説明

ロール状シートの収納箱体

【課題】ロール状シートの巻き戻りを防止し、かつ、残ロールは清浄状態に維持できるロール状シートの収納箱体を提供する。
【解決手段】収納箱10内に連続シートSがロールR状に収納され、前記収納箱10の取出面に形成された取出口13を覆って、前記シートSの取出用スリット14aを有する窓シート14を設け、前記連続シートSの先端部分を、前記スリット14aを通して引き出すように構成し、前記収納箱10の取出面11の外側に、支持面部20を前記収納箱10の部分として設け、前記スリット14aを通して引き出した連続シートSの先端部分を、前記支持面部20の縁において切断分離するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状シート、殊には料理用各種ペーパー、清拭用ペーパーなどのロール状紙シートの収納箱体に関する。
【背景技術】
【0002】
油吸収用やオーブン用などのキッチンペーパーは、箱体内に収納したロール状シートとして提供される。近年は、工業用又は実験室内で清拭用に使用されるペーパーも、ロール状シートとして提供されている。
この種のシートはその用途からして、使用の前に塵埃が箱体内に混入することを可能な限り防止すべきである。このために、キッチンペーパーの箱体などにおいては、開封後において、簡易的に蓋が被るようにしてある。
キッチンペーパーやラップフィルムシートの収納箱の例にみられるように、連続シートを所望の長さに切断分離するために、箱体に切断刃が設けられている。その一例として特許文献2のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3036036号公報
【特許文献2】実開平7−11996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、ラップフィルムに比較して紙シートの場合、ある程度の剛性があることなどが原因して、箱体に設けた切断刃で切断分離した後に、ロールの後続先端部が箱体内に戻ってしまうことがある。この場合、次に使用する場合には、戻った先端部を所望の長さまで摘み出す作業を要し、その作業が煩雑である。特に、工業用又は実験室内で清拭用に使用されるペーパーでは生産性に影響するので深刻な問題である。
したがって、本発明の主たる課題は、ロール状シートの巻き戻りを防止し、かつ、残ロールを清浄状態に維持できるロール状シートの収納箱体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
収納箱内に連続シートがロール状に収納され、前記収納箱の取出面に形成された取出口を覆って、前記シートの取出用スリットを有する窓シートを設け、
前記連続シートの先端部分を、前記スリットを通して引き出すように構成し、
前記収納箱の取出面の外側に、支持面部を前記収納箱の部分として設け、前記スリットを通して引き出した連続シートの先端部分を、前記支持面部の縁において切断分離するようにしたことを特徴とするロール状シートの収納箱体。
【0006】
(作用効果)
本発明においては、シートの取出用スリットを有する窓シートを設け、連続シートの先端部分を、前記スリットを通して引き出すように構成したので、連続シートの先端部分を支持面部の縁において切断分離した後に、ロールの後続先端部が箱体内に戻ってしまう「巻き戻り」を防止できるとともに、残ロール部分に対し窓シートにより遮断しているので、清浄状態に維持できる。
【0007】
<請求項2記載の発明>
前記支持面部の縁部に切断刃が設けられ、この切断刃により前記連続シートの先端部分を切断分離するものである請求項1記載のロール状シートの収納箱体。
【0008】
(作用効果)
支持面部の縁部に切断刃が設けられ、この切断刃により前記連続シートの先端部分を切断分離するものであると、切断が確実となる。たとえば、予め連続シートに所定長さごとミシン目などを入れておくと、支持面部の縁部に切断刃が設けなくとも、支持面部の縁を折り山折りの縁として引っ張れば、ミシン目を境にして切断分離できるが、ミシン目などを入れない場合には、支持面部の縁部に切断刃を設けることで切断が確実となるのである。
【0009】
<請求項3記載の発明>
切断分離使用状態において、前記収納箱の取出面の外側に、支持面部が10〜45度の傾斜角度をなして位置している請求項2記載のロール状シートの収納箱体。
【0010】
(作用効果)
収納箱の取出面の外側に、支持面部が10〜45度の傾斜角度θ(図2参照)をなしていると、シートの切断分離容易となる。10〜20度がさらに望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ロール状シートの巻き戻りを防止し、かつ、残ロールは清浄状態に維持できるロール状シートの収納箱体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明例の概要斜視図である。
【図2】その断面図である。
【図3】本発明の他の例の概要斜視図である。
【図4】本発明の別の例の概要斜視図である。
【図5】本発明のさらに別の例の概要斜視図である。
【図6】本発明の態様を異にする例の概要斜視図である。
【図7】本発明のさらに他の例の概要斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に図面に示した例によって本発明の実施するための形態を説明すると、収納箱10内に連続シートSがロールR状に収納され、この収納箱10の取出面11には、予め形成されたミシン目12に沿って切除される取出口13を覆って、シートの取出用スリット14aを有する窓シート14がたとえばホットメルト接着剤により箱の内面に固定されている。箱自体の形態については汎用ティシュペーパーの収納箱の形態と同様であるが、収納箱10内には連続シートSのロールRが収納され、その連続シートSの先端部分がスリット14aを通して引き出すように構成してある点で相違する。
【0014】
他方、収納箱10の取出面11の外側に、支持面部20を収納箱10の部分として設け、スリット14aを通して引き出した連続シートSの先端部分を、支持面部20の縁において切断分離するようにした。
【0015】
この場合において、連続シートSの先端部分を、支持面部20の縁自体で切断分離するほか、図2に示すように、支持面部20の縁部に鋸歯状の金属又はプラスチック製などの切断刃21を固定しておくことができる。
【0016】
この形態においては、消費者の使用前に切断刃21が露出しているのは望ましいことではないので、たとえば図4に示すように、切断刃21を覆って延在する延在片部21Aを形成しておき、使用の直前にミシン目21Bに沿って延在片部21Aを切除し、切断刃21を露出させるようにすると好適である。
【0017】
また、切断分離使用状態において、収納箱10の取出面11の外側に、支持面部が10〜20度の傾斜角度θをなして位置させるのが望ましい。傾斜角度θが過度に小さいと、切断刃21でのシートS切断時の山形が形成でき難く、もって切断を行い難い。その反対に、傾斜角度θが過度に大きいと、収納箱10から支持面部20部分が外方に位置するので邪魔になるばかりでなく、切断性も悪いものとなる。
【0018】
製品の流通段階から、支持面部20が収納箱10の取出面11の外側に張り出していることは、物流時のトラブルを招きやすい。そこで、支持面部20は、製品として提供される目には収納箱10の取出面11と重なっており、使用段階において支持面部20を外側に張り出させる形態が望ましい。
【0019】
その例としては、図4に示したように、支持面部20の両側部20A、20Aに係止耳部20B、20Bを形成しておき、使用時点において、消費者が支持面部20を底側に倒しながら引き出し、その係止耳部20Bが、収納箱10の側面の所定位置に形成された、たとえば半円形のやや大きめのミシン目部15に一致した時点で、指先で押し込み、ミシン目部15を破断し、かつ箱10裏面に係止耳部20Bを折り返すことにより、支持面部20の位置を固定できる。
【0020】
他の例は、図5に示したように、支持面部20の両側部20C、20Cに折り畳み線20D、20Dを形成しておき、製品段階では折り畳み線20D、20Dを介して折り畳み状態とし、使用時点において、消費者が支持面部20を底側に倒しながら引き出すようにすることができる。
【0021】
さらに、図4の例に類似する例として示す図6の例においては、収納箱10に形成した又はミシン目の切除により形成される差込スリット16に、係止耳部20Bを挿入して係止するものである。
【0022】
図7に示す例においては、使用段階で、支持面部20の両側下端部の下縁を分離した後、形成される三角部分17の一部を収納箱10に形成した又はミシン目の切除により形成される差込スリット18に挿入して係止するものである。
【0023】
上記例の延長に他の種々の形態があることは理解できよう。
【符号の説明】
【0024】
S…連続シート、R…ロール、10…収納箱、11…取出面、12…ミシン目、13…取出口、14a…取出用スリット、14…窓シート、20…支持面部、21…切断刃。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納箱内に連続シートがロール状に収納され、前記収納箱の取出面に形成された取出口を覆って、前記シートの取出用スリットを有する窓シートを設け、
前記連続シートの先端部分を、前記スリットを通して引き出すように構成し、
前記収納箱の取出面の外側に、支持面部を前記収納箱の部分として設け、前記スリットを通して引き出した連続シートの先端部分を、前記支持面部の縁において切断分離するようにしたことを特徴とするロール状シートの収納箱体。
【請求項2】
前記支持面部の縁部に切断刃が設けられ、この切断刃により前記連続シートの先端部分を切断分離するものである請求項1記載のロール状シートの収納箱体。
【請求項3】
切断分離使用状態において、前記収納箱の取出面の外側に、支持面部が10〜45度の傾斜角度をなして位置している請求項2記載のロール状シートの収納箱体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−235191(P2010−235191A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87962(P2009−87962)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】