説明

ロボット設置構造

【課題】作業者の技量に関係なく、ロボットの設置作業を効率よく実施する。
【解決手段】架台は、平板状をなすステージ12を備えており、そのステージ12の上面側にロボット13が設置されている。ロボット13は、ステージ12上に載置された状態で、ステージ下面側から複数のネジ18により固定される。ステージ12には上下に貫通する貫通孔16が設けられている。ロボット底面部には、基準位置としてのネジ孔17が設けられているとともに、マーキングシート20が貼り付けられている。マーキングシート20には、そのネジ孔17に対する方向情報と同ネジ孔17までの離間距離情報とが付与されたマーキングが付されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット設置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボットとして、架台に設置された状態で使用されるものが数多く知られている。例えば、部品組み立てラインにおいてステージ上に設置された状態でロボットが固定される。特許文献1の図2には、架台上にXYロボットが固定されている構造が示されている。この場合、架台の上面側でロボットを固定する構造を採用すると、その固定部分がロボット動作の支障になる等の不都合が生じうる。そこで、架台の上面にロボットを載置した状態で、架台の下面側からネジ等の締結具によりロボットを固定する技術が実用化されている。しかも、ロボット側は上述のとおり締結具が突出すると不都合がある場合があり、ネジ孔が底面側しか開口を持たない非貫通である場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−135364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、架台の上にロボットを設置する場合には、架台側とロボット側とにそれぞれ設けられたネジ締結用の孔部同士を位置合わせするとともに、それら孔部でネジ締結を行うことで架台に対してロボットが固定される。かかる場合、ロボット設置作業において、ロボット自体が重量物であるため、架台側及びロボット側の各孔部の位置合わせを行うことは容易でないと考えられる。ましてや、上述したように架台の下面側からロボットをネジ固定する場合には、架台が妨げとなってその上方のロボットを視認しづらくなり、尚更困難性が増すと考えられる。また、FA工場の設備変更等に伴い、ロボットを設置し直す事態が生じることも考えられる。ゆえに、ロボットの設置に関して改善の余地があると考えられる。
【0005】
また、架台側及びロボット側の各孔部を位置合わせする際には、どの程度位置ずれが生じているかを、実際に孔部を目視で確認することができない場合が多く、作業者は、ロボットの外観から位置ずれの程度を推測しながらロボットを架台上で移動させ、孔部の位置合わせを実施する。
【0006】
しかしながら、推測による作業では、各々異なる方向へのロボットの移動が何度も強いられることが考えられる。また、こうした作業は作業者の勘と経験に基づく技量に依存するものであり、作業者の技量によっては設置作業の効率が著しく低下することも考えられる。さらに、ロボットが架台からはみ出る可能性もあり、万が一ではあるが、移動のさせ方によってはロボットが架台から落ちてしまうという可能性も否定できない。
【0007】
本発明は、作業者の技量に関係なく、ロボットの設置作業を効率よく実施することができるロボット設置構造を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。
【0009】
第1の発明のロボット設置構造は、
産業用のロボットと、該ロボットが設置されるロボット設置板を有する架台とを備える産業用機器に適用され、前記ロボット設置板の上面側に載置された状態で前記ロボットが前記ロボット設置板の下面側から締結具により固定されるロボット設置構造であって、
前記ロボット設置板には、該ロボット設置板の上面のロボット載置領域において上下に貫通する貫通孔が設けられる一方、
前記ロボットにおいて前記ロボット設置板に設置される際に底面となるロボット底面部には、前記ロボット設置板に対する前記ロボットの位置合わせ時に前記貫通孔と同一位置に調整される基準位置が定められているとともに、前記基準位置を含む基準位置周辺領域に、前記基準位置に対する方向情報と同基準位置までの離間距離情報とが付与されたマーキングが付されていることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、ロボット設置板の下面側から締結具によりロボットを固定する際に、ロボット設置板に対するロボットの位置合わせを容易かつ正確に実施できる。つまり、ロボット設置板の上にロボットを固定する場合、ロボット設置板が妨げとなってその上方のロボットを視認しづらく、位置合わせのためにロボットの位置を調整しようとしてもそれが困難となる。この点、上記構成では、ロボット設置板の貫通孔を作業者が覗き込むことで、ロボット底面部のマーキングを視認することができ、そのマーキングに基づいてロボットの位置合わせを実施できる。この場合特に、マーキングには、基準位置に対する方向情報と、基準位置までの離間距離情報とが付与されているため、作業者は、ロボットをどの方向に、どの程度移動させればいいかを知ることができ、迅速なるロボット設置作業を実現できる。こうした作業は作業者の技量に依存するものではない。その結果、作業者の技量に関係なく、ロボットの設置作業を効率よく実施することができる。
【0011】
第2の発明では、前記マーキングは、幾何学的形状からなる複数の図形が並ぶ図形列を有し、前記図形列は、前記基準位置周辺領域において複数設けられており、それら複数の図形列は、前記基準位置を起点として該基準位置から離れるように延設されている。
【0012】
仮にマーキングを数字や文字等の記号により構成すると、その記号には上下左右の向きがあるため、作業者が見る方向によっては読みづらさが生じたり、情報が誤って読み取られたりするおそれがある。この点、マーキングを、三角形や折れ線などの幾何学的形状からなる図形の図形列により構成することで、作業者がどの方向から見たとしても情報が誤って読み取られる可能性が低くなり、ロボット設置の作業性を向上させることができる。特に、本発明のロボット設置構造では、ロボット設置時は作業者が下から上を覗き込む作業となり、架台の形状等によっては、マーキングを特定の方向から覗き込ませること、換言すれば方向限定で覗き込ませることが困難になる。ゆえに、視認の方向性の無い上記構成(幾何学的形状からなるマーキングを有する構成)は誤認対策としては有効である。
【0013】
また、複数の図形列はそれぞれ、基準位置周辺領域において基準位置を起点として該基準位置から離れるように延設されているため、図形列に沿ってロボットを移動させることにより、最短距離でロボットの基準位置を貫通孔に位置合わせすることができる。
【0014】
この場合、複数の図形列は、基準位置を中心に放射状に配列されるとよい。これにより、ロボット設置板の貫通孔に対してロボット基準位置がどの方向にずれていても、容易に貫通孔を通じて図形列が視認できるようになる。
【0015】
第3の発明では、前記幾何学的形状からなる複数の図形は、角の頂点を起点とする二辺の直線部を有する三角歯状図形よりなり、前記三角歯状図形において、前記二辺の直線部における前記頂点に向かう方向が前記方向情報であり、隣り合う三角歯状図形の頂点間の間隔が、前記基準位置までの離間距離に応じて定められる前記離間距離情報である。
【0016】
上記構成によれば、貫通孔を通じて図形列が視認されている状態で、図形列の各三角歯状図形において隣り合う三角歯状図形の頂点間の間隔により基準位置までの離間距離を把握しつつ、各三角歯状図形の頂点をたどってロボットを移動させることができる。これにより、ロボット設置板の貫通孔に対するロボット基準位置の位置合わせを容易に実施できる。また、このような幾何学的図形であれば、貫通孔を通じて複数個の図形を視認させることも可能になり、方向や距離を容易に把握できる。
【0017】
第4の発明では、前記図形列の各三角歯状図形は、前記基準位置までの離間距離が大きいほど前記隣り合う三角歯状図形の頂点間の間隔が大きく、前記基準位置までの離間距離が小さいほど前記隣り合う三角歯状図形の頂点間の間隔が小さいものとなっている。
【0018】
上記構成によれば、作業者が、貫通孔を通じて三角歯状図形を視認しながらロボットをロボット設置板上で移動させる際において、貫通孔が基準位置から比較的離れた位置にある場合には、貫通孔を通じて視認される各三角歯状図形は頂点間の間隔が比較的大きいものとなる。したがって、各三角歯状図形の頂点をたどっていく際において、現に視認されている一の頂点から視認されていない別の頂点までロボットを移動させる時の移動量が大きくなる。これに対し、貫通孔が基準位置から比較的近い位置にある場合には、貫通孔を通じて視認される各三角歯状図形は頂点間の間隔が比較的小さいものとなる。したがって、各三角歯状図形の頂点をたどっていく際において、現に視認されている一の頂点から視認されていない別の頂点までロボットを移動させる時の移動量が小さくなる。
【0019】
要するに、基準位置に対して貫通孔が遠ければ、一度に移動させるロボットの移動量が大きくなり、基準位置に対して貫通孔が近ければ、一度に移動させるロボットの移動量が小さくなる。したがって、ロボット位置合わせの迅速さと正確さとを共に実現できる。
【0020】
第5の発明では、前記幾何学的形状からなる複数の図形は、角の頂点を起点とする二辺の直線部を有する三角歯状図形よりなり、前記三角歯状図形において、前記二辺の直線部における前記頂点に向かう方向が前記方向情報であり、前記二辺の直線部の長さが、前記基準位置までの離間距離に応じて定められる前記離間距離情報である。
【0021】
上記構成によれば、貫通孔を通じて図形列が視認されている状態で、図形列の各三角歯状図形において二辺の直線部の長さにより基準位置までの離間距離を把握しつつ、各三角歯状図形の頂点をたどってロボットを移動させることができる。これにより、ロボット設置板の貫通孔に対するロボット基準位置の位置合わせを容易に実施できる。
【0022】
第6の発明では、前記貫通孔は円形孔であり、前記図形列は、前記三角歯状図形の二辺の直線部において頂点とは逆側の端点同士の間隔が前記貫通孔の直径寸法よりも小さく、かつ前記逆側の端点同士を結ぶ直線に他の三角歯状図形が重複しないように複数の三角歯状図形が配列されている。また、前記図形列の各三角歯状図形は、前記基準位置間での離間距離が大きいほど前記二辺の直線部の長さが大きく、前記基準位置までの離間距離が小さいほど前記二辺の直線部の長さが小さいものとなっている。
【0023】
上記構成によれば、図形列は、三角歯状図形の二辺の直線部において頂点とは逆側の端点同士の間隔が貫通孔の直径寸法よりも小さく、かつ逆側の端点同士を結ぶ直線に他の三角歯状図形が重複しないように複数の三角歯状図形が配列されるものであるため、二辺の直線部の長さが大きいほど、隣り合う三角歯状図形の頂点間の間隔が大きくなる。
【0024】
ここで、作業者が、貫通孔を通じて三角歯状図形を視認しながらロボットをロボット設置板上で移動させる際において、貫通孔が基準位置から比較的離れた位置にある場合には、貫通孔を通じて視認される三角歯状図形は二辺の直線部の長さが比較的大きいものとなる。したがって、各三角歯状図形の頂点をたどっていく際において、現に視認されている一の頂点から視認されていない別の頂点までロボットを移動させる時の移動量が大きくなる。これに対し、貫通孔が基準位置から比較的近い位置にある場合には、貫通孔を通じて視認される各三角歯状図形は二辺の直線部の長さが比較的小さいものとなる。したがって、各三角歯状図形の頂点をたどっていく際において、現に視認されている一の頂点から視認されていない別の頂点までロボットを移動させる時の移動量が小さくなる。
【0025】
要するに、基準位置に対して貫通孔が遠ければ、一度に移動させるロボットの移動量が大きくなり、基準位置に対して貫通孔が近ければ、一度に移動させるロボットの移動量が小さくなる。したがって、ロボット位置合わせの迅速さと正確さとを共に実現できる。
【0026】
第7の発明は、前記ロボット設置板には複数の前記貫通孔が設けられるとともに、前記ロボット底面部には複数の前記基準位置が設けられており、これら複数の貫通孔及び複数の基準位置のうち、最初に位置合わせされる貫通孔及び基準位置が第1貫通孔及び第1基準位置、それよりも後に位置合わせされる貫通孔及び基準位置が第2貫通孔及び第2基準位置となっている。そして、前記第1貫通孔及び第1基準位置には、その位置合わせ後に前記第1貫通孔及び第1基準位置を回転中心として前記ロボットを回転可能とする軸部材が取り付けられる。また、前記ロボット底面部において、前記第1基準位置の周辺には、前記ロボットが移動可能となる全方位に複数の前記図形列を分散させて設けた第1マーキングが付されており、前記第2基準位置の周辺には、前記第1基準位置を中心としかつ前記第1基準位置と前記第2基準位置との距離寸法を半径とする円弧に沿って前記図形列を設けた第2マーキングが付されている。
【0027】
複数の貫通孔及び複数の基準位置を有する構成では、そのうち1つの基準位置について位置合わせが完了したとしても、その後、他の基準位置の位置合わせのためにロボットを動かすと、位置合わせ済みの基準位置についても位置ずれが生じるおそれがある。また、同時に2つの基準位置について位置合わせを行うのは困難である。
【0028】
この点、上記構成によれば、第1貫通孔及び第1基準位置の位置合わせ後に軸部材が取り付けられ、その状態で第2貫通孔及び第2基準位置の位置合わせを実施できる。この場合、一旦完了した位置合わせを再度やり直すといった不都合が生じることはなく、作業の効率アップを図ることができる。
【0029】
また特に、マーキング(複数の図形列)に関して、最初に位置合わせされる第1基準位置の周辺に設けられた第1マーキングは、ロボットが移動可能となる全方位に分散させて複数の図形列が付されたものであり、第1貫通孔と第1基準位置との位置関係が任意である場合(すなわち、第1貫通孔に対してどこに第1基準位置が存在するか不明な場合)にその位置合わせを容易かつ確実に実施できる。また、第1貫通孔及び第1基準位置の位置合わせ後であって軸部材が取り付けられた後は、第2貫通孔及び第2基準位置の位置ずれは、第1基準位置を回転中心とする回転方向成分のみ生じる。かかる場合、第2基準位置の周辺に設けられた第2マーキングは、第1基準位置を中心としかつ第1基準位置と第2基準位置との距離寸法を半径とする円弧に沿って付されたものであり、必要最小限の情報に基づいて容易にかつ確実に位置合わせを実施できる。
【0030】
第8の発明では、前記マーキングが印刷されたフィルム状のマーキングシートを有し、前記マーキングシートが前記ロボット底面部に貼着されている。
【0031】
上記構成によれば、ロボット底面部にマーキングシートを貼着するといった比較的簡易な作業を施すだけで、上述した優れた効果のロボット設置構造を実現できる。この場合、ロボット製造工場から出荷済みのロボットについても、そのロボット底板部にマーキングシートを貼着さえすれば、やはり上述した優れた効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】架台設置状態でのロボットを斜め上方から見た斜視図。
【図2】架台とロボットとを分離して示す分解斜視図。
【図3】マーキングシートが貼着された状態の底面部の構成を示す底面図。
【図4】マーキングシートを拡大して示す平面図。
【図5】図形列を拡大して示す図。
【図6】別の実施形態においてマーキングシートが貼着された状態の底面部の構成を示す底面図。
【図7】別の実施形態におけるマーキングを説明するための図。
【図8】別の実施形態におけるマーキングを説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の産業用機器は、架台上に固定した状態で設置される産業用ロボットを具備するものであり、その産業用ロボットの設置構造について詳細に説明する。図1は、架台設置状態でのロボットを斜め上方から見た斜視図である。図2は、架台とロボットとを分離して示す分解斜視図であり、(a)は斜め上方から見た図であり、(b)は斜め下方から見た図である。
【0034】
図1に示すように、架台11は、平板状をなすロボット設置板としてのステージ12を備えており、そのステージ12の上面側にロボット13が設置されている。図示は省略しているが、架台11は、ステージ12の下面側に連結された複数の脚部を備えており、ゆえにステージ12は、ロボットルームの床面を基準として所定高さとなる位置に設けられるものとなっている。
【0035】
ロボット13は、例えば2軸又は3軸の直交座標上で動作する、いわゆる直交座標型ロボットである。本実施形態では、ロボット13は、XY2軸の直交座標型ロボットであり、ステージ12上に固定されるX軸スライダ装置14と、このX軸スライダ装置14に対して移動可能に設けられるY軸スライダ装置15とを備えている。
【0036】
ロボット13は、ステージ12上に載置された状態で、ステージ下面側から複数の締結具により固定されるようになっており、その詳細を図2を用いて説明する。なお説明の便宜上、図2では図1の構成の一部(Y軸スライダ装置15)を省略して示している。
【0037】
図2(a)に示すように、ステージ12の上面には、X軸スライダ装置14を設置するための設置領域R1が定められており、その設置領域R1には、ステージ12を上下に貫通する貫通孔16が設けられている。貫通孔16は、真円状の円形孔からなるバカ穴であり、例えば設置領域R1の四隅にそれぞれ設けられている。なお、設置領域R1がロボット載置領域に相当する。
【0038】
また、X軸スライダ装置14の底面部14a(ロボット底面部に相当)にはネジ孔17が設けられている。ネジ孔17が基準位置に相当する。ネジ孔17は、雌ネジ孔であり、例えば底面部14aの四隅にそれぞれ設けられている。X軸スライダ装置14がステージ12の設置領域R1に正確に設置された状態では、ステージ12側の貫通孔16とX軸スライダ装置14側のネジ孔17とが同一位置となり、かかる状態においてステージ下面側から締結具としてのネジ18の螺着が可能となっている。
【0039】
X軸スライダ装置14の底面部14aにおいて、ネジ孔17を囲む周辺部分(基準位置周辺領域)には、ロボット設置作業時においてX軸スライダ装置14の位置合わせを補助するためのマーキングシート20が貼り付けられている。マーキングシート20は、マーキング21が印刷されたフィルム状の合成樹脂シートである。マーキング21は、基準位置としてのネジ孔17に対する方向情報と同ネジ孔17までの離間距離情報とが付与された図形情報であり、以下、その詳細を説明する。
【0040】
図3は、マーキングシート20が貼着された状態の底面部14aの構成を示す底面図であり、図4は、マーキングシート20を拡大して示す平面図である。
【0041】
図3及び図4に示すように、マーキングシート20は、円形状のシートよりなり、その中央部にはネジ孔17を挿通させるための円形状の開口部25が設けられている。開口部25は、ネジ孔17と同一径又はそれよりも若干拡径された開口寸法で設けられている。開口部25の周りにマーキング21が描かれている。この場合、X軸スライダ装置14の底面部14aには、ネジ孔17に対して開口部25が同一位置になるようにしてマーキングシート20が貼り付けられる。なお、貫通孔16の孔径φ1とネジ孔17の孔径φ2とを比較すると、φ1>φ2であり、開口部25の孔径φ3がネジ孔17の孔径φ2と略同じであるため、φ1>φ3となっている。
【0042】
マーキング21は、幾何学的形状からなる複数の図形22の集合であり、この複数の図形22が並ぶ図形列23を有し、複数の図形列23はそれぞれ、開口部25(ネジ孔17)を起点として開口部25から離れるように延びる直線状に設けられている。本実施形態では、12個の図形列23が放射状に配列されて設けられており、各図形列23は互いに均等間隔となっている。
【0043】
図形22についてより詳しくは、図形22は、角の頂点22aを起点とする二辺の直線部22bを有する折れ線状の三角歯状図形よりなる。本実施形態では、二辺の直線部22bの長さが同じであり、図形22を二等辺の三角歯状図形としている。その図形22(三角歯状図形)において、二辺の直線部22bにおける頂点22aに向かう方向が開口部25に対する方向情報となっている。また、二辺の直線部22bの長さ(又は、隣り合う図形22の頂点間の間隔)が、開口部25までの離間距離に応じて定められる離間距離情報となっている。
【0044】
図5(a)〜(d)は、図形列23を拡大して示す図であり、このうち(a)は、図4のA部分を拡大して示す図であり、(b)〜(d)は、ステージ12の貫通孔16を通じて視認される図形列23を示す図である。
【0045】
図形列23は、図形22の大きさ及び形状が各々異なる複数の図形群を有しており、図5の事例では3つの図形群Z1,Z2,Z3を有している。これらの図形群Z1〜Z3のうちで図形群Z1は、開口部25から最も離れて位置し、図形群Z3は、開口部25に最も近くに位置する。各図形群Z1〜Z3の図形22はいずれも、二辺の直線部22bにおいて頂点22aとは逆側の端点同士の間隔W1が貫通孔16の孔径φ1(直径寸法)よりも小さいものとなっている。また、隣り合う各図形22は、二辺の直線部22bにおいて頂点22aとは逆側の端点同士を結ぶ直線(図の破線B)に、別の図形22が重複しない間隔で配列されている。
【0046】
各図形群Z1〜Z3の違いについて説明する。各図形群Z1〜Z3の図形22は、開口部25との距離に応じて直線部22bの長さが異なり、開口部25との距離が大きいほど直線部22bの長さが大きく、開口部25との距離が小さいほど直線部22bの長さが小さいものとなっている。より具体的には、各図形群Z1〜Z3の図形22について、直線部22bの長さをL1,L2,L3とすると、L1>L2>L3となっている。この場合、各図形22の頂点22a間の間隔(X1,X2,X3)で言えば、開口部25との距離が大きいほど頂点22a間の間隔が大きく、開口部25との距離が小さいほど頂点22a間の間隔が小さいものとなっている(X1>X2>X3)。なお、図形22が最も小さい図形群(図5ではZ3)においては、各図形22の頂点22a間の間隔が貫通孔16の直径の1/2以下になるように、各図形22の大きさが規定されているとよい。
【0047】
また、各図形群Z1〜Z3の図形22は、開口部25との距離に応じて頂点22aの内角の大きさが異なり、開口部25との距離が大きいほど頂点22aの内角が小さく、開口部25との距離が小さいほど頂点22aの内角が大きいものとなっている。より具体的には、頂点22aの内角の角度をθ1,θ2,θ3とすると、θ1<θ2<θ3となっている。
【0048】
要するに本実施形態では、全ての図形22が、二辺の直線部22bにおいて頂点22aとは逆側の端点同士の間隔W1が同一になっており、その前提の下、頂点22aの内角が小さいものほど直線部22bの長さが大きく、逆に、頂点22aの内角が大きいものほど直線部22bの長さが小さくなっている。
【0049】
次に、ロボット13(X軸スライダ装置14)をステージ12上に固定するための作業手順について説明する。
【0050】
まずは、リフタやクレーン等の搬送装置を使うことにより又は複数人の作業者が持ち抱えることによりロボット13を搬送し、架台11のステージ12上に載置する。このとき、作業者は大まかな位置合わせをしつつロボット13をステージ12上に載置するが、その載置した時点では基本的に貫通孔16とネジ孔17との位置ずれは生じていると考えられる。
【0051】
その後、作業者がステージ12の下方から貫通孔16を覗き込むことでマーキング21を探し、そのマーキング21の図形22(図形列23)の情報に基づいてロボット13を動かすことで、ロボット13の位置合わせを実施する。このとき、マーキング21には、ロボット基準位置であるネジ孔17に対する方向情報と、ネジ孔17までの離間距離情報とが付与されているため、作業者は、貫通孔16とネジ孔17との位置ずれを把握でき、その位置合わせを容易に実施できる。
【0052】
具体的には、例えば、図5(b)のようにマーキング21が視認された場合において、図形22の頂点22aの向きから、ネジ孔17は現時点よりも右方にあると判断できる。また、図形22の大きさ(直線部22bの長さ)から、貫通孔16はネジ孔17に対して比較的離れた位置にあると認識できる。これにより、図形22の頂点22aをたどって、ロボット13がステージ12上で左方向に動かされる。すると、貫通孔16から視認されるマーキング21は図5(c)のようになる。そして、さらにロボット13がステージ12上で左方向に動かされると、次に貫通孔16から視認されるマーキング21は図5(d)のようになる。マーキング21が図5(d)のようになるとネジ孔17の一部が見えてくるため、それ以降はロボット位置の微調整が行われ、これにより貫通孔16とネジ孔17との位置合わせが完了する。
【0053】
ここで、貫通孔16から視認されるマーキング21が図5の(b)→(c)→(d)のように変わっていく課程において、図形群Z1〜Z3のうちどれが視認されるかによって、図形22の大きさ(直線部22bの長さ)や頂点間の距離が相違する。かかる場合において、図5(b)のように図形22が比較的大きく、頂点間の距離が比較的大きい場合には、各図形22の頂点22aをたどっていく際において、現に視認されている一の頂点22aから視認されていない別の頂点22aまでロボット13を移動させる時の移動量が大きくなる。これに対し、図5(d)のように図形22が比較的小さく、頂点間の距離が比較的大きい場合には、各図形22の頂点22aをたどっていく際において、現に視認されている一の頂点22aから視認されていない別の頂点22aまでロボット13を移動させる時の移動量が小さくなる。
【0054】
つまり、図5(b)の場合、作業者が次の図形22の頂点22aを見つけるには、比較的大きな移動量が必要となるのに対し、図5(d)の場合、作業者が次の図形22の頂点22aを見つけるには、比較的小さな移動量でよいこととなる。
【0055】
なお、図形列23の図形群Z1〜Z3の大きさと、ネジ孔17(開口部25)までの実寸距離との関係を表す対比表を作成しておき、ロボット設置作業時には、その対比表を確認しながら作業が実施できるようにするとよい。この対比表を、ステージ12の下面に貼り付けておく構成であってもよい。
【0056】
そしてその後、貫通孔16とネジ孔17との位置合わせが完了すると、それら両孔16,17が同軸に連通する。そして、その状態でそれら両孔16,17にネジ18が挿し入れられ、そのネジ18により、ステージ12上にロボット13が固定される。
【0057】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0058】
架台11のステージ12の上にロボット13を固定する場合には、ステージ12が妨げとなってその上方のロボット13を視認しづらく、位置合わせのためにロボット13の位置を調整しようとしてもそれが困難となる。この点、上記構成では、ステージ12の貫通孔16を作業者が覗き込むことで、ロボット底面部14aのマーキング21を視認することができ、そのマーキング21に基づいてロボット13の位置合わせを実施できる。この場合特に、マーキング21には、基準位置としてのネジ孔17に対する方向情報と、ネジ孔17までの離間距離情報とが付与されているため、作業者は、ロボット13をどの方向に、どの程度移動させればいいかを知ることができ、迅速なるロボット設置作業を実現できる。こうした作業は作業者の技量に依存するものではない。その結果、作業者の技量に関係なく、ロボット13の設置作業を効率よく実施することができる。
【0059】
マーキング21を、幾何学的形状からなる図形22が並ぶ複数の図形列23により構成したため、同マーキング21を数字や文字等の記号により構成する場合とは異なり、作業者がどの方向から見たとしても情報が誤って読み取られる可能性が低くなり、ロボット設置の作業性を向上させることができる。また、言うなれば目標とする基準位置方向は進行方向に関連づけられた形になり、左右方向の概念はなくなる形となるので、作業者がどの方向から見たとしても、それはつまり全て正しい方向から見ていると言える。この点からも、情報が誤って読み取られる可能性が低くなると言える。
【0060】
また、複数の図形列23は、ネジ孔17を中心に放射状に配列されているため、ステージ12の貫通孔16に対してネジ孔17がどの方向にずれていても、容易に貫通孔16を通じて図形列23が視認できるようになる。
【0061】
貫通孔16を通じて図形列23の各図形22が視認されている状態で、二辺の直線部22bの長さによりネジ孔17までの離間距離を把握しつつ、頂点22aをたどってロボット13を移動させることにより、貫通孔16に対するネジ孔17の位置合わせを容易に実施できる。このとき、各図形22には、ネジ孔17の存在方向を示唆する頂点22aが1つのみ設けられているため、ロボット13を移動させるべき方向につき誤解する可能性を抑制できる。
【0062】
図形列23の各図形22を、ネジ孔17に対する距離が大きいほど隣り合う図形22の頂点間の間隔が大きいものとし、ネジ孔17に対する距離が小さいほど隣り合う図形22の頂点間の間隔が小さいものとした。これにより、各図形22の頂点22aをたどってロボット13を移動させる際において、ネジ孔17に対して貫通孔16が遠ければ、作業者による一度のロボット移動量を大きくし、ネジ孔17に対して貫通孔16が近ければ、作業者による一度のロボット移動量を小さくすることができる。したがって、ロボット位置合わせの迅速さと正確さとを共に実現できる。
【0063】
また、図形22の二辺の直線部22bにおいて頂点22aとは逆側の端点同士の距離を、貫通孔16の直径寸法よりも小さい寸法としたため、隣り合う2つの図形22について一方の図形22の頂点22aと、他方の図形22の2つの端部(二辺の直線部22bにおいて頂点22aとは逆側の端点)とを貫通孔16を通じて同時に視認させることが可能となる(図5参照)。したがって、ロボット13を移動させるべき方向を正しく作業者に伝えることができる。なお、図形22の2つの端部同士の距離を貫通孔16の直径寸法よりも大きくすると、これら2つの端部を貫通孔16を通じて同時に視認することができず、隣の図形22の頂点22aとの位置関係を把握しづらくなるが、こうした不都合を解消できる。
【0064】
マーキング21が印刷されたフィルム状のマーキングシート20を用い、このマーキングシート20をロボット底面部に貼着する構成とした。これにより、ロボット底面部にマーキングシート20を貼着するといった比較的簡易な作業を施すだけで、上述した優れた効果のロボット設置構造を実現できる。この場合、ロボット製造工場から出荷済みのロボットについても、そのロボット底板部にマーキングシート20を貼着さえすれば、やはり上述した優れた効果を得ることができる。
【0065】
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
【0066】
・複数の貫通孔16及び複数のネジ孔17(基準位置)のうち、最初に位置合わせされる貫通孔16及びネジ孔17と、その後に位置合わせされる貫通孔16及びネジ孔17とで、マーキング21の図形を相違させる構成としてもよい。
【0067】
具体的には、図6に示すように、ロボット底面部(底面部14a)に4つのネジ孔17が設けられており、そのうち1つ(図の右下のネジ孔17A)が最初に位置合わせされるネジ孔17である場合を想定する。かかる場合において、最初に位置合わせされるネジ孔17Aにはマーキングシート20Aが貼り付けられ、その他のネジ孔17B〜17Dには、マーキングシート20Aとは異なるマーキングシート20B〜20Dが貼り付けられている。なお、ネジ孔17A及びそれに対応する貫通孔16が第1基準位置、第1貫通孔にそれぞれ相当し、ネジ孔17B〜17D及びそれに対応する各貫通孔16が第2基準位置、第2貫通孔にそれぞれ相当する。また、マーキングシート20Aに付されたマーキングが第1マーキングに相当し、マーキングシート20B〜Dに付されたマーキングが第2マーキングに相当する。
【0068】
マーキングシート20Aは、図4等で説明したマーキングシート20と同じものである。つまり、最初に位置合わせされるネジ孔17Aについては、貫通孔16に対してどの方向にネジ孔17Aが存在しているのか不明となるため、マーキングシート20のマーキングは、全方位に分散させて複数の図形列23が付されたものとなっている。
【0069】
これに対し、マーキングシート20B〜20Dのマーキングは、ネジ孔17Aを中心としかつネジ孔17Aと各ネジ孔17B〜17Dとの距離寸法を半径とする円弧に沿って図形列23が付されたものとなっている。図形列23は、ネジ孔17B〜17Dを起点として2方向に設けられている。具体的には、ネジ孔17Bに付されるマーキングシート20Bは、ネジ孔17Aとネジ孔17Bとの距離寸法(図のD1)を半径とする円弧に沿って図形列23が付されたものであり、ネジ孔17Cに付されるマーキングシート20Cは、ネジ孔17Aとネジ孔17Cとの距離寸法(図のD2)を半径とする円弧に沿って図形列23が付されたものであり、ネジ孔17Dに付されるマーキングシート20Dは、ネジ孔17Aとネジ孔17Dとの距離寸法(図のD3)を半径とする円弧に沿って図形列23が付されたものである。
【0070】
ロボット13の設置作業に際しては、ネジ孔17Aとそれに対応する貫通孔16との位置合わせ後に、これらネジ孔17A及び貫通孔16に軸部材としてのネジ18が挿し入れられる。これにより、ロボット13は、ネジ孔17Aを回転中心として回転可能となる。そしてその状態で、その他のネジ孔17B〜17Dに関して位置合わせが実施される。この場合、一旦完了したネジ孔17Aの位置合わせを再度やり直すといった不都合が生じることはなく、作業の効率アップを図ることができる。
【0071】
また特に、マーキングシート20Aのマーキングは、ロボット13が移動可能となる全方位に分散させて複数の図形列23が付されたものであり、ネジ孔17Aと貫通孔16との位置関係が任意である場合(すなわち、貫通孔16に対してどこにネジ孔17Aが存在するか不明な場合)にその位置合わせを容易かつ確実に実施できる。また、マーキングシート20Bのマーキングは、ネジ孔17Aの位置合わせ後にはそのネジ孔17Aを中心とする回転方向成分に限ってネジ孔17B〜17Dの位置ずれが生じることを考慮したものであり、必要最小限の情報に基づいて容易にかつ確実に位置合わせを実施できる。
【0072】
・図5に示す図形列23では、開口部25(ネジ孔17)との距離に応じて、各図形22の大きさ及び形状(具体的には、頂点22aの内角の角度、直線部22bの長さ)を変更しているが、図形列23において開口部25(ネジ孔17)との距離に関係なく図形22の大きさ及び形状をいずれも同一にしてもよい。この場合、隣り合う図形22の頂点間の間隔が、基準位置までの離間距離に応じて定められる離間距離情報である。つまり、同一形状の複数の図形22を、隣り合う図形22の頂点間の距離が開口部25(ネジ孔17)までの距離に応じて相違するように配列する。具体的には、開口部25(ネジ孔17)までの距離が大きいほど、複数の図形22を互いの間隔を大きくして配列し、開口部25(ネジ孔17)までの距離が小さいほど、複数の図形22を互いの間隔を小さくして配列する。
【0073】
・マーキング21を図7に示す形態に変更することも可能である。図7(a)では、各図形列23の図形22を、塗りつぶし三角形の三角歯状図形に変更している。なお、こうした三角歯状図形として、塗りつぶし三角形以外に白抜き三角形を採用することも可能である。図7(a)では、各図形22の形状を、折れ線状の三角歯状図形から、塗りつぶし三角形の三角歯状図形に変更した以外に変更はなく、図5等で説明したのと同じ配列で図形列23が構成されるものとなっている。
【0074】
また、図7(b)では、各図形22が折れ線状の三角歯状図形であることは、図5等と同様であるが、各図形列23における図形22の形状と配列との関係が相違している。具体的には、開口部25(ネジ孔17)を起点としてその外方へ3つの領域で各図形22の形状(詳しくは、頂点22aの内角の角度)が相違しており、そのうち最内側の図形22と最外側の図形22とは同一形状となっている。ただし、開口部25(ネジ孔17)に最も近い開口部近接領域においては、貫通孔16を通じて、開口部25(ネジ孔17)を中心とする周方向に複数の図形22が視認できるため、貫通孔16が開口部付近(開口部近接領域)に位置していることを把握できる。
【0075】
・マーキング21の各図形22を、三角歯状図形以外の幾何学的図形で構成することも可能である。例えば、二辺の直線部からなる三角歯状図形と、基準位置(ネジ孔17)に向けて直線状に延びる直線部との組み合わせにより図形22を構成してもよい。この場合、矢印のような図形が用いられることとなる。
【0076】
・図5等で説明した構成では、基準位置(ネジ孔17)に対する方向情報として、貫通孔16の現位置に対して基準位置が存在する方向を図形頂点により示す構成とし、図形頂点により示される方向とは逆方向にロボット13を移動させる構成としたが、これを変更する。例えば、基準位置(ネジ孔17)に対する方向情報として、貫通孔16の現位置に対して基準位置が存在する方向とは反対の方向を図形頂点により示す構成とする。これにより、図形頂点により示される方向と同方向にロボット13を移動させればよいこととなる。
【0077】
・マーキング21を、文字や数字を含むものとして構成してもよい。具体的には、図8に示す構成とする。この場合、開口部25から放射状に延びる複数の直線が、開口部25(ネジ孔17)に対する方向情報に相当し、その直線の途中に付された数字(1〜4)が、開口部25までの離間距離情報に相当する。例えば、1〜4の直線は、開口部25までの実寸距離を示すものとなっている(単位はセンチメートル)。幾何学的形状の図形と文字、数字とを組み合わせてマーキングを構成してもよく、例えば、図4に示すマーキング21において各図形列23の途中に、開口部25までの実寸距離を示す数字を追加記載することも可能である。
【0078】
・マーキング21の図形列23において、ネジ孔17までの距離に応じて、各図形22に互いに異なる着色を施す構成としてもよい。これにより、マーキング21の視覚効果が上がり、ネジ孔17までの距離をより簡易に判断できる。
【0079】
・上記実施形態では、ロボット底面部(底面部14a)の基準位置として、ネジ孔17を想定したが、ネジ孔17以外に基準位置を想定することも可能である。例えば、ネジ孔17とは異なる位置であって、孔等が何ら設けられていない平面部分に基準位置を定めておくことも可能である。
【0080】
・上記実施形態では、ロボット底面部(底面部14a)にマーキングシート20を貼着することで、そのロボット底面部(底面部14a)にマーキング21を付す構成としたが、これを変更し、ロボット底面部(底面部14a)にペイント等によりマーキング21を描いておく構成であってもよい。
【符号の説明】
【0081】
11…架台、12…ステージ(ロボット設置板)、13…ロボット、14…X軸スライダ装置、14a…底面部、16…貫通孔、17…ネジ孔(基準位置)、18…ネジ(締結具)、20…マーキングシート、21…マーキング、22…図形(三角歯状図形)、23…図形列。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業用のロボットと、該ロボットが設置されるロボット設置板を有する架台とを備える産業用機器に適用され、前記ロボット設置板の上面側に載置された状態で前記ロボットが前記ロボット設置板の下面側から締結具により固定されるロボット設置構造であって、
前記ロボット設置板には、該ロボット設置板の上面のロボット載置領域において上下に貫通する貫通孔が設けられる一方、
前記ロボットにおいて前記ロボット設置板に設置される際に底面となるロボット底面部には、前記ロボット設置板に対する前記ロボットの位置合わせ時に前記貫通孔と同一位置に調整される基準位置が定められているとともに、前記基準位置を含む基準位置周辺領域に、前記基準位置に対する方向情報と同基準位置までの離間距離情報とが付与されたマーキングが付されていることを特徴とするロボット設置構造。
【請求項2】
前記マーキングは、幾何学的形状からなる複数の図形が並ぶ図形列を有し、
前記図形列は、前記基準位置周辺領域において複数設けられており、それら複数の図形列は、前記基準位置を起点として該基準位置から離れるように延設されている請求項1に記載のロボット設置構造。
【請求項3】
前記幾何学的形状からなる複数の図形は、角の頂点を起点とする二辺の直線部を有する三角歯状図形よりなり、
前記三角歯状図形において、前記二辺の直線部における前記頂点に向かう方向が前記方向情報であり、隣り合う三角歯状図形の頂点間の間隔が、前記基準位置までの離間距離に応じて定められる前記離間距離情報である請求項2に記載のロボット設置構造。
【請求項4】
前記図形列の各三角歯状図形は、前記基準位置までの離間距離が大きいほど前記隣り合う三角歯状図形の頂点間の間隔が大きく、前記基準位置までの離間距離が小さいほど前記隣り合う三角歯状図形の頂点間の間隔が小さいものとなっている請求項3に記載のロボット設置構造。
【請求項5】
前記幾何学的形状からなる複数の図形は、角の頂点を起点とする二辺の直線部を有する三角歯状図形よりなり、
前記三角歯状図形において、前記二辺の直線部における前記頂点に向かう方向が前記方向情報であり、前記二辺の直線部の長さが、前記基準位置までの離間距離に応じて定められる前記離間距離情報である請求項2に記載のロボット設置構造。
【請求項6】
前記貫通孔は円形孔であり、
前記図形列は、前記三角歯状図形の二辺の直線部において頂点とは逆側の端点同士の間隔が前記貫通孔の直径寸法よりも小さく、かつ前記逆側の端点同士を結ぶ直線に他の三角歯状図形が重複しないように複数の三角歯状図形が配列されており、
前記図形列の各三角歯状図形は、前記基準位置までの離間距離が大きいほど前記二辺の直線部の長さが大きく、前記基準位置までの離間距離が小さいほど前記二辺の直線部の長さが小さいものとなっている請求項3に記載のロボット設置構造。
【請求項7】
前記ロボット設置板には複数の前記貫通孔が設けられるとともに、前記ロボット底面部には複数の前記基準位置が設けられており、これら複数の貫通孔及び複数の基準位置のうち、最初に位置合わせされる貫通孔及び基準位置が第1貫通孔及び第1基準位置、それよりも後に位置合わせされる貫通孔及び基準位置が第2貫通孔及び第2基準位置であり、
前記第1貫通孔及び第1基準位置には、その位置合わせ後に前記第1貫通孔及び第1基準位置を回転中心として前記ロボットを回転可能とする軸部材が取り付けられ、
前記ロボット底面部において、前記第1基準位置の周辺には、前記ロボットが移動可能となる全方位に複数の前記図形列を分散させて設けた第1マーキングが付されており、前記第2基準位置の周辺には、前記第1基準位置を中心としかつ前記第1基準位置と前記第2基準位置との距離寸法を半径とする円弧に沿って前記図形列を設けた第2マーキングが付されている請求項2乃至6のいずれか一項に記載のロボット設置構造。
【請求項8】
前記マーキングが印刷されたフィルム状のマーキングシートを有し、前記マーキングシートが前記ロボット底面部に貼着されている請求項1乃至7のいずれか一項に記載のロボット設置構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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