説明

ワイパーブレード

【課題】 スポイラーの組み付けが簡易であり、さらに組み付け後の安定性の高いワイパーブレードを提供すること。
【解決手段】 本発明に係るワイパーブレード10は、払拭面に対して均一な付勢力を付加するための長尺形状のバーティブラ本体部11と、バーティブラ本体部11の下面側に設置されるリフィール2と、バーティブラ本体部11の上面に設置されて、空気の流れを調整して払拭面への付勢力伝達を補助するスポイラー15と、バーティブラ本体部11に配設されて、リフィール2を交換可能に保持するリフィール保持手段20aと、スポイラー15を保持するスポイラー保持手段23とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワイパーブレードに関するものであり、より具体的には、フラットワイパーの上部にスポイラーが設置されたワイパーブレードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のアームをトーナメント状に組み付けて構成されるワイパーブレードが広く知られている。一方で、今日では、複数のアームを用いることなく、一本の弓なりに湾曲した弾性のバーティブラ本体部にリフィールを設置することによりワイパーブレードを構成するフラットワイパーが考案されている(例えば、引用文献1参照)。
【0003】
図6は、フラットワイパー1の一例を示した斜視図であり、フラットワイパー1は、リフィール2と、リフィール2を挟持する一対のレール3、3と、レール3、3の両端部に設置されて一対のレール3,3を同時に保持する保持具4、4と、レール3、3の中央部に設置されてワイパーアームの端部が接続されるクリップベース5と、レール3、3上側に設置されるスポイラー6、6とを有している。
【特許文献1】特開2001−500091号公報(第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のフラットワイパー1では、スポイラー6が接着剤によりレール3等に貼着されることが多いため、スポイラー6を組み付けるために、接着−貼付−乾燥という工程が必要となり、組み付けに長時間を要するという問題があった。
【0005】
また、組み付けに接着剤を用いるため、接着剤のはみ出し等によって見栄えが低下するおそれがあるという問題があった。
【0006】
さらに、接着剤を用いるため接着箇所毎に接着力のバラツキが生じるおそれがあり、組み付け後の設置強度の安定性に乏しいという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、スポイラーの組み付けが簡易であり、さらに組み付け後の安定性の高いワイパーブレードを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
払拭面に対して均一な付勢力を付加するための長尺形状のバーティブラ本体部と、該バーティブラ本体部の下面側に設置されるリフィールと、前記バーティブラ本体部の上面に設置されて、空気の流れを調整して払拭面への付勢力伝達を補助するスポイラーと、前記バーティブラ本体部に配設されて、前記リフィールを交換可能に保持するリフィール保持手段と、前記スポイラーを保持するスポイラー保持手段とを有するホルダーとを備えることを特徴とする。
【0009】
さらに、前記スポイラーの下面には、前記バーティブラ本体部及び前記ホルダーを収納する凹所が形成され、該凹所の天井面に前記スポイラー保持手段に係合する係合手段が設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
上記ワイパーブレードによれば、スポイラーの係合手段をホルダーの保持手段に係合させることにより、スポイラーをバーティブラ本体部に機構的に組み合わせによって取り付けることが可能となり、従来のように接着剤を用いる必要が無くなるので、接着剤のはみ出し等により見栄えを損なうおそれがない。
【0011】
また、接着剤を用いる場合に必要とされる、接着−貼付−乾燥という工程が必要なくなるので、組み付けに工程の短縮化を図ることが可能となる。
【0012】
さらに、接着剤を用いないので、接着剤を用いたときのように接着力のバラツキが生じるおそれがないので、組み付け後の取付強度が安定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係るワイパーブレードを、図面を用いて詳述する。
【0014】
図1に示すように、ワイパーブレード10は、リフィール2と、バーティブラ本体部11と、10個のホルダー12と、クリップベース13と、クリップベースカバー14と、2本のスポイラー15と、2つのスポイラーキャップ16とを備えている。
【0015】
バーティブラ本体部11は、弾性を有する長尺金属板で構成されており、長尺方向に対して弓なりに湾曲した形状を呈している。バーティブラ本体部11は、円柱状に形成された弾性金属棒を径方向に圧縮することによって平らに加工したものである。このように加工することによって、角部が存在しない滑らかな断面形状を形成することが可能となるとともに、弓なりに湾曲させた長尺板の中央部を押し下げて平らにした場合に、バーティブラ本体部11の下面に加えられる付勢力を均等にすることが容易となる。
【0016】
リフィール2は、図5(b)に示すように、ホルダー12により保持される頭部2bと、頭部2bの下方に形成される逆三角形状のラバー本体部2dとを有しており、頭部2bとラバー本体部2dとは首部(ネック)2aで連結されている。また、ラバー本体部の下端にはウィンドウ面に圧接するエッジ部2cが形成されている。
【0017】
ホルダー12は、図2、3に示すように、矩形板材の両側部を2段階にL字状に折り込んで断面視逆凸字状を呈するように加工して形成されており、逆凸字状部先端(下端)にはリフィール2の首部2aを通す切り欠き20が形成され、逆凸字状部の上面21端部にはスポイラー15を保持する一対の保持爪(スポイラー保持手段)23が形成されている。
【0018】
両側部をL字状に折り込むことによって逆凸字状部の上部に形成される第1空間24には、バーティブラ本体部11を挿通することが可能となっており、バーティブラ本体部11を挿通するために必要な横幅寸法及び高さ寸法が確保されている。第1空間24の下側に位置し、さらに両側部をL字状に折り込むことによって逆凸字状部の下部に形成される第2空間25には、リフィール2の頭部2b(図5(b)参照)を挿通させることが可能となっており、切り欠き20の周縁部両端(リフィール保持手段)20aがリフィール2の頭部20b下側を支えることによってリフィール2がホルダー12から抜け落ちない構造となっている。また、逆凸字状部の上面に形成される保持爪23は、上面21端部から立設するようにして形成された一対のΓ状(鉤状)の爪によって構成されており、この保持爪23、23の間に後述するスポイラー10の保持片(係合手段)31を係合させることによって、ホルダー12にスポイラー10が固定される。なお、ホルダー12は、バーティブラ本体部11に等間隔を保つようにして予め固着(配設)される。
【0019】
クリップベース13は、バーティブラ本体部11を側方から挟み込んで挟持することによって、バーティブラ本体部11の中央に固定される。クリップベース13には、バーティブラ本体部11の側端部より立設された双壁部13aが形成されており、この双壁部13aに架設される軸部にワイパーアームの端部を固定することによってワイパーブレード10が車両に取り付けられる。クリップベース13には、角部にRが形成されたプラスチック製のクリップベースカバー14が装着される。なお、クリップベース13もホルダー12と同様に、バーティブラ本体部11に予め設置される。
【0020】
スポイラー15は、図4(a)に示すように、バーティブラ本体11の約半分の長さの長尺物であって、ゴム等の弾性体によって形成されている。ワイパーブレード10に設置された場合に車両前方側に位置するスポイラー15の外側面15aは、図4(b)に示すように、傾斜面によって構成され、上面略中央部には、長手方向に延びる低リブ15bが形成され、さらに上面の後端部には、低リブ15bに平行に形成された高リブ15cが立設されている。外側面15aの傾斜面は、車両走行時にスポイラーにあたる空気の流れを低リブ15b及び高リブ15cへスムースに流し、流れてきた空気を低リブ15b及び高リブ15cが受けてワイパーブレード10全体に均一な圧力を加えることによって、ウィンドウ面に加えられる付勢力の補助を行う。
【0021】
スポイラー15の底面部には、ホルダー12の形状に応じて逆凸字形状に形成されて長手方向に延設される凹所30が形成されており、凹所30の中央部には、ホルダー12の保持爪23に係合する断面視逆T字形状の保持片31が長手方向に延設されている。スポイラー11の保持片31とホルダー12の保持爪23とが係合し、スポイラー11がホルダー12に設置されると、スポイラー15の凹所30の開口30aからリフィール2のエッジ部2cが露呈した状態で、バーティブラ本体部11とホルダー12とが凹所30内に収納される。
【0022】
スポイラーキャップ16は、スポイラー15の低リブ15b及び高リブ15cを収納する収納スペースが形成されており、バーティブラ本体部11の端部に設置されたときに、リフィール2の端部及びスポイラー15の端部を覆うようにして装着される。
【0023】
次に、予めクリップベース13及びホルダー12が固着されたバーティブラ本体11に対して、リフィール2及びスポイラー15を取り付ける手順を説明する。
【0024】
まず、バーティブラ本体部11の端部側に設置されるホルダー12から順番にリフィール2の頭部2bを、図5(b)に示すように、ホルダー12の第2空間25に挿通させることによって、リフィール2をバーティブラ本体部11に取り付ける。
【0025】
次に、スポイラー15の凹部30にバーティブラ本体部11、ホルダー12及びリフィール2の頭部2bを収納させるようにして、各ホルダー12の保持爪23に断面視逆T字形状の保持片31を挿通させて係合させることによって、スポイラー15をホルダー12を介してバーティブラ本体部11の上面に取り付けることが可能となる(図5(a)参照)。
【0026】
以上説明したように、スポイラー15の保持片31をホルダー12の保持爪23で保持することによりスポイラー15をバーティブラ本体部11に機構的組み合わせによって取り付けることが可能となり、従来のように接着剤を用いる必要が無くなるので、接着剤のはみ出し等により見栄えを損なうおそれがない。
【0027】
また、接着剤を用いる場合に必要とされる、接着−貼付−乾燥という工程が必要なくなるので、組み付け工程の短縮化を図ることが可能となる。
【0028】
さらに、接着剤を用いないので、接着剤を用いたときのように接着力のバラツキが生じるおそれがなく、組み付け後の取付強度が安定する。
【0029】
以上、本発明に係るワイパーブレードを、図面を用いて説明したが、本発明に係るワイパーブレードは上述したものに限定されるものではなく、スポイラーがホルダーに接着剤等を用いることなく機構的に取り付けられる構造であるならば、保持爪と保持片以外の係合構造であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るワイパーブレードを示した展開斜視図である。
【図2】ホルダーを示した斜視図である。
【図3】ホルダーを示した図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図である。
【図4】スポイラーを示した図であって、(a)は斜視図、(b)は(a)に示すA−A断面を示した断面図である。
【図5】本発明に係るワイパーブレードを示した図であって、(a)は斜視図、(b)は(a)に示すB−B断面を示した断面図である。
【図6】従来のフラットワイパーを示した斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
2 リフィール
10 ワイパーブレード
11 バーティブラ本体部
12 ホルダー
13 クリップベース
15 スポイラー
20a 切り欠きの周縁部両端(リフィール保持手段)
23 保持爪(スポイラー保持手段)
31 保持片(係合手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
払拭面に対して均一な付勢力を付加するための長尺形状のバーティブラ本体部と、
該バーティブラ本体部の下面側に設置されるリフィールと、
前記バーティブラ本体部の上面に設置されて、空気の流れを調整して払拭面への付勢力伝達を補助するスポイラーと、
前記バーティブラ本体部に配設されて、前記リフィールを交換可能に保持するリフィール保持手段と、前記スポイラーを保持するスポイラー保持手段とを有するホルダーと
を備えることを特徴とするワイパーブレード。
【請求項2】
前記スポイラーの下面には、前記バーティブラ本体部及び前記ホルダーを収納する凹所が形成され、該凹所の天井面に前記スポイラー保持手段に係合する係合手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のワイパーブレード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−69425(P2006−69425A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−257006(P2004−257006)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】