説明

ローラの表面検査方法

【課題】短時間で確実にローラ表面を検査できるローラ検査方法を提案する。
【解決手段】ローラの表面欠陥を検査するための表面検査方法であって、検査対象である被検査ローラ10を、周表面均一である検査用ローラ20と圧接した状態にして回転させ、前記被検査ローラと前記検査用ローラとの圧接部分PPに向けて発光素子照明30により光を照射し、前記圧接部分を通過してくる透過光をラインカメラ31にて検出して、前記被検査ローラの表面状態を判定する。このように、ローラを回転しながら撮影を行って、その表面の状態を全体に短時間で撮影して精度良いローラ表面の検査を行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラの表面欠陥、特に電子写真方式の複写機やプリンターに用いられる帯電、転写、現像、トナー搬送、給紙、クリーニング、中間転写等の用途に用いられるローラ(OAローラ、とも称される)の微細な表面欠陥を検査する表面検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の複写機やレーザプリンターにおいては、感光ドラム表面を均一に帯電させたり、感光ドラム表面に残留している電荷を除去するために、帯電ローラや除電ローラ等の導電性ローラが用いられる。この導電性ローラは、例えば金属製や樹脂製のシャフトを中心にして弾性層を設け、その表面に塗膜を設けた構造を有する。そして、前記弾性層としては、カーボンブラックや導電性の金属酸化物粉末等の導電材を配合したゴムもしくはウレタン等の樹脂、あるいはそれらの発泡体が用いられる。また、表面の塗膜はローラの耐久性向上等の目的で設けられるもので、可溶性ナイロン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン変性アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、メラミン樹脂等をディップコーティング法等の手段で形成したものである。
【0003】
導電性ローラは感光ドラムの表面に密着させて使用されるが、導電性ローラの表面に微小な凹凸や傷等の欠陥があると、導電性ローラの全面を感光ドラム表面に密着させることができず、その結果、局部的に電界強度の強い部分が生じてスパークが発生したり帯電ムラが生じ、その結果高品質の画像を得ることができない。したがって、導電性ローラの出荷にあたっては表面欠陥が無いことを確認する必要がある。
【0004】
そこで、特許文献1は静電潜像担持体に帯電ロールを所定荷重で圧接した状態として、ローラ間の隙間にレーザビームを照射し、その反対側に透過光量を検出するセンサを配置する技術を提案している。レーザビームは、直進性に優れるのでローラ表面に凹部などの傷(以下、単に凹部)が存在する場合には隙間が存在し、透過するのでこれを検出できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−282230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ローラ間に発生する隙間を測定して凹部の有無を検査する場合、レーザの特徴としてその深さ方向は正確に測定できるものの、横方向の大きさについては正確に測定できない。ローラ表面に発生している凹部は、深いもの、浅いが広いものなど種々の形態がある。レーザの場合は、ローラ表面全域の状態を確認するのが困難であるので、凹部の大きさを精査できないおそれがある。仮にローラ表面に無視できない凹部を見過ごし場合、そのローラを用いた画像表示装置は画像の不具合が発生して信頼性が低下してしまう。
なお、上記に対してはエリアカメラを用いてローラ表面を検査することが考えられる。エリアカメラによればローラ表面全体を撮影できるので、その画像を用いることで凹部の状態を確実に確認できる。しかし、エリアカメラの場合は撮影したときのデータが膨大であるので、連続撮影が必要な検査には不向きである。ところが、ローラ検査の場合、ローラを回転させて周面全体の状態を確認する必要があるので、連続撮影での検査が必要である。よって、エリアカメラによる検査は、ローラ検査には不向きとなる。
【0007】
よって、本発明の目的は、上記課題を解決するもので、短時間で確実にローラ表面を検査できるローラ検査方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、ローラの表面欠陥を検査するための表面検査方法であって、
検査対象である被検査ローラを、周表面均一である検査用ローラと圧接した状態にして回転させ、
前記被検査ローラと前記検査用ローラとの圧接部分に向けて発光素子照明により光を照射し、前記圧接部分を通過してくる透過光をラインカメラにて検出して、前記被検査ローラの表面状態を判定する、ことを特徴とするローラの表面検査方法によって達成できる。
【発明の効果】
【0009】
本願発明のローラの表面検査方法では、ローラ表面の状態を確認するためラインカメラを用いている。ラインカメラは短時間での連続撮影が可能であるので、ローラを回転しながら撮影を行って、その表面の状態を全体に短時間で撮影して精度良いローラ表面の検査を行える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】検査対象となる被検査ローラを例示した図であり、(a)は外観斜視図、図1(b)は側面構造を示した図である。
【図2】本願発明による導電性ローラ10の表面検査方法を実施する様子を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明にかかる一実施形態を、図を参照して詳細に説明する。
表面欠陥の検査を行うべき被検査ローラは、例えば図1に略示した構造を有する直径12mm、長さ254mmの導電性ローラ10である。図1(a)は外観斜視図、図1(b)は側面構造を示した図である。この導電性ローラ10は、鉄製のシャフト11の周囲に導電材としてカーボンを含む厚さ3mmのウレタンフォーム層13を形成し、その表面に厚さ10〜200μmのウレタン皮膜15を形成したものである。
【0012】
図2は、本願発明による導電性ローラ10の表面検査方法を実施する様子を示した図である。
導電性ローラ10は、この導電性ローラ10の表面性状を検査するため、検査用に準備した表面均一に形成してある検査用ローラ20と圧接される。より具体的には、被検査ローラとなる導電性ローラ10を、予め準備されている検査用ローラ20上に軸を平行にしてセットする。検査用ローラ20は、例えばステンレスなどの金属を鏡面仕上げして、一定基準以上の平滑度を満足する均一な周表面に形成してある。
【0013】
上記検査用ローラ20は図示しない構造フレームに回転可能に支持されていると共に、回転駆動源に接続されている。そして、この検査用ローラ20の上から、軸を平行にして、検査される導電性ローラ10が降下されて所定荷重で押し付けられ、2つのローラ10、20が一定圧で圧接した状態が形成されている。
【0014】
上記圧接状態とされた2つのローラ10、20を間にして、背後には発光素子照明としてLED照明30が配備されており、このLED照明30はローラ10、20間の圧接部分PPを照らすようにセットされている。一方、手前側にはラインカメラ31が配備され、やはりローラ10、20間の圧接部分PPに焦点が合わせてある。
【0015】
この状態で、検査用ローラ20を回転駆動すると、検査される導電性ローラ10が従動回転する。ラインカメラ31は高速での連続撮影が可能である。導電性ローラ10表面の
表面が均一な箇所では検査用ローラ20との間に隙間が発生しないので、光は通過しない。この場合はラインカメラ31の撮影画像は「黒」となる。一方、導電性ローラ10の表面に凹部があると光が通過する。この場合はラインカメラ31の撮影画像は「白」となる。
このような撮影データは、ラインカメラ31に接続された画像処理装置32で解析される。画像処理装置32はラインカメラ31から出力されるデータに基づいて、凹部を検出したデータから、この凹部の深さと幅から面積を特定する。その面積が所定基準以上で、許容できない大きさの凹部(欠陥)があることを確認したときに、その導電性ローラ10を不良と判定する。
【0016】
以上説明した本願発明に係るローラの表面検査方法は、ローラ表面の状態を確認するためラインカメラを用いている。ラインカメラは短時間での連続撮影が可能であるので、ローラを回転しながら撮影を行って、その表面の状態を全体に短時間で撮影して精度良いローラ表面の検査を行える。
【符号の説明】
【0017】
10 ローラ(被検査ローラ)
20 検査用ローラ
30 LED照明(発光素子照明)
31 ラインカメラ
32 画像処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラの表面欠陥を検査するための表面検査方法であって、
検査対象である被検査ローラを、周表面均一である検査用ローラと圧接した状態にして回転させ、
前記被検査ローラと前記検査用ローラとの圧接部分に向けて発光素子照明により光を照射し、前記圧接部分を通過してくる透過光をラインカメラにて検出して、前記被検査ローラの表面状態を判定する、ことを特徴とするローラの表面検査方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−58214(P2012−58214A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204847(P2010−204847)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】