旦、外部制御盤の上位装置にまで送信され、上位装置による判断結果の信号は再度ロボットの制御装置にまで戻されるという複雑な配線経路のシステムが必要であり、信号伝達や操作の面で安全の信頼性が不十分であった。
【0007】
また、文献3およびの4ロボット制御装置やシステムでは、PLCによってロボットおよび周辺装置の制御を効率化しているが、インターロックや各非常停止ボタンなどの安全関連の機器装置が接続されるものではなく、安全柵内のロボット作動領域で作業する作業者の安全を考慮していない。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、教示作業における非常停止装置のモード切替を容易にすると同時に、ロボット作動領域で教示作業する作業員の安全を確実に図ることのできるロボットシステムを提供することにある。また、ロボットシステムおよび制御装置の安全回路、非常停止回路において、複雑な配線経路を排し省配線化を図り、断線や誤配線などの配線不備を防止して、安全性、信頼性を高いレベルで達成したロボットシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上のような課題を解決するために、本発明は、以下のものを提供する。
【0010】
(1) ロボット本体と、前記ロボット本体の作動を制御するコントローラと、前記コントローラに接続され、前記ロボット本体に対する教示を行うための教示データが入力される教示操作端末と、よりなるロボットシステムにおいて、前記教示操作端末は、前記ロボット本体の自動運転モードと教示モードとを切り替える信号を発するモード切替スイッチと、教示モードにおける教示の際に、前記ロボット本体のサーボモータの駆動電流を有効にする信号を発するサーボオンスイッチと、非常停止命令に対応する非常停止信号を発する非常停止スイッチと、スイッチ操作状態に応じて非常停止信号を発するイネーブルスイッチと、を備え、前記コントローラは、前記ロボット本体の非常停止を制御する安全PLCを備え、前記安全PLCには、前記モード切替スイッチ、前記サーボオンスイッチ、前記非常停止スイッチ及び前記イネーブルスイッチからの信号が直接入力されることを特徴とするロボットシステム。
【0011】
本発明によれば、教示操作端末の各スイッチ(モード切替スイッチ、サーボオンスイッチ、非常停止スイッチ、イネーブルスイッチ)からの信号が直接安全PLCに入力されることから、教示作業のために必要となるコントローラの安全入力の切り替え(ミュート機能)を教示操作端末から容易かつ安全に実行することができ、また、教示作業における非常停止の安全性、信頼性を高いレベルで達成することができる。また、モード切替スイッチ、サーボオンスイッチ、非常停止スイッチ、イネーブルスイッチの各スイッチからの信号が直接安全PLCに入力されることから、一旦外部制御盤まで接続し、その結果を再度ロボットのコントローラ(従来の一般的制御装置)まで信号を戻さなくてはならないという複雑な配線経路をとることなく、省配線化を達成することができる。
【0012】
ここで、安全PLCとは、産業機器装置などの安全を確保する為の安全機器(非常停止ボタンなどの非常停止機器、ドアインターロックスイッチ等)が主に接続され、システムの安全系回路(例えば非常停止回路)を構成する為に専用に使用されるPLCである(「安全コントローラ」とも呼ばれる)。すなわち、安全PLCは、IEC61508(電気・電子・プログラマブル電子安全関連系の機能安全)のSIL(Safety Integrity Level:安全度水準)3の要求事項を満足する高度な安全性仕様となっており、信頼性が非常に高い。安全PLCに非常停止機器、インターロックスイッチを接続する事でシステムの非常停止回路の安全カテゴリをSIL4まで容易に達成する事ができる。なお、一般的なPLCに非常停止スイッチ等を接続しても、安全カテゴリのSIL4を達成する事は出来ない。また、ミュート機能とは、ロボットシステムの安全入力を切り替える機能であって、教示作業等のために必要な場合に、ロボットシステムの特定個所の安全柵のインターロックスイッチや非常停止機器を部分的に無効とするものである。
【0013】
(2) 前記ロボット本体を非常停止させる非常停止信号を発する安全機器を備え、前記安全PLCには、前記安全機器からの信号が直接入力されることを特徴とするロボットシステム。
(3) 前記安全機器は、上位装置に設けられた非常停止機器及び/又は前記ロボット本体を囲う安全柵のドア開放に連動するインターロック装置であることを特徴とするロボットシステム。
【0014】
本発明によれば、ロボットシステムに備えられた安全機器からの非常停止信号が直接安全PLCに入力されることから、コントローラのミュート機能に伴う複雑なインターロック回路の作動制御の安全性、信頼性を高いレベルで保証することができる。
【0015】
(4) 前記安全PLCには、前記サーボモータの駆動電流を遮断するサーボ電源遮断用リレーの溶着を検知する溶着検知信号が直接入力されることを特徴とするロボットシステム。
【0016】
本発明によれば、溶着検知信号が直接安全PLCに入力されることから、ロボット本体の非常停止作動の安全性、信頼性を高いレベルで保証することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明に係るロボットシステムは、教示作業における非常停止装置のモード切替を容易にすると同時に、ロボット作動領域で教示作業する作業員の安全を確実に図ることができる。また、ロボットシステムおよび制御装置の安全回路、非常停止回路において、複雑な配線経路を排し省配線化を図り、断線や誤配線などの配線不備を防止して、安全性、信頼性を高いレベルで達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
[ロボットシステムの構成]
図1(a)は、本発明の実施の形態に係るロボット本体のシステムの構成を示す図、図1(b)は(a)の教示操作端末400の側面図である。また、図2は、本発明の実施の形態に係るロボットを含む生産ライン(ロボットシステム)のレイアウトの一例を示す平面図である。
【0020】
本実施の形態にかかるロボットシステムは、産業用ロボットとしてのロボット100と、コントローラ200と、上位装置300と、教示操作端末(ティーチングペンダント)400と、安全柵500と液晶ディスプレイの製造装置550と、から構成され、各種の装置・器具類は有線又は無線によって電気的に接続されたり、シリアルケーブルを用いて電気的に接続されている。
【0021】
ロボット100は、ワークとして液晶ディスプレイ用ガラス基板10(以下、「基板10」とする。)を搬送するための産業用ロボットである。ロボット100は、基台11と、回転ユニット12と、コラム13と、スライダ14(アーム15を支持する支持部材)と、2本のアーム15と、から構成されている。また、アーム15は、その先端にハンド16を備えている。ハンド16は、フォーク部16aとハンド基端部16bを有しており、フォーク部16aの上に基板10を載せて搬送するものである。
【0022】
回転ユニット12は、コラム13が設立されるベース部材であり、基台11に回転可能に配置され、回転ユニット12がZ軸周りに回転することによってロボット100を旋回させて、その向きを変えることができるようになっている。また、回転ユニット12は、図示しない水平移動機構により、図中のY軸方向へ基台11上を移動可能となっている。さらに、スライダ14は、コラム13の側面で上下にスライド移動可能(図中のZ軸方向へ移動可能)となるように構成されている。
【0023】
2本のアーム15は、図示しない回転駆動源により、ハンド16を、基板10の取り出し・供給方向に移動させる。この際、アーム15は、その機構上、ハンド16が一方向を向いて、アーム15を伸ばしきった伸張位置と、折り畳んだ状態の縮み位置との間を直線移動するように、伸縮動作を行う。すなわち、本実施形態では、図中のX方向で往復移動することになる。そして、伸張位置に位置する製造装置550に対して基板10を収納し、または縮み位置へ基板10を搬出するように動作する。
【0024】
上述のように、ロボット100は、基板10を搬送するための搬送用ロボットであり、特に大型のガラス基板10をワークとして搬送することに適した大型のロボットである。ガラス基板10は、例えば、1辺が約3mの略正方形状で、相当の重量を有するものである。従って、非常停止する場合には、スライダ14の落下やアーム15の飛び出しなど危険動作の可能性があり、作業領域Rに作業者が立ち入る場合は非常に危険であり、これらの危険動作を確実に制動する必要がある。
【0025】
なお、図2のロボット100は、図1のロボット100よりも一層大型の基板10を搬送するものであって、基板10のサイズに応じてフォーク部16aを6数としている。また、図2のロボット100の回転ユニット12は、コラム13の設立される位置とは回転直径の反対側にバランサー17を有し、回転時の重量を均衡させている。
【0026】
このようなロボット100は、安全柵500と液晶ディスプレイの製造装置550に囲まれた場所(作業領域R)に設置されている。
【0027】
コントローラ200は、ロボット100とシリアルケーブル等の有線によって電気的に接続され、サーボモータ(図示しない)によって図中のX軸,Y軸,Z軸及びθ軸の各軸方向へ移動駆動されるロボット100をサーボ制御している。なお、コントローラ200は、図2では安全柵500内に配置されているが、安全柵の外側でもよく、そのレイアウトはシステムの必要により適宜変更可能である。また、コントローラ200には、非常停止スイッチ205が設けられている。コントローラ200の内部構成については後述する。
【0028】
上位装置300は、数レーンからなるラインの中央制御部として機能するものである。より具体的に、上位装置300は、ロボット100および製造装置550などの周辺装置を含む生産ライン(システム)全体を制御する外部制御盤として構成され、コントローラ200と電気的に接続されて、安全柵500の外側に配置されている。また、上位装置300は、製造装置550などの周辺装置も電気的に接続されるとともに、非常停止スイッチの他、各種の制御スイッチ(図示しない)を備えている。
【0029】
教示操作端末400は、ロボット100に位置情報を教示するためのものであり、コントローラ200にシリアルケーブル等の有線によって接続されている。そして、本実施の形態の教示操作端末400は、ロボット100の自動運転モード(Remoteモード)と教示モード(Teachモード)とを切り替える信号を発するモード切替スイッチ420と、教示モードにおける教示の際に、ロボット100のサーボモータの駆動電流を有効にする信号を発するサーボオンスイッチ421と、非常停止命令に対応する非常停止信号を発する非常停止スイッチ410と、スイッチ操作状態に応じて非常停止信号を発するイネーブルスイッチ430と、を備えている。
【0030】
具体的には、図1(a)に示すように、教示操作端末400には、表面中央に出力部としてLCDディプレイ405が設けられている。非常停止スイッチ410は、LCDディスプレイ405の右上方に設けられている。また、モード切替スイッチ420およびサーボオンスイッチ421は、LCDディスプレイ405の右下方のスイッチ群に設けられている。また、このスイッチ群には、その他の作動モードを切替える各種切替スイッチが含まれている。また、LCDディスプレイ405の右方には、複数のキー(スイッチ)415が設けられている。これらは、教示のためにロボット100を現在位置から所定の目標位置へ移動させるためのスイッチで、X軸,Y軸,Z軸及びθ軸の各軸方向へ移動させる、X軸ジョグ送り動作キー、Y軸ジョグ送り動作キー、Z軸ジョグ送り動作キー等である。
【0031】
イネーブルスイッチ430は、教示操作端末400の背面側方に設けられ、その近傍には作業者がコントローラ400を把持するための把持部435が設けられている(図1(b)参照)。イネーブルスイッチ430は、作業者が軽く握るとONし、作業者が離したり、強く握るとOFFになる危険回避のためのスイッチであり、作業者が把持部435を把持して操作するときに、同時に押すことができるように、把持部435と一体または近接して設けられていることが望ましく、教示操作端末の握り部裏面などに取り付けられていてもよく、デッドマンスイッチとも呼ばれるものである。なお、イネーブルスイッチ430は、ロボットコントローラ200のサーボをオン・オフすることにより、ロボット100を非常停止させるものである。
【0032】
なお、上述した各動作キーおよび動作モード切替スイッチ等の配置は一例であって、図1に示すものと異なる配置態様・操作態様(例えばレバースイッチ式など)になっていてもよい。
【0033】
安全柵500は、ロボット100の動作範囲内に作業者が不用意に入らないようにし、作業者の安全を確保するために設けられている。より具体的には、図2に示すように、周辺装置として3台の液晶ディスプレイの製造装置550が、安全柵500の四方のうち三方の一部を開口した位置に、ロボット100を囲むように設置される。そして、安全柵500と製造装置550とによって、ロボット100の作業領域Rが形成されている。なお、製造装置550替えて、他の製造ラインと接続するためのコンベア装置またはその接続装置や複数の基板10を積層載置し収納する基板カセット装置を配置してもよい。
【0034】
また、安全柵500には開閉扉510が設けられており、開閉扉510の開閉状態を検知するインターロック装置511が取り付けられている。そのため、自動運転モード(Remoteモード)において作業者が安全柵500の開閉扉510を開けた場合、インターロック装置511が作動してロボット100が非常停止するシステムが構成されている。さらに、危険事態やシステムの不具合時に、ロボット100や周辺装置550を非常停止させる非常停止信号を発する非常停止機器600が各所に設けられている。なお、非常停止機器600は、例えば非常停止ボタンおよびこれに対応する二重化スイッチ等により構成されている。
【0035】
[ロボットシステムの電気的構成]
図3は、本発明の実施の形態に係るロボットシステムの電気的構成を示すブロック図である。
【0036】
コントローラ200は、ロボット100の制御指令を処理するロボットコントローラ制御基板210と、ロボット本体の非常停止を制御する安全PLC220と、サーボ電源遮断用リレーの溶着を検知する溶着検知手段230と、から構成されている。
【0037】
ロボットコントローラ制御基板210は、中央制御装置CPUおよびROM、RAM等の記憶装置を備える。記憶装置に収納されたロボット100の作動プログラムおよび作動のためのパラメータに基づく各種座標系における直線動作、回転動作、各軸動作に関する命令によって、ロボット100を作動制御する。なお、教示操作端末400からの信号入力は、ロボット100の作動プログラムおよび作動のためのパラメータを変更修正するためのものである。
【0038】
安全PLC220には、教示操作端末400からの安全に関する信号、上位装置300からの安全に関する信号が入力される。教示操作端末400からの安全に関する信号とは、非常停止スイッチ410、イネーブルスイッチ430、モード切替スイッチ420及びサーボオンスイッチ421から発せられる信号(図中前記の順にN2,N4,N5,N8)のことである。また、上位装置300からの安全に関する信号とは、非常停止機器から発せられる信号N1、インターロック装置から発せられる信号N3およびメンテナンス信号N7のことである。なお、教示操作端末400からの安全に関しない信号(例えば、各種座標系における直線動作キー、回転動作キー、各軸動作キー等から発せられる信号)は、ロボットコントローラ制御基板210に直接入力される。
【0039】
また、安全PLC220から上位装置300には、非常停止機器やイネーブルスイッチのモニター結果(図中前記の順にY2,Y3)が送信され、安全PLC220からロボットコントローラ制御基板210には、安全PLCエラー信号や、安全PLCTeach/Remote信号Y4が出力される。また、ロボットコントローラ制御基板210から安全PLC220には、ロボットシステムエラー信号N6が出力される。これらの詳細は、図4を用いて説明する。
【0040】
図4は、本発明の実施の形態に係る安全PLCの入力ユニットを説明するための図、図5は、本発明の実施の形態に係る安全PLCの出力ユニットを説明するための図である。
【0041】
入力ユニットには、上位装置300からの非常停止入力N1、教示操作端末400からの非常停止入力N2、上位装置300からのインターロック信号N3、教示操作端末400のイネーブルスイッチから発せられる非常停止信号N4、教示操作端末400のモード切替スイッチから発せられるモード信号N5、ロボットコントローラ制御基板210からのシステムエラー信号N6、上位装置300からのメンテナンス時のインターロック信号N7、教示操作端末400のサーボオンスイッチから発せられるサーボオン信号N8、溶着検知手段230から発せられる溶着検出信号N9の各信号が入力される。さらに、上位装置300が制御する周辺機器の非常停止機器600の外部用リレーの溶着に関する検出信号を入力しても良い。
【0042】
出力ユニットからは、サーボ電源遮断用リレーへの出力信号Y1、上位装置300への出力信号(非常停止機器のモニター信号Y2やイネーブルスイッチのモニター信号Y3)、ロボットコントローラ制御基板210への出力信号Y4(Teach/Remote読み込み信号、安全PLCエラー信号)の各信号が出力される。
【0043】
また、安全PLCは一般的に内部の安全ロジックの演算を容易に変更することができることから、インターロック回路の機能追加等、高い柔軟性を実現することができる。
【0044】
(その他の実施の形態)
本形態では、2個のハンド16と2本のアーム15とが上下方向に重なるように配置されている。すなわち、本形態のロボット100は、ダブルアームタイプのロボットである。なお、ロボット100は、1個のハンド16と1本のアーム15とを備えるシングルアームタイプのロボットであっても良い。さらに、本実施の形態では、ワークとしてガラス基板を搬送するダブルアーム型ロボットを例示したが、半導体ウエハ等を搬送するロボットであっても良い。また、本発明は基板を搬送するロボットのシステムに限定されるものではなく、他の形式用途のロボットやその他の産業機器にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態に係るロボットシステムの構成図。
【図2】本発明の実施の形態に係るロボットシステムの外観図。
【図3】本発明の実施の形態に係るロボットシステムの電気的構成を示すブロック図。
【図4】本発明の実施の形態に係る安全PLCの入力ユニットを説明するための図。
【図5】本発明の実施の形態に係る安全PLCの出力ユニットを説明するための図。
【符号の説明】
【0046】
100 ロボット本体
200 コントローラ
210 ロボットコントローラ制御基板
220 安全PLC
300 上位装置
400 教示操作端末
500 安全柵

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット本体と、
前記ロボット本体の作動を制御するコントローラと、
前記コントローラに接続され、前記ロボット本体に対する教示を行うための教示データが入力される教示操作端末と、
よりなるロボットシステムにおいて、
前記教示操作端末は、
前記ロボット本体の自動運転モードと教示モードとを切り替える信号を発するモード切替スイッチと、
教示モードにおける教示の際に、前記ロボット本体のサーボモータの駆動電流を有効にする信号を発するサーボオンスイッチと、
非常停止命令に対応する非常停止信号を発する非常停止スイッチと、
スイッチ操作状態に応じて非常停止信号を発するイネーブルスイッチと、を備え、
前記ロボットコントローラは、前記ロボット本体の非常停止を制御する安全PLCを備え、
前記安全PLCには、前記モード切替スイッチ、前記サーボオンスイッチ、前記非常停止スイッチ及び前記イネーブルスイッチからの信号が直接入力されることを特徴とするロボットシステム。
【請求項2】
前記ロボット本体を非常停止させる非常停止信号を発する安全機器を備え、
前記安全PLCには、前記安全機器からの信号が直接入力されることを特徴とする請求項1記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記安全機器は、上位装置に設けられた非常停止機器及び/又は前記ロボット本体を囲う安全柵のドア開放に連動するインターロック装置であることを特徴とする請求項2記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記安全PLCには、前記サーボモータの駆動電流を遮断するサーボ電源遮断用リレーの溶着を検知するセンサーの溶着検知信号が直接入力されることを特徴とする請求項1から3のいずれか記載のロボットシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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