説明

ワイパ装置及びワイパ装置の取付け方法

【課題】ワイパモータが作業者の意に反して作動したとしても、ワイパ装置の作動を阻止することができるワイパ装置及びそのワイパ装置の組付け方法を得る。
【解決手段】ワイパ装置10は、一対の第1ピボット軸12及び第2ピボット軸14を回動自在に支持する一対の第1ピボットホルダ16及び第2ピボットホルダ18と、この第1ピボットホルダ16と第2ピボットホルダ18とを連結するフレーム20と、フレーム20に固定され出力軸22eが回転運動するワイパモータ22と、このワイパモータ22の出力軸22eの回転運動を揺動運動に変換して、該揺動運動を第1ピボット軸12及び第2ピボット軸14に伝達するリンク機構24と、を備えたワイパ装置において、リンク機能の作動を妨げるストッパ部材36をフレーム20に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のウインドシールドガラスを払拭するワイパ装置及びワイパ装置の取付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイパモータと、ワイパが固定されるピボット軸及びピボット軸を回転可能に支持する一対のピボットホルダと、一方のピボットホルダと他方のピボットホルダとを連結するフレームと、ワイパモータの回転を両ピボット軸に伝達するリンク機構等とが一体に組みつけられた所謂モジュール型ワイパ装置が知られている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−237942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなモジュール型ワイパ装置では、工場における検査工程や車体への組付けを行う際に、ワイパモータのコネクタ(雌コネクタ)に電源を供給するための外部コネクタが(雄コネクタ)が接続され、ワイパ装置の動作確認やワイパモータの出力軸に固定されたクランクアーム(リンク機構)の初期位置の設定が行われる。
【0005】
しかしながら、上記外部コネクタが接続された際に、ワイパモータが作業者の意に反して作動すると、リンク機構も同時に作動してしまう。この場合、リンク機構等が周囲の検査機器や組付け冶具その他車体部品等に干渉してしまう虞があった。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、ワイパモータのコネクタに電源を供給するための外部コネクタが接続された際に、ワイパモータが作業者の意に反して作動したとしても、ワイパ装置の作動を阻止することができるワイパ装置及びそのワイパ装置の組付け方法を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の本発明に係るワイパ装置は、先端にワイパアームが固定されるピボット軸を回動自在に支持する少なくとも一対のピボットホルダと、前記少なくとも一対のピボットホルダを相互に連結するフレームと、前記フレームに固定され出力軸が回転運動するワイパモータと、前記ワイパモータの出力軸の回転運動を揺動運動に変換して、該揺動運動を前記一のピボットホルダに支持されたピボット軸及び前記他の一のピボットホルダに支持されたピボット軸に伝達するリンク機構と、前記フレーム又は前記ワイパモータに対して着脱可能に設けられ、前記リンク機構に当接することによりリンク機構の作動を妨げるストッパ部材と、を有することを特徴とする。
【0008】
請求項1記載の本発明では、ストッパ部材がフレーム又はワイパモータに取り付けられている。そのため、ワイパモータのコネクタに電源を供給するための外部コネクタが接続された際に、ワイパモータが作業者の意に反して作動したとしても、リンク機構が上記ストッパ部材に当接する。その結果、該リンク機構はそれ以上作動することができない。即ち、ワイパモータが作業者の意に反して作動したとしても、ワイパ装置の作動を該ストッパ部材によって阻止することができる。
【0009】
請求項2記載の本発明に係るワイパ装置は、請求項1記載のワイパ装置において、前 前記ストッパ部材は、前記ワイパモータの出力軸方向に沿って着脱可能となっていることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の本発明では、ストッパ部材がワイパモータの軸方向に向けて着脱可能となっているため、リンク機構がストッパ部材に当接しても、該ストッパ部材が外れる方向に作用する力は極めて小さくなる又は加わらない。即ち、リンク機構がストッパ部材に当接することによるストッパ部材の外れをより確実に防止することができる。
【0011】
請求項3記載の本発明に係るワイパ装置は、請求項1又は請求項2記載のワイパ装置において、前記ストッパ部材には、前記リンク機構と前記ストッパ部材とが当接した状態において、前記リンク機構の一部と前記フレーム又は前記ワイパモータとの間に延出する延出部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の本発明では、上記構成の延出部がストッパ部材に設けられている。そのため、ワイパモータのコネクタに電源を供給するための外部コネクタを接続した際、作業者の意に反してワイパモータが作動してリンク機構がストッパ部材に当接している状態においては、該ストッパ部材を取外そうとすると、上記延出部がリンク機構に引っ掛かり、該ストッパ部材を取外すことができない。該ストッパ部材を取外すためには、作業者は一旦、ワイパモータへの電源の供給を遮断してワイパモータの回転力の作用を解放することが必要である。即ち、作業者の意に反したワイパ装置の作動を阻止したストッパ部材を取外した際に、急にリンク機構が作動することを防止できる。
【0013】
請求項4記載の本発明に係るワイパ装置は、請求項3記載のワイパ装置において、前記ストッパ部材は、前記リンク機構の作動領域内に設けられると共に、前記ワイパモータの出力軸に平行な軸線を中心として回動可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の本発明では、ストッパ部材がワイパモータの出力軸に平行な軸線を中心として回動可能に取り付けられている。そのため、リンク機構の作動に対して、ストッパ部材がそのリンク機構の作動方向に対向するように当接して、リンク機構の作動をしっかりと受止められるようにストッパ部材の組付姿勢を調節することができる。その結果、リンク機構がストッパ部材に当接する位置を狙い通りの位置に調節することができる。
【0015】
請求項5記載の本発明に係るワイパ装置は、請求項4記載のワイパ装置において、前記ストッパ部材の前記ワイパモータの出力軸方向と直交する方向の一部には、前記リンク機構を逃げる逃げ部が設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の本発明では、ストッパ部材にはリンク機構を逃げる逃げ部が設けられているため、ストッパ部材をフレーム等に取り付けて回動させて組付け姿勢を調整する際に延出部が邪魔にならず、ストッパ部材の組付け性を向上させることができる。
【0017】
請求項6記載の本発明に係るワイパ装置は、請求項4又は請求項5記載のワイパ装置において、前記フレーム又は前記ワイパモータは前記ストッパ部材が前記出力軸に平行な軸線周りに回動可能に装着される装着部を有すると共に、前記ストッパ部材は前記装着部に装着される被装着部を有し、前記装着部には前記ストッパ部材が前記装着部に装着された状態において前記ストッパ部材を前記装着部に着脱可能な位置に規制する第1係止部及び前記ストッパ部材の前記延出部が前記リンク機構の一部と前記フレーム又は前記ワイパモータとの間に延出されかつ前記ストッパ部材を前記リンク機構の作動を妨げる位置に規制する第2係止部が設けられると共に、前記被装着部には前記ストッパ部材が前記出力軸に平行な軸線周りに回動されて前記第1係止部及び前記第2係止部のうちいずれかに選択的に係止される被係止部が設けられたことを特徴とする。
【0018】
ところで、ワイパ装置が車体の組立ライン等に搬送される際や車体に組み付けられる際に、作業者が意図せずストッパ部材に触れてしまうことが考えられる。この場合、ストッパ部材が装着部周りに回転してしまい、ストッパ部材が装着部から外れてしまう虞がある。しかしながら、請求項6記載の本発明では、装着部に設けられた第2係止部がストッパ部材の被係止部に係止されている状態において、作業者が意図せずストッパ部材に触れてしまったとしても、ストッパ部材が装着部周りに回転してしまうことが抑制される。その結果、ストッパ部材が装着部から外れてしまうことを抑制することができる。
【0019】
請求項7記載の本発明に係るワイパ装置は、請求項6記載のワイパ装置において、前記ストッパ部材には、該ストッパ部材を前記装着部周りに回動させる工具が係合される工具装着用係合部が設けられたことを特徴とする。
【0020】
ここで、第1係止部が被係止部に係止されている状態から第2係止部が被係止部に係止されている状態まで、あるいは第2係止部が被係止部に係止されている状態から第1係止部が被係止部に係止されている状態までストッパ部材を装着部周りに回動させる場合、第1係止部と被係止部との係止又は第2係止部と被係止部との係止を解くために比較的大きな回転力を要する場合がある。しかしながら、請求項7記載の本発明では、工具装着用係合部が設けられているため、作業者の誰もがストッパ部材を容易に取り扱うことが可能となる。
【0021】
請求項8記載の本発明に係るワイパ装置の取付け方法は、請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の前記ワイパ装置を車体に取付ける第1工程と、前記ワイパモータに電源を供給する外部コネクタを接続する第2工程と、前記第1工程及び前記第2工程を経た後に、前記ストッパ部材を前記フレーム又は前記ワイパモータから取外す第3工程と、を有することを特徴とする。
【0022】
請求項8記載の本発明では、請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載のワイパ装置を車体に組付けるにあたり、上記第1工程、第2工程及び第3工程を経る。そのため、第2工程を行った際に、ワイパモータが作業者の意に反して作動したとしても、リンク機構はストッパ部材に当接し、ワイパ装置の作動を該ストッパ部材によって阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態に係るワイパ装置を示す平面図である。
【図2】第1実施形態に係るワイパ装置を示す側面図である。
【図3】図1のB−B線に沿った断面図である。なお、フレーム、ストッパ部材、及びクランクアーム以外の要素の図示は省略してある。
【図4】ストッパ部材を示す拡大斜視図である。
【図5】(A)はストッパ部材の側面図であり、(B)はストッパ部材の平面図であり、(C)はストッパ部材の底面図である。
【図6】第1実施形態に係るワイパ装置において、ストッパ部材をフレームに嵌合させた状態を示す平面図である。
【図7】第2実施形態に係るワイパ装置を示す平面図である。
【図8】第2実施形態に係るワイパ装置を示す側面図である。
【図9】第3実施形態に係るワイパ装置を示す平面図である。
【図10】第3実施形態に係るワイパ装置を示す側面図である。
【図11】(A)は第4実施形態に係るワイパ装置の突起部周辺を示す拡大斜視図であり、(B)は第4実施形態に係るワイパ装置の突起部周辺を示す拡大平面図である。
【図12】(A)はストッパ部材を示す拡大斜視図であり、(B)は(A)に示されたストッパ部材の底面から見た拡大斜視図である。
【図13】(A)はストッパ部材の側面図であり、(B)はストッパ部材の平面図であり、(C)はストッパ部材の底面図である。
【図14】(A)はストッパ部材が突起部における着脱可能位置に装着される前の状態を示す拡大斜視図であり、(B)はストッパ部材が突起部周りに回動されている状態を示す拡大斜視図であり、(C)はストッパ部材が突起部における規制位置に装着された状態を示す拡大斜視図である。
【図15】(A)はストッパ部材が突起部における着脱可能位置に装着された状態を示す拡大断面図であり、(B)はストッパ部材が突起部周りに回動されている状態を示す拡大断面図であり、(C)はストッパ部材が突起部における規制位置に装着された状態を示す拡大断面図である。
【図16】ワイパ装置が車体に組付けられた状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
図1〜図6を用いて、本発明の第1実施形態に係るワイパ装置10について説明する。
【0025】
図1及び図2に示されるように、ワイパ装置10は、先端にワイパアームが固定される一対の第1ピボット軸12及び第2ピボット軸14を回動自在に支持する一対の第1ピボットホルダ16及び第2ピボットホルダ18と、この第1ピボットホルダ16と第2ピボットホルダ18とを連結するフレーム20と、を備えている。また、ワイパ装置10は、フレーム20に固定され出力軸22eが一方向に回転運動するワイパモータ22と、このワイパモータ22の出力軸22eの一方向回転運動を往復揺動運動に変換して、該往復揺動運動を第1ピボット軸12及び第2ピボット軸14に伝達するリンク機構24と、を備えている。さらに、ワイパ装置10は、リンク機構の作動を妨げるストッパ部材36を備えている。以上の要素を主要な構成として、ワイパ装置10は構成されている。
【0026】
以下に、ワイパ装置10を構成する各々の要素について説明する。
【0027】
第1ピボットホルダ16は、金属材料(例えば、アルミニウム合金)を用いてダイカスト成形によって形成されたものであり、支承部16aを備えている。第1ピボット軸12が支承部16aに挿通されることにより、支承部16aは第1ピボット軸12を回転可能に支持している。なお、第1ピボット軸12の先端部には、図示しないワイパアーム&ブレードが取り付けられ、第1ピボット軸12の回転によってこのワイパアーム及びワイパブレードが所定範囲で往復回動するようになっている。また、支承部16aには、第1ピボット軸12の径方向に沿って、固定部16bが一体に設けられている。この固定部16bの先端には、取付部16cが設けられている。取付部16cには、ゴム等の弾性材料から成る支持グロメット16dが取り付けられており、支持グロメット16dに挿通された図示しない取付ボルトによって、第1ピボットホルダ16が図示しない車体に固定される構成である。すなわち、支持グロメット16dは、第1ピボットホルダ16を車体に対してフローティング支持している。さらに、固定部16bの反対側には、ジョイント40を介して以下に説明するフレーム20の第1延在部20bと接合される接合部16eが設けられている。
【0028】
また、第2ピボットホルダ18は、第1ピボットホルダ16と同様に、金属材料によるダイカスト成形によって形成されたものであり、支承部18aを備えている。第2ピボット軸14が支承部18aに挿通されることにより、支承部18aは第2ピボット軸14を回転可能に支持している。また、支承部18aには、第2ピボット軸14の径方向に沿って、固定部18bが一体に設けられている。この固定部18bの先端には、取付部18cが設けられている。取付部18cには、前記第1ピボットホルダ16の取付部16cと同様にゴム等の弾性材料から成る支持グロメット18dが取り付けられており、支持グロメット18dに挿通された図示しない取付ボルトによって、第2ピボットホルダ18が図示しない車体に固定される構成である。
【0029】
フレーム20は、以下に説明するワイパモータ22が取付けられるフレーム基部20aと、該フレーム基部20aの端部から延出する第1延在部20b、第2延在部20c、及び第3延在部20dと、を備えることによりワイパ装置10の骨格を成している。
【0030】
具体的には、フレーム基部20aには、ワイパモータ22の出力軸22eが挿通される貫通孔及びワイパモータ22を固定するボルトが挿通される図示しない貫通孔(本実施形態では、ワイパモータ22の出力軸22eが挿通される貫通孔の周りに3つの貫通孔)が設けられている。また、図3に示されるように、フレーム基部20aには、ストッパ部材36が取付けられる突起部20iが設けられている。この突起部20iは、略円錐台形状とされており、さらにこの突起部20iはワイパモータ22の出力軸22eの軸方向と同一の方向(出力軸22eの軸線に平行な軸線Yの方向)に突出している。
【0031】
また、図1及び図2に示されるように、フレーム20は、フレーム基部20aの第1ピボットホルダ16側(フレーム基部20aの平面視左側の端部から左側)に延在する第1延在部20bと、フレーム基部20aの第2ピボットホルダ18側(フレーム基部20aの平面視右側の端部から右側)に延在する第2延在部20cと、を備えている。さらに、第1延在部20bの先端は、以下に説明するジョイント40を介して第1ピボットホルダ16と連結される連結部20eとされており、第2延在部20cの先端は第2ピボットホルダ18と連結される連結部20fとされている。
【0032】
さらに、フレーム20は、フレーム基部20aの平面視上側の端部から上側に延在する第3延在部20dを備えている。また、第3延在部20dの先端には、取付部20gが設けられている。取付部20gには、ゴム等の弾性材料から成る支持グロメット20hが取り付けられており、支持グロメット20hが図示しない車体に設けられた係止部に係止されることによって、フレーム20が図示しない車体に固定支持される構成である。すなわち、支持グロメット20hは、フレーム20を車体に対してフローティング支持している。
【0033】
ワイパモータ22は、モータ本体22aがギヤハウジング22bに取付けられることにより構成されている。
【0034】
具体的には、モータ本体22aは、所謂DCモータであり、図示しないアーマチャ及びマグネットなどがヨークハウジング22cに収容されている。
【0035】
また、ギヤハウジング22b内には、図示しない減速機構が設けられている。この減速機構は、モータ本体22aの回転数を所要の回転数に減速すると共に、モータ本体22aの回転軸方向を略直交方向に変換している。さらに詳述すると、ギヤハウジング22b内には、減速機構としてウォームギヤ及びウォームホイールが収容されている。このウォームギヤ及びウォームホイールを介することにより、モータ本体22aの回転数が減速され、またモータ本体22aの回転軸方向の変換がなされる。その結果、モータ本体22aの回転が出力軸22eに出力される。
【0036】
さらに、ギヤハウジング22bにおける出力軸22eが突出する面は、上述したフレーム基部20aに接合される図示しない接合面となっている。この接続面には、フレーム基部20aの貫通孔に対応した図示しない螺子孔が形成されており、該螺子孔に取付ネジが締め付けられることにより、ワイパモータ22がフレーム20に固定されている。また、ギヤハウジング22bには、モータ本体22aに電源を供給するためのコネクタ22dが設けられている。
【0037】
リンク機構24は、第1ピボット軸12に取付けられた第1ピボットレバー26と、第2ピボット軸14に取付けられた第2ピボットレバー28と、第1ピボットレバー26と第2ピボットレバー28とを繋ぐ第1リンクロッド30と、を備えている。さらに、リンク機構24は、ワイパモータ22の出力軸22eに取付けられたクランクアーム32と、クランクアーム32と第1ピボットレバー26とを繋ぐ第2リンクロッド34と、を備えている。以上の5つの要素を主要な構成として、リンク機構24は、ワイパモータ22の出力軸22eの一方向回転運動を往復揺動運動に変換して、該往復揺動運動を第1ピボット軸12及び第2ピボット軸14に伝達する。
【0038】
以下にリンク機構24を構成する各々の要素について説明する。
【0039】
第1ピボットレバー26は、第1ピボット軸12の軸方向と直交する方向に延在するプレート状の部品である。第1ピボットレバー26の一方の端部には、第1ピボット軸12に取付けられるための取付部26aが形成されている。また、第1ピボットレバー26の他方の端部には、以下に説明する第1リンクロッド30と接続されるボールジョイント26b及び以下に説明する第2リンクロッド34と接続されるボールジョイント26cが設けられている。
【0040】
第2ピボットレバー28は、上記の第1ピボットレバー26と同様に、第2ピボット軸14の軸方向と直交する方向に延在するプレート状の部品である。第2ピボットレバー28の一方の端部には、第2ピボット軸14に取付けられるための取付部28aが形成されている。また、第2ピボットレバー28の他方の端部には、以下に説明する第1リンクロッド30と接続されるボールジョイント28bが設けられている。
【0041】
第1リンクロッド30は、内部が中空構造とされたパイプ状の部品である。また、第1リンクロッド30の一方の端部には、第1ピボットレバー26に設けられたボールジョイント26bと接続される接続部30aが設けられており、第1リンクロッド30の他方の端部には、第2ピボットレバー28に設けられたボールジョイント28bと接続される接続部30bが設けられている。
【0042】
クランクアーム32は、ワイパモータ22の出力軸22eの軸方向と直交する方向に延在するプレート状の部品である。また、クランクアーム32の一方の端部には、ワイパモータ22の出力軸22eと接続される接続部32bが形成され、クランクアーム32の他方の端部には、以下に説明する第2リンクロッド34の接続部34bと接続されるボールジョイント32cが設けられている。さらに、クランクアーム32の中間部には屈曲部32aが形成されている。
【0043】
第2リンクロッド34は、内部が中空構造とされたパイプ状の部品である。また、第2リンクロッド34の一方の端部には、第1ピボットレバー26に設けられたボールジョイント26cと接続される接続部34aが設けられており、第2リンクロッド34の他方の端部にはクランクアーム32に設けられたボールジョイント32cと接続される接続部34bが設けられている。
【0044】
次に、本発明の要部であるワイパ装置10の作動を阻止するためのストッパ部材36について説明する。
【0045】
図4に示されるように、ストッパ部材36は、樹脂材料(例えば、ポリアミド系樹脂)を用いて一体成形されたものである。また、図5(A)に示されるように、ストッパ部材36の形状は、側面視で略L字状のブロック形状とされている。具体的には、ストッパ部材36は、底面36bから上面36cにかけて延在する基部36aと、基部36aの側端部から底面36bに沿って後述する嵌合孔36eの中心軸線Kを中心として径方向外方(平面視左側)に延出する延出部36dと、を備えることにより、側面視で略L字状のブロック形状を構成している。
【0046】
図3及び図5に示されるように、基部36aの底面36bには、上述したフレーム基部20aに設けられた突起部20iに嵌合される嵌合孔36eが設けられている。この嵌合孔36eは、突起部20iの形状に対応して、嵌合孔36eの開口方向に向けて末広がりとされたテーパ孔とされている。この嵌合孔36eと上記突起部20iとの間には所要の締め代を有している。また、上記突起部20iはワイパモータ22の出力軸22e方向に向けて突出しているため、ストッパ部材36はワイパモータ22の出力軸22e方向に沿って着脱可能とされており、さらにストッパ部材36は突起部20iの軸線Y(突起部20iへの嵌合状態では嵌合孔36eの中心軸線Kと一致する)を軸中心として回動可能とされている。
【0047】
また、図5に示されるように、基部36aと延出部36dとの間には、段差部36fが形成されている。この段差部36fの側面視で上下方向に延在する面は、リンク機構24の一部であるクランクアーム32に当接することによりこのクランクアーム32の回転を妨げる第1当接部36gとされている。さらに、この段差部36fの側面視で左右方向に延在する面はクランクアーム32に当接することにより、ストッパ部材36が突起部20iから外れることを防止する第2当接部36hとされている。また、基部36a及び延出部36dの側面視下側の端部には、足部36i及び足部36jが突出形成されている。さらに、平面視で基部36aの延出部36dが設けられていない端部は、クランクアーム32を逃げる逃げ部36kとされている。
【0048】
図1及び図2に示されるように、以上に説明した、第1ピボットホルダ16と第2ピボットホルダ18とを繋ぐようにフレーム20が取付けられる。さらに、このフレーム20にはワイパモータ22が取付けられる。そしてさらに、リンク機構24が、第1ピボットホルダ16に支持された第1ピボット軸12、第2ピボットホルダ18に支持された第2ピボット軸14、及びワイパモータ22の出力軸22eの間に掛け渡されて取付けられ、駆動連結される。そして最後に、ストッパ部材36の嵌合孔36eをフレーム20の突起部20iに嵌合させる(即ち、ストッパ部材76が着脱可能位置Dに配置される)と共に、図6に示されるように、フレーム20の突起部20iを回転軸としてストッパ部材36を矢印A方向に回転させることにより、延出部36dがリンク機構24の一部としてのクランクアーム32とフレーム20との間(具体的には、クランクアーム32の下面とフレーム基部20aの上面との間)に延出する(即ち、該操作によりストッパ部材76が規制位置Eに配置される)。
【0049】
さらに、また、図1に示される状態のリンク機構24の位置は、ワイパアームが停止する位置(所謂「初期位置」)である。この状態において、ストッパ部材36の第2当接部36hがクランクアーム32に当接するように、また、ストッパ部材36の第1当接部36gとクランクアーム36が近接するようにストッパ部材36が配置されている。
【0050】
以上説明したように、ワイパ装置10が構成される。
【0051】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0052】
上記のワイパ装置10を製造する工場では、検査工程において、ワイパモータ22のコネクタ22dに接続してワイパモータ22に電源を供給するための外部コネクタが接続される。また、ワイパ装置10が車体に取付けられる際においても、ワイパモータ22のコネクタ22dに接続してワイパモータ22に電源を供給するための外部コネクタ72が接続される。この場合、何らかの要因(例えば、ワイパモータ22内に組み込まれたオートストップ機構(ワイパが払拭途中であるときにワイパスイッチをOFFにしても所定の停止位置まで作動して停止する機構)において、所定の停止位置からズレた位置にクランクアーム32が位置している場合にワイパモータに給電(外部コネクタを接続)すると所定の停止位置まで移動しようとしてワイパモータが作動してしまうなど)によって、ワイパモータ22が作業者の意に反して作動することが考えられる。すると、ワイパモータ22の出力軸22eが矢印C方向へ回転し、これに伴い、リンク機構24も同時に作動してしまう。その結果、リンク機構24が周囲の検査機器や組付け冶具その他車体部品等に干渉してしまう虞がある。
【0053】
しかしながら、本実施形態では、ストッパ部材36がフレーム20に設けられている。そのため、ワイパモータ22のコネクタ22dに接続してワイパモータ22に電源を供給するための外部コネクタ72が接続された際に、ワイパモータ22が作業者の意に反して作動したとしても、リンク機構24の一部としてのクランクアーム32がストッパ部材36の第1当接部36gに当接する。その結果、リンク機構24はそれ以上作動することができなくなる。即ち、ワイパモータ22が作業者の意に反して作動したとしても、ワイパ装置10の作動を該ストッパ部材36によって阻止することができる。
【0054】
また、本実施形態では、ストッパ部材36がワイパモータ22の出力軸22eの軸線に平行な軸線方向に沿って着脱可能となっているため、リンク機構24がストッパ部材36に当接しても、ストッパ部材36の嵌合孔36eがフレーム20の突起部20iから外れる方向に作用する力は極めて小さくなる又は加わらない。即ち、リンク機構24がストッパ部材36に当接することによるストッパ部材36の外れをより確実に防止することができる。
【0055】
さらに、本実施形態のストッパ部材36には、延出部36dが設けられている。そのため、ワイパモータ22のコネクタ22dに電源を供給するための外部コネクタ72を接続した際、作業者の意に反してワイパモータ22が作動してリンク機構24がストッパ部材36に当接している状態においては、ストッパ部材36を取外そうとすると、上記延出部36dがクランクアーム32に引っ掛かり、ストッパ部材36を取外すことができない。ストッパ部材36を取外すためには、作業者は一旦、ワイパモータ22への電源の供給を遮断してワイパモータ22の回転力の作用を解放することが必要である。即ち、作業者の意に反したワイパ装置の作動を阻止したストッパ部材36を取外した際に、急にリンク機構24が作動することを防止できる。
【0056】
また、本実施形態では、ストッパ部材36が突起部20iの軸線Y(ワイパモータ22の出力軸22eに平行な軸線)を中心として回動可能に取り付けられている。そのため、ストッパ部材36を回動させることにより、クランクアーム32の回転に対してストッパ部材36が接線方向で当接してその回転力をしっかりと受止められるようにストッパ部材36の組付け姿勢を調節することができる。その結果、リンク機構24がストッパ部材36に当接する位置を狙い通りの位置に調節することができる。
【0057】
さらに、本実施形態のストッパ部材36では、平面視で基部36aの延出部36dが設けられていない端部は、クランクアーム32を逃げる逃げ部36kとされている。そのため、ストッパ部材36をフレーム20に取り付けて回動させて組付け姿勢を調整する際に延出部36dが邪魔にならず、ストッパ部材36の組付け性を向上させることができる。
【0058】
<第2実施形態>
次に、図7及び図8を用いて、本発明の第2実施形態に係るワイパ装置50について説明する。なお、第1実施形態と同一の部材については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0059】
図7及び図8に示されるように、本実施形態のワイパ装置50は、第1ピボットレバー26の先端とクランクアーム32の先端とを繋ぐリンクロッド52と、第2ピボットレバー28の先端とクランクアーム32の先端とを繋ぐリンクロッド54と、を備え、第1ピボットレバー26の先端と第2ピボットレバー28の先端とを直接繋ぐリンクアーム(第1実施形態における第1リンクロッド30)を備えていないことに特徴がある。
さらに、フレーム20が中空の金属製パイプ材からなり、第1ピボットホルダ16と第2ピボットホルダ18とを直接連結しており、ワイパモータ22が固定されるフレーム基部20aは上記中空の金属製パイプ材を潰し加工して平面部分を形成した平座面として構成されていることにも特徴がある。
【0060】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0061】
本実施形態では、ストッパ部材36がフレーム20に設けられている。そのため、ワイパモータ22のコネクタ22dに接続してワイパモータ22に電源を供給するための外部コネクタ72を接続した際に、ワイパモータ22が作業者の意に反して作動したとしても、リンク機構24が上記ストッパ部材36に当接する。その結果、該リンク機構24はそれ以上作動することができない。即ち、第1実施形態と同様に、ワイパモータ22が作業者の意に反して作動したとしても、ワイパ装置50(リンク機構24を構成するクランクアーム32)の作動を該ストッパ部材36によって阻止することができる。
【0062】
<第3実施形態>
次に、図9及び図10を用いて、本発明の第3実施形態に係るワイパ装置について説明する。なお、第1実施形態と同一の部材については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0063】
図9及び図10に示されるように、本実施形態のワイパ装置60は、別部品である板状のモータブラケット62が中空の金属製パイプ材からなるフレーム20に溶接され、このモータブラケット62を介してワイパモータ22が取付けられていることに特徴がある。
【0064】
また、モータブラケット62には、ワイパモータ22の出力軸22e方向に向けて着脱可能とされたストッパ部材36が設けられている。なお、本実施形態では、モータブラケット62はフレーム20の一部であるものとする。
【0065】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0066】
本実施形態では、ストッパ部材36がフレーム20を構成するモータブラケット62に設けられている。そのため、ワイパモータ22のコネクタ22dに接続してワイパモータ22に電源を供給するための外部コネクタ72を接続した際に、ワイパモータ22が作業者の意に反して作動したとしても、リンク機構24が上記ストッパ部材36に当接する。その結果、該リンク機構24はそれ以上作動することができない。即ち、第1実施形態と同様に、ワイパモータ22が作業者の意に反して作動したとしても、ワイパ装置60(リンク機構24を構成するクランクアーム32)の作動を該ストッパ部材36によって阻止することができる。
【0067】
<第4実施形態>
次に、図11〜図15を用いて、本発明の第4実施形態に係るワイパ装置について説明する。なお、第1実施形態と同一の部材及び同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0068】
図11(A)及び(B)に示されるように、本実施形態のワイパ装置70は、第1平面部74a及び第2平面部74bが第1実施形態で説明した突起部20iに相当する突起部74に設けられていることに特徴がある。さらに、本実施形態のワイパ装置70は、図12(A)及び(B)に示されるように、第3平面部76bがストッパ部材76の嵌合孔36eに設けられると共に、工具装着用係合部76cがストッパ部材76の上面36cに設けられていることにも特徴がある。以下、先ず突起部74に設けられた第1平面部74a及び第2平面部74bについて説明し、次いで、ストッパ部材76に設けられた第3平面部76b及び工具装着用係合部76cについて説明する。
【0069】
図11(A)には、ワイパアームが停止している初期位置の状態における突起部74及びクランクアーム32等を示す拡大斜視図が示されており、図11(B)には、該初期位置の状態におけるフレーム基部20a等の拡大平面図が示されている。これらの図に示されるように、第1平面部74a及び第2平面部74bは、突起部74の外周壁に機械加工が施されることにより形成された略矩形状の平面である。また、第1平面部74aは初期位置状態におけるクランクアーム32が延在する方向(矢印F方向)と略直交する方向に延在すると共に該クランクアーム32が延在する方向(矢印F方向)と反対方向に面が向けられている。さらに、第2平面部74bは初期位置状態のクランクアーム32が延在する方向(矢印F方向)と略平行に延在すると共に該クランクアーム32が回動する方向(矢印J方向)に面が向けられている。
【0070】
図13(C)に示されるように、ストッパ部材76の嵌合孔36eの内周壁には、該嵌合孔36eの軸芯方向に突出して形成された凸部76aが該嵌合孔36eの深さ方向に沿って設けられている。この凸部76aにおける嵌合孔36eの軸芯方向の面は略矩形状の第3平面部76bとされている。また、第3平面部76bは嵌合孔36eの中心軸線Kと略平行に延在すると共に、ストッパ部材76の延出部36dが延出する方向(矢印H方向)と略同一方向に面が向けられている。
【0071】
また、図13(A)及び(B)に示されるように、工具装着用係合部76cはストッパ部材76の上面36cから突出して形成されており、その形状は略六角柱状を成している。また、この工具装着用係合部76cの中心軸は嵌合孔36eの中心軸線Kと略同一に配置されている。
【0072】
次に、ストッパ部材76をフレーム基部20aの突起部74に取付ける方法について説明する。
【0073】
図14(A)及び図15(A)に示されるように、ストッパ部材76をフレーム基部20aの突起部74に取付ける場合、先ずストッパ部材76の嵌合孔36eに設けられた第3平面部76bと突起部74に設けられた第1平面部74aとが当接する位置(着脱可能位置D)にてストッパ部材76の嵌合孔36eとフレーム基部20aの突起部74とを嵌合させる。換言すると、第1平面部74aが第3平面部76bに係止されることにより、ストッパ部材の位置が着脱可能位置Dに規制される。
【0074】
次に、図14(B)に示されるように、ストッパ部材76の工具装着用係合部76cに工具78を係合させて、ストッパ部材76を突起部74(中心軸線K)周りに回動させる(矢印A方向)。この場合、第1平面部74aと第3平面部76bとの係止を解くこととなるため、図15(B)に示されるように、第3平面部76bが第1平面部74aの端部を乗り越える。
【0075】
さらに、図14(C)及び図15(C)に示されるように、このストッパ部材76を矢印A方向に回動させると、ストッパ部材76の延出部36dがクランクアーム32とフレーム基部20aとの間に延出すると共に、ストッパ部材76の嵌合孔36eに設けられた第3平面部76bと突起部74に設けられた第2平面部74bとが当接する。換言すると、第2平面部74bが第3平面部76bに係止されることにより、ストッパ部材の位置が規制位置Eに規制されている。この規制位置Eにて、ストッパ部材76がクランクアーム32に当接してリンク機構24の作動を妨げる構成である。
【0076】
以上の工程を経て、ストッパ部材76がフレーム基部20aの突起部74に取付けられる。
【0077】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0078】
ワイパ装置70が車体の組立ライン等に搬送される際や車体に組み付けられる際に、作業者が意図せずストッパ部材76に触れてしまう、又は搬送のための梱包ケースにストッパ部材76が当たってしまうことが考えられる。この場合、ストッパ部材76が突起部74周りに回転してしまい、ストッパ部材76が突起部74から外れてしまう虞がある。しかしながら、本実施形態では、突起部74に設けられた第2平面部74bがストッパ部材76の第3平面部76bに係止されることにより、ストッパ部材76の位置が規制位置Eに規制されている。そのため、作業者が意図せずストッパ部材76に触れてしまったとしても、ストッパ部材76が突起部74周りに回転してしまうことが抑制される。その結果、ストッパ部材76が突起部74から外れてしまうことを抑制することができる。
【0079】
また本実施形態では、ストッパ部材76を着脱可能位置Dから規制位置Eへと回動させる際に、第3平面部76bが第1平面部74aの端部を乗り越える。この場合、第3平面部76bが第1平面部74aの端部を乗り越えるために、より大きな回転力を要する。従って、ストッパ部材76を着脱可能位置Dから規制位置Eへと回動させる際に、作業者は一時的に大きな回転力を加えることにより、ストッパ部材76を着脱可能位置Dから規制位置Eへと回動させる。換言すると、着脱可能位置Dと規制位置Eとに節度を有して、ストッパ部材76を着脱可能位置Dから規制位置Eへと回動させることができる。
【0080】
さらに本実施形態では、ストッパ部材76を着脱可能位置Dから規制位置Eへと回動させる際に、工具78を使用することができる。従って、工具78を用いることにより、第3平面部76bが第1平面部74aの端部を乗り越える際に要する回転力を容易に得ることが可能となる。即ち、適切な工具78を用いることにより、作業者の誰もがストッパ部材を容易に取り扱うことが可能となる。
【0081】
なお、第1実施形態乃至第4実施形態では、ストッパ部材36がクランクアーム32に当接するように配置した例について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、例えば、ストッパ部材36が第2リンクロッド34等他のリンク機構24を構成する要素と当接するように配置しても良い。
【0082】
また、第1実施形態乃至第4実施形態では、ストッパ部材36、76をフレーム20に設けた例について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、例えば、ワイパモータ22に設けた構成としても良い。
【0083】
さらに、第1実施形態乃至第4実施形態では、ストッパ部材36に設けられた嵌合孔36eがフレーム20に設けられた突起部74に嵌合される例について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、例えば、ストッパ部材に突起部を設けて、この突起部をフレーム等に設けられた嵌合孔と嵌合しても良い。
【0084】
<ワイパ装置10の取付方法>
次に、図16を用いて、本発明の一実施形態に係るワイパ装置を車体に取付ける方法について説明する。なお、ワイパ装置50、ワイパ装置60及びワイパ装置70を車体に取付ける方法は、ワイパ装置10を車体に取付ける方法と基本的には同一であるため、ここではワイパ装置10を車体に取付ける方法について説明し、ワイパ装置50、ワイパ装置60及びワイパ装置70を車体に取付ける方法についての説明は省略する。
【0085】
図16に示されるように、ワイパ装置10はフロントウィンドシールドガラス66の下端部付近に設けられた車体68の図示しない取付部に取付けられる(以下「第1工程」という)。
【0086】
次に、ワイパモータ22のコネクタ22dに接続してワイパモータ22に電源を供給するための外部コネクタ72が接続される(以下「第2工程」という)。これにより、車体側に設けられた電源装置からワイパモータ22に電源が供給可能となる。
【0087】
上記、第1工程及び第2工程を終えた後に、ストッパ部材36をフレーム20から取外す(以下「第3工程という」)。なお、取り外したストッパ部材36は再度利用することが可能である。
【0088】
以上の第1工程乃至第3工程を含む工程を経て、ワイパ装置10が車体68に取付けられる。
【0089】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0090】
ワイパ装置10を車体68に組付けるにあたり、本実施形態では、上記第1工程、第2工程及び第3工程を経る。
【0091】
ここで、上記第2工程を行った際に、何らかの要因によって、ワイパモータ22が作業者の意に反して作動することが考えられる。すると、ワイパモータ22の出力軸22eが一方向に回転し、これに伴い、リンク機構24も同時に作動してしまう。その結果、リンク機構24が周囲の検査機器や組付け冶具その他車体部品等に干渉してしまう虞がある。
【0092】
しかしながら、本実施形態では、ストッパ部材36がフレーム20に設けられている。そのため、第2工程を行った際に、ワイパモータ22が作業者の意に反して作動したとしても、リンク機構24が上記ストッパ部材36に当接する。その結果、該リンク機構24はそれ以上作動することができない。即ち、ワイパモータ22が作業者の意に反して作動したとしても、ワイパ装置10の作動を該ストッパ部材36によって阻止することができる。
【0093】
ここで、第2工程を行った際に、ワイパモータ22の回転がストッパ部材36によって阻止された状態であると、ストッパ部材36はクランクアーム32によって付勢される。そのため、ストッパ部材36をフレーム20から取外すことができない(第3工程を行うことができない)。この場合、ワイパモータ22に電源を供給するための外部コネクタ72を取り外してワイパモータ22への給電を遮断し、車体側のスイッチや配線等を確認した後に、再度第2工程及び第3工程を行えばよい。
【0094】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0095】
10 ワイパ装置
12 第1ピボット軸
14 第2ピボット軸
16 第1ピボットホルダ
18 第2ピボットホルダ
20 フレーム
20i 突起部(装着部)
22 ワイパモータ
22d コネクタ
22e 出力軸
24 リンク機構
36 ストッパ部材
36d 延出部
36e 嵌合孔(被装着部)
50 ワイパ装置
60 ワイパ装置
62 モータブラケット
68 車体
70 ワイパ装置
72 コネクタ
74 突起部(装着部)
74a 第1平面部(第1係止部)
74b 第2平面部(第2係止部)
76 ストッパ部材
76b 第3平面部(被係止部)
76c 工具装着用係合部
78 工具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端にワイパアームが固定されるピボット軸を回動自在に支持する少なくとも一対のピボットホルダと、
前記少なくとも一対のピボットホルダを相互に連結するフレームと、
前記フレームに固定され出力軸が回転運動するワイパモータと、
前記ワイパモータの出力軸の回転運動を揺動運動に変換して、該揺動運動を前記一のピボットホルダに支持されたピボット軸及び前記他の一のピボットホルダに支持されたピボット軸に伝達するリンク機構と、
前記フレーム又は前記ワイパモータに対して着脱可能に設けられ、前記リンク機構に当接することによりリンク機構の作動を妨げるストッパ部材と、
を有するワイパ装置。
【請求項2】
前記ストッパ部材は、前記ワイパモータの出力軸方向に沿って着脱可能となっている請求項1記載のワイパ装置。
【請求項3】
前記ストッパ部材には、前記リンク機構と前記ストッパ部材とが当接した状態において、前記リンク機構の一部と前記フレーム又は前記ワイパモータとの間に延出する延出部が設けられている請求項1又は請求項2記載のワイパ装置。
【請求項4】
前記ストッパ部材は、前記リンク機構の作動領域内に設けられると共に、前記ワイパモータの出力軸に平行な軸線を中心として回動可能に取り付けられている請求項3記載のワイパ装置。
【請求項5】
前記ストッパ部材の前記ワイパモータの出力軸方向と直交する方向の一部には、前記リンク機構を逃げる逃げ部が設けられている請求項4記載のワイパ装置。
【請求項6】
前記フレーム又は前記ワイパモータは前記ストッパ部材が前記出力軸に平行な軸線周りに回動可能に装着される装着部を有すると共に、前記ストッパ部材は前記装着部に装着される被装着部を有し、
前記装着部には前記ストッパ部材が前記装着部に装着された状態において前記ストッパ部材を前記装着部に着脱可能な位置に規制する第1係止部及び前記ストッパ部材の前記延出部が前記リンク機構の一部と前記フレーム又は前記ワイパモータとの間に延出されかつ前記ストッパ部材を前記リンク機構の作動を妨げる位置に規制する第2係止部が設けられると共に、前記被装着部には前記ストッパ部材が前記出力軸に平行な軸線周りに回動されて前記第1係止部及び前記第2係止部のうちいずれかに選択的に係止される被係止部が設けられた請求項4又は請求項5記載のワイパ装置。
【請求項7】
前記ストッパ部材には、該ストッパ部材を前記装着部周りに回動させる工具が係合される工具装着用係合部が設けられた請求項6記載のワイパ装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の前記ワイパ装置を車体に取り付ける第1工程と、
前記ワイパモータに電源を供給する外部コネクタを接続する第2工程と、
前記第1工程及び前記第2工程を経た後に、前記ストッパ部材を前記フレーム又は前記ワイパモータから取外す第3工程と、
を有するワイパ装置の取付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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