説明

ワイプ

【構成】ロール状のワイプが装填され、容器のノズルまたは開口11から上記ロールの軸線に平行な方向にワイプ1を引き出すように構成されたノズルまたは開口を有する容器である。ワイプ1は、側縁部2A、2Bが平行で、リード縁部3Aおよびトレール縁部3Bを有する長尺材料2からなる。開裂線4、第1側縁部2Aの所定の点5Aから他方の第2側縁部2Bの所定の点5Bまで延長し、各開裂線が、第1側縁部においてよりも第2側縁部付近でより開裂しやすく、そして開裂線の第1側縁部の上記点が、上記他方の第2側縁部よりも先に、上記ノズルまたは開口から現れるようにワイプを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイプに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ワイプは、側縁部が平行な長尺の含浸不織布からなり、そして開裂線が含浸不織布の全長にそって等間隔に存在し、各開裂線が、側縁部間において不織布の幅に対して法線方向にあるとともに、その幅全体に存在する。従って、各ワイプは、開裂線間に形成されている。
【0003】
このようなワイプの場合、タブ形容器に装填され、使用時にタブ開口から引っ張り出されるようになっていることが多い。ワイプがタブ開口から引き出されると、開裂線からワイプが切り取られ、長尺ワイプの残りから個々のワイプが分離する。そして、次のワイプのリード縁が開口から突き出た状態になるため、次のワイプを使用するさいに、これをタブ容器から引き出すことができる。
【0004】
このようなワイプの問題点は、ワイプ間の開裂線が、次のワイプのリード縁がタブ容器開口から突き出た状態になる前に、開裂する傾向があるため、このワイプを使用するためには、タブ容器を開き、タブ容器開口から引き出す必要がある点である。あるいは、次にワイプのリード縁がタブ容器開口から突き出たまさにその時点で、開裂線からワイプが切り取られる場合もあるが、掴むことができるリード縁の長さが短く、次のワイプを引き出すことができない。
【0005】
US20020074375A1には、テール部を次の利用者が確実に利用できるようにした改良方法が開示されている。このワイプの特徴は、その長さにそって開裂線領域を設け、この領域の片側または両側にカット領域を設けた点にある。開裂線領域の開裂線は、その長さにそって均一であり、その長さに沿う任意の点で切り取られるようにするために同じ強さをもっている必要がある。ワイプが容器の開口に引き出されると、これらカットがあるため、ワイプの領域が後ろ向きに曲がり、開口にキャッチする。これら湾曲した領域は、必然的にキャッチフラップになる。このため、容器の開口の外側に位置する開裂線領域に十分な張力が発生し、引き出されている個々のシートが切り取られる。ワイプは、スリット形の引き出し開口から出てくる。この場合、ワイプを分離する機構は、スリット形開口に係合するキャッチフラップの作用である。この方法は、容器に装填されたロール状のワイプの外側からワイプを取りだすポップアップ式ワイプ取り出しシステムに適用することができる。
【0006】
ワイプのタブ容器の場合、長尺のワイプ材料が、全体として捻じれたチューブ状の形でウエブの中心から出てくるが、この形では、必ずしもキャッチフラップが、カット部分から形成されない。なぜなら、US20020074375A1に詳しく記載されているように、キャッチフラップを形成するカット部分が、捻じれたチューブ状構成の一部になるからである。従って、タブ容器からのワイプの取り出しが簡単で、個々のシートに分離できる異なる機構が必要である。
【0007】
US2002155246には、ワイプの側縁部に垂直に開裂線を設けたワイプが記載されているが、所定の開裂線がその長さ間の開裂性を変えてあるにも関わらず、一方の側縁部における開裂が他方の側縁部と同じ程度に簡単である。上記公報には、一つの第2側縁部からもう一つの側縁部にかけて長さにそって徐々に開裂しにくくなる開裂線については開示がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】US20020074375A1
【特許文献2】US2002155246
【特許文献3】GB0710596.8
【特許文献4】GB0617067.4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、側縁部が平行で、リード端部およびトレール端部を有する長尺の材料から構成したロール状のワイプが装填され、容器のノズルまたは開口から上記ロールの軸線に平行は方向にワイプを引き出すように構成されたノズルまたは開口を有する容器において、各ワイプを分離するワイプの開裂線が上記長尺材料の長さ方向に離間配設され、これら開裂線が、第1側縁部の所定の点から他方の第2側縁部の所定の点まで延長し、各開裂線が、第1側縁部においてよりも第2側縁部付近でより開裂しやすく、そして開裂線の第1側縁部の上記点が、上記他方の第2側縁部よりも先に、上記ノズルまたは開口から現れるようにワイプが構成された容器を提供する。
【0011】
本発明は、容器開口から引き出されるように構成されたワイプの容器に展開応用することができる。
【0012】
ワイプの容器の形式としては、GB0710596.8およびGB0617067.4に記載されているものが使用できる。なお、これら明細書の内容は、本願明細書に援用するものとする。
【0013】
以下、本発明の実施態様に関して、添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ワイプの第1実施態様を示す平面図である。
【図2】タブ容器開口から引き出されているワイプのリード縁部から分離されている状態を示す図である。
【図3】ワイプの第2実施態様を示す平面図である。
【図4】ワイプの第3実施態様を示す平面図である。
【図5】ワイプの第4実施態様を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1について説明すると、長尺の材料2からなるワイプ1は、第1側縁部2Aおよび第2側縁部2Bが平行であり、リード端部3Aおよびトレール端部3Bを有する。
【0016】
材料2の直線状の切り取り開裂線4(以下開裂線と呼ぶ)は、材料の長さにそって離間配設され、各ワイプ1を分離する。各開裂線は、第1側縁部2Aの点5Aから他方の第2側縁部2Bの点5Bまで延長し、トレール端部に向けて順次設けられる。
【0017】
図示のように、各開裂線4は、スロット6A、6B、6C、6D、6E、6Fからなり、これらスロットはこの順で長さが短く設定されているため、スロット6Aが最も長く、そしてスロット6Fが最も短い。従って、各開裂線4は、開裂が、第1側縁部2A付近よりも第2側縁部2B付近においてより簡単になる。換言すれば、各開裂線4は、第2側縁部から第1側縁部にかけてその長さに沿う開裂が徐々に難しくなる。
【0018】
図2について説明すると、タブ容器10にノズルまたは開口11を介して、図1に示した形式のワイプ1を装填し、これを取り出す。
【0019】
ノズル11から第1ワイプ1を引き出すと、これとともに、第2側縁部2Bの点5Bがノズルから出てくるまで、次の第2ワイプが引っ張られる。ノズルの摩擦については、開裂線4が点5A付近で開裂し始める程度に小さく設定され、しかも点5Bで開裂が開始する程度に大きく設定される。いったん開裂が開始すると、開裂線が、第1側縁部に向かって開裂を続ける。従って、リード端部5Aが既にタブ容器外に出た状態で、トレール端部5Bがノズルに達するまで、開裂は始まらない。開裂している間、既に分離し、図2に示すように、材料本体との間に隙間がある状態のワイプの開裂領域は、必然的に遅れ、非開裂領域を引きずることになる。従って、開裂線に角度があり、そして側縁部5Bと5Aとの間の時間差があるため、第1ワイプが次の第2ワイプから分離したときに、第2ワイプの次に引き出されるリード縁部が開口から完全に引き出されるため、簡単にこれを掴むことができる。
【0020】
図3について説明すると、第1側縁部22Aと第2側縁部22Bが平行で、リード端部23Aおよびトレール端部23Bを有する長尺材料22からワイプ21を形成する。
【0021】
材料22の直線状の開裂線24は、材料の長さにそって離間配設され、各ワイプ21を分離する。各開裂線は、第1側縁部22Aの点25Aから他方の第2側縁部22Bの点25Bまで延長し、側縁部に対して直角あるいは直交関係にある。
【0022】
図示のように、各開裂線24は、スロット26A、26B、26C、26D、26E、26Fからなり、これらスロットはこの順で長さが短く設定されているため、スロット26Aが最も長く、そしてスロット26Fが最も短い。従って、各開裂線24は、開裂が、第1側縁部22A付近よりも第2側縁部22B付近においてより簡単になる。換言すれば、各開裂線24は、第2側縁部から第1側縁部にかけてその長さに沿って徐々に開裂し難くなる。
【0023】
図4について説明すると、第1側縁部32Aと第2側縁部32Bが平行で、リード端部33Aおよびトレール端部33Bを有する長尺材料32からワイプ31を形成する。
【0024】
材料32の波状の開裂線34は、材料の長さにそって離間配設され、各ワイプ31を分離する。各開裂線は、第1側縁部32Aの点35Aから他方の第2側縁部32Bの点35Bまで延長し、全体として側縁部に対して直角あるいは直交関係にある。
【0025】
図示のように、各開裂線34は、スロット36A、36B、36C、36D、36E、36Fからなり、これらスロットはこの順で長さが短く設定されているため、スロット36Aが最も長く、そしてスロット36Fが最も短い。従って、各開裂線34は、開裂が、第1側縁部32A付近よりも第2側縁部32B付近においてより簡単になる。換言すれば、各開裂線34は、第2側縁部から第1側縁部にかけてその長さに沿って徐々に開裂し難くなる。
【0026】
図5について説明すると、第1側縁部42Aと第2側縁部42Bが平行で、リード端部43Aおよびトレール端部43Bを有する長尺材料42からワイプ41を形成する。
【0027】
材料42の山形開裂線44は、材料の長さにそって離間配設され、各ワイプ41を分離する。各開裂線44は、第1側縁部42Aの点45Aから、リード端部43A側のワイプ45B中心にある点まで延長してから、トレール端部側の他方の第2側縁部42Bの点45Cまで延長する。
【0028】
図示のように、各開裂線44は、スロット46A、46B、46C、46D、46E、46Fからなり、これらスロットは、スロット46A、46Fがともに最も長く、そしてスロット46C、46Dが最も短くなるように長さが設定されている。即ち、各開裂線44は、中心42Bにおいてよりも第1側縁部42A、第2側縁部42C付近において最も開裂しやすく、換言すれば、各開裂線44は、第1側縁部および第2側縁部から中心にかけてその長さにそって開裂が徐々に難しくなる。この場合、トレール端部45A、45Cがノズルに達し、リード端部45Bが既に容器の外に出た状態になるまで、開裂は始まらない。開裂時、材料本体から切り離されて、材料本体に対して隙間がある状態になっているワイプの開裂領域は、必然的に遅れ、非開裂領域を引きずることになる。従って、山形開裂線に角度があり、そしてトレール縁部45A、45Cの開裂とリード縁部45Bの開裂との間に時間差があるため、第1ワイプが次の第2ワイプから分離したときに、第2ワイプの次に引き出されるリード縁部45Bが開口から完全に引き出されるため、簡単にこれを掴むことができる。
【0029】
各ワイプ1、21、31、41は、任意の適当な材料で構成すればよく、例示すれば不織布や紙材料があり、またよく知られているように含浸したものでもよい。また、各ワイプは、湿式でもよく、乾式でもよい。
【0030】
本発明は、上記の具体例とは異なる実施態様でも実施することができる。長さの異なるスロットの代わりに、第2側縁部付近で個数が多くなる均一な開口を設けることができる。また、直線状の開裂線4の代わりに、湾曲開裂線、波形開裂線などの非直線的な開裂線を使用してもよい。
【0031】
当業者ならば、本発明の範囲から逸脱しなくても各種の変更を実施できるはずである。
【符号の説明】
【0032】
1:ワイプ
2:長尺材料
2A、2B:側縁部
3A:リード端部
3B:トレール端部
4:開裂線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側縁部が平行で、リード端部およびトレール端部を有する長尺の材料から構成したロール状のワイプが装填され、容器のノズルまたは開口から上記ロールの軸線に平行な方向にワイプを引き出すように構成されたノズルまたは開口を有する容器において、各ワイプを分離するワイプの開裂線が上記長尺材料の長さ方向に離間配設され、これら開裂線が、第1側縁部の所定の点から他方の第2側縁部の所定の点まで延長し、各開裂線が、第1側縁部においてよりも第2側縁部付近でより開裂しやすく、そして開裂線の第1側縁部の上記点が、上記他方の第2側縁部よりも先に、上記ノズルまたは開口から現れるようにワイプが構成されたことを特徴とする容器。
【請求項2】
上記開裂線が、第1側縁部および第2側縁部に対して法線(垂直)方向以外の方向にある請求項1に記載の容器。
【請求項3】
上記他方の第2側縁部の上記点が、さらにトレール端部に向いている請求項1または2に記載の容器。
【請求項4】
各開裂線が、第2側縁部から第1側縁部にかけてその長さにそって徐々に開裂しにくくなる請求項1、2または3に記載の容器。
【請求項5】
各開裂線が、第1側縁部および第2側縁部付近で開裂しやすく、かつ各開裂線の中心に向かって開裂しにくくなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の容器。
【請求項6】
上記開裂線が、上記長尺材料に設けた開口またはスロットからなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の容器。
【請求項7】
スロットを設け、これらスロットが第2側縁部付近で長くなるように設定された請求項7に記載の容器。
【請求項8】
開口を設け、開口数が第2側縁部付近で多くなるように設定された請求項6または7に記載の容器。
【請求項9】
上記開裂線が、直線状開裂線である請求項1〜8のいずれか1項に記載の容器。
【請求項10】
上記開裂線が、湾曲開裂線、波形開裂線、あるいはその他の非直線状開裂線である請求項1〜8のいずれか1項に記載の容器。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の容器に使用される長尺ワイプ。
【請求項12】
スロットを設け、各開裂線が開裂しやすくなる場所で長く設定された請求項11に記載のワイプ。
【請求項13】
開口を設け、各開裂線が開裂しやすくなる場所で開口数が多く設定された請求項11または12に記載のワイプ。
【請求項14】
ワイプ材料が不織布である請求項11、12または13に記載のワイプ。
【請求項15】
ワイプ材料が含浸材料である請求項11〜14のいずれか1項に記載のワイプ。
【請求項16】
ワイプが湿式ワイプである請求項11〜15のいずれか1項に記載のワイプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−504380(P2011−504380A)
【公表日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531593(P2010−531593)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際出願番号】PCT/GB2008/051036
【国際公開番号】WO2009/060237
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(510122050)
【氏名又は名称原語表記】GORDON,Michael John
【住所又は居所原語表記】Caol IIa,Blackpond Lane,Farnham Royal Buckinghamshire SL2 3ED Great Britain
【Fターム(参考)】