説明

ロータリーバルブ

【課題】簡単な構造でありながらケーシング本体が高温状態に晒されても低温状態になっても、ケーシング本体と端部カバーとの間にずれが生じることがなく、回転軸部材が斜めに傾いたり偏心したりしないロータリーバルブを提供する。
【解決手段】ケーシング本体15の環状突部37にケーシング本体15の開放端部を閉じる端部カバー19の環状溝39が嵌合するように双方の接合面36および38が互いに接合され、この状態で締結ボルト18により端部カバー19がケーシング本体15の端部に取り付けられる。ケーシング本体15が高温状態に晒されて熱膨張すると、環状突部37の外周面と環状溝39の外周面とが強く密着され、逆に、ケーシング本体15が低温状態になって熱収縮すると、環状突部37の内周面と環状溝39の内周面とが強く密着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロータリーバルブに係り、特に、圧力容器内で蒸気を用いて熱処理された穀粉等の粉粒体を排出するに際し、圧力容器内の圧力と外部の大気圧をエアロックするロータリーバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、低圧部から高圧部へ、あるいは高圧部から低圧部へ食品等を搬送する手段として、例えば下記の特許文献1に開示されたようなロータリーバルブが用いられている。
図10に示されるように、ロータリーバルブのケーシング本体1には、中心軸がほぼ水平方向に向けられた円筒形状の内面2が形成され、このケーシング本体1内にロータ3が回転自在に配置されている。ロータ3の回転軸はケーシング本体1の外部にまで延びて、この回転軸にスプロケットAが取り付けられている。さらに、ケーシング本体1の近傍に設置されたモータMの回転シャフトに取り付けられたスプロケットBの駆動力がチェーンCを介してスプロケットAに伝達され、これによりロータ3が回転する。ロータ3は、回転軸の周りに放射状に配置された複数のブレード4を有し、これらブレード4の先端部がケーシング本体1の円筒形状の内面2に近接した状態、例えば0.1〜0.2mmのクリアランスを保持した状態でロータ3が回転する。このとき、互いに隣接する一対のブレード4とケーシング本体1の内面2とにより、ほぼ閉じられた収容空間5が形成される。そして、ケーシング本体1の上部に形成された供給口6から供給された粉粒体が各収容空間5内に収容され、ロータ3の回転と共にケーシング本体1内を移動して、ケーシング本体1の下部に形成された排出口7から排出される。このようにして、供給口6側と排出口7側に圧力差がある場合であっても、エアロックを行いながら粉粒体を排出することができる。
【0003】
ところで、粉粒体として穀粉等の食材を扱う場合には、加熱あるいは殺菌等の目的で蒸気を用いた熱処理を施すことがあり、高温高圧の蒸気で処理された粉粒体をロータリーバルブで排出しようとすると、蒸気および粉粒体に晒されてロータリーバルブのケーシング本体1およびロータ3が高温状態となる。これらケーシング本体1およびロータ3は、耐食性、耐久性等の観点からSUS(ステンレス鋼)により形成されることが多いが、SUSは大きな熱膨張係数を有している。
このため、ケーシング本体1がロータ3に先立って高温になると、図11に示されるように、ケーシング本体1が膨張するために、ケーシング本体1の円筒形状の内面2とロータ3のブレード4の先端部との間隔が広がり、ここに形成された大きな間隙Gを介して収容空間5の内外を蒸気と粉粒体が流通してしまい、もはやエアロックを維持することができなくなるおそれがある。逆に、ロータ3がケーシング本体1に先立って高温になると、ブレード4が膨張してブレード4の先端部がケーシング本体1の内面2に当接し、ロータ3を円滑に回転させることが困難になるおそれがある。
【0004】
そこで、ケーシング本体1をスチームジャケットで覆ってケーシング本体1の外周部に高温の蒸気を流通させると共にロータ3の回転軸部に蒸気流路を形成して高温の蒸気を流通させることで、予めケーシング本体1とロータ3とを共に高温状態にしておく方法がある。これにより、蒸気処理された粉粒体が供給口6から供給されても、ケーシング本体1の内面2とロータ3のブレード4の先端部との間に所望のクリアランスが確保されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−151061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常、ロータリーバルブのケーシング本体1は、ロータ3の回転軸方向の端部が開放されており、この開放端部をSUS等から形成された端部カバーで閉じている。図12に、その要部の構造を示す。端部カバー8が、Oリング9を介してケーシング本体1の端部に当接された状態で締結ボルト10により取り付けられている。このため、スチームジャケットに高温の蒸気を流通させると、ケーシング本体1が端部カバー8に先立って高温になり、ケーシング本体1は径方向外方に熱膨張しようとするので、端部カバー8を締結ボルト10によりケーシング本体1に締結していても、これらケーシング本体1と端部カバー8との間にずれが生じるおそれがある。このようにしてケーシング本体1と端部カバー8との間にずれが生じると、モータMの駆動力によりチェーンCが引かれてスプロケットAおよびB同士が近付く方向に力を受けているため、ロータ3の中心軸が斜めに傾いたり偏心したりする。こうなると、ケーシング本体1の内面2とロータ3のブレード4の先端部が接触するという不具合を来たしてしまう。
【0007】
なお、ケーシング本体1と同様に、端部カバー8の外面部にもスチームジャケットを配置して高温の蒸気を流通させれば、ケーシング本体1と端部カバー8の温度条件を同じくすることにより、これらの間にずれが生じることを回避することができるが、これではロータリーバルブの構造が複雑になり、製造コストが嵩んでしまう。
また、図13に示すように、ケーシング本体1が熱膨張したときに互いに嵌合するように、ケーシング本体1の開放端部と端部カバー8の双方の当接面にそれぞれ段差S1およびS2を形成することで、高温時におけるケーシング本体1の端部の嵌合性の向上を図ることもできるが、ケーシング本体1が低温状態になって熱収縮したときには、逆にこれらの段差S1およびS2が互いに離れることとなり、ケーシング本体1と端部カバー8との間にずれが生じてしまう。
【0008】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、簡単な構造でありながらケーシング本体が高温状態に晒されても低温状態になっても、ケーシング本体の内面とロータのブレードの先端部が接触しないロータリーバルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係るロータリーバルブは、供給口および排出口を有するケーシングの内部でロータが回転軸の周りに回転することにより供給口から供給された粉粒体を排出口から排出するロータリーバルブにおいて、ケーシングは、回転軸方向の端部が開放されると共にロータを回転自在に収容するケーシング本体と、ケーシング本体の開放端部を閉じる端部カバーとを有し、伝熱媒体の流通によりケーシング本体とロータとを共に同一の温度状態に設定する温度設定手段を備え、ケーシング本体と端部カバーは、それぞれ前記回転軸を囲んで回転軸方向に互いに接合される環状の接合面を有し、これら接合面の一方に環状溝が形成され、他方に前記環状溝に嵌合する環状突部が形成されたものである。
【0010】
回転軸方向の両端部がそれぞれ開放されたケーシング本体に対しては、双方の開放端部にそれぞれ端部カバーを配置することが好ましい。
好ましくは、ケーシング本体は、ほぼ円筒形状の内面を有し、ロータは、回転軸部材と、回転軸部材に放射状に固定されると共にそれぞれ先端部がケーシング本体の円筒形状の内面に近接する複数のブレードとを有し、複数のブレードとケーシング本体の内面とによりケーシングの内部が複数の収容空間に仕切られる。
また、好ましくは、温度設定手段が、ケーシング本体の外周部に蒸気を流通させるためのスチームジャケットと、回転軸部材の内部に形成されると共に蒸気を流通させるための蒸気流路とを含むように構成される。
なお、蒸気処理された穀粉を粉粒体として供給口から供給することができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、ケーシング本体と端部カバーの環状の接合面の一方に環状溝が形成され、他方に前記環状溝に嵌合する環状突部が形成されているので、簡単な構造でありながらケーシング本体が高温状態に晒されても低温状態になっても、ケーシング本体の内面とロータのブレードの先端部が接触しないようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態に係るロータリーバルブを示す一部破断正面図である。
【図2】実施の形態に係るロータリーバルブを示す側面断面図である。
【図3】端部カバーを外した状態の実施の形態に係るロータリーバルブを示す正面図である。
【図4】実施の形態で用いられた端部カバーを示す正面図である。
【図5】図2の要部拡大図である。
【図6】モータに連結された実施の形態のロータリーバルブを示す平面図である。
【図7】高温時におけるケーシング本体と端部カバーとの位置関係を模式的に示す図である。
【図8】低温時におけるケーシング本体と端部カバーとの位置関係を模式的に示す図である。
【図9】他の実施の形態に係るロータリーバルブの要部拡大断面図である。
【図10】従来のロータリーバルブを示す正面断面図である。
【図11】従来のロータリーバルブの問題点を示す部分正面断面図である。
【図12】従来のロータリーバルブの要部拡大図である。
【図13】従来の他の形態に係るロータリーバルブの要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に示す好適な実施の形態に基づいて、この発明を詳細に説明する。
図1に、この発明の実施の形態に係るロータリーバルブの構成を示す。ロータリーバルブは、ケーシング11と、ケーシング11内に回転自在に配置されたロータ12とを備えている。ケーシング11は、上部と下部にそれぞれ粉粒体の供給口13と排出口14とが形成されたケーシング本体15を有している。このケーシング本体15の中央部には、中心軸がほぼ水平方向に向けられた円筒形状の内面16を有するロータ収容室17が形成されており、供給口13および排出口14はロータ収容室17に連通している。
ケーシング本体15のロータ収容室17は、円筒形状の中心軸方向の両端部が開放されており、ケーシング11は、ロータ収容室17の双方の開放端部を閉じるように複数の締結ボルト18を用いてケーシング本体15に取り付けられた端部カバー19および20を有している。
【0014】
ロータ12は、ケーシング本体15の円筒形状のロータ収容室17の中心軸上に配置された回転軸部材21と、この回転軸部材21に放射状に且つ所定の角度間隔で固定された複数のブレード22とを有している。各ブレード22の先端部は、例えば0.1〜0.2mmのクリアランスでケーシング本体15のロータ収容室17の内面16に近接しており、互いに隣接する一対のブレード22とロータ収容室17の内面16とにより、粉粒体を収容するためのほぼ閉じられた収容空間Sが形成されるように構成されている。
【0015】
ケーシング本体15の外周部には、蒸気を流通させるためのスチームジャケット23が形成され、ロータ12の回転軸部材21の内部には、蒸気を流通させるための蒸気流路24が形成されている。
また、排出口14近傍のケーシング本体15の内部には、スクレーパ25が回転自在に配置されている。スクレーパ25は、ロータ12の直下に位置し、ロータ12の回転軸部材21と平行に配された回転軸部材26を中心として回転することによりロータ12に付着した粉粒体を掻き取るように構成されている。
【0016】
図2に示されるように、ロータ12の回転軸部材21は、端部カバー19および20にそれぞれ固定されたベアリング27および28により回転自在に支持され、スクレーパ25の回転軸部材26も同様に、端部カバー19および20にそれぞれ固定されたベアリング29および30により回転自在に支持されている。
また、ロータ12の回転軸部材21にスプロケット31とギヤ32とが固定されると共に、スクレーパ25の回転軸部材26にギヤ33が固定され、これらのギヤ32および33が互いに噛合している。これにより、スクレーパ25はロータ12の回転に従動して回転するが、各収容空間Sを区画するための互いに隣接するブレード22間の領域が排出口14に面する毎にスクレーパ25がこのブレード22間の領域に入り込むように、ギヤ32および33のギヤ比が予め設定されている。
【0017】
ロータ12の回転軸部材21には、複数のブレード22の軸方向の両端部をそれぞれ覆う円板状部材34および35が固定されており、これらの円板状部材34および35により、ケーシング本体15のロータ収容室17の軸方向の両端部が閉じられている。
【0018】
図3に示されるように、ケーシング本体15は、回転軸部材21を囲むと共に端部カバー19と軸方向に接合される環状の接合面36を有し、この接合面36に環状突部37が形成されている。一方、図4に示されるように、端部カバー19は、回転軸部材21を囲むと共にケーシング本体15の端部と軸方向に接合される環状の接合面38を有し、この接合面38にケーシング本体15の環状突部37に嵌合する環状溝39が形成されている。
【0019】
そして、図5に示されるように、Oリング40を介してケーシング本体15の環状突部37に端部カバー19の環状溝39が嵌合するように双方の接合面36および38が互いに接合された状態で複数の締結ボルト18により端部カバー19がケーシング本体15の端部に取り付けられている。
なお、ロータ12の円板状部材34の外周部とケーシング本体15との間をシールするグランドパッキン41が、環状の押さえ部材42を介してボルト43により押圧固定されている。
同様に、ケーシング本体15と他方の端部カバー20との接合面においても、ケーシング本体15に環状突部が形成され、端部カバー20に環状溝が形成され、これら環状突部と環状溝が互いに嵌合した状態で複数の締結ボルト18により端部カバー20がケーシング本体15に取り付けられている。
【0020】
このような構成のロータリーバルブは、図6に示されるように、スプロケット31にチェーン44をかけ渡すことにより電動モータ45と連結した状態で使用される。
なお、ケーシング本体15、端部カバー19および20、回転軸部材21、複数のブレード22、スチームジャケット23、スクレーパ25、回転軸部材26、円板状部材34および35等は、それぞれSUSから形成されている。
【0021】
次に、この実施の形態に係るロータリーバルブの動作について説明する。
まず、電動モータ45の駆動により、チェーン44を介してスプロケット31を回転させると、回転軸部材21と共にロータ12の複数のブレード22がケーシング本体15のロータ収容室17内で回転する。このとき、回転軸部材21に固定されているギヤ32が回転することで、このギヤ32に噛合するギヤ33および回転軸部材26を介してスクレーパ25も回転する。
【0022】
この状態で、供給口13からケーシング11内に粉粒体が供給されると、粉粒体は、ロータ12の回転に伴い、互いに隣接する一対のブレード22とロータ収容室17の内面16とにより形成される収容空間S内に収容されてロータ収容室17内を移動し、排出口14に面する位置まで回転したところで落下して排出口14から排出される。なお、排出口14に面する位置に至ってもロータ12に付着して落下しない粉粒体は、スクレーパ25により掻き取られ、排出口14から排出されることとなる。
電動モータ45によりロータ12の回転速度を調整することで、粉粒体の排出量を制御することができる。
【0023】
ここで、例えば温度120℃程度の高温の蒸気で処理された穀粉等の粉粒体をこのロータリーバルブで排出する場合には、スチームジャケット23に高温の蒸気を流通させると共にロータ12の回転軸部材21の蒸気流路24にも高温の蒸気を流通させることで、予めケーシング本体15とロータ12とを共に同一の高温状態にする。これにより、蒸気処理された粉粒体が供給口13から供給されても、ケーシング本体15のロータ収容室17の内面16とロータ12の各ブレード22の先端部との間の例えば0.1〜0.2mmのクリアランスが確保され、互いに隣接する一対のブレード22とロータ収容室17の内面16とにより形成されたほぼ閉じられた収容空間Sはそのまま維持される。
【0024】
このとき、スチームジャケット23は、ケーシング本体15の外周部を覆うように配置されているが、端部カバー19および20にまでは延びていないので、高温の蒸気を流通させると、ケーシング本体15が端部カバー19および20に先立って昇温する。したがって、図7に模式的に示されるように、ケーシング本体15は径方向外方、特に鉛直方向へ楕円形に熱膨張しようとする。一方、環状溝39は真円環状に加工されており、しかも、ケーシング本体15の環状突部37と端部カバー19の環状溝39とが互いに嵌合しているため、環状突部37が楕円に変形しようとしても、環状溝39に制限され、楕円に変形することはない。すなわち、外周面37aが環状溝39の外周面39aを全周に亘って均一に押圧することとなる。
【0025】
その結果、蒸気処理された粉粒体が供給口13から供給され、ケーシング本体15が熱膨張しても、ケーシング本体15と端部カバー19および20との間にずれを生じることがなく、回転軸部材21が斜めに傾いたり偏心したりするおそれが未然に回避される。
このため、蒸気処理された粉粒体の供給と共にケーシング11内の雰囲気が例えば0.1MPaゲージ圧程度の高温高圧状態に保持されても、ケーシング本体15の内面16とロータ12のブレード22の先端部が接触するようなことはない。
【0026】
ところで、一旦高温状態となったロータリーバルブに低温の粉粒体が供給される等により、ケーシング本体15が低温状態になった場合には、図8に模式的に示されるように、ケーシング本体15は径方向内方へ熱収縮しようとする。このとき、ケーシング本体15の環状突部37と端部カバー19の環状溝39とが互いに嵌合しているため、今度は、環状突部37の内周面37bが環状溝39の内周面39bを全周に亘って均一に押圧することとなる。これら内周面37bおよび39bの間の押圧力は、ケーシング本体15の収縮の度合いが大きくなるほど増大し、環状突部37の内周面37bと環状溝39の内周面39bとが強く密着される。その結果、ケーシング本体15と端部カバー19および20との間にずれを生じることがなく、回転軸部材21が斜めに傾いたり偏心したりするおそれが未然に回避される。
【0027】
このようにして、ケーシング本体15が高温状態に晒されても低温状態になっても、ケーシング本体15と端部カバー19および20との間にずれを生じさせず、回転軸部材21が斜めに傾いたり偏心したりするのを防止することが可能となる。
なお、上記の実施の形態では、ケーシング本体15に環状突部37が、端部カバー19および20に環状溝39がそれぞれ形成されていたが、例えば図9に示されるように、ケーシング本体15に環状溝46を、端部カバー19および20に環状突部47をそれぞれ形成し、これら環状溝46と環状突部47を互いに嵌合させても、同様の作用効果が得られる。
【0028】
なお、上記の実施の形態では、伝熱媒体として高温の蒸気を使用し、ケーシング本体15の外周部に形成されたスチームジャケット23およびロータ12の回転軸部材21に形成された蒸気流路24にそれぞれ蒸気を流通させてケーシング本体15とロータ12とを共に同一の高温状態にしたが、これに限るものではない。例えば、伝熱媒体として冷気および冷水等の低温の冷媒を使用し、ケーシング本体15の外周部に形成された冷媒用ジャケットとロータ12の回転軸部材21に形成された冷媒流路にそれぞれ冷媒を流通させてケーシング本体15とロータ12とを共に同一の低温状態にすることもできる。この場合にも、ケーシング本体15と端部カバー19および20の接合面の一方に形成された環状溝と他方に形成された環状突部との嵌合により、ケーシング本体15と端部カバー19および20との間にずれが生じることがなく、回転軸部材21が斜めに傾いたり偏心したりするのを防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0029】
11 ケーシング、12 ロータ、13 供給口、14 排出口、15 ケーシング本体、16 内面、17 ロータ収容室、18 締結ボルト、19,20 端部カバー、21 回転軸部材、22 ブレード、23 スチームジャケット、24 蒸気流路、25
スクレーパ、26 回転軸部材、27〜30 ベアリング、31 スプロケット、32,33 ギヤ、34,35 円板状部材、36,38 接合面、37,47 環状突部、39,46 環状溝、40 Oリング、41 グランドパッキン、42 押さえ部材、43 ボルト、44 チェーン、45 電動モータ、37a,39a 外周面、37b,39b 内周面、S 収容空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給口および排出口を有するケーシングの内部でロータが回転軸の周りに回転することにより前記供給口から供給された粉粒体を前記排出口から排出するロータリーバルブにおいて、
前記ケーシングは、前記回転軸方向の端部が開放されると共に前記ロータを回転自在に収容するケーシング本体と、前記ケーシング本体の開放端部を閉じる端部カバーとを有し、
伝熱媒体の流通により前記ケーシング本体と前記ロータとを共に同一の温度状態に設定する温度設定手段を備え、
前記ケーシング本体と前記端部カバーは、それぞれ前記回転軸を囲んで前記回転軸方向に互いに接合される環状の接合面を有し、これら接合面の一方に環状溝が形成され、他方に前記環状溝に嵌合する環状突部が形成されたことを特徴とするロータリーバルブ。
【請求項2】
前記ケーシング本体は、前記回転軸方向の両端部がそれぞれ開放され、
前記ケーシング本体の双方の開放端部にそれぞれ前記端部カバーが配置されている請求項1に記載のロータリーバルブ。
【請求項3】
前記ケーシング本体は、ほぼ円筒形状の内面を有し、
前記ロータは、回転軸部材と、前記回転軸部材に放射状に固定されると共にそれぞれ先端部が前記ケーシング本体の円筒形状の内面に近接する複数のブレードとを有し、前記複数のブレードと前記ケーシング本体の内面とにより前記ケーシングの内部が複数の収容空間に仕切られる請求項1または2に記載のロータリーバルブ。
【請求項4】
前記温度設定手段は、前記ケーシング本体の外周部に蒸気を流通させるためのスチームジャケットと、前記回転軸部材の内部に形成されると共に蒸気を流通させるための蒸気流路とを含む請求項3に記載のロータリーバルブ。
【請求項5】
蒸気処理された穀粉が前記粉粒体として前記供給口から供給される請求項1〜4のいずれか一項に記載のロータリーバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−275028(P2010−275028A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126457(P2009−126457)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000226998)株式会社日清製粉グループ本社 (125)
【Fターム(参考)】