説明

ロータ位置予測および補間の機能を有する電子整流モータおよび方法

本発明はステータと特に永久磁石式のロータとを備えた電子整流モータに関する。この電気モータは制御ユニットを有し、制御ユニットはステータと作用結合しており、ステータがロータを回転させる回転磁界を発生させることができるように、ステータを整流する制御信号を生成する。電気モータはさらにロータの位置、特に角度位置を検出し、ロータ位置を表すロータ位置信号を生成する少なくとも1つのロータ位置センサを有する。制御ユニットはロータ位置信号に依存して制御信号を生成する。本発明によれば、制御ユニットはロータ位置信号をサンプリングおよび量子化し、サンプリングされ量子化されたロータ位置信号に対応する時間的なデータストリームを形成するデジタルロータ位置信号を生成する。制御ユニットは時間的に連続する2つのロータ位置値の間にある少なくとも1つの中間値をデジタルロータ位置信号内に形成する補間器を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子整流モータに関する。本発明の電子整流モータは、ステータと、特に永久磁石式のロータとを有する。またこの電子整流モータは制御ユニットも有している。制御ユニットは、ステータと作用結合しており、ステータがロータを回転させるための回転磁界を発生させることができるように、ステータを整流する制御信号を生成する。上記モータはまたロータ位置を、特にロータの角度位置を検出し、ロータ位置を表すロータ位置信号を生成するように構成された少なくとも1つのロータ位置センサを有している。制御ユニットは、このロータ位置信号に依存して制御信号を生成するように構成されている。
【0002】
DE 103 32 381 A1から公知の電気モータでは、ロータ位置はセンサなしで検出され、ロータを回転させる巻線電流の電流波形は急激な飛躍なしに連続的にロータ回転につれて変化し、センサレスロータ位置検出のための電力が不足することがない。高速回転する電子整流モータでは、ロータ回転中に整流パターンを頻繁に変更すべき場合には、電気モータの動作中にロータ位置検出を高い検出頻度で行わなければならないという問題が存在する。そのために、電気モータの制御ユニットは相応して高い計算能力を有していなければならない。
【0003】
本発明によれば、冒頭で述べたような電子整流モータの制御ユニットは、ロータ位置信号をサンプリングおよび量子化し、デジタルロータ位置信号を生成するように構成されている。デジタルロータ位置信号は、サンプリングされ量子化されたロータ位置信号に対応する時間的なデータストリームを形成する。なお、制御ユニットは、時間的に連続する2つのロータ位置値の間にある少なくとも1つの中間値をデジタルロータ位置信号内に形成するように構成された補間器を有している。この補間器のおかげで、特にアナログのロータ位置信号をサンプリングおよび量子化するアナログデジタル変換器のサンプリング周波数は、有利なことに、補間器なしの場合に比べて低くすることができる。それゆえ、例えばFPGAまたはASICとして形成された制御ユニットの計算能力は、有利なことに、補間器なしの場合に比べて低くてよい。さらに有利には、制御ユニットはデジタルロータ位置信号をデジタル予測ロータ位置信号として形成するように構成されている。ここで、デジタル予測ロータ位置信号、特に時間的なデータストリームは、時間的に前記ロータ位置信号より後の将来のロータ位置値を少なくとも1つまたは複数含んでいる。好ましくは、補間器は2つの将来のロータ位置値の間の中間値を形成するように構成されている。有利には、このように構成された予測ロータ位置信号により、現在ロータ位置または将来ロータ位置を電気モータの整流に使用することが可能である。さらに有利には、例えばアナログロータ位置信号をデジタルロータ位置信号に変換した後にロータ位置センサが、特に角度センサがこのように変換されたロータ位置信号を別の信号処理に使用できるようになる前に、上記のように予測されたロータ位置を電気モータの整流に使用することができる。
【0004】
ロータ位置センサは好ましくは角度センサである。この角度センサは例えば巨大磁気抵抗効果センサ(GMRセンサ)または異方性磁気抵抗センサ(AMRセンサ)である。別の実施形態では、電気モータは例えば、特にアナログロータ位置信号を生成するように構成された複数のホールセンサを有する。好ましくは、角度センサ、特にGMRセンサまたはAMRセンサは、時間的に連続なロータ位置信号を生成するように構成されている。このロータ位置信号は好ましくは時間的に連続して絶対ロータ位置を表す特にアナログのロータ位置信号である。角度センサの角度分解能は、アナログロータ位置信号をアナログからデジタルへ変換するアナログデジタル変換器のサンプリングレートによって決まる。
【0005】
有利な1つの実施形態では、制御ユニットは、特にデジタル予測ロータ位置信号をロータ位置センサによって検出された別のロータ位置に依存して特にFIFO原理(FIFO=First−In−First−Out)に従って補正するように構成されている。また、予測ロータ位置信号は例えば所定数のロータ位置値によって形成されていているものとしてよい。その場合、これらロータ位置値は、FIFO原理に従い、角度センサによって検出された(さらに好ましくはアナログデジタル変換器によって変換された)新しいロータ位置値によって更新される。それゆえ、有利なことに、電気モータの整流は定常的ではない運動パターンによっても行うことができる。例えば、制御ユニットはロータ回転中に互いに異なる複数の整流パターンをステータに与えることができる。
【0006】
有利な1つの実施形態では、制御ユニットは近似されるべき出発関数としてのロータ位置信号に依存してデジタル予測ロータ位置信号を近似関数によって生成するように構成されている。それゆえ、有利には、ロータ位置センサにより生成されたロータ位置信号は将来ロータ位置を得るために評価される。
【0007】
好ましくは、近似関数は多項式、特に少なくとも2次の多項式、または2次もしくは3次の多項式である。近似関数の他の有利な実施例としては、スプライン関数または指数関数が挙げられる。
【0008】
有利な1つの実施形態では、制御ユニットはクロックを有しており、このクロックが発する時間信号に依存して予測ロータ位置信号を生成し、予測ロータ位置信号に依存してステータを整流するように構成されている。なお、上記クロックのクロック周波数はデジタルロータ位置信号の連続するロータ位置値の繰り返し周波数よりも高い。そのため、有利には、予測ロータ位置信号の補間値に依存してステータを整流することができる。有利には、制御ユニットは、好ましくは予測ロータ位置信号の将来のロータ位置値において整流時点を求めるように、さらに好ましくは将来のロータ位置値においてステータを整流するように構成されていてもよい。
【0009】
本発明はまた電子整流モータを、特に上に述べた形式の電気モータを動作させる方法にも関している。本発明の方法では、ロータ位置センサによりロータ位置が検出され、ロータ位置に対応するロータ位置信号が生成される。さらに、上記の方法では、好ましくはロータ位置信号がサンプリングおよび量子化され、時間的なデータストリームを形成する特にデジタルの予測ロータ位置信号が生成される。予測ロータ位置信号はサンプリングされ量子化されたロータ位置信号を表しており、ロータ位置信号よりも時間的に後の将来のロータ位置値を少なくとも1つまたは複数含んでいる。
【0010】
本方法の1つの有利な実施形態では、デジタル予測ロータ位置信号はロータ位置センサによって検出された別のロータ位置に依存して補正される。
【0011】
本方法の別の有利な実施形態では、デジタル予測ロータ位置信号は、出発関数であるロータ位置信号に依存して近似関数を形成することにより形成される。ここで、出発関数は近似されるべき関数であり、近似関数を形成するためのデータ点を構成することができるものである。これにより、データ点によって形成された(例えばロータ位置信号によって形成された、またはロータ位置信号から形成された)範囲を超えて予測ロータ位置信号を外挿することができる。近似関数は好ましくは2次または3次の多項式関数である。
【0012】
本方法の1つの有利な実施形態では、ある時間間隔が経過した後、予測ロータ位置信号に依存してステータの整流が行われる。ここで、前記時間間隔の経過は所定の整流時点に対応している。有利には、整流は好ましくは予め決められた少なくとも1つの整流パターンで行われる。それゆえ、有利にはロータ位置センサにより生成されるロータ位置値が得られる前に既に整流を行うことができる。
【0013】
本方法では、将来のロータ位置値は近似関数に依存して、例えば多項式、スプライン関数または他の適切な近似関数に依存して求められる。そのために必要な乗算は有利には相応の高速計算ユニットによって行われる。
【0014】
制御ユニットは例えばマイクロプロセッサ、マイクロコントローラもしくはFPGA(FPGA=Field-Programmable-Gate-Array)、またはASIC(ASIC=Application-Specific-Integrated-Circuit)としてよい。制御ユニットは例えば、データ担体に記憶されデータ担体とともにコンピュータプログラム製品を構成する制御プログラムによって制御される。
【0015】
本発明はさらに前記した形式の電気モータのための前記した形式の制御ユニットにも関している。この制御ユニットはロータもステータも有しておらず、電気モータのステータと接続されるように形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による制御ユニットを有する電子整流モータの実施例を示す。
【図2】図1に示されている電気モータを動作させる方法を示す。
【図3】図1に示されている電気モータの動作と図2に示されている方法を図解するグラフを示す。
【0017】
以下に、本発明を図面と実施例とに基づいて説明する。他の有利な実施形態は、既に述べた特徴と図面に示されている特徴と従属請求項に示されている特徴とから得られる。
【0018】
図1には、電子整流モータ1の実施例が示されている。電子整流モータ1は3つのステータコイル、すなわちステータコイル12、ステータコイル14およびステータコイル16を備えたステータ10を有している。ステータ10はまた角度センサも有している。この角度センサは例えばアナログのロータ位置信号を生成することができる。角度センサ18は、電子整流モータ1のロータ11のロータ位置を検出するように構成されている。角度センサ18は接続部50によって電子整流モータ1の制御ユニット30に接続されている。制御ユニット30は、入力側で接続部50に、したがってまた角度センサ18に接続されているアナログデジタル変換器27を有している。角度センサの角度分解能は、アナログの、特に時間的に連続して生成されたロータ位置信号の場合、アナログデジタル変換器のサンプリングレートによって決まる。アナログデジタル変換器27の出力側は接続ケーブル54を介して多項式生成器29に接続されている。
【0019】
アナログデジタル変換器27は入力側で接続部50を介して受信したロータ位置信号をサンプリングし、それぞれロータ位置信号の振幅値を表すサンプリング値の時間的シーケンスを生成するように構成されている。アナログデジタル変換器27の出力側は接続ケーブル54を介して多項式生成器29に接続されている。多項式生成器29は、接続ケーブル54を介して受信した(ロータ11のロータ位置を表す)サンプリング値に依存して近似関数を形成するように構成されている。なお、この近似関数は、サンプリング値によって疎らに表された曲線の連なりを少なくとも近似的に表すものである。
【0020】
多項式生成器は、有利には最小二乗法を用いて近似関数を形成するように構成されている。
【0021】
近似関数は好ましくは多項式、特に2次または3次の多項式である。しかし、特に多項式生成器の所要計算時間に依存して、4次以上の多項式を用いることも考えられる。
【0022】
多項式生成器29は、既に求められた近似関数、特に多項式の係数を求め、出力側においてこれら多項式係数を接続ケーブル56を介して係数メモリ32に出力するように構成されている。このために、多項式生成器29は例えば各多項式係数用にFIRフィルタを、この実施例では、例として示されている3つのFIRフィルタ36、38および39を有している。係数メモリ32の出力側は接続ケーブル58を介して予測器34に接続されている。予測器34は、係数メモリ32に記憶されている係数を接続ケーブル58を介して読み出し、時間的に連続するロータ位置値を表すデータストリームを生成し、出力側でこのデータストリームを接続ケーブル60を介して制御ユニット42へ出力するように構成されている。このデータストリームは(この実施例では点線で示されている)時間的に連続する将来のロータ位置値を含んでおり、これらのロータ位置値はそれぞれ、角度センサ18によってまだ検出されていない将来のロータ位置(特にアナログデジタル変換器によって生成されたデジタルロータ位置信号よりも高い分解能を有する)を表している。この実施例では、このデータストリームが既に述べた予測ロータ位置信号を生成する。
【0023】
近似関数、特に多項式は、例えば次のように生成されたものであってよい。
【0024】
【数1】

ここで、ye,n(Δn)=近似関数としての予測多項式
n=サンプリング値、整数または1未満の数
a=サンプリング周期
g=多項式の次数
a=多項式係数
制御ユニット42はクロック40と接続されており、少なくとも接続ケーブル60を介して受信した予測ロータ位置信号に依存してステータ10を整流するように構成されている。
【0025】
制御ユニット42の出力側は接続部53を介して電気モータ1の出力段25に接続されている。制御ユニット42は、ステータコイル12、14および16によって回転磁界を発生させるために出力段25を駆動制御するように構成されている。出力段25の出力側は接続部52を介してステータ10に接続されており、そこでステータコイル12、14および16と接続されている。制御ユニット42は、クロック40から受信した、とりわけ高分解能の時間信号に依存して、ステータ10を整流する整流時点を正確に求めるように構成されている。制御ユニット42は入力側で双方向接続部61を介してメモリ62に接続されている。メモリ62には、互いに異なる複数の通電パターンが記憶されている。これら通電パターンのうち1つの通電パターン62が例として示されている。例えば、制御ユニット42は、予測ロータ位置信号に依存してメモリ内に記憶されている通電パターンを選択し、回転磁界を発生させるために選択した通電パターンに従ってステータ10に通電することができる。
【0026】
多項式生成器29は有利には係数メモリ32内に記憶されている多項式係数の各々についてFIRフィルタ(FIR=Finite-Impluse-Response)を有している。
【0027】
制御ユニット42はまた入力側において接続ケーブル54を介してアナログデジタル変換器27とも接続されており、アナログデジタル変換器からデジタル化されたロータ位置信号を受信することができる。
【0028】
制御ユニット42は、ステータコイルを予測器34によって計算されたロータ位置値に依存して相応に整流するために出力段35を駆動制御するように構成されている。予測器によって生成されたロータ位置信号のロータ位置値の時間的な繰り返し周波数は、アナログデジタル変換器によって生成されたデジタルロータ位置信号の繰り返し周波数よりも高い。
【0029】
図2には、電子整流モータを整流する方法の実施例が示されている。この方法では、ステップ70において、電子整流モータのロータのロータ位置がとりわけ角度センサによって検出され、ロータの少なくとも1つのロータ位置を表すロータ位置信号が生成される。ステップ72では、ロータ位置信号がアナログデジタル変換器によってデジタル化され、デジタル化されたロータ位置信号が生成される。ステップ74では、デジタル化されたロータ位置信号に依存して、デジタル化されたロータ位置値を少なくとも近似的に近似する多項式が生成される。ステップ76では、以前に形成された多項式を表す多項式係数がバッファ記憶される。ステップ78では、以前に生成された多項式係数に依存して予測器によって多項式が生成され、この多項式に依存してデータストリームが生成される。このデータストリームには、角度センサによって検出されたロータ位置値が含まれている時間範囲内のロータ位置値と、さらにそれに加えて将来のロータ位置値とが含まれている。なお、この将来のロータ位置値とは、角度センサによってまだ検出されていないロータ位置値、および/またはアナログデジタル変換器24によって生成された信号によってまだ表されていないロータ位置値である。この実施例では、データストリームにはさらに補間によって生成されたロータ位置値が含まれているため、データストリームの連続するロータ位置値の時間的なクロックレートはアナログデジタル変換器のサンプリングレートよりも高い。ステップ80では、データストリームに依存して整流パターンが選択され、ステップ82においてこの整流パターンでステータに通電する。
【0030】
図3にはグラフ90が示されている。グラフ90は時間軸91と振幅軸92を有している。
【0031】
グラフ90には、サンプリング値101、102、104、106、108、110および112を相互につなぐ曲線95が示されている。曲線95は、例えば図1に示されている多項式生成器29によって生成された多項式に対応しており、ロータ位置の推移を表している。この実施例では、多項式95は3次多項式である。ロータ位置値101、103、105、107、109、111および113も図示されている。
【0032】
ロータ位置値101は角度センサによって、例えば図1に示されている角度センサ18によって検出されたものである。
【0033】
また、時間間隔96と時間間隔98も図示されている。時間間隔96はアナログデジタル変換器の、例えば図1に示されているアナログデジタル変換器27のサンプリング周期を表している。ロータ位置値100、102、104、106、108、110および112は時間間隔96によって先行するロータ位置値と後続するロータ位置値とからそれぞれ離隔されている。
【0034】
ロータ位置値101は時間間隔98の後にロータ位置値100に後続して生じている。ロータ位置値103は時間間隔98の後にロータ位置値102に後続して生じている。なお、時間間隔98は、アナログデジタル変換器が角度センサから送られてきたロータ位置信号をデジタル化するのに要する計算時間を表している。
【0035】
それゆえに、制御ユニット(例えば図1の制御ユニット30)は、さらなる信号処理と整流時点の制御のために、角度センサによって検出されたロータ位置信号をこれらロータ位置信号が角度センサによって検出された時点よりも後に(この実施例では時間間隔98の分だけ遅れて)デジタル形式で利用することができる。さらに整流時点115および117が図示されている。整流時点115はロータ位置値102から時間間隔99の分だけ離れている。時間間隔99は時間間隔98よりも短いので、整流時点115はロータ位置値102に対応するデジタルロータ位置値103が生じた後に生じる。さらに、それぞれ1つのロータ位置を表す中間値118、119および120も図示されている。これら中間値は補間器によって生成されたものである。
【0036】
予測多項式の生成と、角度センサによってまだ検出されていない将来のロータ位置値の予測とによって、有利には、ロータのロータ位置を検出するためのサンプリング周波数は、予測多項式による予測を行わない場合に比べて低くすることができる。さらに、有利には、ロータ位置信号のサンプリングの低いサンプリング周波数が補間による中間値の生成によって補償または改善される。
【0037】
例えばロータ位置値100、102、104および106が角度センサによって検出されたものであるならば、ロータ位置値108、ロータ位置値110およびロータ位置値112ならびに中間値118、119、120は予測多項式によって生成されたものとしてよい。電気モータ整流方法の別の流れでは、制御ユニット、例えば図1の制御ユニット42は、予測器によって生成されたロータ位置値108、110および112を角度センサによって検出されたロータ位置値109、111または113と比較し、別の曲線形状の予測多項式を形成するために参照するようにしてもよい。
【0038】
図4には、予測器120の実施例が示されている。予測器120は例えば図1に示されている予測器34の代わりに電気モータ1の構成要素とすることができる。予測器120は入力側124と出力側129を有している。入力側124は図1に既に示されているクロック40と接続されている。入力側124は接続ケーブル121を介して乗算器126と乗算器128とに接続されている。乗算器126の入力側は加算器123とも接続されている。加算器123の入力側は接続部131と接続されており、接続部131を介して入力側132と接続されている。加算器123は入力側132を介して多項式係数を、この実施例では2次多項式の多項式係数a2を受け取ることができる。
【0039】
乗算器146の出力側は加算器125と接続されている。加算器125の入力側は乗算器126と接続されており、また多チャネルに形成された接続部131とも接続されている。加算器125は多チャネル接続部131と入力側132を介して多項式係数を、この実施例では2次多項式の多項式係数a1を受け取ることができる。加算器125の出力側は乗算器128と接続されている。乗算器128の出力側は加算器127に接続されている。加算器147の入力側は乗算器128と、また接続部131を介して入力側132とも接続されており、加算器147は接続部131を介して多項式係数を、この実施例では2次多項式の多項式係数a0を受け取ることができる。加算器127の出力側は出力側129に接続されている。予測器120は例えばクロック41の動作中に入力側124を介して特にランプ状のクロック信号43を受信することができる。クロックパルス信号43のクロック周波数は、アナログデジタル変換の際にアナログデジタル変換器によって使用されるサンプリング周波数の倍数である。クロックパルス信号は例えばランプ状に形成されており、アナログデジタル変換のサンプリング周期の各サイクルに所定数の傾斜段を有している。乗算器126は、加算器123から受信した出力信号を、入力側124において受信されたクロック信号43の各クロック周期ごとに、特に各傾斜段ごとにクロックパルス信号と掛け合わせ、出力側で乗算結果を加算器125へと出力する。加算器121は乗算器126から受信した乗算結果に入力側132から受信した多項式係数a1を加算し、出力側で加算結果を乗算器128へ出力する。乗算器128は加算器125から受信した加算結果に入力側124から受信したクロック信号を掛け合わせる。乗算器128は相応する乗算結果を生成し、この乗算結果を出力側で加算器127へ出力する。加算器127は、乗算器128から受信によって生成された乗算結果に、入力側132から接続部131を介して受信した多項式係数a0を加算する。加算器127は加算結果を予測ロータ位置信号として出力側129へ出力する。3次以上の多項式の場合には、加算器123の入力側は(点線で示されているように)少なくとも1つの別の乗算器と接続されていてよい。入力側132は例えば図1に示されている接続ケーブル58と、したがってまた係数メモリ32と接続されている。
【0040】
図5には、予測器130の実施例が示されている。予測器130は例えば図1の予測器34の代わりに使用できる。予測器130は、図4の予測器120とは異なり、乗算器を有していないため、例えばASICを用いて低コストで製造することができる。
【0041】
予測器130は入力側135と出力側165を有しており、クロック134と接続されている。予測器130は特に共に1つのカスケードを形成する複数の積分器を有している。これら積分器はそれぞれ加算器とメモリを有している。加算器132の出力側は接続ケーブル152を介してメモリ133に接続されている。メモリ133の出力側は接続ケーブル154を介して別の加算器136に接続されている。メモリ133の出力側はまたフィードバック接続ケーブル150を介して加算器132にも接続されている。加算器132はメモリ133と共に1つの積分器を形成している。
【0042】
メモリ133の出力側は接続ケーブル154を介して加算器136に接続されている。加算器136の出力側は接続ケーブル156を介してメモリ137に接続されている。メモリ137の出力側は接続ケーブル158を介して加算器136にフィードバック接続されている。メモリ147の出力側はまた接続ケーブル160を介して加算器138にも接続されている。加算器138の出力側は接続ケーブル162を介して出力側165に接続されている。
【0043】
加算器138、加算器136および加算器132はそれぞれの入力側において入力側135とも接続されており、入力側135を介して多項式係数を受け取ることができる。予測器130は入力側135を介して例えば図1に示されている係数メモリ32と接続されていてよく、係数メモリ32から多項式係数を受け取る。
【0044】
多項式係数は多項式生成器29によって例えば以下のように、特に、図1に示されているアナログデジタル変換器27のサンプリングレートに依存して生成することができる。
【0045】
【数2】

ここで、
0、b1、b2はクロックに依存する多項式係数であり、
L=図1のアナログデジタル変換器27のサンプリング周波数Taの倍数
【0046】
予測器130により形成される計算ユニットは、例えばマイクロプロセッサ、マイクロコントローラもしくはFPGA(FPGA=Field-Programmable-Gate-Array)、またはASIC(ASIC=Application-Specific-Integrated-Circuit)としてよい。入力側134と加算器132との間の接続は部分的に点線で図示されている。これは、予測器130が、例えば高次多項式を計算するために、加算器132に接続された別の積分器を有していてもよいことを意味している。予測器130の入力側はクロック134とも接続されている。クロック134は例えば、アナログデジタル変換器27によって使用されるサンプリングレートよりも特にL倍高いクロックレートを有する時間信号を生成するように構成されている。
【0047】
予測器130の積分器はそれぞれクロック134と接続されており、クロック134によって設定されたクロックパルスに従って計算演算を実行する。多項式係数b0、b1、b2は入力側135からサンプリング周波数のクロックに従って供給される。クロック134は例えば、積分器を同期させるために以下の規定に従ってクロックパルスを生成するように構成されている。
【0048】
【数3】

ここで、
Takt=積分器を同期させるクロックパルスのクロック周波数
a=例えば図1のアナログデジタル変換器27のサンプリング周期
L=乗数、有利にはベキ乗数L=2n
【0049】
有利には、乗数Lとして2を底とするベキ乗数が選択される。したがって、多項式係数b0、b1、b2、さらに好ましくはbnを生成するための除算演算は有利には加算演算によって行われる。予測器130は、入力側135で受信した多項式係数を用いて生成された多項式を予測ロータ位置信号として出力側165において出力することができる。出力側165は例えば図1に示されている接続ケーブル60に接続されている。したがって、予測器130の出力側は制御ユニット42と接続されている。制御ユニット42は、例えば予測器130から受信した予測ロータ位置信号としての多項式に依存して、メモリ65から通電パターン62を選び出し、出力段25によりこの通電パターンに従って電気モータ1のステータ10に通電することができる

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子整流モータ(1)であって、
ステータ(10)と、特に永久磁石で形成されたロータ(11)と、制御ユニット(30)とを有しており、
前記制御ユニット(30)は、前記ステータと作用結合しており、前記ステータ(10、12、14、16)が前記ロータ(11)を回転させる回転磁界を発生させることができるように、前記ステータ(10、12、14、16)を整流する制御信号を生成するように構成されており、
前記電気モータ(1)は少なくとも1つのロータ位置センサ(18)を有しており、
前記ロータ位置センサ(13)は前記ロータ(11)のロータ位置を検出し、当該ロータ位置を表すロータ位置信号を生成するように構成されており、
前記制御ユニット(30)は、前記ロータ位置信号に依存して前記制御信号を生成するように構成されている、
電子整流モータ(1)において、
前記制御ユニット(30)は、前記ロータ位置信号をサンプリングおよび量子化し(27)、サンプリングされ量子化されたロータ位置信号に対応する時間的なデータストリームを形成するデジタルロータ位置信号(95、100、102、104、106、108、110、112)を生成するように構成されており、
前記制御ユニットは、時間的に連続する2つのロータ位置値の間にある少なくとも1つの中間値(118、119、120)を前記デジタルロータ位置信号内に形成するように構成された補間器を有している
ことを特徴とする電子整流モータ(1)。
【請求項2】
前記制御ユニットは、前記デジタルロータ位置信号を、前記ロータ位置信号よりも後の少なくとも1つまたは複数の将来ロータ位置値(108、110、112)を含む予測ロータ位置信号として生成するように構成されており、
前記補間器(34)は、前記中間値(118,119、120)を前記2つの将来ロータ位置値(108、110、112)の間に形成するように構成されている、
請求項1記載の電気モータ(1)。
【請求項3】
前記制御ユニット(30)は、前記デジタル予測ロータ位置信号(95、100、102、104、106、108、110、112)を前記ロータ位置センサ(18)によって検出された別のロータ位置値に依存して補正するように構成されている、
請求項2記載の電気モータ(1)。
【請求項4】
前記制御ユニット(30)は、前記デジタル予測ロータ位置信号(95、100、102、104、106、108、110、112)を、出発関数としての前記ロータ位置信号(100、102、104、106)に依存して近似関数により生成するように構成されている、
請求項2記載の電気モータ(1)。
【請求項5】
前記近似関数は特に少なくとも2次の多項式である、
請求項4記載の電気モータ(1)。
【請求項6】
前記制御ユニット(30)はクロック(134)を有しており、当該クロック(134)により生成された時間信号に依存して予測ロータ位置信号(95)を生成するように構成されており、
前記クロックのクロック周波数は前記デジタルロータ位置信号の連続するロータ位置値の繰り返し周波数よりも高く、前記ステータは前記予測ロータ位置信号(95)に依存して整流される(115、117)、
請求項1から5のいずれか1項記載の電気モータ(1)。
【請求項7】
特に請求項1から5のいずれか1項記載されている、ロータを備えた電子整流モータを動作させる方法において、
ロータ位置センサ(18)によってロータ(11)のロータ位置を検出し、
当該ロータ位置に相応するロータ位置信号を生成し、
当該ロータ位置信号をサンプリングおよび量子化し、
サンプリングされ量子化されたロータ位置信号を表す時間的なデータストリームを形成するデジタルロータ位置信号(95、100、102、104、106、108、110、112)を生成し、
補間器により時間的に連続する2つのロータ位置値の間にある少なくとも1つの中間値(118、119、120)を前記デジタルロータ位置信号内に形成する
ことを特徴とする電子整流モータを動作させる方法。
【請求項8】
前記デジタルロータ位置信号を、時間的に前記ロータ位置信号よりも後の少なくとも1つまたは複数の将来ロータ位置値(108、110、112)を含むデジタル予測ロータ位置信号(95、100、102、104、106、108、110、112)として生成する、
ただし前記補間器は2つの将来ロータ位置値の間の中間値を形成するように構成されている、
請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記デジタル予測ロータ位置信号(95、100、102、104、106、108、110、112)を、前記ロータ位置センサによって検出された別のロータ位置値に依存して、FIFO原理に従って補正する、
請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記デジタル予測ロータ位置信号を、出発関数としての前記ロータ位置信号に依存して近似関数を形成することにより生成する、
請求項8または9記載の方法。
【請求項11】
前記近似関数は特に少なくとも2次の多項式である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記近似関数はスプライン関数である、請求項9または10記載の方法。
【請求項13】
前記予測ロータ位置信号(95、100、102、104、106、108、110、112)に依存して、好ましくは整流パターンを用いて、前記ステータの整流(115、117)を行う、
請求項8から12のいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−502200(P2013−502200A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525116(P2012−525116)
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060832
【国際公開番号】WO2011/020682
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】