説明

ワイパブレード

【課題】ワイパブレードのウインドガラスからの浮き上がりを防止してその払拭性を高めることにある。
【解決手段】ラバーホルダにより保持されるブレードラバー32にフロントガラスに向けて湾曲するバーテブラ33を装着し、このバーテブラ33に長手方向に所定の間隔を空けて並べて設けられる一対の係合凸片41を設ける。また、ブレードラバー32に長手方向に所定の間隔を空けて並べて設けられる一対の係合孔42を設け、各係合凸片41を対応する係合孔42に係合させる。係合凸片41に係合する前の係合孔42の間隔を係合凸片41の間隔よりも狭く設定し、ブレードラバー32により円弧状に湾曲するバーテブラ33に弦方向に向く弾性力を加えて、当該バーテブラ33の先端側のフロントガラスから離れる方向の剛性を高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパアームの先端に取り付けられて車両のウインドガラスを払拭するワイパブレードに関する。
【背景技術】
【0002】
乗用車やバス、トラックなどの車両には、ウインドガラス(フロントガラス)に付着した雨、雪、前車の飛沫等を拭き取って運転者の視界を確保するためにワイパ装置が設けられている。このようなワイパ装置はワイパアームの先端に取り付けられるワイパブレードを備えており、車体に搭載されるワイパモータによりワイパアームが駆動されると、ワイパアームとともにワイパブレードがウインドガラス上を揺動運動して当該ガラス面を払拭するようになっている。
【0003】
このようなワイパブレードは、その払拭性を高めるために、ワイパアームから加えられる押し付け力をその長手方向全域に均等に分散させる構造を備えている、これにより、所定の分布圧でガラス面に接触するようにされている。ワイパアームからの押し付け力を長手方向に分散させる構造としては複数のレバーを組み上げたトーナメント式のものが知られているが、これに替えて、ブレードラバーにウインドガラスに向けて湾曲する板ばね(バーテブラ)を装着するようにした板ばね式のものが開発されている。
【0004】
例えば特許文献1には、ラバーホルダの長手方向両端部に設けられる保持部によりブレードラバーを2点保持するとともにブレードラバーにウインドガラスに向けて当該ガラスよりも強く湾曲する湾曲形状に形成された板ばねを装着し、ワイパアームからの押し付け力によって板ばねをウインドガラスに沿う形状に弾性変形させることにより、ワイパアームからの押し付け力を板ばねを介して長手方向に分散させるようにしたワイパブレードが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−237854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような板ばね式のワイパブレードに用いられる板ばねは、通常、鋼板等の板材をロール加工等により所定の湾曲形状に塑性変形させて形成されており、その剛性は湾曲度合いを強める方向と弱める方向の両方向で同一となっている。そのため、ブレードラバーをガラス面に追従させるために必要な押し付け荷重と同等の逆方向荷重がワイパブレードに加えられると、当該荷重により板ばねがガラス面から離れる方向に弾性変形することになる。したがって、例えば、車両の高速走行時等において走行風の影響によりワイパブレードの先端部に揚力が発生した場合には、その揚力によりワイパブレードの先端部がガラス面から浮き上がり、払拭性が低下する場合があった。
【0007】
本発明の目的は、ワイパブレードのウインドガラスからの浮き上がりを防止してその払拭性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のワイパブレードは、ワイパアームの先端に取り付けられ、車両のウインドガラスを払拭するワイパブレードであって、前記ワイパアームへの取付部が設けられるラバーホルダと、前記ラバーホルダに保持され、前記ウインドガラスに接するブレードラバーと、前記ウインドガラスに向けて湾曲して形成され、前記ブレードラバーに装着される板ばねと、前記板ばねに長手方向に所定の間隔を空けて並べて設けられる少なくとも一対の係合部と、前記ブレードラバーに長手方向に所定の間隔を空けて並べて設けられ、それぞれ対応する前記係合部に係合する少なくとも一対の被係合部とを有し、前記係合部に係合する前の前記被係合部の間隔を該係合部の間隔と相違させたことを特徴とする。
【0009】
本発明のワイパブレードは、一対の前記係合部を前記板ばねの長手方向の先端側に設けるとともに一対の前記被係合部を前記ブレードラバーの長手方向の先端側に設け、一対の前記係合部の間隔よりも一対の前記被係合部の間隔を狭くしたことを特徴とする。
【0010】
本発明のワイパブレードは、一対の前記係合部を前記板ばねの長手方向の中央部に設けるとともに一対の前記被係合部を前記ブレードラバーの長手方向の中央部に設け、一対の前記係合部の間隔よりも一対の前記被係合部の間隔を広くしたことを特徴とする。
【0011】
本発明のワイパブレードは、ワイパアームの先端に取り付けられ、車両のウインドガラスを払拭するワイパブレードであって、前記ワイパアームへの取付部が設けられるラバーホルダと、前記ラバーホルダに保持され、前記ウインドガラスに接するブレードラバーと、前記ウインドガラスに向けて湾曲して形成され、前記ブレードラバーに装着される板ばねと、前記ブレードラバーに装着され、前記ブレードラバーの長手方向に所定の間隔を空けて並ぶ2点間に張力を発生させて該ブレードラバーに前記ウインドガラスに向く曲げ力を加える曲げ力発生部材とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、湾曲する板ばねにブレードラバーによって弦方向の弾性力を加えることにより、当該板ばねの剛性を湾曲度合いを強める方向と湾曲度合いを弱める方向とで相違させることができる。これにより、板ばねによってブレードラバーに所定の押し付け荷重を加えつつ当該板ばねのウインドガラスから離れる方向への剛性を高めてブレードラバーのウインドガラスからの浮き上がりを防止して、このワイパブレードの払拭性を高めることができる。
【0013】
本発明によれば、係合部と被係合部とをワイパブレードの長手方向の先端側に設けるとともに一対の係合部の間隔よりも被係合部の間隔を狭くするようにしたので、ワイパブレードの先端側における板ばねのウインドガラスから離れる方向への剛性を高めることができる。これにより、車両の高速走行時等において浮き上がりを生じ易いブレードラバーの先端部のウインドガラスからの浮き上がりを防止して、このワイパブレードの払拭性を高めることができる。
【0014】
本発明によれば、係合部と被係合部とをワイパブレードの長手方向の中央部に設けるとともに一対の係合部の間隔よりも被係合部の間隔を広くするようにしたので、ワイパブレードの中央部における板ばねのウインドガラスから離れる方向への剛性をその先端側の剛性に比して低くすることができる。これにより、板ばねによってブレードラバーの先端側へ加える押し付け荷重を強く設定するようにしても、当該ブレードラバーの中央部のウインドガラスへの追従性を高めて、このワイパブレードの払拭性を高めることができる。
【0015】
本発明によれば、曲げ力発生部材によりブレードラバーにウインドガラスに向く曲げ力を加えるようにしたので、当該曲げ力によりブレードラバーのウインドガラスからの浮き上がりを防止して、このワイパブレードの払拭性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態であるワイパブレードを備えたワイパ装置の斜視図である。
【図2】図1に示すワイパブレードの分解斜視図である。
【図3】(a)、(b)はそれぞれ図2に示すラバーホルダに設けられる保持部の詳細を示す説明図である。
【図4】(a)〜(d)は、それぞれワイパブレードがフロントガラスに接する際のブレードラバーの形状の変化を示す説明図である。
【図5】バーテブラに設けられる係合凸片とブレードラバーに設けられる係合孔の詳細を示す一部切り欠き斜視図である。
【図6】バーテブラがブレードラバーに装着される前の係合凸片と係合孔の間隔を比較して示す説明図である。
【図7】バーテブラが装着された状態のブレードラバーの断面図である。
【図8】各係合凸片の間においてブレードラバーからバーテブラに加えられる弾性力を示す説明図である。
【図9】(a)、(b)は、それぞれは図1に示すワイパブレードの変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明の一実施の形態であるワイパブレードを備えたワイパ装置の斜視図であり、図2は図1に示すワイパブレードの分解斜視図であり、図3(a)、(b)はそれぞれ図2に示すラバーホルダに設けられる保持部の詳細を示す説明図である。
【0019】
図1に示すワイパ装置11は自動車等の車両12に設けられて当該車両12のフロントガラス(ウインドガラス)13を払拭するものであり、ワイパアーム14とワイパブレード15とを備えている。
【0020】
ワイパアーム14はアルミダイキャスト製のアームヘッド16を備え、このアームヘッド16の基端部はナット17により車体18に揺動自在に設けられるピボット軸21に固定されている。ピボット軸21はリンク機構(不図示)により車体18に搭載されたワイパモータ(不図示)に連結され、当該ワイパモータにより駆動されて所定の角度範囲で揺動する。アームヘッド16の先端には鋼板等により断面略コの字のアーム状に形成されたリテーナ22が連結軸23によりフロントガラス13に接近離反する方向に回動自在に連結され、このリテーナ22の先端には板状の棒材により形成されるアームステー24がカシメにより固定されている。リテーナ22の内部には連結軸23を軸心としてリテーナ22をフロントガラス13に向く方向に付勢するスプリング(不図示)が収容されており、このスプリングのバネ力により、ワイパアーム14はワイパブレード15にフロントガラス13に向く所定の押し付け力を加えるようになっている。
【0021】
図2に示すように、ワイパブレード15はラバーホルダ31、ブレードラバー32および一対の板ばねとしてのバーテブラ33を備えている。
【0022】
ラバーホルダ31はプライマリレバー34と一対のセカンダリレバー35とを備えており、プライマリレバー34は樹脂材料により断面略コの字(図3参照)のカバー状に形成され、その長さ寸法はブレードラバー32の半分程度とされている。プライマリレバー34の長手方向の中央部には取付部36が設けられ、プライマリレバー34つまりワイパブレード15はこの取付部36においてワイパアーム14のアームステー24の先端に取り付けられるようになっている。一対のセカンダリレバー35はそれぞれ樹脂材料により断面略コの字のカバー状に形成され、それぞれプライマリレバー34の長手方向の両端部に連結されている。
【0023】
図3(a)に示すように、プライマリレバー34の長手方向の一端側(ワイパブレード15をワイパアーム14に取り付けたときにピボット軸21に近い側)には一対の保持爪37aが設けられ、図3(b)に示すように、プライマリレバー34の長手方向の他端側には一対の保持爪37bが設けられている。なお、図3においては、プライマリレバー34の幅方向の一方側に設けられる保持爪37a,37bのみが図示されるが、プライマリレバー34の幅方向の他方側にも同様の保持爪37a,37bが設けられる。
【0024】
一方、図2、図3に示すように、ブレードラバー32は、ゴム材料により、断面矩形のヘッド部32aとリップ部32bおよびネック部32cを備えた長手方向に略一様な断面の棒状に形成され、フロントガラス13に沿う方向に湾曲自在となっている。ブレードラバー32の両側部にはそれぞれヘッド部32aとリップ部32bとの間に位置して長手方向に延びる保持溝38が設けられており、これらの保持溝32dにプライマリレバー34の保持爪37a,37bが係合することにより、ブレードラバー32はプライマリレバー34により2点保持されるようになっている。
【0025】
なお、ブレードラバー32のプライマリレバー34から長手方向の両側に突出した部分は、それぞれ対応するセカンダリレバー35により覆われる。また、車両12の走行時におけるワイパブレード15の空力特性を向上させるためにラバーホルダ31にはフィン39が設けられている。
【0026】
図3(a)に示すように、ブレードラバー32の保持溝32dには保持爪37aを長手方向から挟む一対のストッパ部38a,38bが設けられ、これらのストッパ部38a,38bにより保持爪37aはブレードラバー32に対して保持溝32dに沿う方向への移動が規制されている。つまり、ブレードラバー32は保持爪37aにより長手方向への位置決めが成された状態でプライマリレバー34に保持されている。一方、図3(b)に示すように、保持爪37bが係合する部分においてはブレードラバー32にはストッパ部は設けられておらず、保持爪37bは保持溝32dに沿って長手方向に移動自在となっている。つまり、ブレードラバー32は保持爪37bによってはプライマリレバー34に軸方向に移動自在に保持されている。
【0027】
図2に示すように、バーテブラ33は、それぞれブレードラバー32と同程度の長さ寸法の帯状の鋼板をロール加工等により塑性変形させることによりフロントガラス13に向けて湾曲する形状に形成されており、フロントガラス13のガラス面に垂直な方向に弾性変形自在となっている。なお、バーテブラ33は自然状態ではフロントガラス13よりも強く湾曲している。
【0028】
図3(a)、(b)に示すように、ブレードラバー32のヘッド部32aの両側部にはそれぞれ装着溝32eが設けられ、一対のバーテブラ33はそれぞれ対応する装着溝32eに装着される。これにより、ブレードラバー32はバーテブラ33とともにフロントガラス13に垂直な方向つまりその湾曲度合いを変化させる方向に弾性変形自在とされ、ワイパアーム14からワイパブレード15に加えられる押し付け力は、これらのバーテブラ33がフロントガラス13に沿って弾性変形することによりブレードラバー32の長手方向に分散される。
【0029】
なお、本実施の形態においては、バーテブラ33を鋼板により形成するようにしているが、これに限らず、所定の弾性を生じ得る材料であれば、例えば硬質の樹脂材など他の材料により形成するようにしてもよい。
【0030】
図4(a)〜(d)は、それぞれワイパブレードがフロントガラスに接する際のブレードラバーの形状の変化を示す説明図である。
【0031】
このワイパブレード15のブレードラバー32は自然状態つまりフロントガラス13に接触していないときには、図4(a)に示すように、フロントガラス13の払拭範囲における最大曲率よりもさらに大きな曲率でガラス面に向けて閉じる方向に湾曲している。この状態からワイパブレード15をフロントガラス13にセットすると、まずブレードラバー32の長手方向の両端部がフロントガラス13に接触する。ブレードラバー32の両端部がフロントガラス13に接触した状態でラバーホルダ31を介してワイパアーム14の押し付け力(図中矢印で示す)がブレードラバー32に加えられると、図4(b)に示すように、ブレードラバー32は長手方向の中央部がフロントガラス13に接触するようにM字形状に変形する。このとき、ブレードラバー32は保持爪37aにおいてはラバーホルダ31に対する軸方向の移動が規制され、保持爪37bにおいては軸方向への移動が許容されているので、ワイパアーム14からの押し付け力が増加するに伴ってフロントガラス13のガラス面に沿って変形することができる。そして、図4(c)に示すように、ブレードラバー32は次第にガラス面に沿う状態となるように変形し、フロントガラス13に完全にセットされたときには、図4(d)に示すように、ワイパアーム14からの押し付け力により長手方向全体がフロントガラス13のガラス面に接触する払拭姿勢となる。このとき、ブレードラバー32と同様にバーテブラ33もフロントガラス13に沿う形状に弾性変形するので、取付部36を介してラバーホルダ31に加えられるワイパアーム14の押し付け力はバーテブラ33の弾性変形によりブレードラバー32の長手方向に分散され、ブレードラバー32は長手方向に均一な分布圧でフロントガラス13に接触することになる。
【0032】
図5はバーテブラに設けられる係合凸片とブレードラバーに設けられる係合孔の詳細を示す一部切り欠き斜視図、図6はバーテブラがブレードラバーに装着される前の係合凸片と係合孔の間隔を比較して示す説明図である。また、図7はバーテブラが装着された状態のブレードラバーの断面図、図8は各係合凸片の間においてブレードラバーからバーテブラに加えられる弾性力を示す説明図である。
【0033】
バーテブラ33の長手方向の先端側(ワイパブレード15をワイパアーム14に取り付けたときにピボット軸21からより離れる先端側)には、それぞれ一対の係合凸片(係合部)41が設けられている。これらの係合凸片41はそれぞれバーテブラ33と一体に当該バーテブラ33の一方の側部から突出する矩形の板状に形成されており、図6に示すように、互いに長手方向に所定の間隔S1を空けて並べて配置されている。
【0034】
一方、ブレードラバー32の長手方向の先端側(ワイパブレード15をワイパアーム14に取り付けたときにピボット軸21からより離れる先端側)には、それぞれ一対の係合孔(被係合部)42が設けられている。これらの係合孔42はブレードラバー32の各装着溝32eを隔てる壁状の部分に形成され、当該壁状の部分を長手方向に直交する方向に貫通している。また、図6に示すように、一対の係合孔42は互いに長手方向に所定の間隔S2を空けて並べて配置されており、その間隔S2は一対の係合凸片41の間隔S1よりも狭くされている。
【0035】
各バーテブラ33はそれぞれ係合凸片41を内側(装着溝32eの底部側)に向けてブレードラバー32の装着溝32eに装着される。バーテブラ33が装着溝32eに装着されると、図7に示すように、各係合凸片41は対応する係合孔42に差し込まれ、当該係合孔42に係合する。
【0036】
ここで、バーテブラ33がブレードラバー32の装着溝32eに装着される前つまり係合凸片41が係合孔42に係合する前においては、一対の係合孔42の間隔S2は一対の係合凸片41の間隔S1よりも狭くされているので、一対の係合凸片41が対応する一対の係合孔42に係合すると、ブレードラバー32の各係合孔42の間の壁状の部分は一対の係合孔42の長手方向の間隔S2を一対の係合凸片41の長手方向の間隔S1に合わせるように長手方向に弾性変形して引き伸ばされることになる。そして、当該弾性変形により、バーテブラ33の長手方向に並ぶ係合凸片41の間には、ブレードラバー32からこれらを互いに近づける方向の弾性力が加えられることになる。つまり、図8に示すように、円弧状に湾曲するバーテブラ33には、ブレードラバー32から各係合凸片41を互いに近づける方向の弾性力が、係合凸片41と係合孔42の2点間に働き、バーテブラ33には曲げと圧縮力が生成できる。
【0037】
円弧状に湾曲するバーテブラ33にブレードラバー32から弦方向に向く弾性力が加えられると、バーテブラ33の当該先端側のフロントガラス13に向けて湾曲度合いを強める方向の弾性力が高められることになる。つまり、バーテブラ33はブレードラバー32に設けられる2点間つまり一対の係合孔42の間に張力を発生させてブレードラバー32にフロントガラス13に向く曲げ力を加える曲げ発生部材として機能する。
【0038】
一方、一対の係合凸片41にはその間隔(図8に示す2点間距離)を狭める方向の弾性力がブレードラバー32から加えられるので、バーテブラ33のフロントガラス13から離れる方向つまり湾曲度合いを弱める方向への弾性変形はブレードラバー32により規制されることになる。つまり、バーテブラ33の先端側のフロントガラス13から離れる方向への剛性は、長手方向に並ぶ係合凸片41の間隔がブレードラバー32に拘束されることにより高められることになる。これにより、ブレードラバー32をフロントガラス13のガラス面に追従させるためにバーテブラ33を必要な押し付け荷重を発生するように形成しても、そのバーテブラ33をフロントガラス13から離れる方向に弾性変形させるために必要な荷重を当該押し付け荷重よりも大きくすることができる。したがって、車両12の高速走行時等において走行風の影響によりワイパブレード15の先端側に揚力が発生しても、バーテブラ33の浮き上がり方向への剛性が高められているので、その揚力によってワイパブレード15の先端部がフロントガラス13のガラス面から浮き上がることを抑制して、当該ワイパブレード15の払拭性を高めることができる。
【0039】
このように、このワイパブレード15では、円弧状に湾曲するバーテブラ33にブレードラバー32によって2点間の弾性力を加えることにより、バーテブラ33の湾曲度合いを弱める方向の剛性を湾曲度合いを強める方向の剛性よりも高くすることができる。これにより、バーテブラ33によってブレードラバー32に所定の押し付け荷重を加えつつ当該バーテブラ33のフロントガラス13から離れる方向への剛性を高めて、ブレードラバー32のフロントガラス13からの浮き上がりを防止し、このワイパブレード15の払拭性を高めることができる。
【0040】
また、このワイパブレード15では、係合凸片41と係合孔42とをワイパブレード15の長手方向の先端側に設けるとともに一対の係合凸片41の間隔S1よりも係合孔42の間隔S2を狭くして、ワイパブレード15の先端側におけるバーテブラ33のフロントガラス13から離れる方向への剛性を高めるようにしたので、車両12の高速走行時等において浮き上がりを生じ易いブレードラバー32の先端部のフロントガラス13からの浮き上がりを防止して、このワイパブレード15の払拭性を高めることができる。
【0041】
図9(a)、(b)は、それぞれは図1に示すワイパブレードの変形例を示す説明図である。
【0042】
図1に示すワイパブレード15では、図2に示すように、一対の係合凸片41をバーテブラ33の長手方向の先端側に設け、一対の係合孔42をブレードラバー32の長手方向の先端側に設けるとともに、一対の係合凸片41の間隔S1よりも一対の係合孔42の間隔S2を狭くしている。
【0043】
これに対して、図9(a)に示す場合では、一対の係合凸片41をバーテブラ33の長手方向の中央部に設け、一対の係合孔42をブレードラバー32の長手方向の中央部に設けるとともに、一対の係合凸片41の間隔S1よりも一対の係合孔42の間隔S2を広くしている。つまり、図9(a)に示す場合では、バーテブラ33がブレードラバー32の装着溝32eに装着される前つまり係合凸片41が係合孔42に係合する前においては、一対の係合孔42の間隔S2は一対の係合凸片41の間隔S1よりも広くされているので、一対の係合凸片41が対応する一対の係合孔42に係合すると、ブレードラバー32の各係合孔42の間の壁状の部分は一対の係合孔42の長手方向の間隔S2を一対の係合凸片41の長手方向の間隔S1に合わせるように長手方向に押し潰される方向に圧縮されることになる。そして、当該弾性変形によりバーテブラ33の各係合凸片41の間にはブレードラバー32から互いに遠ざける方向の弾性力が加えられることになる。つまり、バーテブラ33の長手方向の中央部には、図8に示す場合とは反対に、その湾曲度合いを弱める方向の弾性力が加えられることになる。したがって、ワイパブレード15の中央部におけるバーテブラ33のフロントガラス13から離れる方向への剛性をその先端側の剛性に比して低くすることができ、これにより、バーテブラ33によってブレードラバー32の先端側へ加える押し付け荷重を強く設定するようにしても、当該ブレードラバー32の長手方向の中央部のフロントガラス13への追従性を高めて、このワイパブレード15の払拭性を高めることができる。
【0044】
なお、係合凸片41と係合孔42は、図6に示すようなワイパブレード15の先端側のみ、または図9(a)に示すワイパブレード15の中央部のみに限らず、図9(b)に示すように、図6に示す場合と図9(a)に示す場合とを組み合わせてワイパブレード15の長手方向の先端側と中央部の両方に設けるようにしてもよい。
【0045】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、前記実施の形態においては、ワイパブレード15は車両12のフロントガラス13を払拭するものとされているが、これに限らず、車両12のリアガラスなどを払拭するものであってもよい。
【0046】
また、前記実施の形態では、係合凸片41と係合孔42はそれぞれ一対設けられているが、これに限らず、それぞれを2つ以上設けるようにしてもよい。
【0047】
さらに、前記実施の形態においては、係合凸片41と係合孔42とをそれぞれワイパブレード15の先端側に設けているが、これに限らず、係合凸片41と係合孔42とをそれぞれワイパブレード15のワイパブレード15をワイパアーム14に取り付けたときにピボット軸21から近い側の先端側に設けるようにしてもよく、また、これら両方の先端側に設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
11 ワイパ装置
12 車両
13 フロントガラス(ウインドガラス)
14 ワイパアーム
15 ワイパブレード
16 アームヘッド
17 ナット
18 車体
21 ピボット軸
22 リテーナ
23 連結軸
24 アームステー
31 ラバーホルダ
32 ブレードラバー
32a ヘッド部
32b リップ部
32c ネック部
32d 保持溝
32e 装着溝
33 バーテブラ(板ばね、曲げ発生部材)
34 プライマリレバー
35 セカンダリレバー
36 取付部
37a,37b 保持爪
38a,38b ストッパ部
39 フィン
41 係合凸片(係合部)
42 係合孔(被係合部)
S1,S2 間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイパアームの先端に取り付けられ、車両のウインドガラスを払拭するワイパブレードであって、
前記ワイパアームへの取付部が設けられるラバーホルダと、
前記ラバーホルダに保持され、前記ウインドガラスに接するブレードラバーと、
前記ウインドガラスに向けて湾曲して形成され、前記ブレードラバーに装着される板ばねと、
前記板ばねに長手方向に所定の間隔を空けて並べて設けられる少なくとも一対の係合部と、
前記ブレードラバーに長手方向に所定の間隔を空けて並べて設けられ、それぞれ対応する前記係合部に係合する少なくとも一対の被係合部とを有し、
前記係合部に係合する前の前記被係合部の間隔を該係合部の間隔と相違させたことを特徴とするワイパブレード。
【請求項2】
請求項1記載のワイパブレードにおいて、一対の前記係合部を前記板ばねの長手方向の先端側に設けるとともに一対の前記被係合部を前記ブレードラバーの長手方向の先端側に設け、一対の前記係合部の間隔よりも一対の前記被係合部の間隔を狭くしたことを特徴とするワイパブレード。
【請求項3】
請求項1記載のワイパブレードにおいて、一対の前記係合部を前記板ばねの長手方向の中央部に設けるとともに一対の前記被係合部を前記ブレードラバーの長手方向の中央部に設け、一対の前記係合部の間隔よりも一対の前記被係合部の間隔を広くしたことを特徴とするワイパブレード。
【請求項4】
ワイパアームの先端に取り付けられ、車両のウインドガラスを払拭するワイパブレードであって、
前記ワイパアームへの取付部が設けられるラバーホルダと、
前記ラバーホルダに保持され、前記ウインドガラスに接するブレードラバーと、
前記ウインドガラスに向けて湾曲して形成され、前記ブレードラバーに装着される板ばねと、
前記ブレードラバーに装着され、前記ブレードラバーの長手方向に所定の間隔を空けて並ぶ2点間に張力を発生させて該ブレードラバーに前記ウインドガラスに向く曲げ力を加える曲げ力発生部材とを有することを特徴とするワイパブレード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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