説明

ワイパーブレード

【課題】雪用ワイパーブレードにおいて、ワイパーブレードの浮き上がりの防止により、高速走行時における性能が向上されるとともに、外観が向上されたワイパーブレードを提供する。
【解決手段】ワイパーブレード1において、プライマリーレバー11にフィン部26を設け、フィン部26がフード3の外側に配置されることにより、走行中にフィン部26で風を受けられるようにした。プライマリーレバー11の両側にセカンダリーレバー12を備え、フード3は、セカンダリーレバー12の全体と、プライマリーレバー11とセカンダリーレバー12との連結部分とを覆うものとすることにより、ワイパーブレード1においてフード3で覆われる部分を少なくした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパー装置において用いられるウインターブレード(雪用ワイパーブレード)に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイパー装置に備えられるワイパーブレードには、降雪地等で用いられるウインターブレード(雪用ワイパーブレード)がある。一般に、ワイパーブレードは、ブレードラバーと、ブレードラバーを支持するレバー部材とから構成されるが、ウインターブレードにおいては、レバー部材の全体がゴム製のフード(ゴム製の筒部材)に覆われ、これにより、フード内部への雪の進入(浸水)や、フード内部における凍結が防止されるようになっている。
【0003】
図8には、このような従来の雪用ワイパーブレードを示す。図示されるように、ワイパーブレード101は、ブレードラバー104及びワイパーアーム(図示せず)との連結のための結合部材105以外の全体が、フード103により覆われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の雪用ワイパーブレード101においては、ワイパーブレード101の略全体がゴム製のフード103により覆われていたので、ワイパーブレード101を装着した自動車等の走行時において、フード103が風を受けやすく、高速走行時における風によるワイパーブレード101の浮き上がり、すなわちワイパーブレード101が払拭すべき被払拭面(例えば自動車のガラス面)から上方に引き離されてしまう現象が生じやすかった。このようなワイパーブレード101の浮き上がりを防止するためには、ワイパーブレード101に対して、高速走行時の風を受けるためのフィン部材を外付けする必要があり、部品点数の増加や、装置の大型化を招いていた。また、略全体がフード103で覆われた状態のワイパーブレード101は、外観的にも、見栄えの良いものとは言えなかった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、雪用ワイパーブレードにおいて、ワイパーブレードの浮き上がりの防止により、高速走行時における性能が向上されるとともに、外観が向上されたワイパーブレードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ブレードラバーと、前記ブレードラバーを支持するレバー部材と、前記レバー部材を覆うフードとを備えたワイパーブレードにおいて、前記レバー部に、走行中の風を受けるためのフィン部を設け、前記フィン部を、前記フードの外側に配置するようにした。
【0007】
前記レバー部は、ワイパーブレードの長手方向の略中央に配置されるプライマリーレバーと、プライマリーレバーに取り付けられた下位のレバーとからなり、前記フィン部は、プライマリーレバーに設けられているようにしてもよい。
【0008】
前記フードは、前記下位のレバーの全体と、前記プライマリーレバーと前記下位のレバーとの連結部分とを覆っているようにしてもよい。
前記プライマリーレバーは、ワイパーアームとの連結部である中央部と、前記中央部の長手方向の両側に延びる腕部とを備え、前記フィン部は、前記腕部から延び出しているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フード(例えばフード3)を備えたワイパーブレード(例えばワイパーブレード1)において、レバー部材(例えばプライマリーレバー11)にフィン部(例えばフィン部26)を設け、フィン部がフードの外側に配置されるようにしたので、ワイパーブレードに対して外付けのフィン部材を設けなくても、走行中にワイパーブレードに吹きつける風をフィン部で受けることができ、ワイパーブレードの浮き上がりを適切に防止することができる。したがって、外付けのフィンが必要でなくなる分、部品点数を削減でき、またワイパーブレードをコンパクト化しつつ、ワイパーブレードの高速走行時における性能を向上させることができる。
【0010】
また、レバー部材を、プライマリーレバー(例えばプライマリーレバー11)と、下位のレバー(例えばセカンダリーレバー12)とから構成し、プライマリーレバーにフィン部を設けるとともに、フードが、下位のレバーの全体と、プライマリーレバーと下位のレバーとの連結部分とを覆うようにすれば、ワイパーブレード内部への浸水(雪の侵入)等を適切に防止しつつ、ワイパーブレードにおけるフードで覆われた部分を少なくできる。したがって、ワイパーブレードの外観が向上するとともに、走行中にフードが風を受けることによるワイパーブレードを浮き上がらせようとする作用も低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1には、本発明の実施形態におけるワイパーブレードの全体構成を示す。図示されるように、ワイパーブレード1は、ブレード本体2と、ブレード本体2の一部を覆うフード3とから構成される。
【0012】
図2から図4にも示すように、ブレード本体2は、ブレード本体2の長手方向の略中央部に配置されたプライマリーレバー11と、プライマリーレバー11の両側に回動可能に連結されたセカンダリーレバー12と、ブレードラバー14とを備えている。
【0013】
プライマリーレバー11及びセカンダリーレバー12は、ブレードラバー14を支持するためのレバー部材であり、例えば樹脂から形成されたものである。ブレードラバー14は、ワイパー装置の使用時に、被払拭面(例えば自動車のガラス面)に沿って配置され、被払拭面を払拭するゴム製の長尺部材であり、プライマリーレバー11及びセカンダリーレバー12の下端部分に装着され、支持されている。
【0014】
プライマリーレバー11の長手方向の略中央部には、図示されないワイパーアームとの連結のための結合部材15が備えられている。また、セカンダリーレバー12の外側の端部(プライマリーレバー11と反対側の端部)には、キャップ部材16が備えられている。
【0015】
図5から図7にも示すように、プライマリーレバー11は、中央部21と、中央部21の両側の腕部22とから構成される。中央部21には、上方から開口した開口部23が形成されており、この開口部23内には、取り付けピン24が設けられている。これにより、結合部材15が、取り付けピン24に装着され、開口部23内に配置されるようになっている。
【0016】
腕部22は、中央部21よりも高さの低い板状の部分であり、中央部21から長手方向の両側に延び出している。腕部22の外側の端部(中央部21と反対側の端部)には、セカンダリーレバー12が連結される連結部25が設けられている。
【0017】
腕部22には、それぞれフィン部26が設けられている。フィン部26は、腕部22の長手方向に沿った側辺の一方から上方(ブレードラバー14と反対方向)に延び出した壁状の部分であり、腕部22の上面に対して略垂直な方向に延在している。フィン部26は、腕部22の長手方向の略全域にわたるもので、フィン部26の上端26Aは、中央部21の上端の両側から、連結部25付近まで、なだらかに湾曲しながら延びている。なお、フィン部26の表面及び腕部22の上面は、風受けのために適切な形状を有するように形成されている。
【0018】
図1に示すように、フード3は、例えばゴム製の部材であり、2つのセカンダリーレバー12全体と、プライマリーレバー11の両端部分(連結部25)と、プライマリーレバー11の両側側面の一部(ブレードラバー14に隣接する部分全体)とを覆っている。フード3の両端の開放部3Aは、セカンダリーレバー12の端部に設けられたキャップ部材16に接着されている。また、フード3の内側の開放部3Bは、プライマリーレバー11の両端部外周に接着されている。これにより、プライマリーレバー11とセカンダリーレバー12との連結部分や、プライマリーレバー11及びセカンダリーレバー12とブレードラバー14との間の部分等への雪の侵入等が、フード3により適切に防止されるようになっている。
【0019】
一方、プライマリーレバー11の大部分は、フード3に覆われておらず、フィン部26は、フード3の外側に配置された状態となっている。このようにフード3の外側に配置されたフィン部26は、ワイパーブレード1を装着した自動車の走行中に、ワイパーブレード1に対する風を受けて、ワイパーブレード1に吹きつける風が、ワイパーブレード1を下方(被払拭面方向)を押す方向に流れるように整流する。これにより、ワイパーブレード1の浮き上がりが、適切に防止され、高速走行時におけるワイパーブレード1の性能が向上されるようになっている。
【0020】
以上のように、本実施形態のワイパーブレード1によれば、プライマリーレバー1に設けられたフィン部26が、フード3の外側に配置されているので、ワイパーブレード1に対して外付けのフィン部材を取り付けなくても、走行中にワイパーブレード1に吹きつける風をフィン部26で受けることができ、ワイパーブレード1の浮き上がりを適切に防止することができる。したがって、外付けのフィンが必要でなくなる分、部品点数を削減でき、またワイパーブレード1をコンパクト化しつつ、ワイパーブレード1の高速走行時における性能を向上させることができる。また、ブレード本体2のフード3で覆われた部分を少なくできるので、ワイパーブレード1の外観が向上するとともに、走行中にフード3が風を受けることによるワイパーブレード1を浮き上がらせようとする作用も低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態におけるワイパーブレードの全体構成を示す斜視図である。
【図2】同じくブレード本体を示す背面図である。
【図3】同じくブレード本体を示す平面図である。
【図4】同じくブレード本体を示す正面図である。
【図5】同じくプライマリーレバーを示す平面図である。
【図6】同じくプライマリーレバーを示す図であり、図5のA方向から見た断面図である。
【図7】同じくプライマリーレバーを示す図であり、図5のB方向から見た断面図である。
【図8】従来のワイパーブレードを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
1 ワイパーブレード
2 ブレード本体
3 フード
11 プライマリーレバー
12 セカンダリーレバー
14 ブレードラバー
15 結合部材
16 キャップ部材
21 中央部
22 腕部
25 連結部
26 フィン部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレードラバーと、前記ブレードラバーを支持するレバー部材と、前記レバー部材を覆うフードとを備えたワイパーブレードにおいて、
前記レバー部に、走行中の風を受けるためのフィン部を設け、前記フィン部を、前記フードの外側に配置するようにしたことを特徴とするワイパーブレード。
【請求項2】
前記レバー部は、ワイパーブレードの長手方向の略中央に配置されるプライマリーレバーと、プライマリーレバーに取り付けられた下位のレバーとからなり、前記フィン部は、プライマリーレバーに設けられている請求項1に記載のワイパーブレード。
【請求項3】
前記フードは、前記下位のレバーの全体と、前記プライマリーレバーと前記下位のレバーとの連結部分とを覆っている請求項2に記載のワイパーブレード。
【請求項4】
前記プライマリーレバーは、ワイパーアームとの連結部である中央部と、前記中央部の長手方向の両側に延びる腕部とを備え、前記フィン部は、前記腕部から延び出している請求項2又は請求項3に記載のワイパーブレード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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