ロボット
【課題】 可動部に設けられた押圧ローラおよび離間ローラの交換作業が容易になるロボットを提供すること。
【解決手段】 ロボットAに、開口15を備えたケース部材10と、開口15を塞ぐシャッタ50と、ケース部材10に移動可能に取り付けられたテーブル本体31と、テーブル本体31の移動方向の両側でシャッタ50を開口15の縁部側に押圧する押圧ローラ32aと、押圧ローラ32a間でシャッタ50を開口15の縁部から離間させる離間ローラ32bとを設けた。そして、テーブル本体31の一方側に設置される押圧ローラ32aと離間ローラ32bと、テーブル本体31の他方側に設置される押圧ローラ32aと離間ローラ32bとを一対の支持部材33で支持し、一対の支持部材33をそれぞれねじ37を用いてテーブル本体31の移動方向の一方側および他方側からテーブル本体31に対して着脱可能にした。
【解決手段】 ロボットAに、開口15を備えたケース部材10と、開口15を塞ぐシャッタ50と、ケース部材10に移動可能に取り付けられたテーブル本体31と、テーブル本体31の移動方向の両側でシャッタ50を開口15の縁部側に押圧する押圧ローラ32aと、押圧ローラ32a間でシャッタ50を開口15の縁部から離間させる離間ローラ32bとを設けた。そして、テーブル本体31の一方側に設置される押圧ローラ32aと離間ローラ32bと、テーブル本体31の他方側に設置される押圧ローラ32aと離間ローラ32bとを一対の支持部材33で支持し、一対の支持部材33をそれぞれねじ37を用いてテーブル本体31の移動方向の一方側および他方側からテーブル本体31に対して着脱可能にした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸方向に沿う一面が開口したケース部材と、ケース部材の開口を塞ぐシャッタと、シャッタを開口縁部に押圧する押圧ローラとシャッタを開口縁部から離間させる離間ローラとを備えケース部材に沿って移動する可動部とを備えたロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、一方から他方に向う軸方向に沿って延びるガイドレールに、可動部を移動可能に設けた部品搬送用のロボットが用いられている。このようなロボットの中には、ガイドレール側の部分と可動部側の部分との接触する部分に摩耗が生じるため、その摩耗する部分を所定期間で交換しなければならないものがある(例えば、特許文献1参照)。このロボット(駆動装置)は、固定子と、第1の部材と第2の部材とを有する可動子とを備えており、第2の部材は第1の部材の前後両側部分を覆う断面コ字状の部材で構成され固定子に接触するようにして第1の部材にねじで固定されている。このロボットでは、第2の部材の硬度を、第1の部材の硬度よりも高くすることにより、第2の部材の摩耗による損傷を低減するようにしているが、このロボットにおいても、第2の部材の交換は必要である。
【0003】
また、ロボットの中には、ガイドレールが設けられたケース部材の内部に塵埃や異物が入ったり、ケース部材の内部の塵埃や異物が外部に飛散したりすることを防止するために、ケース部材の内部と外部との間を遮蔽するシャッタが設けられたものもある。このロボットでは、シャッタをケース部材の開口の縁部側に押圧する一対の押圧ローラと、一対の押圧ローラ間でシャッタをケース部材の開口の縁部から離間させる離間ローラとが可動部に備わっている。そして、可動部がガイドレールに沿って移動する際に、可動部が位置する部分でシャッタが上方に持ち上げられ、可動部が通過するとシャッタの可動部によって持ち上げられた部分は下方の開口縁部上面に下降する。このロボットにおいては、押圧ローラおよび離間ローラが消耗するため、所定期間で交換される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−244925号公報
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、このロボットにおいては、可動部の上部に搬送する部品を把持するための種々の装置や部材が設置されており、押圧ローラおよび離間ローラを交換する際には、可動部の上部に設置された装置や部材を取り外したのちに、押圧ローラおよび離間ローラの交換作業が行われるため、交換作業が面倒であるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、その目的は、可動部に設けられた押圧ローラおよび離間ローラの交換作業が容易になるロボットを提供することである。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
【0007】
前述した目的を達成するため、本発明に係るロボットの構成上の特徴は、一方から他方に向う軸方向に延び軸方向に沿う一面が開口したケース部材(10)と、ケース部材の開口を外部から塞いだ状態で両端部がケース部材の軸方向の両端に固定された帯状のシャッタ(50)と、ケース部材の軸方向に移動可能な状態でケース部材に取り付けられた可動部本体(31)と、可動部本体における移動方向の両側でシャッタを開口の縁部側に押圧する押圧ローラ(32a,62a)と、押圧ローラ間でシャッタを開口の縁部から離間させる離間ローラ(32b,62b)と、押圧ローラと離間ローラとを支持した状態で可動部本体の一方側と他方側とにそれぞれ着脱可能になった一対の支持部材(31,61)とを備えたロボット(A)において、一対の支持部材を、可動部本体の一方側に設置される押圧ローラと離間ローラとを支持する第1の支持部材と、可動部本体の他方側に設置される押圧ローラと離間ローラとを支持する第2の支持部材とで構成し、第1の支持部材と第2の支持部材とをそれぞれ固着部材(37)を用いて可動部本体の移動方向の一方側および他方側から可動部本体に対して着脱可能にしたことにある。
【0008】
本発明に係るロボットでは、第1の支持部材と第2の支持部材とがそれぞれ可動部本体の移動方向の一方側または他方側から可動部本体に対して着脱可能になっている。このため、可動部本体の上部に、搬送する部品を把持するための装置や部材が設置されていても、その装置や部材を可動部本体から取り外すことなく、押圧ローラと離間ローラとを第1の支持部材や第2の支持部材とともに交換することができる。これによって、搬送する部品を把持するための装置や部材を可動部本体から着脱する操作が不要になるため、押圧ローラと離間ローラおよびこれらを支持する第1の支持部材や第2の支持部材の交換作業が容易になる。
【0009】
ケース部材における可動部本体の進行方向には、移動の妨げになるため装置や部材等の物は設置されず空間が形成されており、可動部本体の上部には各種の装置や部材が設置される。このため、押圧ローラ、離間ローラおよび支持部材を、可動部本体に対して上方から着脱する場合には、装置や部材を可動部本体から取り外す必要があるが、本発明によるとその操作を省略することができる。また、本発明における固着部材としては、ねじや接着剤などを用いることができる。
【0010】
また、本発明に係るロボットの他の構成上の特徴は、可動部本体の一方側と他方側とにおける両側部分にそれぞれ移動方向に沿って可動部本体の表面から内部に向かって延びる着脱用ねじ穴(31b)を設けるとともに、着脱用ねじ穴に対向するようにして第1および第2の支持部材にそれぞれ移動方向に貫通する着脱用挿通穴を備えた取付片(36a,36b,63b,63c)を設け、固着部材を、着脱用挿通穴を挿通して着脱用ねじ穴に螺合可能な着脱用ねじ(37)で構成したことにある。これによると、簡単な操作で確実に第1および第2の支持部材を可動部本体に対して着脱することができる。
【0011】
また、本発明に係るロボットのさらに他の構成上の特徴は、第1および第2の支持部材(61)を、それぞれ押圧ローラ(62a)を支持する上部支持部材(63)と離間ローラ(62b)を支持する下部支持部材(64)とで構成し、上部支持部材と下部支持部材とをシャッタの表面側と裏面側とに分離可能に組み付けたことにある。この場合、上部支持部材における移動方向に直交する幅方向の両側部分にそれぞれ移動方向に直交する方向に延びる連結用挿通穴(66a,66b)または連結用ねじ穴を設けるとともに、下部支持部材に、上部支持部材における移動方向に直交する幅方向の両側部分に重なるように延びて連結用挿通穴または連結用ねじ穴に対向する部分にそれぞれ連結用ねじ穴(68a,68b)または連結用挿通穴が設けられた連結片(67a,67b)を設け、連結用ねじを、連結用穴に挿通して連結用ねじ穴に螺合させることにより、上部支持部材と下部支持部材とを組み付けることが好ましい。
【0012】
これによると、押圧ローラを支持する上部支持部材と、離間ローラを支持する下部支持部材とを、シャッタの表面側と裏面側とに分離することができるため、ケース部材からシャッタを取り外すことなく、押圧ローラと離間ローラとを第1および第2の支持部材とともに可動部本体に対して着脱することができる。このため、押圧ローラと、離間ローラと、第1および第2の支持部材との交換作業がさらに容易になる。
【0013】
また、本発明に係るロボットのさらに他の構成上の特徴は、下部支持部材を、離間ローラの軸方向の両側に連結された2つの部材(67a,67b)で構成し、かつ2つの部材における離間ローラに連結された部分を離間ローラに対して変位可能にしたことにある。
【0014】
この場合、離間ローラに中心軸を設けてその両側に2つの部材を軸周り方向に回転可能に組み付けることができる。また、離間ローラの両側に軸穴を設けるとともに、2つの部材にその軸穴に挿入可能な軸部を設けて、軸穴に軸部を余裕を持たせて挿入することにより、2つの部材を軸周り方向に回転可能にしたり、軸方向に対して傾斜できるようにしたりすることもできる。これによると、シャッタの裏面側に位置する下部支持部材の形状を変えることができるため、離間ローラと下部支持部材とをシャッタの下方であるケース部材の内部から外部に取出す際の操作が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係るロボットを示した平面図である。
【図2】図1の2−2断面図である。
【図3】図1の3−3断面図である。
【図4】テーブル部とシャッタとを示した斜視図である。
【図5】テーブル部から一方の支持部材を取り外しシャッタを抜き取った状態を示した斜視図である。
【図6】テーブル本体を示した斜視図である。
【図7】図4のテーブル部から一方のカバー部材を取り外した状態を示した斜視図である。
【図8】図7のテーブル部から一方の支持部材を取り外しシャッタを抜き取る状態を示した斜視図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るロボットが備えるテーブル部から一方のカバー部材と支持部材とを取り外した状態を示した斜視図である。
【図10】上部支持部材が取り外されたのちの下部支持部材とシャッタとの位置関係を示しており、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図11】図10の下部支持部材の一方の屈曲片を上方に回転させた状態を示しており、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図12】図11の下部支持部材を水平面上で回転させた状態を示しており、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係るロボットを図面を用いて説明する。図1は、同実施形態に係るロボットAの平面を示している。また、図2は、図1の2−2断面の要部を示しており、図3は、図1の3−3断面の要部を示している。このロボットAは、本発明の軸方向としてのX軸方向(図1の前後方向)に延びるケース部材10と、ケース部材10に移動可能に取り付けられた可動部20と、可動部20をケース部材10のX軸方向に移動させる駆動装置40と、ケース部材10の上面に設置されたシャッタ50とで構成されている。ここで、水平面上でX軸方向に直交する方向(図1のケース部材10の幅方向)をY軸方向、上下方向をZ軸方向とする。
【0017】
ケース部材10は、下部に位置する底部フレーム11と、底部フレーム11の左右上部にそれぞれ配置された一対の上部カバー12,13とを備えている。底部フレーム11は、上面における幅方向の中央部分が両側部分よりも低くなった段部を備えた肉厚板状の底面部11aと、底面部11aの左右両側部から上方に突出した側壁部11b,11cとからなっており、断面形状が上方に開口が位置する略コ字状になった長尺の枠状体で構成されている。底部フレーム11は、アルミ二ウム合金からなる押出材を加工して形成されており、その断面形状は、X軸方向の一端から他端にかけて同一になっている。
【0018】
底面部11aの上面における幅方向中央の凹部になった部分には、駆動装置40の一部を構成するプレート部材41と複数の永久磁石42とが設置されている。プレート部材41は、底面部11aの上面に前後方向に沿って設置されており、プレート部材41の上面に、複数の永久磁石42が、N極とS極とが交互に位置するように前後方向に配列して取り付けられている。また、底面部11aの上面における幅方向の両側の高くなった部分の凹部寄りの部分には、プレート部材41および複数の永久磁石42と平行してX軸方向に延びる一対のガイドレール14a,14bがボルトで固定されている。ガイドレール14a,14bは、細長い棒体で構成されており、その断面における上部には、下部側よりも上部側の方が幅広になった台形部分が形成されている。
【0019】
底面部11aの上面両側部分のそれぞれの幅は、ガイドレール14bが設置された部分(図3の右側部分)の方がガイドレール14aが設置された部分(図3の左側部分)よりも大きくなっており、その幅の大きな方の外側部分(側壁部11c側)に、細長いプレート状の磁気スケール43がX軸方向に沿って設けられている。上部カバー12,13は、それぞれ断面形状がL形に形成され、左右対称に配置された長尺のカバー部材で構成されている。上部カバー12は、略水平に配置された上面部12aと、上面部12aの外側縁部から下方に延びる側面部12bとで構成され、上部カバー13は、略水平に配置された上面部13aと、上面部13aの外側縁部から下方に延びる側面部13bとで構成されている。
【0020】
上部カバー12,13は、上面部12a,13aの互いに対向する内側の縁部どうしを設定された長さだけ離した状態で底部フレーム11の上部に連結固定されている。このため、上面部12a,13aの対向する内側の縁部間には、Y軸方向に一定長さを保ってX軸方向に延びる開口15が形成されている。また、ケース部材10の前後両端には、それぞれ壁面部16(図2参照)が設けられており、その壁面部16の上面に、図1に示したように、固定部材16a,16bを介して、シャッタ50の両端部が固定されている。シャッタ50の左右方向の端部側部分の下面は、上面部12a,13aにおける内側部分の上面に接触しており、このシャッタ50によって開口15は閉塞される。
【0021】
また、上面部12aの内側部分の上面には、上面部12aの外側部分の上面よりも低くなった2段状の段部17aが形成され、上面部13aの内側部分の上面には、上面部13aの外側部分の上面よりも低くなった2段状の段部17bが形成されている。そして、段部17a,17bの対向する側(内側)に位置する低い方の段にマグネットシート18a,18bがそれぞれ設置されている。このマグネットシート18a,18bの上面には、シャッタ50の左右方向の両側部分が設置され、上面部12a,13aの外側部分と、段部17a,17bの外側に位置する高い方の段との間に形成される段部で、シャッタ50の横ずれが規制される。
【0022】
可動部20は、一対のガイドレール14a,14bに移動可能に取り付けられており、スライドテーブル21と、スライドテーブル21の下面両側に設けられた被ガイド部22a,22bとを備えている。スライドテーブル21は、ケース部材10の内部に位置するベース部21aと、ケース部材10の上方に位置するテーブル部30とで構成されており、ベース部21aの下面における左右両側に、被ガイド部22a,22bがボルト(図示せず)により脱可能に固着されている。
【0023】
被ガイド部22a,22bの下面には、前後方向に延びる溝部が形成されており、この溝部の周面にゴムからなるシール部23a,23bが形成されている。被ガイド部22a,22bに形成された溝部の縁部の断面形状は、下部側よりも上部側の方が幅広になり下方が開口した形状になっている。そして、シール部23a,23bの断面形状は、被ガイド部22a,22bの溝部に沿うように、下部側よりも上部側の方が幅広になり下方が開口した形状で、かつ、ガイドレール14a,14bの上部に形成された断面形状が台形になった部分に外嵌できる形状に形成されている。
【0024】
被ガイド部22a,22bの溝部を、シール部23a,23bを介してガイドレール14a,14bの上部に係合させることにより、可動部20は、ガイドレール14a,14bから外れることなくガイドレール14a,14bの延びるX軸方向に摺動できる。また、被ガイド部22a,22bの上部における左右方向の中央には、被ガイド部22a,22bとシール部23a,23bとの間にグリスを供給するための複数のグリス供給路24a,24bが被ガイド部22a,22bの前後方向に所定間隔を保って設けられている。
【0025】
テーブル部30は、ロボットAの用途に応じた各種の装置や部材が設置されるもので、複数のボルト(図示せず)によってベース部21aに連結されている。テーブル部30の外観は、図4に示したように構成されている。このテーブル部30は、図5に示したように、本発明に係る可動部本体を構成するテーブル本体31の前後に、それぞれ同じ構成からなる押圧ローラ32aと離間ローラ32bとを支持する支持部材33を取り付け、その上面、側面および前後の面を一対の同じ構成からなるカバー部材34a,34bで覆って構成されている。なお、図5においては、後方(図5の右上方向)に位置する押圧ローラ32a、離間ローラ32bおよび支持部材33は、カバー部材34bの下方に位置している。
【0026】
テーブル本体31は、図6に示したように、前後および左右がそれぞれ対称に形成されており、前後における幅方向の中央部分にそれぞれ奥側が幅狭になった2段状の凹部31aが形成された平面視が略H形の板状部材で構成されている。また、テーブル本体31の前後における幅方向の両側の突出部分の端面には、前後方向に延びる着脱用ねじ穴31bがそれぞれ形成され、テーブル本体31の左右両側部の上面および側面には、各種の装置や部材を設置するための複数のねじ穴31cが間隔を保って形成されている。また、テーブル本体31の上面における左右両側部の前端部と後端部を除いた部分は、テーブル本体31の上面の他の部分よりも高くなっており、これによって、テーブル本体31の上面には段差が形成されている。
【0027】
支持部材33は、前後よりも左右に長く、テーブル本体31に対向する部分の左右両側に四角形の切り欠き部が形成された板状の平面部33aを備えている。そして、平面部33aにおける前後の一方に支持片35が形成され、平面部33aの両側部に取付片33b,33cが形成され、取付片33b,33cの前後の他方に支持片36が形成されている。支持片35は、左右に間隔を保って形成された一対のL形片35a,35bで構成されており、L形片35a,35bは、それぞれ平面部33aから水平に延びる水平部と、両水平部の内側縁部から対向して下方に延びる垂直部とからなる正面視がL形の片で構成されている。支持片35の両垂直部には、支持穴が形成されており、この支持穴に中心軸部の両側を挿通させた状態で、押圧ローラ32aが支持片35に回転自在に支持されている。
【0028】
取付片33b,33cは、上下方向よりも前後方向が長い四角板状に形成されており、平面部33aの両側部から前後に突出した幅で下方に延びる垂直片で構成されている。また、取付片33b,33cには、それぞれ前後に間隔を保って一対のねじ穴33dが形成されている。支持片36は、取付片33b,33cのテーブル本体31側の端部に左右に間隔を保って形成された一対の屈曲片36a,36bで構成されている。屈曲片36a,36bは、それぞれ凹部31aの壁面に沿えるように延びており、取付片33b,33cの端部から互いに接近するように延びたのちにテーブル本体31側に延びる平面視がL形の外側垂直部と、両外側垂直部の内側先端縁部から対向して互いに接近する方向に延びたのちにテーブル本体31側に延びる平面視がL形の内側垂直部とで構成されている。
【0029】
両内側垂直部の先端部には、支持穴が形成されており、この支持穴に中心軸部の両側を挿通させた状態で、離間ローラ32bが支持片36に回転自在に支持されている。この離間ローラ32bが支持された支持片36は、凹部31a内に収容することができ、そのとき、両外側垂直部には、テーブル本体31の左右両側の突出部分が嵌合する。押圧ローラ32aと、離間ローラ32bとは、略同じ高さに位置するようにして、支持部材33に取り付けられている。なお、押圧ローラ32aと離間ローラ32bとはそれぞれ中心軸の両側を対応する支持穴に挿通させることにより抜け止めされて支持部材33に組み付けられている。
【0030】
また、図示していないが、屈曲片36a,36bの外側垂直部におけるテーブル本体31の左右両側の突出部分に対向する部分には着脱用挿通穴が形成されており、この着脱用挿通穴に、ねじ37(図8参照)を通し、着脱用ねじ穴31bに螺合させることにより、支持部材33は、テーブル本体31に取り付けられている。この場合、一対の支持部材33は、それぞれテーブル本体31の前方または後方から水平方向に移動させて、離間ローラ32bを凹部31a内に入れるようにしてテーブル本体31に近づけたのちに、ねじ37で固定する。なお、屈曲片36a,36bの外側垂直部で本発明に係る取付片が構成され、ねじ37で本発明に係る着脱用ねじが構成される。
【0031】
カバー部材34a,34bは、テーブル部30の前後方向の端部側に位置する部分の左右方向の幅がテーブル部30の前後方向の中央側に位置する部分の幅よりも広くなった略T形の天井部と、天井部の幅広部分の外部側の3つの縁部から下方に延びる3つの側部とで構成されている。そして、左右の側部に、取付片33b,33cの一対のねじ穴33dと同じ間隔を保って、それぞれ一対の挿通穴34cが形成されている。カバー部材34a,34bの幅広部分は、押圧ローラ32aと、支持部材33の支持片35および平面部33aとを覆うことができ、カバー部材34a,34bの幅狭部分は、離間ローラ32bと、支持片36と、テーブル本体31の上面における左右両側部分を除いた段差の低い部分を覆うことができる。
【0032】
このため、まず、カバー部材34a,34bで、それぞれ押圧ローラ32aと離間ローラ32bとを支持する支持部材33およびテーブル本体31の上面における左右両側部分を除いた部分を覆い、カバー部材34a,34bの幅狭部分の端部どうしを突き合わせる。その状態で、各挿通穴34cにねじ38を通しねじ穴33dに螺合させることにより、カバー部材34a,34bを、一対の支持部材33を介してテーブル本体31に取り付けることができる。このとき、テーブル本体31の上面とカバー部材34a,34bの天井部との間には、僅かな隙間が形成される。これによって、テーブル部30は、図4に示したように、段差が殆どなく高さの低い箱状に形成される。この場合、カバー部材34a,34bは、それぞれテーブル本体31の前方または後方から水平方向に移動させて、テーブル本体31に近づけたのちに、ねじ38によって固定する。
【0033】
また、スライドテーブル21のベース部21aの側部(図3における右側の側部)には、磁気ヘッド44が設けられている。この磁気ヘッド44は、底面部11aの上面に設けられた磁気スケール43に対向して配置され、可動部20が移動する際に、磁気スケール43を読み取ることにより可動部20の位置を検出する。また、可動部20におけるベース部21aの下面中央には、可動部20とともに移動する可動ブロック45が取り付けられている。可動ブロック45は、高さよりも左右方向の幅が少し大きく、左右方向の幅よりも前後方向の長さが長くなった矩形に形成されており、プレート部材41の上面に取り付けられた複数の永久磁石42に対向して配置されている。
【0034】
この可動ブロック45の内部には、複数のコイル45aや基板(図示せず)が収納されており、このコイル45aや基板にケーブル(図示せず)の一端が接続されている。このケーブルは、可動部20の側面に設置されたケーブル導入部46を介して、チェーン式ケーブル保持部材(図示せず)の内部に導入されている。ケーブル導入部46は、連結部46bによって可動部20のテーブル部30に連結されており、可動部20と一体的にガイドレール14a,14bの延びる方向に移動可能になっている。また、チェーン式ケーブル保持部材の内部を通過するケーブルの他端は、CPUや記憶装置等からなる制御装置を介して電源に接続されている。
【0035】
プレート部材41、複数の永久磁石42、可動ブロック45および制御装置等で駆動装置40が構成される。この駆動装置40は、コイル45aに電流を流すことにより発生する磁界(N極、S極)と、永久磁石42のN極とS極との間で、N極とS極の引き合う力と、N極どうしおよびS極どうしの反発する力により推進力を発生するリニアモータを含んでいる。このため、電源を入れ制御装置をオン状態にしてコイル45aに電流を流すと、可動部20は、可動ブロック45およびケーブル導入部46とともに、ガイドレール14a,14bに沿って移動する。その際、チェーン式ケーブル保持部材は、屈曲部分の位置を変更させながら、ケーブル導入部46に接続された部分をケーブル導入部46の移動に追従させる。
【0036】
シャッタ50は、ステンレス鋼からなる薄板で構成されており、前後方向の長さが上部カバー12,13の前後方向の長さよりも僅かに短く、左右方向の幅が上部カバー12,13の上面部12a,13aの段部17a,17bに設置されたマグネットシート18a,18bの外側縁部間の長さよりも僅かに長くなっている。このシャッタ50は、長手方向の両端部を、固定部材16a,16bおよび複数のねじ51を介して壁面部16の上面に固定され、ケース部材10の開口15を上方から塞いでいる。
【0037】
また、シャッタ50における可動部20に位置する部分は、図2に示したように、一方側に位置する押圧ローラ32aの下部から離間ローラ32bの上部を通り、他方側に位置する離間ローラ32bの上部から押圧ローラ32aの下部へと掛け渡されている。すなわち、シャッタ50は、テーブル部30のテーブル本体31とカバー部材34a,34bの天井部との間の隙間を通過する。そして、シャッタ50は、テーブル部30内の前後方向の中央側で、一対の離間ローラ32bによって上方に押し上げられ、テーブル部30内の前後方向の両側で、一対の押圧ローラ32aによって左右方向の両縁部下面を、それぞれマグネットシート18a,18bの上面側に付勢される。
【0038】
このように、押圧ローラ32aにシャッタ50の上面が接触し、離間ローラ32bにシャッタ50の下面が接触することにより、可動部20が移動する際に、シャッタ50から受ける摩擦抵抗が小さくなる。また、シャッタ50は、両端部が壁面部16に固定され、テーブル部30内を通過することによりその部分が上方に持ち上げられるため、シャッタ50には、適度な張力が加わるようになり、シャッタ50は撓みのない状態に維持される。なお、シャッタ50の両端には、左右方向よりも前後方向に長い長円状のねじ挿通穴52が形成され、ねじ51はこのねじ挿通穴52を挿通している。このため、ねじ51を緩めてねじ51に対するねじ挿通穴52の位置を変更したのちに、再度ねじ51を締めることにより、シャッタ50の張り具合を調節することができる。
【0039】
このように構成されたロボットAを用いて、例えば、電子部品を所定の場所に順次供給する場合には、テーブル部30に、電子部品を吸着するための吸着装置を取り付ける。そして、ロボットAの電源を入れ制御装置をオン状態にする。これによって、可動ブロック45内のコイル45aに電流が流れ、可動部20は、可動ブロック45およびケーブル導入部46とともにガイドレール14a,14bに沿って移動する。このとき、可動部20の進行方向の先方および後方においては、シャッタ50は、マグネットシート18a,18bの吸引力によって、上面部12a,13aの上面に密着することで、ケース部材10の開口15を塞ぐ。これによって、ケース部材10の内部に塵埃や異物が浸入することが防止される。
【0040】
また、シャッタ50における可動部20の進行方向側に位置する部分は、進行方向の前部に位置する押圧ローラ32aによって上面部12a,13aの上面側に押し付けられた状態から、離間ローラ32bによって上面部12a,13aの上面から上方に持ち上げられる。可動部20の進行方向の後方においては、シャッタ50は、後部に位置する離間ローラ32bによって、水平方向に導かれて上方へ持ち上げられた状態が維持され、さらに、後部に位置する押圧ローラ32aによって、上面部12a,13aの上面側に押し付けられる。このように、可動部20は、前後の押圧ローラ32aでシャッタ50を上面部12a,13a側に押し付けるとともに、押圧ローラ32a間に位置する離間ローラ32bでシャッタ50を上方に持ち上げながら往復移動していく。
【0041】
そして、長時間の使用により、押圧ローラ32aおよび離間ローラ32bが摩耗したときには、押圧ローラ32aおよび離間ローラ32bを支持部材33とともに未使用のものに取り替える操作が行われる。この取り替え操作を、図4、図7、図8および図5を用いて説明する。なお、これらの図において、省略しているが、テーブル部30は、ベース部21aとともに、ガイドレール14a,14bを介してケース部材10に設置されており、テーブル部30の上面には吸着装置が設置された状態になっている。
【0042】
この場合、まず、図4の状態から、カバー部材34bを前部側の支持部材33に固定している4個のねじ38を取り外したのちに、カバー部材34bをX軸方向に沿って手前側に引っ張って前部側の支持部材33から取り外して図7の状態にする。この場合、吸着装置は、テーブル本体31の両側部に固定されているため、カバー部材34bは容易に取り外すことができる。ついで、前部側の支持部材33をテーブル本体31に固定しているねじ37を取り外して、前部側の支持部材33を押圧ローラ32aおよび離間ローラ32bとともに前方に移動させる。このとき、押圧ローラ32aはシャッタ50の表面側に位置し、離間ローラ32bはシャッタ50の裏面側に位置している。
【0043】
つぎに、カバー部材34aを後部側の支持部材33に固定している4個のねじ38を取り外すとともに、シャッタ50の後端部を固定部材16bを介して壁面部16に固定しているねじ51を取り外して図8の状態にする。そして、シャッタ50を手前に引っ張ってテーブル部30から抜き取り、図5の状態にする。これによって、前部側の支持部材33と、それに支持されている押圧ローラ32aおよび離間ローラ32bをロボットAから取り除くことができる。
【0044】
後部側の支持部材33と、それに支持されている押圧ローラ32aおよび離間ローラ32bを取り外すときには、図5の状態から、テーブル本体31等を少し前方に移動させたのちに、カバー部材34aをX軸方向に沿って後方に引っ張って後部側の支持部材33から取り外す。そして、後部側の支持部材33をテーブル本体31に固定しているねじ37を取り外して、後部側の支持部材33を押圧ローラ32aおよび離間ローラ32bとともに後方に移動させる。これによって、後部側の支持部材33と、それに支持されている押圧ローラ32aおよび離間ローラ32bをロボットAから取り除くことができる。
【0045】
そして、新しい押圧ローラ32aと離間ローラ32bとが取り付けられた支持部材33を、それぞれテーブル本体31の前方側と後方側とからテーブル本体31に近づけて、テーブル本体31の前部と後部とにねじ37で固定する。ついで、シャッタ50の壁面部16から取り外されている端部側を、前方の押圧ローラ32aの下部から前方の離間ローラ32bの上部、後方の離間ローラ32bの上部、後方の押圧ローラ32aの下部に順次通してその端部を固定部材16bとねじ51とで、壁面部16に固定する。
【0046】
そして、カバー部材34aを前方から後方に向かって水平方向にスライドさせるようにして、前方の支持部材33の上方からテーブル本体31の上面に設置して前方の支持部材33に4個のねじ38で固定する。同様に、カバー部材34bを後方から前方に向かって水平方向にスライドさせるようにして、後方の支持部材33の上方からテーブル本体31の上面に設置して後方の支持部材33に4個のねじ38で固定する。これによって、一対の支持部材33と、それに支持されている押圧ローラ32aおよび離間ローラ32bの交換作業が終了する。
【0047】
このように、本実施形態に係るロボットAでは、一対の支持部材33がそれぞれテーブル本体31に対して可動部20の移動方向の前方および後方から着脱可能になっている。さらに、カバー部材34a,34bがそれぞれ一対の支持部材33に対して可動部20の移動方向の前方および後方から着脱可能になっている。このため、テーブル本体31の上部に設置されている吸着装置をテーブル本体31から取り外すことなく、支持部材33とそれに支持されている押圧ローラ32aおよび離間ローラ32bを交換することができ、これによって、支持部材33等の交換作業が容易かつ簡単になる。
【0048】
(第2実施形態)
図9は、本発明の第2実施形態に係るロボットが備えるテーブル部60の一部を分解した状態を示している。このテーブル部60では、一対の支持部材61は、それぞれ押圧ローラ62aを支持する上部支持部材63と、離間ローラ62bを支持する下部支持部材64とで構成されている。上部支持部材63は、前述した支持部材33の平面部33aと同形の平面部63aの前後の一方に支持片65を形成し、平面部63aの両側部に取付片63b,63cを形成した構成をしている。支持片65は、左右に間隔を保って形成された一対の片で構成されており、この一対の片は前述したL形片35a,35bと同形のL形片65a,65bの外側縁部にそれぞれ側面視がL形の突起65c,65dを形成した構成をしている。
【0049】
突起65cは、L形片65aの外側縁部から下方に延びたのちに屈曲して平面部63aの下方側に延び、突起65dは、L形片65bの外側縁部から下方に延びたのちに屈曲して平面部63aの下方側に延びている。取付片63b,63cは、前述した取付片33b,33cに屈曲片36a,36bの外側垂直部を含めた形状をしており、それぞれ前後に間隔を保った一対のねじ穴63dを備えている。なお、図示していないが、取付片63b,63cにおける外側垂直部に対応する部分には着脱用挿通穴が形成されている。また、平面部63aにおける突起65cの近傍には、連結用挿通穴66aが形成され、平面部63aにおける突起65dの近傍には、連結用挿通穴66bが形成されている。本実施形態においては、取付片63b,63cにおける外側垂直部に対応する部分で本発明に係る取付片が構成される。
【0050】
下部支持部材64は、離間ローラ62bの中心軸部の両側に中心軸部に対して回転可能に取り付けられた一対の屈曲片67a,67bで構成されている。屈曲片67a,67bは、それぞれ、離間ローラ62bの中心軸部を挿通させる支持穴を備え離間ローラ62bを挟んで対向する対向片と、その各対向片の縁部から互いに離れるように外側に延びたのちに上部支持部材63側に延びるL形の片と、L形の片の先端上部から屈曲して互いの間隔を狭めるように延びる四角形の連結片とで構成されている。なお、離間ローラ62bの中心軸部の両端には、中心軸部が支持穴から抜けることを防止する大径部62c(図10ないし図12参照)が形成されており、これによって、離間ローラ62bは、外れることなく下部支持部材64に組み付けられている。
【0051】
両連結片には、連結用挿通穴66a,66bと同じ間隔で連結用ねじ穴68a,68bが形成されている。下部支持部材64は、両連結片を平面部63aの下面に位置させ、2個のねじ69を連結用挿通穴66a,66bを通し、連結用ねじ穴68a,68bに螺合させることにより、上部支持部材63に連結される。このとき両連結片の先端部は、突起65c,65dの凹部内に位置して、横ずれを防止される。なお、ねじ69で本発明に係る連結用ねじが構成される。このテーブル部60を備えたロボットのそれ以外の部分の構成については、前述したロボットAと同一である。したがって、同一部分に同一符号を記して説明は省略する。
【0052】
この構成において、テーブル部60を備えたロボットを使用する際には、前述したロボットAと同様にして使用することができる。そして、押圧ローラ62aおよび離間ローラ62bが摩耗して、未使用のものに取り替える際には、前述したロボットAの場合と同様、まず、カバー部材34bを前部側の支持部材61に固定している4個のねじ38を取り外したのちに、カバー部材34bをX軸方向に沿って手前側に引っ張って前部側の支持部材33から取り外す。ついで、前部側の支持部材61をテーブル本体31に固定している2個のねじ37を取り外して、前部側の支持部材61を前方に移動させる。
【0053】
つぎに、ねじ69を取り外して、押圧ローラ62aを支持する上部支持部材63と、離間ローラ62bを支持する下部支持部材64とを分離するとともに、カバー部材34aを後部側の支持部材61に固定している4個のねじ38を取り外して図9の状態にする。これによって、押圧ローラ62aを支持する上部支持部材63は、シャッタ50の表面側に位置して取外し可能な状態になり、離間ローラ62bを支持する下部支持部材64は、シャッタ50の裏面側に位置して、図10に示した状態になる。この状態では、下部支持部材64は、シャッタ50に遮られてケース部材10から取り出すことができない。
【0054】
このため、下部支持部材64をケース部材10から取り出すためには、図10の状態から、一対の屈曲片67a,67bのうちの一方、例えば、屈曲片67aを上方に回転させて、図11の状態にする。つぎに、屈曲片67a,67bの両連結片をそれぞれシャッタ50の幅方向の外側に位置させるように、離間ローラ62bを水平面上で回転させて図12の状態にする。そして、シャッタ50を開口15から浮かせた状態で、屈曲片67bをシャッタ50の裏面側に入れて、屈曲片67aを引っ張り、ケース部材10の開口縁部とシャッタ50との隙間から離間ローラ62bと屈曲片67bとを順次取出す。この場合、ねじ51を緩めてシャッタ50を撓ませてもよい。後部側の支持部材61と、それに支持されている押圧ローラ62aおよび離間ローラ62bも同様にしてケース部材10内から取り外す。
【0055】
そして、新しい押圧ローラ62aと離間ローラ62bとが取り付けられた支持部材61をそれぞれ、テーブル本体31の前部と後部とに取り付ける。この場合、図10ないし図12を用いて説明した取外しの操作と逆の操作により、まず、離間ローラ62bを支持する下部支持部材64をシャッタ50の裏面側に配置する。つぎに、シャッタ50の表面側に押圧ローラ62aを支持する上部支持部材63を位置させて、ねじ69で上部支持部材63と下部支持部材64とを固定する。そして、前述したロボットAの場合と同様の操作により、テーブル本体31の前部と後部にそれぞれ支持部材61を取り付け、さらに、カバー部材34a,34bも取り付ける。これによって、一対の支持部材61と、それに支持されている押圧ローラ62aおよび離間ローラ62bとの交換作業が終了する。
【0056】
このように、本実施形態に係るロボットでは、押圧ローラ62aを支持する上部支持部材63と、離間ローラ62bを支持する下部支持部材64とを、シャッタ50の表面側と裏面側とに分離することができ、かつ下部支持部材64を構成する屈曲片67a,67bが離間ローラ62bの中心軸部に対して軸周り方向に回転可能になっている。このため、ケース部材10からシャッタ50を取り外すことなく、押圧ローラ62aと離間ローラ62bとを支持部材61とともにテーブル本体31に対して着脱することができる。このため、押圧ローラ62aと、離間ローラ62bと、支持部材61との交換作業がさらに容易になる。このロボットのそれ以外の作用効果については、前述したロボットAの作用効果と同様である。
【0057】
また、本発明に係るロボットは、前述した各実施形態に限定するものでなく、適宜変更して実施することができる。例えば、前述した実施形態では、支持部材33,61をテーブル本体31に固着するための固着部材をねじ37で構成しているが、この固着部材としては、接着剤を用いてもよい。この場合、例えば、支持部材33,61とテーブル本体31との間に、互いに嵌合可能な凹部と凸部を設け、凹部と凸部との接触面を接着剤で固着することができる。
【0058】
また、第2実施形態では、下部支持部材64の連結片を平面部63aの下面に位置させているが、この連結片は上部支持部材63の外側部側から平面部63aの上面に延びるように形成してもよい。この場合、連結片に連結用挿通穴を設け、上部支持部材63に連結用ねじ穴を設ける。さらに、第2実施形態では、屈曲片67a,67bは、離間ローラ62bの中心軸部の軸周り方向に回転可能になっているが、この屈曲片67a,67bは、軸周り方向だけでなく、中心軸に対して傾斜する方向にも変位可能にしてもよい。また、前述した各実施形態では、ロボットA等にそれぞれ1個の可動部20が備わっているが、各ロボットに複数の可動部20を設けてもよい。さらに、本発明に係るロボットのそれ以外の部分の構成についても、本発明の技術的範囲内で適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0059】
10…ケース部材、15…開口、16…壁面部、20…可動部、31…テーブル本体、31b…着脱用ねじ穴、32a,62a…押圧ローラ、32b,62b…離間ローラ、33,61…支持部材、35,36,65…支持片、36a,36b,67a,67b…屈曲片、37,69…ねじ、50…シャッタ、63…上部支持部材、64…下部支持部材、66a,66b…連結用挿通穴、68a,68b…連結用ねじ穴、A…ロボット。
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸方向に沿う一面が開口したケース部材と、ケース部材の開口を塞ぐシャッタと、シャッタを開口縁部に押圧する押圧ローラとシャッタを開口縁部から離間させる離間ローラとを備えケース部材に沿って移動する可動部とを備えたロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、一方から他方に向う軸方向に沿って延びるガイドレールに、可動部を移動可能に設けた部品搬送用のロボットが用いられている。このようなロボットの中には、ガイドレール側の部分と可動部側の部分との接触する部分に摩耗が生じるため、その摩耗する部分を所定期間で交換しなければならないものがある(例えば、特許文献1参照)。このロボット(駆動装置)は、固定子と、第1の部材と第2の部材とを有する可動子とを備えており、第2の部材は第1の部材の前後両側部分を覆う断面コ字状の部材で構成され固定子に接触するようにして第1の部材にねじで固定されている。このロボットでは、第2の部材の硬度を、第1の部材の硬度よりも高くすることにより、第2の部材の摩耗による損傷を低減するようにしているが、このロボットにおいても、第2の部材の交換は必要である。
【0003】
また、ロボットの中には、ガイドレールが設けられたケース部材の内部に塵埃や異物が入ったり、ケース部材の内部の塵埃や異物が外部に飛散したりすることを防止するために、ケース部材の内部と外部との間を遮蔽するシャッタが設けられたものもある。このロボットでは、シャッタをケース部材の開口の縁部側に押圧する一対の押圧ローラと、一対の押圧ローラ間でシャッタをケース部材の開口の縁部から離間させる離間ローラとが可動部に備わっている。そして、可動部がガイドレールに沿って移動する際に、可動部が位置する部分でシャッタが上方に持ち上げられ、可動部が通過するとシャッタの可動部によって持ち上げられた部分は下方の開口縁部上面に下降する。このロボットにおいては、押圧ローラおよび離間ローラが消耗するため、所定期間で交換される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−244925号公報
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、このロボットにおいては、可動部の上部に搬送する部品を把持するための種々の装置や部材が設置されており、押圧ローラおよび離間ローラを交換する際には、可動部の上部に設置された装置や部材を取り外したのちに、押圧ローラおよび離間ローラの交換作業が行われるため、交換作業が面倒であるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、その目的は、可動部に設けられた押圧ローラおよび離間ローラの交換作業が容易になるロボットを提供することである。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
【0007】
前述した目的を達成するため、本発明に係るロボットの構成上の特徴は、一方から他方に向う軸方向に延び軸方向に沿う一面が開口したケース部材(10)と、ケース部材の開口を外部から塞いだ状態で両端部がケース部材の軸方向の両端に固定された帯状のシャッタ(50)と、ケース部材の軸方向に移動可能な状態でケース部材に取り付けられた可動部本体(31)と、可動部本体における移動方向の両側でシャッタを開口の縁部側に押圧する押圧ローラ(32a,62a)と、押圧ローラ間でシャッタを開口の縁部から離間させる離間ローラ(32b,62b)と、押圧ローラと離間ローラとを支持した状態で可動部本体の一方側と他方側とにそれぞれ着脱可能になった一対の支持部材(31,61)とを備えたロボット(A)において、一対の支持部材を、可動部本体の一方側に設置される押圧ローラと離間ローラとを支持する第1の支持部材と、可動部本体の他方側に設置される押圧ローラと離間ローラとを支持する第2の支持部材とで構成し、第1の支持部材と第2の支持部材とをそれぞれ固着部材(37)を用いて可動部本体の移動方向の一方側および他方側から可動部本体に対して着脱可能にしたことにある。
【0008】
本発明に係るロボットでは、第1の支持部材と第2の支持部材とがそれぞれ可動部本体の移動方向の一方側または他方側から可動部本体に対して着脱可能になっている。このため、可動部本体の上部に、搬送する部品を把持するための装置や部材が設置されていても、その装置や部材を可動部本体から取り外すことなく、押圧ローラと離間ローラとを第1の支持部材や第2の支持部材とともに交換することができる。これによって、搬送する部品を把持するための装置や部材を可動部本体から着脱する操作が不要になるため、押圧ローラと離間ローラおよびこれらを支持する第1の支持部材や第2の支持部材の交換作業が容易になる。
【0009】
ケース部材における可動部本体の進行方向には、移動の妨げになるため装置や部材等の物は設置されず空間が形成されており、可動部本体の上部には各種の装置や部材が設置される。このため、押圧ローラ、離間ローラおよび支持部材を、可動部本体に対して上方から着脱する場合には、装置や部材を可動部本体から取り外す必要があるが、本発明によるとその操作を省略することができる。また、本発明における固着部材としては、ねじや接着剤などを用いることができる。
【0010】
また、本発明に係るロボットの他の構成上の特徴は、可動部本体の一方側と他方側とにおける両側部分にそれぞれ移動方向に沿って可動部本体の表面から内部に向かって延びる着脱用ねじ穴(31b)を設けるとともに、着脱用ねじ穴に対向するようにして第1および第2の支持部材にそれぞれ移動方向に貫通する着脱用挿通穴を備えた取付片(36a,36b,63b,63c)を設け、固着部材を、着脱用挿通穴を挿通して着脱用ねじ穴に螺合可能な着脱用ねじ(37)で構成したことにある。これによると、簡単な操作で確実に第1および第2の支持部材を可動部本体に対して着脱することができる。
【0011】
また、本発明に係るロボットのさらに他の構成上の特徴は、第1および第2の支持部材(61)を、それぞれ押圧ローラ(62a)を支持する上部支持部材(63)と離間ローラ(62b)を支持する下部支持部材(64)とで構成し、上部支持部材と下部支持部材とをシャッタの表面側と裏面側とに分離可能に組み付けたことにある。この場合、上部支持部材における移動方向に直交する幅方向の両側部分にそれぞれ移動方向に直交する方向に延びる連結用挿通穴(66a,66b)または連結用ねじ穴を設けるとともに、下部支持部材に、上部支持部材における移動方向に直交する幅方向の両側部分に重なるように延びて連結用挿通穴または連結用ねじ穴に対向する部分にそれぞれ連結用ねじ穴(68a,68b)または連結用挿通穴が設けられた連結片(67a,67b)を設け、連結用ねじを、連結用穴に挿通して連結用ねじ穴に螺合させることにより、上部支持部材と下部支持部材とを組み付けることが好ましい。
【0012】
これによると、押圧ローラを支持する上部支持部材と、離間ローラを支持する下部支持部材とを、シャッタの表面側と裏面側とに分離することができるため、ケース部材からシャッタを取り外すことなく、押圧ローラと離間ローラとを第1および第2の支持部材とともに可動部本体に対して着脱することができる。このため、押圧ローラと、離間ローラと、第1および第2の支持部材との交換作業がさらに容易になる。
【0013】
また、本発明に係るロボットのさらに他の構成上の特徴は、下部支持部材を、離間ローラの軸方向の両側に連結された2つの部材(67a,67b)で構成し、かつ2つの部材における離間ローラに連結された部分を離間ローラに対して変位可能にしたことにある。
【0014】
この場合、離間ローラに中心軸を設けてその両側に2つの部材を軸周り方向に回転可能に組み付けることができる。また、離間ローラの両側に軸穴を設けるとともに、2つの部材にその軸穴に挿入可能な軸部を設けて、軸穴に軸部を余裕を持たせて挿入することにより、2つの部材を軸周り方向に回転可能にしたり、軸方向に対して傾斜できるようにしたりすることもできる。これによると、シャッタの裏面側に位置する下部支持部材の形状を変えることができるため、離間ローラと下部支持部材とをシャッタの下方であるケース部材の内部から外部に取出す際の操作が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係るロボットを示した平面図である。
【図2】図1の2−2断面図である。
【図3】図1の3−3断面図である。
【図4】テーブル部とシャッタとを示した斜視図である。
【図5】テーブル部から一方の支持部材を取り外しシャッタを抜き取った状態を示した斜視図である。
【図6】テーブル本体を示した斜視図である。
【図7】図4のテーブル部から一方のカバー部材を取り外した状態を示した斜視図である。
【図8】図7のテーブル部から一方の支持部材を取り外しシャッタを抜き取る状態を示した斜視図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るロボットが備えるテーブル部から一方のカバー部材と支持部材とを取り外した状態を示した斜視図である。
【図10】上部支持部材が取り外されたのちの下部支持部材とシャッタとの位置関係を示しており、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図11】図10の下部支持部材の一方の屈曲片を上方に回転させた状態を示しており、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図12】図11の下部支持部材を水平面上で回転させた状態を示しており、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係るロボットを図面を用いて説明する。図1は、同実施形態に係るロボットAの平面を示している。また、図2は、図1の2−2断面の要部を示しており、図3は、図1の3−3断面の要部を示している。このロボットAは、本発明の軸方向としてのX軸方向(図1の前後方向)に延びるケース部材10と、ケース部材10に移動可能に取り付けられた可動部20と、可動部20をケース部材10のX軸方向に移動させる駆動装置40と、ケース部材10の上面に設置されたシャッタ50とで構成されている。ここで、水平面上でX軸方向に直交する方向(図1のケース部材10の幅方向)をY軸方向、上下方向をZ軸方向とする。
【0017】
ケース部材10は、下部に位置する底部フレーム11と、底部フレーム11の左右上部にそれぞれ配置された一対の上部カバー12,13とを備えている。底部フレーム11は、上面における幅方向の中央部分が両側部分よりも低くなった段部を備えた肉厚板状の底面部11aと、底面部11aの左右両側部から上方に突出した側壁部11b,11cとからなっており、断面形状が上方に開口が位置する略コ字状になった長尺の枠状体で構成されている。底部フレーム11は、アルミ二ウム合金からなる押出材を加工して形成されており、その断面形状は、X軸方向の一端から他端にかけて同一になっている。
【0018】
底面部11aの上面における幅方向中央の凹部になった部分には、駆動装置40の一部を構成するプレート部材41と複数の永久磁石42とが設置されている。プレート部材41は、底面部11aの上面に前後方向に沿って設置されており、プレート部材41の上面に、複数の永久磁石42が、N極とS極とが交互に位置するように前後方向に配列して取り付けられている。また、底面部11aの上面における幅方向の両側の高くなった部分の凹部寄りの部分には、プレート部材41および複数の永久磁石42と平行してX軸方向に延びる一対のガイドレール14a,14bがボルトで固定されている。ガイドレール14a,14bは、細長い棒体で構成されており、その断面における上部には、下部側よりも上部側の方が幅広になった台形部分が形成されている。
【0019】
底面部11aの上面両側部分のそれぞれの幅は、ガイドレール14bが設置された部分(図3の右側部分)の方がガイドレール14aが設置された部分(図3の左側部分)よりも大きくなっており、その幅の大きな方の外側部分(側壁部11c側)に、細長いプレート状の磁気スケール43がX軸方向に沿って設けられている。上部カバー12,13は、それぞれ断面形状がL形に形成され、左右対称に配置された長尺のカバー部材で構成されている。上部カバー12は、略水平に配置された上面部12aと、上面部12aの外側縁部から下方に延びる側面部12bとで構成され、上部カバー13は、略水平に配置された上面部13aと、上面部13aの外側縁部から下方に延びる側面部13bとで構成されている。
【0020】
上部カバー12,13は、上面部12a,13aの互いに対向する内側の縁部どうしを設定された長さだけ離した状態で底部フレーム11の上部に連結固定されている。このため、上面部12a,13aの対向する内側の縁部間には、Y軸方向に一定長さを保ってX軸方向に延びる開口15が形成されている。また、ケース部材10の前後両端には、それぞれ壁面部16(図2参照)が設けられており、その壁面部16の上面に、図1に示したように、固定部材16a,16bを介して、シャッタ50の両端部が固定されている。シャッタ50の左右方向の端部側部分の下面は、上面部12a,13aにおける内側部分の上面に接触しており、このシャッタ50によって開口15は閉塞される。
【0021】
また、上面部12aの内側部分の上面には、上面部12aの外側部分の上面よりも低くなった2段状の段部17aが形成され、上面部13aの内側部分の上面には、上面部13aの外側部分の上面よりも低くなった2段状の段部17bが形成されている。そして、段部17a,17bの対向する側(内側)に位置する低い方の段にマグネットシート18a,18bがそれぞれ設置されている。このマグネットシート18a,18bの上面には、シャッタ50の左右方向の両側部分が設置され、上面部12a,13aの外側部分と、段部17a,17bの外側に位置する高い方の段との間に形成される段部で、シャッタ50の横ずれが規制される。
【0022】
可動部20は、一対のガイドレール14a,14bに移動可能に取り付けられており、スライドテーブル21と、スライドテーブル21の下面両側に設けられた被ガイド部22a,22bとを備えている。スライドテーブル21は、ケース部材10の内部に位置するベース部21aと、ケース部材10の上方に位置するテーブル部30とで構成されており、ベース部21aの下面における左右両側に、被ガイド部22a,22bがボルト(図示せず)により脱可能に固着されている。
【0023】
被ガイド部22a,22bの下面には、前後方向に延びる溝部が形成されており、この溝部の周面にゴムからなるシール部23a,23bが形成されている。被ガイド部22a,22bに形成された溝部の縁部の断面形状は、下部側よりも上部側の方が幅広になり下方が開口した形状になっている。そして、シール部23a,23bの断面形状は、被ガイド部22a,22bの溝部に沿うように、下部側よりも上部側の方が幅広になり下方が開口した形状で、かつ、ガイドレール14a,14bの上部に形成された断面形状が台形になった部分に外嵌できる形状に形成されている。
【0024】
被ガイド部22a,22bの溝部を、シール部23a,23bを介してガイドレール14a,14bの上部に係合させることにより、可動部20は、ガイドレール14a,14bから外れることなくガイドレール14a,14bの延びるX軸方向に摺動できる。また、被ガイド部22a,22bの上部における左右方向の中央には、被ガイド部22a,22bとシール部23a,23bとの間にグリスを供給するための複数のグリス供給路24a,24bが被ガイド部22a,22bの前後方向に所定間隔を保って設けられている。
【0025】
テーブル部30は、ロボットAの用途に応じた各種の装置や部材が設置されるもので、複数のボルト(図示せず)によってベース部21aに連結されている。テーブル部30の外観は、図4に示したように構成されている。このテーブル部30は、図5に示したように、本発明に係る可動部本体を構成するテーブル本体31の前後に、それぞれ同じ構成からなる押圧ローラ32aと離間ローラ32bとを支持する支持部材33を取り付け、その上面、側面および前後の面を一対の同じ構成からなるカバー部材34a,34bで覆って構成されている。なお、図5においては、後方(図5の右上方向)に位置する押圧ローラ32a、離間ローラ32bおよび支持部材33は、カバー部材34bの下方に位置している。
【0026】
テーブル本体31は、図6に示したように、前後および左右がそれぞれ対称に形成されており、前後における幅方向の中央部分にそれぞれ奥側が幅狭になった2段状の凹部31aが形成された平面視が略H形の板状部材で構成されている。また、テーブル本体31の前後における幅方向の両側の突出部分の端面には、前後方向に延びる着脱用ねじ穴31bがそれぞれ形成され、テーブル本体31の左右両側部の上面および側面には、各種の装置や部材を設置するための複数のねじ穴31cが間隔を保って形成されている。また、テーブル本体31の上面における左右両側部の前端部と後端部を除いた部分は、テーブル本体31の上面の他の部分よりも高くなっており、これによって、テーブル本体31の上面には段差が形成されている。
【0027】
支持部材33は、前後よりも左右に長く、テーブル本体31に対向する部分の左右両側に四角形の切り欠き部が形成された板状の平面部33aを備えている。そして、平面部33aにおける前後の一方に支持片35が形成され、平面部33aの両側部に取付片33b,33cが形成され、取付片33b,33cの前後の他方に支持片36が形成されている。支持片35は、左右に間隔を保って形成された一対のL形片35a,35bで構成されており、L形片35a,35bは、それぞれ平面部33aから水平に延びる水平部と、両水平部の内側縁部から対向して下方に延びる垂直部とからなる正面視がL形の片で構成されている。支持片35の両垂直部には、支持穴が形成されており、この支持穴に中心軸部の両側を挿通させた状態で、押圧ローラ32aが支持片35に回転自在に支持されている。
【0028】
取付片33b,33cは、上下方向よりも前後方向が長い四角板状に形成されており、平面部33aの両側部から前後に突出した幅で下方に延びる垂直片で構成されている。また、取付片33b,33cには、それぞれ前後に間隔を保って一対のねじ穴33dが形成されている。支持片36は、取付片33b,33cのテーブル本体31側の端部に左右に間隔を保って形成された一対の屈曲片36a,36bで構成されている。屈曲片36a,36bは、それぞれ凹部31aの壁面に沿えるように延びており、取付片33b,33cの端部から互いに接近するように延びたのちにテーブル本体31側に延びる平面視がL形の外側垂直部と、両外側垂直部の内側先端縁部から対向して互いに接近する方向に延びたのちにテーブル本体31側に延びる平面視がL形の内側垂直部とで構成されている。
【0029】
両内側垂直部の先端部には、支持穴が形成されており、この支持穴に中心軸部の両側を挿通させた状態で、離間ローラ32bが支持片36に回転自在に支持されている。この離間ローラ32bが支持された支持片36は、凹部31a内に収容することができ、そのとき、両外側垂直部には、テーブル本体31の左右両側の突出部分が嵌合する。押圧ローラ32aと、離間ローラ32bとは、略同じ高さに位置するようにして、支持部材33に取り付けられている。なお、押圧ローラ32aと離間ローラ32bとはそれぞれ中心軸の両側を対応する支持穴に挿通させることにより抜け止めされて支持部材33に組み付けられている。
【0030】
また、図示していないが、屈曲片36a,36bの外側垂直部におけるテーブル本体31の左右両側の突出部分に対向する部分には着脱用挿通穴が形成されており、この着脱用挿通穴に、ねじ37(図8参照)を通し、着脱用ねじ穴31bに螺合させることにより、支持部材33は、テーブル本体31に取り付けられている。この場合、一対の支持部材33は、それぞれテーブル本体31の前方または後方から水平方向に移動させて、離間ローラ32bを凹部31a内に入れるようにしてテーブル本体31に近づけたのちに、ねじ37で固定する。なお、屈曲片36a,36bの外側垂直部で本発明に係る取付片が構成され、ねじ37で本発明に係る着脱用ねじが構成される。
【0031】
カバー部材34a,34bは、テーブル部30の前後方向の端部側に位置する部分の左右方向の幅がテーブル部30の前後方向の中央側に位置する部分の幅よりも広くなった略T形の天井部と、天井部の幅広部分の外部側の3つの縁部から下方に延びる3つの側部とで構成されている。そして、左右の側部に、取付片33b,33cの一対のねじ穴33dと同じ間隔を保って、それぞれ一対の挿通穴34cが形成されている。カバー部材34a,34bの幅広部分は、押圧ローラ32aと、支持部材33の支持片35および平面部33aとを覆うことができ、カバー部材34a,34bの幅狭部分は、離間ローラ32bと、支持片36と、テーブル本体31の上面における左右両側部分を除いた段差の低い部分を覆うことができる。
【0032】
このため、まず、カバー部材34a,34bで、それぞれ押圧ローラ32aと離間ローラ32bとを支持する支持部材33およびテーブル本体31の上面における左右両側部分を除いた部分を覆い、カバー部材34a,34bの幅狭部分の端部どうしを突き合わせる。その状態で、各挿通穴34cにねじ38を通しねじ穴33dに螺合させることにより、カバー部材34a,34bを、一対の支持部材33を介してテーブル本体31に取り付けることができる。このとき、テーブル本体31の上面とカバー部材34a,34bの天井部との間には、僅かな隙間が形成される。これによって、テーブル部30は、図4に示したように、段差が殆どなく高さの低い箱状に形成される。この場合、カバー部材34a,34bは、それぞれテーブル本体31の前方または後方から水平方向に移動させて、テーブル本体31に近づけたのちに、ねじ38によって固定する。
【0033】
また、スライドテーブル21のベース部21aの側部(図3における右側の側部)には、磁気ヘッド44が設けられている。この磁気ヘッド44は、底面部11aの上面に設けられた磁気スケール43に対向して配置され、可動部20が移動する際に、磁気スケール43を読み取ることにより可動部20の位置を検出する。また、可動部20におけるベース部21aの下面中央には、可動部20とともに移動する可動ブロック45が取り付けられている。可動ブロック45は、高さよりも左右方向の幅が少し大きく、左右方向の幅よりも前後方向の長さが長くなった矩形に形成されており、プレート部材41の上面に取り付けられた複数の永久磁石42に対向して配置されている。
【0034】
この可動ブロック45の内部には、複数のコイル45aや基板(図示せず)が収納されており、このコイル45aや基板にケーブル(図示せず)の一端が接続されている。このケーブルは、可動部20の側面に設置されたケーブル導入部46を介して、チェーン式ケーブル保持部材(図示せず)の内部に導入されている。ケーブル導入部46は、連結部46bによって可動部20のテーブル部30に連結されており、可動部20と一体的にガイドレール14a,14bの延びる方向に移動可能になっている。また、チェーン式ケーブル保持部材の内部を通過するケーブルの他端は、CPUや記憶装置等からなる制御装置を介して電源に接続されている。
【0035】
プレート部材41、複数の永久磁石42、可動ブロック45および制御装置等で駆動装置40が構成される。この駆動装置40は、コイル45aに電流を流すことにより発生する磁界(N極、S極)と、永久磁石42のN極とS極との間で、N極とS極の引き合う力と、N極どうしおよびS極どうしの反発する力により推進力を発生するリニアモータを含んでいる。このため、電源を入れ制御装置をオン状態にしてコイル45aに電流を流すと、可動部20は、可動ブロック45およびケーブル導入部46とともに、ガイドレール14a,14bに沿って移動する。その際、チェーン式ケーブル保持部材は、屈曲部分の位置を変更させながら、ケーブル導入部46に接続された部分をケーブル導入部46の移動に追従させる。
【0036】
シャッタ50は、ステンレス鋼からなる薄板で構成されており、前後方向の長さが上部カバー12,13の前後方向の長さよりも僅かに短く、左右方向の幅が上部カバー12,13の上面部12a,13aの段部17a,17bに設置されたマグネットシート18a,18bの外側縁部間の長さよりも僅かに長くなっている。このシャッタ50は、長手方向の両端部を、固定部材16a,16bおよび複数のねじ51を介して壁面部16の上面に固定され、ケース部材10の開口15を上方から塞いでいる。
【0037】
また、シャッタ50における可動部20に位置する部分は、図2に示したように、一方側に位置する押圧ローラ32aの下部から離間ローラ32bの上部を通り、他方側に位置する離間ローラ32bの上部から押圧ローラ32aの下部へと掛け渡されている。すなわち、シャッタ50は、テーブル部30のテーブル本体31とカバー部材34a,34bの天井部との間の隙間を通過する。そして、シャッタ50は、テーブル部30内の前後方向の中央側で、一対の離間ローラ32bによって上方に押し上げられ、テーブル部30内の前後方向の両側で、一対の押圧ローラ32aによって左右方向の両縁部下面を、それぞれマグネットシート18a,18bの上面側に付勢される。
【0038】
このように、押圧ローラ32aにシャッタ50の上面が接触し、離間ローラ32bにシャッタ50の下面が接触することにより、可動部20が移動する際に、シャッタ50から受ける摩擦抵抗が小さくなる。また、シャッタ50は、両端部が壁面部16に固定され、テーブル部30内を通過することによりその部分が上方に持ち上げられるため、シャッタ50には、適度な張力が加わるようになり、シャッタ50は撓みのない状態に維持される。なお、シャッタ50の両端には、左右方向よりも前後方向に長い長円状のねじ挿通穴52が形成され、ねじ51はこのねじ挿通穴52を挿通している。このため、ねじ51を緩めてねじ51に対するねじ挿通穴52の位置を変更したのちに、再度ねじ51を締めることにより、シャッタ50の張り具合を調節することができる。
【0039】
このように構成されたロボットAを用いて、例えば、電子部品を所定の場所に順次供給する場合には、テーブル部30に、電子部品を吸着するための吸着装置を取り付ける。そして、ロボットAの電源を入れ制御装置をオン状態にする。これによって、可動ブロック45内のコイル45aに電流が流れ、可動部20は、可動ブロック45およびケーブル導入部46とともにガイドレール14a,14bに沿って移動する。このとき、可動部20の進行方向の先方および後方においては、シャッタ50は、マグネットシート18a,18bの吸引力によって、上面部12a,13aの上面に密着することで、ケース部材10の開口15を塞ぐ。これによって、ケース部材10の内部に塵埃や異物が浸入することが防止される。
【0040】
また、シャッタ50における可動部20の進行方向側に位置する部分は、進行方向の前部に位置する押圧ローラ32aによって上面部12a,13aの上面側に押し付けられた状態から、離間ローラ32bによって上面部12a,13aの上面から上方に持ち上げられる。可動部20の進行方向の後方においては、シャッタ50は、後部に位置する離間ローラ32bによって、水平方向に導かれて上方へ持ち上げられた状態が維持され、さらに、後部に位置する押圧ローラ32aによって、上面部12a,13aの上面側に押し付けられる。このように、可動部20は、前後の押圧ローラ32aでシャッタ50を上面部12a,13a側に押し付けるとともに、押圧ローラ32a間に位置する離間ローラ32bでシャッタ50を上方に持ち上げながら往復移動していく。
【0041】
そして、長時間の使用により、押圧ローラ32aおよび離間ローラ32bが摩耗したときには、押圧ローラ32aおよび離間ローラ32bを支持部材33とともに未使用のものに取り替える操作が行われる。この取り替え操作を、図4、図7、図8および図5を用いて説明する。なお、これらの図において、省略しているが、テーブル部30は、ベース部21aとともに、ガイドレール14a,14bを介してケース部材10に設置されており、テーブル部30の上面には吸着装置が設置された状態になっている。
【0042】
この場合、まず、図4の状態から、カバー部材34bを前部側の支持部材33に固定している4個のねじ38を取り外したのちに、カバー部材34bをX軸方向に沿って手前側に引っ張って前部側の支持部材33から取り外して図7の状態にする。この場合、吸着装置は、テーブル本体31の両側部に固定されているため、カバー部材34bは容易に取り外すことができる。ついで、前部側の支持部材33をテーブル本体31に固定しているねじ37を取り外して、前部側の支持部材33を押圧ローラ32aおよび離間ローラ32bとともに前方に移動させる。このとき、押圧ローラ32aはシャッタ50の表面側に位置し、離間ローラ32bはシャッタ50の裏面側に位置している。
【0043】
つぎに、カバー部材34aを後部側の支持部材33に固定している4個のねじ38を取り外すとともに、シャッタ50の後端部を固定部材16bを介して壁面部16に固定しているねじ51を取り外して図8の状態にする。そして、シャッタ50を手前に引っ張ってテーブル部30から抜き取り、図5の状態にする。これによって、前部側の支持部材33と、それに支持されている押圧ローラ32aおよび離間ローラ32bをロボットAから取り除くことができる。
【0044】
後部側の支持部材33と、それに支持されている押圧ローラ32aおよび離間ローラ32bを取り外すときには、図5の状態から、テーブル本体31等を少し前方に移動させたのちに、カバー部材34aをX軸方向に沿って後方に引っ張って後部側の支持部材33から取り外す。そして、後部側の支持部材33をテーブル本体31に固定しているねじ37を取り外して、後部側の支持部材33を押圧ローラ32aおよび離間ローラ32bとともに後方に移動させる。これによって、後部側の支持部材33と、それに支持されている押圧ローラ32aおよび離間ローラ32bをロボットAから取り除くことができる。
【0045】
そして、新しい押圧ローラ32aと離間ローラ32bとが取り付けられた支持部材33を、それぞれテーブル本体31の前方側と後方側とからテーブル本体31に近づけて、テーブル本体31の前部と後部とにねじ37で固定する。ついで、シャッタ50の壁面部16から取り外されている端部側を、前方の押圧ローラ32aの下部から前方の離間ローラ32bの上部、後方の離間ローラ32bの上部、後方の押圧ローラ32aの下部に順次通してその端部を固定部材16bとねじ51とで、壁面部16に固定する。
【0046】
そして、カバー部材34aを前方から後方に向かって水平方向にスライドさせるようにして、前方の支持部材33の上方からテーブル本体31の上面に設置して前方の支持部材33に4個のねじ38で固定する。同様に、カバー部材34bを後方から前方に向かって水平方向にスライドさせるようにして、後方の支持部材33の上方からテーブル本体31の上面に設置して後方の支持部材33に4個のねじ38で固定する。これによって、一対の支持部材33と、それに支持されている押圧ローラ32aおよび離間ローラ32bの交換作業が終了する。
【0047】
このように、本実施形態に係るロボットAでは、一対の支持部材33がそれぞれテーブル本体31に対して可動部20の移動方向の前方および後方から着脱可能になっている。さらに、カバー部材34a,34bがそれぞれ一対の支持部材33に対して可動部20の移動方向の前方および後方から着脱可能になっている。このため、テーブル本体31の上部に設置されている吸着装置をテーブル本体31から取り外すことなく、支持部材33とそれに支持されている押圧ローラ32aおよび離間ローラ32bを交換することができ、これによって、支持部材33等の交換作業が容易かつ簡単になる。
【0048】
(第2実施形態)
図9は、本発明の第2実施形態に係るロボットが備えるテーブル部60の一部を分解した状態を示している。このテーブル部60では、一対の支持部材61は、それぞれ押圧ローラ62aを支持する上部支持部材63と、離間ローラ62bを支持する下部支持部材64とで構成されている。上部支持部材63は、前述した支持部材33の平面部33aと同形の平面部63aの前後の一方に支持片65を形成し、平面部63aの両側部に取付片63b,63cを形成した構成をしている。支持片65は、左右に間隔を保って形成された一対の片で構成されており、この一対の片は前述したL形片35a,35bと同形のL形片65a,65bの外側縁部にそれぞれ側面視がL形の突起65c,65dを形成した構成をしている。
【0049】
突起65cは、L形片65aの外側縁部から下方に延びたのちに屈曲して平面部63aの下方側に延び、突起65dは、L形片65bの外側縁部から下方に延びたのちに屈曲して平面部63aの下方側に延びている。取付片63b,63cは、前述した取付片33b,33cに屈曲片36a,36bの外側垂直部を含めた形状をしており、それぞれ前後に間隔を保った一対のねじ穴63dを備えている。なお、図示していないが、取付片63b,63cにおける外側垂直部に対応する部分には着脱用挿通穴が形成されている。また、平面部63aにおける突起65cの近傍には、連結用挿通穴66aが形成され、平面部63aにおける突起65dの近傍には、連結用挿通穴66bが形成されている。本実施形態においては、取付片63b,63cにおける外側垂直部に対応する部分で本発明に係る取付片が構成される。
【0050】
下部支持部材64は、離間ローラ62bの中心軸部の両側に中心軸部に対して回転可能に取り付けられた一対の屈曲片67a,67bで構成されている。屈曲片67a,67bは、それぞれ、離間ローラ62bの中心軸部を挿通させる支持穴を備え離間ローラ62bを挟んで対向する対向片と、その各対向片の縁部から互いに離れるように外側に延びたのちに上部支持部材63側に延びるL形の片と、L形の片の先端上部から屈曲して互いの間隔を狭めるように延びる四角形の連結片とで構成されている。なお、離間ローラ62bの中心軸部の両端には、中心軸部が支持穴から抜けることを防止する大径部62c(図10ないし図12参照)が形成されており、これによって、離間ローラ62bは、外れることなく下部支持部材64に組み付けられている。
【0051】
両連結片には、連結用挿通穴66a,66bと同じ間隔で連結用ねじ穴68a,68bが形成されている。下部支持部材64は、両連結片を平面部63aの下面に位置させ、2個のねじ69を連結用挿通穴66a,66bを通し、連結用ねじ穴68a,68bに螺合させることにより、上部支持部材63に連結される。このとき両連結片の先端部は、突起65c,65dの凹部内に位置して、横ずれを防止される。なお、ねじ69で本発明に係る連結用ねじが構成される。このテーブル部60を備えたロボットのそれ以外の部分の構成については、前述したロボットAと同一である。したがって、同一部分に同一符号を記して説明は省略する。
【0052】
この構成において、テーブル部60を備えたロボットを使用する際には、前述したロボットAと同様にして使用することができる。そして、押圧ローラ62aおよび離間ローラ62bが摩耗して、未使用のものに取り替える際には、前述したロボットAの場合と同様、まず、カバー部材34bを前部側の支持部材61に固定している4個のねじ38を取り外したのちに、カバー部材34bをX軸方向に沿って手前側に引っ張って前部側の支持部材33から取り外す。ついで、前部側の支持部材61をテーブル本体31に固定している2個のねじ37を取り外して、前部側の支持部材61を前方に移動させる。
【0053】
つぎに、ねじ69を取り外して、押圧ローラ62aを支持する上部支持部材63と、離間ローラ62bを支持する下部支持部材64とを分離するとともに、カバー部材34aを後部側の支持部材61に固定している4個のねじ38を取り外して図9の状態にする。これによって、押圧ローラ62aを支持する上部支持部材63は、シャッタ50の表面側に位置して取外し可能な状態になり、離間ローラ62bを支持する下部支持部材64は、シャッタ50の裏面側に位置して、図10に示した状態になる。この状態では、下部支持部材64は、シャッタ50に遮られてケース部材10から取り出すことができない。
【0054】
このため、下部支持部材64をケース部材10から取り出すためには、図10の状態から、一対の屈曲片67a,67bのうちの一方、例えば、屈曲片67aを上方に回転させて、図11の状態にする。つぎに、屈曲片67a,67bの両連結片をそれぞれシャッタ50の幅方向の外側に位置させるように、離間ローラ62bを水平面上で回転させて図12の状態にする。そして、シャッタ50を開口15から浮かせた状態で、屈曲片67bをシャッタ50の裏面側に入れて、屈曲片67aを引っ張り、ケース部材10の開口縁部とシャッタ50との隙間から離間ローラ62bと屈曲片67bとを順次取出す。この場合、ねじ51を緩めてシャッタ50を撓ませてもよい。後部側の支持部材61と、それに支持されている押圧ローラ62aおよび離間ローラ62bも同様にしてケース部材10内から取り外す。
【0055】
そして、新しい押圧ローラ62aと離間ローラ62bとが取り付けられた支持部材61をそれぞれ、テーブル本体31の前部と後部とに取り付ける。この場合、図10ないし図12を用いて説明した取外しの操作と逆の操作により、まず、離間ローラ62bを支持する下部支持部材64をシャッタ50の裏面側に配置する。つぎに、シャッタ50の表面側に押圧ローラ62aを支持する上部支持部材63を位置させて、ねじ69で上部支持部材63と下部支持部材64とを固定する。そして、前述したロボットAの場合と同様の操作により、テーブル本体31の前部と後部にそれぞれ支持部材61を取り付け、さらに、カバー部材34a,34bも取り付ける。これによって、一対の支持部材61と、それに支持されている押圧ローラ62aおよび離間ローラ62bとの交換作業が終了する。
【0056】
このように、本実施形態に係るロボットでは、押圧ローラ62aを支持する上部支持部材63と、離間ローラ62bを支持する下部支持部材64とを、シャッタ50の表面側と裏面側とに分離することができ、かつ下部支持部材64を構成する屈曲片67a,67bが離間ローラ62bの中心軸部に対して軸周り方向に回転可能になっている。このため、ケース部材10からシャッタ50を取り外すことなく、押圧ローラ62aと離間ローラ62bとを支持部材61とともにテーブル本体31に対して着脱することができる。このため、押圧ローラ62aと、離間ローラ62bと、支持部材61との交換作業がさらに容易になる。このロボットのそれ以外の作用効果については、前述したロボットAの作用効果と同様である。
【0057】
また、本発明に係るロボットは、前述した各実施形態に限定するものでなく、適宜変更して実施することができる。例えば、前述した実施形態では、支持部材33,61をテーブル本体31に固着するための固着部材をねじ37で構成しているが、この固着部材としては、接着剤を用いてもよい。この場合、例えば、支持部材33,61とテーブル本体31との間に、互いに嵌合可能な凹部と凸部を設け、凹部と凸部との接触面を接着剤で固着することができる。
【0058】
また、第2実施形態では、下部支持部材64の連結片を平面部63aの下面に位置させているが、この連結片は上部支持部材63の外側部側から平面部63aの上面に延びるように形成してもよい。この場合、連結片に連結用挿通穴を設け、上部支持部材63に連結用ねじ穴を設ける。さらに、第2実施形態では、屈曲片67a,67bは、離間ローラ62bの中心軸部の軸周り方向に回転可能になっているが、この屈曲片67a,67bは、軸周り方向だけでなく、中心軸に対して傾斜する方向にも変位可能にしてもよい。また、前述した各実施形態では、ロボットA等にそれぞれ1個の可動部20が備わっているが、各ロボットに複数の可動部20を設けてもよい。さらに、本発明に係るロボットのそれ以外の部分の構成についても、本発明の技術的範囲内で適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0059】
10…ケース部材、15…開口、16…壁面部、20…可動部、31…テーブル本体、31b…着脱用ねじ穴、32a,62a…押圧ローラ、32b,62b…離間ローラ、33,61…支持部材、35,36,65…支持片、36a,36b,67a,67b…屈曲片、37,69…ねじ、50…シャッタ、63…上部支持部材、64…下部支持部材、66a,66b…連結用挿通穴、68a,68b…連結用ねじ穴、A…ロボット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方から他方に向う軸方向に延び前記軸方向に沿う一面が開口したケース部材と、
前記ケース部材の開口を外部から塞いだ状態で両端部が前記ケース部材の軸方向の両端に固定された帯状のシャッタと、
前記ケース部材の軸方向に移動可能な状態で前記ケース部材に取り付けられた可動部本体と、
前記可動部本体における移動方向の両側で前記シャッタを前記開口の縁部側に押圧する押圧ローラと、前記押圧ローラ間で前記シャッタを前記開口の縁部から離間させる離間ローラと、
前記押圧ローラと前記離間ローラとを支持した状態で前記可動部本体の一方側と他方側とにそれぞれ着脱可能になった一対の支持部材とを備えたロボットにおいて、
前記一対の支持部材を、前記可動部本体の一方側に設置される押圧ローラと離間ローラとを支持する第1の支持部材と、前記可動部本体の他方側に設置される押圧ローラと離間ローラとを支持する第2の支持部材とで構成し、前記第1の支持部材と前記第2の支持部材とをそれぞれ固着部材を用いて前記可動部本体の移動方向の一方側および他方側から前記可動部本体に対して着脱可能にしたことを特徴とするロボット。
【請求項2】
前記可動部本体の一方側と他方側とにおける両側部分にそれぞれ前記移動方向に沿って前記可動部本体の表面から内部に向かって延びる着脱用ねじ穴を設けるとともに、前記着脱用ねじ穴に対向するようにして前記第1および第2の支持部材にそれぞれ前記移動方向に貫通する着脱用挿通穴を備えた取付片を設け、前記固着部材を、前記着脱用挿通穴を挿通して前記着脱用ねじ穴に螺合可能な着脱用ねじで構成した請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記第1および第2の支持部材を、それぞれ押圧ローラを支持する上部支持部材と離間ローラを支持する下部支持部材とで構成し、前記上部支持部材と前記下部支持部材とを前記シャッタの表面側と裏面側とに分離可能に組み付けた請求項1または2に記載のロボット。
【請求項4】
前記上部支持部材における前記移動方向に直交する幅方向の両側部分にそれぞれ前記移動方向に直交する方向に延びる連結用挿通穴または連結用ねじ穴を設けるとともに、前記下部支持部材に、前記上部支持部材における前記移動方向に直交する幅方向の両側部分に重なるように延びて前記連結用挿通穴または前記連結用ねじ穴に対向する部分にそれぞれ連結用ねじ穴または連結用挿通穴が設けられた連結片を設け、連結用ねじを、前記連結用穴に挿通して前記連結用ねじ穴に螺合させることにより、前記上部支持部材と前記下部支持部材とを組み付けた請求項3に記載のロボット。
【請求項5】
前記下部支持部材を、前記離間ローラの軸方向の両側に連結された2つの部材で構成し、かつ前記2つの部材における前記離間ローラに連結された部分を前記離間ローラに対して変位可能にした請求項3または4に記載のロボット。
【請求項1】
一方から他方に向う軸方向に延び前記軸方向に沿う一面が開口したケース部材と、
前記ケース部材の開口を外部から塞いだ状態で両端部が前記ケース部材の軸方向の両端に固定された帯状のシャッタと、
前記ケース部材の軸方向に移動可能な状態で前記ケース部材に取り付けられた可動部本体と、
前記可動部本体における移動方向の両側で前記シャッタを前記開口の縁部側に押圧する押圧ローラと、前記押圧ローラ間で前記シャッタを前記開口の縁部から離間させる離間ローラと、
前記押圧ローラと前記離間ローラとを支持した状態で前記可動部本体の一方側と他方側とにそれぞれ着脱可能になった一対の支持部材とを備えたロボットにおいて、
前記一対の支持部材を、前記可動部本体の一方側に設置される押圧ローラと離間ローラとを支持する第1の支持部材と、前記可動部本体の他方側に設置される押圧ローラと離間ローラとを支持する第2の支持部材とで構成し、前記第1の支持部材と前記第2の支持部材とをそれぞれ固着部材を用いて前記可動部本体の移動方向の一方側および他方側から前記可動部本体に対して着脱可能にしたことを特徴とするロボット。
【請求項2】
前記可動部本体の一方側と他方側とにおける両側部分にそれぞれ前記移動方向に沿って前記可動部本体の表面から内部に向かって延びる着脱用ねじ穴を設けるとともに、前記着脱用ねじ穴に対向するようにして前記第1および第2の支持部材にそれぞれ前記移動方向に貫通する着脱用挿通穴を備えた取付片を設け、前記固着部材を、前記着脱用挿通穴を挿通して前記着脱用ねじ穴に螺合可能な着脱用ねじで構成した請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記第1および第2の支持部材を、それぞれ押圧ローラを支持する上部支持部材と離間ローラを支持する下部支持部材とで構成し、前記上部支持部材と前記下部支持部材とを前記シャッタの表面側と裏面側とに分離可能に組み付けた請求項1または2に記載のロボット。
【請求項4】
前記上部支持部材における前記移動方向に直交する幅方向の両側部分にそれぞれ前記移動方向に直交する方向に延びる連結用挿通穴または連結用ねじ穴を設けるとともに、前記下部支持部材に、前記上部支持部材における前記移動方向に直交する幅方向の両側部分に重なるように延びて前記連結用挿通穴または前記連結用ねじ穴に対向する部分にそれぞれ連結用ねじ穴または連結用挿通穴が設けられた連結片を設け、連結用ねじを、前記連結用穴に挿通して前記連結用ねじ穴に螺合させることにより、前記上部支持部材と前記下部支持部材とを組み付けた請求項3に記載のロボット。
【請求項5】
前記下部支持部材を、前記離間ローラの軸方向の両側に連結された2つの部材で構成し、かつ前記2つの部材における前記離間ローラに連結された部分を前記離間ローラに対して変位可能にした請求項3または4に記載のロボット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−157937(P2012−157937A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19540(P2011−19540)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
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