説明

ワイパ装置

【課題】グロメットのシール機能を維持しつつ他の部品への干渉を防止することができ、部品のレイアウト性を向上させることができるワイパ装置を提供する。
【解決手段】ワイパモータの出力軸の先端部をインナパネル16の貫通孔16aからアウタパネル17の貫通孔17aに貫通させ、この出力軸の先端部にウォッシャ液を噴射させるウォッシャノズルを有したワイパアームの基端部を固定したワイパ装置において、インナパネルの貫通孔と出力軸との間にグロメット40を設け、このグロメットにウォッシャ液Wを導入する液体導入口45aと該ウォッシャ液を導出する液体導出口44aを有した連通流路46を形成し、この連通流路をL字形に形成し、このL字形の連通流路の液体導入口に形成されたタンク側ホースジョイント接続部45の該液体導入口にタンク側ホース38のタンク側ホースジョイント37を嵌め込むようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両のウインドガラスをウォッシャノズルより噴射したウォッシャ液を介して払拭するウォッシャノズル付きワイパに用いて好適なワイパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のワイパ装置を車両のリヤウインドガラスを払拭するウォッシャノズル付きリヤワイパとして用いた場合には、図4に示すように、車体パネル1の貫通孔1aに取り付けられてワイパモータユニット7の図示しない出力軸をシールするグロメット2に、ホースジョイント3を介してタンク側ホース4が配索されている。即ち、グロメット2に形成された流路2aの液体導入口2bには、ウォッシャタンク5に接続されたタンク側ホース4のホースジョイント3を嵌め込んである。また、グロメット2に形成された流路2aの液体導出口2cには、ワイパアームのウォッシャノズルに接続されたノズル側ホースがホースジョイント(いずれも図示省略)を介して接続されるようになっている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−80468号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のワイパ装置では、ウォッシャノズルにウォッシャ液を供給するグロメット2の液体導入口2bと液体導出口2cを連通する流路2aがストレートに形成されているため、グロメット2の周辺にワイパモータユニット7等の部品を配置するスペースに余裕がなく、タンク側ホース4等とワイパモータユニット7等の他の部品と干渉して部品のレイアウト性が悪かった。
【0005】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、グロメットのシール機能を維持しつつ他の部品への干渉を防止することができ、部品のレイアウト性を向上させることができるワイパ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、インナパネルの内側に出力軸を有したワイパモータを配設し、この出力軸の先端部を前記インナパネルに形成した貫通孔からアウタパネルに形成した貫通孔にそれぞれ貫通させて外側に露出させ、この外側に露出した出力軸の先端部にウォッシャ液を噴射させるウォッシャノズルを有したワイパアームの基端部を固定し、かつ、前記ウォッシャノズルとウォッシャタンクとをホースジョイントを介してノズル側ホース及びタンク側ホースで接続したワイパ装置において、前記インナパネルの貫通孔と前記出力軸との間にグロメットを設け、このグロメットにウォッシャ液を導入する液体導入口と該ウォッシャ液を導出する液体導出口を有した連通流路を形成し、この連通流路をL字形に形成し、このL字形の連通流路の液体導入口に形成されたタンク側ホースジョイント接続部の該液体導入口に前記タンク側ホースを接続したタンク側ホースジョイントを嵌め込むようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、インナパネルの貫通孔と出力軸との間にグロメットを設け、このグロメットにウォッシャ液を導入する液体導入口と該ウォッシャ液を導出する液体導出口を有した連通流路を形成し、この連通流路をL字形に形成し、このL字形の連通流路の液体導入口に形成されたタンク側ホースジョイント接続部の該液体導入口にタンク側ホースを接続したタンク側ホースジョイントを嵌め込むようにしたことにより、グロメットのシール機能を維持しつつ他の部品への干渉を確実に防止することができ、部品のレイアウト性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
図1は本発明の一実施形態のワイパ装置を示す分解斜視図、図2は同ワイパ装置の要部の断面図、図3(a)は同グロメットのノズル側ホースジョイント接続部をシールラバーの取付孔に組み付ける前の状態を示す断面図、図3(b)は同組み付け後の状態を示す断面図である。
【0010】
図1に示すように、ワイパ装置10は、ワイパモータユニット20と、このワイパモータユニット20のピボット軸(出力軸)24により揺動するウォッシャノズル付きワイパ30とを備えており、図示しない車両のリヤウインドガラスをウォッシャノズル34より噴射したウォッシャ液Wを介して払拭するものである。
【0011】
ワイパモータユニット20は、ワイパアーム33を装着するピボット軸(出力軸)24を有したワイパモータ21と、このワイパモータ21を取り付けたブラケット25とを備えている。このワイパモータ21は、モータ部22と、このモータ部22の回転軸の回転を減速する減速機構部23とを備えており、図示しないボルト等を介してブラケット25に固定されている。また、減速機構部23からピボット軸24が外側に突出するように設けられている。そして、このワイパモータユニット20は、ブラケット25の複数の取付片25aに取り付けられたラバー26を介してインナパネル16より内側に設けられた車体パネル15に取り付けられるようになっている。
【0012】
ウォッシャノズル付きワイパ30は、ピボット軸24の先端部24aにナット18を介して固定されたアームヘッド(基端部)31と、このアームヘッド31を覆うヘッドカバー32と、アームヘッド31の支軸31aを介して払拭面方向に回動自在に支持されると共に、リヤウインドガラスの払拭面を払拭する図示しないワイパブレードが連結されたワイパアーム33と、このワイパアーム33に設けられてウォッシャ液Wをリヤウインドガラスの払拭面に噴射させるウォッシャノズル34と、アームヘッド31及びワイパアーム33に沿って配索されると共に、ウォッシャノズル34に連結されてウォッシャ液Wを供給するノズル側ホース35とを備えている。
【0013】
インナパネル16の内側に配設されたワイパモータ21のピボット軸24の先端部24aは、インナパネル16に形成した貫通孔16aからアウタパネル17に形成した貫通孔17aにそれぞれ貫通して外側に露出している。この外側に露出したピボット軸24の先端部24aには、ウォッシャ液Wを噴射させるウォッシャノズル34を有したワイパアーム33の基端部を成すアームヘッド31を図示しないナットを介して締結固定してある。そして、図1に示すように、ウォッシャノズル34とウォッシャタンク39とは、各ホースジョイント36,37と後述するシール材としてのグロメット40を介してノズル側ホース35及びタンク側ホース38で接続されている。
【0014】
また、インナパネル16の貫通孔16aとピボット軸24との間にはゴム製のグロメット40を介在してある。さらに、アウタパネル17の貫通孔17aとピボット軸24との間にはゴム製のシールラバー50を介在してある。
【0015】
図1〜図3に示すように、グロメット40は、ゴム製のグロメット本体41を有している。このグロメット本体41は、両端側の一方が大径になると共に他方が小径となった略楕円板状に形成してあり、その外周面41aにインナパネル16の貫通孔16aに取り付けられる環溝状の嵌合凹部42を形成してある。グロメット本体41の大径の一端側にはピボット軸24が貫通して圧接される円形の取付孔43を形成してある。また、グロメット本体41の前面41bの小径の他端側には、ウォッシャ液Wを導出する液体導出口(液体吐出口)44aを有したノズル側ホースジョイント接続部44を一体突出形成してあると共に、該グロメット本体41の後面41cの小径の他端側には、ウォッシャ液を導入する液体導入口(液体供給口)45aを有したタンク側ホースジョイント接続部45を一体突出形成してある。そして、図2及び図3(a),(b)に示すように、ノズル側ホースジョイント接続部44とタンク側ホースジョイント接続部45とは側面L字形に形成されている。即ち、ノズル側ホースジョイント接続部44のウォッシャ液Wを導出する液体導出口44aとタンク側ホースジョイント接続部45のウォッシャ液Wを導入する液体導入口45aとは、L字形の連通流路46で連通されている。
【0016】
また、図1及び図3に示すように、ノズル側ホースジョイント接続部44の外周面44bは円錐面状に形成してある。さらに、図2,図3(b)に示すように、ノズル側ホースジョイント接続部44は、シールラバー50に形成された取付孔53まで突出するように長尺に形成されている。そして、シールラバー50の取付孔53内に露出したノズル側ホースジョイント接続部44の液体導出口44aには、一方の接続部36aをノズル側ホース35に接続したノズル側ホースジョイント36の他方の接続部36bを嵌め込むようになっている。さらに、タンク側ホースジョイント接続部45は円柱状に形成してあり、該円柱状のタンク側ホースジョイント接続部45の液体導入口45aには、一方の接続部37aをタンク側ホース38に接続したタンク側ホースジョイント37の他方の接続部37bを嵌め込むようになっている。
【0017】
図1〜図3に示すように、ゴム製のシールラバー50は両端側の一方が大径になると共に他方が小径となった略楕円板状に形成してある。このシールラバー50の外周面50aには、アウタパネル17の貫通孔17aに取り付けられる環溝状の嵌合凹部51を形成してある。また、シールラバー50の大径の一端側には、ピボット軸24が貫通して圧接される円形の取付孔52を形成してある。さらに、シールラバー50の小径の他端側には、ウォッシャ液Wを導出する液体導出口44aを有したノズル側ホースジョイント接続部44が挿入される取付孔53を形成してある。この取付孔53の内周面53aは円錐面状に形成されている。即ち、シールラバー50の取付孔53の円錐面状の内周面53aの内径は、ノズル側ホースジョイント接続部44の円錐面状の外周面44bの外径よりも大径に形成されている。これにより、シールラバー50の取付孔53内にノズル側ホースジョイント接続部44が挿入されて、該シールラバー50の取付孔53内によりノズル側ホースジョイント接続部44の液体導出口44aが露出するようになっている。
【0018】
以上実施形態のワイパ装置10によれば、図2に示すように、インナパネル16の貫通孔16aとピボット軸24との間にグロメット40を設け、このグロメット40にウォッシャ液Wを導入する液体導入口45aと該ウォッシャ液Wを導出する液体導出口44aを有した連通流路46を形成し、この連通流路46をL字形に形成し、このL字形の連通流路46の液体導入口45aに形成されたタンク側ホースジョイント接続部45の該液体導入口45aにタンク側ホース38を接続したタンク側ホースジョイント37の他方の接続部37bを嵌め込むようにしたことにより、グロメット40のシール機能を維持しつつ、タンク側ホースジョイント37及びタンク側ホース38等がワイパモータユニット20等の他の部品へ干渉するのを確実に防止することができる。これにより、インナパネル16と車体パネル15の狭いスペースにワイパモータユニット20等の部品を配置することができ、部品のレイアウト性を向上させることができる。
【0019】
尚、前記実施形態によれば、リヤウインドガラス用のワイパ装置に適用した場合について説明したが、前記実施形態をフロントウインドガラス用のワイパ装置に適用しても良いことは勿論である。また、グロメット及びシールラバーはゴム製のものを用いたが、柔軟性のある樹脂製等のものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態のワイパ装置を示す分解斜視図である。
【図2】上記ワイパ装置の要部の断面図である。
【図3】(a)は上記グロメットのノズル側ホースジョイント接続部をシールラバーの取付孔に組み付ける前の状態を示す断面図、(b)は同組み付け後の状態を示す断面図である。
【図4】従来のノズル側ホースジョイントをシールラバーとグロメットに組み付ける前の状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0021】
10 ワイパ装置
16 インナパネル
16a 貫通孔
17 アタパネル
17a 貫通孔
21 ワイパモータ
24 ピボット軸(出力軸)
24a 先端部
31 アームヘッド(基端部)
33 ワイパアーム
34 ウォッシャノズル
35 ノズル側ホース
36 ノズル側ホースジョイント(ホースジョイント)
37 タンク側ホースジョイント(ホースジョイント)
38 タンク側ホース
39 ウォッシャタンク
40 グロメット
44a 液体導出口
45 タンク側ホースジョイント接続部
45a 液体導入口
46 L字形の連通流路
W ウォッシャ液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インナパネルの内側に出力軸を有したワイパモータを配設し、この出力軸の先端部を前記インナパネルに形成した貫通孔からアウタパネルに形成した貫通孔にそれぞれ貫通させて外側に露出させ、この外側に露出した出力軸の先端部にウォッシャ液を噴射させるウォッシャノズルを有したワイパアームの基端部を固定し、かつ、前記ウォッシャノズルとウォッシャタンクとをホースジョイントを介してノズル側ホース及びタンク側ホースで接続したワイパ装置において、
前記インナパネルの貫通孔と前記出力軸との間にグロメットを設け、このグロメットにウォッシャ液を導入する液体導入口と該ウォッシャ液を導出する液体導出口を有した連通流路を形成し、この連通流路をL字形に形成し、このL字形の連通流路の液体導入口に形成されたタンク側ホースジョイント接続部の該液体導入口に前記タンク側ホースを接続したタンク側ホースジョイントを嵌め込むようにしたことを特徴とするワイパ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−284990(P2008−284990A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−131592(P2007−131592)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】