説明

ワイパブレード及びワイパアーム

【課題】
簡単な構成で、組立作業性が優れた車両用のワイパブレード及びワイパアームを提供する。
【解決手段】
車両のウィンドスクリーンのクリーニング用ワイパブレードであって、少なくとも1個のワイパリップ(5.1)を有するワイパストリップ(5)を保持する少なくとも1個の細長いキャリア素子(6)、ワイパブレードアダプタ(7)、ワイパブレードに設けられた少なくとも1個の電熱素子(18)、及び少なくとも1個の電気的接続素子(19、20)を備えている。ワイパブレードアダプタは、キャリア素子に取り付けられ、ワイパブレード(2)とワイパアーム(1)、又はこのワイパアームに設けられたワイパアームアダプタ(11)を連結方向に機械的に連結する。電気的接続素子(19、20)は、ワイパブレードアダプタ(7)のワイパブレード側に設けられ、電熱素子とワイパアーム(1)に保持された電源との電気的接続を確立する少なくとも1個のコンタクトを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパブレード及びワイパアームに関し、特に、車両のウィンドスクリーン又は窓ガラスをクリーニングするワイパブレード、及びそれに使用するワイパアームに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車である車両のウィンドスクリーンをクリーニングするためのウィンドスクリーンのワイパモジュールに使用されるワイパブレードとしては、種々のものが知られている。また、ブローワイパブレードとして設計されたワイパブレードも、後述する特許文献1に開示されており、これは、ワイパラバー又はワイパラバーを保持するワイピングストリップの部分に電熱素子を備えている。この電熱素子とワイパアーム側の接続ケーブルとの電気的接続は、プラグ・ソケット接続により行われている。
【0003】
この接続は、ワイパブレード側のワイパブレードアダプタの接続素子と、ワイパアーム側のフックとしてデザインされたワイパアームエンドの接続素子により構成されている。この電気的接続素子は、この場合には、ワイパアダプタをワイパアームアダプタに挿入して接続するように構成されている。即ち、ワイパブレードをワイパアームに機械的に接続する際に、同時に電気的接続が確立される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−329655号公報
【特許文献2】ドイツ国実用新案第1989712号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した先行技術によると、ワイパアームとワイパブレードとの電気的接続が単極のみで行われ、その結果、ワイパアーム及びワイパブレードアダプタ付きワイパアーム上で電流の流れが生じるという課題を有する。そのため、特に腐食や機能不全の場合に、ワイパブレードが加熱されることとなる。更に、ワイパブレードアダプタを、ワイパアームのフック状端部に形成されたワイパアームアダプタに挿入して接続すると、製造組立誤差がある場合には、電気的接続の信頼性に欠けるという問題が生じる。
【0006】
同様に、ボウワイパブレードとしてデザインされた電気加熱ワイパブレードが、上記の特許文献2に開示されている。この先行技術では、ワイパブレード内に設けられた加熱素子の電気的接続は、ワイパアーム内に配置された2極コネクタを備える外部サプライ(電源)ラインにより行われている。更に正確に説明すると、ワイパブレードのボディの側に設けられたコネクタとソケットとの接続により行われている。
【0007】
しかし、これら公知のワイパブレードには、ワイパブレードとワイパアーム間の機械的接続に加えて、電気的接続を別途に行う必要があり、ワイパブレ‐ドを取り付けると、外部電源ラインとワイパブレード間のプラグ接続は、煩わしいのみならず、ワイピング動作中に電気的接続が解除されてしまいかねないという課題がある。
【0008】
本発明は、従来技術における上述の如き課題に鑑みてなされたものであり、かかる課題を解消するか、又は軽減するワイパブレード、及びワイパアームを提供することを目的とする。即ち、いわゆるフラットワイパブレード、及びフラットバーワイパブレード状の電熱ワイパブレードであって、ワイパアームへの機械的接続時に、外部電源ラインの電気的接続も、同時かつ高信頼性をもって、即ち製造及び組立時の許容誤差に左右されることなく行われる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するとともに、上述した目的を達成するために、本発明のワイパブレード及びワイパアームは、次の如き特徴的な構成を採用している。
【0010】
すなわち、本発明のワイパブレードは、少なくとも1個の細長いキャリア素子、このキャリア素子に固定されワイパブレードをワイパアームに着脱可能に機械的に取り付けるようにデザインされたワイパブレードアダプタ、ワイパアームに組立(Z軸)方向に設けられたワイパアームアダプタ、及びワイパブレードアダプタのワイパアーム側に設けられた少なくとも1個の電気的接続素子を有し、キャリア素子には、ワイピングリップとなる少なくとも1個のワイパラバーが保持され、電気的接続素子は少なくとも1個の電気コンタクトを有し、ワイパアームに設けられ、かつ保持される電源及び電熱素子間の電気的接続を確立する、車両のウィンドスクリーンをクリーニングするものであって、
ワイパブレード側の電気的接続素子は、ワイパアーム及びワイパブレードアダプタにワイパブレードアダプタと同じ組立方向に設けられた電気的接続素子と着脱可能にデザインされ、電気的接続素子の少なくとも1つは、上述した組立方向に対して交差する空間面(X−Y軸)に撓み、かつフローティングして取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のワイパアームは、ワイパブレードアダプタにより、組立(Z軸)方向に着脱可能に、ワイパアーム及びワイパアームアダプタに接続可能であり、ワイパアーム側に少なくとも1個の電気的接続素子を有し、ワイパブレードアダプタに同じ組立方向に設けられたワイパブレード側の電気的接続素子に、着脱可能に接続されるようにデザインされたワイパブレードに使用されるものであって、
電気的接続素子の少なくとも1個は、上述した組立方向に対して交差する空間面(X−Y軸)内に、撓み可能にフローティングして取り付けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
上述の如き特徴的な構成を有する本発明のワイパブレード、及びワイパアームによると、次のような効果が奏せられる。組立方向に相互に接続された少なくとも2個の電気的接続素子、即ちワイパブレード側の電気的接続素子とワイパアーム側の電気的接続素子は、組立方向に対して交差する空間面において、フローティング可能、かつ撓み可能に、即ちある制限された範囲内で移動可能とされている。従って、2個の電気的接続素子の一方が、他方に対して、フローティングかつ撓み可能であれば、他方は、固定かつ不動状態であってもよい。換言すると、上述した他方の電気的接続素子は、フローティング及び撓み可能に、即ち組立方向に対して交差する空間面内において、一定範囲で移動可能に保持された電気的接続素子と相互作用するようにデザインされる。また、ワイパブレード側、及びワイパアーム側両方の電気的接続素子を、組立方向に対して交差する空間面内で、フローティングかつ撓み可能にして相互に接続動作するように構成してもよい。
【0013】
また、ワイパブレードアダプタの少なくとも一部分は、プラスチック材料製であり、第1アダプタ部は、モールド又はパンチング及び曲げ加工により製造される金属部品であるワイパブレードのキャリア素子に固定され、第2アダプタ部は、プラスチックモールド製とするのが好ましい。この場合に、アダプタ連結体により第1アダプタ部に連結された第2アダプタ部は、ワイパアームアダプタ内に確実にロックされるリセプタクルとしてデザインされる。
【0014】
しかし、特殊ケースとして、上述した第1及びダイ2アダプタ部の双方をプラスチック材料で製造してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明によるワイパアームに固定されているワイパブレードと一体であるウィンドスクリーンのワイパアームの斜視図である。
【図2】図1に示すワイパアームからワイパブレードアダプタ部分を切り離している一部分の拡大側面図である。
【図3】図2の一部分の拡大斜視図である。
【図4】ワイパブレードに設けられたワイパブレードアダプタ部分の拡大図である。
【図5】図4に示すワイパブレードのワイパブレードアダプタ及び電気的接続素子を示す部分拡大図である。
【図6】ワイパブレードの一例の断面図である。
【図7】ワイパブレードの他の例を示す断面図である。
【図8】ワイパブレードの更に他の例を示す断面図である。
【図9】ワイパブレードのその他の例を示す断面図である。
【図10】図4の線I−Iに沿う断面図であり、ワイパブレードアダプタのワイパブレード側の電気的接続素子の「フローティング」アタッチメント部分を示す。
【図11】図1に示すワイパアームの一部分を下側から見た斜視図である。
【図12】ワイパアーム側の電気的接続素子及び保持プレートを示す図である。
【図13】図12中の線II-IIに沿う部分断面図である。
【図14】図12中の線III-IIIに沿う断面図である。
【図15】図13に示す部分の他の例を示す部分断面図である。
【図16】図14に示す部分の他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明によるワイパブレード及びワイパアームの好適な実施例を示す添付図を参照して、本発明の構成及び作用を詳細に説明する。なお、これらの実施例は、単に本発明を例示するものであって、何ら本発明を限定するものではない。
【0017】
図1は、本発明による車両用ウィンドスクリーンワイパモジュールのワイパアーム1、及びこのワイパアーム1の一端に機械的及び電気的に着脱可能に接続されるワイパブレード2を示す斜視図である。図示の状態において、ワイパアーム1の一端には、ワイパアーム‐ワイパブレードコネクション(接続手段)3が固定され、図示しないウィンドスクリーンワイパドライブ(駆動部)のワイパシャフトへのベアリング部1.1が形成されている。
【0018】
図1〜図9に示すワイパブレード2は、所謂フラットワイパブレード、又はフラットバーワイパブレードとしてデザインされている。それは、ワイパブレード2の全長に亘って延びるキャリア素子6を有する。同様に、このキャリア素子6には、ワイパブレード2の全長に延びる、プラスチック製エラストマ又はラバー(ゴム)により製造されたワイパラバー5が保持されている。
【0019】
図2〜図7に示すように、キャリア素子6は、ばね鋼製の2本のフラットばねレール6.1が形成され、両者は適当な手段により相互に連結され、その幅の一部は、ワイパラバー5の側部の長手溝と係合し、幅の他端は、ワイパラバー5から横方向へ突出している。
【0020】
ワイパブレード2の取り外し可能な固定のために、ワイパブレードの中央又はその中央近傍に、ワイパブレードアダプタ7が設けられている。これは、第1アダプタ部8及び第2アダプタ部9の2つの部分としてデザインされ、これらは、ヒンジボルト10により相互にピボット連結されている。この例では、第1アダプタ部8は、ばねレール6.1からなるワイパアーム2のキャリア素子6に、間接的又は直接的に固定されている。更に詳しく説明すると、ワイパラバー5のワイプリップ5.1から遠い上面には、スライド形式でオーバーラップしている。そのため、図示の例では、第1アダプタ部8は、2個の実質的にプレート状のアダプタセクション素子8.1により構成されている。各アダプタセクション素子8.1は、ワイパブレード2の一方の長い側部において、その位置で、ばねレール6.1の周辺に確実にオーバーラップして設けられている。
【0021】
2個のアダプタセクション素子8.1は、連結素子により相互に連結され、2本のばねレール6.1で形成されたキャリア素子6は、これらのアダプタセクション素子8.1間に保持されている。ばねレール6.1間に保持されたワイパラバー5には、その上側にワイパラバー5と一体にデザインされたスポイラ4が設けられている。これは、ワイパブレードアダプタ7のフラットワイパブレードの断面図である図6、更に正確にはヒンジボルト10の軸から明らかである。
【0022】
また、スポイラ4は、別部品としてデザインされ、ばねレール6.1に固定又は保持されるようにデザインしてもよい。このタイプの構成は、ワイパブレードの外側を断面で示す図7から明らかである。
【0023】
これに代わって、フラットタイプのワイパブレード2のデザインも可能である。この場合には、キャリア素子6は細長く、かつエラスチックであるプロファイルレール6.2であり、ワイパラバー5上又は内に、及び/又はプロファイルレール6.2内に、金属又はプラスチック材料製の1個又は複数のばねレール6.1を有するワイパラバー5のヘッド部を受容している。これらの場合に、ワイパブレードアダプタ7が、プロファイルレール6.2に取り付けられている。
【0024】
図8から明らかなように、キャリア素子6の上側に、プロファイルレールと一体に結合されたスポイラ4を設けてもよい。これに代わって、図9に示すように、別体として製造されたスポイラ4を、好ましくはキャリア素子6を形成するプロファイルレール6.2の上側である所定位置に、クリップ式に取り付けしてもよい。勿論、既知の方法でワイパブレードが設けられる。これは、図9に示す如く、クリーニングされるウィンドスクリーンへ洗浄流体を流す流体ダクト4.1及び出口孔4.2を備えている。
【0025】
第1アダプタ部8は、ヒンジボルト10により第2アダプタ部9に連結されている。更に詳しく説明すると、第2アダプタ部9及びワイパブレード2が固定されたワイパアーム1に対して、第1アダプタ部8及びワイパブレード2の制限された振動運動を可能にする。また、ワイピングリップ5.1を包囲するワイパブレード2の中心面に縦又は横向きであるヒンジボルト10の軸の周りで移動可能である。
【0026】
ワイパブレードアダプタ7は、ワイパブレード2及びワイパアーム1間の着脱可能コネクション3の一部であり、ワイパアーム1には、ベアリング部1.1から遠い自由端に受容開口又はアダプタ開口11.1を有するワイパアームアダプタ11が設けられるか、又はデザインされている。アダプタ部9は、ワイパアーム1の自由端1.2からアダプタ開口11.1内へ、組立方向であるZ軸方向に挿入可能である。アダプタ部9は、その後、アダプタ開口11.1にキャッチ係合して確実に保持される。ワイパブレードアダプタ7の第1アダプタ部8及びヒンジボルト10は金属製であり、第2アダプタ部9はプラスチックモールド製である。
【0027】
第2アダプタ部9の確実な係合のために、ワイパアーム1のアダプタ開口11.1は、相互に離間した平行関係である2個のシャンク12、及びそれらを連結するヨーク部13を有するU字状断面に形成されている。ヨーク部13から離れた自由端において、シャンク12には、それぞれ角度付き部14及び15が設けられている。これにより、アダプタ開口11.1に挿入後、アダプタ部9はヨーク部13及びシャンク12により、上面及びワイパブレード2の長手延長方向にほぼ平行する2側面が確実に包囲され、これにより、連結中に正確にガイドされる。
【0028】
更に、角度付き部14及び15は、アダプタ部8及びワイパブレード2から離れ、下面において、アダプタ部9の後部に確実に係合する。上側において、第2アダプタ部9には舌状の突起16が設けられ、これは、第2アダプタ部9をアダプタ開口11.1に挿入後に、ヨーク部13に設けられた凹部17にラッチ係合する。これにより、ワイパブレードアダプタ7は、ワイパアーム1にキャッチ係合される。
【0029】
特に図11に示す如く、アダプタ開口11.1は、ワイパアーム1の自由端、及びワイパアーム1の下側へ向けて開口するようにデザインされている。ワイパアーム1を取り付けると、少なくともワイパアーム1のワイピング動作中に、車両のウィンドスクリーンに面するようにデザインされている。
【0030】
ワイパブレード2の凍結防止、及び同時にワイピングリップ5.1をワイパラバー5の残りの部分、及び/又は1個以上のスプレイダクト4.1へ接続するウエブの傾斜を防止するために、ワイパブレード2は電熱型ワイパブレードとしてデザインされている。ここで、スプレイダクト4.1は、重畳するスポイラ部4、ワイパラバー中又はプロファイルレール6.2にデザイン又は設けられ、車両のウィンドスクリーンに洗浄液を流すため、多数の出口孔4.2が設けられている。そのために、ワイパブレード2内又は上、或いはスプレイダクト4.1内には少なくとも1個の電熱素子が設けられている。この電熱素子は、加熱フォイル又は加熱フィラメントの形態で広範囲に渡り配置してもよい。図示の実施例では、電熱素子はこの種の加熱フィラメント18により構成されている。
【0031】
ワイパブレード2のワイパアーム1への機械的取付中に自動化を確立するため、即ち単にアダプタ部9をアダプタ開口11.1に挿入すれば、電熱素子又は加熱フィラメント18との必要な電気的接続が行われるようにするために、コネクション3は、機械的及び電気的接続を行うようにデザインされている。更に詳述すると、ワイパブレード側の電気的接続素子19、及びワイパアーム側の接続素子20との上述した機械的接続に影響する素子との接続をも行う。
【0032】
2個の接続素子19及び20は、それぞれ2極タイプである。詳しく説明すると、図示する特定の実施例では、接続素子19は、コンタクトピン19.1を有する2極コネクタとしてデザインされ、接続素子20は、コンタクトソケット20.1を有する。加熱フィラメント18の両端は、接続素子19及びコンタクトピン19.1に接続されている。2芯の電源ライン21は、その点で接続素子20及びコンタクトソケット20.1に接続され、ワイパアーム1の下側に沿って延び、それにより、加熱可能なワイパブレード2には、車両側の電源システムから必要な加熱用の電流が供給される。リード21は、ホルダ及びクリップ22によりワイパアーム1の下側に保持されている。もし、電熱素子が特定のデザイン又は構成を必要とする場合には、ワイパブレード側及びワイパアーム側の電気的接続素子19及び20には、3極以上のコンタクトを設けることも可能である。
【0033】
上述した電気的接続素子19及び20は、それぞれ、プラスチックモールド製のハウジング23及び24を備えている。ワイパブレード側の接続素子19のハウジング23は、この特定の実施例では、スリーブ又はブッシュ状のハウジング23.1の形態である。その開口25は、両方のコンタクトピン19.1を受ける。この開口25は、ハウジング部23.1の前面のコンタクトピン19.1の自由端の近傍において開口している。更に、ハウジング23は、ハウジング部23.2を形成し、これにより、ハウジング23はアダプタ部9に保持され、開口25の軸及びプラグコンタクトは、この軸と平行であり、かつ相互に離間し、ワイパブレード2の長手方向を向き、それぞれワイパアーム1の長手方向、即ちZ軸方向と平行である。
【0034】
以下の説明の理解を助けるために、それぞれ相互に直交する3つの空間軸を、X軸、Y軸及びZ軸とする。X軸及びY軸は、図に示すワイパアーム1及びワイパブレード2の長手軸に対して交差し、Z軸は、これと平行である。上述した空間方向の定義のもとで、第2アダプタ部9がワイパブレードキャリア素子に固定された第1アダプタ部8に対して、ある制限された範囲内で旋回することは無視する。ここで、「組立方向」とは、Z軸で示す空間軸方向である。
【0035】
図2〜図5、及び図10〜図14に示す実施例においては、ワイパブレード側の接続素子19のハウジング23は、第2アダプタ部9上でフローティング状態に維持されている。このハウジング23は、制限された範囲内で移動可能であるので、この電気的接続素子19は、例えば図3中にX軸及びY軸上で双方向矢印で示す如く、第2アダプタ部9に対してZ軸方向に交差する空間面内で移動可能である。
【0036】
上述したハウジング23及び第2アダプタ部9間のフローティング接続は、例えば第2アダプタ部9上にモールドされたウエブ9.1がハウジング部23.2の外面に形成された凹部23.2.1に、十分な遊びを持って係合することにより実現される。また、その他のハウジング23のフローティング構成も可能であり、例えばハウジング23を、エラスチック部又はエラスチック材料23.3により、第2アダプタ部9に保持する。また、ハウジング23を少なくともハウジング部23.2上に形成するか、又は全体をエラスチック材料で形成して、仮想的にフローティング構成するか、又はハウジングの第2アダプタ部9への接続を、ハウジング部23.2自身の弾性により行うことも可能である。
【0037】
ハウジング23の第2アダプタ部9への取付は、以下のように行われる。即ち、開口25の開口側を第2アダプタ部9から遠い方を向け、ハウジングを第2アダプタ部9の狭い側に突出させる。
【0038】
ワイパアーム側の電気的接続素子20のハウジング24は、ハウジング部24.1を備え、内部に2個のコンタクトソケット20.1を受容させ、これらのコンタクトを、ハウジング部24.1の前面に露出させ、コンタクトピン19.1を受入又は挿入する。ハウジング部24.1をハウジング部24.2に隣接させ、これにより、ハウジング24を一部が、ワイパアーム1に保持された保持タブ又は保持プレート26とキャッチ係合させる。これにより、ハウジング24及びワイパアーム側の電気的接続素子20は、アダプタ開口11.1の内部に位置させる。更に説明すると、図11に示す如く、コンタクトソケット20.1を有するハウジング部24.1の前面は、ワイパアーム1の自由端に設けられたアダプタ開口11.1の開口と反対位置になる。保持プレート26によるハウジング24のワイパアーム1への接続は、ハウジング24及びワイパアーム側の接続素子20が、固定又は実質的に固定、即ちアダプタ開口11.1内でノンフローティングとなるようにデザインされる。
【0039】
ハウジング部24.2には、ハウジング24を保持プレート26に連結してロックするために保持プレート26の厚さ及び幅に適合するスリット状の開口27を有する横幅広部24.2.1が設けられている。これにより、ハウジング24は保持プレート26の一端に押し付けられ、キャッチ係合によりこの位置に固定される。保持プレート26は、この目的のための開口28を有し、幅広部24.2.1に形成されたラッチ29が係合してロックする。
【0040】
ハウジング部24.1は、開口25の断面に適合する外面を有し、ハウジング部24.1は、開口25に確実に挿入され、これによりプラグコンタクト19.1は、コンタクトソケット20.1に係合し、電気的接続素子19及び20間、ひいてはワイパブレード側の加熱素子及び接続リード間の電気的接続を確立する。アダプタ部9の接続素子19、及びハウジング部24.1の斜面30の前面のフローティング構成の結果、開口25への挿入中に前方へ移動し、相互に接続するべき部品の相互のアライメントが自動的に行われる。その結果、機械的接続と同時に、機械/電気接続3により、ワイパブレード2のワイパアーム1への容易かつ確実な電気的接続が行われる。
【0041】
2個の電気的接続素子19及び20、並びにそれらのハウジング23及び24は、機械的及び電気的接続を確立した後、埃、水及び/又は湿気の侵入に対して、接続素子19及び20とハウジング23及び24間の移動をシールする。ウィンドスクリーンワイパモジュールには、厳しい戸外での使用状態の下で、高いレベルの安全度で機能することが要求されるので、このことは大変重要である。シールのために、ハウジング部24.1には、シーリングリブにモールドが施され、拡大直径部を有するハウジング部24.2の過渡部において、ハウジング部間の接続領域をシールしている。
【0042】
以上の説明では、ワイパブレード側の電気的接続素子19がフローティングであり、ワイパアーム側の接続素子20がノンフローティング又は実質的にノンフローティング、更に正確には、保持プレート26に対して固定的となるように構成されていると仮定した。
【0043】
これに対して、図15及び図16では、ワイパアーム側の電気的接続素子20及びそのハウジングの取り付けは、接続素子20がフローティングワイパアームに対して、又はアダプタ開口11.1内で可能な限り、フローティング状態に構成されている。この目的のためにデザインされた保持プレート26は、リーフばねのように作用し、図16中に双方向矢印で示す如く、この実施例では、接続素子20及びハウジング24が保持プレート26の外面に実質的に垂直である軸方向、即ちX軸方向にフローティング状態に取り付けられている。この実施例の場合には、開口27は、図15に従って行われ、Y軸方向に、ばね状の保持プレート26の幅より幾分大きい幅を有する。従って、取り付けられたハウジング24に対しても図12中の双方向矢印で示すY軸方向への移動が可能である。従って、電気的接続素子20は、フローティング状態に保持され、ここでも、ワイパブレード2及びワイパアーム1間の機械的な連結と同時に、電気的接続素子19及び20の接続を容易に行なうことができる。
【0044】
以上、本発明によるワイパブレード、及びワイパアームの好適な実施例を図示し詳述した。しかし、上記実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、本発明の精神や要旨を逸脱することなく種々の変形変更及び代替技術の採用が可能であることが、当業者には容易に理解されると思う。
【符号の説明】
【0045】
1 ワイパアーム
1.1 連結サポート
1.2 ワイパアームの自由端
2 ワイパブレード
3 機械的/電気的接続構成
4 スポイラ
4.1 流体ダクト
4.2 出口孔
5 ワイパラバー
5.1 ワイピングリップ
6 キャリア素子
6.1 ばねレール
6.2 プロファイルレール
7 ワイピングブレードアダプタ
8 第1アダプタ部
9 第2アダプタ部
8.1 アダプタ部素子
9.1 ウエブ
9.2 エラスチック材料
10 ヒンジボルト
11 ワイパアームアダプタ
11.1 アダプタ開口
12 シャンク
13 ヨーク部
14、15 角度付き部
16 突起
17 開口
18 加熱フィラメント(電熱素子)
19、20 電気的接続素子
19.1 コンタクトピン
20.1 コンタクトソケット
21 電源供給ライン
22 取付素子
23,24 ハウジング
23.1、23.2 ハウジング部
23.2.1 凹部
24.1、24.2 ハウジング部
24.2.1 幅広部
25、27、28 開口
26 保持プレート
29 キャッチ
30 斜面(テーパ部)
X、Y、Z 空間軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイパブレードであって、車両のウィンドスクリーンをクリーニングするものであり、少なくとも1個の細長いキャリア素子(6)と、ワイパブレードアダプタ(7)と、ワイパアームアダプタ(11)と、少なくとも1個の電気的接続素子(19)を備え、前記細長いキャリア素子(6)には、ワイピングリップ(5.1)を呈する少なくとも1個のワイパラバー(5)が保持され、前記ワイパブレードアダプタ(7)は、前記キャリア素子(6)に固定され、前記ワイパアーム(1)に対して前記ワイパブレード(2)を着脱可能に機械的に取り付けるように設計され、前記ワイパアームアダプタ(11)は、ワイパアーム(1)に組立方向(Z軸)に前記設けられ、前記電気的接続素子(19)は、ワイパブレード側で前記ワイパブレードアダプタ(7)に設けられ、少なくとも1個の電気コンタクトを呈し、電気コンタクトは、加熱素子と電流源との間の電気的接続を確立し、電流源は、前記ワイパアーム(1)に設けられかつ保持され、
ワイパブレード側の前記電気的接続素子(19)は、前記ワイパアーム(1)および前記ワイパアームアダプタ(11)に、前記ワイパブレードアダプタ(11)の組立方向と同じ組立方向(Z軸)に設けられた電気的接続素子(20)と着脱可能に接続されるように設計され、これらの2つの電気的接続素子(19)(20)の少なくとも1つは、組立方向(Z軸)に対して交差する空間面(X−Y軸)に、浮動して偏向できるように取り付けられていることを特徴とするワイパブレード。
【請求項2】
前記ワイパブレードアダプタ(7)には、前記ワイパアーム(1)及び前記ワイパアームアダプタ(11)と係合し、かつロックする手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のワイパブレード。
【請求項3】
前記ワイパブレードアダプタ(7)は、相互にアダプタ連結手段(10)により関節接合された少なくとも2個のアダプタ部(8,9)よりなり、第1アダプタ部(8)は、キャリア素子(4)に取り付けられ、第2アダプタ部(9)は、前記ワイパアーム(1)及び前記ワイパアームアダプタ(11)に接続するようデザインされていることを特徴とする請求項1又は2に記載のワイパブレード。
【請求項4】
ワイパブレード側の少なくとも1個の前記電気的接続素子(19)は、前記組立方向(Z軸)に対して交差する、前記ワイパブレードアダプタ(7)および前記第2アダプタ部(9)の狭い面又は前面に位置し、これにより、電気的接続のアクセスが可能、および/または前記電気的接続素子(19)が狭い面又は前面から突出していることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のワイパブレード。
【請求項5】
ワイパブレード側の前記電気的接続素子(19)の少なくとも1個の電気コンタクトは、コンタクトピン(19.1)又はコンタクトソケットであり、前記組立方向(Z軸)の軸を有して配向されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のワイパブレード。
【請求項6】
ワイパブレード側の前記少なくとも1個の電気的接続素子(19)は、ソケット状のハウジング部(23.1)を有する絶縁材料製のハウジング(23)を有し、前記ハウジングの軸は前記組立方向(Z軸)を向き、ワイパアーム側の前記電気的接続素子(20)のハウジング部の対応するハウジング部(24.1)を受容するようにデザインされ、前記ソケット状のハウジング部(23.1)内に、ワイパブレード側の前記接続素子(19)の前記少なくとも1個の電気コンタクトが配置されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のワイパブレード。
【請求項7】
ワイパブレード側の少なくとも1個の電気的接続素子(19)は、前記組立方向(Z軸)を向いたピン状のハウジング部を有する絶縁材料製のハウジング(23)を有し、ワイパアーム側の電気的接続素子(20)のソケット状ハウジング部内に挿入可能にデザインされ、ワイパブレード側の接続素子(19)の前記少なくとも1個の電気コンタクトは、前記ピン状ハウジング部に設けられていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のワイパブレード。
【請求項8】
前記組立方向(Z軸)は、前記ワイパブレード(2)及び前記ワイパアーム(1)の長手軸方向に配向されていることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のワイパブレード。
【請求項9】
電気加熱素子は、少なくとも1個の加熱フォイル又は少なくとも1個の加熱素子(18)で形成されることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載のワイパブレード。
【請求項10】
ワイパブレードアダプタ(7)及び前記ワイパブレードアダプタ(7)の第2アダプタ部(9)は、前記ワイパアームアダプタ(11)により形成された開口(11.1)に確実に係合して受容可能にデザインされていることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載のワイパブレード。
【請求項11】
所謂フラットワイパブレード又はフラットバーワイパブレードとしてデザインされていることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載のワイパブレード。
【請求項12】
ワイパアームであって、ワイパブレード(2)とともに使用するためのものであり、ワイパブレードアダプタ(7)により組立方向(Z軸)に着脱可能にワイパアーム(1)及びワイパアームアダプタ(11)に接続可能であり、ワイパアーム側に少なくとも1個の電気的接続素子(20)を有し、前記ワイパブレードアダプタ(7)に同じ組立方向(Z軸)に設けられたワイパブレード側の前記電気的接続素子(19)と着脱可能に接続されるように設計されたワイパアームにおいて、
前記電気的接続素子(20、19)の少なくとも1個は、前記組立方向(Z軸)に対して交差する空間面(X−Y軸)内に浮動して偏向できるように取り付けられていることを特徴とするワイパアーム。
【請求項13】
ワイパアーム側の電気的接続素子(20)の少なくとも1個の電気コンタクトは、コンタクトソケット(20.1)又はコンタクトピンであり、その軸は、前記組立方向(Z軸)を向いていることを特徴とする請求項12に記載のワイパアーム。
【請求項14】
ワイパアーム側の前記少なくとも1個の電気的接続素子(20)は、ソケット状のハウジング部を有する絶縁材料製のハウジングを備え、その軸は前記組立方向(Z軸)を向き、ワイパブレード側の電気的接続素子のハウジング(23)のピン状ハウジング部を受容するように設計され、ワイパアーム側の電気的接続素子(20)の少なくとも1個の電気コンタクトは、ソケット状ハウジング部に配置されていることを特徴とする請求項12又は13に記載のワイパアーム。
【請求項15】
ワイパアーム側の前記少なくとも1個の電気的接続素子(20)は、ピン状のハウジング部(24..1)を有する絶縁材料製のハウジング(24)を有し、ワイパブレード側の前記電気的接続素子(19)のソケット状ハウジング部(23.1)に挿入可能に設計され、前記ワイパアーム側の電気的接続素子(20)の前記少なくとも1個の電気コンタクトは、前記ピン状ハウジング部(24..1)に設けられ、その軸は前記組立方向を(Z軸)向いていることを特徴とする請求項12又は13に記載のワイパアーム。
【請求項16】
前記組立方向(Z軸)は、前記ワイパアームの長手方向に配向されていることを特徴とする請求項12〜15の何れかに記載のワイパアーム。
【請求項17】
前記ワイパアームアダプタ(11)は、前記ワイパブレードアダプタ(7)及び第2アダプタ部(9)を確実に係合して受容する受容開口(11.1)を形成し、前記ワイパアーム(1)の自由端(1.2)に向けて開口していることを特徴とする請求項12〜16の何れかに記載のワイパアーム。
【請求項18】
ワイパアーム側の前記電気的接続素子(20)は、保持プレート(26)に保持され、例えば保持プレート(26)がリーフばねとして作用し、前記電気的接続素子(20)は、ワイパアーム(1)またはワイパアームアダプタ(11)に取り付けられていることを特徴とする請求項12〜17の何れかに記載のワイパアーム。
【請求項19】
ワイパアーム側の前記電気的接続素子(20)は、押し付け又はキャッチ係合により前記保持プレート(26)に保持されていることを特徴とする請求項20に記載のワイパアーム。
【請求項20】
ワイパアーム側の電気的接続素子(20)、及びそのハウジング(24)は、前記保持プレート(26)に対して軸(Y軸)方向へ制限された範囲で浮動するように移動が可能であることを特徴とする請求項21に記載のワイパアーム。

【図1】
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【図2−3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2011−522738(P2011−522738A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512889(P2011−512889)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004178
【国際公開番号】WO2009/149917
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(590003744)ヴァレオ システム デシュヤージュ (74)
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
【Fターム(参考)】