説明

ワイピング装置、描画装置、ワイピング方法

【課題】ワイピング部材の使用量を低減してノズル面を払拭可能なワイピング装置、これを備えた描画装置、ワイピング方法を提供すること。
【解決手段】ワイピング装置120は、糸状または紐状のワイピング部材WLと、ワイピング部材WLの巻出し部122と巻取り部123とを有するワイピング部材供給機構と、ワイピング部材供給機構によって所定の長さに引き出されたワイピング部材WLにノズル面51aを当接させる当接機構124,125,126とを備え、ノズル面51aにワイピング部材WLを当接させた状態で、吐出ヘッド50に対してワイピング部材WLを相対的に移動させてノズル面51aを払拭する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル面に付着した機能液や異物などを除去するワイピング装置、描画装置、ワイピング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記ワイピング装置として、インクジェットヘッドの運動力を帯状ワイプ材の送り運動力に変換し、この送り運動力によって帯状ワイプ材をインクジェットヘッドの運動速度とは異なる送り運動速度で送りつつノズル面に押圧させるクリーニング装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
一方、上記クリーニング装置のように帯状ワイプ材をノズル面に押圧させて送りつつノズル面に付着したインクなどの汚れを払拭すると、ノズル面と帯状ワイプ材との摩擦によりノズル面を損傷するおそれがあった。それゆえに、例えば、特許文献2では、吸着材をノズル面に押し当てて汚れを除去する機能液滴吐出ヘッドの保守方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−255788号公報
【特許文献2】特開2004−330027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のクリーニング装置や機能液滴吐出ヘッドの保守方法では、ノズル面に押し当てられた部分の帯状ワイプ材や吸着材を更新する必要がある。したがって、複数の機能液滴吐出ヘッドに付着した汚れを一度に除去しようとすると、幅広の帯状ワイプ材や吸着材が必要になり、使用量が多くなるという課題がある。
また、汚れを除去する部材がいずれも帯状であって、上記使用量を想定すると、ロール状に捲回された帯状部材を送り出す機構やノズル面に当接させる機構などが大型化し、ワイピング装置としての小型化が困難であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例のワイピング装置は、吐出ヘッドのノズル面を払拭するワイピング装置であって、糸状または紐状のワイピング部材と、前記ワイピング部材の巻出し部と巻取り部とを有するワイピング部材供給機構と、前記ワイピング部材供給機構によって所定の長さに引き出された前記ワイピング部材に前記ノズル面を当接させる当接機構とを備え、前記ノズル面に前記ワイピング部材を当接させた状態で、前記吐出ヘッドに対して前記ワイピング部材を相対的に移動させて前記ノズル面を払拭することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、ワイピング部材が糸状または紐状であるため、帯状のワイピング部材を用いる場合に比べて、少ない量で払拭が可能となるため、実質的な使用量を低減できる。また、ワイピング部材を捲回してもその大きさが大きくなり難いので、装置を小型化し易い。さらには、ノズル面を払拭する際の摩擦が小さくなる。それゆえ、払拭によるノズル面の損傷を低減できる。すなわち、ワイピング部材の実質的な使用量とノズル面の損傷とが低減された小型なワイピング装置を提供できる。
【0009】
[適用例2]上記適用例のワイピング装置において、前記当接機構は、前記所定の長さに引き出された前記ワイピング部材を一定の高さに保持し、前記ワイピング部材供給機構は、前記巻出し部と前記巻取り部とを制御して前記一定の高さに保持された前記ワイピング部材に張力を与えることが好ましい。
この構成によれば、ノズル面にワイピング部材を確実に当接させて払拭することができる。とりわけ、複数の吐出ヘッドのノズル面を同時に払拭する場合に安定した当接状態を実現できる。
【0010】
[適用例3]上記適用例のワイピング装置において、前記ワイピング部材供給機構は、前記ワイピング部材による前記ノズル面の払拭中に前記巻出し部から前記巻取り部へと前記ワイピング部材を移動させるとしてもよい。
この構成によれば、新しいワイピング部材を供給しつつノズル面が払拭されるので、ノズル面に付着した汚れを効果的に除去できる。
【0011】
[適用例4]上記適用例のワイピング装置において、前記ノズル面には一定の方向に配列した複数のノズルが設けられており、前記複数のノズルの配列方向に対して前記ワイピング部材が交差するように前記ワイピング部材供給機構が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、複数の吐出ヘッドを並べてノズル面を払拭しても、払拭に必要な所定の長さを必要以上に長くせずに、ワイピング部材の使用量を抑えて払拭することができる。
【0012】
[適用例5]上記適用例のワイピング装置において、前記ノズル面には一定の方向に配列した複数のノズルが設けられており、前記複数のノズルの配列方向に対して前記ワイピング部材が並行するように前記ワイピング部材供給機構が設けられているとしてもよい。
この構成によれば、複数のノズルの配列方向に対してワイピング部材が交差するようにワイピング部材供給機構を配置する場合に比べて、ワイピング部材の同一箇所が払拭するノズルの数を少なくすることができる。汚れはノズルの周辺に付着していることが多いので、ノズル面に付着した汚れをより確実に除去できる。
【0013】
[適用例6]上記適用例のワイピング装置において、前記巻出し部側に配置され、前記ワイピング部材に洗浄液を塗布する洗浄液塗布部を備えることが望ましい。
この構成によれば、ワイピング部材に洗浄液を含有させてノズル面を払拭することができるので、ノズル面に固着した汚れも洗浄液で溶かして除去することができる。
【0014】
[適用例7]本適用例の描画装置は、吐出ヘッドのノズルからワークに対して機能性材料を含む機能液を吐出して前記ワーク上に膜パターンを描画する描画装置であって、上記適用例のワイピング装置を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、上記適用例のワイピング装置を備えているので、ワイピング部材の使用量を低減すると共に、ノズル面を清浄な状態に保守することができ、安定した膜パターンの描画が可能な描画装置を提供できる。
【0015】
[適用例8]本適用例のワイピング方法は、吐出ヘッドのノズル面を払拭するワイピング方法であって、所定の長さに引き出された糸状または紐状のワイピング部材に対して前記ノズル面を当接させる第1ステップと、前記ノズル面に前記ワイピング部材を当接させた状態で、前記吐出ヘッドに対して前記ワイピング部材を相対的に移動させて前記ノズル面を払拭する第2ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0016】
この方法によれば、帯状のワイピング部材を用いる場合に比べて、糸状または紐状のワイピング部材を用いるので、実質的に使用量を低減できる。また、ノズル面を払拭する際の摩擦が小さくなるので、払拭によるノズル面の損傷を低減できる。すなわち、ワイピング部材の実質的な使用量とノズル面の損傷とを低減したワイピング方法を提供できる。
【0017】
[適用例9]上記適用例のワイピング方法において、前記第1ステップは、前記所定の長さに引き出された前記ワイピング部材に張力を与えることが好ましい。
この方法によれば、ワイピング部材を確実にノズル面に当接させて払拭することができる。
【0018】
[適用例10]上記適用例のワイピング方法において、前記ノズル面には一定の方向に配列した複数のノズルが設けられており、前記第1ステップは、前記ノズル面に対して前記複数のノズルの配列方向と交差する方向に前記ワイピング部材を当接させることを特徴とする。
この方法によれば、複数の吐出ヘッドを並べてノズル面を払拭しても、払拭に必要な所定の長さを必要以上に長くせずに、ワイピング部材の使用量を抑えて払拭することができる。
【0019】
[適用例11]上記適用例のワイピング方法において、前記ノズル面には一定の方向に配列した複数のノズルが設けられており、前記第1ステップは、前記ノズル面に対して前記複数のノズルの配列方向と並行する方向に前記ワイピング部材を当接させるとしてもよい。
この方法によれば、複数のノズルの配列方向と交差する方向にワイピング部材を当接させる場合に比べて、ワイピング部材の同一箇所が払拭するノズルの数を少なくすることができる。汚れはノズルの周辺に付着していることが多いので、ノズル面に付着した汚れをより確実に除去できる。言い換えれば、一度払拭した汚れが再度ノズル面に付着することを低減することができる。
【0020】
[適用例12]上記適用例のワイピング方法において、前記第2ステップは、前記ワイピング部材による前記ノズル面の払拭中に前記ワイピング部材を引き出された方向に移動させることが望ましい。
この方法によれば、新しいワイピング部材を供給しつつノズル面が払拭されるので、ノズル面に付着した汚れを効果的に除去できる。
【0021】
[適用例13]上記適用例のワイピング方法において、前記第1ステップの前に、前記所定の長さに引き出された前記ワイピング部材に洗浄液を含ませるステップを有していることが望ましい。
この方法によれば、ノズル面に固着した汚れもワイピング部材に含ませた洗浄液で溶かして除去することができる。つまり、払拭後のノズル面をより清浄な状態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】描画装置としての液滴吐出装置の構成を示す概略斜視図。
【図2】(a)は吐出ヘッドの構成を示す概略斜視図、(b)はノズル面を示す概略平面図。
【図3】ヘッドユニットにおける吐出ヘッドの配置を示す概略平面図。
【図4】(a)はワイピング装置の構成を示す模式平面図、(b)は副走査方向から見た模式側面図、(c)はワイピング部材の支持部を示す概略側面図。
【図5】(a)〜(c)はワイピング方法を示す概略図。
【図6】(a)〜(c)は吸引動作の一例を示す概略図。
【図7】(a)〜(d)は、第2実施形態のワイピング装置およびワイピング方法を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
【0024】
(第1実施形態)
<描画装置>
まず、本実施形態の描画装置について、図1〜図3を参照して説明する。図1は描画装置としての液滴吐出装置の構成を示す概略斜視図、図2(a)は吐出ヘッドの構成を示す概略斜視図、同図(b)はノズル面を示す概略平面図、図3はヘッドユニットにおける吐出ヘッドの配置を示す概略平面図である。
【0025】
図1に示すように、本実施形態の描画装置としての液滴吐出装置100は、被吐出物としてのワークW上に機能性材料を含む機能液を液滴として吐出して、機能液からなる塗布膜(機能性材料からなる膜パターン)を形成するものである。ワークWが載置されるステージ104と、載置されたワークWに機能液を液滴として吐出する複数の吐出ヘッド50(図2参照)が搭載されたヘッドユニット101とを備えている。
【0026】
そして、ヘッドユニット101を副走査方向(X方向)に駆動するためのX方向ガイド軸102と、X方向ガイド軸102を回転させるX方向駆動モーター103とを備えている。また、ステージ104を副走査方向に対して直交する主走査方向(Y方向)にガイドするためのY方向ガイド軸105と、Y方向ガイド軸105に係合して回転するY方向駆動モーター106とを備えている。これらX方向ガイド軸102とY方向ガイド軸105とが上部に配設された基台107を有し、その基台107の下部に、制御装置108を備えている。
【0027】
さらに、ヘッドユニット101の複数の吐出ヘッド50をクリーニング(回復処理)するために、Y方向ガイド軸105に沿って移動するクリーニング機構109と、吐出された機能液を加熱し溶媒を蒸発・乾燥させるためのヒーター111とを備えている。クリーニング機構109は、Y方向ガイド軸105に係合して回転するY方向駆動モーター110を有している。
【0028】
ヘッドユニット101には、機能液をワークWに塗布する複数の吐出ヘッド50(図2参照)を備えている。そして、これら複数の吐出ヘッド50により、制御装置108から供給される吐出用の制御信号に応じて、個別に機能液を吐出できるようになっている。
【0029】
X方向駆動モーター103は、これに限定されるものではないが例えばステッピングモーター等であり、制御装置108から駆動パルス信号が供給されると、X方向ガイド軸102を回転させ、X方向ガイド軸102に係合したヘッドユニット101をX方向に移動させる。
【0030】
同様にY方向駆動モーター106,110は、これに限定されるものではないが例えばステッピングモーター等であり、制御装置108から駆動パルス信号が供給されると、Y方向ガイド軸105に係合して回転し、Y方向駆動モーター106,110を備えたステージ104およびクリーニング機構109をY方向に移動させる。
【0031】
クリーニング機構109は、吐出ヘッド50をクリーニングする際には、ヘッドユニット101を臨む位置に移動する。クリーニング機構109には、吐出ヘッド50のノズル面に密着して不要な機能液を吸引するキャッピング装置(図示省略)、機能液等が付着したノズル面を払拭する本実施形態のワイピング装置120、吐出ヘッド50の全ノズルから機能液の吐出を行う予備吐出あるいは不要となった機能液を受けて排出させるフラッシング装置(図示省略)が搭載されている。ワイピング装置120の詳細については後述する。
【0032】
ヒーター111は、これに限定されるものではないが例えばランプアニールによりワークWを熱処理する手段であり、ワークW上に吐出された機能液を加熱して、溶媒を蒸発させ膜に変換するための熱処理を行う。このヒーター111の電源の投入及び遮断も制御装置108によって制御される。
【0033】
液滴吐出装置100の塗布動作は、制御装置108から所定の駆動パルス信号をX方向駆動モーター103およびY方向駆動モーター106に送り、ヘッドユニット101を副走査方向(X方向)に、ステージ104を主走査方向(Y方向)に相対移動させる。そして、この相対移動の間に制御装置108から吐出用の制御信号を供給し、各吐出ヘッド50からワークWの所定の領域に機能液を液滴として吐出し塗布を行う。
【0034】
図2(a)に示すように、吐出ヘッド50は、所謂2連のものであり、2連の接続針54を有する機能液の導入部53と、導入部53に積層されたヘッド基板55と、ヘッド基板55上に配置され内部に機能液のヘッド内流路が形成されたヘッド本体56とを備えている。
接続針54は、機能液供給機構(図示省略)に配管を経由して接続され、機能液をヘッド内流路に供給する。
【0035】
ヘッド本体56は、圧電素子で構成されたキャビティを有する加圧部57と、ノズル面51aに2つのノズル列52a,52bが相互に平行に形成されたノズルプレート51とを有している。
ヘッド基板55には、2連のコネクター58が設けられており、上記圧電素子を駆動するための駆動信号を外部から供給するためのフレキシブルな中継基板(FPC)がこれに接続される。
【0036】
図2(b)に示すように、2つのノズル列52a,52bは、それぞれ複数(180個)のノズル52がピッチP1でほぼ等間隔に並べられており、互いにピッチP1の半分のピッチP2ずれた状態でノズルプレート51に配設されている。この場合、ピッチP1は、およそ141μmである。よって、2つのノズル列52a,52bからなるノズル列52cに直交する方向から見ると360個のノズル52がおよそ70.5μmのノズルピッチで配列した状態となっている。以降説明上、ノズル52の間隔(ノズルピッチ)は、ピッチP2とする。また、ノズル52の径は、およそ27μmである。
【0037】
吐出ヘッド50は、駆動信号が圧電素子に印加されると加圧部57のキャビティの体積変動が起こり、これによるポンプ作用でキャビティに充填された機能液が加圧され、ノズル52から機能液を液滴として吐出することができる。ノズル面51aには機能液の吐出に伴って発生した微小な液滴が付着し、蓄積されないように撥液処理(撥水処理)が施されている。
【0038】
吐出ヘッド50における駆動手段は、圧電素子に限らない。アクチュエーターとしての振動板を静電吸着により変位させる電気機械変換素子や、機能液を加熱してノズル52から液滴として吐出させる電気熱変換素子(サーマル方式)でもよい。
また、吐出ヘッド50は、2つのノズル列52a,52bを有するものに限定されず、1つのノズル列を有するものでもよい。以降の説明では、2つのノズル列52a,52bをノズル列52cとして説明する。
【0039】
図3は、ヘッドユニットにおける吐出ヘッドの配置を示す概略平面図である。詳しくは、ワークWに対向する側から見た図である。
【0040】
図3に示すように、ヘッドユニット101には、合計3個の吐出ヘッド50A,50B,50Cが搭載されている。吐出ヘッド50Aと吐出ヘッド50Cとは、相互のノズル列52cが副走査方向(X方向)と合致し、所定の間隔をおいて同一線上に並ぶように配置されている。
【0041】
吐出ヘッド50Bは、ノズル列52cが副走査方向と合致し、吐出ヘッド50A,50Cに対して並行するように配置されている。また、主走査方向(Y方向)から見たノズル列52cの長さつまり描画範囲をL1とすると、吐出ヘッド50Bのノズル列52cの両端側における描画範囲L3が吐出ヘッド50Aと吐出ヘッド50Cとにおける描画範囲L1と重なり合うように配置されている。つまり、これら3つの吐出ヘッド50A,50B,50Cにおける実質的な描画範囲L2は、描画範囲L1の3倍の長さから2倍の描画範囲L3を除いた長さとなる。したがって、ヘッドユニット101によりワークWを主走査すれば、描画範囲L2に亘って機能液を吐出することができる。
【0042】
なお、ヘッドユニット101における吐出ヘッド50の配置は、これに限定されない。吐出ヘッド50は1つでもよいし、3つ以上配置することも可能である。クリーニング機構109に搭載されたワイピング装置120は、ヘッドユニット101における吐出ヘッド50の配置に対応した構成を備えている。詳しくは、後述する。
【0043】
このような吐出ヘッド50を備えた液滴吐出装置100は、上位コンピューターなどの外部情報処理装置からワークW上の所望の領域に機能液を塗布するための吐出データが制御装置108に入力され、当該吐出データに基づいて機能液がノズル52から液滴として吐出される。吐出データには、ワークW上における上記所望の領域に関する位置データ、吐出タイミングを規定する制御データ、吐出ヘッド50とワークWとの主走査における複数のノズル52の選択(ON)/非選択(OFF)データや液滴の吐出回数などのノズルデータが含まれている。
【0044】
例えば、機能性材料としての導電粒子を含んだ機能液をワークWに吐出して膜パターンを形成し、これを焼成することによって、所望の幅や高さを有する配線パターンを自在にワークW上に形成することができる。
【0045】
<ワイピング装置>
次に、本実施形態のワイピング装置120について、図4を参照して説明する。図4(a)はワイピング装置の構成を示す模式平面図、同図(b)は副走査方向から見た模式側面図、同図(c)はワイピング部材の支持部を示す概略側面図である。
【0046】
図4(a)および(b)に示すように、ワイピング装置120は、基台121上において、主走査方向(Y方向)に間隔を置いて設けられた巻出し部122と巻取り部123とを有する。巻出し部122と巻取り部123との間には3つの当接機構124,125,126がほぼ等間隔に設けられている。
【0047】
また、3つの当接機構124,125,126の間には、ワイピング動作に伴って吐出ヘッド50のノズル面51aやワイピング部材WLから落下するおそれがある機能液や異物等を受け止める受け皿127,128が設けられている。受け皿127,128には機能液を吸収する例えば発泡処理されたウレタンなどからなる吸収シート127a,128aが敷設されている。
【0048】
巻出し部122は、糸状のワイピング部材WLが捲回された第1リール122aを有しており、第1リール122aから引き出されたワイピング部材WLは3つの当接機構124,125,126を経由して巻取り部123に導かれる。巻取り部123は、ワイピング部材WLを巻き取る第2リール123aを有している。
【0049】
また、第1リール122aは、基台121から立脚する一対の支持柱122bによって軸支されており、一方の支持柱122bに取り付けられたモーター122cによって任意の方向に回転させることができる。
第2リール123aも同様であって、基台121から立脚する一対の支持柱123bによって軸支されており、一方の支持柱123bに取り付けられたモーター123cによって任意の方向に回転させることができる。
【0050】
モーター122c,123cは、例えばサーボモーターであって、内部に回転トルクを検出するトルク検出手段(図示省略)を有している。液滴吐出装置100の制御装置108は、モーター122c,123cを駆動制御可能であって、トルク検出手段からの検出信号に基づいて、モーター122c,123cの駆動と回転方向とを制御して所定の長さ(Y方向における当接機構124と当接機構126との間)に引き出されたワイピング部材WLに張力(テンション)を与えることができる。
これらの巻出し部122と巻取り部123とによりワイピング部材供給機構が構成されている。
【0051】
平面視で四角形の基台121は、長手方向が主走査方向(Y方向)と合致するようにクリーニング機構109(図1参照)に設けられている。したがって、基台121上に設けられた巻出し部122と巻取り部123とは、引き出された糸状のワイピング部材WLが吐出ヘッド50のノズル列52cと交差(直交)するように配置されている。
【0052】
図4(b)に示した当接機構124は、例えばエアーシリンダーであって、基台121上において上下するロッドを有し、ロッドの先端にはワイピング部材WLを支持する支持部124aが設けられている。
【0053】
図4(c)に示すように、支持部124aは、例えばステンレスなどの鋼材からなり、ロッドの先端側に糸状のワイピング部材WLを受ける凹部124bを有している。凹部124bの底面は、ワイピング部材WLの断面形状に対応した円弧状となっている。ワイピング部材WLの摺動に伴う摩擦を低減するため、上記底面は例えば鏡面仕上げされている。
【0054】
他の当接機構125,126の構成も当接機構124と同じであって、ロッドの先端部にワイピング部材WLを支持する支持部125a,126aを有している。
【0055】
基台121上における2つの当接機構124,125のY方向の配置間隔は、ノズル面51aの短手方向の長さよりも少し長くなるように配置されている。当接機構125,126のY方向の配置間隔も同様である。
【0056】
巻出し部122側の当接機構124の上流側には、ワイピング部材WLに洗浄液を塗布する洗浄液塗布部129が設けられている。洗浄液塗布部129は洗浄液をノズルから噴射可能な構成となっている。洗浄液としては、機能液の溶媒を用いることが望ましく、例えば、水や有機溶媒が挙げられる。
【0057】
糸状のワイピング部材WLとしては、吐出ヘッド50のノズル面51aに付着した機能液や機能液が乾燥して固着した異物などを払拭するため、少なくとも機能液に含まれる溶媒に対して耐溶媒性を有するものが望ましく、例えば綿などの天然繊維、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリウレタン等の化学繊維を材料として用いることができる。
また、機能液を払拭する観点では、機能液や洗浄液を吸着あるいは吸収可能な機能を有することが望ましく、例えば数十μm程度の径を有する繊維を撚りあわせて、数mmの径を有する紐状としてもよい。
【0058】
<ワイピング方法>
次に、ワイピング装置120を用いたワイピング方法について、図5を参照して説明する。図5(a)〜(c)はワイピング方法を示す概略図である。
【0059】
まず、図5(a)に示すように、ワイピング動作を行わせる前に、対象となる吐出ヘッド50A,50B,50Cを臨む位置にワイピング装置120を対向配置する。ワイピング装置120は、クリーニング機構109に搭載されているので、図1に示したように制御装置108はY方向駆動モーター110を駆動してクリーニング機構109をY方向ガイド軸105に沿って移動させる。
また、制御装置108はX方向駆動モーター103を駆動してヘッドユニット101をX方向ガイド軸102に沿って移動させ、ワイピング装置120に対して吐出ヘッド50A,50B,50Cを払拭するための相対的なワイピング開始位置に配置する。
この場合のワイピング開始位置は、吐出ヘッド50Cのノズル面51aのX方向における後端である。
【0060】
次に、図5(b)に示すように、制御装置108は当接機構124,125,126を駆動して3つの支持部124a,125a,125aを所定の高さまで上昇させる。この場合の所定の高さとは、各支持部124a,125a,126aがノズル面51aよりもわずかに高くなる位置である。
支持部124a,125a,126aの上昇に伴って第1リール122aからワイピング部材WLが巻き出され、その一方で巻取り部123によって巻き取られる。また同時に引き出されたワイピング部材WLに張力(テンション)が与えられる。それゆえに、ワイピング部材WLは、支持部124aと支持部125aとの間、および支持部125aと支持部126aとの間において一定の高さに到達してノズル面51aと当接した後にさらに持ち上げられ、各吐出ヘッド50A,50B,50Cのノズル面51aに確実に当接する。この場合、ワイピング部材WLは最初に吐出ヘッド50Cのノズル面51aに当接する。
【0061】
そして、図5(c)に示すように、吐出ヘッド50Cのノズル面51aにワイピング部材WLが当接した状態で、制御装置108はX方向駆動モーター103を駆動してヘッドユニット101をX方向ガイド軸102に沿って移動させる。これにより、ワイピング部材WLに対して吐出ヘッド50Cを相対的に移動させ、ワイピング部材WLによりノズル面51aを払拭する。
【0062】
このとき、所定の長さで巻出し部122から引き出されたワイピング部材WLをノズル面51aに当接させた状態で、Y方向に移動させるとしてもよい。Y方向に移動させることにより、ノズル面51aには常に新しいワイピング部材WLが供給され払拭(ワイピング動作)を行うことができる。
また、図5(b)に示すように、ノズル面51aにおける汚れや異物等の付着状況を鑑みて、洗浄液塗布部129から洗浄液をワイピング部材WLに含ませてもよい。これにより、ノズル面51aにおいて乾燥し固着した機能液を容易に除去できる。
【0063】
ヘッドユニット101がX方向ガイド軸102に沿って移動することにより、吐出ヘッド50C、吐出ヘッド50B、吐出ヘッド50Aの順にそれぞれのノズル面51aがワイピング部材WLと当接して払拭される。
【0064】
なお、ノズル面51aを払拭する順番は、これに限定されない。もちろん、吐出ヘッド50A側から先に行ってもよい。また、このようなワイピング動作を繰り返してもよい。例えば、吐出ヘッド50C側からワイピング動作を行った後に再び吐出ヘッド50A側からワイピング動作を往復して行ってもよい。
【0065】
上記ワイピング方法におけるワイピング動作は、ノズル52から機能液が適正な状態(吐出量、吐出速度、吐出方向)で吐出されるように機能回復させるクリーニング動作のうちの1つである。
また、ワイピング動作の前に、機能液が乾燥して固着した異物などによるノズル52の目詰まりを解消するため、キャッピング装置を用いてノズル52から機能液を吸引する吸引動作が行われる。吸引動作後に、ノズル面51aに多量の機能液が付着している場合には、ワイピング部材WLによってノズル面51aを払拭するワイピング動作を行っても付着した機能液を十分に拭き取れないおそれがある。例えば、ノズル面51aにおいてノズル52の近傍に機能液が残留していると、ノズル52から吐出された機能液と交じり合うことで、適正な方向に機能液を吐出できなくなる。
そこで、上記ワイピング動作を有効とする吸引動作の一例について、図6を参照して説明する。図6(a)〜(c)は吸引動作の一例を示す概略図である。
【0066】
図6(a)はキャッピング装置におけるキャップ部の概略平面図である。キャップ部115は、平面視四角形の凹部115aを有し、該凹部115aの底面のほぼ中央付近に孔115dが設けられている。また、凹部115aにはシート状の多孔質部材115cが敷設されており、多孔質部材115cを取り囲むように例えばネオプレンなどのゴム材料(弾性体)を用いたシール部材115bが設けられている。
【0067】
図6(b)に示すように、キャップ部115は、吐出ヘッド50のノズル面51aを臨む位置に対向配置される。凹部115aの平面的な大きさは、吐出ヘッド50のノズル面51aの面積よりも大きい。シール部材115bは、ノズル面51aの外縁部を封止可能な大きさとなっている。凹部115aの孔115dには、例えば真空ポンプなどの吸引手段に繋がった配管115eが接続されている。
【0068】
そして、図6(c)に示すように、ノズル面51aにシール部材115bを当接させてノズル面51aを封止し(キャッピング動作)、吸引手段を稼動させ吐出ヘッド50の内部からノズル52を経由して機能液を吸引する(吸引動作)。このとき、ノズル52内に付着していた異物なども同時に吸引されて除去される。すべてのノズル52を経由して機能液を吸引するので、ノズル面51aに機能液が残留し易い。シール部材115bにより封止されたノズル面51aと多孔質部材115cの表面との隙間をできるだけ狭くする。多量の機能液がノズル面51aに付着しても、付着した機能液が多孔質部材115cに吸収されるようにしておく。これにより、吸引動作後にノズル面51aに残留する機能液の量を少なくして、糸状または紐状のワイピング部材WLで払拭可能とする。
【0069】
上記第1実施形態の効果は、以下の通りである。
(1)ワイピング装置120およびこれを用いたワイピング方法によれば、巻出し部122から所定の長さに引き出された糸状または紐状のワイピング部材WLに張力を与えた状態で、ノズル列52cと交差するようにノズル面51aに当接させる。そして、吐出ヘッド50を副走査方向(X方向)に移動させることによりワイピング部材WLを相対的に移動させて、ノズル面51aを払拭する。
したがって、ノズル面51aにワイピング部材WLを安定的に接触させて、付着した機能液や異物を払拭することがきでる。
【0070】
(2)ワイピング部材WLが糸状または紐状であるため、帯状のワイピング部材を用いる場合に比べて、複数の吐出ヘッド50を同時に払拭(ワイピング動作)したとしてもワイピング部材の実質的な使用量を低減することができる。
【0071】
(3)ノズル面51aに対してほぼ線接触した状態でワイピング動作が行われる。したがって、ノズル面51aとの摩擦によりノズル面51aが損傷して、ノズル面51aに施された撥液処理に不具合が生ずることを低減できる。特に、機能液として導電粒子を含む場合には、ワイピング動作に伴って導電粒子によりノズル面51aを傷つけるおそれがあるので、本発明のワイピング装置120やワイピング方法は効果的である。
【0072】
(4)帯状のワイピング部材を用いる場合に比べて、巻出し部122や巻取り部123を小型化できる。すなわち、より小型なワイピング装置120を提供できる。
【0073】
(第2実施形態)
次に、ワイピング装置の他の実施形態について、図7を参照して説明する。図7(a)〜(d)は、第2実施形態のワイピング装置およびワイピング方法を示す概略図である。
第2実施形態のワイピング装置およびワイピング方法は、第1実施形態に対して吐出ヘッド50(ノズル面51a)に対するワイピング部材WLの相対的な配置を異ならせたものである。なお、第1実施形態と同じ構成については、詳細の説明を省略する。
【0074】
図7(a)および(b)に示すように、本実施形態のワイピング装置150は、基台151上において、副走査方向(X方向)に間隔を置いて設けられた巻出し部152と巻取り部153とを有する。巻出し部152と巻取り部153との間には5つの当接機構154,155,156,157,158が互いに間隔をおいて設けられている。
【0075】
巻出し部152は、糸状または紐状のワイピング部材WLが捲回された第1リール152aを有しており、第1リール152aから引き出されたワイピング部材WLは5つの当接機構154,155,156,157,158を経由して巻取り部153に導かれる。巻取り部153は、ワイピング部材WLを巻き取る第2リール153aを有している。
【0076】
また、第1リール152aは、基台151から立脚する一対の支持柱152bによって軸支されており、一方の支持柱152bに取り付けられたモーター152cによって任意の方向に回転させることができる。
第2リール153aも同様であって、基台151から立脚する一対の支持柱153bによって軸支されており、一方の支持柱153bに取り付けられたモーター153cによって任意の方向に回転させることができる。
【0077】
モーター152c,153cは、第1実施形態と同様に例えばサーボモーターであって、内部に回転トルクを検出するトルク検出手段(図示省略)を有している。トルク検出手段からの検出信号に基づいて、モーター152c,153cの駆動と回転方向とを制御して所定の長さに引き出されたワイピング部材WLに張力(テンション)を与えることができる。
これらの巻出し部152と巻取り部153とによりワイピング部材供給機構が構成されている。
【0078】
平面視で四角形の基台151は、長手方向が副走査方向(X方向)と合致するようにクリーニング機構109(図1参照)に設けられている。したがって、基台151上に設けられた巻出し部152と巻取り部153とは、引き出された糸状または紐状のワイピング部材WLが吐出ヘッド50のノズル列52cと並行するように配置されている。
【0079】
図7(b)に示した当接機構154は、例えばエアーシリンダーであって、基台151上において上下するロッドを有し、ロッドの先端にはワイピング部材WLを支持する支持部154aが設けられている。支持部154aの構成は、第1実施形態における支持部124aと同じである。
【0080】
他の当接機構155,156,157,158の構成も当接機構154と同じであって、ロッドの先端部にワイピング部材WLを支持する支持部155a,156a,157a,158aを有している。
【0081】
ヘッドユニット101に搭載された3つの吐出ヘッド50A,50B,50Cのうち吐出ヘッド50Bのノズル面51aを払拭する際には、基台151のほぼ中央に位置する当接機構156の支持部156aを下降させ、他の当接機構154,155,157,158の支持部154a,155a,157a,158aを上昇させて、ワイピング部材WLをノズル面51aに当接させる。また、モーター152c,153cを駆動制御して当接機構154と当接機構158との間において所定の長さに引き出されたワイピング部材WLに張力(テンション)を与える。
【0082】
この場合のワイピング動作の開始位置は、主走査方向(Y方向)における吐出ヘッド50Bのノズル面51aの前端である。そして、液滴吐出装置100の制御装置108は、Y方向駆動モーター110を駆動し、ワイピング装置150が搭載されたクリーニング機構109を主走査方向(Y方向)に移動させる。これにより、図7(d)に示すように、吐出ヘッド50Bのノズル面51aに対してワイピング部材WLを相対的に移動させ、ワイピング動作を行わせる。
【0083】
3つの吐出ヘッド50A,50B,50Cのうち残りの吐出ヘッド50A,50Cのノズル面51aを払拭する際には、基台151の当接機構155の支持部155aと当接機構157の支持部157aを下降させ、他の当接機構154,156,158の支持部154a,156a,158aを上昇させて、ワイピング部材WLをそれぞれのノズル面51aに当接させる。また、モーター152c,153cを駆動制御して当接機構154と当接機構158との間において所定の長さに引き出されたワイピング部材WLに張力(テンション)を与える。そして、吐出ヘッド50Bの場合と同様に、ワイピング装置150が搭載されたクリーニング機構109を主走査方向(Y方向)に移動させ、同じく図7(d)に示すように、2つの吐出ヘッド50A,50Cのノズル面51aに対してワイピング部材WLを相対的に移動させ、ワイピング動作を行わせる。
【0084】
もちろん、第1実施形態と同様に、これらのワイピング動作を行うときに巻出し部152から新しいワイピング部材WLを供給するように制御してもよい。また、洗浄液を含ませたワイピング部材WLを用いてワイピング動作を行ってもよい。
【0085】
なお、ワイピング動作を行う順序は、吐出ヘッド50Bの方を先に行うことに限定されず、吐出ヘッド50A,50Cの方から先に実施してもよいし、これらのワイピング動作を繰り返してもよい。
【0086】
また、第1実施形態と同様に、巻出し部152側の当接機構154の上流側に、ワイピング部材WLに洗浄液を塗布する洗浄液塗布部を設けてもよい。また、5つの当接機構154,155,156,157,158の間にノズル面51aやワイピング部材WLから落下するおそれがある機能液や異物を受ける受け皿を設けてもよい。
【0087】
上記第2実施形態の効果は、第1実施形態の効果(1)〜(4)に加えて、以下の効果が得られる。
【0088】
(5)上記第2実施形態のワイピング装置150およびこれを用いたワイピング方法によれば、ノズル面51aに対してノズル列52cに並行するようにワイピング部材WLを当接させ、平面視で四角形のノズル面51aの短手方向にワイピング動作を行う。したがって、ワイピング動作中にワイピング部材WLを引き出された方向に移動させないときには、第1実施形態に比べて当接したワイピング部材WLの同一箇所で払拭するノズル52の数が実質的に1つとなる。つまり、ワイピング部材WLを無駄に使用せず、より効率的に360個のノズル52からなるノズル列52cが設けられたノズル面51aを払拭することができる。
【0089】
上記第1実施形態のワイピング装置120または上記第2実施形態のワイピング装置150を備えた液滴吐出装置100は、帯状のワイピング部材を用いる場合に比べて、ワイピング部材の使用量を低減すると共に、各吐出ヘッド50A,50B,50Cのノズル面51aを清浄な状態として、安定的な膜パターンの描画を行うことができる。
【0090】
上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
【0091】
(変形例1)上記第1実施形態において、ワイピング部材WLをノズル面51aに当接させる当接機構124,125,126の構成は、これに限定されない。例えば、糸状または紐状のワイピング部材WLの巻出し部122と巻取り部123とを基台121上において、上下動させる機構を有するとしてもよい。上記第2実施形態の場合も同様である。
【0092】
(変形例2)ノズル面51aに当接させるワイピング部材WLは1本に限定されない。例えば、1つのノズル面51aに対して複数本のワイピング部材WLを当接させる構成としてもよい。これによれば、短時間でのワイピング動作でノズル面51aを清浄化できる。
【0093】
(変形例3)上記実施形態では、ワイピング装置120またはワイピング装置150を液滴吐出装置100のクリーニング機構109に搭載したが、これに限定されない。例えば、ワイピング装置120またはワイピング装置150を単独でY方向ガイド軸105に沿って移動させる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0094】
50,50A,50B,50C…吐出ヘッド、51a…ノズル面、52…ノズル、100…描画装置としての液滴吐出装置、120,150…ワイピング装置、122,152…巻出し部、123,153…巻取り部、124,125,126,154,155,156,157,158…当接機構、129…洗浄液塗布部、W…ワーク、WL…糸状または紐状のワイピング部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出ヘッドのノズル面を払拭するワイピング装置であって、
糸状または紐状のワイピング部材と、
前記ワイピング部材の巻出し部と巻取り部とを有するワイピング部材供給機構と、
前記ワイピング部材供給機構によって所定の長さに引き出された前記ワイピング部材に前記ノズル面を当接させる当接機構とを備え、
前記ノズル面に前記ワイピング部材を当接させた状態で、前記吐出ヘッドに対して前記ワイピング部材を相対的に移動させて前記ノズル面を払拭することを特徴とするワイピング装置。
【請求項2】
前記当接機構は、前記所定の長さに引き出された前記ワイピング部材を一定の高さに保持し、
前記ワイピング部材供給機構は、前記巻出し部と前記巻取り部とを制御して前記一定の高さに保持された前記ワイピング部材に張力を与えることを特徴とする請求項1に記載のワイピング装置。
【請求項3】
前記ワイピング部材供給機構は、前記ワイピング部材による前記ノズル面の払拭中に前記巻出し部から前記巻取り部へと前記ワイピング部材を移動させることを特徴とする請求項1または2に記載のワイピング装置。
【請求項4】
前記ノズル面には一定の方向に配列した複数のノズルが設けられており、前記複数のノズルの配列方向に対して前記ワイピング部材が交差するように前記ワイピング部材供給機構が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のワイピング装置。
【請求項5】
前記ノズル面には一定の方向に配列した複数のノズルが設けられており、前記複数のノズルの配列方向に対して前記ワイピング部材が並行するように前記ワイピング部材供給機構が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のワイピング装置。
【請求項6】
前記巻出し部側に配置され、前記ワイピング部材に洗浄液を塗布する洗浄液塗布部を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のワイピング装置。
【請求項7】
吐出ヘッドのノズルからワークに対して機能性材料を含む機能液を吐出して前記ワーク上に膜パターンを描画する描画装置であって、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のワイピング装置を備えたことを特徴とする描画装置。
【請求項8】
吐出ヘッドのノズル面を払拭するワイピング方法であって、
所定の長さに引き出された糸状または紐状のワイピング部材に対して前記ノズル面を当接させる第1ステップと、
前記ノズル面に前記ワイピング部材を当接させた状態で、前記吐出ヘッドに対して前記ワイピング部材を相対的に移動させて前記ノズル面を払拭する第2ステップと、を備えたことを特徴とするワイピング方法。
【請求項9】
前記第1ステップは、前記所定の長さに引き出された前記ワイピング部材に張力を与えることを特徴とする請求項8に記載のワイピング方法。
【請求項10】
前記ノズル面には一定の方向に配列した複数のノズルが設けられており、前記第1ステップは、前記ノズル面に対して前記複数のノズルの配列方向と交差する方向に前記ワイピング部材を当接させることを特徴とする請求項8または9に記載のワイピング方法。
【請求項11】
前記ノズル面には一定の方向に配列した複数のノズルが設けられており、前記第1ステップは、前記ノズル面に対して前記複数のノズルの配列方向と並行する方向に前記ワイピング部材を当接させることを特徴とする請求項8または9に記載のワイピング方法。
【請求項12】
前記第2ステップは、前記ワイピング部材による前記ノズル面の払拭中に前記ワイピング部材を引き出された方向に移動させることを特徴とする請求項8乃至11のいずれか一項に記載のワイピング方法。
【請求項13】
前記第1ステップの前に、前記所定の長さに引き出された前記ワイピング部材に洗浄液を含ませるステップを有していることを特徴とする請求項8乃至12のいずれか一項に記載のワイピング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−148173(P2011−148173A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10723(P2010−10723)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】