説明

ローラー冷却装置

本発明は高温流動塊を冷却することにより固体チップへ連続変換するローラー冷却装置に関し、少なくとも1つの冷却ローラー(1)、圧搾ローラー(2)及びプーリー(4)を回る加圧ベルト(3)を含む。
本発明によれば、前記部品(1−4)は一方側からのみ保持され、ローラー(1,2)は前記側のみで支持され、前記側から駆動され、及び前記部品(1−4)はクリーニングの目的で他方側からアクセス及び/又は取り外しが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却により高温流動塊を固体チップへ連続変換するローラー冷却装置に関し、少なくとも1つの冷却ローラーと1つの圧搾ローラーと偏向プーリーを介して回転する1つの加圧ベルトを備える。冷却ローラーと圧搾ローラーは該塊を延ばし、薄膜とする。加圧ベルトは冷却ローラーの円周上の一部を移動し、薄膜を冷却ローラーへ押圧させる。通常、さらに、剥ぎ取り板と破砕機を備える。破砕機は、冷却ローラー上で凝固して剥ぎ取り板によって冷却ローラーから剥ぎ取られた薄膜を砕かせる。
【背景技術】
【0002】
このタイプのローラー冷却装置は、化学工業で例えば粉体塗装やトナー混合物を固めるものとして知られ、使われている。前記部品にかかる力を吸収できるように、部品を安定に支えなければならない。このため、2つのローラーを含む部品は固定されるか、とりわけ機械台に両サイドから取り付けられている。結果として、クリーニングのために部品へアクセスすることが難しくなる。
【発明の概要】
【0003】
ローラー冷却機の上記に類似した処理作業は、製薬業や食品業において見られる。ここで、この装置を差し迫ってクリーニングしなければならないことは、どう見ても、明らかである。クリーニングを、頻繁にまた、徹底して行えることが要求される。従って、本発明の目的は、これまでのものより、簡単にかつ徹底してクリーニングできるローラー冷却装置を明らかにすることである。この目的は、クレーム1の特徴により達成される。本発明によるローラー冷却装置は、冷却ローラーと圧搾ローラーと偏向プーリーと加圧ベルトを一方側からのみで保持し、ローラーはこの側にのみ取り付けられ、かつ、この側から駆動される。これにより、前記の部品は、他方側からクリーニングの目的でアクセス及び/又は取り外しが可能であることを特徴とする。
【0004】
本発明の好適な実施例は従属クレームに明記される。
【0005】
ローラー冷却装置は、さらに、好ましくは、剥ぎ取り板と破砕機を備え、破砕機は冷却ローラー上で凝固して剥ぎ取り板によって冷却ローラーから剥ぎ取られた薄膜を砕かせる。これらの部品は、一方側からのみ保持され、破砕機はこの側からのみ駆動される。これにより、これらの部品は他方側からクリーニングの目的でアクセス及び/又は取り外しが可能である。
【0006】
冷却ローラーと圧搾ローラーは、好ましくは、パーティション上のシールにより、それぞれの軸受、駆動部及び他の供給設備に対してそれぞれ封止されており、このシールは他方側へ同様に取り外し可能である。
【0007】
好ましくは、2つのシールはいずれもシーリングリングを含み、シーリングリングを取り外す目的で、冷却ローラーと圧搾ローラーは、ローラーニップが狭い動作位置とローラーニップが広い取付け位置との間で相互に調整可能である。
【0008】
2つの内、第1のローラー(好ましくは冷却ローラー)のシーリングリングは、パーティションに隣接してローラーに固定され、パーティションに対してスライド可能に封止されている。
【0009】
動作位置と取付け位置との間の調整のため、好ましくは、第1のローラーのみが、例えば、偏心器を介して、移動可能に取り付けられている。ローラーの調整する際、シーリングリングはパーティションに沿ってスライドする。
【0010】
この場合、他方のローラーのシーリングリングは、パーティションから距離をおいてパーティションに連結する保持リングに固定され、スライド可能にこの他方のローラーを封止することができる。
【0011】
2つのシーリングリングが互いにぶつからないように、好ましくは、一方のローラーは、連続する刻み目を備え、そこに他方のローラーのシーリングリングが動作位置で係合する。それに対応して、他方のローラーも同様に刻み目もしくは円周に同じように作用するテーパーを備え、そこに上記の保持リングも挿入され、かつそこで一方のローラーのシーリングリングが動作位置で係合する。
【0012】
冷却ローラー及び圧搾ローラーはいずれもクリーンングし易いスムースな表面を有するので、それらもクリーニングの目的で取り外し可能である必要はない。それらが動作位置及び取付け位置間で相互に調整可能であることとは別に、それらは固定して取付けられても良く、そのことにより、それらの取り付けや少なくとも冷却ローラーに冷却液循環路を繋ぐという点で、構造的な利点がある。
【0013】
“固定取付け”とは本文脈中で、“取り外し可能”と対比させた用語として理解されるべきであり、本装置のユーザによって少なくとも簡単に取り外し可能とはいえず、かつそのように意図されたものでもなく、特に、クリーニングの目的で定期的に取り外し可能な部品ではないことを意味する。もちろんこれらの部品も何らかの方法で取り外しが可能である。しかし、この取り外しは製造者によってのみ行うことが可能、もしくは好ましいか、特別な知識、工具によってのみ可能か、もしくは少なくともより時間がかかるものとされるべきである。さらに、ここで取り外し可能と述べた部品は少なくとも基本的には工具を使わずに取り外し可能であることが望ましい。
【0014】
前記部品を覆うために保護カバーを設け、できればスライドして容易に移動可能であることが好ましい。
【0015】
図面を参照し代表的な実施例を用いて以下に本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ローラー冷却装置の機能原理図を示す。
【図2】保護カバーを取り外した本発明にかかる装置を示す。
【図3】図1の装置の分解図を示す。
【図4】図1の装置の2つのローラー部分のみの分解図を示す。
【図5】2つのローラーの断面図を示す。
【図6】拡大図において図4の詳細Aを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は冷却により高温流動塊を固体チップへ連続変換するローラー冷却装置の機能原理を図式的に示し、以下に記載する本発明にかかるローラー冷却装置も前記機能原理に基づいている。冷却ローラーは1、圧搾ローラーは2、加圧ベルトは3、5つの加圧ベルト用偏向プーリーの1つは4、剥ぎ取り板は5、破砕機は6で示されている。
【0018】
図1のローラー冷却装置は以下のように機能する。流動性を有するが比較的低温で凝固する高温の、例えば熱可塑性物質の塊の紐体8が冷却ローラー1と圧搾ローラー2の間のローラーニップ7に導かれ、2つのローラーによりほぼローラーの全幅に亘って延ばされて薄膜9となる。紐体8は、例えば押出機により押出され、糊状稠度を有する。薄膜9は冷却ローラー1に当接し、加圧ベルト3に保持されながら冷却ローラー1の円周上の一部に沿って移動する。冷却ローラー1は中を流れるクーラントにより冷却される。冷却ローラー1はそれにより薄膜9から熱を吸収し発散する。このように冷やされることにより、薄膜9は凝固し始める。少なくとも一部が既に凝固した薄膜9は剥ぎ取り板5により冷却ローラー1から剥ぎ取られ、その後破砕機6へ送られ、破砕機6によって個々のピースに砕かれる。ここで形成されるチップ10は下方へ落下して図示しない例えばコンテナに回収される。
【0019】
図2は上述した原理に基づく本発明にかかる装置を示し、図番1〜6は既に上で述べた部品に対し再度用いる。装置が動作中はこれらの部品を覆う保護カバー11が、後ろの装置が見えるように装置側部の隣に示されている。保護カバーにはキャスタが付いており、そのため簡単に取り外しができる。
【0020】
本発明にかかる装置の特徴は、部品1〜6が片側のみで保持され、あるいはホルダを介して機械台12の片側からのみ保持されることである。ローラー(1,2)もまたこの側にのみ取り付けられ、この側から駆動される。それ故、部品(1〜6)は、反対側からクリーニングのために簡単にアクセス及び/又は取り外し可能である。
【0021】
機械台12の機械スペース13には、2つのローラー1、2の軸受及びそれらの駆動部のみならず、とりわけ冷却ローラー1に冷却液を供給する装置が収容されている。図2、3より明らかなように、2つのローラー1、2は安定させる目的で機械台12の中の離間する2つの軸受にそれぞれ取り付けられており、そのため機械台12はローラーの軸方向に比較的広い奥行きを有している。
【0022】
パーティション15は部品1〜6を含むプロセス領域14を機械スペース13から分離するために設ける。前記パーティションは例えば偏向プーリー4及び破砕機6のホルダなど、プロセス領域14の個々の部品に対する取り付け面としても機能する。例えば2つのローラー1、2のシャフトや破砕機6の駆動シャフトなどの他の部品がパーティション15を貫通する場合は、パーティションの領域内にシールを設ける。2つのローラーのシールについて、その特殊な構造を以下に詳しく説明する。
【0023】
図3はプロセス領域14の種々の部品がクリーニングのために如何に取り外し可能かを、特に2つのローラー1,2を例外として、処理される物質と直接接触する部品について分解図で示している。同様に図3からわかるように、取り外し可能部品(まだ記載していないネジ結合とは別に)は、単に差し込まれているか、あるいは偏向プーリー4のようにU字状ホルダの脚に吊るされ、必要であれば、簡単に抜くことができるピンで留められているので、工具を使わずに取り外すことが可能である。加圧ベルト3を取り外すには、張力プーリーとして機能する図3の図番4の偏向プーリーを、回転するU字状ホルダによって側面に沿って旋回させ、その結果、加圧ベルト3が緩み、前方へ取り出せる。
【0024】
2つのローラー1、2自体は取り外し可能ではないが、既に述べた、それらのシールは、パーティション15に対し、実際、取り外し可能である。図4から明らかのように、これらのシールは冷却ローラー1aのシーリングリング16、及び圧搾ローラー2aのシーリングリング17を含む。これらのシーリングリング16,17は、いずれの場合も、それぞれ、ローラー1とローラー2の円周面に沿って丁度押し込むことができるように、その内径の寸法が定められている。
【0025】
図5、6から明らかのように、シーリングリング16はパーティション15に隣接して冷却ローラー1の円周に配置される。それは、一方において冷却ローラー1の円周面との間を封止し、他方においては、一対の柔らかいシーリングリップによりパーティション15との間をスライド可能に封止する。このため、パーティション15にシーリング面18を設け、代表的な本実施例では、予備部品でこのシーリング面をパーティション15に固定する。2つのハーフリング19を使い、シーリングリング16を図に示す位置に固定して、シーリング面18に対する押圧力を維持し、該ハーフリング19は冷却ローラー1の外周にある刻み目20の内側面に向かって軸方向にネジ止めされる。さらに、シーリングリング16は例えばネジ(図示しない)等によって冷却ローラー1の円周面に固定し、該円周面に対し径方向に押圧することもできる。
【0026】
圧搾ローラー2のシーリングリング17は、パーティション15に封止されるようにつけられた(具体的には溶接される)保持リング21(より具体的にはこの保持リングの外側に曲げた末端片)に、パーティション15から距離をおいて配置されている。それは、一方において保持リング21との間を封止し、他方において、一対の柔らかいシーリングリップにより圧搾ローラー2の円周面との間をスライド可能に封止する。シーリングリング17は、ラジアルスクリューにより保持リング21に固定される。
【0027】
図6から明らかなように、機械台側へ延びるローラーニップ7、既に述べた冷却ローラー1の刻み目20に係合する圧搾ローラーのシーリングリング17、対応する圧搾ローラー2の刻み目(又は機械台側テーパー)22と逆向きに係合する冷却ローラーのシーリングリング16の領域において、2つのシーリングリング16及び17は径方向に互いに重なり合う。保持リング21も、冷却ローラーシーリングリング16を囲むように、この刻み目22に挿入される。上記の構成により、2つのシーリングリング16及び17は互いにぶつかり合うことは無い。
【0028】
上述の配置では、ローラーニップ7が狭いと、2つのシーリングリング16、17は直接、取り外すことができない。取り外すためには、まずローラーニップ7を大きくしなければならない。これは、少なくとも一方のローラー(代表的な本実施例では冷却ローラー1)を側方へずらすことで達成される。図示しない方法では、冷却ローラー1を機械台に取り付けた偏心器を介して位置をずらし、冷却ローラーのシーリングリング16をパーティション15のシーリング面18に沿ってスライドさせる。このため、前記シーリング面はシンプルでかつ大きさに余裕をもって適切に設計されねばならない。図4は、広いローラーニップ7を備え、定位置に2つのローラー1、2を取り付けた本発明にかかる装置の詳細を示している。シーリング面18に沿って冷却ローラーがずれていることは、図3に示す動作位置と比較すれば明らかである。
【0029】
図4に示す取付け位置において、2つのシーリングリング16及び17は、ネジ22及びハーフリング19を取り外した後、それぞれ、ローラー1とローラー2の上をスライドさせることにより、続けて取り外すことができる。
【0030】
上記の構成により、本発明に関わる装置において、生産物と接触する部品を、いずれの場合も簡単に取り外すことができる。取り外された部品は個々に容易にクリーニングすることができる。残った部品の間のスペースも十分得られるので、これらの部品も有効にクリーニングすることができる。
【符号の説明】
【0031】
1 冷却ローラー
2 圧搾ローラー
3 加圧ベルト
4 偏向プーリー
5 剥ぎ取り板
6 破砕機
7 ローラーニップ
8 紐体
9 薄膜
10 チップ
11 保護カバー
12 機械台
13 機械スペース
14 プロセス領域
15 パーティション
16 シーリングリング
17 シーリングリング
18 シーリング面
19 ハーフリング
20 冷却ローラーの刻み目
21 保持リング
22 圧搾ローラーの刻み目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却により高温流動塊(8)を固体チップへ連続変換するローラー冷却装置であって、
前記塊(8)を延ばして薄膜(9)とする少なくとも1つの冷却ローラー(1)と、
前記塊(8)を延ばして前記薄膜(9)とする1つの圧搾ローラー(2)と、
偏向プーリー(4)を介して回転し、前記冷却ローラー(1)の円周の一部を移動して前記薄膜(9)を前記冷却ローラー(1)へ押圧させる1つの加圧ベルト(3)と、を備え、
前記部品(1〜4)は、一方側からのみ保持され、
前記ローラー(1,2)は、前記一方側にのみ取り付けられ、かつ、前記一方側から駆動され、
前記部品(1〜4)は、他方側からクリーニングの目的でアクセス及び/又は取り外しが可能であることを特徴とするローラー冷却装置。
【請求項2】
さらに、剥ぎ取り板(5)と、
破砕機(6)と、を備え、
破砕機(6)は前記冷却ローラー(1)上で凝固して前記剥ぎ取り板(5)によって前記冷却ローラー(1)から剥ぎ取られた前記薄膜(9)を砕かせ、
前記部品(5,6)も前記一方側からのみ保持され、
前記破砕機(6)は前記一方側からのみ駆動され、
前記部品は前記他方側からクリーニングの目的でアクセス及び/又は取り外しが可能であることを特徴とする請求項1に記載のローラー冷却装置。
【請求項3】
前記冷却ローラー(1)と前記圧搾ローラー(2)は、パーティション(15)上のシールにより、それぞれの軸受、駆動部及び他の供給設備に対していずれの場合も封止されており、
前記シールは前記他方側へ同様に取り外し可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のローラー冷却装置。
【請求項4】
前記シールはいずれもシーリングリング(16,17)を含み、
前記シーリングリング(16,17)を取り外す目的で、前記冷却ローラー(1)及び前記圧搾ローラー(2)は、ローラーニップ(7)が狭い動作位置とローラーニップ(7)が広い取付け位置との間で相互に調整可能であることを特徴とする請求項3に記載のローラー冷却装置。
【請求項5】
2つの前記ローラーの内の1つの、好ましくは前記冷却ローラー(1)の、前記シーリングリング(16)は、前記パーティション(15)に隣接して前記1つのローラー(1)に固定され、前記パーティション(15)に対してスライド可能に封止することを特徴とする請求項4に記載のローラー冷却装置。
【請求項6】
前記動作位置と前記取付け位置との間の調整のため、一方のローラー(1)のみが、好ましくは偏心器を介して移動可能に取り付けられ、かつ、前記一方のローラー(1)を調整する際、前記一方のローラーの前記シーリングリング(16)は前記パーティション(15)に沿ってスライドすることを特徴とする請求項5に記載のローラー冷却装置。
【請求項7】
他方のローラー(2)の前記シーリングリング(17)は前記パーティション(15)から距離をおいて前記パーティション(15)に連結する保持リング(21)に固定され、スライド可能に前記他方のローラー(2)を封止することを特徴とする請求項5又は6に記載のローラー冷却装置。
【請求項8】
前記一方のローラー(1)は連続する刻み目(20)を備え、その中に前記他方のローラー(2)の前記シーリングリング(17)が前記動作位置で係合し、かつ、同様に前記他方のローラー(2)は前記刻み目(22)を備え、その中に前記一方のローラー(1)の前記シーリングリング(16)が前記動作位置で係合することを特徴とする請求項7に記載のローラー冷却装置。
【請求項9】
前記冷却ローラー(1)及び前記圧搾ローラー(2)は前記動作位置と前記取付け位置との間の相互調整機能とは別に固定させて取り付けられることを特徴とする請求項3乃至7の1つに記載のローラー冷却装置。
【請求項10】
前記部品(1〜4;1〜6)は、好ましくは移動する保護カバー(11)により覆われることを特徴とする請求項1乃至9の1つに記載のローラー冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−508188(P2013−508188A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534508(P2012−534508)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【国際出願番号】PCT/CH2010/000252
【国際公開番号】WO2011/047491
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(512098496)
【Fターム(参考)】