説明

ロール状偏光板のセット及びその製造方法並びに液晶パネルの製造方法

【課題】視野角特性に優れ、液晶セル貼合時に偏光板のカール等が生じにくいロール状偏光板のセットを提供する。
【解決手段】第1のロール状偏光板71と第2のロール状偏光板71´とからなり、第1のロール状偏光板71は、第1の外側樹脂フィルム25、第1の偏光フィルム21、第1の粘着剤層27、第1の離型フィルム80をこの順に積層した長尺の偏光板である。第2のロール状偏光板71´は、第2の外側樹脂フィルム35、第2の偏光フィルム31、第2の粘着剤層37、第2の離型フィルム90、をこの順に積層した長尺の偏光板である。ロール状偏光板71,71´のいずれか一方は、第1の位相差フィルム23と第2の位相差フィルム24を有している。第1の位相差フィルム23は、オレフィン系樹脂からなり、第2の位相差フィルム24は、スチレン系樹脂からなるコア層とゴム粒子を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状偏光板のセット及びその製造方法並びに液晶パネルの製造方法に関し、特に、位相差フィルムを備えた貼合されるロール状偏光板のセット及びその製造方法並びに液晶パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、消費電力が低く、低電圧で動作し、軽量で薄型である等の特徴を生かして、各種の表示用デバイスに用いられている。液晶表示装置は、液晶セル、偏光フィルム、位相差フィルム、集光シート、拡散フィルム、導光板、光反射シート等、多くの材料から構成されている。このため、構成フィルムの枚数を減らしたり、フィルム又はシートの厚みを薄くしたりすることで、生産性や軽量化、明度の向上等を目指した改良が盛んに行われている。
【0003】
さらに、液晶表示装置は厳しい耐久条件にも耐え得る製品が必要とされている。例えば、カーナビゲーションシステム用の液晶表示装置は、それが置かれる車内の温度や湿度が非常に高くなることがあり、また、携帯電話、携帯端末機器等のディスプレイやテレビ、コンピュータ用のディスプレイ等においても、それらの使用環境や設置場所によっては、温度及び湿度の変化が激しい条件に曝される場合があるため、そのような厳しい条件の使用にも耐え得る製品性能が求められる。
【0004】
偏光板は通常、二色性色素が吸着配向したポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムの両面又は片面に透明な保護フィルムが積層された構造になっている。偏光フィルムの片面や両面には、保護フィルムが積層され、液晶表示装置に組み込まれて使用される。保護フィルムには、トリアセチルロースに代表されるセルロースアセテート系樹脂フィルムが多く使用されている。このような部材から構成される偏光板は、湿熱条件下で長時間使用した場合に、偏光性能が低下したり、保護フィルムと偏光フィルムとが剥離しやすくなったりする場合がある。
【0005】
そこで、少なくとも一方の保護フィルムを、セルロースアセテート系以外の樹脂で構成する試みがある。このような樹脂材料の一種として、スチレン系樹脂が挙げられる。スチレン系樹脂フィルムは、スチレン系樹脂の主鎖の分極率よりも側鎖の分極率が大きい(負に分極するということがある)ため、厚み方向の屈折率が大きい負の位相差フィルムとして検討されている。しかし、スチレン系樹脂フィルムには、耐熱性、機械強度及び耐薬品性に課題があり、実用化には至っていない。
【0006】
ここで、厚み方向の屈折率が大きい負の位相差フィルムとは、面内の最大屈折率方向(遅相軸方向)の屈折率をn、面内でそれと直交する方向(進相軸方向)の屈折率をn、厚み方向の屈折率をnとしたとき、n≒n>nの関係を有し、(n−n)/(n−n)で定義されるN係数が概ね0(ゼロ)のフィルムである。
【0007】
スチレン系樹脂の耐熱性については、ガラス転位温度(以下、Tgと略すことがある)の高い樹脂を形成するモノマー、例えば、ノルボルネンや無水マレイン酸を共重合させることで改善されることが知られているが、機械強度や耐薬品性は十分でない。
【0008】
スチレンに他のモノマーを共重合させたり、スチレン系フィルムに他の樹脂層を積層したりする技術も多数提案されている。例えば、特表2002−517583号公報(特許文献1)には、スチレンを代表例とする芳香族ビニルモノマーとα−オレフィンとの本質的にランダムな共重合体をフィルムにすることが記載されており、そのフィルムと他のポリマー層との多層構造にすることも示唆されている。また、特開2003−50316号公報(特許文献2)や特開2003−207640号公報(特許文献3)には、スチレンを代表例とする芳香族ビニルモノマーに非環状オレフィンモノマー及び環状オレフィンモノマーを共重合させた三元共重合体を位相差フィルムにすることが記載されている。さらに、特開2003−90912号公報(特許文献4)には、ノルボルネン系樹脂からなる配向フィルムとスチレン−無水マレイン酸共重合樹脂からなる配向フィルムとを、接着層を介して積層し、位相差フィルムにすることが記載されており、特開2004−167823号公報(特許文献5)には、オレフィン系の多層フィルムにポリスチレン系のシートを積層することが記載されている。さらにまた、特開2006−192637号公報(特許文献6)には、スチレン系樹脂フィルムからなる第1層と、ゴム粒子が配合されたアクリル系樹脂組成物からなる第2層とを、接着剤層を介さずに積層して位相差フィルムとすることが記載されている。
【0009】
ところで、液晶表紙装置の駆動モードの一つであるIPSモードでは、液晶分子が基板面にほぼ平行に、かつほぼ同一方向に配向しているため、他の駆動モードの液晶表示装置より比較的視野角特性に優れている。しかし、このようなIPSモードをはじめとする視野角特性が改良された各種液晶表示装置においても、依然として視野角依存性が生じる。
【0010】
IPSモード液晶表示装置の視野角依存性を補償するために、各種の方策が提案されている。その一つとして、位相差板により偏光板の視野角を補償する方法が有効である。例えば、特開平2−160204号公報(特許文献7)には、垂直方向から入射したときの位相差値と法線から40度傾いた方向から入射したときの位相差値との比が一定の範囲にある位相差フィルム、例えば、厚み方向に配向した位相差フィルムが記載されている。また、特開平7−230007号公報(特許文献8)には、一軸延伸された熱可塑性樹脂フィルムに所定の形態で熱収縮を起こさせ、位相差値の角度依存性が制御された位相差フィルム、例えば、厚み方向にも配向した位相差フィルムが記載されている。このような、厚み方向に配向した位相差板を、液晶セルを挟んで配置される2枚の偏光板のうちいずれか一方の偏光板と液晶セル基板との間に、隣接する偏光板の透過軸と位相差板の遅相軸が平行になるよう配置することが、視野角を補償するのに有効である。
【0011】
また、"Novel Wide Viewing Angle Polarizer with High Achromaticity", SID 00 DIGEST, p.1094−1097"(非特許文献1)には、面内の遅相軸方向の屈折率をn、面内で遅相軸と直交する方向の屈折率をn、そして厚み方向の屈折率をnとしたときに、(n−n)/(n−n)で表されるN係数が0.25と0.8となるように厚み配向した位相差板がより効果的であることが記載されている。さらに、特開平11−133408号公報(特許文献9)には、IPSモードについて、液晶セル基板と偏光板の間に、正の一軸性で基板面に垂直な方向に光軸を有する位相差フィルム(補償層)、すなわち厚み方向に一軸配向した位相差フィルムを配置することが記載されている。これらの厚み配向した位相差板は生産性が悪く、精密な加工を要するため、製品は高価となる。
【0012】
さらに、IPSモード液晶表示装置の視野角依存性の補償については、特開平10−54982号公報(特許文献10)において、液晶セル基板と少なくとも一方の偏光板との間に、負の一軸性を有する位相差板(光学補償シート)を装着することで、視野角依存性が改善されることが記載されている。この文献には、負の一軸性を有する位相差板の光軸、すなわち進相軸が、液晶分子の長軸と平行になるように配置する例が示されている。そこで、上記のような光学補償のためのフィルムを偏光板に積層し、光学補償フィルム一体型偏光板として供給することが望まれる。しかしながら、これまでに提案されている光学補償の構成では、カラーシフトや色調反転等の問題が十分に解消されるに至っておらず、さらなる最適化が望まれている。
【0013】
ところで、光学部材メーカーでは、液晶表示装置に用いられる偏光板などの光学機能を有する長尺の光学フィルムやそれらの積層体を、ロール状に巻き取りながら連続して製造するのが一般的である。このようにして製造された偏光板は、液晶パネル加工メーカーに納品され、液晶パネル加工メーカーにおいて液晶セルに貼合され、液晶パネルが製造される。従来、光学部材メーカーは、偏光板などの光学部品を液晶パネル加工メーカーに納品する際には、液晶パネル加工メーカーが所望する所定のサイズに長尺光学シートを打ち抜いて枚葉体の光学シートに加工し、これを検品した上で、数枚を重ねて梱包するようにしていた。
【0014】
このように、光学部材メーカーにおいて、所定のサイズに打ち抜いて得られた光学シートを数枚重ねて梱包する際には、埃や汚れなどが生じないように、クリーン度の高い作業環境が求められている。また、輸送中に傷やクラックなどが生じないように、梱包資材は特別に選定され、梱包作業も入念に行う必要があった。一方、液晶パネル加工メーカーでは、厳重に梱包された光学シートを組み立て加工に用いるが、梱包が厳重であるため、梱包を解く作業が大変であり、かつ、梱包を解く作業は、傷やクラックが生じないように厳重に注意して行わなければならず、作業が煩雑となり生産性が落ちるとともに、作業者の負担が大きいものとなっていた。また、通常、梱包前、開梱後及び液晶パネル部材を貼合した後など、何度も検品することになるため、過剰検品という問題もあった。
【0015】
これを解決する手段として、例えば、特開2009−276751号公報(特許文献11)には、偏光板を含む光学フィルムを備える2つのロールからなるロール原反セットを使用して、これらのロールを所定長さに切断し、各々の偏光板の吸収軸が直交するように光学表示ユニット(液晶セル)に貼り合わせる技術が開示されている。この技術によれば、貼り合わせの軸精度が良好になり、また装置内の汚染による欠点が発生しにくくなるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特表2002−517583号公報
【特許文献2】特開2003−50316号公報
【特許文献3】特開2003−207640号公報
【特許文献4】特開2003−90912号公報
【特許文献5】特開2004−167823号公報
【特許文献6】特開2006−192637号公報
【特許文献7】特開平2−160204号公報
【特許文献8】特開平7−230007号公報
【特許文献9】特開平11−133408号公報
【特許文献10】特開平10−54982号公報
【特許文献11】特開2009−276751号公報
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】T. Ishinabe et al.,"Novel Wide Viewing Angle Polarizer with High Achromaticity", SID 00 DIGEST, p.1094−1097(2000年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上述した特許文献11には、ロール原反セットとして、どのような材質、特性を有するものを用いれば、貼り合わせの軸精度が良好になり、装置内の汚染による欠点が発生しにくいのかについては、明確には考察されていない。
【0019】
また、このような偏光板は、偏光フィルムの片面のみに位相差フィルムが貼合されたり、偏光フィルムを挟んで異なる種類のフィルムが貼合されたりするなど、偏光フィルムを基準に表裏非対称な構造となっている。このような表裏非対称な偏光板は、枚葉に打ち抜かれた状態ではカールを起こしやすく、粘着剤層を介して枚葉の偏光板を液晶セルに貼合する際に、端部や中央部に気泡を噛み込むなどの不具合が生じやすい。また、枚葉の偏光板であると、偏光フィルム中の水分率の変化に伴い、カールが大きくなることもあり、これにより、液晶セルへの貼合が更に難しくなる。特に、保護フィルムの柔軟性が高い場合、このようなカールの影響は更に大きくなり、貼合がより困難になる。
【0020】
本発明の目的は、液晶表示装置へ用いた際の視野角特性に優れ、かつ偏光板のカールやこれに伴う偏光板貼合時の気泡や異物の噛み込みを効果的に抑制しつつ液晶セルへの貼合を行うことが可能なロール状偏光板のセット及びその製造方法を提供することである。
【0021】
さらに、本発明の他の目的は、視野角特性に優れ、かつ偏光板のカールやこれに伴う偏光板貼合時の気泡や異物の噛み込みを効果的に抑制しつつ液晶セルへの貼合を行うことが可能な液晶パネルの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題は、本発明のロール状偏光板のセットによれば、液晶セルの背面側に貼合するための第1のロール状偏光板と、前記液晶セルの視認側に貼合するための第2のロール状偏光板とからなるロール状偏光板のセットであって;前記第1のロール状偏光板は、第1の外側樹脂フィルムと、ポリビニルアルコール系樹脂からなる第1の偏光フィルムと、第1の粘着剤層と、第1の離型フィルムと、をこの順に積層してなる長尺の偏光板から構成され、かつ前記第1の偏光フィルムの吸収軸が前記長尺の偏光板の長辺方向と平行な方向となり、前記液晶セルの長辺又は短辺に対応する幅を有する状態でロール状に巻かれており;前記第2のロール状偏光板は、第2の外側樹脂フィルムと、ポリビニルアルコール系樹脂からなる第2の偏光フィルムと、第2の粘着剤層と、第2の離型フィルムと、をこの順に積層してなる長尺の偏光板から構成され、かつ前記第2の偏光フィルムの吸収軸が前記長尺の偏光板の長辺方向と平行な方向となり、前記液晶セルの短辺又は長辺のうち前記第1のロール状偏光板とは反対の辺に対応する幅を有する状態でロール状に巻かれており、前記第1のロール状偏光板と前記第2のロール状偏光板のうちいずれか一方には、偏光フィルムと粘着剤層との間であってかつ前記偏光フィルムに接する位置に配置された第1の位相差フィルムと、前記第1の位相差フィルムよりも前記粘着剤層側に配置された第2の位相差フィルムと、を更に備え、前記第1の位相差フィルムは、オレフィン系樹脂からなり、前記第2の位相差フィルムは、スチレン系樹脂からなるコア層と、ゴム粒子を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物からなり前記コア層の両面に積層されたスキン層と、からなる三層構造を有していることにより解決される。
【0023】
この場合、前記第1の位相差フィルムは、波長590nmにおける面内位相差値が30〜150nmであり、
面内遅相軸方向、面内進相軸方向及び厚み方向の屈折率をそれぞれn、n及びnとするとき、波長590nmの光に対して式(1):
1<(n−n)/(n−n)<2 (1)
を満たす屈折率異方性を有し、
前記第2の位相差フィルムは、波長590nmにおける面内位相差値が20〜120nmであり、
その面内遅相軸方向、面内進相軸方向及び厚み方向の屈折率をそれぞれn、n及びnとするとき、波長590nmの光に対して式(2):
−2<(n−n)/(n−n)<−0.5 (2)
を満たす屈折率異方性を有すると好適である。
【0024】
また、前記第1のロール状偏光板及び前記第2のロール状偏光板のうち、前記第1の位相差フィルム及び前記第2の位相差フィルムが配置される側とは反対側のロール状偏光板は、偏光フィルムと粘着剤層の間に無配向性フィルムを更に備えることが好ましい。
【0025】
また、上記課題は、本発明のロール状偏光板のセットの製造方法によれば、液晶セルの背面側に貼合するための第1のロール状偏光板と、前記液晶セルの視認側に貼合するための第2のロール状偏光板とからなるロール状偏光板のセットを製造する方法であって;ポリビニルアルコール系樹脂からなる第1の偏光フィルムと、第1の粘着剤層と、第1の離型フィルムとをこの順に、かつ前記第1の偏光フィルムの吸収軸が長辺方向と平行な方向となるように積層して第1の偏光板長尺原反を作製する第1原反作製工程と、前記第1原反作製工程で得られる前記第1の偏光板長尺原反を前記液晶セルの長辺又は短辺に対応する幅となるように切断する第1スリット工程と、前記第1スリット工程で得られる長尺の偏光板をロール状に巻き取る第1偏光板巻き取り工程と、を備える第1のロール状偏光板製造工程;及びポリビニルアルコール系樹脂からなる第2の偏光フィルムと、第2の粘着剤層と、第2の離型フィルムとをこの順に、かつ前記第2の偏光フィルムの吸収軸が長辺方向と平行な方向となるように積層して第2の偏光板長尺原反を作製する第2原反作製工程と、前記第2原反作製工程で得られる前記第2の偏光板長尺原反を前記液晶セルの短辺又は長辺のうち前記第1スリット工程とは反対の辺に対応する幅となるように切断する第2スリット工程と、前記第2スリット工程で得られる長尺の偏光板をロール状に巻き取る第2偏光板巻き取り工程と、を備える第2のロール状偏光板製造工程を含み、前記第1のロール状偏光板と前記第2のロール状偏光板のうちいずれか一方には、偏光フィルムと粘着剤層との間であってかつ前記偏光フィルムに接する位置に配置された第1の位相差フィルムと、前記第1の位相差フィルムよりも前記粘着剤層側に配置された第2の位相差フィルムと、を更に備え、前記第1の位相差フィルムは、オレフィン系樹脂からなり、前記第2の位相差フィルムは、スチレン系樹脂からなるコア層と、ゴム粒子を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物からなり前記コア層の両面に積層されたスキン層と、からなる三層構造を有していることにより解決される。
【0026】
また、上記課題は、本発明の液晶パネルの製造方法によれば、液晶セルの背面側に第1の偏光板を貼合し、前記液晶セルの視認側に第2の偏光板を貼合して、液晶パネルを製造する方法であって;前記液晶セルの短辺又は長辺のうち、上記のいずれかに記載のロール状偏光板のセットにおける第1のロール状偏光板の幅に対応する辺とは反対の辺が流れ方向の辺となるように前記液晶セルを搬送する液晶セルの第1搬送工程;前記第1のロール状偏光板から長尺の偏光板を、前記液晶セルの第1搬送工程で供給される前記液晶セルの背面側に向かうように巻き出す第1偏光板巻き出し工程と、前記第1偏光板巻き出し工程で巻き出された後の長尺の偏光板を前記液晶セルの短辺又は長辺のうち前記第1搬送工程における流れ方向の辺に対応する長さに裁断する第1偏光板裁断工程と、前記第1偏光板巻き出し工程で巻き出された長尺の偏光板又は前記第1偏光板裁断工程で裁断された偏光板を、前記液晶セルの第1搬送工程で搬送される液晶セルの貼合されるべき位置に合わせる第1偏光板位置合わせ工程と、前記第1偏光板位置合わせ工程を経た後の長尺の偏光板又は裁断された偏光板を前記液晶セルの第1搬送工程で搬送される前記液晶セルの背面側に貼り合わせる第1偏光板貼合工程と、を備え、かつ前記第1偏光板巻き出し工程が最初に行われ、その後、前記第1偏光板裁断工程、前記第1偏光板位置合わせ工程、及び前記第1偏光板貼合工程の順、又は、前記第1偏光板位置合わせ工程、前記第1偏光板裁断工程、及び前記第1偏光板貼合工程の順、又は前記第1偏光板位置合わせ工程、前記第1偏光板貼合工程、及び前記第1偏光板裁断工程の順に行われる第1偏光板供給貼合工程;前記液晶セルを、その長辺又は短辺方向のうち前記第1搬送工程とは反対の辺が流れ方向となるように搬送する液晶セルの第2搬送工程;及び上記のいずれかに記載のロール状偏光板のセットのうち、第2のロール状偏光板から長尺の偏光板を、前記液晶セルの第2搬送工程で搬送される前記液晶セルの視認側に向かうように巻き出す第2偏光板巻き出し工程と、前記第2偏光板巻き出し工程で巻き出された後の長尺の偏光板を前記液晶セルの長辺又は短辺のうち前記第2搬送工程における流れ方向の辺に対応する長さに裁断する第2偏光板裁断工程と、前記第2偏光板巻き出し工程で巻き出された長尺の偏光板又は前記第2偏光板裁断工程で裁断された偏光板を、前記液晶セルの第2搬送工程で搬送される液晶セルの貼合されるべき位置に合わせる第2偏光板位置合わせ工程と、前記第2偏光板位置合わせ工程を経た後の長尺の偏光板又は裁断された偏光板を前記液晶セルの第2搬送工程で搬送される前記液晶セルの視認側に貼り合わせる第2偏光板貼合工程と、を備え、かつ前記第2偏光板巻き出し工程が最初に行われ、その後、前記第2偏光板裁断工程、前記第2偏光板位置合わせ工程、及び前記第2偏光板貼合工程の順、又は、前記第2偏光板位置合わせ工程、前記第2偏光板裁断工程、及び前記第2偏光板貼合工程の順、前記第2偏光板位置合わせ工程、前記第2偏光板貼合工程、及び前記第2偏光板裁断工程の順に行われる第2偏光板供給貼合工程を含むことにより解決される。
【0027】
この場合、前記第1偏光板巻き出し工程及び前記第2偏光板巻き出し工程は、前記第1偏光板巻き出し工程で前記第1のロール状偏光板から巻き出された長尺の偏光板の流れ方向と、前記第2偏光板巻き出し工程で前記第2のロール状偏光板から巻き出された長尺の偏光板の流れ方向とが直交するように行われることが好ましい。
【0028】
さらに、前記液晶セルは、IPSモードの液晶セル、又はブルー相の液晶を用いた液晶駆動モードの液晶セルであると好適である。
【発明の効果】
【0029】
本発明のロール状偏光板のセット及びその製造方法によれば、第1の位相差フィルムと第2の位相差フィルムの2つの位相差フィルムにより光学補償を行うため、液晶表示装置へ用いた際に視野角特性に優れたものとなる。また、本発明のロール状偏光板のセット及びその製造方法によれば、偏光フィルムを挟んで表裏非対称な長尺の偏光板を、枚葉に切り出すことなく液晶パネルの製造工程に供することが可能である。このため、偏光板のカールや偏光板貼合時に気泡や異物の噛み込みを効率的に抑制しつつ液晶セルへの貼合を行うことが可能となる。
【0030】
また、本発明の液晶パネルの製造方法によれば、視野角特性に優れた液晶パネルや液晶表示装置を提供することが可能となる。さらに、本発明の液晶パネルの製造方法によれば、上述したようなカールや偏光板貼合時の気泡や異物の噛み込みを抑制しつつ偏光板を液晶セルへ貼合することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】ロール状偏光板のセットの断面模式図である。
【図2】ロール状偏光板のセットを用いた液晶パネル及び液晶表示装置の断面模式図である。
【図3】他の実施形態に関するロール状偏光板のセットの断面模式図である。
【図4】液晶パネルの製造方法における第1搬送工程及び第1偏光板供給貼合工程の一例を示す概略図である。
【図5】液晶パネルの製造方法における第1搬送工程及び第1偏光板供給貼合工程の一例を示す概略図である。
【図6】液晶パネルの製造方法における第1搬送工程及び第1偏光板供給貼合工程の一例を示す概略図である。
【図7】液晶パネルの製造方法における第1搬送工程及び第1偏光板供給貼合工程の一例を示す概略図である。
【図8】液晶パネルの製造方法の一例を示す概略図である。
【図9】液晶パネルの製造方法の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、本発明は以下に説明する部材や配置等によって限定されず、これらの部材等は本発明の趣旨に沿って適宜改変することができる。
【0033】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るロール状偏光板のセットとこれを備えた液晶パネル及び液晶表示装置について説明する。
【0034】
<ロール状偏光板のセット>
図1は、本発明の一実施形態におけるロール状偏光板のセットの断面模式図を示している。この図に示すように、本発明のロール状偏光板のセットは、第1のロール状偏光板71と第2のロール状偏光板71´の2つのロール状偏光板から構成される。後述する図2に示すように、これらのロール状偏光板71,71´は、液晶パネル2の構成部品として用いられる。液晶パネル2は、液晶セル40の両面に第1の偏光板20と第2の偏光板30を積層することにより作製できる。第1のロール状偏光板71、第2のロール状偏光板71´は、液晶パネル2のそれぞれ背面側偏光板(第1の偏光板20)、視認側偏光板(第2の偏光板30)を作製するための、長尺の偏光板を巻き取ったロールである。
【0035】
ここで、「背面側偏光板」とは、液晶パネル2を液晶表示装置1に搭載した際にバックライト10側に位置する偏光板を意味し、「視認側偏光板」とは、液晶パネル2を液晶表示装置1に搭載した際に視認側(バックライト10とは反対側)に位置する偏光板を意味する。以下、各ロール状偏光板71,71´について詳細に説明する。
【0036】
(第1のロール状偏光板)
第1のロール状偏光板71は、液晶パネル2の背面側偏光板(第1の偏光板20)として用いられるロール状の偏光板である。図1に示すように、第1のロール状偏光板71は、第1の外側樹脂フィルム25と、第1の偏光フィルム21と、第1の位相差フィルム23と、第2の位相差フィルム24と、第1の粘着剤層27と、第1の離型フィルム80と、をこの順に積層してなる長尺の偏光板から構成されている。第1のロール状偏光板71は、第1の偏光フィルム21の吸収軸が長尺の偏光板の長辺方向と平行な方向となり、液晶セル40の長辺又は短辺に対応する幅を有する状態でロール状に巻かれている。第1のロール状偏光板71の巻き回し方向は、特に制限されないが、例えば第1の離型フィルム80の側が内側となるように巻き回すことができる。
【0037】
ここで、「液晶セル40の長辺又は短辺に対応する幅」とは、第1のロール状偏光板71が貼り合わされる液晶セル40の長辺あるいは短辺の長さに応じて適切に設定された幅を指し、液晶セル40の長辺又は短辺の長さと第1のロール状偏光板71の幅とは必ずしも同じでなくてもよい。なお、この図では、ロール状偏光板71の構成をより分かりやすくするために、第1の位相差フィルム23と第2の位相差フィルム24の間、第2の位相差フィルム24と第1の粘着剤層27の間を空けて図示しているが、実際のロール状偏光板71ではこれらのフィルムは密着している。
【0038】
(1)第1の偏光フィルム21
第1の偏光フィルム21としては、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させたものを用いることができる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができ、ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体などが例示される。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。
【0039】
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%程度であり、好ましくは98モル%以上である。ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000程度であり、好ましくは1,500〜5,000程度である。
【0040】
このようなポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、第1の偏光フィルム21の原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系原反フィルムの厚みは特に限定されないが、例えば10〜150μm程度である。
【0041】
第1の偏光フィルム21は、通常、このようなポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、ホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程、を経て製造される。
【0042】
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、二色性色素による染色の前、染色と同時、又は染色の後に行うことができる。一軸延伸を染色の後で行う場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよいし、ホウ酸処理中に行ってもよい。また、複数の段階で一軸延伸を行うこともできる。一軸延伸には、周速度の異なるロール間で一軸に延伸する方法や、熱ロールを用いて一軸に延伸する方法などが採用できる。また、一軸延伸は、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、水等の溶剤を用いてポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常3〜8倍程度である。
【0043】
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの二色性色素による染色は、例えば、二色性色素を含有する水溶液にポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する方法により行うことができる。二色性色素として、具体的にはヨウ素や二色性染料が用いられる。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水に浸漬して膨潤させる処理を施しておくことが好ましい。
【0044】
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、通常、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は、水100重量部あたり、通常0.01〜1重量部程度であり、ヨウ化カリウムの含有量は、水100重量部あたり、通常0.5〜20重量部程度である。染色に用いる水溶液の温度は、通常20〜40℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常20〜1,800秒程度である。
【0045】
一方、二色性色素として二色性染料を用いる場合は、通常、水溶性二色性染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は、水100重量部あたり、通常1×10−4〜10重量部程度であり、好ましくは1×10−3〜1重量部程度である。この水溶液は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を染色助剤として含有していてもよい。染色に用いる二色性染料水溶液の温度は、通常20〜80℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常10〜1,800秒程度である。
【0046】
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬することにより行うことができる。ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の含有量は、水100重量部あたり、通常2〜15重量部程度であり、好ましくは5〜12重量部程度である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合、このホウ酸含有水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましい。ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの含有量は、水100重量部あたり、通常0.1〜15重量部程度であり、好ましくは5〜12重量部程度である。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常60〜1,200秒程度であり、好ましくは150〜600秒程度、更に好ましくは200〜400秒程度である。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃、より好ましくは60〜80℃である。
【0047】
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行うことができる。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃程度であり、浸漬時間は、通常1〜120秒程度である。
【0048】
水洗後は乾燥処理が施されて、第1の偏光フィルム21が得られる。乾燥処理は、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行うことができる。乾燥処理の温度は、通常30〜100℃程度であり、好ましくは50〜80℃である。乾燥処理の時間は、通常60〜600秒程度であり、好ましくは120〜600秒である。
【0049】
こうしてポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、一軸延伸、二色性色素による染色とホウ酸処理が施され、第1の偏光フィルム21が得られる。第1の偏光フィルム21の厚みは、例えば2〜40μm程度とすることができる。
【0050】
(2)第1の位相差フィルム23
第1の位相差フィルム23は、第1の偏光フィルム21と第1の粘着剤層27の間であって、かつ第1の偏光フィルム21に接する位置に配置された位相差フィルムである。第1の位相差フィルム23は、液晶セル40に貼合したときに視野角を広げる光学補償機能を有している。
【0051】
第1の位相差フィルム23は、オレフィン系樹脂から構成される。ここでオレフィン系樹脂とは、エチレン及びプロピレン等の鎖状脂肪族オレフィン、又はノルボルネンやその置換体(以下、これらを総称してノルボルネン系モノマーとも称する)等の脂環式オレフィンから誘導される構成単位からなる樹脂である。オレフィン系樹脂は、2種以上のモノマーを用いた共重合体であってもよい。
【0052】
中でも、オレフィン系樹脂としては、脂環式オレフィンから誘導される構成単位を主に含む樹脂である環状オレフィン系樹脂が好ましく用いられる。環状オレフィン系樹脂を構成する脂環式オレフィンの典型的な例としては、ノルボルネン系モノマー等を挙げることができる。ノルボルネンとは、ノルボルナンの1つの炭素−炭素結合が二重結合となった化合物であって、IUPAC命名法によれば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エンと命名されるものである。ノルボルネンの置換体の例としては、ノルボルネンの二重結合位置を1,2−位として、3−置換体、4−置換体や4,5−ジ置換体などを挙げることができ、更にはジシクロペンタジエンやジメタノオクタヒドロナフタレンなども挙げることができる。
【0053】
環状オレフィン系樹脂は、その構成単位にノルボルナン環を有していてもよいし、有していなくてもよい。構成単位にノルボルナン環を有さない環状オレフィン系樹脂を形成するノルボルネン系モノマーとしては、例えば、開環により5員環となるもの、代表的には、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1−又は4−メチルノルボルネン、及び4−フェニルノルボルネン等が挙げられる。環状オレフィン系樹脂が共重合体である場合、その分子の配列状態は特に限定されるものではなく、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよいし、グラフト共重合体であってもよい。
【0054】
環状オレフィン系樹脂のより具体的な例としては、例えば、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーと他のモノマーとの開環共重合体、それらにマレイン酸付加やシクロペンタジエン付加等がなされたポリマー変性物、及びこれらを水素添加した重合体又は共重合体;ノルボルネン系モノマーの付加重合体、及びノルボルネン系モノマーと他のモノマーとの付加共重合体等が挙げられる。共重合体とする場合における他のモノマーとしては、α−オレフィン類、シクロアルケン類、及び非共役ジエン類等が挙げられる。また、環状オレフィン系樹脂は、ノルボルネン系モノマー及び他の脂環式オレフィンの1種又は2種以上を用いた共重合体であってもよい。
【0055】
上記具体例の中でも、環状オレフィン系樹脂としては、ノルボルネン系モノマーを用いた開環重合体又は開環共重合体に水素添加した樹脂が好ましく用いられる。このような環状オレフィン系樹脂は、あらかじめ延伸処理が施されたフィルム状物とし、これに所定の収縮率を有する収縮性フィルムを貼り合わせて加熱収縮させることにより、均一性が高く、大きな位相差値を有する位相差フィルムを与えることができる。
【0056】
このようなノルボルネン系モノマーを用いた環状オレフィン系樹脂の市販品としては、いずれも商品名で、日本ゼオン(株)から販売されている「ゼオネックス」、「ゼオノア」、JSR(株)から販売されている「アートン」等が挙げられる。これらの環状オレフィン系樹脂のフィルムやその延伸フィルムも市販品を入手することができ、例えば、いずれも商品名で、(株)オプテスの「ゼオノアフィルム」、JSR(株)の「アートンフィルム」、積水化学工業(株)の「エスシーナ」等がある。
【0057】
また、第1の位相差フィルム23には、オレフィン系樹脂を2種類以上含む混合樹脂からなるフィルムや、オレフィン系樹脂と他の熱可塑性樹脂との混合樹脂からなるフィルムを用いることもできる。例えば、オレフィン系樹脂を2種類以上含む混合樹脂としては、上記したような環状オレフィン系樹脂と鎖状脂肪族オレフィン系樹脂との混合物を挙げることができる。オレフィン系樹脂と他の熱可塑性樹脂との混合樹脂を用いる場合、他の熱可塑性樹脂は、目的に応じて適宜適切なものが選択される。
【0058】
具体例としては、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、液晶性樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、及びポリテトラフルオロエチレン系樹脂等が挙げられる。
【0059】
これらの熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。また、上記熱可塑性樹脂は、任意の適切なポリマー変性を行ってから用いることもできる。ポリマー変性の例としては、共重合、架橋、分子末端変性、及び立体規則性付与等が挙げられる。
【0060】
オレフィン系樹脂と他の熱可塑性樹脂との混合樹脂を用いる場合、他の熱可塑性樹脂の含有量は、通常、樹脂全体に対して50重量%程度以下であり、40重量%程度以下が好ましい。他の熱可塑性樹脂の含有量をこの範囲内とすることによって、光弾性係数の絶対値が小さく、良好な波長分散特性を示し、かつ、耐久性や機械的強度、透明性に優れる位相差フィルムを得ることができる。
【0061】
このようなオレフィン系樹脂は、溶液からのキャスティング法や溶融押出法等により、フィルムに製膜することができる。2種以上の混合樹脂からフィルムを製膜する場合、その製膜方法については特に限定されるものではなく、例えば、樹脂成分を所定の割合で溶媒とともに撹拌混合して得られる均一溶液を用いてキャスティング法によりフィルムを作製する方法、及び樹脂成分を所定の割合で溶融混合し溶融押出法によりフィルムを作製する方法等が採用される。
【0062】
上記オレフィン系樹脂からなるフィルムは、本発明の目的を損なわない範囲で、残存溶媒、安定剤、可塑剤、老化防止剤、帯電防止剤、及び紫外線吸収剤等、その他の成分を必要に応じて含有していてもよい。また、表面粗さを小さくするためレベリング剤を含有することもできる。
【0063】
第1の位相差フィルム23は、公知の縦一軸延伸やテンター横一軸延伸、同時二軸延伸、逐次二軸延伸等を行うことで得ることができる。この場合、所望とする位相差値が得られるように、延伸倍率と延伸速度とを適切に調整するほか、延伸時の予熱温度、延伸温度、ヒートセット温度、冷却温度等の各種温度、及びそのパターンを適宜選択すればよい。
【0064】
ノルボルネン系樹脂フィルムの厚みについては、特に制限されないが、20〜80μmの範囲内であることが好ましく、40〜80μmの範囲内であることがより好ましい。ノルボルネン系樹脂フィルムの厚みが20μm未満である場合には、フィルムの取り扱いが難しく、また所定の位相差値が発現し難くなる傾向にあるためであり、一方、ノルボルネン系樹脂フィルムの厚みが80μmを超える場合には、加工性に劣ったり、透明性が低下したり、得られた偏光板の重量が大きくなったりするなどの場合がある。
【0065】
本実施形態における第1の位相差フィルム23は、ポジティブBプレート(正の二軸性位相差フィルム)が好ましい。ポジティブBプレートは、樹脂を製膜した未延伸フィルムを二軸方向に延伸することで作製することができる。ポジティブBプレートとは、フィルムの面内遅相軸方向の屈折率をn、フィルムの面内進相軸方向の屈折率をn、フィルムの厚み方向の屈折率をnとしたときに、「n>n>n」の関係となる位相差フィルムである。第1の位相差フィルム23は、波長590nmにおける面内位相差値Re(590)が30〜150nmであることが好ましい。また、第1の位相差フィルム23は、面内遅相軸方向、面内進相軸方向及び厚み方向の屈折率をそれぞれn、n及びnとするとき、波長590nmの光に対して式(1)を満たす屈折率異方性を有するものが好ましい。
1<(n−n)/(n−n)<2 (1)
【0066】
なお、厚み方向の屈折率異方性は、式(b)により定義される厚み方向位相差値Rthで表される。厚み方向位相差値Rthは、面内位相差値R、遅相軸を傾斜軸として40°傾斜して測定した位相差値R40、フィルムの厚みd、フィルムの平均屈折率nを用いて、式(a)と次式(d)〜(g)から数値計算によりn、n、nを求め、これらを式(b)に代入して算出することができる。また、N係数=は、式(c)から算出することができる。以下、本明細書の他の記載において同様である。なお、上記式(1)における(n−n)/(n−n)をN係数とも称する。
=(n−n)×d (a)
th=〔(n+n)/2−n〕×d (b)
係数=(n−n)/(n−n) (c)
40=(n−ny′)×d/cos(φ) (d)
(n+n+n)/3=n (e)
ここで、
φ=sin−1[sin(40°)/n] (f)
y′=n×n/[n×sin(φ)+n×cos(φ)]1/2 (g)
【0067】
市販の位相差測定装置では、ここに示した数値計算を装置内で自動的に行い、面内位相差値Rや厚み方向位相差値Rthなどを自動的に表示するようになっているものが多い。このような測定装置としては、例えば、KOBRA−WR(王子計測機器(株)製)を挙げることができる。
【0068】
第1の偏光フィルム21と第1の位相差フィルム23(ポジティブBプレート)を積層する際の光軸は、第1の偏光フィルム21の吸収軸に対してポジティブBプレートの遅相軸が0±0.5°、好ましくは0°であるか、あるいは90±0.5°、好ましくは90°であることが好ましい。
【0069】
(3)第2の位相差フィルム24
第2の位相差フィルム24は、第1の偏光フィルム21と第1の粘着剤層27の間であって、かつ第1の位相差フィルム23よりも第1の粘着剤層27側に配置された位相差フィルムである。第2の位相差フィルム24は、スチレン系樹脂からなるコア層24aと、ゴム粒子を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物からなりコア層24aの両面に積層された一対のスキン層24bと、からなる三重構造を有している。
【0070】
コア層24aを構成するスチレン系樹脂は、スチレン又はその誘導体の単独重合体であるほか、スチレン若しくはその誘導体と他の共重合性モノマーとの、二元又はそれ以上の共重合体であってもよい。ここで、スチレン誘導体とは、スチレンに他の基が結合した化合物であって、例えば、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレンのようなアルキルスチレンや、ヒドロキシスチレン、tert−ブトキシスチレン、ビニル安息香酸、o−クロロスチレン、p−クロロスチレンのような、スチレンのベンゼン核に水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、ハロゲン等が導入された置換スチレン等が挙げられる。また、スチレン系樹脂としては、三元共重合体も用いることができる。スチレン系樹脂は、スチレン又はスチレン誘導体と、アクリロニトリル、無水マレイン酸、メチルメタクリレート及びブタジエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーとの共重合体であることが好ましい。コア層24aのスチレン系樹脂は、耐熱性を有するものが好ましく、一般にそのガラス転移温度Tgは100℃以上であり、より好ましくは120℃以上である。
【0071】
コア層24aの厚みは、10〜100μmとなるように設定することが望ましい。コア層24aの厚みが10μm未満では、延伸によって十分な位相差値が発現しにくい。一方、コア層24aの厚みが100μmを越えると、フィルムの衝撃強度が弱くなりやすい。また、この厚みが100μmを超えると、外部応力による位相差値の変化が大きくなりやすく、このため液晶表示装置1に適用したときに白抜け等が発生しやすくなり、表示性能が低下しやすい。
【0072】
スキン層24bは、(メタ)アクリル系樹脂にゴム粒子が配合されている(メタ)アクリル系樹脂組成物からなる。ここで(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、メタクリル酸アルキルエステル又はアクリル酸アルキルエステルの単独重合体や、メタクリル酸アルキルエステルとアクリル酸アルキルエステルとの共重合体等が挙げられる。メタクリル酸アルキルエステルとしては、具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピルなどが挙げられる。また、アクリル酸アルキルエステルとしては、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピルなどが挙げられる。このような(メタ)アクリル系樹脂には、汎用の(メタ)アクリル系樹脂として市販されているものが使用できる。なお、(メタ)アクリル系樹脂の中には、耐衝撃(メタ)アクリル系樹脂と呼ばれるものや、主鎖中にグルタル酸無水物構造やラクトン環構造を有する高耐熱(メタ)アクリル系樹脂と呼ばれるものも含まれる。
【0073】
(メタ)アクリル系樹脂に配合されるゴム粒子は、アクリル系のものが好ましい。アクリル系ゴム粒子とは、例えば、アクリル酸ブチルやアクリル酸2−エチルヘキシルのようなアクリル酸アルキルエステルを主成分とし、多官能モノマーの存在下に重合させて得られるゴム弾性を有する粒子である。このようなゴム弾性を有する粒子が単層で形成されたものでもよいし、ゴム弾性層を少なくとも一層有する多層構造体であってもよい。多層構造のアクリル系ゴム粒子としては、上記のようなゴム弾性を有する粒子を核とし、その周りを硬質のメタクリル酸アルキルエステル系重合体で覆ったもの、硬質のメタクリル酸アルキルエステル系重合体を核とし、その周りを上記のようなゴム弾性を有するアクリル系重合体で覆ったもの、また硬質の核の周りを、ゴム弾性を有するアクリル系重合体で覆い、さらにその周りを硬質のメタクリル酸アルキルエステル系重合体で覆ったものなどが挙げられる。これらのゴム粒子は、弾性層で形成される粒子の平均直径が通常50〜400nm程度の範囲にある。
【0074】
スキン層24bを構成する(メタ)アクリル系樹脂組成物におけるゴム粒子の含有量は、(メタ)アクリル系樹脂100重量部あたり、通常5〜50重量部程度である。(メタ)アクリル系樹脂及びアクリル系ゴム粒子は、それらを混合した状態で市販されているので、その市販品を用いることができる。アクリル系ゴム粒子が配合された(メタ)アクリル系樹脂の市販品の例として、住友化学(株)から販売されている"HT55X"や"テクノロイ(登録商標)S001"等が挙げられる。このような(メタ)アクリル系樹脂組成物は、一般に160℃以下のTgを有するが、好ましくは120℃以下、更に好ましくは110℃以下である。
【0075】
スキン層24bの厚みは、10〜100μm程度が望ましい。スキン層24bの厚みを10μm未満にしようとすると、製膜が難しくなる傾向にある。一方、スキン層24bの厚みが100μmを越えると、この(メタ)アクリル系樹脂層の位相差値が無視できなくなる傾向にある。
【0076】
上記のとおり、第2の位相差フィルム24において、コア層24aのTgは120℃以上が好ましく、一方でスキン層24bのTgは120℃以下、更には110℃以下が好ましい。両者のTgが重ならず、かつコア層24aのほうがスキン層24bよりも高いTgを有するようにするのが好ましい。
【0077】
第2の位相差フィルム24を製造するには、例えば、スチレン系樹脂と、ゴム粒子が配合された(メタ)アクリル系樹脂組成物とを三層共押出しし、その後延伸すればよい。その他、それぞれ単層のフィルムを作製した後で、ヒートラミネーションにより熱融着させ、それを延伸する方法も可能である。
【0078】
この第2の位相差フィルム24は、コア層24aの両面にスキン層24bが形成された三層構造となる。この三層構造において、両面に配置されるスキン層24bは通常、ほぼ同じ厚みとされる。このように三層構造とすることにより、ゴム粒子が配合された(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層24bが保護層として働き、第2の位相差フィルム24は機械強度や耐薬品性に優れたものとなる。
【0079】
第2の位相差フィルム24は、延伸により面内位相差値が付与される。延伸は、公知の縦一軸延伸やテンター横一軸延伸、同時二軸延伸、逐次二軸延伸などで行うことができ、所望とする面内位相差値が得られるように延伸すればよい。
【0080】
本実施形態における第2の位相差フィルム24は、ネガティブBプレート(負の二軸性位相差フィルム)が好ましい。ネガティブBプレートは、樹脂を製膜した未延伸フィルムを二軸方向に延伸することで作製することができる。ここで、ネガティブBプレートとは、フィルムの面内遅相軸方向の屈折率をn、フィルムの面内進相軸方向の屈折率をn、フィルムの厚み方向の屈折率をnとしたときに、「n>n>n」の関係となる位相差フィルムである。第2の位相差フィルム24は、波長590nmにおける面内位相差値Re(590)が20〜120nmであることが好ましい。また、第2の位相差フィルム24は、波長590nmの光に対して式(2)を満たす屈折率異方性を有するものが好ましい。
−2<(n−n)/(n−n)<−0.5 (2)
【0081】
第1の偏光フィルム21と第2の位相差フィルム24(ネガティブBプレート)の光軸は、第1の偏光フィルム21の吸収軸に対してネガティブBプレートの遅相軸が0±0.5°、好ましくは0°であるか、あるいは90±0.5°、好ましくは90°であることが好ましい。
【0082】
(3)第1の外側樹脂フィルム25
第1の外側樹脂フィルム25は、第1の偏光フィルム21の外側に積層される樹脂フィルムである。第1の外側樹脂フィルム25としては、例えば保護フィルムを採用することができる。第1の外側樹脂フィルム25としては、透明樹脂から構成されるものが好ましい。この透明樹脂の例としては、メタクリル酸メチル系樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂〔(メタ)アクリル系樹脂とは、メタクリル系樹脂又はアクリル系樹脂を意味する〕、オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、スチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系共重合樹脂、アクリロニトリル・スチレン系共重合樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等)、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、オキセタン系樹脂を挙げることができる。これらの樹脂は、透明性や偏光フィルムとの接着性を阻害しない範囲で、添加物を含有することができる。
【0083】
これらの透明樹脂をフィルム状に成形し、延伸処理を施して、第1の外側樹脂フィルム25としてもよい。このとき、延伸は、機械流れ方向(MD)又はこれに垂直な方向(TD)に延伸する一軸延伸、MD及びTDの双方に延伸する二軸延伸、MDでもTDでもない方向に延伸する斜め延伸など、いずれの方法で行ってもよい。
【0084】
(4)第1の粘着剤層27
第1の粘着剤層27は、粘着性を有する層であり、第1のロール状偏光板71又はこれから所定形状に裁断された第1の偏光板20を液晶セル40に貼合するために用いられる。第1の粘着剤層27を形成する粘着剤としては、例えば、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルなどをベースポリマーとするものが挙げられる。なかでも、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤は、光学的な透明性に優れ、適度の濡れ性や凝集力を保持し、更に耐候性や耐熱性などに優れ、加熱や加湿の条件下でも、浮きや剥がれなどのセパレート問題が生じにくいため、好ましく用いられる。
【0085】
アクリル系粘着剤を構成するアクリル系ベースポリマーには、エステル部分が、メチル基、エチル基、ブチル基、又は2−エチルヘキシル基のような炭素数20以下のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルと、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルのような官能基含有(メタ)アクリル系モノマーとのアクリル系共重合体が好ましく用いられる。このようなアクリル系共重合体を含む粘着剤層は、液晶セル40に貼合した後で何らかの不具合があって剥離する必要が生じた場合に、ガラス基板に糊残りなどを生じさせることなく、比較的容易に剥離することができる。粘着剤に用いるアクリル系共重合体は、そのガラス転移温度が25℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましい。また、このアクリル系共重合体は、通常10万以上の重量平均分子量を有する。
【0086】
第1の粘着剤層27を形成する粘着剤として、光拡散剤が分散された拡散粘着剤を用いることもできる。光拡散剤は、粘着剤層に光拡散性を付与するためのものである。光拡散剤は、粘着剤層を構成するベースポリマーと異なる屈折率を有する微粒子であればよく、無機化合物からなる微粒子や有機化合物(ポリマー)からなる微粒子を用いることができる。上記したようなアクリル系ベースポリマーを含めて、粘着剤層を構成するベースポリマーは1.4前後の屈折率を示すことが多いので、光拡散剤は、その屈折率が1〜2程度のものから適宜選択すればよい。粘着剤層を構成するベースポリマーと光拡散剤との屈折率差は、通常0.01以上であり、適用される液晶表示装置1の明るさや視認性を確保する観点からは、0.01以上0.5以下であることが好ましい。光拡散剤として用いる微粒子は、球形のもの、それも単分散に近いものが好ましく、平均粒径が2〜6μm程度の微粒子が好適に用いられる。
【0087】
無機化合物からなる微粒子としては、例えば、酸化アルミニウム(屈折率1.76)、酸化ケイ素(屈折率1.45)などを挙げることができる。また、有機化合物(ポリマー)からなる微粒子としては、例えば、メラミン樹脂ビーズ(屈折率1.57)、ポリメタクリル酸メチルビーズ(屈折率1.49)、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂ビーズ(屈折率1.50〜1.59)、ポリカーボネートビーズ(屈折率1.55)、ポリエチレンビーズ(屈折率1.53)、ポリスチレンビーズ(屈折率1.6)、ポリ塩化ビニルビーズ(屈折率1.46)、シリコーン樹脂ビーズ(屈折率1.46)などが挙げられる。
【0088】
光拡散剤の配合量は、それが分散される粘着剤層に必要とされるヘイズ値や、それが適用される液晶表示装置1の明るさなどを考慮して適宜決められるが、通常、粘着剤層を構成するベースポリマー100重量部に対して3〜30重量部程度である。
【0089】
光拡散剤が分散された粘着剤層のJIS K 7361に従って測定されるヘイズ値は、適用される液晶表示装置1の明るさを確保するとともに、表示像のにじみやボケを生じにくくする観点から、20〜80%の範囲とすることが好ましい。
【0090】
透明な粘着剤又は拡散粘着剤を構成する各成分(ベースポリマー、光拡散剤、架橋剤など)は、酢酸エチルなどの適当な溶剤に溶かして粘着剤組成物とされる。ただし、光拡散剤などの溶剤に溶けない成分は、分散された状態となる。この粘着剤組成物を第1の位相差フィルム23又は第1の離型フィルム上に塗布し、乾燥させることにより、第1の粘着剤層27を形成することができる。
【0091】
第1の粘着剤層27は、第1の偏光板20に帯電する静電気を除電するために、帯電防止性を有することが好ましい。第1のロール状偏光板71は、第1の粘着剤層27上に積層された第1の離型フィルム80を剥離して液晶セル40に貼合するときなどに、静電気を帯びることがある。このとき、第1の粘着剤層27が帯電防止性を有していると、その静電気が速やかに除電され、液晶セル40の表示回路が破壊されたり、液晶分子が配向を乱されたりすることが抑制される。
【0092】
第1の粘着剤層27に帯電防止性を付与する方法としては、例えば、粘着剤組成物に、金属微粒子、金属酸化物微粒子、又は金属等をコーティングした微粒子等を含有させる方法;電解質塩とオルガノポリシロキサンとからなるイオン導電性組成物を含有させる方法;有機塩系の帯電防止剤を配合する方法などが挙げられる。求められる帯電防止性の保持時間は、一般的なロール状偏光板の製造、流通及び保管期間の観点から、最低6ヶ月程度である。
【0093】
第1の粘着剤層27は、接着剤層を硬化させるため、活性エネルギー線を通す場合がある。そのため、活性エネルギー線の該当スペクトル領域に高透過率を有することが好ましい。なお、活性エネルギー線の照射により粘着剤としての諸特性が変化しないことが好ましい。
【0094】
第1の粘着剤層27は、例えば、温度23℃、相対湿度65%の環境下で3〜20日程度熟成され、架橋剤の反応を十分に進行させた後、液晶セル40への貼合に供される。
【0095】
第1の粘着剤層27の厚みは、その接着力などに応じて適宜決定されるが、通常、1〜40μm程度である。加工性や耐久性などの特性を損なうことなく、薄型のロール状偏光板を得るためには、粘着剤層の厚みは3〜25μm程度とすることが好ましい。また、光拡散剤が分散された粘着剤層を用いる場合、第1の粘着剤層27の厚みをこの範囲とすることにより、液晶表示装置1を正面から見た場合や斜めから見た場合の明るさを保ち、表示像のにじみやボケを生じにくくすることができる。
【0096】
(5)第1の離型フィルム
第1の離型フィルム80としては、通常、透明基材フィルムに易剥離層を形成して、粘着剤層からの剥離性を付与したものが用いられる。透明基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフトレート、ポリエチレン、及びポリプロピレンのような熱可塑性樹脂の押出フィルム、それらを組み合わせた共押出フィルム、それらを一軸又は二軸に延伸したフィルムなどが挙げられる。
【0097】
第1の離型フィルム80のJIS L 1096に準処して測定されるガーレ法剛軟度は、20mgf以上であることが好ましく、70mgf以上であることがより好ましい。ガーレ法剛軟度が20mgf未満であると、離型フィルムの剛性が不足であり、ハンドリング性が低下することがある。
【0098】
(7)接着剤層(不図示)
第1の偏光フィルム21への第1の位相差フィルム23と第1の外側樹脂フィルム25の貼合、第1の位相差フィルム23と第2の位相差フィルム24の貼合は、通常、接着剤層を介してなされる。第1の偏光フィルム21の両面に設けられる接着剤層を形成する接着剤は、同種であってもよく、異種であってもよい。
【0099】
接着剤としては、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シアノアクリレート系樹脂、アクリルアミド系樹脂などを接着剤成分とする接着剤を用いることができる。好ましく用いられる接着剤の1つは、無溶剤型の接着剤である。無溶剤型の接着剤は、有意量の溶剤を含まず、加熱や活性エネルギー線(例えば、紫外線、可視光、電子線、X線等)の照射により反応硬化する硬化性化合物(モノマー又はオリゴマーなど)を含み、当該硬化性化合物の硬化により接着剤層を形成するものであり、典型的には、加熱や活性エネルギー線の照射により反応硬化する硬化性化合物と、重合開始剤とを含む。特に、第1の位相差フィルム23や第1の外側樹脂フィルム25がポリプロピレン系樹脂からなる場合、ポリプロピレン系樹脂フィルムは透湿度が低いため、水系接着剤を使用した場合に水抜けが悪く、接着剤の水分によって第1の偏光フィルム21の損傷や偏光性能の劣化などを引き起こす場合がある。したがって、このような透湿度の低い樹脂フィルムを接着する場合には、無溶剤系の接着剤が好ましい。
【0100】
速硬化性及びこれに伴う第1の偏光板20の生産性向上の観点から、接着剤層を形成する好ましい接着剤の例として、活性エネルギー線の照射で硬化する活性エネルギー線硬化性接着剤を挙げることができる。このような活性エネルギー線硬化性接着剤の例として、例えば、紫外線や可視光などの光エネルギーで硬化する光硬化性接着剤が挙げられる。光硬化性接着剤としては、反応性の観点から、カチオン重合で硬化するものが好ましく、特に、エポキシ化合物を硬化性化合物とする無溶剤型のエポキシ系接着剤は、第1の偏光フィルム21と第1の位相差フィルム23や第1の外側樹脂フィルム25との接着性に優れているためより好ましい。
【0101】
上記無溶剤型のエポキシ系接着剤に含有される硬化性化合物であるエポキシ化合物としては、特に制限されないが、カチオン重合により硬化するものが好ましい。特に、耐候性や屈折率などの観点から、分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物を用いることがより好ましい。このような分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物として、芳香族エポキシ化合物の水素化物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物などが例示できる。なお、硬化性化合物であるエポキシ化合物は、通常、分子内に2個以上のエポキシ基を有する。
【0102】
未硬化のエポキシ系接着剤からなる接着剤層を介して第1の偏光フィルム21に第1の位相差フィルム23や第1の外側樹脂フィルム25を貼合した後は、活性エネルギー線を照射するか、又は加熱することにより、接着剤層を硬化させ、第1の偏光フィルム21上に第1の位相差フィルム23や第1の外側樹脂フィルム25を固着させる。活性エネルギー線の照射により硬化させる場合、好ましくは紫外線が用いられる。具体的な紫外線光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、ブラックライトランプ、メタルハライドランプなどを挙げることができる。活性エネルギー線、例えば紫外線の照射強度や照射量は、カチオン重合開始剤を十分に活性化させ、かつ硬化後の接着剤層や第1の偏光フィルム21などのフィルムに悪影響を与えないように適宜選択される。また、加熱により硬化させる場合は、一般的に知られた方法で加熱することができ、そのときの温度や時間も、カチオン重合開始剤を十分に活性化させ、かつ硬化後の接着剤層や第1の偏光フィルム21などのフィルムに悪影響を与えないように適宜選択される。なお、第1の位相差フィルム23と第2の位相差フィルム24の接着に関しても上記と同様である。
【0103】
以上のようにして得られる、硬化後のエポキシ系接着剤からなる接着剤層の厚みは、通常50μm以下、好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下であり、また通常は1μm以上である。
【0104】
また、接着剤として、接着剤層を薄くする観点から、水系接着剤、すなわち、接着剤成分を水に溶解した、又は接着剤成分を水に分散させた接着剤を用いることもできる。例えば、主成分としてポリビニルアルコール系樹脂又はウレタン樹脂を用いた水系組成物が、好ましい水系接着剤として挙げられる。
【0105】
各フィルムを貼合する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、流延法、マイヤーバーコート法、グラビアコート法、カンマコーター法、ドクターブレード法、ダイコート法、ディップコート法、噴霧法などにより、第1の偏光フィルム21及び/又はこれに貼合されるフィルムの接着面に接着剤を塗布し、両者を重ね合わせる方法が挙げられる。流延法とは、被塗布物であるフィルムを、概ね垂直方向、概ね水平方向、又は両者の間の斜め方向に移動させながら、その表面に接着剤を流下して拡布させる方法である。
【0106】
各フィルムの接着表面には、接着性を向上させるために、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理などの表面処理を適宜施してもよい。ケン化処理としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリの水溶液に浸漬する方法が挙げられる。
【0107】
水系接着剤を介して接合された積層体は、通常、乾燥処理が施され、接着剤層の乾燥、硬化が行われる。乾燥処理は、例えば熱風を吹き付けることにより行うことができる。乾燥温度は、通常40〜100℃程度の範囲から選択され、好ましくは60〜100℃である。乾燥時間は、例えば20〜1,200秒程度である。乾燥後の接着剤層の厚みは、通常0.001〜5μm程度であり、好ましくは0.01μm以上、また好ましくは2μm以下、更に好ましくは1μm以下である。接着剤層の厚みが大きくなりすぎると、第1の偏光板20の外観不良となりやすい。
【0108】
(第2のロール状偏光板)
次に、第2のロール状偏光板71´について説明する。第2のロール状偏光板71´は、液晶パネル2の視認側(前面側)偏光板(第2の偏光板30)として用いられる。第2のロール状偏光板71´は、第2の外側樹脂フィルム35と、第2の偏光フィルム31と、第2の粘着剤層37と、第2の離型フィルム90とをこの順に積層してなる長尺の偏光板から構成されている。
【0109】
第2のロール状偏光板71´は、第2の偏光フィルム31の吸収軸が長尺の偏光板の長辺方向と平行な方向となり、液晶セル40の短辺又は長辺のうち第1のロール状偏光板71とは反対の辺に対応する幅を有する状態でロール状に巻かれている。第2のロール状偏光板71´の巻き回し方向は特に制限されないが、例えば第2の離型フィルム90側が内側となるように巻き回すことができる。
【0110】
上記「液晶セル40の短辺又は長辺のうち第1のロール状偏光板71とは反対の辺に対応する幅」とは、第2のロール状偏光板71´が貼り合わされる液晶セル40の短辺又は長辺の長さに応じて適切に設定された幅を指し、液晶セル40の短辺又は長辺の長さと第2のロール状偏光板71´の幅とは必ずしも同じでなくてもよい。
【0111】
(1)第2の偏光フィルム31
第2の偏光フィルム31としては、上述した第1の偏光フィルム21と同様に、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させたものを用いることができる。第1の偏光フィルム21と第2の偏光フィルム31とは、外形(厚み等)、材質及び製造方法などに関し、同じであっても異なっていてもよい。
【0112】
(2)第2の外側樹脂フィルム35
第2の外側樹脂フィルム35は、第2の偏光フィルム31の外側に積層される樹脂フィルムである。第2の外側樹脂フィルム35としては、例えば保護フィルムを採用することができる。この保護フィルムとしては、上述した第1の外側樹脂フィルム25で説明したものと同様の構成を採用することができる。
【0113】
また、第2の外側樹脂フィルム35として防眩フィルムを採用することもできる。防眩フィルムとしては、微細な凹凸形状を表面に有するハードコート層が形成されたものを挙げることができる。このようなハードコート層は、基材フィルムの表面に有機微粒子又は無機微粒子を含有した塗膜を形成する方法や、有機微粒子又は無機微粒子を含有する、又は含有しない塗膜を形成後、該塗膜を、凹凸形状を付与したロールの凹凸表面に押し当てる方法(例えばエンボス法等)などによって製造することができる。
【0114】
さらに、第2の外側樹脂フィルム35としては、上述した保護フィルムや防眩フィルムに限定されず、他の機能性フィルムであってもよい。例えば、反射防止、低反射、防汚、帯電防止などの機能を有するフィルムであってもよい。
【0115】
[反射防止・低反射性の付与(反射防止・低反射フィルム)]
反射防止膜は、一般に、防汚性層でもある低屈折率層、及び低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一つの層(すなわち、高屈折率層又は中屈折率層)を、延伸又は未延伸セルロースアセテート系等の樹脂フィルム上に設けることで形成される。
【0116】
屈折率の異なる無機化合物(金属酸化物等)の透明薄膜を積層させた多層膜として、化学蒸着(CVD)法、物理蒸着(PVD)法、金属アルコキシド等の金属化合物のゾル/ゲル方法でコロイド状金属酸化物粒子皮膜を形成後に後処理(紫外線照射:特開平9−157855号公報、プラズマ処理:特開2002−327310号公報)して薄膜を形成する方法などが挙げられる。
【0117】
一方、生産性が高い反射防止膜として、無機粒子をマトリックスに分散されてなる薄膜を積層塗設してなる反射防止膜が各種提案されている。またこのような、塗布による反射防止フィルムの最上層表面に微細な凹凸の形状を付与した防眩性反射防止層からなる反射防止フィルムも挙げられる。
【0118】
[防汚性等の付与]
防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、セルロースアセテート系等の樹脂フィルムに公知のシリコーン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することもできる。これらの添加剤を添加する場合には低n層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
【0119】
[防塵性・帯電防止層の付与]
防塵性、帯電防止の特性を付与する目的で、セルロースアセテート等の樹脂フィルムに公知のカチオン系界面活性剤あるいはポリオキシアルキレン系化合物のような防塵剤、帯電防止剤等を適宜添加することもできる。これら防塵剤、帯電防止剤は前述したシリコーン系化合物やフッ素系化合物にその構造単位が機能の一部として含まれていてもよい。これらを添加剤として添加する場合には低n層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
【0120】
(3)第2の粘着剤層37
第2の粘着剤層37も、上記第1の粘着剤層27において説明したものを同様に用いることができる。第1の粘着剤層27と第2の粘着剤層37は、外形(厚み等)、材質及び製造方法などに関し、同じであっても異なっていてもよい。
【0121】
(4)第2の離型フィルム90
第2の離型フィルム90も、上記第1の離型フィルム80において説明したものを同様に用いることができる。第1と第2の離型フィルム80,90は、外形(厚み等)、材質及び製造方法などに関し、同じであっても異なっていてもよい。
【0122】
第2の偏光フィルム31への第2の外側樹脂フィルム35の貼合、積層は、第1のロール状偏光板71について記述した方法と同様であってよい。第2の偏光フィルム31の両面に設けられる接着剤層を形成する接着剤は、同種であってもよく、異種であってもよい。また、第1のロール状偏光板71の作製に使用される接着剤と第2のロール状偏光板71´の作製に使用される接着剤は、同種であってもよく、異種であってもよい。
【0123】
以上が第1のロール状偏光板71と第2のロール状偏光板71´を構成する各フィルムの説明である。第1のロール状偏光板71と第2のロール状偏光板71´は、ロール状偏光板のセットとしてロール・ツゥー・セル方式の貼合工程(すなわち、ロール状の偏光板を液晶セル40に貼合していく工程)に供され、液晶パネル2とされる。本発明のロール状偏光板のセットによれば、第1のロール状偏光板71、第2のロール状偏光板71´は貼合する液晶セル40の長辺又は短辺に対応する幅を有しているため、それぞれ液晶セル40の短辺又は長辺のうちロール状偏光板の幅に対応する辺とは反対の辺の長さに裁断するだけで、液晶セル40に対応するサイズを有する偏光板を得ることができる。また、第1及び第2のロール状偏光板71,71´は、その長辺方向に吸収軸を有するため、ロール・ツゥー・セルでの貼合により、優れた軸精度で偏光板と液晶セル40との貼合を行うことができる。これにより、光漏れが顕著に低減され、正面コントラストなどの表示性能も格段に向上した液晶パネル2を得ることができる。
【0124】
<液晶パネル及び液晶表示装置>
図2は、液晶パネル2と液晶表示装置1の基本的な層構成の一例を示す概略断面図である。この図に示される液晶表示装置1は、液晶パネル2と、バックライト10と、光拡散板50と、を備えている。液晶パネル2は、液晶セル40と、液晶セル40の一方の面に貼合された背面側偏光板としての第1の偏光板20と、液晶セル40の他方の面に貼合された前面側偏光板としての第2の偏光板30と、から構成されている。第1の偏光板20は、第1の位相差フィルム23と第1の外側樹脂フィルム25とで、第1の偏光フィルム21を挟持した構成を有しており、第1の位相差フィルム23が液晶セル40に対向するように、第1の粘着剤層27を介して液晶セル40に貼合されている。また、第2の偏光板30は、第2の外側樹脂フィルム35と第2の偏光フィルム31が積層された構成を有しており、第2の粘着剤層37を介して液晶セル40に貼合されている。液晶表示装置1において、液晶パネル2は、背面側偏光板である第1の偏光板20がバックライト10側となるように、すなわち、第1の外側樹脂フィルム25が光拡散板50と対向するように配置される。
【0125】
液晶セル40は、ガラス基板の間に液晶物質を封入したセルを電気的に制御することで、画像を表示させる素子である。液晶セル40の種類は特に制限されないが、IPSモード、又はブルー相の液晶を用いた液晶駆動モードの液晶セル40であることが好ましい。これらのモードでは、液晶表示装置1の正面から見た場合と斜め方向から見た場合で輝度の変動が少ないため、位相差フィルムを液晶セル40の両側にそれぞれ配置して視野角を広げる必要がない。このため、液晶セル40の背面側、視認側のいずれか一方の偏光板にのみ位相差フィルムを配置し、他方には図1のようにフィルムを設けないか、あるいは後述する図3のように未延伸の無配向性フィルムを設ける構成とすることで、製造コストを低くすることができる。特に、ブルー相の液晶を用いた液晶セル40の場合、暗状態の視野角依存性が原理的になく、そのため配向膜が不要となるので、本発明の偏光板のセットを用いた液晶パネル2に好適である。
【0126】
これらのモードの液晶セル40を用いて液晶パネル2が形成される場合には、第1の偏光板20と第2の偏光板30の吸収軸は、通常、互いに直交(クロスニコル)であり、かつこれらの吸収軸は矩形の液晶セル40の長辺方向又は短辺方向に平行となる。このため、液晶パネル2の製造においては、長辺方向に吸収軸を有し、液晶セル40の長辺又は短辺に対応する幅を有する第1及び第2のロール状偏光板71,71´を用いる本発明の製造方法を好適に用いることができる。
【0127】
光拡散板50は、バックライト10からの光を拡散させる機能を有する光学部材であって、例えば、熱可塑性樹脂に光拡散剤である粒子を分散させて光拡散性を付与したもの、熱可塑性樹脂フィルムの表面に凹凸を形成して光拡散性を付与したもの、熱可塑性樹脂フィルムの表面に粒子が分散された樹脂組成物の塗布層を設け、光拡散性を付与したものなどであり得る。その厚みは、0.1〜5mm程度とすることができる。
【0128】
光拡散板50と液晶パネル2との間には、輝度向上シート(反射型偏光フィルムである(「DBEF」など))、光拡散シートなど、他の光学機能性を示すシート又はフィルムを配置することもできる。他の光学機能性を示すシート又はフィルムは、必要に応じて2枚以上、複数種類配置することも可能である。
【0129】
本発明では、ロール状偏光板から引き出した長尺状の偏光板を、枚葉に切り出すことなく、液晶パネル2の製造工程に供することが可能である。これにより、偏光板が表裏非対称な構成でも、カールが生じにくくなる。これにより、第1のロール状偏光板71から所定形状に裁断された第1の偏光板20と、第2のロール状偏光板71´から所定形状に裁断された第2の偏光板30とを液晶セル40と貼合する際に、気泡や異物の噛み込みなどの不具合が生じにくくなる。また、ロール状偏光板のセットを用い、ロール・ツゥー・セル方式で第1の偏光板20及び第2の偏光板30を液晶セル40に貼合するため、得られる液晶パネル2は、偏光板と液晶セル40との貼合の軸精度に優れるとともに、装置内の汚染などに起因する欠点の発生を抑制することができ、これにより光漏れが顕著に低減され、正面コントラストなどの表示性能も格段に向上した液晶表示装置1を得ることができる。
【0130】
また、この方法では、長尺状の偏光板を枚葉に切り出す必要がないため、枚葉体の偏光板を複数枚積層した状態で保管したり梱包したりする必要がない。このため、運搬時などに偏光板の表面が擦れることが原因による損傷などが生じにくく、したがって光学特性の優れた偏光板を提供することが可能となる。特に、第1の位相差フィルム23や外側樹脂フィルム25,35などのフィルムが柔軟性の高いポリプロピレン系樹脂などで形成されている場合、第1の偏光板20と第2の偏光板30はいずれも剛軟度が小さく、枚葉に切り出した場合にハンドリングが困難となりやすい。しかしながら、本発明ではロール状偏光板71,71´を枚葉に切り出す必要がないため、このような剛軟度の小さい偏光板であっても、液晶セル40に貼り合わせる際のハンドリング性を向上させることが可能となる。
【0131】
(第2の実施形態)
次に、本発明の他の実施形態に関するロール状偏光板のセットについて説明する。上述した実施形態では、液晶セル40の背面側の偏光板(第1の偏光板20)が第1の位相差フィルム23と第2の位相差フィルム24とを備えていた。しかしながら、位相差フィルム23,24が配置される偏光板としては、背面側に限定されず、視認側の偏光板(第2の偏光板30)であってもよい。
【0132】
すなわち、この実施形態のロール状偏光板のセットは、背面側に配置されるロール状偏光板と視認側に配置されるロール状偏光板とにより構成される。そして、背面側に配置されるロール状偏光板は、外側樹脂フィルムと、偏光フィルムと、粘着剤層と、離型フィルムとをこの順で積層してなる長尺の偏光板から構成され、一方、視認側に配置されるロール状偏光板は、外側樹脂フィルムと、偏光フィルムと、第1の位相差フィルムと、第2の位相差フィルムと、粘着剤層と、離型フィルムとをこの順で積層してなる長尺の偏光板から構成される。
【0133】
(第3の実施形態)
上述した第1,第2の実施形態のロール状偏光板のセットは、視認側(第2の実施形態では背面側)の偏光板において偏光フィルムと粘着剤層との間に樹脂フィルムを備えていなかった。しかしながら、本発明のロール状偏光板のセットとしては、第1,第2の位相差フィルムが設けられる偏光板とは反対側の偏光板に無配向性フィルムを設けるようにしてもよい。
【0134】
図3は、第2の実施形態のロール状偏光板のセットを模式的に示した断面図である。この図に示すように、本実施形態のロール状偏光板のセットは、第1のロール状偏光板71と第2のロール状偏光板71´から構成される。第1のロール状偏光板71は、第1の実施形態と同様に、第1の外側樹脂フィルム25と、第1の偏光フィルム21と、第1の位相差フィルム23と、第2の位相差フィルム24と、第1の粘着剤層27と、第1の離型フィルム80とをこの順に積層してなる長尺状の偏光板で構成されている。一方、第2のロール状偏光板71´は、第2の外側樹脂フィルム35と、第2の偏光フィルム31と、無配向性フィルム33と、第2の粘着剤層37と、第2の離型フィルム90とをこの順に積層してなる長尺状の偏光板で構成されている。これらのうち、無配向性フィルム33以外の各フィルムについては、上述した第1の実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0135】
(1)無配向性フィルム
無配向性フィルム33は、面内や厚み方向に実質的に位相差がない樹脂フィルムであり、第2の偏光フィルム31を保護するための保護フィルムとしての機能を有している。無配向フィルム33としては、透明性を有しており面内位相差値が小さいものが好ましく、具体的には、例えばヘイズ値が0.5%以下であり、かつ面内位相差値Rが30nm未満のものが好適である。無配向性フィルム33は、樹脂材料を膜状に製膜した、延伸されていない樹脂フィルム(未延伸フィルム)から作製することができる。
【0136】
無配向性フィルム33は、実質的に位相差を有していないため、二軸性位相差フィルムのように液晶表示装置1の視野角を広げる機能はないが、二軸性位相差フィルムのように延伸処理を行う必要がないため製造コストが低い。したがって、液晶表示装置1の製造コストをより低減することができる。また、無配向性フィルム33は、延伸処理を行わないため、膜厚が厚くなり内側フィルム23のハンドリング性が良好になる。
【0137】
無配向性フィルム33を構成する樹脂材料は特に限定されず、例えば(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、スチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系共重合樹脂、アクリロニトリル・スチレン系共重合樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等)、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、オキセタン系樹脂を挙げることができる。これらの樹脂は、透明性や第2の偏光フィルム31との接着性を阻害しない範囲で、添加物を含有することができる。
【0138】
上述した樹脂材料は、任意の方法で製膜して未延伸フィルムとすることで、無配向性フィルム33を作製することができる。この未延伸フィルムは、透明で実質的に面内位相差がないものが好ましい。製膜方法としては、例えば、溶融樹脂を膜状に押し出して製膜する押出成形法、有機溶剤に溶解させた樹脂を平板上に流延した後で溶剤を除去して製膜する溶剤キャスト法などを採用することができる。
【0139】
なお、厚み方向の位相差値Rthの観点では、無配向性フィルム33の厚みが薄いほうが、位相差値を低減できるため好ましい。具体的には、無配向性フィルム33の厚みは15〜45μmが好ましい。特に、第2の偏光板30のハンドリング性だけでなく、無配向性フィルム33自体のハンドリング性も考慮すると、35〜45μmのものがより好ましい。
【0140】
(第4の実施形態)
上述した第2の実施形態と同様に、第1の位相差フィルム23と第2の位相差フィルム24を視認側の偏光板(第2の偏光板30)に設けるようにしてもよい。
【0141】
すなわち、この実施形態のロール状偏光板のセットは、背面側に配置されるロール状偏光板と視認側に配置されるロール状偏光板とにより構成される。そして、背面側に配置されるロール状偏光板は、外側樹脂フィルムと、偏光フィルムと、無配向性フィルムと、粘着剤層と、離型フィルムとをこの順で積層してなる長尺の偏光板から構成され、一方、視認側に配置されるロール状偏光板は、外側樹脂フィルムと、偏光フィルムと、第1の位相差フィルムと、第2の位相差フィルムと、粘着剤層と、離型フィルムとをこの順で積層してなる長尺の偏光板から構成される。
【0142】
<ロール状偏光板のセットの製造方法>
次に、ロール状偏光板のセットの製造方法について説明する。以下に掲げる製造方法は、図1に記載したロール状偏光板のセットを製造する場合の実施形態について説明している。なお、図3など他の実施形態のロール状偏光板のセットを製造する場合も同様の製造方法を採用することができることは言うまでもない。
【0143】
この実施形態におけるロール状偏光板のセットは、以下の工程(a)〜(c)を備える第1のロール状偏光板製造工程と、以下の工程(d)〜(f)を備える第2のロール状偏光板製造工程とを含む方法によって好適に作製することができる。なお、図4〜図7に記載した他の構成のロール状偏光板を製造する際にも、同様の製造方法を採用することができる。
【0144】
(a)第1の外側樹脂フィルム25と、第1の偏光フィルム21と、第1の位相差フィルム23と、第2の位相差フィルム24と、第1の粘着剤層27と、第1の離型フィルム80とをこの順に、かつ第1の偏光フィルム21の吸収軸が長辺方向(第1の偏光板長尺原反の長辺方向)と平行な方向となるように積層して第1の偏光板長尺原反を作製する第1原反作製工程、
(b)第1原反作製工程で得られる第1の偏光板長尺原反を液晶セル40の長辺又は短辺に対応する幅となるように切断して長尺の偏光板を得る第1スリット工程、
(c)第1スリット工程で得られる長尺の偏光板をロール状に巻き取る第1偏光板巻き取り工程。
【0145】
(d)第2の外側樹脂フィルム35と、第2の偏光フィルム31と、第2の粘着剤層37と、第2の離型フィルム90とをこの順に、かつ第2の偏光フィルム31の吸収軸が長辺方向(第2の偏光板長尺原反の長辺方向)と平行な方向となるように積層して第2の偏光板長尺原反を作製する第2原反作製工程、
(e)第2原反作製工程で得られる第2の偏光板長尺原反を液晶セル40の短辺又は長辺のうち前記第1スリット工程とは反対の辺に対応する幅となるように切断して長尺の偏光板を得る第2スリット工程、
(f)第2スリット工程で得られる長尺の偏光板をロール状に巻き取る第2偏光板巻き取り工程。
【0146】
第1原反作製工程(a)及び第2原反作製工程(d)で行われる各種フィルム(粘着剤層を含む)の貼合、積層は、同時に行ってもよいし、逐次的に行ってもよい。これらのフィルムの貼合、積層は、例えば、ロール状のフィルムを用いたロール・ツゥー・ロール方式で行うことができる。
【0147】
第1スリット工程(b)において、第1の偏光板長尺原反は、第1の偏光フィルム21の吸収軸に平行に(第1の偏光板長尺原反の長辺方向に平行に)液晶セル40の長辺に対応する幅でスリット加工される。その場合、第2スリット工程(e)において、第2の偏光板長尺原反は、第2の偏光フィルム31の吸収軸に平行に(第2の偏光板長尺原反の長辺方向に平行に)液晶セル40の短辺に対応する幅でスリット加工される。
【0148】
第1スリット工程(b)及びそれに続く第1偏光板巻き取り工程(c)においては、ロール状に巻き取られた第1偏光板長尺原反を巻き出してスリットしながら、スリットされた長尺の偏光板をロール状に巻き取る方法、第1原反作製工程で得られるロール状に巻き取られていない第1の偏光板長尺原反を巻き取ることなくスリットし、スリットされた長尺の偏光板をロール状に巻き取る方法があり、いずれも採用できる。第2スリット工程(e)及びそれに続く第2偏光板巻き取り工程(f)についても同様である。第1偏光板巻き取り工程(c)及び第2偏光板巻き取り工程(f)におけるスリットされた長尺の偏光板の巻き取り方向は特に制限されないが、例えば第1及び第2の離型フィルム80,90側が内側となるように巻き取ることができる。
【0149】
第1のロール状偏光板製造工程と第2のロール状偏光板製造工程の順序は特に制限されず、同時に並行して行ってもよいし、逐次的に行ってもよい。
【0150】
このロール状偏光板のセットの製造方法によれば、第1のロール状偏光板71と第2のロール状偏光板71´は液晶セル40の短辺又は長辺に対応する幅でスリット加工される。このため、これらをロール状偏光板としてセットで用いることにより、それぞれを液晶セル40の短辺又は長辺のうち、ロール状偏光板の幅に対応する辺とは反対の辺の長さに切断するだけで、液晶セル40に対応するサイズを有する偏光板を得ることができる。また、ロール状偏光板71,71´は、その長辺方向に吸収軸を有するため、偏光板と液晶セル40との貼合時における軸精度が良くなり、光漏れが顕著に低減され、正面コントラストなどの表示性能に優れる液晶パネル2を得ることができる。さらに、得られるロール状偏光板のセットにおいては、一方のロール状偏光板の吸収軸は液晶セル40の長辺に平行となり、他方のロール状偏光板の吸収軸は液晶セル40の短辺に平行となるため、両方のロール状偏光板(又はこれを所定形状に裁断して得られる偏光板)の長辺方向が液晶パネル製造工程における液晶セル40の搬送方向と平行になるようにして液晶セル40との貼合を行うだけで、それぞれの偏光板の吸収軸を互いに直交させることができる。
【0151】
<液晶パネルの製造方法>
液晶パネル2は、上記ロール状偏光板のセットを用い、液晶セル40の背面側に第1の偏光板20(第1のロール状偏光板71から所定形状に裁断された偏光板)を貼合し、液晶セル40の視認側に第2の偏光板30(第2のロール状偏光板71´から所定形状に裁断された偏光板)を貼合して製造される。液晶パネル2の製造方法は、例えば、第1のロール状偏光板71は液晶セル40の長辺に対応する幅を有し、第2のロール状偏光板71´は液晶セル40の短辺に対応する幅を有する場合、液晶セル40を、その短辺方向が流れ方向となるように搬送する液晶セル40の第1搬送工程;下記工程(A)〜(D)を備える第1偏光板供給貼合工程;液晶セル40を、その長辺方向が流れ方向となるように搬送する液晶セル40の第2搬送工程;及び、下記工程(E)〜(H)を備える第2偏光板供給貼合工程を含んでいる。これにより、液晶セル40の一方の面に第1の偏光板20が積層され、他方の面には第2の偏光板30が積層された液晶パネル2が得られる。
【0152】
(A)上記ロール状偏光板のセットのうち、第1のロール状偏光板71から長尺の偏光板を、液晶セル40の第1搬送工程で供給される液晶セル40の背面側に向かうように巻き出す第1偏光板巻き出し工程、
(B)第1偏光板巻き出し工程で巻き出された後の長尺の偏光板を液晶セル40の短辺に対応する長さに裁断して、第1の偏光板20を得る第1偏光板裁断工程、
(C)第1偏光板巻き出し工程で巻き出された長尺の偏光板又は第1偏光板裁断工程で裁断された偏光板(第1の偏光板20)を、液晶セル40の第1搬送工程で搬送される液晶セル40の貼合されるべき位置に合わせる第1偏光板位置合わせ工程、
(D)第1偏光板位置合わせ工程を経た後の長尺の偏光板又は裁断された偏光板(第1の偏光板20)を液晶セル40の第1搬送工程で搬送される液晶セル40の背面側に貼り合わせる第1偏光板貼合工程。
【0153】
(E)上記ロール状偏光板のセットのうち、第2のロール状偏光板71´から長尺の偏光板を、液晶セル40の第2搬送工程で搬送される液晶セル40の視認側に向かうように巻き出す第2偏光板巻き出し工程、
(F)第2偏光板巻き出し工程で巻き出された後の長尺の偏光板を液晶セル40の長辺に対応する長さに裁断して、第2の偏光板30を得る第2偏光板裁断工程、
(G)第2偏光板巻き出し工程で巻き出された長尺の偏光板又は第2偏光板裁断工程で裁断された偏光板(第2の偏光板30)を、液晶セル40の第2搬送工程で搬送される液晶セル40の貼合されるべき位置に合わせる第2偏光板位置合わせ工程、
(H)第2偏光板位置合わせ工程を経た後の長尺の偏光板又は裁断された偏光板(第2の偏光板30)を液晶セル40の第2搬送工程で搬送される液晶セル40の視認側に貼り合わせる第2偏光板貼合工程。
【0154】
図4は、液晶パネル2の製造方法の一例を示す概略図であり、具体的には、第1搬送工程及び第1偏光板供給貼合工程、並びにこれらの工程の実施に好適に用いることができる装置の概略を示したものである。この図に示すように、液晶セル40の背面側への第1の偏光板20の貼合は、以下の工程を経て行われ、これにより片面に第1の偏光板20が貼合された液晶セル41が得られる。
・ベルトコンベヤー等を用いた液晶セル40の第1搬送工程64;
・巻き出し用ロール等を用いて、第1のロール状偏光板71から長尺の偏光板72を巻き出す(A)第1偏光板巻き出し工程60;
・巻き出された長尺の偏光板72を、切断手段62aを用いて、液晶セル40の短辺に対応する長さに裁断して、第1の偏光板20を得る(B)第1偏光板裁断工程62;
・巻き出された長尺の偏光板72又は第1偏光板裁断工程62で裁断して得られた第1の偏光板20を、センサ61a等を用いた位置制御により、搬送された液晶セル40の貼合されるべき位置に合わせる(C)第1偏光板位置合わせ工程61;
・第1偏光板位置合わせ工程61を経た後の長尺の偏光板72又は裁断して得られた第1の偏光板20を、貼合ロール63a等を用いて、搬送された液晶セル40の背面側に貼り合わせる(D)第1偏光板貼合工程63。
【0155】
(B)第1偏光板裁断工程62で用いる切断手段62aとしては、例えば、レーザー、切断刃、その他の公知の切断手段を用いることができる。なお、当該裁断工程においては、図4に示されるように、長尺の偏光板72の最表面に配置される第1の離型フィルム80を裁断することなく他各層のみを裁断する、いわゆる「ハーフカット」を行うことが好ましい。これにより、第1の離型フィルム80を、所定形状に裁断された第1の偏光板20の搬送媒体として利用することができる。また、この際、第1の離型フィルム80に適度な張力をかけることにより、所定形状に裁断された第1の偏光板20のカール発生を抑制することができる。
【0156】
ただし、図5に示されるように、所定形状に裁断された第1の偏光板20の搬送媒体として、別途、離型フィルム回収用フィルム76を用いる場合には、「ハーフカット」ではなく、長尺の偏光板72を構成するすべての層を切断してもよい。この場合、後述する離型フィルム回収工程65においては、裁断された偏光板から剥離された第1の離型フィルム80ごと離型フィルム回収用フィルム76が回収される。離型フィルム回収用フィルム76としては、第1の離型フィルム80に対して粘着性を有するフィルムが用いられる。
【0157】
(C)第1偏光板位置合わせ工程61においては、センサ61aによって得られる長尺の偏光板72又は第1の偏光板20と液晶セル40との相対的位置関係情報に基づいて、長尺の偏光板72又は第1の偏光板20を固定し、液晶セル40の位置を調整して位置合わせを行ってもよいし、液晶セル40を固定し、長尺の偏光板72又は第1の偏光板20の位置を調整して位置合わせを行ってもよい。後者の場合、ハンドリング性の観点から、(B)第1偏光板裁断工程62を(C)第1偏光板位置合わせ工程61の前に行い、所定形状に裁断された第1の偏光板20の状態で位置合わせを行うことが好ましい。
【0158】
(D)第1偏光板貼合工程63において、長尺の偏光板72又は裁断して得られた第1の偏光板20の液晶セル40への貼合は、図4に示されるように、離型フィルム剥離装置81を用いて、位置合わせされた長尺の偏光板72又は第1の偏光板20から第1の離型フィルム80を剥離した後(離型フィルム回収工程65)、露出した第1の粘着剤層27側で液晶セル40上に積層し、貼合ロール63aを用いて押し付けることにより行うことができる。離型フィルム回収工程65は、剥離した第1の離型フィルム80を巻き取る工程を含む。
【0159】
ここで、(A)第1偏光板巻き出し工程60に続く、(B)第1偏光板裁断工程62、(C)第1偏光板位置合わせ工程61及び(D)第1偏光板貼合工程63の順序は特に制限されず、例えば、(B)→(C)→(D)の順、又は(C)→(B)→(D)の順に行うことができる。あるいは、図6に示されるように、(C)→(D)→(B)の順に行うこともできる。このような順序で行う装置においては、この図に示されるように、センサ61a、切断手段62a及び貼合ロール63a等は、必要に応じて、その伸縮により各構成部品の装置における位置を移動させることができる伸縮部75を備えることができる。各構成部品が固定式であり、いずれかの工程を行うためのスペースが確保できない場合であっても、伸縮部75を設けることにより、工程終了後に構成部品の位置を移動させることが可能になるため、次工程を行うためのスペースを確保することができる。
【0160】
偏光板のハンドリング性の観点からは、(B)第1偏光板裁断工程62を(C)第1偏光板位置合わせ工程61の前に行い、所定形状に裁断された第1の偏光板20の状態で位置合わせを行うことが好ましい。
【0161】
(B)→(C)→(D)の順に行う場合、工程(B)における長尺の偏光板72の裁断と、工程(C)における位置合わせのタイミングは特に制限されず、図4に示されるように、工程(C)の直前に工程(B)の位置合わせを行うようにしてもよいし、あるいは図7に示されるように、工程(B)と(C)との間に一定のインターバルを設けるようにしてもよい。後者の場合、裁断時に偏光板の位置ずれが生じることによって、工程(C)における位置合わせ精度が低下することを防止することができる。
【0162】
液晶セル40の視認側への第2の偏光板30(図4において図示せず)の貼合(第2偏光板供給貼合工程)も、液晶セル40への上記第1の偏光板20の貼合(第1偏光板供給貼合工程)と同様にして行うことができる。なお、図4〜図7及び後述する図8,図9は、液晶セル40にまず第1の偏光板20を貼合する例を示しているが、第2の偏光板30を貼合した後、第1の偏光板20を貼合するようにしてもよい。
【0163】
図8は、液晶パネル2の製造方法の一例を示す概略図であり、具体的には、液晶セル40の背面側に第1の偏光板20を貼合して、片面に第1の偏光板20が貼合された液晶セル41を得た後、液晶セル40の視認側に第2の偏光板30を貼合して液晶パネル2を作製する場合の一例を示したものである。この図において、(A)第1偏光板巻き出し工程60及び(E)第2偏光板巻き出し工程60´は、(A)第1偏光板巻き出し工程60で第1のロール状偏光板71から巻き出された長尺の偏光板72の流れ方向と、(E)第2偏光板巻き出し工程60´で第2のロール状偏光板71´から巻き出された長尺の偏光板72´の流れ方向とが直交するようになっている。これらの流れ方向が直交していると、必然的に液晶セル40の両面に貼合される偏光板の吸収軸も互いに直交した状態となる。このため、この製造方法では、後述する図9に示される方法において必要とされる液晶セル40の旋回工程92を省略し、上下反転工程91のみを介して第1偏光板供給貼合工程と第2偏光板供給貼合工程とを連続的に行うことが可能となり、生産効率を向上させることができる。なお、第1偏光板供給貼合工程と第2偏光板供給貼合工程とは、同じ場所で行ってもよいし、異なる場所で行ってもよい。
【0164】
また、(A)第1偏光板巻き出し工程60及び(E)第2偏光板巻き出し工程60´は、図9に示されるように、(A)第1偏光板巻き出し工程60で第1のロール状偏光板71から巻き出された長尺の偏光板72の流れ方向と、(E)第2偏光板巻き出し工程60´で第2のロール状偏光板71´から巻き出された長尺の偏光板72´の流れ方向とが平行になるように行われてもよい。このような場合においては、通常、この図に示されるように、上下反転工程91を経た、片面に第1の偏光板20が貼合された液晶セル41を、次の第2偏光板供給貼合工程の流れ方向に旋回させる旋回工程92が設けられる。この図で示されるように、省スペースの観点から、第1偏光板供給貼合工程の工程ラインと第2偏光板供給貼合工程の工程ラインとは上下に配置されることが好ましい。
【0165】
なお、上記いずれの液晶パネル2の製造方法においても、(A)第1偏光板巻き出し工程60及び(E)第2偏光板巻き出し工程60´での長尺の偏光板72、72´の供給を液晶セル40の両側から行うことにより、上下反転工程91を省略することが可能となる。図8及び図9には、第1偏光板巻き出し工程60で巻き出される長尺の偏光板72及び第2偏光板巻き出し工程60´で巻き出される長尺の偏光板72´が、ともに液晶セル40,41の上側から供給され、貼合される形態を示したが、上下を反転させ、長尺の偏光板72,72´がそれぞれ、液晶セル40,41の下側から供給され、貼合されるようにすることも可能である。
【0166】
上記(A)〜(H)のいずれかの工程の前若しくは後、又はこれらのいずれかの工程と並行して、偏光板の欠点検査工程を設けてもよい。欠点検査方法としては特に制限されず、例えば、偏光板の両面に対して透過光又は反射光を照射して画像撮影を行い、得られた画像から欠点を検出する方法、検査用偏光板をCCDカメラと検査対象物との間に、検査対象である偏光板の吸収軸とクロスニコルとなるように配置(0°クロスと称することがある)して画像撮影を行い、得られた画像から欠点を検出する方法、検査用偏光板をCCDカメラと検査対象物との間に、検査対象である偏光板の吸収軸に対して検査用偏光板の吸収軸が所定角度(例えば、0°より大きく10°以内の範囲)になるように配置(x°クロスと称することがある)して画像撮影を行い、得られた画像から欠点を検出する方法が挙げられる。なお、得られた画像から欠点を検出する際の画像処理のアルゴリズムは公知の方法を適用でき、例えば二値化処理による濃淡判定によって欠点を検出することができる。
【0167】
上記のうち、透過光を照射して画像撮影を行う方法では、偏光板内部の異物を検出できる。反射光を照射して画像撮影を行う方法では、偏光板表面に付着した異物を検出できる。0°クロスで検査用偏光板を配置し、画像撮影を行う方法では、主に、表面に付着した異物又は汚れ、及び内部の異物等を輝点として検出できる。x°クロスで検査用偏光板を配置し、画像撮影を行う方法では、主に、偏光フィルム21,31と、外側樹脂フィルム25,35、位相差フィルム23,33との界面において生じる局所的な凹凸欠陥、いわゆるクニックを検出することができる。
【0168】
上記欠点検査工程を設ける場合には、欠点検査工程で得られた欠点の情報に基づいて、裁断工程(工程(B)及び(F)、位置合わせ工程(工程(C)及び(G))又は貼合工程(工程(D)及び(H))において、液晶セル40に貼合される偏光板領域内に欠点を含まないように、欠点を避けて切断、位置合わせ又は貼合されることが好ましい。また、歩留まりの観点からは、欠点検査工程は、好ましくは第1、第2偏光板貼合工程(D)、(H)より前に行われて、欠点部分を排除することが好ましい。
【0169】
また、液晶パネル2の製造方法においては、液晶セル40の両面に偏光板を貼合した後、液晶パネル2を検査する液晶パネル欠点検査工程を含むことが好ましい。欠点検査方法としては、液晶パネル2の両面に対して反射光を照射して画像撮影を行い、得られた画像から欠点を検出する方法が例示される。また、他の方法として、検査用偏光板をCCDカメラと検査対象物との間に設置する方法も例示される。なお、得られた画像から欠点を検出する際の画像処理のアルゴリズムは公知の方法を適用でき、例えば二値化処理による濃淡判定によって欠点を検出することができる。
【0170】
さらに、上記液晶パネル2の欠点検査工程で得られた欠点の情報に基づいて、液晶パネル2の良品判定がなされる判定工程を設けてもよい。良品判定された液晶パネル2は、次工程である液晶表示装置1への実装工程に供される。一方、不良品判定された場合には、リワーク処理(液晶セル40から偏光板を剥がす工程)が施され、新たに偏光板が貼合され、次いで検査される。良品判定の場合、実装工程に移行し、不良品判定の場合、再度リワーク処理に移行するかあるいは廃棄処分される。
【0171】
以上に示した液晶パネル2の製造方法は、第1偏光板供給貼合工程と第2偏光板供給貼合工程とを連続した製造ラインで実施することができ、製造効率に優れる。本発明の液晶パネル2の製造方法に含まれる各工程は、高品質の液晶パネル2を得るために、清浄度の高い隔離構造内部で行うことが好ましい。
【0172】
上述した例では、第1のロール状偏光板71は液晶セル40の長辺に対応する幅を有する状態で、第2のロール状偏光板71´は液晶セル40の短辺に対応する幅を有する状態でロール状に巻かれていた。そして、液晶セルの第1搬送工程において、液晶セル40の短辺が流れ方向となるように搬送し、第1偏光板裁断工程において、第1のロール状偏光板71を液晶セル40の短辺に対応する長さに裁断して液晶セル40の背面側に貼合し、液晶セルの第2搬送工程において、液晶セル40の長辺が流れ方向となるように搬送し、第2のロール状偏光板71´を液晶セル40の長辺に対応する長さに裁断して液晶セル40の視認側に貼合している。
【0173】
しかしながら、第1のロール状偏光板71は液晶セル40の短辺に対応する幅を有する状態で、第2のロール状偏光板71´は液晶セル40の長辺に対応する幅を有する状態でロール状に巻かれていた場合、液晶セルの第1搬送工程において、液晶セル40の長辺が流れ方向となるように搬送し、第1偏光板裁断工程において、第1のロール状偏光板71を液晶セル40の長辺に対応する長さに裁断して液晶セル40の背面側に貼合し、液晶セルの第2搬送工程において、液晶セル40の短辺が流れ方向となるように搬送し、第2のロール状偏光板71´を液晶セル40の短辺に対応する長さに裁断して液晶セル40の視認側に貼合することになる。
【符号の説明】
【0174】
1 液晶表示装置、2 液晶パネル、10 バックライト、20 第1の偏光板、21 第1の偏光フィルム、23 第1の位相差フィルム、24 第2の位相差フィルム、 24a コア層、24b スキン層、25 第1の外側樹脂フィルム、27 第1の粘着剤層、30 第2の偏光板、31 第2の偏光フィルム、33 無配向性フィルム、35 第2の外側樹脂フィルム、37 第2の粘着剤層 40 液晶セル、41 片面に第1の偏光板が貼合された液晶セル、50 光拡散板、60 第1偏光板巻き出し工程、60´ 第2偏光板巻き出し工程、61 第1偏光板位置合わせ工程、61´ 第2偏光板位置合わせ工程、61a センサ、62 第1偏光板裁断工程、62´ 第2偏光板裁断工程、62a 切断手段、63 第1偏光板貼合工程、63´ 第2偏光板貼合工程、63a 貼合ロール、64 液晶セルの第1搬送工程、64´ 液晶セルの第2搬送工程、65,65´ 離型フィルム回収工程、71 第1のロール状偏光板、71´ 第2のロール状偏光板、72 第1のロール状偏光板から巻き出された長尺の偏光板、72´ 第2のロール状偏光板から巻き出された長尺の偏光板、75 伸縮部、76 離型フィルム回収用フィルム、80 第1の離型フィルム、81 離型フィルム剥離装置、90 第2の離型フィルム、91 上下反転工程、92 旋回工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶セルの背面側に貼合するための第1のロール状偏光板と、前記液晶セルの視認側に貼合するための第2のロール状偏光板とからなるロール状偏光板のセットであって;
前記第1のロール状偏光板は、
第1の外側樹脂フィルムと、
ポリビニルアルコール系樹脂からなる第1の偏光フィルムと、
第1の粘着剤層と、
第1の離型フィルムと、
をこの順に積層してなる長尺の偏光板から構成され、かつ
前記第1の偏光フィルムの吸収軸が前記長尺の偏光板の長辺方向と平行な方向となり、前記液晶セルの長辺又は短辺に対応する幅を有する状態でロール状に巻かれており;
前記第2のロール状偏光板は、
第2の外側樹脂フィルムと、
ポリビニルアルコール系樹脂からなる第2の偏光フィルムと、
第2の粘着剤層と、
第2の離型フィルムと、
をこの順に積層してなる長尺の偏光板から構成され、かつ
前記第2の偏光フィルムの吸収軸が前記長尺の偏光板の長辺方向と平行な方向となり、前記液晶セルの短辺又は長辺のうち前記第1のロール状偏光板とは反対の辺に対応する幅を有する状態でロール状に巻かれており、
前記第1のロール状偏光板と前記第2のロール状偏光板のうちいずれか一方には、
偏光フィルムと粘着剤層との間であってかつ前記偏光フィルムに接する位置に配置された第1の位相差フィルムと、
前記第1の位相差フィルムよりも前記粘着剤層側に配置された第2の位相差フィルムと、を更に備え、
前記第1の位相差フィルムは、オレフィン系樹脂からなり、
前記第2の位相差フィルムは、スチレン系樹脂からなるコア層と、ゴム粒子を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物からなり前記コア層の両面に積層されたスキン層と、からなる三層構造を有していることを特徴とするロール状偏光板のセット。
【請求項2】
前記第1の位相差フィルムは、波長590nmにおける面内位相差値が30〜150nmであり、
面内遅相軸方向、面内進相軸方向及び厚み方向の屈折率をそれぞれn、n及びnとするとき、波長590nmの光に対して式(1):
1<(n−n)/(n−n)<2 (1)
を満たす屈折率異方性を有し、
前記第2の位相差フィルムは、波長590nmにおける面内位相差値が20〜120nmであり、
その面内遅相軸方向、面内進相軸方向及び厚み方向の屈折率をそれぞれn、n及びnとするとき、波長590nmの光に対して式(2):
−2<(n−n)/(n−n)<−0.5 (2)
を満たす屈折率異方性を有する、請求項1に記載のロール状偏光板のセット。
【請求項3】
前記第1のロール状偏光板及び前記第2のロール状偏光板のうち、前記第1の位相差フィルム及び前記第2の位相差フィルムが配置される側とは反対側のロール状偏光板は、偏光フィルムと粘着剤層の間に無配向性フィルムを更に備える、請求項1又は2に記載のロール状偏光板のセット。
【請求項4】
液晶セルの背面側に貼合するための第1のロール状偏光板と、前記液晶セルの視認側に貼合するための第2のロール状偏光板とからなるロール状偏光板のセットを製造する方法であって;
ポリビニルアルコール系樹脂からなる第1の偏光フィルムと、第1の粘着剤層と、第1の離型フィルムとをこの順に、かつ前記第1の偏光フィルムの吸収軸が長辺方向と平行な方向となるように積層して第1の偏光板長尺原反を作製する第1原反作製工程と、
前記第1原反作製工程で得られる前記第1の偏光板長尺原反を前記液晶セルの長辺又は短辺に対応する幅となるように切断する第1スリット工程と、
前記第1スリット工程で得られる長尺の偏光板をロール状に巻き取る第1偏光板巻き取り工程と、を備える第1のロール状偏光板製造工程;及び
ポリビニルアルコール系樹脂からなる第2の偏光フィルムと、第2の粘着剤層と、第2の離型フィルムとをこの順に、かつ前記第2の偏光フィルムの吸収軸が長辺方向と平行な方向となるように積層して第2の偏光板長尺原反を作製する第2原反作製工程と、
前記第2原反作製工程で得られる前記第2の偏光板長尺原反を前記液晶セルの短辺又は長辺のうち前記第1スリット工程とは反対の辺に対応する幅となるように切断する第2スリット工程と、
前記第2スリット工程で得られる長尺の偏光板をロール状に巻き取る第2偏光板巻き取り工程と、を備える第2のロール状偏光板製造工程を含み、
前記第1のロール状偏光板と前記第2のロール状偏光板のうちいずれか一方には、
偏光フィルムと粘着剤層との間であってかつ前記偏光フィルムに接する位置に配置された第1の位相差フィルムと、
前記第1の位相差フィルムよりも前記粘着剤層側に配置された第2の位相差フィルムと、を更に備え、
前記第1の位相差フィルムは、オレフィン系樹脂からなり、
前記第2の位相差フィルムは、スチレン系樹脂からなるコア層と、ゴム粒子を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物からなり前記コア層の両面に積層されたスキン層と、からなる三層構造を有していることを特徴とするロール状偏光板のセットの製造方法。
【請求項5】
液晶セルの背面側に第1の偏光板を貼合し、前記液晶セルの視認側に第2の偏光板を貼合して、液晶パネルを製造する方法であって;
前記液晶セルの短辺又は長辺のうち、請求項1〜3のいずれかに記載のロール状偏光板のセットにおける第1のロール状偏光板の幅に対応する辺とは反対の辺が流れ方向の辺となるように前記液晶セルを搬送する液晶セルの第1搬送工程;
前記第1のロール状偏光板から長尺の偏光板を、前記液晶セルの第1搬送工程で供給される前記液晶セルの背面側に向かうように巻き出す第1偏光板巻き出し工程と、
前記第1偏光板巻き出し工程で巻き出された後の長尺の偏光板を前記液晶セルの短辺又は長辺のうち前記第1搬送工程における流れ方向の辺に対応する長さに裁断する第1偏光板裁断工程と、
前記第1偏光板巻き出し工程で巻き出された長尺の偏光板又は前記第1偏光板裁断工程で裁断された偏光板を、前記液晶セルの第1搬送工程で搬送される液晶セルの貼合されるべき位置に合わせる第1偏光板位置合わせ工程と、
前記第1偏光板位置合わせ工程を経た後の長尺の偏光板又は裁断された偏光板を前記液晶セルの第1搬送工程で搬送される前記液晶セルの背面側に貼り合わせる第1偏光板貼合工程と、を備え、かつ
前記第1偏光板巻き出し工程が最初に行われ、その後、前記第1偏光板裁断工程、前記第1偏光板位置合わせ工程、及び前記第1偏光板貼合工程の順、又は、前記第1偏光板位置合わせ工程、前記第1偏光板裁断工程、及び前記第1偏光板貼合工程の順、又は、前記第1偏光板位置合わせ工程、前記第1偏光板貼合工程、及び前記第1偏光板裁断工程の順に行われる第1偏光板供給貼合工程;
前記液晶セルを、その長辺又は短辺方向のうち前記第1搬送工程とは反対の辺が流れ方向となるように搬送する液晶セルの第2搬送工程;及び
請求項1〜3のいずれかに記載のロール状偏光板のセットのうち、第2のロール状偏光板から長尺の偏光板を、前記液晶セルの第2搬送工程で搬送される前記液晶セルの視認側に向かうように巻き出す第2偏光板巻き出し工程と、
前記第2偏光板巻き出し工程で巻き出された後の長尺の偏光板を前記液晶セルの長辺又は短辺のうち前記第2搬送工程における流れ方向の辺に対応する長さに裁断する第2偏光板裁断工程と、
前記第2偏光板巻き出し工程で巻き出された長尺の偏光板又は前記第2偏光板裁断工程で裁断された偏光板を、前記液晶セルの第2搬送工程で搬送される液晶セルの貼合されるべき位置に合わせる第2偏光板位置合わせ工程と、
前記第2偏光板位置合わせ工程を経た後の長尺の偏光板又は裁断された偏光板を前記液晶セルの第2搬送工程で搬送される前記液晶セルの視認側に貼り合わせる第2偏光板貼合工程と、を備え、かつ
前記第2偏光板巻き出し工程が最初に行われ、その後、前記第2偏光板裁断工程、前記第2偏光板位置合わせ工程、及び前記第2偏光板貼合工程の順、又は、前記第2偏光板位置合わせ工程、前記第2偏光板裁断工程、及び前記第2偏光板貼合工程の順、又は、前記第2偏光板位置合わせ工程、前記第2偏光板貼合工程、及び前記第2偏光板裁断工程の順に行われる第2偏光板供給貼合工程を含むことを特徴とする液晶パネルの製造方法。
【請求項6】
前記第1偏光板巻き出し工程及び前記第2偏光板巻き出し工程は、前記第1偏光板巻き出し工程で前記第1のロール状偏光板から巻き出された長尺の偏光板の流れ方向と、前記第2偏光板巻き出し工程で前記第2のロール状偏光板から巻き出された長尺の偏光板の流れ方向とが直交するように行われる、請求項5に記載の液晶パネルの製造方法。
【請求項7】
前記液晶セルは、IPSモードの液晶セル、又はブルー相の液晶を用いた液晶駆動モードの液晶セルである、請求項5又は6に記載の液晶パネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−78430(P2012−78430A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221426(P2010−221426)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】