ロータリーダンパ
【課題】粘性液体の膨張によりケーシング等に過大な力が作用することを防止し、さらに粘性液体の粘度変化によって制動特性が変化することも抑制し得るロータリーダンパを提供する。
【解決手段】ロータリーダンパは、粘性液体が充填される作動室3、作動室3に連通し粘性液体の膨張による体積増加分を収容可能な第1室7、第1室7との間に可動部材9を介在させて第1室7に隣接する、外気が流通可能な第2室8、第2室8に設けられ、第1室7に収容される粘性液体の量に応じて可動部材9を移動させるばね部材10、ベーン5に押圧された粘性液体が通過するときに、粘性液体の抵抗を生じさせる流路11、及び流路11内に配置され、可動部材9の移動に伴い第1室7の容積が拡大するときは、流路11の大きさを小さくし、その容積が縮小するときは、流路11の大きさを大きくする絞り部9aを有する。
【解決手段】ロータリーダンパは、粘性液体が充填される作動室3、作動室3に連通し粘性液体の膨張による体積増加分を収容可能な第1室7、第1室7との間に可動部材9を介在させて第1室7に隣接する、外気が流通可能な第2室8、第2室8に設けられ、第1室7に収容される粘性液体の量に応じて可動部材9を移動させるばね部材10、ベーン5に押圧された粘性液体が通過するときに、粘性液体の抵抗を生じさせる流路11、及び流路11内に配置され、可動部材9の移動に伴い第1室7の容積が拡大するときは、流路11の大きさを小さくし、その容積が縮小するときは、流路11の大きさを大きくする絞り部9aを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリーダンパに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、粘性液体が充填される作動室(2)と、該作動室に配設され、回転運動により粘性液体を押圧するベーン(4)と、前記作動室に連通し、粘性液体の膨張による体積増加分を収容可能な第1室(3a)と、該第1室との間に可動部材(15)を介在させて前記第1室に隣接する、外気が流通可能な第2室(3b)と、該第2室に設けられ、前記第1室に収容される粘性液体の量に応じて前記可動部材を移動させるばね部材(16)と、前記ベーンに押圧された粘性液体が通過するときに、粘性液体の抵抗を生じさせる流路(6)とを具備するロータリーダンパが記載されている。
かかるロータリーダンパによれば、粘性液体の膨張による体積増加分が第1室(3a)に収容されるため、温度の上昇によって粘性液体が膨張したときに、ケーシング等に過大な力が作用することを防ぐことができる。
しかしながら、かかるロータリーダンパは、粘性液体の粘度の変化に対応して流路(6)の大きさを変えることができないため、粘性液体の粘度が変化すると、それに伴い制動特性が変化するという問題があった。すなわち、粘性液体の粘度は、周囲の温度変化に伴い変化し、低温時には、粘性液体の粘度が高くなるため、制動力が強くなる一方、高温時には、粘性液体の粘度が低くなるため、制動力が弱くなっていた。
【特許文献1】特開平6−117464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、温度上昇に伴う粘性液体の膨張によりケーシング及び他の構成部材に過大な力が作用することを防止し、さらに、温度変化に伴う粘性液体の粘度変化によって制動特性が変化することも抑制し得るロータリーダンパを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記課題を解決するため、以下のロータリーダンパを提供する。
粘性液体が充填される作動室と、該作動室に配設され、回転運動により粘性液体を押圧するベーンと、前記作動室に連通し、粘性液体の膨張による体積増加分を収容可能な第1室と、該第1室との間に可動部材を介在させて前記第1室に隣接する、外気が流通可能な第2室と、該第2室に設けられ、前記第1室に収容される粘性液体の量に応じて前記可動部材を移動させるばね部材と、前記ベーンに押圧された粘性液体が通過するときに、粘性液体の抵抗を生じさせる流路とを具備するロータリーダンパであって、
前記可動部材に、前記流路内に配置され、前記可動部材の移動に伴い前記第1室の容積が拡大するときは、前記流路の大きさを小さくし、前記可動部材の移動に伴い前記第1室の容積が縮小するときは、前記流路の大きさを大きくする絞り部が設けられていることを特徴とするロータリーダンパ。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、温度の上昇によって粘性液体が膨張したときには、可動部材が作動室から第1室に流入する粘性液体の圧力を受けて移動し、第1室の容積を拡大させる。その結果、粘性液体の体積増加分が第1室に収容される。この際、粘性液体の粘度は温度の上昇によって低くなるため、粘性液体が流路を通過し易くなる。しかし、可動部材の移動に伴い第1室の容積が拡大するときは、流路の大きさを小さくする絞り部の作用により、流路の大きさが小さくなり、流路を通過する粘性液体の流量が減少するため、制動力が弱くなることを抑制することが可能となる。一方、温度が低下したときには、粘性液体の体積が減少するとともに、可動部材がばね部材の圧力を受けて移動し、第1室の容積を縮小させる。この際、粘性液体の粘度は温度の低下によって高くなるため、粘性液体が流路を通過し難くなる。しかし、可動部材の移動に伴い第1室の容積が縮小するときは、流路の大きさを大きくする絞り部の作用により、流路が大きくなり、流路を通過する粘性液体の流量が増加するため、制動力が強くなることを抑制することが可能となる。
従って、本発明によれば、温度上昇に伴う粘性液体の膨張によりケーシング及び他の構成部材に過大な力が作用することを防止することができ、さらに、温度変化に伴う粘性液体の粘度変化によって制動特性が変化することも抑制し得る。また、本発明は、可動部材に絞り部を設けることにより、可動部材の動きに合わせて流路の大きさを変化させる構成であるため、構造を簡素化し得るという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態を図面に示した実施例に従って説明する。
【実施例1】
【0007】
図1は本発明の実施例1に係るロータリーダンパの内部構造を示す図、図2は図1におけるA−A部断面図、図3は図1におけるB−B部断面図、図4は図1におけるC−C部断面図、図5は図2におけるA−A部断面図である。これらの図に示したように、本実施例に係るロータリーダンパは、ケーシング1、軸2、作動室3、隔壁4、ベーン5、逆止弁機構6、第1室7、第2室8、可動部材9、ばね部材10及び流路11を有して構成される。
【0008】
ケーシング1は、一端が開口し、他端が底壁1cにより閉塞された本体部1aと、該本体部1aの開口部を閉塞する蓋1bとを有して構成される(図2参照)。軸2は、一端側が蓋1bに支持され、他端側が底壁1cに支持されることにより、ケーシング1の内部に形成された空間において、回転し得るように設けられる(図2参照)。作動室3は、ケーシング1と軸2との間に形成され、隔壁4により仕切られている(図1参照)。作動室3には、粘性液体が充填される。隔壁4は、ケーシング1に固定されている(図4参照)。ベーン5は、軸2と一体に形成され、作動室3内に配設される(図1参照)。作動室3は、ベーン5が配設されることにより、圧力室3aと非圧力室3bに区画される(図1参照)。ベーン5は、逆止弁機構6を有して構成される。逆止弁機構6は、圧力室3aに連通する大孔部6aと、大孔部6a及び非圧力室3bに連通する小孔部6bと、大孔部6a内に設けられる弁体6cとを有して構成される(図3参照)。
【0009】
第1室7及び第2室8は、隔壁4に形成される(図2及び図4参照)。第1室7は、作動室3(非圧力室3b)に連通している(図1及び図4参照)。第2室8は、第1室7との間に可動部材9を介在させて第1室7に隣接している(図2及び図4参照)。隔壁4の底部には、第2室8に外気が流通できるようにするため、第2室8と外部を連通させる孔部4aが形成されている(図2及び図4参照)。可動部材9は、テーパ状の絞り部9aを有して構成される(図2及び図4参照)。可動部材9の両端には、Oリング12が配設されている(図2及び図4参照)。ばね部材10は、第2室8に設けられる(図2及び図4参照)。ばね部材10は、コイルばねからなる。流路11は、隔壁4の内部において、絞り部9aの周囲に形成される第1流路11aと、隔壁4の一面側に開口し、第1流路11aと圧力室3aとを連通させる第2流路11bと、隔壁4の他面側に開口し、第1流路11aと非圧力室3bとを連通させる第3流路11bとから構成される(図4及び図5参照)。可動部材9の一端に設けられたOリング12は、粘性液体が第1流路11aから第1室7へ漏出することを防ぐ役割を果たし、可動部材9の他端に設けられたOリング12は、粘性液体が第1流路11aから第2室8へ漏出することを防ぐ役割を果たしている。
【0010】
上記のように構成されるロータリーダンパは、軸2が図1において時計回り方向へ回転すると、それに伴いベーン5が回転して圧力室3aの粘性液体を押圧する。このとき、逆止弁機構6は、図3に示したように、弁体6cが小孔部6bの開口部を塞ぐことにより、粘性液体がベーン5を挟んで圧力室3aに隣接する非圧力室3bへ流入することを阻止する。ベーン5に押圧された粘性液体は、流路11を通過して、隔壁4を挟んで圧力室3aに隣接する非圧力室3bへ流入する。粘性液体が第1流路11aを通過するときに、粘性液体の抵抗が生じる。この抵抗により、軸2の回転を緩慢にさせる制動力が発生する。
【0011】
一方、軸2が図1において反時計回り方向へ回転すると、それに伴いベーン5が回転して非圧力室3bの粘性液体を押圧する。このとき、逆止弁機構6は、図8に示したように、弁体6cが小孔部6bの開口部を開放することにより、粘性液体がベーン5を挟んで非圧力室3bに隣接する圧力室3aへ流入することを許容する。粘性液体が小孔部6b及び大孔部6aを通過するときには、粘性液体の抵抗が生じないため、制動力が発生しない。
【0012】
温度の上昇によって粘性液体が膨張したときには、粘性液体の体積増加分が作動室3(非圧力室3b)に連通する第1室7に流入する。可動部材9は、非圧力室3bから第1室7に流入する粘性液体の圧力を受けることにより、ばね部材10を圧縮しながら移動し、第1室7の容積を拡大させる(図6参照)。その結果、粘性液体の体積増加分が第1室7に収容される。この際、第2室8の容積は縮小され、その内部の気体は、孔部4aを通じて外部に排出される。
【0013】
可動部材9が第1室7の容積を拡大させる方向へ移動するときには、テーパ状に形成された絞り部9aが第1流路11a内で、図6において下方向へ移動する。流路11の大きさは、この際の第2流路11b及び第3流路11cに対する絞り部9aの相対的な位置関係により、小さくなる(図6参照)。従って、粘性液体の粘度が温度の上昇によって低くなっても、流路11を通過する粘性液体の流量を減少させることができ、その結果、制動力が弱くなることを抑制することができる。
【0014】
温度が低下したときには、粘性液体の体積が減少するとともに、可動部材9がばね部材10の圧力を受けて移動し、第1室7の容積を縮小させる(図7参照)。この際、第2室8の容積は拡大され、その内部には、孔部4aを通じて外気が流入する。
【0015】
可動部材9が第1室7の容積を縮小させる方向へ移動するときには、テーパ状に形成された絞り部9aが第1流路11a内で、図7において上方向へ移動する。流路11の大きさは、この際の第2流路11b及び第3流路11cに対する絞り部9aの相対的な位置関係により、大きくなる(図7参照)。従って、粘性液体の粘度が温度の低下によって高くなっても、流路11を通過する粘性液体の流量を増加させることができ、その結果、制動力が強くなることを抑制することができる。
【0016】
本実施例に係るロータリーダンパによれば、上記したように、温度上昇に伴う粘性液体の膨張によりケーシング1及び他の構成部材に過大な力が作用することを防止できるとともに、粘性液体の粘度変化により制動特性が変化することも抑制することができる。また、可動部材9に絞り部9aを設けることにより、可動部材9の動きに合わせて流路11の大きさを変化させる構成であるため、構造を簡素化し得るという利点がある。
【実施例2】
【0017】
図9は本発明の実施例2に係るロータリーダンパの内部構造を示す図、図10は図9におけるA−A部断面図、図11は図9におけるB−B部断面図、図12は図10におけるA−A部断面図、図13は図10におけるB−B部断面図である。これらの図に示したように、本実施例に係るロータリーダンパは、ケーシング1、軸2、作動室3、隔壁4、ベーン5、逆止弁機構6、第1室7、第2室8、可動部材9、ばね部材10及び流路11を有して構成される。
【0018】
ケーシング1は、一端が開口し、他端が底壁1cにより閉塞された本体部1aと、該本体部1aの開口部を閉塞する蓋1bとを有して構成される(図10参照)。軸2は、一端側が蓋1bに支持され、他端側が本体部1aに支持されることにより、ケーシング1の内部に形成された空間において、回転し得るように設けられる(図9及び図10参照)。軸2は、一端に開口する第1孔部2aと、他端に開口し、第1孔部2aよりも大きな内径を有する第2孔部2bと、第1孔部2aと第2孔部2bとの間に形成され、第1孔部2aよりも大きく、第2孔部2bよりも小さい内径を有する第3孔部2cとを有して構成される(図10参照)。第1孔部2aと第3孔部2c、第2孔部2bと第3孔部2cは、それぞれ相互に連通している。軸2は、さらに、仕切り部材2dを有して構成される(図9及び図10参照)。仕切り部材2dは、第2孔部2b内に設けられ、第2孔部2bを2つの室に区画する壁部2eを有して構成される。流路11は、壁部2eの中央を貫通する穴からなる(図9乃至図10参照)。作動室3は、ケーシング1と軸2との間に形成され、隔壁4により仕切られている(図9参照)。作動室3には、粘性液体が充填される。隔壁4は、本体部1aの周壁の一部を窪ませることにより形成されている(図9参照)。ベーン5は、軸2と一体に形成され、作動室3内に配設される(図9参照)。作動室3は、ベーン5が配設されることにより、圧力室3aと非圧力室3bに区画される(図9参照)。逆止弁機構6は、仕切り部材2dの壁部2eに形成された流路11の周囲に、壁部2eを貫通するように形成される弁孔6dと、壁部2eの一面に当接することにより、弁孔6dを閉塞する環状の弁体6cとを有して構成される(図9乃至図11参照)。
【0019】
第1室7及び第2室8は、軸2に形成される(図10及び図11参照)。第1室7は、作動室3(非圧力室3b)に連通している(図11及び図12参照)。第1室7と非圧力室3bを連通させる第1通路13は、軸2の周壁及び仕切り部材2dの周壁を貫通するように形成されている。第2室8は、第1室7との間に可動部材9を介在させて第1室7に隣接している(図10及び図11参照)。軸2に形成された第1孔部2aは、第2室8に外気が流通できるようにするために、第2室8と外部を連通させる役割を果たす(図10及び図11参照)。壁部2eを挟んで第1室7に隣接する第3室15は、作動室3(圧力室3a)に連通している(図11及び図13参照)。第3室15と圧力室3aを連通させる第2通路14は、軸2の周壁及び仕切り部材2dの周壁を貫通するように形成されている。可動部材9は、その本体部分から突出する棒状の部分に、テーパ状の絞り部9aを有して構成される(図9乃至図12参照)。可動部材9には、Oリング12が配設されている(図10参照)。ばね部材10は、第2室8に設けられる(図10及び図11参照)。ばね部材10は、コイルばねからなる。可動部材9に設けられたOリング12は、粘性液体が第1室7から第2室8へ漏出することを防ぐ役割を果たしている。
【0020】
上記のように構成されるロータリーダンパは、軸2が図9において時計回り方向へ回転すると、それに伴いベーン5が回転して圧力室3aの粘性液体を押圧する。このとき、逆止弁機構6は、図11に示したように、弁体6cが弁孔6dの開口部を塞ぐことにより、粘性液体が弁孔6dを通じて圧力室3aから非圧力室3bへ流入することを阻止する。それにより、ベーン5に押圧された粘性液体は、流路11のみを通過して圧力室3aから非圧力室3bへ流入することになる。かかる粘性液体が流路11を通過するときに、粘性液体の抵抗が生じる。この抵抗により、軸2の回転を緩慢にさせる制動力が発生する。
【0021】
一方、軸2が図9において反時計回り方向へ回転すると、それに伴いベーン5が回転して非圧力室3bの粘性液体を押圧する。このとき、逆止弁機構6は、図16に示したように、弁体6cが弁孔6dの開口部を開放することにより、粘性液体が弁孔6dを通過して非圧力室3bから圧力室3aへ流入することを許容する。粘性液体が弁孔6dを通過するときには、粘性液体の抵抗が生じないため、制動力が発生しない。
【0022】
温度の上昇によって粘性液体が膨張したときには、粘性液体の体積増加分が作動室3(非圧力室3b)に連通する第1室7に流入する。可動部材9は、非圧力室3bから第1室7に流入する粘性液体の圧力を受けることにより、ばね部材10を圧縮しながら移動し、第1室7の容積を拡大させる(図14参照)。その結果、粘性液体の体積増加分が第1室7に収容される。この際、第2室8の容積は縮小され、その内部の気体は、第1孔部2aを通じて外部に排出される。
【0023】
可動部材9が第1室7の容積を拡大させる方向へ移動するときには、テーパ状に形成された絞り部9aが流路11内で、図14において上方向へ移動する。流路11の大きさは、この際の流路11に対する絞り部9aの相対的な位置関係により、小さくなる(図14参照)。従って、粘性液体の粘度が温度の上昇によって低くなっても、流路11を通過する粘性液体の流量を減少させることができ、その結果、制動力が弱くなることを抑制することができる。
【0024】
温度が低下したときには、粘性液体の体積が減少するとともに、可動部材9がばね部材10の圧力を受けて移動し、第1室7の容積を縮小させる(図15参照)。この際、第2室8の容積は拡大され、その内部には、第1孔部2aを通じて外気が流入する。
【0025】
可動部材9が第1室7の容積を縮小させる方向へ移動するときには、テーパ状に形成された絞り部9aが流路11内で、図15において下方向へ移動する。流路11の大きさは、この際の流路11に対する絞り部9aの相対的な位置関係により、大きくなる(図15参照)。従って、粘性液体の粘度が温度の低下によって高くなっても、流路11を通過する粘性液体の流量を増加させることができ、その結果、制動力が強くなることを抑制することができる。
【0026】
本実施例に係るロータリーダンパによれば、上記したように、温度上昇に伴う粘性液体の膨張によりケーシング1及び他の構成部材に過大な力が作用することを防止できるとともに、粘性液体の粘度変化により制動特性が変化することも抑制することができる。また、可動部材9に絞り部9aを設けることにより、可動部材9の動きに合わせて流路11の大きさを変化させる構成であるため、構造を簡素化し得るという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例1に係るロータリーダンパの内部構造を示す図である。
【図2】図1におけるA−A部断面図である。
【図3】図1におけるB−B部断面図である。
【図4】図1におけるC−C部断面図である。
【図5】図2におけるA−A部断面図である。
【図6】温度上昇時における可動部材の動きを説明するための図である。
【図7】温度低下時における可動部材の動きを説明するための図である。
【図8】逆止弁機構の開弁状態を示す図である。
【図9】本発明の実施例2に係るロータリーダンパの内部構造を示す図である。
【図10】図9におけるA−A部断面図である。
【図11】図9におけるB−B部断面図である。
【図12】図10におけるA−A部断面図である。
【図13】図10におけるB−B部断面図である。
【図14】温度上昇時における可動部材の動きを説明するための図である。
【図15】温度低下時における可動部材の動きを説明するための図である。
【図16】逆止弁機構の開弁状態を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1 ケーシング
1a 本体部
1b 蓋
1c 底壁
2 軸
2a 第1孔部
2b 第2孔部
2c 第3孔部
2d 仕切り部材
2e 壁部
3 作動室
3a 圧力室
3b 非圧力室
4 隔壁
4a 孔部
5 ベーン
6 逆止弁機構
6a 大孔部
6b 小孔部
6c 弁体
6d 弁孔
7 第1室
8 第2室
9 可動部材
9a 絞り部
10 ばね部材
11 流路
11a 第1流路
11b 第2流路
11c 第3流路
12 Oリング
13 第1通路
14 第2通路
15 第3室
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリーダンパに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、粘性液体が充填される作動室(2)と、該作動室に配設され、回転運動により粘性液体を押圧するベーン(4)と、前記作動室に連通し、粘性液体の膨張による体積増加分を収容可能な第1室(3a)と、該第1室との間に可動部材(15)を介在させて前記第1室に隣接する、外気が流通可能な第2室(3b)と、該第2室に設けられ、前記第1室に収容される粘性液体の量に応じて前記可動部材を移動させるばね部材(16)と、前記ベーンに押圧された粘性液体が通過するときに、粘性液体の抵抗を生じさせる流路(6)とを具備するロータリーダンパが記載されている。
かかるロータリーダンパによれば、粘性液体の膨張による体積増加分が第1室(3a)に収容されるため、温度の上昇によって粘性液体が膨張したときに、ケーシング等に過大な力が作用することを防ぐことができる。
しかしながら、かかるロータリーダンパは、粘性液体の粘度の変化に対応して流路(6)の大きさを変えることができないため、粘性液体の粘度が変化すると、それに伴い制動特性が変化するという問題があった。すなわち、粘性液体の粘度は、周囲の温度変化に伴い変化し、低温時には、粘性液体の粘度が高くなるため、制動力が強くなる一方、高温時には、粘性液体の粘度が低くなるため、制動力が弱くなっていた。
【特許文献1】特開平6−117464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、温度上昇に伴う粘性液体の膨張によりケーシング及び他の構成部材に過大な力が作用することを防止し、さらに、温度変化に伴う粘性液体の粘度変化によって制動特性が変化することも抑制し得るロータリーダンパを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記課題を解決するため、以下のロータリーダンパを提供する。
粘性液体が充填される作動室と、該作動室に配設され、回転運動により粘性液体を押圧するベーンと、前記作動室に連通し、粘性液体の膨張による体積増加分を収容可能な第1室と、該第1室との間に可動部材を介在させて前記第1室に隣接する、外気が流通可能な第2室と、該第2室に設けられ、前記第1室に収容される粘性液体の量に応じて前記可動部材を移動させるばね部材と、前記ベーンに押圧された粘性液体が通過するときに、粘性液体の抵抗を生じさせる流路とを具備するロータリーダンパであって、
前記可動部材に、前記流路内に配置され、前記可動部材の移動に伴い前記第1室の容積が拡大するときは、前記流路の大きさを小さくし、前記可動部材の移動に伴い前記第1室の容積が縮小するときは、前記流路の大きさを大きくする絞り部が設けられていることを特徴とするロータリーダンパ。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、温度の上昇によって粘性液体が膨張したときには、可動部材が作動室から第1室に流入する粘性液体の圧力を受けて移動し、第1室の容積を拡大させる。その結果、粘性液体の体積増加分が第1室に収容される。この際、粘性液体の粘度は温度の上昇によって低くなるため、粘性液体が流路を通過し易くなる。しかし、可動部材の移動に伴い第1室の容積が拡大するときは、流路の大きさを小さくする絞り部の作用により、流路の大きさが小さくなり、流路を通過する粘性液体の流量が減少するため、制動力が弱くなることを抑制することが可能となる。一方、温度が低下したときには、粘性液体の体積が減少するとともに、可動部材がばね部材の圧力を受けて移動し、第1室の容積を縮小させる。この際、粘性液体の粘度は温度の低下によって高くなるため、粘性液体が流路を通過し難くなる。しかし、可動部材の移動に伴い第1室の容積が縮小するときは、流路の大きさを大きくする絞り部の作用により、流路が大きくなり、流路を通過する粘性液体の流量が増加するため、制動力が強くなることを抑制することが可能となる。
従って、本発明によれば、温度上昇に伴う粘性液体の膨張によりケーシング及び他の構成部材に過大な力が作用することを防止することができ、さらに、温度変化に伴う粘性液体の粘度変化によって制動特性が変化することも抑制し得る。また、本発明は、可動部材に絞り部を設けることにより、可動部材の動きに合わせて流路の大きさを変化させる構成であるため、構造を簡素化し得るという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態を図面に示した実施例に従って説明する。
【実施例1】
【0007】
図1は本発明の実施例1に係るロータリーダンパの内部構造を示す図、図2は図1におけるA−A部断面図、図3は図1におけるB−B部断面図、図4は図1におけるC−C部断面図、図5は図2におけるA−A部断面図である。これらの図に示したように、本実施例に係るロータリーダンパは、ケーシング1、軸2、作動室3、隔壁4、ベーン5、逆止弁機構6、第1室7、第2室8、可動部材9、ばね部材10及び流路11を有して構成される。
【0008】
ケーシング1は、一端が開口し、他端が底壁1cにより閉塞された本体部1aと、該本体部1aの開口部を閉塞する蓋1bとを有して構成される(図2参照)。軸2は、一端側が蓋1bに支持され、他端側が底壁1cに支持されることにより、ケーシング1の内部に形成された空間において、回転し得るように設けられる(図2参照)。作動室3は、ケーシング1と軸2との間に形成され、隔壁4により仕切られている(図1参照)。作動室3には、粘性液体が充填される。隔壁4は、ケーシング1に固定されている(図4参照)。ベーン5は、軸2と一体に形成され、作動室3内に配設される(図1参照)。作動室3は、ベーン5が配設されることにより、圧力室3aと非圧力室3bに区画される(図1参照)。ベーン5は、逆止弁機構6を有して構成される。逆止弁機構6は、圧力室3aに連通する大孔部6aと、大孔部6a及び非圧力室3bに連通する小孔部6bと、大孔部6a内に設けられる弁体6cとを有して構成される(図3参照)。
【0009】
第1室7及び第2室8は、隔壁4に形成される(図2及び図4参照)。第1室7は、作動室3(非圧力室3b)に連通している(図1及び図4参照)。第2室8は、第1室7との間に可動部材9を介在させて第1室7に隣接している(図2及び図4参照)。隔壁4の底部には、第2室8に外気が流通できるようにするため、第2室8と外部を連通させる孔部4aが形成されている(図2及び図4参照)。可動部材9は、テーパ状の絞り部9aを有して構成される(図2及び図4参照)。可動部材9の両端には、Oリング12が配設されている(図2及び図4参照)。ばね部材10は、第2室8に設けられる(図2及び図4参照)。ばね部材10は、コイルばねからなる。流路11は、隔壁4の内部において、絞り部9aの周囲に形成される第1流路11aと、隔壁4の一面側に開口し、第1流路11aと圧力室3aとを連通させる第2流路11bと、隔壁4の他面側に開口し、第1流路11aと非圧力室3bとを連通させる第3流路11bとから構成される(図4及び図5参照)。可動部材9の一端に設けられたOリング12は、粘性液体が第1流路11aから第1室7へ漏出することを防ぐ役割を果たし、可動部材9の他端に設けられたOリング12は、粘性液体が第1流路11aから第2室8へ漏出することを防ぐ役割を果たしている。
【0010】
上記のように構成されるロータリーダンパは、軸2が図1において時計回り方向へ回転すると、それに伴いベーン5が回転して圧力室3aの粘性液体を押圧する。このとき、逆止弁機構6は、図3に示したように、弁体6cが小孔部6bの開口部を塞ぐことにより、粘性液体がベーン5を挟んで圧力室3aに隣接する非圧力室3bへ流入することを阻止する。ベーン5に押圧された粘性液体は、流路11を通過して、隔壁4を挟んで圧力室3aに隣接する非圧力室3bへ流入する。粘性液体が第1流路11aを通過するときに、粘性液体の抵抗が生じる。この抵抗により、軸2の回転を緩慢にさせる制動力が発生する。
【0011】
一方、軸2が図1において反時計回り方向へ回転すると、それに伴いベーン5が回転して非圧力室3bの粘性液体を押圧する。このとき、逆止弁機構6は、図8に示したように、弁体6cが小孔部6bの開口部を開放することにより、粘性液体がベーン5を挟んで非圧力室3bに隣接する圧力室3aへ流入することを許容する。粘性液体が小孔部6b及び大孔部6aを通過するときには、粘性液体の抵抗が生じないため、制動力が発生しない。
【0012】
温度の上昇によって粘性液体が膨張したときには、粘性液体の体積増加分が作動室3(非圧力室3b)に連通する第1室7に流入する。可動部材9は、非圧力室3bから第1室7に流入する粘性液体の圧力を受けることにより、ばね部材10を圧縮しながら移動し、第1室7の容積を拡大させる(図6参照)。その結果、粘性液体の体積増加分が第1室7に収容される。この際、第2室8の容積は縮小され、その内部の気体は、孔部4aを通じて外部に排出される。
【0013】
可動部材9が第1室7の容積を拡大させる方向へ移動するときには、テーパ状に形成された絞り部9aが第1流路11a内で、図6において下方向へ移動する。流路11の大きさは、この際の第2流路11b及び第3流路11cに対する絞り部9aの相対的な位置関係により、小さくなる(図6参照)。従って、粘性液体の粘度が温度の上昇によって低くなっても、流路11を通過する粘性液体の流量を減少させることができ、その結果、制動力が弱くなることを抑制することができる。
【0014】
温度が低下したときには、粘性液体の体積が減少するとともに、可動部材9がばね部材10の圧力を受けて移動し、第1室7の容積を縮小させる(図7参照)。この際、第2室8の容積は拡大され、その内部には、孔部4aを通じて外気が流入する。
【0015】
可動部材9が第1室7の容積を縮小させる方向へ移動するときには、テーパ状に形成された絞り部9aが第1流路11a内で、図7において上方向へ移動する。流路11の大きさは、この際の第2流路11b及び第3流路11cに対する絞り部9aの相対的な位置関係により、大きくなる(図7参照)。従って、粘性液体の粘度が温度の低下によって高くなっても、流路11を通過する粘性液体の流量を増加させることができ、その結果、制動力が強くなることを抑制することができる。
【0016】
本実施例に係るロータリーダンパによれば、上記したように、温度上昇に伴う粘性液体の膨張によりケーシング1及び他の構成部材に過大な力が作用することを防止できるとともに、粘性液体の粘度変化により制動特性が変化することも抑制することができる。また、可動部材9に絞り部9aを設けることにより、可動部材9の動きに合わせて流路11の大きさを変化させる構成であるため、構造を簡素化し得るという利点がある。
【実施例2】
【0017】
図9は本発明の実施例2に係るロータリーダンパの内部構造を示す図、図10は図9におけるA−A部断面図、図11は図9におけるB−B部断面図、図12は図10におけるA−A部断面図、図13は図10におけるB−B部断面図である。これらの図に示したように、本実施例に係るロータリーダンパは、ケーシング1、軸2、作動室3、隔壁4、ベーン5、逆止弁機構6、第1室7、第2室8、可動部材9、ばね部材10及び流路11を有して構成される。
【0018】
ケーシング1は、一端が開口し、他端が底壁1cにより閉塞された本体部1aと、該本体部1aの開口部を閉塞する蓋1bとを有して構成される(図10参照)。軸2は、一端側が蓋1bに支持され、他端側が本体部1aに支持されることにより、ケーシング1の内部に形成された空間において、回転し得るように設けられる(図9及び図10参照)。軸2は、一端に開口する第1孔部2aと、他端に開口し、第1孔部2aよりも大きな内径を有する第2孔部2bと、第1孔部2aと第2孔部2bとの間に形成され、第1孔部2aよりも大きく、第2孔部2bよりも小さい内径を有する第3孔部2cとを有して構成される(図10参照)。第1孔部2aと第3孔部2c、第2孔部2bと第3孔部2cは、それぞれ相互に連通している。軸2は、さらに、仕切り部材2dを有して構成される(図9及び図10参照)。仕切り部材2dは、第2孔部2b内に設けられ、第2孔部2bを2つの室に区画する壁部2eを有して構成される。流路11は、壁部2eの中央を貫通する穴からなる(図9乃至図10参照)。作動室3は、ケーシング1と軸2との間に形成され、隔壁4により仕切られている(図9参照)。作動室3には、粘性液体が充填される。隔壁4は、本体部1aの周壁の一部を窪ませることにより形成されている(図9参照)。ベーン5は、軸2と一体に形成され、作動室3内に配設される(図9参照)。作動室3は、ベーン5が配設されることにより、圧力室3aと非圧力室3bに区画される(図9参照)。逆止弁機構6は、仕切り部材2dの壁部2eに形成された流路11の周囲に、壁部2eを貫通するように形成される弁孔6dと、壁部2eの一面に当接することにより、弁孔6dを閉塞する環状の弁体6cとを有して構成される(図9乃至図11参照)。
【0019】
第1室7及び第2室8は、軸2に形成される(図10及び図11参照)。第1室7は、作動室3(非圧力室3b)に連通している(図11及び図12参照)。第1室7と非圧力室3bを連通させる第1通路13は、軸2の周壁及び仕切り部材2dの周壁を貫通するように形成されている。第2室8は、第1室7との間に可動部材9を介在させて第1室7に隣接している(図10及び図11参照)。軸2に形成された第1孔部2aは、第2室8に外気が流通できるようにするために、第2室8と外部を連通させる役割を果たす(図10及び図11参照)。壁部2eを挟んで第1室7に隣接する第3室15は、作動室3(圧力室3a)に連通している(図11及び図13参照)。第3室15と圧力室3aを連通させる第2通路14は、軸2の周壁及び仕切り部材2dの周壁を貫通するように形成されている。可動部材9は、その本体部分から突出する棒状の部分に、テーパ状の絞り部9aを有して構成される(図9乃至図12参照)。可動部材9には、Oリング12が配設されている(図10参照)。ばね部材10は、第2室8に設けられる(図10及び図11参照)。ばね部材10は、コイルばねからなる。可動部材9に設けられたOリング12は、粘性液体が第1室7から第2室8へ漏出することを防ぐ役割を果たしている。
【0020】
上記のように構成されるロータリーダンパは、軸2が図9において時計回り方向へ回転すると、それに伴いベーン5が回転して圧力室3aの粘性液体を押圧する。このとき、逆止弁機構6は、図11に示したように、弁体6cが弁孔6dの開口部を塞ぐことにより、粘性液体が弁孔6dを通じて圧力室3aから非圧力室3bへ流入することを阻止する。それにより、ベーン5に押圧された粘性液体は、流路11のみを通過して圧力室3aから非圧力室3bへ流入することになる。かかる粘性液体が流路11を通過するときに、粘性液体の抵抗が生じる。この抵抗により、軸2の回転を緩慢にさせる制動力が発生する。
【0021】
一方、軸2が図9において反時計回り方向へ回転すると、それに伴いベーン5が回転して非圧力室3bの粘性液体を押圧する。このとき、逆止弁機構6は、図16に示したように、弁体6cが弁孔6dの開口部を開放することにより、粘性液体が弁孔6dを通過して非圧力室3bから圧力室3aへ流入することを許容する。粘性液体が弁孔6dを通過するときには、粘性液体の抵抗が生じないため、制動力が発生しない。
【0022】
温度の上昇によって粘性液体が膨張したときには、粘性液体の体積増加分が作動室3(非圧力室3b)に連通する第1室7に流入する。可動部材9は、非圧力室3bから第1室7に流入する粘性液体の圧力を受けることにより、ばね部材10を圧縮しながら移動し、第1室7の容積を拡大させる(図14参照)。その結果、粘性液体の体積増加分が第1室7に収容される。この際、第2室8の容積は縮小され、その内部の気体は、第1孔部2aを通じて外部に排出される。
【0023】
可動部材9が第1室7の容積を拡大させる方向へ移動するときには、テーパ状に形成された絞り部9aが流路11内で、図14において上方向へ移動する。流路11の大きさは、この際の流路11に対する絞り部9aの相対的な位置関係により、小さくなる(図14参照)。従って、粘性液体の粘度が温度の上昇によって低くなっても、流路11を通過する粘性液体の流量を減少させることができ、その結果、制動力が弱くなることを抑制することができる。
【0024】
温度が低下したときには、粘性液体の体積が減少するとともに、可動部材9がばね部材10の圧力を受けて移動し、第1室7の容積を縮小させる(図15参照)。この際、第2室8の容積は拡大され、その内部には、第1孔部2aを通じて外気が流入する。
【0025】
可動部材9が第1室7の容積を縮小させる方向へ移動するときには、テーパ状に形成された絞り部9aが流路11内で、図15において下方向へ移動する。流路11の大きさは、この際の流路11に対する絞り部9aの相対的な位置関係により、大きくなる(図15参照)。従って、粘性液体の粘度が温度の低下によって高くなっても、流路11を通過する粘性液体の流量を増加させることができ、その結果、制動力が強くなることを抑制することができる。
【0026】
本実施例に係るロータリーダンパによれば、上記したように、温度上昇に伴う粘性液体の膨張によりケーシング1及び他の構成部材に過大な力が作用することを防止できるとともに、粘性液体の粘度変化により制動特性が変化することも抑制することができる。また、可動部材9に絞り部9aを設けることにより、可動部材9の動きに合わせて流路11の大きさを変化させる構成であるため、構造を簡素化し得るという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例1に係るロータリーダンパの内部構造を示す図である。
【図2】図1におけるA−A部断面図である。
【図3】図1におけるB−B部断面図である。
【図4】図1におけるC−C部断面図である。
【図5】図2におけるA−A部断面図である。
【図6】温度上昇時における可動部材の動きを説明するための図である。
【図7】温度低下時における可動部材の動きを説明するための図である。
【図8】逆止弁機構の開弁状態を示す図である。
【図9】本発明の実施例2に係るロータリーダンパの内部構造を示す図である。
【図10】図9におけるA−A部断面図である。
【図11】図9におけるB−B部断面図である。
【図12】図10におけるA−A部断面図である。
【図13】図10におけるB−B部断面図である。
【図14】温度上昇時における可動部材の動きを説明するための図である。
【図15】温度低下時における可動部材の動きを説明するための図である。
【図16】逆止弁機構の開弁状態を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1 ケーシング
1a 本体部
1b 蓋
1c 底壁
2 軸
2a 第1孔部
2b 第2孔部
2c 第3孔部
2d 仕切り部材
2e 壁部
3 作動室
3a 圧力室
3b 非圧力室
4 隔壁
4a 孔部
5 ベーン
6 逆止弁機構
6a 大孔部
6b 小孔部
6c 弁体
6d 弁孔
7 第1室
8 第2室
9 可動部材
9a 絞り部
10 ばね部材
11 流路
11a 第1流路
11b 第2流路
11c 第3流路
12 Oリング
13 第1通路
14 第2通路
15 第3室
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘性液体が充填される作動室と、該作動室に配設され、回転運動により粘性液体を押圧するベーンと、前記作動室に連通し、粘性液体の膨張による体積増加分を収容可能な第1室と、該第1室との間に可動部材を介在させて前記第1室に隣接する、外気が流通可能な第2室と、該第2室に設けられ、前記第1室に収容される粘性液体の量に応じて前記可動部材を移動させるばね部材と、前記ベーンに押圧された粘性液体が通過するときに、粘性液体の抵抗を生じさせる流路とを具備するロータリーダンパであって、
前記可動部材に、前記流路内に配置され、前記可動部材の移動に伴い前記第1室の容積が拡大するときは、前記流路の大きさを小さくし、前記可動部材の移動に伴い前記第1室の容積が縮小するときは、前記流路の大きさを大きくする絞り部が設けられていることを特徴とするロータリーダンパ。
【請求項1】
粘性液体が充填される作動室と、該作動室に配設され、回転運動により粘性液体を押圧するベーンと、前記作動室に連通し、粘性液体の膨張による体積増加分を収容可能な第1室と、該第1室との間に可動部材を介在させて前記第1室に隣接する、外気が流通可能な第2室と、該第2室に設けられ、前記第1室に収容される粘性液体の量に応じて前記可動部材を移動させるばね部材と、前記ベーンに押圧された粘性液体が通過するときに、粘性液体の抵抗を生じさせる流路とを具備するロータリーダンパであって、
前記可動部材に、前記流路内に配置され、前記可動部材の移動に伴い前記第1室の容積が拡大するときは、前記流路の大きさを小さくし、前記可動部材の移動に伴い前記第1室の容積が縮小するときは、前記流路の大きさを大きくする絞り部が設けられていることを特徴とするロータリーダンパ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−82462(P2008−82462A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−264155(P2006−264155)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000198271)株式会社ソミック石川 (91)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000198271)株式会社ソミック石川 (91)
【Fターム(参考)】
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