説明

ローターブレード

【課題】風力発電施設のローターブレード、及びこのようなローターブレードを用いた風力発電施設を改良する。
【解決手段】ローターブレードは非常に広範多様なデザイン構成を持ったものが知られている。周知のローターブレードはさまざまな材料を用いて製造可能であり、それら材料はたとえばアルミニウム、チタン、鉄鋼、複合繊維材(グラスファイバ、カーボンファイバ、またはアラミドファイバ)、木材等である。しかしローターブレードの材料の幾何学的構成の別なく、あらゆるローターブレードが一般的には均一色である。その点に関しては塗装される色は白が好まれる。本発明の目的は風力発電施設をさらに景観へ統合すること、環境適合性を改善すること、および異質の物体としての影響を軽減することである。この目的は特に大きなロータ直径(40m以上)を持った施設に関して達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は風力発電施設のローターブレード、及びこのようなローターブレードを用いた風力発電施設に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ローターブレードは非常に広範多様なデザイン構成を持ったものが既に知られている。周知のローターブレードはさまざまな材料を用いて製造可能であり、それら材料はたとえばアルミニウム、チタン、鉄鋼、複合繊維材(グラスファイバ、カーボンファイバ、またはアラミドファイバ)、木材等である。しかしローターブレードの材料の幾何学的構成の別なく、あらゆるローターブレードが一般的には均一色である。その点に関しては塗装される色は白が好まれる。
【0003】
これもまた周知のことであるが、ローターブレードの先端部分には信号−赤色の塗装が施されていて、この信号−赤色塗装は特に風力発電施設が飛行場や空港や航空路の領域内に設置されるときに要求され、それにより風力発電施設やローターブレードが航空交通機関からよく見えるようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
風力発電施設はあらゆる建築物と同様自然景観においては異質の物体と映る。明らかに社会は風力発電施設の利用を受け入れ、歓迎している。なぜならば電力は非常に効率的に、なおかつ再生的手段で生産されるからである。しかしそれにもかかわらず風力発電施設に近接して居住している住民は不運にも風力発電施設の悪影響を被っていると再三再四感じているのである。
【0005】
本発明の目的は風力発電施設をさらに景観へ統合すること、環境適合性を改善すること、および異質の物体としての影響を軽減することである。この目的は特に大きなロータ直径(40m以上)を持った施設に関して達成されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は請求項1に記載された特徴を持つローターブレードと請求項8で述べた風力発電施設により達成される。有益な展開は付随する請求項にて述べる。
【0007】
本発明は以下に述べる事実を発明の基礎としている。その事実とは、ローターブレード先端部が(ローターブレードのハブの近辺と比較して)相対的に狭くなっており、その先端部でロータの回転は最大周速であると考えられるローターブレードの先端部に近い領域に昼間の空の色の色合いを与えると、ロータは実際よりも小さく見える、というものである。そのような昼間の空の色または自然の色の色合いとは例えば青味帯びた色合い、灰色の色合い、青色/灰色の色合い、緑色を帯びた色合い、灰色/緑色の色合い、青色/緑色の色合いおよび/または緑・青・灰色の色合いである。
【0008】
上に述べた種類の1つもしくは複数のローターブレードからなるロータは視覚的に実際の大きさよりも著しく小さい印象を観測者に与える。この“視覚的寸法減少”は曇り空のとき(もしくは拡散光のとき)に特に起こる。本発明はローターブレードの全直径の10−20%以上の“視覚的減少”を達成している。上で述べた色合いの代わりに、必要とあらばいつでも暗い色領域の色合いを、風力発電施設の立地する背景と調和するよう選択することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明を以下に明確な具体物を用いてより詳細に記述する。
【0010】
図1は一方の端にローターブレード接続部2を、他方の端にローターブレード先端部3を有するローターブレード1の図である。風が衝突するローターブレードの表面(動力学的圧力面)は2つの領域4、5に分割され、それらは異なる色をしている。それら2つの領域の内、領域5はローターブレード接続部2と接続し、ローターブレード先端部3と接続している領域4と比較して著しく明るい色をしている。その2つの領域のうち暗い色をした領域はとりわけ灰色、青色、もしくは灰/青色または別の昼間の空の色もしくは自然の色または背景の色をした色合いを施される。ローターブレード先端部領域に塗装された周知の信号―赤色の被覆とは対照的に、本発明によるローターブレード1の先端部領域は精確には視覚的にはっきりと認識できない対照的な“準”偽装色が施されておりその為、風力発電施設でロータの回転と同調して回転している個々のローターブレードはもはや視覚的にはほとんど認識できない。少なくとも外側の青色、灰色または青/灰色のローターブレード先端部領域4は特に曇天の場合には視覚的に認識できない。まさに海岸近くの地域で非常に頻繁に発生する天候が曇天であり、また最も多くの風力発電施設が設営されている地域がその海岸近くの地域なのである。この点で、ローターブレードの明るい領域は全面積の50−70%を占め、一方暗い領域がローターブレードの全面積の10−30%を占める。
【0011】
評価されるべき点に、ローターブレードの前面のみに本発明に対応する配色を施すことが可能だという点がある。しかしながらローターブレードの背面にも本発明による配色を施してもよいことを言及しておく。
【0012】
この場合、明るい領域と暗い領域間の推移は唐突なものでも流動的なものでもよい。明るい領域と暗い領域の境界線はローターブレード接続部に関して均一の幅である必要はない。また明るい領域5がローターブレードの後縁6において暗い領域4へ突き出るように境界線を弧7(図に示すように)の形に形成することも可能である。
【0013】
次のことも評価されるべきである。それはローターブレード先端部の色はローターブレード表面の暗い領域の色と同じ配色にしておくことが可能である点である。そうすることでロータの回転している風力発電施設では、それを眺めている人はもはやローターブレード本来の長さまたはロータ本来の直径に気づくことはない。なぜならローターブレードの先端部が暗い色であることによってロータの“視覚的寸法減少”を引き起こし、ロータの回転している風力発電施設を眺める人の感じるロータ全体の大きさはロータ全体の実際の大きさよりも著しく小さいものとなるからである。このことは、人がこのような風力発電施設をさほど不快なものとは感じなくなることを意味している。
【0014】
また、このことはローターブレードの直径のさらなる長大化が可能であることをも意味しそれによって風力発電施設の動作効率は向上する。しかしローターブレードの径の増加による風力発電施設全体についての“異質の物体であるとの認識”が同時に増大することはない。
【0015】
図2は上述のローターブレードを3つ配した風力発電施設の図である。この風力発電施設は塔8とその上に設置された機械アセンブリから構成されている。その機械アセンブリが3つのローターブレード1が固定されているロータ7を支持している。
【0016】
ローターブレードのハブ接続部分から遠い部分は自然色または昼間の空の色もしくは適当な背景色を配されているので、その部分が風力発電施設稼動中にその施設を見る人によって認識されることはほとんどない。なぜなら、個々のローターブレードは先端部領域の方がローターブレードのハブに近い方と比較して幅が狭く、なおかつ同時刻においてはローターブレード先端部における周速(角速度ではない)はローターブレードのハブに接続している領域の周速よりも著しく高速で回転しているからである。
【0017】
ローターブレード先端部領域の“自然な配色”のおかげで、それを眺める者がローターブレード先端部領域の精確な輪郭を認めることはなおのこと不可能となり、風力発電施設のロータは通常それを観測する者にとって著しく小さく映る。
【0018】
上で述べた2つの異なる色合いの領域の代わりに、多数の異なる色合いの領域を配することも可能である。この場合は、通常多くの暗い色のうちでも最も暗い色の領域をローターブレードの先端部領域に配すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ローターブレードの図である。
【図2】3つのローターブレードを持つロータによる風力発電施設の図である。
【符号の説明】
【0020】
1 ローターブレード、2 ローターブレード接続部、3 ローターブレード先端部、4 領域、5 領域、6 後縁、7 弧。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローターブレード接続部、ローターブレード先端部、およびそれら部分の中間に位置する表面から構成されている風力発電施設のローターブレードであって、
その表面は明度に関して少なくとも2つの領域に分割され、明るい色の領域が暗い色の領域よりもローターブレード接続部近傍に配され、暗い色の領域が、昼間の空または風力発電施設の背景と調和する色を持っているローターブレード。
【請求項2】
暗い色の領域が、白色が好ましい明るい色の領域よりも、より青色、灰色、緑色および/または青色/灰・緑色の色合いを持つことを特徴とする請求項1に記載のローターブレード。
【請求項3】
明るい色の領域がローターブレードの表面積の約40−90%を占めることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のローターブレード。
【請求項4】
暗い色の領域がローターブレードの表面積の10−50%を占めることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のローターブレード。
【請求項5】
複数の暗い色の領域を持ち、それら暗い色の領域のうちで最も暗い色の領域をローターブレード先端部に持つことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載のローターブレード。
【請求項6】
明るい色の領域と暗い色の領域がなだらかに推移していることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載のローターブレード。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載のローターブレードを少なくとも1つ有する風力発電施設。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−132542(P2006−132542A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−13562(P2006−13562)
【出願日】平成18年1月23日(2006.1.23)
【分割の表示】特願2001−531978(P2001−531978)の分割
【原出願日】平成12年7月8日(2000.7.8)
【出願人】(500017944)アロイス・ヴォベン (107)
【Fターム(参考)】