説明

ロータリ式耕耘装置のリヤカバー

【課題】軽量且つ低コストで耕耘性能及び均平性の良い耕耘装置のリヤカバーを提供する。
【解決手段】この発明は耕耘爪11の上方を覆うメインカバー14の後方に取付けられ、硬質樹脂により形成されたリヤカバー16であって、該リヤカバー(16)の均平面に、耕耘作業時に藁等をすき込む押込部44を、一体成形により突設したロータリ式耕耘装置のリヤカバーであり、押込部44には、耕耘作業時に耕耘土の左右移動を規制する整流面44bが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はロータリ式耕耘装置のリヤカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来耕耘作業時に藁屑や雑草等の塵芥をすき込むレーキ等の押込部をリヤカバー内面に突設したものとして特許文献1に示すものが、またリヤカバー自体をプラスチック成形したものとして特許文献2に示すものがそれぞれ公知である。
【特許文献1】特開2006−211967号公報
【特許文献2】特開2004−229576号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記特許文献1の発明のものは、砕土用レーキと塵芥を押込む埋没用レーキの二種類のものを、それぞれリヤカバー内面(下面)に取付けているため、それぞれの取付機構や取付作業が必要となり、さらに耕耘部内に線状又は棒状のものを突設しているために摩耗や変形等に対応するメンテナンス作業時の着脱交換等も必要で、その際の労力も大きいという欠点がある。
【0004】
また特許文献2のプラスチック製のリヤカバーは軽量化やコストダウン、耕耘土との摩擦が少ない等の利点があるが、内面側に強力な砕土や均平圧を受ける部材を取付けるには強度上も摩擦抵抗の減少を図るという目的上も適さない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明のリヤカバーは第1に耕耘爪11の上方を覆うメインカバー14の後方に取付けられ、硬質樹脂により形成されたリヤカバー16であって、該リヤカバー16の均平面に、耕耘作業時に藁等をすき込む押込部44を、一体成形により突設したことを特徴としている。
【0006】
第2に押込部44に、耕耘作業時に耕耘土の左右移動を規制する整流面44bが形成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
以上のように構成される本発明のロータリ式耕耘装置のリヤカバーによれば、耕耘作業時に藁等をすき込む押込部により、圃場の土塊や切り藁が土中に埋め込まれるため、リヤカバーの整地効率が向上するとともに、一体成形により上記押込部をリヤカバーに突設するため、押込部を備えたリヤカバーの製造が容易になり、製造コストを低く抑えることができる。
【0008】
また、押込部に、耕耘作業時に耕耘土の左右移動を規制する整流面を形成することにより、ロータリ式耕耘装置による耕耘作業の効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の1実施形態を図面に基づいて説明する。図1,図2は本発明を採用したロータリ式耕耘装置1の側面部分断面図及び平面図であり、トラクタ等の走行車両2の後方に3点リンクヒッチ3を介して昇降自在に連結され、上記走行車両2の走行に伴いロータリ4によって圃場の耕耘作業を行う。
【0010】
上記ロータリ式耕耘装置1は、走行車両2側よりPTO動力が入力されるギヤケース6からパイプフレーム7が左右に突出しており、該パイプフレーム7の一方(左)の外端部にチェーンケース8が、他方(右)の外端部にサイドフレーム9がそれぞれ一体的に設けられている。
【0011】
そして上記サイドフレーム9とチェーンケース8の下部間には、複数の耕耘爪11が取り付けられた爪軸12が、チェーンケース8を介してギヤケース6より入力される駆動力によって回転駆動されるように軸支されており、この耕耘爪11や爪軸12等によって前述のロータリ4が構成されている。そして爪軸12の回転駆動によってロータリ4(耕耘爪11)が回転し、圃場の耕耘作業を行う。
【0012】
このとき上記ロータリ4は、側面視で耕耘爪11の先端の回転軌跡に沿った円弧状をなすメインカバー14によって上方側が、またメインカバー14の後端側に、上下揺動自在に取り付けられたリヤカバー16によって後方側がそれぞれ覆われており、メインカバー14はロータリ4による耕耘土を前方に持ち回り、耕耘時の砕土性を向上させ、リヤカバー16は、耕耘土に押接して耕耘面の均平を行う。
【0013】
一方上記ギヤケース6の上方部分にはトップマスト17が取り付けられており、該トップマスト17の前方上端側には、走行車両2側の3点リンクヒッチ3側に連結される連結部18が設けられている。すなわち本ロータリ式耕耘装置1は、上記連結部18を介して走行車両2に連結される。
【0014】
またトップマスト17の後方上端側には、ハンドル19の回転により伸縮せしめられる伸縮ロッド20が取り付けられており、該伸縮ロッド20の伸縮端に、アーム21を介してギヤケース6側に上下揺動自在に支持されたツールバー22が連結されている。これによりハンドル19の回転によってツールバー22が上下揺動せしめられ、ツールバー22の高さ及び前後位置が調節され、ツールバー22に取り付けられる作業機に応じて、ツールバー22の位置を調節することができる。
【0015】
上記メインカバー14は、円弧状の天板23を母体としており、該天板23は、内面(下面)に高分子円弧状断面の土付着防止板27を取り付けた構造となっている。そして上記天板23の左右両端に設けられた前側板24の下端部分が、チェーンケース8又はサイドフレーム9側の爪軸12の軸受部側に前後回動自在に支持されている。
【0016】
また上記メインカバー14は、トップマスト17側に前後揺動自在に設けられたレバー31にリンクアーム30を介して上面のブラケット35で連結されており、これによりレバーの31前後揺動操作によって、メインカバー14及びリヤカバー16を爪軸12周りに前後回動させ、両カバー14,16を耕耘深さに応じた位置に位置調節することができる。
【0017】
リヤカバー16とメインカバー14との間には左右方向のフレーム状の中間カバー32が介在し、その両端には耕耘部両側を覆う後側端33が取付けられている。中間カバー32の後端には軸34を介して上下揺動可能にリヤカバー16が連結され、さらに中間カバー32とリヤカバー16の上面には左右に振り分け配置された連結ブラケット36,37間を加圧スプリング(図示せず)を外装した吊りロッド38でそれぞれ連結し、ブラケット36側の連結部で吊りロッド38の連結位置をスライドさせて多段階又は無段階に調節することにより、揺動位置を調節できる機構となっている。
【0018】
図3〜図5はリヤカバー16の構成を示し、リヤカバー16は側面視で前半部が平板状を、後半部が下向きに山形をなす円弧状に形成され、前端部には軸34の上面に沿って覆うように半円筒状に湾曲した軸カバー部41を形成している。
【0019】
軸34には下部周面より後向きに突出する取付プレート42が軸方向に沿って一体的に固着されており、この取付プレート42がリヤカバー16の平板状の前端部内面に沿ってビス止め等によって軸34が着脱可能に取付けられた状態で、カバー部41内に収容されている。またリヤカバー16は全体がポリカーボネート等の硬質樹脂によりセンターカバー16aとその両側に連接して取付けられるサイドカバー16bとに複数片に分割形成されている。
【0020】
そして各カバー16a,16bの左右端には、背面(上面)側に突出するようにそれぞれボルト等によって互いに連接接合するための接合リブ43が、カバーの補強を兼ねて一体的に突設されており、リヤカバー16は補強リブ43によって着脱可能に一体接合され、且つ前述した取付プレート42によっても固定され、全体として左右対称形になっている。
【0021】
さらに各カバー16a,16bの内面(接地面)の平板状部の後端部から円弧状部の後端部にわたって側面視で下向きに山形のアール(円弧)をなし、前後端がカバー接地面に収束する形状で、リブ状又はプレート状の押込部44が左右方向の所定ピッチで前後方向に複数個一体的に突出形成されている。押込部44はプレート状であるため、その左右両側面は耕耘土塊が耕耘時に左右方向に移動するのを防止する整流面44bとして形成される。
【0022】
図示する例では押込部44は各カバー16a,16b共に前述した接合リブ43を下側に延長させて突出されるほか、センターカバー16aには合計5箇所、サイドカバー16bには3箇所それぞれ等間隔に突設されており、各リブ43には側面視で外周の円弧に沿った弓形の切り抜かれた形の切窓部44aが形成されている。
【0023】
また前記連結ブラケット36,37及び吊りロッド38は、リヤカバー16の分割面(分割位置)となるセンターカバー16aの両端位置のリブ43上に位置し、リヤカバー16側の2個のブラケット37は図2,図5に示すように、上記分割位置で重ね合わされる2つのリブ43に共締めされて一組ずつ取付けられており、その取付位置は概ねリヤカバー16の平板状部と円弧状部の境界近傍である。
【0024】
さらに上記センターカバー16aとサイドカバー16bの接合位置の前端及び同位置の取付プレート42の前端にはリヤカバー組立状態で切窓状に上下に貫通する切欠部46が形成されている。そして吊りロッド連結用の前側のブラケット36の下端面に後端が固着されて前端が前方に突出する掬い方向に湾曲した軸受フック47が、上記切欠部46を介してカバー上面側から挿入され、中間カバー32側にリヤカバー軸34が軸支される。
【0025】
リヤカバー16は上記のように分割形成されるので、成形時の金型を小型化できるとともに、サイドカバー16bは左右同形であるため単一の金型を共用できる利点があり、各分割片の幅や接合枚数を増減することにより、ユーザーニーズに応じた耕耘幅の調節を可能にする。接合リブ43は接合を容易にするだけでなく、リヤカバー全体の補強になる。
【0026】
押込部44も補強機能を果たすほか、耕耘作業時に圃場上面側に来る土塊を衝突させ又は押切りによって砕土することにより、圃場上層部を緻密に砕土し、下層に土塊を残して理想的な二層構造の耕耘圃場を形成する。また押込部44は圃場面に散乱する藁屑や雑草等の塵芥を土中に押込んで肥料化を促進する。
さらに押込部44は耕耘によって放てきされる土がリヤカバー側方に放出されるのを防止し、耕耘後の圃場面の均平度合を高める。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】ロータリ式耕耘装置の側面部分断面図である。
【図2】ロータリ式耕耘装置の平面図である。
【図3】リヤカバーの分解背面斜視図である。
【図4】中間カバー及びリヤカバーの前方斜視図である。
【図5】中間カバー及びリヤカバーの背面斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
11 耕耘爪
14 メインカバー
16 リヤカバー
44 押込部
44b 整流面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕耘爪(11)の上方を覆うメインカバー(14)の後方に取付けられ、硬質樹脂により形成されたリヤカバー(16)であって、該リヤカバー(16)の均平面に、耕耘作業時に藁等をすき込む押込部(44)を、一体成形により突設したロータリ式耕耘装置のリヤカバー。
【請求項2】
押込部(44)に、耕耘作業時に耕耘土の左右移動を規制する整流面(44b)が形成された請求項1のロータリ式耕耘装置のリヤカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−220200(P2008−220200A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−59545(P2007−59545)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】