説明

ローラレベラおよび金属板の矯正方法

【課題】薄くて降伏応力が大きい金属板であっても十分に矯正することができるローラレベラおよび金属板の矯正方法を提供すること。
【解決手段】切板状の金属板Pを矯正するローラレベラ100は、金属板Pを挟み込んで圧下しつつ金属板を通板させるように回転する複数のレベリングロール6,8と、レベリングロール6,8を介して金属板Pを圧下する油圧式の圧下シリンダ4と、レベリングロールを回転させて金属板Pを通板させる駆動装置15と、金属板Pのパスラインにおけるレベリングロール配置領域の外側部分に設けられたピンチロール31a,31bとを具備し、圧下シリンダ4により金属板Pの矯正に必要な圧下量でレベリングロール6,8を介して金属板Pを圧下しつつ、駆動装置15による駆動力およびピンチロール31a,31bによる引き抜き力により金属板Pを通板させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切板状の金属板を矯正するローラレベラおよび金属板の矯正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼板等の金属板を製造する過程では圧延や冷却などが実施されるが、これらの工程では金属板に反りや波形状の変形が発生する。このため、このような反りや波形状の変形を矯正して金属板を平坦化する目的で、複数本のレベリングロールを上下に千鳥状に配置したローラレベラが用いられる(例えば特許文献1)。
【0003】
ローラレベラは、下ロールに対し上ロールを押し込んだ状態、または上ロールに対して下ロールを押し込んだ状態で、矯正すべき金属板を通板し、金属板に繰り返し曲げを与えることによって、金属板の反りや波形状を平坦化する。このとき、ローラレベラの各ロールの押込量は、金属板を好ましくは0.7以上の降伏率で曲げられるように適宜設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−255148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のローラレベラで切板状の金属板を矯正する場合、金属板を通板する際の駆動力はレベリングロールのトルクに依存しているが、薄くて降伏応力が大きい材料の金属板を矯正する際には、ロール径を小さくする必要があり、矯正に必要な押し込み量を確保しようとすると、ワークロールのトルクが不足して通板できない事態が生じてしまう。
【0006】
なぜならば、十分な押し込み量を与えるには駆動するレベリングロールよりも小径の駆動シャフトをロールに接続する必要があり、薄くて降伏応力が大きい材料の金属板を矯正するために小径のレベリングロールを用いるとトルクが小さくならざるを得ず、金属板の矯正に必要な降伏率を確保しようとした場合に、トルクが金属板を通板するために必要な値よりも小さくなってしまうからである。
【0007】
このため、従来は、板厚が薄くて降伏応力が大きい金属板の矯正を行う場合には、レベリングロールの押し込み量を、レベリングロールのトルクでも通板可能な値に制限せざるを得ず、金属板を十分に矯正できない場合も生じてしまう。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、薄くて降伏応力が大きい金属板であっても十分に矯正することができるローラレベラおよび金属板の矯正方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点では、切板状の金属板を矯正するローラレベラであって、矯正すべき金属板の通板ラインの上下に千鳥状に配置され、金属板を挟んで矯正しつつ金属板を通板させるように回転する複数のレベリングロールと、前記レベリングロールを介して金属板を圧下する油圧式の圧下シリンダと、前記レベリングロールを回転させて金属板を通板させる駆動装置と、金属板のパスラインにおける前記レベリングロールが配置されたレベリングロール配置領域の側方に設けられ、金属板を挟んで引き抜き力を与える一対のピンチロールを有するピンチロールユニットとを具備し、前記圧下シリンダにより金属板の矯正に必要な圧下量で前記レベリングロールを介して前記金属板を圧下しつつ、前記駆動装置による駆動力および前記ピンチロールによる引き抜き力により前記金属板を前記レベリングロール間に通板させることを特徴とするローラレベラを提供する。
【0010】
本発明の第2の観点では、切板状の金属板を矯正するローラレベラであって、矯正すべき金属板の通板ラインの上下に千鳥状に配置され、金属板を挟んで矯正しつつ金属板を通板させるように回転する複数のレベリングロール、前記レベリングロールを介して金属板を圧下する油圧式の圧下シリンダ、および前記レベリングロールを回転させて金属板を通板させる駆動装置を有するレベリングユニットと、金属板のパスラインにおける前記レベリングロールが配置されたレベリングロール配置領域の両外側部分にそれぞれ設けられ、いずれも金属板を挟んで引き抜き力を与える一対のピンチロールを有する第1のピンチロールユニットおよび第2のピンチロールユニットと、金属板の矯正を制御する制御装置とを具備し、前記制御装置は、金属板を、前記第1のピンチロールユニット側から前記第2のピンチロールユニット側へ向かう第1の方向に沿って前記レベリングロール配置領域に、圧下されない状態または前記圧下シリンダにより前記駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下される状態で通板させ、前記金属板の先端が前記第2のピンチロールユニットに達した時点で、前記圧下シリンダによる圧下量を前記金属板の矯正に必要な量に増加させるとともに、前記第2のピンチロールユニットにより前記金属板に前記第1の方向への引き抜き力を与えて通板させ、前記金属板の後端が前記レベリングロール配置領域を抜けた時点で、金属板の送給方向を前記第1の方向とは反対方向の第2の方向へ変えて、金属板を、前記レベリングロール配置領域に、圧下されない状態または前記圧下シリンダにより前記駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下される状態で通板させ、前記金属板の前記後端が前記第1のピンチロールユニットに達した時点で、前記圧下シリンダによる圧下量を前記金属板の矯正に必要な量に増加させるとともに、前記第1のピンチロールにより前記金属板に前記第2の方向への引き抜き力を与えて通板させるように制御することを特徴とするローラレベラを提供する。
【0011】
本発明の第3の観点では、切板状の金属板を矯正するローラレベラであって、
矯正すべき金属板の通板ラインの上下に千鳥状に配置され、金属板を挟んで矯正しつつ金属板を通板させるように回転する複数のレベリングロール、前記レベリングロールを介して金属板を圧下する油圧式の圧下シリンダ、および前記レベリングロールを回転させて金属板を通板させる駆動装置を有するレベリングユニットと、金属板のパスラインにおける前記レベリングロールが配置されたレベリングロール配置領域の一方の外側部分に設けられ、金属板を挟んで引き抜き力を与える一対のピンチロールを有するピンチロールユニットと、前記レベリングロール配置領域の他方の外側部分に設けられ、金属板の先端および後端を反転させる金属板反転機構と、金属板の矯正を制御する制御装置とを具備し、前記制御装置は、金属板を、前記レベリングユニットの前記金属板反転機構側から前記レベリングロール配置領域に、圧下されない状態または前記圧下シリンダにより前記駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下される状態で通板させ、前記金属板の先端が前記ピンチロールユニットに達した時点で、前記圧下シリンダによる圧下量を前記金属板の矯正に必要な量に増加させるとともに、前記ピンチロールユニットにより前記金属板に引き抜き力を与えて通板させ、前記金属板の後端が前記レベリングロール配置領域を抜けた時点で、金属板を前記金属板反転機構に送給させて金属板の先端と後端とを反転させ、反転させた金属板を、前記金属板反転機構側から前記レベリングロール配置領域に、圧下されない状態または前記圧下シリンダにより前記駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下される状態で通板させ、前記金属板の先端が前記ピンチロールユニットに達した時点で、前記圧下シリンダによる圧下量を前記金属板の矯正に必要な量に増加させるとともに、前記ピンチロールユニットにより前記金属板に引き抜き力を与えて通板させることを特徴とするローラレベラを提供する。
【0012】
本発明の第4の観点では、切板状の金属板を矯正するローラレベラであって、それぞれ、矯正すべき金属板の通板ラインの上下に千鳥状に配置され、金属板を挟んで矯正しつつ金属板を通板させるように回転する複数のレベリングロール、前記レベリングロールを介して金属板を圧下する油圧式の圧下シリンダ、および前記レベリングロールを回転させて金属板を通板させる駆動装置を有し、金属板の通板方向に沿って配列された第1および第2のレベリングユニットと、前記第1のレベリングユニットおよび前記第2のレベリングユニットの間に設けられ、金属板を挟んで引き抜き力を与える一対のピンチロールを有するピンチロールユニットと、金属板の矯正を制御する制御装置とを具備し、前記制御装置は、前記第2のレベリングユニットを金属板が圧下されない状態または金属板が前記圧下シリンダにより前記駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下される状態とさせて、金属板を、前記第1のレベリングユニットの前記レベリングロールが配置された第1のレベリングロール配置領域に、圧下されない状態または前記圧下シリンダにより前記駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下された状態で前記第2のレベリングユニットに向けて通板させ、前記金属板の先端が前記ピンチロールユニットに達した時点で、前記第1のレベリングユニットの前記圧下シリンダによる圧下量を前記金属板の矯正に必要な量に増加させるとともに、前記ピンチロールユニットにより前記金属板に引き抜き力を与えて金属板を通板させ、前記金属板の後端が前記ピンチロールユニットに達した時点で、前記第1のレベリングユニットを金属板が圧下されない状態または金属板が前記圧下シリンダにより前記駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下される状態とさせて、前記第2のレベリングユニットの前記圧下シリンダによる圧下量を前記金属板の矯正に必要な量に増加させるとともに、前記ピンチロールユニットにより前記金属板に引き抜き力を与えて金属板を前記第1のレベリングユニットに向けて通板させることを特徴とするローラレベラを提供する。
【0013】
本発明の第5の観点では、矯正すべき金属板の通板ラインの上下に千鳥状に配置され、金属板を挟んで矯正しつつ金属板を通板させるように回転する複数のレベリングロールと、前記複数のレベリングロールを上下にバックアップする複数のバックアップロールと、前記レベリングロールおよび前記バックアップロールをこれらの上下で支持する一対のロールフレームと、前記一対のロールフレームを上下で支持する一対のフレームと、前記一対のフレームの一方を押圧し、前記ロールフレームの一方、および前記レベリングロールを介して金属板を圧下する油圧式の圧下シリンダと、前記レベリングロールを回転させる駆動装置と、前記圧下シリンダに押圧される方のフレームとそれに対応するロールフレームとの間に、前記金属板の通板方向に直交する幅方向に沿って複数取り付けられた油圧式クラウニングシリンダと、金属板のパスラインにおける前記レベリングロールが配置されたレベリングロール配置領域の側方に設けられ、金属板を挟んで引き抜き力を与える一対のピンチロールを有するピンチロールユニットと、金属板の矯正を制御する制御装置とを具備し、前記制御装置は、前記圧下シリンダにより金属板の矯正に必要な圧下量で前記レベリングロールを介して前記金属板を圧下させつつ、前記駆動装置による駆動力および前記ピンチロールによる引き抜き力により前記金属板を前記レベリングロール間に通板させるように制御し、かつ、前記制御装置は、前記一対のフレームの横撓み量を求め、この撓み量を解消するに必要な前記個々の油圧式クラウニングシリンダの必要締め込み量を算出し、前記必要締め込み量に基づいて個々の油圧式クラウニングシリンダを締め込み制御することを特徴とするローラレベラを提供する。
【0014】
第5の観点において、前記制御装置は、前記圧下シリンダ、前記油圧式クラウニングシリンダ、前記一対のロールフレーム、前記バックアップロール、前記レベリングロールの圧縮変形情報に基づいて、この圧縮変形を解消するに必要な個々の油圧式クラウニングシリンダの必要締め込み量を算出し、この必要締め込み量と前記一対のフレームの撓み量を解消するに必要な必要締め込み量の合計値に基づいて個々の油圧式クラウニングシリンダを締め込み制御することが好ましい。
【0015】
本発明の第6の観点では、矯正すべき金属板の通板ラインの上下に千鳥状に配置され、金属板を挟んで矯正しつつ金属板を通板させるように回転する複数のレベリングロールと、前記レベリングロールを介して金属板を圧下する油圧式の圧下シリンダと、前記レベリングロールを回転させて金属板を通板させる駆動装置と、金属板のパスラインにおける前記レベリングロールが配置されたレベリングロール配置領域の側方に設けられ、金属板を挟んで引き抜き力を与える一対のピンチロールを有するピンチロールユニットとを具備するローラレベラにおいて切り板状の金属板を矯正する金属板の矯正方法であって、前記圧下シリンダにより金属板の矯正に必要な圧下量で前記レベリングロールを介して前記金属板を圧下しつつ、前記駆動装置による駆動力および前記ピンチロールによる引き抜き力により前記金属板を前記レベリングロール間に通板させることを特徴とする金属板の矯正方法を提供する。
【0016】
本発明の第7の観点では、矯正すべき金属板の通板ラインの上下に千鳥状に配置され、金属板を挟んで矯正しつつ金属板を通板させるように回転する複数のレベリングロール、前記レベリングロールを介して金属板を圧下する油圧式の圧下シリンダ、および前記レベリングロールを回転させて金属板を通板させる駆動装置を有するレベリングユニットと、金属板のパスラインにおける前記レベリングロールが配置されたレベリングロール配置領域の両外側部分にそれぞれ設けられ、いずれも金属板を挟んで引き抜き力を与える一対のピンチロールを有する第1のピンチロールユニットおよび第2のピンチロールユニットとを具備するローラレベラを用いて切り板状の金属板を矯正する金属板の矯正方法であって、金属板を、前記第1のピンチロールユニット側から前記第2のピンチロールユニット側へ向かう第1の方向に沿って前記レベリングロール配置領域に、圧下されない状態または前記圧下シリンダにより前記駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下される状態で通板し、前記金属板の先端が前記第2のピンチロールユニットに達した時点で、前記圧下シリンダによる圧下量を前記金属板の矯正に必要な量に増加するとともに、前記第2のピンチロールユニットにより前記金属板に前記第1の方向への引き抜き力を与えて通板し、前記金属板の後端が前記レベリングロール配置領域を抜けた時点で、金属板の送給方向を前記第1の方向とは反対方向の第2の方向へ変えて、金属板を、前記レベリングロール配置領域に、圧下されない状態または前記圧下シリンダにより前記駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下される状態で通板し、前記金属板の前記後端が前記第1のピンチロールユニットに達した時点で、前記圧下シリンダによる圧下量を前記金属板の矯正に必要な量に増加するとともに、前記第1のピンチロールにより前記金属板に前記第2の方向への引き抜き力を与えて通板することを特徴とする金属板の矯正方法を提供する。
【0017】
本発明の第8の観点では、矯正すべき金属板の通板ラインの上下に千鳥状に配置され、金属板を挟んで矯正しつつ金属板を通板させるように回転する複数のレベリングロール、前記レベリングロールを介して金属板を圧下する油圧式の圧下シリンダ、および前記レベリングロールを回転させて金属板を通板させる駆動装置を有するレベリングユニットと、金属板のパスラインにおける前記レベリングロールが配置されたレベリングロール配置領域の一方の外側部分に設けられ、金属板を挟んで引き抜き力を与える一対のピンチロールを有するピンチロールユニットと、前記レベリングロール配置領域の他方の外側部分に設けられ、金属板の先端および後端を反転させる金属板反転機構とを具備するローラレベラを用いて切り板状の金属板を矯正する金属板の矯正方法であって、金属板を、前記レベリングユニットの前記金属板反転機構側から前記レベリングロール配置領域に、圧下されない状態または前記圧下シリンダにより前記駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下される状態で通板し、前記金属板の先端が前記ピンチロールユニットに達した時点で、前記圧下シリンダによる圧下量を前記金属板の矯正に必要な量に増加するとともに、前記ピンチロールユニットにより前記金属板に引き抜き力を与えて通板し、前記金属板の後端が前記レベリングロール配置領域を抜けた時点で、金属板を前記金属板反転機構に送給して金属板の先端と後端とを反転し、反転した金属板を、前記金属板反転機構側から前記レベリングロール配置領域に、圧下されない状態または前記圧下シリンダにより前記駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下される状態で通板し、前記金属板の先端が前記ピンチロールユニットに達した時点で、前記圧下シリンダによる圧下量を前記金属板の矯正に必要な量に増加するとともに、前記ピンチロールユニットにより前記金属板に引き抜き力を与えて通板することを特徴とする金属板の矯正方法を提供する。
【0018】
本発明の第9の観点では、それぞれ、矯正すべき金属板の通板ラインの上下に千鳥状に配置され、金属板を挟んで矯正しつつ金属板を通板させるように回転する複数のレベリングロール、前記レベリングロールを介して金属板を圧下する油圧式の圧下シリンダ、および前記レベリングロールを回転させて金属板を通板させる駆動装置を有し、金属板の通板方向に沿って配列された第1および第2のレベリングユニットと、前記第1のレベリングユニットおよび前記第2のレベリングユニットの間に設けられ、金属板を挟んで引き抜き力を与える一対のピンチロールを有するピンチロールユニットとを具備するローラレベラを用いて切り板状の金属板を矯正する金属板の矯正方法であって、前記第2のレベリングユニットを金属板が圧下されない状態または金属板が前記圧下シリンダにより前記駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下される状態として、金属板を、前記第1のレベリングユニットの前記レベリングロールが配置された第1のレベリングロール配置領域に、圧下されない状態または前記圧下シリンダにより前記駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下された状態で前記第2のレベリングユニットに向けて通板し、前記金属板の先端が前記ピンチロールユニットに達した時点で、前記第1のレベリングユニットの前記圧下シリンダによる圧下量を前記金属板の矯正に必要な量に増加するとともに、前記ピンチロールユニットにより前記金属板に引き抜き力を与えて金属板を通板し、前記金属板の後端が前記ピンチロールユニットに達した時点で、前記第1のレベリングユニットを金属板が圧下されない状態または金属板が前記圧下シリンダにより前記駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下される状態として、前記第2のレベリングユニットの前記圧下シリンダによる圧下量を前記金属板の矯正に必要な量に増加するとともに、前記ピンチロールユニットにより前記金属板に引き抜き力を与えて金属板を前記第1のレベリングユニットに向けて通板することを特徴とする金属板の矯正方法を提供する。
【0019】
本発明の第10の観点では、矯正すべき金属板の通板ラインの上下に千鳥状に配置され、金属板を挟んで矯正しつつ金属板を通板させるように回転する複数のレベリングロールと、前記複数のレベリングロールを上下にバックアップする複数のバックアップロールと、前記レベリングロールおよび前記バックアップロールをこれらの上下で支持する一対のロールフレームと、前記一対のロールフレームを上下で支持する一対のフレームと、前記一対のフレームの一方を押圧し、前記ロールフレームの一方、および前記レベリングロールを介して金属板を圧下する油圧式の圧下シリンダと、前記レベリングロールを回転させる駆動装置と、前記圧下シリンダに押圧される方のフレームとそれに対応するロールフレームとの間に、前記金属板の通板方向に直交する幅方向に沿って複数取り付けられた油圧式クラウニングシリンダと、金属板のパスラインにおける前記レベリングロールが配置されたレベリングロール配置領域の側方に設けられ、金属板を挟んで引き抜き力を与える一対のピンチロールを有するピンチロールユニットとを具備するローラレベラを用いて切り板状の金属板を矯正する金属板の矯正方法であって、前記圧下シリンダにより金属板の矯正に必要な圧下量で前記レベリングロールを介して前記金属板を圧下しつつ、前記駆動装置による駆動力および前記ピンチロールによる引き抜き力により前記金属板を前記レベリングロール間に通板し、かつ、前記一対のフレームの横撓み量を求め、この撓み量を解消するに必要な前記個々の油圧式クラウニングシリンダの必要締め込み量を算出し、前記必要締め込み量に基づいて個々の油圧式クラウニングシリンダを締め込み制御することを特徴とする金属板の矯正方法を提供する。
【0020】
上記第10の観点において、前記圧下シリンダ、前記油圧式クラウニングシリンダ、前記一対のロールフレーム、前記バックアップロール、前記レベリングロールの圧縮変形情報に基づいて、この圧縮変形を解消するに必要な個々の油圧式クラウニングシリンダの必要締め込み量を算出し、この必要締め込み量と前記一対のフレームの撓み量を解消するに必要な必要締め込み量の合計値に基づいて個々の油圧式クラウニングシリンダを締め込み制御することが好ましい。
【0021】
本発明において矯正される金属板としては、厚さ2.0〜25.4mmで、降伏応力が400〜1800MPaの鋼板であることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、レベリングロールの駆動力にピンチロールの引き抜き力を付加して、レベリングロール間に金属板を通板させるので、金属板を矯正する際に通板のためのレベリングロールのトルクが不足していても、金属板を通板させることができる。このため、薄くて降伏応力が大きい金属板であっても矯正に必要な圧下量を与えつつ通板することができ、金属板の平坦度を高くすることができる。また、これに加えて、幅方向のクラウニング補正を行うことにより、金属板の平坦度を一層高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係るローラレベラを示す側面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るローラレベラを示す正面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るローラレベラによる金属板の矯正動作を説明するための図である。
【図4】横軸に板厚をとり、縦軸に降伏応力をとって、レベリングロールのみの場合と、ピンチロールでの引き抜きを付加した場合について、降伏率が70%(0.7)での矯正可能領域を示す図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係るローラレベラを示す側面図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係るローラレベラによる金属板の矯正動作を説明するための図である。
【図7】本発明のさらに他の実施形態に係るローラレベラを示す側面図である。
【図8】本発明のさらに他の実施形態に係るローラレベラによる金属板の矯正動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るローラレベラを示す側面図、図2はその正面図である。本実施形態のローラレベラ100は、切り板状の金属板の矯正を行うものであり、図示するように、レベリングユニット60を有している。このレベリングユニットは、ハウジング1と、ハウジング1の内側に設けられた上フレーム2と、ハウジング1を支持するように設けられた下フレーム3とを有している。ハウジング1と上フレーム2との間には油圧式の圧下シリンダ4が配置されており、上フレーム2の下方には上ロールフレーム5が上ロールグリップシリンダ(図示せず)で吊り下げられている。レベリングユニット60の上ロールフレーム5の下方には、上ロールフレーム5に支持されるように複数本の上部レベリングロール6が配置されており、各レベリングロール6と上ロールフレーム5との間には、上部レベリングロール6をバックアップする短尺の上バックアップロール7が上部レベリングロール6の軸方向に沿って上ロールフレーム5に支持されるように複数配置されている。したがって、圧下シリンダ4は、上ロールフレーム5および上バックアップロール7および上部レベリングロール6を圧下するようになっている。
【0025】
上部レベリングロール6の金属板Pのパスラインを挟んで反対側には、下部レベリングロール8が複数本配置されており、この下部レベリングロール8は、その下方の下ロールフレーム10に支持されている。各レベリングロール8と下ロールフレーム10との間には、下部レベリングロール8をバックアップする短尺状の下バックアップロール9が下部レベリングロール8の軸方向に沿って下ロールフレーム10に支持されるように複数配置されている。下ロールフレーム10は下フレーム3上に設置されている。なお、上部レベリングロール6を圧下する圧下シリンダ4の代わりに、下部レベリングロール8を圧下する圧下シリンダを設けてもよい。
【0026】
上部レベリングロール6および下部レベリングロール8には、個別的に回転モータを有する駆動装置15が設けられており(図1では便宜上1つのみ図示)、上部レベリングロール6および下部レベリングロール8は、駆動装置15により回転されるようになっている。そして、駆動装置15により上部レベリングロール6と下部レベリングロール8との間に金属板Pを通板させつつ、圧下シリンダ4により上部レベリングロール6を介して金属板Pを圧下して金属板Pを矯正するようになっている。
【0027】
レベリングユニット60において、上フレーム2と上ロールフレーム5との間には、複数の油圧式クラウニングシリンダ12が連結されている。各クラウニングシリンダ12は、図2に示すように、金属板Pの通板方向に直交する幅方向に沿ってレベリングロール6、8と対応するように等ピッチで設置されている。この油圧式クラウニングシリンダ12は、図1に示すように、2列設置されている。なお、クラウニングシリンダの列は1列でもよいが、2列にすることにより上ロールフレーム5の局部的な横撓みをより細かく補正することができる。なお、油圧式クラウニングシリンダ12には、位置検出センサ(図示せず)が内蔵されている。
【0028】
上フレーム2の上方には、図2に示すように、横方向の中心位置に上フレーム2の横撓みを検出する撓み検出センサ21が設けられている。この撓み検出センサ21は、図1に示すように、金属板Pのパスラインに沿って2つ設けられている。この撓み検出センサ21により常時上フレーム2の下端部までの距離を検出し、これに基づいて上フレーム2の撓み量を算出する。また、下フレーム3の内部空間には撓み検出センサ22が取り付けられている。この撓み検出センサ22は横方向の中心位置に、金属板Pのパスラインに沿って2つ設けられている。この撓み検出センサ22により常時下フレーム3の上端部までの距離を検出し、これに基づいて下フレーム3の撓み量を算出する。なお、上フレーム2、下フレーム3の一方のみに撓み検出センサを設けて、他方のフレームの撓み量は比例計算で求めるようにしてもよい。
【0029】
圧下シリンダ4とハウジング1との間には、ロードセル(または油圧圧力変換器)23が取り付けられ、これにより、圧下シリンダ4、油圧式クラウニングシリンダ12、上ロールフレーム5、上バックアップロール7、上部レベリングロール6、下部レベリングロール8、下バックアップロール9、下ロールフレーム10の圧縮変形を検出可能となっている。
【0030】
金属板Pのパスラインにおけるレベリングロール配置領域の両外側部分には、それぞれ金属板Pを挟み込んで引き抜くための一対のピンチロール31aを有する第1のピンチロールユニット30a、および一対のピンチロール31bを有する第2のピンチロールユニット30bが設けられている。一対のピンチロール31aの間隔はピンチロールシリンダ32aで調節され、一対のピンチロール31bの間隔はピンチロールシリンダ32bで調節されるようになっている。また、これらピンチロール31aとピンチロール31bは、それぞれ回転モータを有する駆動装置33aおよび33bにより回転されることにより被矯正材である金属板Pを引き抜く引き抜き力を与えるようになっている。なお、一対のピンチロール31aとレベリングロール配置領域との間、および一対のピンチロール31bとレベリングロール配置領域との間には、それぞれガイドロール34aおよび34bが設けられている。
【0031】
ピンチロール31aと31bとの間には、パスラインに沿って、金属板Pの先端の位置を検出するための位置検出機構として複数の光学式センサ41が設けられている。光学式センサ41にて先端検出後、パルスジェネレータ(図示せず)を用いて金属板Pの先端をトラッキングする。
【0032】
また、本実施形態のローラレベラ100は、各構成要素が制御装置50により制御されるようになっている。制御装置50は、光学式センサ41による金属板Pの位置情報に基づき、金属板Pの矯正(レベリング)のための圧下シリンダ4によるレベリングロール6,8の圧下量の制御、およびピンチロールシリンダ32aまたは32bの圧下タイミングおよび圧下量の制御、駆動装置15,33a,33bの制御を行うようになっている。また、制御装置50には撓み検出センサ21、22からの上フレーム2および下フレーム3の撓み情報、または、これらに加えて圧下シリンダ4、油圧式クラウニングシリンダ12、上ロールフレーム5、上バックアップロール7、上部レベリングロール6、下部レベリングロール8、下バックアップロール9、下ロールフレーム10の圧縮変形情報が送られ、制御装置50の演算機能により、これら情報に基づいて各油圧式クラウニングシリンダ12の必要締込み量を算出して、各油圧式クラウニング12内の位置検出センサの位置情報に基づいて個々の油圧式クラウニングシリンダ12の絞り込み制御を行う。
【0033】
次に、このように構成されるローラレベラ100により切り板状の金属板Pの矯正を行う際の動作について説明する。
レベリングロール6,8の駆動力で金属板Pの内部応力を低減させて金属板Pを矯正する場合、金属板Pの板厚をt(mm)、ヤング率をE(N/mm)、降伏応力をδy(N/mm)、ロール径をD(mm)降伏率をηとすると、以下の(1)を満たす必要がある。
1−η=(δy・D)/(E・t) ‥‥(1)
ここで、十分に内部応力を低減するためには降伏率が0.7以上であることが必要であり、したがって、以下の(2)を満足することが求められる。
0.3≧(δy・D)/(E・t) ‥‥(2)
これを変形すると以下の(3)式となる。
D≦0.3(E・t)/δy ‥‥(3)
すなわち、板厚tが薄いほど、また降伏応力δyが大きいほど、レベリングロールの径を小さくする必要がある。しかし、レベリングロールの径を小さくするほどレベリングロールのトルクは小さくなる。
【0034】
したがって、板厚が薄く、降伏応力が大きい金属板を矯正しようとすると、被矯正材である金属板の矯正に必要な降伏率を得るための圧下量(押し込み量)を与えた際に、レベリングロールのトルク不足のために金属板を通板できない事態が生じるおそれがある。
【0035】
そこで、本実施形態では、ピンチロール31aまたは31bにより、金属板Pに引き抜き力を与えてレベリングロールの駆動力を補うことにより、板厚が薄く、降伏応力が大きい金属板であっても、矯正に必要な押し込み量を与えつつ通板可能とする。
【0036】
具体的には、図3に示すようにして通板を行う。以下の動作は制御装置50の制御のもとに行われる。
まず、図3(a)に示すように、ピンチロール31a側から金属板Pをレベリングロール配置領域に向けて送給する。そして、金属板Pがレベリングロール配置領域に達すると、図3(b)に示すように、上部レベリングロール6と下部レベリングロール8により金属板Pを挟んで駆動装置15により通板させるが、このとき金属板Pを、圧下シリンダ4により圧下されない状態、または圧下シリンダ4により金属板Pが駆動装置15により通板可能な程度の圧下量(押し込み量)で圧下される状態で通板させる。そして、図3(c)に示すように、位置検出機構である光学式センサ41が金属板Pの先端がピンチロール31bに達したことを検出すると、上部レベリングロール6の押し込み量を金属板Pの矯正に必要な量に増加させるとともに、ピンチロールシリンダ32bを駆動させて一対のピンチロール31bで金属板Pを挟み込んで、駆動装置33bの駆動力で金属板Pを引き抜く。すなわち、金属板Pを矯正する際のレベリングロールの駆動力の不足分をピンチロール31bの引き抜き力で補う。これにより、板厚が薄くかつ高降伏応力の金属板であっても、矯正に必要な圧下量を与えつつ通板することができる。
【0037】
以上のような矯正を金属板Pの後端まで行うが、金属板Pの最初にレベリングロール配置領域を通過した部分は、レベリングロールの駆動力のみで通板可能な圧下量(押し込み量)しか与えられていないため、十分に矯正されていない。そのため、位置検出機構である光学式センサ41およびパルスジェネレータ(図示せず)が金属板Pの後端がレベリングロール配置領域を通過したことを検出すると、ピンチロールシリンダ32bによる圧下を解放してピンチロール31bによる引き抜きを停止するとともに、レベリングロールの回転方向を逆転させて、図3(d)に示すように、金属板Pをピンチロール31aに向けて送給する。このとき、上部レベリングロール6の圧下量は、金属板Pが通板できる程度のものとする。そして、図3(e)に示すように、位置検出機構である光学式センサ41が金属板Pの後端がピンチロール31aに達したことを検出すると、上部レベリングロール6の圧下量を金属板Pの矯正に必要な量に増加させるとともに、ピンチロールシリンダ32bを駆動させて一対のピンチロール31bで金属板Pを挟み込んで、駆動装置33bの駆動力で金属板Pを引き抜く。これにより、同様に矯正に必要な圧下量(押し込み量)を与えつつ通板することができ、金属板Pの十分に矯正されていなかった前段部分も十分に矯正される。
【0038】
以上のように金属板Pを一往復させることにより、金属板Pの全体を矯正することができる。このため、板厚が薄くかつ高降伏応力の金属板であっても、高精度で矯正を行うことができ、金属板Pの平坦度を高くすることができる。ただし、このような手法を行うためには金属板Pの長さが、ローラレベラ100を往復したときに金属板Pの全体に必要な矯正が行えるような長さであることが必要である。つまり、金属板Pが短すぎると、一方向の矯正動作でピンチロールの引き抜きによる矯正が金属板Pの半分未満となり、逆方向の矯正動作によっても金属板Pの全体に必要な矯正が行えない。切り板状の金属板Pの長さは5m以上であることが好ましい。なお、金属板Pの往復回数は1回に限らず2回以上であってもよい。
【0039】
このような手法は、適用する金属板が鋼板の場合、従来矯正が困難であった、厚さ2.0〜25.4mmで、降伏応力が400〜1800MPaの鋼板に好適である。
【0040】
図4は、横軸に板厚をとり、縦軸に降伏応力をとって、レベリングロールのみの場合と、本実施形態に従ってピンチロールでの引き抜きを付加した場合について、降伏率が70%(0.7)での矯正可能領域を示す図である。この図に示すように、ピンチロールの引き抜きを付加することにより、矯正可能領域が著しく広がり、板厚12.7mm以下の比較的薄い領域で、1200MPa以上の高い降伏応力の材料でも矯正可能であり、平坦度の高い金属板とすることができる。なお、図4の関係は、径が135mmのレベリングロール径を用いて行ったものである。
【0041】
以上のように、ピンチロールの引き抜き力を利用することにより、必要な圧下量(押し込み量)で被矯正材である金属板を矯正することができ、高い平坦度を得ることができるが、上フレーム2や下フレーム3等の装置の構成要素が幅方向に撓む場合があり、そのような場合は撓みの影響で金属板の幅方向で圧下量が変動する。そこで、本実施形態では、このような撓みの影響を解消したい場合には、撓み検出センサ21および/または22の検出値に基づいて上フレーム2および下フレーム3の撓み量を求め、この撓み量を解消するに必要な個々の油圧式クラウニングシリンダ12の必要締め込み量を算出し、これに基づいて上部レベリングロール6のクラウニング補正を行う。これにより、被矯正材である金属板Pの幅方向の圧下量差を小さくすることができ、より平坦度の高い矯正を実施することができる。
【0042】
また、上フレーム2および下フレーム3の撓み量を解消するに必要な個々の油圧式クラウニングシリンダ12の必要締め込み量に加えて、圧下シリンダ4とハウジング1との間に取り付けられたロードセル(または油圧圧力変換器)23による、圧下シリンダ4、油圧式クラウニングシリンダ12、上ロールフレーム5、上バックアップロール7、上部レベリングロール6、下部レベリングロール8、下バックアップロール9、下ロールフレーム10の圧縮変形情報に基づいて、この圧縮変形を解消するに必要な個々の油圧式クラウニングシリンダ12の必要締め込み量を算出し、両方の必要締め込み量の合計値に基づいて上部レベリングロール6のクラウニング補正を行うようにすることもできる。これにより、被矯正材である金属板Pの幅方向の圧下量差を一層小さくすることができ、さらに一層平坦度の高い矯正を実施することができる。
【0043】
なお、このようなクラウニング補正については、特許第3443036号公報、特許第3726146号公報に詳しく記載されており、これら公報の記載内容も本明細書に含まれるものとする。
【0044】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
図5は、本発明の他の実施形態に係るローラレベラの設備構成を概略的に示す断面図である。なお、図5において、制御装置50等は記載を省略している。
このローラレベラ200は、従前の実施形態と全く同じ構成を有するレベリングユニット60と、金属板のパスラインにおけるレベリングロール配置領域の一方の外側部分に設けられ、従前の実施形態のピンチロールユニット30a,30bと同じ構造を有する一つのピンチロールユニット30と、レベリングロール配置領域のレベリングユニット60を挟んで反対側の外側部分に設けられ、金属板Pの先端および後端を反転させる金属板反転機構70とを有している。
【0045】
金属板反転機構70は、金属板Pを搬送する複数の搬送ロール71と、搬送ロール71を支持する支持フレーム72と、金属板が搬送ロール71上に載せられた状態で、搬送ロール71および支持フレーム72とともに水平方向に回転させて金属板Pの先端と後端とを反転させる回転機構73とを有している。
【0046】
なお、レベリングユニット60およびピンチロールユニット30は、従前の実施形態のレベリングユニットおよびピンチロールユニットと構造が同一であるため、符号は省略している。
【0047】
次に、このローラレベラ200の矯正動作について図6を参照して説明する。
まず、金属板Pを、レベリングユニット60の金属板反転機構70側からレベリングロール配置領域に、圧下されない状態または圧下シリンダにより駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下される状態でピンチロールユニット30に向けて通板させる(図6(a))。金属板の先端Aがピンチロールユニット30に達した時点で、圧下シリンダによる圧下量を金属板の矯正に必要な量に増加させるとともに、ピンチロールユニット30により金属板Pに引き抜き力を与えて通板させる(図6(b))。金属板Pの後端Bがレベリングロール配置領域を抜けた時点で、金属板Pを金属板反転機構70に送給して金属板Pの先端Aと後端Bとを反転させる(図6(c))。そして、反転させた金属板Pを、金属板反転機構70側からレベリングユニット60のレベリングロール配置領域に、圧下されない状態または前記圧下シリンダにより駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下される状態で通板させる(図6(d))。金属板Pの先端(従前の後端B)がピンチロールユニットに達した時点で、圧下シリンダによる圧下量を前記金属板の矯正に必要な量に増加させるとともに、ピンチロールユニット30により金属板Pに引き抜き力を与えて通板させる(図6(e))。これにより、1回の通板により矯正した際に十分に矯正されていなかった前段部分も、金属板Pを反転させてもう1回通板させて矯正することにより十分に矯正される。
【0048】
次に、本発明のさらに他の実施形態について説明する。
図7は、本発明のさらに他の実施形態に係るローラレベラの設備構成を概略的に示す断面図である。なお、図7において、制御装置50等は記載を省略している。
【0049】
このローラレベラ300は、従前の実施形態と全く同じ構成を有する2つのレベリングユニット60aおよびレベリングユニット60bが金属板Pの通板方向に沿って配列され、これらの間に従前の実施形態のピンチロールユニット30a,30bと同じ構造を有する一つのピンチロールユニット30が設けられている。
【0050】
なお、レベリングユニット60a、60bおよびピンチロールユニット30は、従前の実施形態のレベリングユニットおよびピンチロールユニットと構造が同一であるため、符号は省略している。
【0051】
次に、このローラレベラ300の矯正動作について図8を参照して説明する。
まず第2のレベリングユニットを金属板が圧下されない状態または金属板が前記圧下シリンダにより前記駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下される状態とさせて、金属板を、前記第1のレベリングユニットの前記レベリングロールが配置された第1のレベリングロール配置領域に、圧下されない状態または前記圧下シリンダにより前記駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下された状態で前記第2のレベリングユニットに向けて通板させる(図8(a))。金属板Pの先端がピンチロールユニット30に達した時点で、第1のレベリングユニット60aの圧下シリンダによる圧下量を前記金属板の矯正に必要な量に増加するとともに、ピンチロールユニット30により金属板Pに引き抜き力を与えて金属板Pを通板させる(図8(b))。金属板Pの後端がピンチロールユニット30に達した時点(図8(c))で、第1のレベリングユニット60aを金属板Pが圧下されない状態または金属板が前記圧下シリンダにより駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下される状態とさせて、第2のレベリングユニット60bの圧下シリンダによる圧下量を金属板Pの矯正に必要な量に増加させるとともに、ピンチロールユニット30により金属板に引き抜き力を与えて金属板を前記第1のレベリングユニット60aに向けて通板させる(図8(d))。これにより、第1のレベリングユニット60aへの通板により矯正した際に十分に矯正されていなかった前段部分も、第2のレベリングユニット60bでの矯正により十分に矯正される。
【0052】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、レベリングロールの上ロールを下ロールに対して圧下する装置を示したが、下ロールを上ロールに対して圧下してもよい。また、本発明の範囲を逸脱しない限り、上記実施形態の構成要素を一部取り除いたものも本発明の範囲内である。
【符号の説明】
【0053】
1;ハウジング
2;上フレーム
3;下フレーム
4;圧下シリンダ
5;上ロールフレーム
6;上部レベリングロール
7;上バックアップロール
8;下部レベリングロール
9;下バックアップロール
10;下ロールフレーム
12;油圧式クラウニングシリンダ
15;駆動装置
21,22;撓み検出センサ
31a,31b;ピンチロール
32a,32b;ピンチロールシリンダ
33a,33b;駆動装置
41;光学式センサ(位置検出機構)
50;制御装置
100;ローラレベラ
P;金属板(被矯正材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切板状の金属板を矯正するローラレベラであって、
矯正すべき金属板の通板ラインの上下に千鳥状に配置され、金属板を挟んで矯正しつつ金属板を通板させるように回転する複数のレベリングロールと、
前記レベリングロールを介して金属板を圧下する油圧式の圧下シリンダと、
前記レベリングロールを回転させて金属板を通板させる駆動装置と、
金属板のパスラインにおける前記レベリングロールが配置されたレベリングロール配置領域の側方に設けられ、金属板を挟んで引き抜き力を与える一対のピンチロールを有するピンチロールユニットと
を具備し、
前記圧下シリンダにより金属板の矯正に必要な圧下量で前記レベリングロールを介して前記金属板を圧下しつつ、前記駆動装置による駆動力および前記ピンチロールによる引き抜き力により前記金属板を前記レベリングロール間に通板させることを特徴とするローラレベラ。
【請求項2】
切板状の金属板を矯正するローラレベラであって、
矯正すべき金属板の通板ラインの上下に千鳥状に配置され、金属板を挟んで矯正しつつ金属板を通板させるように回転する複数のレベリングロール、前記レベリングロールを介して金属板を圧下する油圧式の圧下シリンダ、および前記レベリングロールを回転させて金属板を通板させる駆動装置を有するレベリングユニットと、
金属板のパスラインにおける前記レベリングロールが配置されたレベリングロール配置領域の両外側部分にそれぞれ設けられ、いずれも金属板を挟んで引き抜き力を与える一対のピンチロールを有する第1のピンチロールユニットおよび第2のピンチロールユニットと、
金属板の矯正を制御する制御装置と
を具備し、
前記制御装置は、金属板を、前記第1のピンチロールユニット側から前記第2のピンチロールユニット側へ向かう第1の方向に沿って前記レベリングロール配置領域に、圧下されない状態または前記圧下シリンダにより前記駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下される状態で通板させ、前記金属板の先端が前記第2のピンチロールユニットに達した時点で、前記圧下シリンダによる圧下量を前記金属板の矯正に必要な量に増加させるとともに、前記第2のピンチロールユニットにより前記金属板に前記第1の方向への引き抜き力を与えて通板させ、前記金属板の後端が前記レベリングロール配置領域を抜けた時点で、金属板の送給方向を前記第1の方向とは反対方向の第2の方向へ変えて、金属板を、前記レベリングロール配置領域に、圧下されない状態または前記圧下シリンダにより前記駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下される状態で通板させ、前記金属板の前記後端が前記第1のピンチロールユニットに達した時点で、前記圧下シリンダによる圧下量を前記金属板の矯正に必要な量に増加させるとともに、前記第1のピンチロールにより前記金属板に前記第2の方向への引き抜き力を与えて通板させるように制御することを特徴とするローラレベラ。
【請求項3】
切板状の金属板を矯正するローラレベラであって、
矯正すべき金属板の通板ラインの上下に千鳥状に配置され、金属板を挟んで矯正しつつ金属板を通板させるように回転する複数のレベリングロール、前記レベリングロールを介して金属板を圧下する油圧式の圧下シリンダ、および前記レベリングロールを回転させて金属板を通板させる駆動装置を有するレベリングユニットと、
金属板のパスラインにおける前記レベリングロールが配置されたレベリングロール配置領域の一方の外側部分に設けられ、金属板を挟んで引き抜き力を与える一対のピンチロールを有するピンチロールユニットと、
前記レベリングロール配置領域の他方の外側部分に設けられ、金属板の先端および後端を反転させる金属板反転機構と、
金属板の矯正を制御する制御装置と
を具備し、
前記制御装置は、金属板を、前記レベリングユニットの前記金属板反転機構側から前記レベリングロール配置領域に、圧下されない状態または前記圧下シリンダにより前記駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下される状態で通板させ、前記金属板の先端が前記ピンチロールユニットに達した時点で、前記圧下シリンダによる圧下量を前記金属板の矯正に必要な量に増加させるとともに、前記ピンチロールユニットにより前記金属板に引き抜き力を与えて通板させ、前記金属板の後端が前記レベリングロール配置領域を抜けた時点で、金属板を前記金属板反転機構に送給させて金属板の先端と後端とを反転させ、反転させた金属板を、前記金属板反転機構側から前記レベリングロール配置領域に、圧下されない状態または前記圧下シリンダにより前記駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下される状態で通板させ、前記金属板の先端が前記ピンチロールユニットに達した時点で、前記圧下シリンダによる圧下量を前記金属板の矯正に必要な量に増加させるとともに、前記ピンチロールユニットにより前記金属板に引き抜き力を与えて通板させることを特徴とするローラレベラ。
【請求項4】
切板状の金属板を矯正するローラレベラであって、
それぞれ、矯正すべき金属板の通板ラインの上下に千鳥状に配置され、金属板を挟んで矯正しつつ金属板を通板させるように回転する複数のレベリングロール、前記レベリングロールを介して金属板を圧下する油圧式の圧下シリンダ、および前記レベリングロールを回転させて金属板を通板させる駆動装置を有し、金属板の通板方向に沿って配列された第1および第2のレベリングユニットと、
前記第1のレベリングユニットおよび前記第2のレベリングユニットの間に設けられ、金属板を挟んで引き抜き力を与える一対のピンチロールを有するピンチロールユニットと、
金属板の矯正を制御する制御装置と
を具備し、
前記制御装置は、前記第2のレベリングユニットを金属板が圧下されない状態または金属板が前記圧下シリンダにより前記駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下される状態とさせて、金属板を、前記第1のレベリングユニットの前記レベリングロールが配置された第1のレベリングロール配置領域に、圧下されない状態または前記圧下シリンダにより前記駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下された状態で前記第2のレベリングユニットに向けて通板させ、前記金属板の先端が前記ピンチロールユニットに達した時点で、前記第1のレベリングユニットの前記圧下シリンダによる圧下量を前記金属板の矯正に必要な量に増加させるとともに、前記ピンチロールユニットにより前記金属板に引き抜き力を与えて金属板を通板させ、前記金属板の後端が前記ピンチロールユニットに達した時点で、前記第1のレベリングユニットを金属板が圧下されない状態または金属板が前記圧下シリンダにより前記駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下される状態とさせて、前記第2のレベリングユニットの前記圧下シリンダによる圧下量を前記金属板の矯正に必要な量に増加させるとともに、前記ピンチロールユニットにより前記金属板に引き抜き力を与えて金属板を前記第1のレベリングユニットに向けて通板させることを特徴とするローラレベラ。
【請求項5】
矯正すべき金属板の通板ラインの上下に千鳥状に配置され、金属板を挟んで矯正しつつ金属板を通板させるように回転する複数のレベリングロールと、
前記複数のレベリングロールを上下にバックアップする複数のバックアップロールと、
前記レベリングロールおよび前記バックアップロールをこれらの上下で支持する一対のロールフレームと、
前記一対のロールフレームを上下で支持する一対のフレームと、
前記一対のフレームの一方を押圧し、前記ロールフレームの一方、および前記レベリングロールを介して金属板を圧下する油圧式の圧下シリンダと、
前記レベリングロールを回転させる駆動装置と、
前記圧下シリンダに押圧される方のフレームとそれに対応するロールフレームとの間に、前記金属板の通板方向に直交する幅方向に沿って複数取り付けられた油圧式クラウニングシリンダと、
金属板のパスラインにおける前記レベリングロールが配置されたレベリングロール配置領域の側方に設けられ、金属板を挟んで引き抜き力を与える一対のピンチロールを有するピンチロールユニットと、
金属板の矯正を制御する制御装置と
を具備し、
前記制御装置は、前記圧下シリンダにより金属板の矯正に必要な圧下量で前記レベリングロールを介して前記金属板を圧下させつつ、前記駆動装置による駆動力および前記ピンチロールによる引き抜き力により前記金属板を前記レベリングロール間に通板させるように制御し、
かつ、前記制御装置は、前記一対のフレームの横撓み量を求め、この撓み量を解消するに必要な前記個々の油圧式クラウニングシリンダの必要締め込み量を算出し、前記必要締め込み量に基づいて個々の油圧式クラウニングシリンダを締め込み制御することを特徴とするローラレベラ。
【請求項6】
前記制御装置は、前記圧下シリンダ、前記油圧式クラウニングシリンダ、前記一対のロールフレーム、前記バックアップロール、前記レベリングロールの圧縮変形情報に基づいて、この圧縮変形を解消するに必要な個々の油圧式クラウニングシリンダの必要締め込み量を算出し、この必要締め込み量と前記一対のフレームの撓み量を解消するに必要な必要締め込み量の合計値に基づいて個々の油圧式クラウニングシリンダを締め込み制御することを特徴とする請求項5に記載のローラレベラ。
【請求項7】
矯正される金属板は、厚さ2.0〜25.4mmで、降伏応力が400〜1800MPaの鋼板であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のローラレベラ。
【請求項8】
矯正すべき金属板の通板ラインの上下に千鳥状に配置され、金属板を挟んで矯正しつつ金属板を通板させるように回転する複数のレベリングロールと、
前記レベリングロールを介して金属板を圧下する油圧式の圧下シリンダと、
前記レベリングロールを回転させて金属板を通板させる駆動装置と、
金属板のパスラインにおける前記レベリングロールが配置されたレベリングロール配置領域の側方に設けられ、金属板を挟んで引き抜き力を与える一対のピンチロールを有するピンチロールユニットとを具備するローラレベラにおいて切り板状の金属板を矯正する金属板の矯正方法であって、
前記圧下シリンダにより金属板の矯正に必要な圧下量で前記レベリングロールを介して前記金属板を圧下しつつ、前記駆動装置による駆動力および前記ピンチロールによる引き抜き力により前記金属板を前記レベリングロール間に通板させることを特徴とする金属板の矯正方法。
【請求項9】
矯正すべき金属板の通板ラインの上下に千鳥状に配置され、金属板を挟んで矯正しつつ金属板を通板させるように回転する複数のレベリングロール、前記レベリングロールを介して金属板を圧下する油圧式の圧下シリンダ、および前記レベリングロールを回転させて金属板を通板させる駆動装置を有するレベリングユニットと、
金属板のパスラインにおける前記レベリングロールが配置されたレベリングロール配置領域の両外側部分にそれぞれ設けられ、いずれも金属板を挟んで引き抜き力を与える一対のピンチロールを有する第1のピンチロールユニットおよび第2のピンチロールユニットとを具備するローラレベラを用いて切り板状の金属板を矯正する金属板の矯正方法であって、
金属板を、前記第1のピンチロールユニット側から前記第2のピンチロールユニット側へ向かう第1の方向に沿って前記レベリングロール配置領域に、圧下されない状態または前記圧下シリンダにより前記駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下される状態で通板し、前記金属板の先端が前記第2のピンチロールユニットに達した時点で、前記圧下シリンダによる圧下量を前記金属板の矯正に必要な量に増加するとともに、前記第2のピンチロールユニットにより前記金属板に前記第1の方向への引き抜き力を与えて通板し、前記金属板の後端が前記レベリングロール配置領域を抜けた時点で、金属板の送給方向を前記第1の方向とは反対方向の第2の方向へ変えて、金属板を、前記レベリングロール配置領域に、圧下されない状態または前記圧下シリンダにより前記駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下される状態で通板し、前記金属板の前記後端が前記第1のピンチロールユニットに達した時点で、前記圧下シリンダによる圧下量を前記金属板の矯正に必要な量に増加するとともに、前記第1のピンチロールにより前記金属板に前記第2の方向への引き抜き力を与えて通板することを特徴とする金属板の矯正方法。
【請求項10】
矯正すべき金属板の通板ラインの上下に千鳥状に配置され、金属板を挟んで矯正しつつ金属板を通板させるように回転する複数のレベリングロール、前記レベリングロールを介して金属板を圧下する油圧式の圧下シリンダ、および前記レベリングロールを回転させて金属板を通板させる駆動装置を有するレベリングユニットと、
金属板のパスラインにおける前記レベリングロールが配置されたレベリングロール配置領域の一方の外側部分に設けられ、金属板を挟んで引き抜き力を与える一対のピンチロールを有するピンチロールユニットと、
前記レベリングロール配置領域の他方の外側部分に設けられ、金属板の先端および後端を反転させる金属板反転機構とを具備するローラレベラを用いて切り板状の金属板を矯正する金属板の矯正方法であって、
金属板を、前記レベリングユニットの前記金属板反転機構側から前記レベリングロール配置領域に、圧下されない状態または前記圧下シリンダにより前記駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下される状態で通板し、前記金属板の先端が前記ピンチロールユニットに達した時点で、前記圧下シリンダによる圧下量を前記金属板の矯正に必要な量に増加するとともに、前記ピンチロールユニットにより前記金属板に引き抜き力を与えて通板し、前記金属板の後端が前記レベリングロール配置領域を抜けた時点で、金属板を前記金属板反転機構に送給して金属板の先端と後端とを反転し、反転した金属板を、前記金属板反転機構側から前記レベリングロール配置領域に、圧下されない状態または前記圧下シリンダにより前記駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下される状態で通板し、前記金属板の先端が前記ピンチロールユニットに達した時点で、前記圧下シリンダによる圧下量を前記金属板の矯正に必要な量に増加するとともに、前記ピンチロールユニットにより前記金属板に引き抜き力を与えて通板することを特徴とする金属板の矯正方法。
【請求項11】
それぞれ、矯正すべき金属板の通板ラインの上下に千鳥状に配置され、金属板を挟んで矯正しつつ金属板を通板させるように回転する複数のレベリングロール、前記レベリングロールを介して金属板を圧下する油圧式の圧下シリンダ、および前記レベリングロールを回転させて金属板を通板させる駆動装置を有し、金属板の通板方向に沿って配列された第1および第2のレベリングユニットと、
前記第1のレベリングユニットおよび前記第2のレベリングユニットの間に設けられ、金属板を挟んで引き抜き力を与える一対のピンチロールを有するピンチロールユニットとを具備するローラレベラを用いて切り板状の金属板を矯正する金属板の矯正方法であって、
前記第2のレベリングユニットを金属板が圧下されない状態または金属板が前記圧下シリンダにより前記駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下される状態として、金属板を、前記第1のレベリングユニットの前記レベリングロールが配置された第1のレベリングロール配置領域に、圧下されない状態または前記圧下シリンダにより前記駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下された状態で前記第2のレベリングユニットに向けて通板し、前記金属板の先端が前記ピンチロールユニットに達した時点で、前記第1のレベリングユニットの前記圧下シリンダによる圧下量を前記金属板の矯正に必要な量に増加するとともに、前記ピンチロールユニットにより前記金属板に引き抜き力を与えて金属板を通板し、前記金属板の後端が前記ピンチロールユニットに達した時点で、前記第1のレベリングユニットを金属板が圧下されない状態または金属板が前記圧下シリンダにより前記駆動装置によって通板可能な程度の圧下量で圧下される状態として、前記第2のレベリングユニットの前記圧下シリンダによる圧下量を前記金属板の矯正に必要な量に増加するとともに、前記ピンチロールユニットにより前記金属板に引き抜き力を与えて金属板を前記第1のレベリングユニットに向けて通板することを特徴とする金属板の矯正方法。
【請求項12】
矯正すべき金属板の通板ラインの上下に千鳥状に配置され、金属板を挟んで矯正しつつ金属板を通板させるように回転する複数のレベリングロールと、
前記複数のレベリングロールを上下にバックアップする複数のバックアップロールと、
前記レベリングロールおよび前記バックアップロールをこれらの上下で支持する一対のロールフレームと、
前記一対のロールフレームを上下で支持する一対のフレームと、
前記一対のフレームの一方を押圧し、前記ロールフレームの一方、および前記レベリングロールを介して金属板を圧下する油圧式の圧下シリンダと、
前記レベリングロールを回転させる駆動装置と、
前記圧下シリンダに押圧される方のフレームとそれに対応するロールフレームとの間に、前記金属板の通板方向に直交する幅方向に沿って複数取り付けられた油圧式クラウニングシリンダと、
金属板のパスラインにおける前記レベリングロールが配置されたレベリングロール配置領域の側方に設けられ、金属板を挟んで引き抜き力を与える一対のピンチロールを有するピンチロールユニットとを具備するローラレベラを用いて切り板状の金属板を矯正する金属板の矯正方法であって、
前記圧下シリンダにより金属板の矯正に必要な圧下量で前記レベリングロールを介して前記金属板を圧下しつつ、前記駆動装置による駆動力および前記ピンチロールによる引き抜き力により前記金属板を前記レベリングロール間に通板し、
かつ、前記一対のフレームの横撓み量を求め、この撓み量を解消するに必要な前記個々の油圧式クラウニングシリンダの必要締め込み量を算出し、前記必要締め込み量に基づいて個々の油圧式クラウニングシリンダを締め込み制御することを特徴とする金属板の矯正方法。
【請求項13】
前記圧下シリンダ、前記油圧式クラウニングシリンダ、前記一対のロールフレーム、前記バックアップロール、前記レベリングロールの圧縮変形情報に基づいて、この圧縮変形を解消するに必要な個々の油圧式クラウニングシリンダの必要締め込み量を算出し、この必要締め込み量と前記一対のフレームの撓み量を解消するに必要な必要締め込み量の合計値に基づいて個々の油圧式クラウニングシリンダを締め込み制御することを特徴とする請求項12に記載の金属板の矯正方法。
【請求項14】
矯正される金属板は、厚さ2.0〜25.4mmで、降伏応力が400〜1800MPaの鋼板であることを特徴とする請求項8から請求項13のいずれか1項に記載の金属板の矯正方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−171005(P2012−171005A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38047(P2011−38047)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(501120122)スチールプランテック株式会社 (49)
【Fターム(参考)】