説明

ロボット制御装置及びロボット操作用デバイス

【課題】ワークをツールでグリップしたロボットを、操作者がワークを直接動かすのと同じ感覚で操作者の意図する通りに、イネーブルスイッチの操作を併用しながらスムーズに操作できるようにすること。
【解決手段】ロボットのグリッパ17でグリップしたワーク21の対向する2面に、着脱ユニット63の吸着盤63aを用いてロボット操作用デバイス60のベース61をそれぞれ固着する。ベース61に力覚センサ65を介して取り付けられた各ロボット操作用デバイス60の操作ハンドル67を両手で把持した操作者が、操作ハンドル67のイネーブルスイッチ67bをオン操作しながら、ワーク21を動かす操作力を各操作ハンドル67にそれぞれ加える。各操作力を方向別に力覚センサ65で検出してその検出信号をロボットの制御装置に出力し、制御装置は検出信号に基づいてロボットを動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークをツールでグリップするロボットの手動操作を制御するロボット制御装置と、そのロボットの手動操作に用いるロボット操作用デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両の製造ライン等においては、作業員が一人では運べないほど大きく重たいワークを取り扱うことが多い。そのような作業の省力化を図るために、作業員によって操作可能なロボットやアクチュエータを有するハンドガイド装置やパワーアシスト装置の利用が進められている。
【0003】
上述したハンドガイド装置やパワーアシスト装置では、装置によってワークの重力方向の荷重が負担されるだけでなく、ワークの姿勢や位置合わせがロボットやアクチュエータによって行われる。したがって、作業員は単にロボットやアクチュエータの操作を行えば良いことになる。そのような装置は、例えば、特許文献1〜3や非特許文献1に記載されている。
【0004】
ところで、ハンドガイド装置やパワーアシスト装置における、ロボットやアクチュエータの操作部は、ロボットやアクチュエータの可動先端部に取り付けられるのが通常である。したがって、作業員はロボットやアクチュエータの可動範囲内に進入して操作部の操作デバイス(操作レバー等)の操作を行うことになる。このような場合に用いる操作部には、作業員の意図しないロボットやアクチュエータの動作を防止するため、イネーブルスイッチを設けることが求められる(例えば、非特許文献2)。
【0005】
イネーブルスイッチとは、例えば、スイッチが押された状態でのみ、操作デバイスの操作によるロボットやアクチュエータの操作を可能とし、スイッチが押されない状態では、ロボットやアクチュエータの操作を不可能とするためのものである。このようなイネーブルスイッチとしては、特許文献4に記載されているように、初期位置(非押圧位置)、押圧位置(中間位置)及び押込み位置の3点動作が可能となっている3点式スイッチを用いることが提案されている。
【0006】
このような3点式スイッチをイネーブルスイッチとして用いた場合には、スイッチを押圧位置とした状態においてのみ、操作デバイスの操作によるロボットやアクチュエータの操作が可能となり、スイッチを押込み位置まで押込んだ状態、または、スイッチを離した状態においては、操作デバイスの操作によるロボットやアクチュエータの操作が不可能となるように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3872387号公報
【特許文献2】特開2008−194758号公報
【特許文献3】特開2008−213119号公報
【特許文献4】特開2003−323832号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】アイコクアルファ株式会社ホームページRH事業部(http://www.aikoku.co.jp/rh/index.html)
【非特許文献2】JIS B 8433:2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、ロボットやアクチュエータの可動先端部に取り付けられる操作部は、ジョイスティック等の操作レバーを操作デバイスとすることが多い。したがって、ロボットやアクチュエータを動かすために作業員が操作レバーを操作する際には、作業員がワークを自分の手や工具、治具等を使って所望の姿勢や位置に動かすのとは異なる操作感覚が必要となる。
【0010】
この感覚の違いを乗り越えて操作レバーの操作によりロボットやアクチュエータに意図する動作を行わせるために作業員は、ロボットやアクチュエータの操作の習熟に多大の時間と労力をかける必要がある。また、習熟した作業員にとっても、ワークを思い通りに所望の姿勢や位置へ精度良く動かすには、繊細で難しい操作を行わなければならず、その負担は決して軽いものではない。したがって、操作レバーの操作にイネーブルスイッチの操作を単に組み合わせただけでは、ロボットやアクチュエータを作業員の意図する通りにスムーズに操作することは難しい。
【0011】
本発明は前記事情に鑑みなされたもので、本発明の目的は、ワークをツールでグリップしたロボットを、操作者(作業員)がワークを直接動かすのと同じ感覚で操作者の意図する通りに、イネーブルスイッチの操作を併用しながらスムーズに操作できる環境を実現するロボット制御装置と、このロボット制御装置による制御を実現するのに用いて好適なロボット操作用デバイスとを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1に記載した本発明のロボットの制御装置は、
ワークをツールでグリップするロボットの動作を制御するロボット制御装置であって、
前記ツール又は前記ワークに対する固着及び離脱が可能なハンドガイド装置と、
前記ツール又は該ツールにグリップされたワークに対して前記ハンドガイド装置が固着された状態で、該ハンドガイド装置から前記ツール又は前記グリップされたワークに伝達される、前記ハンドガイド装置の操作者による操作力の方向及び大きさを検出する操作力センサと、
前記操作力センサの出力信号に基づいて、該操作力センサが検出した前記操作力の方向及び大きさに応じた方向及び大きさで、前記ロボットを動作させる動作手段と、
を備えており、
前記ハンドガイド装置は、イネーブルオンとイネーブルオフとの少なくとも2つのポジションを有し前記操作者により操作されるイネーブルスイッチを含んでおり、
前記動作手段は、前記イネーブルスイッチのポジションがイネーブルオンであるときにのみ、前記操作力センサの出力信号に基づいて前記ロボットを動作させる、
ことを特徴とする。
【0013】
請求項1に記載した本発明のロボットの操作装置によれば、操作者がツール又はツールにグリップされたワークに固着されたハンドガイド装置に操作力を加えると、その操作力の方向及び大きさが操作力センサによって検出される。そして、検出された操作力の方向と大きさに応じて決定された操作内容で動作手段によりロボットが動作されて、ツール及びツールにグリップされたワークが、操作者の操作力の方向に操作力の大きさに応じた力で移動される。つまり、操作者によるハンドガイド装置の操作に倣ってツール及びツールにグリップされたワークが移動する。
【0014】
このため、ロボットのツールやそのツールにグリップされたワークを動かすための操作者によるハンドガイド装置の操作感覚を、ワークを操作者が所望の姿勢や位置に動かす際の操作感覚と一致させることができる。
【0015】
また、ハンドガイド装置をツール又はワークに固着させる際や、作業後にツール又はワークからハンドガイド装置を取り外す際にも、操作力センサは力を検出する。そこで、イネーブルスイッチを使用することで、ツール又はワークに対するハンドガイド装置の取り付け取り外し時に、操作力センサが検出する力に応じてロボットが動作することを抑制することができる。
【0016】
さらに、請求項2に記載した本発明のロボットの制御装置は、請求項1記載のロボット制御装置において、前記ハンドガイド装置の固着対象への固着を検出する固着センサをさらに備えており、該固着センサが前記ハンドガイド装置の固着対象への固着を検出している間にのみ、前記操作力センサの出力信号に基づいて前記ロボットを動作させることを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載した本発明のロボットの制御装置は、請求項1記載のロボットの制御装置において、ロボットのツールやツールにグリップされたワークといった固着対象に、ハンドガイド装置が固着されていることを、固着センサが検出していない間は、操作力センサが操作力の方向及び大きさを検出しても、それに基づくロボットの動作制御は行われない。
【0018】
そのため、ハンドガイド装置がツール又はツールにグリップされたワークに対して正しく固着されておらず、ハンドガイド装置に操作者が加えた操作力がツールやワークに、操作者の意図通りに伝達されない状態で、操作力の方向及び大きさに応じてツールを動作させるロボット制御が行われてしまうのを、防止することができる。
【0019】
また、上記目的を達成するため、請求項3に記載した本発明のロボット操作用デバイスは、
操作力センサによって検出される、ツール又は該ツールでグリップされるワークに伝達される操作者の操作力の方向及び大きさに基づいて、制御装置により動作制御されるロボットを操作するのに用いられるロボット操作用デバイスであって、
前記ツール又は前記ワークに対する固着及び離脱が可能なハンドガイド装置と、
前記ハンドガイド装置の操作者により操作され、イネーブルオンとイネーブルオフとの少なくとも2つのポジションを有するイネーブルスイッチと、
前記イネーブルスイッチのポジションがイネーブルオンとイネーブルオフとのいずれであるかを判別可能なポジション信号を、前記制御装置に出力する信号出力手段と、
を備えることを特徴とする。
【0020】
請求項3に記載した本発明のロボット操作用デバイスによれば、操作者がツール又はツールにグリップされたワークに固着されたハンドガイド装置に操作力を加えると、その操作力の方向及び大きさが操作力センサによって検出される。そして、検出された操作力の方向と大きさに応じて決定された操作内容で動作されるロボットは、ツール及びツールにグリップされたワークにハンドガイド装置から加わる操作者の操作力の方向及び大きさに応じた力で、ワークを移動させることになる。つまり、操作者によるハンドガイド装置の操作に倣ってツール及びツールにグリップされたワークが移動する。
【0021】
このため、ロボットのツールやそのツールにグリップされたワークを動かすための操作者によるハンドガイド装置の操作感覚を、ワークを操作者が所望の姿勢や位置に動かす際の操作感覚と一致させることができる。
【0022】
また、ハンドガイド装置をツール又はワークに固着させる際や、作業後にツール又はワークからハンドガイド装置を取り外す際にも、操作力センサは力を検出する。そこで、イネーブルスイッチを使用することで、ツール又はワークに対するハンドガイド装置の取り付け取り外し時に、操作力センサが検出する力に応じてロボットが動作することを抑制することができる。
【0023】
さらに、請求項4に記載した本発明のロボット操作用デバイスは、請求項3に記載した本発明のロボット操作用デバイスにおいて、前記操作力センサをさらに備えており、該操作力センサが検出した、前記ツール又は該ツールにグリップされたワークに対して前記ハンドガイド装置が固着された状態で、該ハンドガイド装置から前記ツール又は前記グリップされたワークに伝達される、前記操作者による前記ハンドガイド装置の操作力の方向及び大きさを示す検出信号が、前記制御装置に出力されることを特徴とする。
【0024】
請求項4に記載した本発明のロボット操作用デバイスによれば、請求項3に記載した本発明のロボット操作用デバイスにおいて、ロボット操作用デバイスが操作力センサを有していることから、ハンドガイド装置からツール又はワークに操作者の操作力の方向及び大きさが、その操作力が伝わる経路上において操作力センサにより検出されることになる。このため、操作力センサが検出する操作者によるハンドガイド装置の操作力の方向及び大きさをより正確なものとし、ワークを動かすための操作者によるハンドガイド装置の操作感覚を、ワークを操作者が所望の姿勢や位置に動かす際の操作感覚とより正確に一致させることができる。
【0025】
また、請求項5に記載した本発明のロボット操作用デバイスは、請求項4に記載した本発明のロボット操作用デバイスにおいて、前記信号出力手段は、前記イネーブルスイッチのポジションがイネーブルオンであるときにのみ、前記検出信号を前記ポジション信号として前記制御装置に出力することを特徴とする。
【0026】
請求項5に記載した本発明のロボット操作用デバイスによれば、請求項4に記載した本発明のロボット操作用デバイスにおいて、イネーブルスイッチのポジションがイネーブルオフである場合には、操作者によるハンドガイド装置の操作力の方向及び大きさを示す操作力センサの検出信号がロボットの制御装置に出力されない。このため、イネーブルスイッチがオフ状態であるときに、イネーブルスイッチがオン状態でないにも拘わらず、ハンドガイド装置に操作者が加えた操作力の方向及び大きさに応じてロボットのツールが制御装置によって動作制御されてしまうのを、防止することができる。
【0027】
さらに、請求項6に記載した本発明のロボット操作用デバイスは、請求項4又は5に記載した本発明のロボット操作用デバイスにおいて、前記ハンドガイド装置の固着対象への固着を検出する固着センサをさらに備えており、該固着センサが前記ハンドガイド装置の固着対象への固着を検出している間にのみ、前記検出信号が前記制御装置に出力されることを特徴とする。
【0028】
請求項6に記載した本発明のロボット操作用デバイスによれば、請求項4又は5に記載した本発明のロボット操作用デバイスにおいて、ロボットのツールやツールにグリップされたワークといった固着対象に、ハンドガイド装置が固着されていることを、固着センサが検出していない間は、操作力センサが操作力の方向及び大きさを検出しても、それに伴う検出信号の制御装置への出力は行われない。
【0029】
そのため、ハンドガイド装置がツール又はツールにグリップされたワークに対して正しく固着されておらず、ハンドガイド装置に操作者が加えた操作力がツールやワークに、操作者の意図通りに伝達されない状態で、操作力センサが検出した力の方向及び大きさに応じてロボットのツールが制御装置によって動作制御されてしまうのを、防止することができる。
【0030】
さらに、操作者によるハンドガイド装置の操作中に、ツール又はツールにグリップされたワークからハンドガイド装置が外れてしまって、固着センサがハンドガイド装置の固着対象に対する固着を検出しなくなった場合には、操作力センサの検出信号を制御装置に出力しなくすることにより、イネーブルスイッチがオン状態であっても、制御装置の制御によるロボットの動作を停止させることができる。
【0031】
また、請求項7に記載した本発明のロボット操作用デバイスは、請求項3、4、5又は6に記載した本発明のロボット操作用デバイスにおいて、前記操作者の左右の手にそれぞれ対応する2組で構成されていることを特徴とする。
【0032】
請求項7に記載した本発明のロボット操作用デバイスによれば、請求項3、4、5又は6に記載した本発明のロボット操作用デバイスにおいて、左手用と右手用の2つのロボット操作用デバイスのハンドガイド装置を、ロボットのツール又はツールにグリップされたワークにそれぞれ固着する。そして、それぞれのロボット操作用デバイスのハンドガイド装置を操作者が左右の手でそれぞれ操作する。したがって、ハンドガイド装置を固着した固着対象(ツール又はツールにグリップされたワーク)には、操作者の左手による操作力と右手による操作力との合力が、各ハンドガイド装置を介して加わることになる。
【0033】
これにより、操作者の両手による各ハンドガイド装置の操作に倣ってツール及びツールにグリップされたワークが移動される。つまり、ロボットが行うハンドガイド式の動作は、操作者の両手の動きに倣ったものとなる。このため、ツール又はツールにグリップされたワークを操作者が両手で動かす動作をしながらロボットの操作を行うことができる。
【0034】
また、ワークの姿勢変更操作のために行う操作力センサへのモーメント入力を操作者が行いやすくなるように、ツール又はツールにグリップされたワークの両手で操作しやすい箇所に、ハンドガイド装置を固着することができるので、実際のワークの動きと操作者の操作感覚とをより一層一致させることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明のロボットの操作方法及びロボット操作用デバイスによれば、ワークをツールでグリップしたロボットを、操作者がワークを直接動かすのと同じ感覚で操作者の意図する通りに、イネーブルスイッチの操作を併用しながらスムーズに操作できる環境を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係るロボットの操作方法を説明するための説明図である。
【図2】図1のロボット操作用デバイスの使用状態を示す概略構成図である。
【図3】図1のロボット操作用デバイスの電気的な概略構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係るロボットの操作方法を説明するための説明図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係るロボットの操作方法を説明するための説明図である。
【図6】本発明のさらに他の実施形態に係るロボットの操作方法を説明するための説明図である。
【図7】本発明のさらに他の実施形態に係るロボットの操作方法を説明するための説明図である。
【図8】本発明のさらに他の実施形態に係るロボットの操作方法を説明するための説明図である。
【図9】図6や図7及び図8のロボット操作用デバイスの電気的な概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0038】
図1は本発明の一実施形態に係るロボットの操作方法を説明するための説明図である。
【0039】
図1中引用符号10で示す本実施形態のロボットは、基台11上に設置された多関節型アーム13の先端にフランジ部15を有している。フランジ部15にはエンドエフェクタ(ツール)としてのグリッパ17が取り付けられている。
【0040】
このように構成された本実施形態のロボット10においては、多関節型アーム13に内蔵した不図示のロータリアクチュエータに、適切な制御値を与えることで、基台11に対して多関節型アーム13やフランジ部15、グリッパ17を適切な姿勢とする。これにより、ロボット10は、自動動作エリア30のワーク載置台31に載置されたワーク21をグリッパ17でグリップして、自動動作エリア30と仕切られたハンドガイドエリア40のワーク載置台41の上方に移送する。なお、本実施形態では、ワーク21は、人力での搬送が困難な重量を有する矩形の金属塊であるものとする。
【0041】
以上のように自動動作エリア30からハンドガイドエリア40にワーク21を移送するロボット10の動作は、ロボット10の動作エリアから隔離して配置されたロボット10の制御装置19の制御によって自動的に実行される。この制御の内容は、制御装置19に予め用意されている自動動作プログラムにおいて規定されている。
【0042】
ハンドガイドエリア40のワーク載置台41の上方にワーク21を移送した後の、ハンドガイドエリア40におけるロボット10の動作は、ハンドガイドエリア40にいる操作者50の動作に倣うハンドガイド方式で行われる。ロボット10をハンドガイド方式で動作させるために、操作者50が操作するロボット操作用デバイス60(請求項中のハンドガイド装置に相当)がワーク21に取り付けて使用される。
【0043】
ロボット操作用デバイス60は制御装置19と有線又は無線(本実施形態では有線)で接続されており、操作者50によるロボット操作用デバイス60の操作に応じた信号が制御装置19に出力される。制御装置19はこのロボット操作用デバイス60からの信号に基づいて、ロボット10をハンドガイド方式で動作させる制御を行う。この制御の内容は、制御装置19に予め用意されているハンドガイド動作プログラムにおいて規定されている。
【0044】
次に、ロボット操作用デバイス60の構成を説明する。図2は図1のロボット操作用デバイスの使用状態を示す概略構成図である。
【0045】
図2に示すロボット操作用デバイス60は、ベース61と、ベース61をワーク21に対して固着及び離脱させる着脱ユニット63(請求項中の着脱部に相当)と、ベース61に力覚センサ65(請求項中の操作力センサに相当)を介して取り付けられた操作ハンドル67(請求項中の操作部に相当)と、信号ケーブル69とを有している。
【0046】
着脱ユニット63は、本実施形態では、ワーク21の面に吸着可能なサクションカップと呼ばれる公知の真空式の吸着盤63aを用いている。しかし、着脱ユニット63の形式は、コイルの通電により発生する電磁力でワーク21の面に磁着固定されるものや、ワーク21の対向する2面を挟持するグリッパ等、真空吸着によるものには限定されない。
【0047】
力覚センサ65は、操作ハンドル67からベース61を介して着脱ユニット63の固着先のワーク21に伝わる操作者50による操作ハンドル67の操作力を方向別に検出する。本実施形態では、力覚センサ65として6軸力覚センサを用いている。この力覚センサ65は、力覚センサ65に加わる力3成分(Fx,Fy,Fz)とモーメント3成分(θx,θy,θz)をそれぞれ検出して、それぞれに応じた内容の信号を出力する。
【0048】
操作ハンドル67は、着脱ユニット63のオンオフスイッチ67aとイネーブルスイッチ67bとを有している。オンオフスイッチ67aとイネーブルスイッチ67bはいずれも、押し込むとオン、離すとオフになる。オンオフスイッチ67aは、ロボット操作用デバイス60を対象物(例えば、ワーク21の面)に対して固着し、又は、固着を解除するためのスイッチである。そのため、本実施形態の場合、オンオフスイッチ67aのオンオフ操作は、ロボット操作用デバイス60を固着する対象のワーク21の面に吸着盤63aを押し当てた状態で行う。
【0049】
オンオフスイッチ67aがオンの間は、ワーク21の面に吸着盤63aが吸着して、着脱ユニット63によりロボット操作用デバイス60がワーク21の面に固着される。オンオフスイッチ67aがオフの間は、ワーク21の面に対する吸着盤63aの吸着が解除されて、着脱ユニット63によるロボット操作用デバイス60のワーク21の面に対する固着が解除される。つまり、ロボット操作用デバイス60がワーク21の面から外れる。
【0050】
ワーク21の面に対する吸着盤63aの吸着は、ベース61に内蔵した後述のソレノイド63b(図3参照)の動作によって実現される。つまり、オンオフスイッチ67aがオンされると、ソレノイド63bによって吸着盤63aに、ベース61側に引き寄せる力が付与される。これにより、ワーク21の面に押し当てた吸着盤63aの内側の空間が密閉減圧されて、ワーク21の面に吸着盤63aが吸着する。
【0051】
一方、オンされていたオンオフスイッチ67aがオフされると、ソレノイド63bによって吸着盤63aに付与されていた、ベース61側に引き寄せる力が付与されなくなる。これにより、ワーク21の面に押し当てた吸着盤63aの内側の密閉空間が開放されて、ワーク21の面に対する吸着盤63aの吸着が解除される。
【0052】
イネーブルスイッチ67bのオンオフ操作は、着脱ユニット63によってロボット操作用デバイス60がワーク21の面に固着されている状態で行う。イネーブルスイッチ67bがオンの間は、力覚センサ65で検出した操作者50の操作力の方向及び大きさを示す検出信号が、信号ケーブル69から制御装置19に出力される。
【0053】
次に、ロボット操作用デバイス60の電気的な構成を説明する。図3は図1のロボット操作用デバイスの電気的な概略構成を示すブロック図である。
【0054】
ロボット操作用デバイス60の主な電気的構成は、ベース61内に収容されている。詳しくは、図3に示すように、着脱ユニット63のソレノイド63bの他、オンオフスイッチ67aのオンオフ状態に応じてソレノイド63bを動作させるためのソレノイド駆動回路71や、力覚センサ65の検出信号を制御装置19に出力又は出力停止させる検出信号出力回路73等が、ベース61内に収容されている。
【0055】
このうち、ソレノイド駆動回路71は、オンオフスイッチ67aがオンのときにソレノイド63bに通電して、吸着盤63aがベース61側に引き寄せられるようにプランジャ(図示せず)を移動させ、かつ、オンオフスイッチ67aがオフの時にソレノイド63bへの通電を終了してプランジャを解放し、吸着盤63aをベース61から離間させる。
【0056】
さらに、ベース61内には、ロボット操作用デバイス60がワーク21の面に固着された状態であるか否かを判別する固着センサ75が収容されている。この固着センサ75は、例えば、マイクロスイッチを用いて構成することができる。その場合、マイクロスイッチは、着脱ユニット63によってロボット操作用デバイス60がワーク21の面に固着されると、スイッチオンとなり、固着が解除されるとスイッチオフとなるようにすることができる。そのように動作させるためには、マイクロスイッチを、ワーク21への固着により吸着盤63aの吸着面(図示せず)がワーク21に密着したときにオンとなり、その密着が解除されたときにオフとなる位置に配置すればよい。
【0057】
また、その他にも、ロボット操作用デバイス60がワーク21の面に固着されたときの距離までワーク21の面にベース61が接近したことを検出する非接触の距離センサ等によって、固着センサ75を構成することもできる。
【0058】
検出信号出力回路73(請求項中の信号出力手段に相当)は、イネーブルスイッチ67bと固着センサ75が共にオンのときに、力覚センサ65の検出信号を、イネーブルスイッチ67bがオンとオフとのいずれであるかを判別可能なポジション信号を兼ねる信号として、信号ケーブル69から制御装置19に出力する。イネーブルスイッチ67bと固着センサ75のどちらか一方だけでもオフの間は、検出信号出力回路73は力覚センサ65の検出信号を信号ケーブル69から制御装置19に出力しない。
【0059】
本実施形態では、図1に示すハンドガイドエリア40においてロボット10を操作者50が操作するために、上述したロボット操作用デバイス60を2つ使用する。即ち、図2に示すように、各ロボット操作用デバイス60の操作ハンドル67を操作者50の両手で把持して、ワーク21の対向する2面にそれぞれロボット操作用デバイス60の吸着盤63aを押し当てる。この状態で、各操作ハンドル67のオンオフスイッチ67aをそれぞれオン操作して、各ロボット操作用デバイス60を対応するワーク21の各面に固着する。
【0060】
続いて、操作者50は、各ロボット操作用デバイス60のイネーブルスイッチ67bをそれぞれオン操作し、そのままの状態で、ワーク21が所望の姿勢及び位置に移動するように各ロボット操作用デバイス60の操作ハンドル67をそれぞれ手で動かす。
【0061】
すると、各ロボット操作用デバイス60の操作ハンドル67に操作者50の左右の手の操作力が伝わり、その操作力の方向及び大きさに応じた変位が各ロボット操作用デバイス60の力覚センサ65にそれぞれ発生する。そして、発生した変位に応じた各力覚センサ65の検出信号が、それぞれのロボット操作用デバイス60の検出信号出力回路73から信号ケーブル69を介して制御装置19にそれぞれ出力される。
【0062】
制御装置19は、各検出信号が示す操作者50の操作力の合力の方向及び大きさに応じた方向及び大きさでワーク21及びグリッパ17を移動させるための、多関節型アーム13のロータリアクチュエータに与える制御値を、ハンドガイド動作プログラムにしたがって決定し、この制御値に基づいて多関節型アーム13を動作させる。この結果、ワーク21に固着した各ロボット操作用デバイス60の操作ハンドル67を両手で把持した操作者50の操作に倣って、ロボット10が動作される。
【0063】
このように、本実施形態によれば、操作者50が操作するロボット操作用デバイス60を、ロボット10により所望の姿勢や位置に動かす対象のワーク21に固着し、オンオフスイッチ67aとイネーブルスイッチ67bとをいずれもオン操作した状態で、ロボット操作用デバイス60の操作ハンドル67を介してワーク21を動かす操作をすることで、この操作に倣ってロボット10が動作される。
【0064】
このため、ロボット10のグリッパ17にグリップされたワーク21を動かすための操作者50によるロボット操作用デバイス60の操作感覚を、ワーク21を操作者50が所望の姿勢や位置に動かす際の操作感覚と一致させることができる。
【0065】
また、ロボット操作用デバイス60をワーク21に固着させる際や、作業後にワーク21からロボット操作用デバイス60を取り外す際にも、力覚センサ65は力を検出する。そこで、ロボット操作用デバイス60のイネーブルスイッチ67bを使用することで、ワーク21に対するロボット操作用デバイス60の取り付け取り外し時に、力覚センサ65が検出する力に応じて制御装置19の制御によりロボット10が動作することを、抑制することができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、ロボット操作用デバイス60を固着する場所を自由に選んでロボット10を動かす操作を行うことができる。このため、操作者50が操作しやすい場所を選んでロボット操作用デバイス60を固着してロボット10を動かす操作を操作者50が行えるようにして、作業効率を向上させることができる。また、ロボット10のグリッパ17がグリップするワーク21の品種が替わっても、着脱ユニット63の吸着盤63aによりワーク21にロボット操作用デバイス60を固着して、ロボット10の操作を容易に実行することができる。
【0067】
さらに、本実施形態によれば、固着センサ75がワーク21に対するロボット操作用デバイス60の固着を検出していない状態では、力覚センサ65が操作力を検出してもその検出力に対応する検出信号が検出信号出力回路73からロボット10の制御装置19に出力されない。このため、操作ハンドル67を操作者50が操作してもその操作力がワーク21に伝わらない状態で、操作力の方向及び大きさに応じてロボット10が制御装置19により動作制御されてしまうのを、防止することができる。
【0068】
なお、本実施形態では、操作者50が片手で操作するロボット操作用デバイス60をワーク21に2つ固着して使用する場合について説明した。しかし、操作者50が両手で操作するロボット操作用デバイスをワーク21に固着して使用するようにすることもできる。
【0069】
そのように構成したのが、図4及び図5の説明図に示す本発明の他の実施形態に係るロボットの操作方法である。本実施形態の操作方法で用いるロボット操作用デバイス60A(請求項中のハンドガイド装置に相当)は、図4に示すように、ベース61Aを横長の矩形とし、その左右両端に力覚センサ65を介して操作ハンドル67A,67Bをそれぞれ取り付けた点で、図2に示すロボット操作用デバイス60と構成を異にしている。ベース61Aの左端の操作ハンドル67Aに対応する力覚センサ65は、図5に図示されている。ベース61Aの右端の操作ハンドル67Bに対応する力覚センサ65は、図4及び図5における図示を省略している。
【0070】
ベース61Aの左端の操作ハンドル67Aは、図2に示すロボット操作用デバイス60と同様に、オンオフスイッチ67aとイネーブルスイッチ67bとを有している。一方、ベース61Aの右端の操作ハンドル67Bは、オンオフスイッチ67aを有しているが、イネーブルスイッチ67bは有していない。
【0071】
ベース61A内には、図3に示すロボット操作用デバイス60と同様に、着脱ユニット63のソレノイド63b、ソレノイド駆動回路71、検出信号出力回路73、及び、固着センサ75等が収容されている。なお、検出信号出力回路73は、2つの操作ハンドル67A,67Bに対応する2つの力覚センサ65,65に合わせて、2つ収容されている。
【0072】
ソレノイド駆動回路71は、操作ハンドル67A,67Bのオンオフスイッチ67aが両方ともオンのときにソレノイド63bに通電して、吸着盤63aがベース61側に引き寄せられるようにプランジャ(図示せず)を移動させ、かつ、両方のオンオフスイッチ67aがオフの時にソレノイド63bへの通電を終了してプランジャを解放し、吸着盤63aをベース61から離間させる。
【0073】
各検出信号出力回路73は、操作ハンドル67Aのイネーブルスイッチ67bと固着センサ75が共にオンのときに、対応する力覚センサ65の検出信号を信号ケーブル69から制御装置19に出力する。イネーブルスイッチ67bと固着センサ75のどちらか一方だけでもオフの間は、各検出信号出力回路73は対応する力覚センサ65の検出信号を信号ケーブル69から制御装置19に出力しない。なお、本実施形態では、各検出信号出力回路73の検出信号が共通の信号ケーブル69を介して制御装置19に出力される。
【0074】
本実施形態では、図1に示すハンドガイドエリア40においてロボット10を操作者50が操作するために、上述したロボット操作用デバイス60Aの各操作ハンドル67A,67Bを操作者50の両手で把持して、ワーク21の面に吸着盤63aを押し当てる。この状態で、各操作ハンドル67のオンオフスイッチ67aをそれぞれオン操作して、ロボット操作用デバイス60Aをワーク21の面に固着する。
【0075】
続いて、操作者50は、操作ハンドル67Aのイネーブルスイッチ67bをオン操作し、そのままの状態で、ワーク21が所望の姿勢及び位置に移動するようにロボット操作用デバイス60Aの各操作ハンドル67A,67Bを両手で動かす。
【0076】
すると、ロボット操作用デバイス60の各操作ハンドル67A,67Bに操作者50の両手の操作力が伝わり、その操作力の方向及び大きさに応じた変位が各力覚センサ65にそれぞれ発生する。そして、発生した変位に応じた各力覚センサ65の検出信号が、それぞれの力覚センサ65に対応する検出信号出力回路73から信号ケーブル69を介して制御装置19にそれぞれ出力される。
【0077】
制御装置19は、各検出信号が示す操作者50の操作力の合力の方向及び大きさに応じた方向及び大きさでワーク21及びグリッパ17を移動させるための、多関節型アーム13のロータリアクチュエータに与える制御値を、ハンドガイド動作プログラムにしたがって決定し、この制御値に基づいて多関節型アーム13を動作させる。この結果、ワーク21に固着したロボット操作用デバイス60Aの各操作ハンドル67A,67Bを両手で把持した操作者50の操作に倣って、ロボット10が動作される。
【0078】
このような本実施形態によっても、先の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態では、操作者50が両手で操作する2つの操作ハンドル67A,67Bが1つのベース61Aに取り付けられている。このため、先の実施形態のように操作者50が両手の操作を別々のロボット操作用デバイス60,60に対して個別に行うのに比べて、操作者50が両手の操作を一体的に行うことができる。
【0079】
以上に説明した各実施形態では、操作ハンドル67,67A,67Bからベース61,61Aを介して、着脱ユニット63の固着先のワーク21に伝わる操作者50による操作ハンドル67,67A,67Bの操作力を、操作ハンドル67,67A,67Bとベース61,61Aとの間に配置した力覚センサ65で検出するものとした。
【0080】
しかし、着脱ユニット63の固着先のワーク21に伝わる操作者50による操作ハンドル67,67A,67Bの操作力を、ロボット10のグリッパ17及びフランジ部15の直近の箇所において、力覚センサによって検出するようにしても良い。
【0081】
そのような構成としたのが、図6や図7及び図8の説明図に示す、本発明の他の実施形態に係るロボットの操作方法である。まず、図6に示す実施形態のロボット操作用デバイス60B(請求項中のハンドガイド装置に相当)では、図2に示すロボット操作用デバイス60の力覚センサ65を省略し、ベース61に操作ハンドル67を直接取り付けている。また、図7及び図8に示す実施形態のロボット操作用デバイス60C(請求項中のハンドガイド装置に相当)では、図5に示すロボット操作用デバイス60Aの力覚センサ65を省略し、ベース61Aに図4や図5の操作ハンドル67A,67Bを直接取り付けている。そして、ロボット10のフランジ部15と多関節型アーム13との間に力覚センサ18を介設している。
【0082】
この力覚センサ18は、操作ハンドル67,67A,67Bからベース61,61Aを介して着脱ユニット63の固着先のワーク21に伝わる操作者50による操作ハンドル67,67A,67Bの操作力を方向別に検出する。本実施形態でも、力覚センサ18として6軸力覚センサを用いている。この力覚センサ18は、力覚センサ18に加わる力3成分(Fx,Fy,Fz)とモーメント3成分(θx,θy,θz)をそれぞれ検出して、それぞれに応じた内容の信号を出力する。
【0083】
次に、上述のように構成したロボット10及びロボット操作用デバイス60B,60Cの電気的な構成を、図9のブロック図を参照して説明する。
【0084】
まず、ロボット操作用デバイス60B,60Cの主な電気的構成は、上述したように力覚センサ65が省略された点を除けば、図3に示す実施形態のロボット操作用デバイス60の電気的な構成と同じである。但し、イネーブルスイッチ67bと固着センサ75が共にオンのときに検出信号出力回路73が信号ケーブル69から制御装置19に出力するのは、イネーブルスイッチ67bがオンとオフとのいずれであるかを示すポジション信号に変わる。
【0085】
また、ロボット10側では、ロボット操作用デバイス60B,60Cの検出信号出力回路73から信号ケーブル69を介して入力されるポジション信号が、イネーブルスイッチ67bのオン状態を示すものであるときに、制御装置19が、力覚センサ18の検出信号に基づいて、多関節型アーム13のロータリアクチュエータに与える制御値を決定する。この制御値は、力覚センサ18の検出信号が示す操作者50の操作力の方向及び大きさでワーク21及びグリッパ17を移動させるためのものであり、ハンドガイド動作プログラムにしたがって決定される。そして、制御装置19は、決定した制御値に基づいて多関節型アーム13を動作させる。この結果、ワーク21に固着した各ロボット操作用デバイス60B,60Cの操作ハンドル67,67A,67Bを両手で把持した操作者50の操作に倣って、ロボット10が動作される。
【0086】
上述した実施形態によっても、先に説明した2つの実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0087】
なお、上述した各実施形態において設けた固着センサ75は省略しても良い。また、上述した各実施形態では、操作者50が両手で2つのロボット操作用デバイス60,60Bの操作ハンドル67、又は、単一のロボット操作用デバイス60A,60Cの2つの操作ハンドル67A,67Bを操作して、ロボット10の操作を行う場合について説明した。しかし、例えば、ロボット操作用デバイス60,60Bを1つだけワーク21の面に固着して、その操作によってロボット10を動かすようにしても良い。
【0088】
さらに、上述した各実施形態では、ロボット操作用デバイス60〜60Cをワーク21に固着して使用する場合を例に取って説明した。しかし、物理的に固着が可能である場合は、ワーク21の代わりにグリッパ17にロボット操作用デバイス60〜60Cを固着して使用するようにしてもよい。この場合でも、グリッパ17はワーク21をグリップしている限り、ワーク21と常に一体の状態にあるので、ワーク21にロボット操作用デバイス60〜60Cを固着して使用するのと同様の効果を得ることができる。
【0089】
また、上述した各実施形態では、エンドエフェクタとしてグリッパ17をフランジ部15に取り付けたロボット10の操作方法について説明した。しかし、本発明はワークをグリップするツールをエンドエフェクタとして使用するロボットの操作方法として広く適用可能である。
【符号の説明】
【0090】
10 ロボット
11 基台
13 多関節型アーム
15 フランジ部
17 グリッパ
18 力覚センサ
19 制御装置
21 ワーク
30 自動動作エリア
31 ワーク載置台
40 ハンドガイドエリア
41 ワーク載置台
50 操作者
60 ロボット操作用デバイス
60A ロボット操作用デバイス
60B ロボット操作用デバイス
60C ロボット操作用デバイス
61 ベース
61A ベース
63 着脱ユニット
63a 吸着盤
63b ソレノイド
65 力覚センサ
67 操作ハンドル
67A 操作ハンドル
67B 操作ハンドル
67a オンオフスイッチ
67b イネーブルスイッチ
69 信号ケーブル
71 ソレノイド駆動回路
73 検出信号出力回路
75 固着センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークをツールでグリップするロボットの動作を制御するロボット制御装置であって、
前記ツール又は前記ワークに対する固着及び離脱が可能なハンドガイド装置と、
前記ツール又は該ツールにグリップされたワークに対して前記ハンドガイド装置が固着された状態で、該ハンドガイド装置から前記ツール又は前記グリップされたワークに伝達される、前記ハンドガイド装置の操作者による操作力の方向及び大きさを検出する操作力センサと、
前記操作力センサの出力信号に基づいて、該操作力センサが検出した前記操作力の方向及び大きさに応じた方向及び大きさで、前記ロボットを動作させる動作手段と、
を備えており、
前記ハンドガイド装置は、イネーブルオンとイネーブルオフとの少なくとも2つのポジションを有し前記操作者により操作されるイネーブルスイッチを含んでおり、
前記動作手段は、前記イネーブルスイッチのポジションがイネーブルオンであるときにのみ、前記操作力センサの出力信号に基づいて前記ロボットを動作させる、
ことを特徴とするロボット制御装置。
【請求項2】
前記ハンドガイド装置の固着対象への固着を検出する固着センサをさらに備えており、該固着センサが前記ハンドガイド装置の固着対象への固着を検出している間にのみ、前記操作力センサの出力信号に基づいて前記ロボットを動作させることを特徴とする請求項1記載のロボット制御装置。
【請求項3】
操作力センサによって検出される、ツール又は該ツールでグリップされるワークに伝達される操作者の操作力の方向及び大きさに基づいて、制御装置により動作制御されるロボットを操作するのに用いられるロボット操作用デバイスであって、
前記ツール又は前記ワークに対する固着及び離脱が可能なハンドガイド装置と、
前記ハンドガイド装置の操作者により操作され、イネーブルオンとイネーブルオフとの少なくとも2つのポジションを有するイネーブルスイッチと、
前記イネーブルスイッチのポジションがイネーブルオンとイネーブルオフとのいずれであるかを判別可能なポジション信号を、前記制御装置に出力する信号出力手段と、
を備えることを特徴とするロボット操作用デバイス。
【請求項4】
前記操作力センサをさらに備えており、該操作力センサが検出した、前記ツール又は該ツールにグリップされたワークに対して前記ハンドガイド装置が固着された状態で、該ハンドガイド装置から前記ツール又は前記グリップされたワークに伝達される、前記操作者による前記ハンドガイド装置の操作力の方向及び大きさを示す検出信号が、前記制御装置に出力されることを特徴とする請求項3記載のロボット操作用デバイス。
【請求項5】
前記信号出力手段は、前記イネーブルスイッチのポジションがイネーブルオンであるときにのみ、前記検出信号を前記ポジション信号として前記制御装置に出力することを特徴とする請求項4記載のロボット操作用デバイス。
【請求項6】
前記ハンドガイド装置の固着対象への固着を検出する固着センサをさらに備えており、該固着センサが前記ハンドガイド装置の固着対象への固着を検出している間にのみ、前記検出信号が前記制御装置に出力されることを特徴とする請求項4又は5記載のロボット操作用デバイス。
【請求項7】
前記操作者の左右の手にそれぞれ対応する2組で構成されていることを特徴とする請求項3、4、5又は6記載のロボット操作用デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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