説明

ワイヤハーネス及びワイヤハーネスの製造方法

【課題】部品点数の増加を防止でき、電線を必要以上の長さにすることを防止できるワイヤハーネス及びワイヤハーネスの製造方法を提供する。
【解決手段】ワイヤハーネス10は電線11と合成樹脂で構成されかつ電線11を収容して当該電線11を保護する筒状のコルゲートチューブ13とを備え自動車に配索される際にコルゲートチューブ13が適宜箇所10aで屈曲される。コルゲートチューブ13が凹溝14と凸条15とを長手方向に交互に配列している。適宜箇所10aの内側の互いに隣り合う凸条15が互いに溶着して取り付けられている。適宜箇所10aが自動車に配索される際に屈曲される向きに復元不可となるように屈曲されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に配索されるワイヤハーネス及びワイヤハーネスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、多種多様な電子機器が搭載される。このため、前記自動車は、前述した電子機器に所望の電力や信号を伝送するためのワイヤハーネス(例えば、特許文献1参照)を配索している。特許文献1などに示されたワイヤハーネスは、複数の電線と、これら電線の端末に取り付けられかつ前記電子機器に嵌合するコネクタと、前記電線を収容して当該電線を保護するハーネス用チューブなどを備えている。
【0003】
この種のワイヤハーネスは、自動車の車体パネルに沿わされて自動車内に配索されるために、前記車体パネルの表面に沿って適宜箇所が所望の方向に屈曲した所望の三次元形状となっている。
【0004】
一方、前述したワイヤハーネスは、平板状の付線板上にサブハーネス、前述したコネクタやハーネス用チューブが適宜組み付けられて、組み立てられる。このために、前述したワイヤハーネスは、二次元上即ち所定の平面上で前述した適宜箇所が屈曲されて得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−203945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した特許文献1などに示された従来のワイヤハーネスは、前述した適宜箇所が所定の平面上で屈曲しているために、当該適宜箇所の屈曲した向きが自動車に実際に配索される際の向きと異なっている。このため、従来のワイヤハーネスは、コネクタを確実に所望の電子機器に嵌合できるようにするために、前述した電線を最低限必要な所望の長さよりも若干長くして、自動車に実際に配索する際に再度電線などを曲げている。また、従来のワイヤハーネスは、前述した適宜箇所の屈曲した向きが自動車に実際に配索される際の向きと異なっているために、自動車の車体パネルに固定する際に多くの配線用クリップを設ける必要があるとともに、電線を配索経路に位置決めするプロテクタを多く設ける必要があって、部品点数が増加する傾向であった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、部品点数の増加を防止でき、電線を必要以上の長さにすることを防止できるワイヤハーネス及びワイヤハーネスの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明のワイヤハーネスは、少なくとも一本の電線と、合成樹脂で構成されかつ前記少なくとも一本の電線を収容して当該電線を保護する筒状の保護部材と、を備え、自動車に配索される際に前記保護部材が適宜箇所で屈曲されるワイヤハーネスにおいて、前記保護部材が、周方向に延在した凹溝と凸条とを長手方向に交互に配列して、外表面が蛇腹状に形成されており、直線状の保護部材内に前記電線が収容され、前記直線状の保護部材の前記適宜箇所の前記自動車に配索される際に屈曲される向きの内側に位置する互いに隣り合う凸条同士が取り付けられて、前記保護部材の前記適宜箇所が前記向きに復元不可となるように屈曲されていることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の本発明のワイヤハーネスは、請求項1に記載のワイヤハーネスにおいて、前記保護部材が、前記適宜箇所の前記互いに隣り合う凸条が溶着されることにより、前記向きに復元不可となるように屈曲されていることを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の本発明のワイヤハーネスは、請求項1に記載のワイヤハーネスにおいて、前記保護部材が、前記適宜箇所の前記互いに隣り合う凸条が接着剤により接着されることにより、前記向きに復元不可となるように屈曲されていることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の本発明のワイヤハーネスの製造方法は、少なくとも一本の電線と、合成樹脂で構成されかつ前記少なくとも一本の電線を収容して当該電線を保護する筒状の保護部材と、を備え、自動車に配索される際に前記保護部材が適宜箇所で屈曲されるワイヤハーネスの製造方法において、前記保護部材が、周方向に延在した凹溝と凸条とを長手方向に交互に配列して、外表面が蛇腹状に形成されており、直線状の保護部材内に前記電線を収容し、前記直線状の保護部材の前記適宜箇所の前記自動車に配索される際に屈曲される向きの内側に位置する互いに隣り合う凸条同士を取り付けて、前記保護部材の前記適宜箇所が前記向きに復元不可となるように屈曲することを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載の本発明のワイヤハーネスの製造方法は、請求項4に記載のワイヤハーネスの製造方法において、前記適宜箇所の前記互いに隣り合う凸条を溶着することにより、前記保護部材を前記向きに復元不可となるように屈曲することを特徴としている。
【0013】
請求項6に記載の本発明のワイヤハーネスの製造方法は、請求項4に記載のワイヤハーネスの製造方法において、前記適宜箇所の前記互いに隣り合う凸条を接着剤により接着することにより、前記保護部材を前記向きに復元不可となるように屈曲することを特徴としている。
【0014】
請求項1に記載した本発明のワイヤハーネスによれば、保護部材の自動車に配索される際に屈曲する適宜箇所が自動車に配索される際に屈曲される向きに復元不可となるように屈曲されているので、自動車に配索される際に再度曲げる必要が殆ど生じない。
【0015】
また、前述した適宜箇所の前記向きの内側に位置する隣り合う凸条同士が取り付けられているので、保護部材の適宜箇所を確実に前記向きに復元不可となるように屈曲することができる。
【0016】
請求項2に記載した本発明のワイヤハーネスによれば、保護部材の適宜箇所の前記向きの内側に位置する隣り合う凸条同士が溶着されているので、保護部材の適宜箇所を確実に前記向きに復元不可となるように屈曲することができる。
【0017】
請求項3に記載した本発明のワイヤハーネスによれば、保護部材の適宜箇所の前記向きの内側に位置する隣り合う凸条同士が接着剤により接着されているので、保護部材の適宜箇所を確実に前記向きに復元不可となるように屈曲することができる。
【0018】
請求項4に記載した本発明のワイヤハーネスの製造方法によれば、保護部材の自動車に配索される際に屈曲する適宜箇所を自動車に配索される際に屈曲される向きに復元不可となるように屈曲するので、自動車に配索される際に再度曲げる必要が殆ど生じないワイヤハーネスを得ることができる。
【0019】
また、前述した適宜箇所の前記向きの内側に位置する隣り合う凸条同士を取り付けるので、保護部材の適宜箇所を確実に前記向きに復元不可となるように屈曲することができる。
【0020】
請求項5に記載した本発明のワイヤハーネスの製造方法によれば、保護部材の適宜箇所の前記向きの内側に位置する隣り合う凸条同士を溶着するので、保護部材の適宜箇所を確実に前記向きに復元不可となるように屈曲することができる。
【0021】
請求項6に記載した本発明のワイヤハーネスによれば、保護部材の適宜箇所の前記向きの内側に位置する隣り合う凸条同士を接着剤により接着するので、保護部材の適宜箇所を確実に前記向きに復元不可となるように屈曲することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、請求項1及び請求項4に記載の本発明は、自動車に配索される際に再度曲げる必要が殆ど生じないので、配線用クリップやプロテクタの数を削減でき、部品点数の増加を防止できる。また、自動車に配索される際に再度曲げる必要が殆ど生じないので、電線を必要以上の長さにすることを防止できる。なお、必要の長さとは、自動車に搭載される電子機器同士を接続するために配索経路の流さをいう。
【0023】
また、互いに隣り合う凸条同士を取り付けて、保護部材の適宜箇所を確実に前記向きに復元不可となるように屈曲することができるので、電線を必要以上の長さにすることを確実に防止できるとともに、部品点数の増加を確実に防止できる。
【0024】
請求項2及び請求項5に記載の本発明は、互いに隣り合う凸条同士を溶着して、保護部材の適宜箇所を確実に前記向きに復元不可となるように屈曲することができるので、電線を必要以上の長さにすることを確実に防止できるとともに、部品点数の増加を確実に防止できる。
【0025】
請求項3及び請求項6に記載の本発明は、互いに隣り合う凸条同士を接着して、保護部材の適宜箇所を確実に前記向きに復元不可となるように屈曲することができるので、電線を必要以上の長さにすることを確実に防止できるとともに、部品点数の増加を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるワイヤハーネスを備えた自動車の構成を示す説明図である。
【図2】図1に示されたワイヤハーネスの斜視図である。
【図3】図1に示されたワイヤハーネスの電線と直線状のコルゲートチューブを示す斜視図である。
【図4】図3に示されたコルゲートチューブ内に電線を収容した状態を示す斜視図である。
【図5】図4に示されたコルゲートチューブの適宜箇所を所望の向きに屈曲する状態を示す斜視図である。
【図6】図4中のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】図2中のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態にかかるワイヤハーネスの斜視図である。
【図9】図8中のIX−IX線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の第1の実施形態にかかるワイヤハーネス及びワイヤハーネスの製造方法を、図1ないし図7を参照して説明する。本発明の第1の実施形態にかかるワイヤハーネス10は、ハイブリッド自動車や電気自動車などのモータ3の駆動力により走行可能な自動車1(図1に示す)に配索される。なお、図示例では、自動車1として、ハイブリッド自動車を示している。
【0028】
自動車1は、エンジン2及びモータ3の二つの駆動源の駆動力により走行する車両である。モータ3には、電子機器としてのインバータ4を介して電子機器としてのバッテリ5からの電力が供給される。図示例では、エンジン2、モータ3及びインバータ4は、自動車1の車両内部前側6に設けられ、バッテリ5は、自動車1の車両内部後側7に設けられている。
【0029】
本実施形態のワイヤハーネス10は、バッテリ5とインバータ4とを互いに電気的に接続して、バッテリ5からインバータ4へ又はインバータ4からバッテリ5へと電力を供給する。ワイヤハーネス10は、車体パネルとしての車体フレーム8の下面に配索されるとともに、当該車体フレーム8の下面に配索される際に、適宜箇所10a(図示例では、二箇所)が所望の向き(自動車1に配索される際に屈曲される向きに相当)に屈曲されている。
【0030】
ワイヤハーネス10は、図2に示すように、少なくとも一本の電線11(図示例では、二本)と、二つのコネクタ12と、筒状の保護部材としてのハーネス用チューブ(以下、コルゲートチューブという)13と、を備えている。
【0031】
電線11は、図6、図7及び図9に示すように、導電性の芯線16と、絶縁性の被覆部17とを備えている。芯線16は、複数の導電性の素線が撚られて形成されている。芯線16を構成する素線は、銅又は銅合金などの導電性の金属で構成されている。また、芯線16は、一本の素線で構成されてもよい。被覆部17は、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂で構成されている。被覆部17は、芯線16を被覆している。
【0032】
コネクタ12は、図3などに示すように、コネクタハウジング18と、端子金具19とを備えている。コネクタハウジング18は、絶縁性の合成樹脂で構成され、箱状に形成されている。コネクタハウジング18は、端子金具19を収容する。また、コネクタハウジング18には、前述したバッテリ5やインバータ4に設けられたコネクタに嵌合するためのロックアーム18aが設けられている。
【0033】
端子金具19は、導電性の板金で構成され、電線11の端末に取り付けられている。端子金具19は、芯線16即ち電線と電気的に接続して、前述したバッテリ5やインバータ4に設けられたコネクタの端子金具に接続する。
【0034】
コルゲートチューブ13は、絶縁性の合成樹脂としての熱可塑性樹脂で構成されている。コルゲートチューブ13は、断面小判形の筒状に形成されている。また、コルゲートチューブ13は、図6に示すように、周方向に延在した凹溝14と周方向に延在した凸条15とが長手方向に交互に配列されて、外表面が蛇腹状に形成されているとともに、全体が均一の肉厚に形成されている。
【0035】
コルゲートチューブ13は、図7に示すように、前述した適宜箇所10aの前記所望の向きの内側に位置する互いに隣り合う凸条15同士が溶着して、前記適宜箇所10aが前記所望の向きに復元不可となるように屈曲されている。このように、コルゲートチューブ13は、適宜箇所10aの前記所望の向きの内側に位置する互いに隣り合う凸条15同士が取り付けられている。また、本実施形態では、適宜箇所10aの前記所望の向きの内側の凸条15は、一旦加熱されて溶けて、互いに付着した後に、熱が冷まされて硬化することにより、互いに溶着されている。
【0036】
前述した構成のワイヤハーネス10は、以下のように組み立てられる。まず、図3に示すように、電線11の両端末に端子金具19を取り付け、一方の端末に取り付けた端子金具19をコネクタハウジング18内に収容する。そして、図4に示すように、電線11の他方の端末を直線状に延在したコルゲートチューブ13内に通した後、他方の端末に取り付けられた端子金具19をコネクタハウジング18内に収容する。こうして、直線状のコルゲートチューブ13内に電線11を収容する。
【0037】
その後、図5に示すように、金属で構成されかつ加熱された円板状の整形用治具21の外周面にコルゲートチューブ13の適宜箇所10aの前記所望の向きの内側を押し付けて、前述した所望の向きに屈曲する。すると、熱可塑性樹脂で構成されたコルゲートチューブ13の適宜箇所10aの前記所望の向きの内側の凸条15が一旦加熱されて溶け、互いに隣り合う凸条15が互いに付着して、当該適宜箇所10aが前述した所望の向きに屈曲される。そして、コルゲートチューブ13のチューブ本体19の適宜箇所10aを整形用治具21の外周面から遠ざけて冷却し、硬化させる。
【0038】
すると、コルゲートチューブ13のチューブ本体19の適宜箇所10aが、前述した所望の向きに復元不可となるように屈曲される。このように、ワイヤハーネス10は、直線状のコルゲートチューブ13内に電線11を収容し、当該直線状のコルゲートチューブ13の適宜箇所10aの前記所望の向きの内側に位置する互いに隣り合う凸条15同士が互いに取り付けられて、当該適宜箇所10aを前述した向きに復元不可となるように屈曲して、組み立てられる。こうして組み立てられたワイヤハーネス10は、コネクタ12が前述したバッテリ5やインバータ4のコネクタに嵌合し、かつコルゲートチューブ13が車体フレーム8の下面に取り付けられるなどして、自動車1に配索される。
【0039】
本実施形態によれば、コルゲートチューブ13の自動車1に配索される際に屈曲する適宜箇所10aが自動車1に配索される際に屈曲される向きに復元不可となるように屈曲されているので、自動車1に配索される際に再度曲げる必要が殆ど生じない。このために、配線用クリップやプロテクタの数を削減でき、部品点数の増加を防止できる。また、自動車1に配索される際に再度曲げる必要が殆ど生じないので、電線11を必要以上の長さにすることを防止できる。なお、必要の長さとは、自動車1に搭載されるバッテリ5やインバータ4などの電子機器同士を接続するために配索経路の流さをいう。
【0040】
また、前述した適宜箇所10aの前記向きの内側に位置する隣り合う凸条15同士が取り付けられているので、コルゲートチューブ13の適宜箇所10aを確実に前記向きに復元不可となるように屈曲することができる。このために、電線11を必要以上の長さにすることを確実に防止できるとともに、部品点数の増加を確実に防止できる。
【0041】
コルゲートチューブ13の適宜箇所10aの前記向きの内側に位置する隣り合う凸条15同士が溶着されているので、コルゲートチューブ13の適宜箇所10aを確実に前記向きに復元不可となるように屈曲することができる。このために、電線11を必要以上の長さにすることを確実に防止できるとともに、部品点数の増加を確実に防止できる。
【0042】
前述した実施形態では、コルゲートチューブ13と電線11との外周にハーネス用テープなどを巻き付けることなく、これらを互いに固定していないので、コルゲートチューブ13と電線11との相対的な位置が規制されないので、適宜箇所10aを前述した所望の向きに屈曲した際に、仮に電線11に余長があっても、当該余長を適宜箇所10aでの電線11の曲がりが適宜調整されることで、吸収できる。
【0043】
次に、本発明の第2の実施形態に係るワイヤハーネス10を、図8及び図9を参照して説明する。なお、本実施形態において前述した第1の実施形態と同一構成の部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0044】
本実施形態では、適宜箇所10aを前述した所望の向きに屈曲した後、図8及び図9に示すように、適宜箇所10aの前記所望の向きの内側の互いに隣り合う凸条15同士を周知の接着剤により接着する。即ち、前記所望の向きに屈曲した適宜箇所10aを接着剤22により固める。こうして、本実施形態では、適宜箇所10aの前記所望の向きの内側の互いに隣り合う凸条15同士を周知の接着剤により接着することにより、適宜箇所10aが前記所望の向きに復元不可となるように屈曲されている。なお、接着剤22として、熱可塑性や熱硬化性の合成樹脂、反応型接着剤、瞬間接着剤、ホットメルト接着剤などの種々の接着剤を用いることができる。
【0045】
本実施形態によれば、前述した第1の実施形態の効果に加え、コルゲートチューブ13の適宜箇所10aの前記向きの内側に位置する隣り合う凸条15同士が接着剤22により接着されているので、保護部材の適宜箇所を確実に前記向きに復元不可となるように屈曲することができる。このために、電線11を必要以上の長さにすることを確実に防止できるとともに、部品点数の増加を確実に防止できる。
【0046】
前述した実施形態では、コルゲートチューブ13と電線11との外周にハーネス用テープを巻き付けることなく、これらを互いに固定していない。しかしながら、本発明では、コルゲートチューブ13と電線11との外周にハーネス用テープを巻き付けて、これらを互いに固定してもよい。また、前述した実施形態では、コルゲートチューブ13に長手方向に沿って延在したスリットを設けていない。しかしながら、本発明では、コルゲートチューブ13に長手方向に沿って延在したスリットを設けて、このスリットを広げるようにコルゲートチューブ13を弾性変形させることで、当該コルゲートチューブ13内に電線11を収容してもよい。さらに、本発明では、ワイヤハーネス10は、バッテリ5やインバータ4以外の電子機器同士を接続してもよく即ち信号伝送用に用いられてもよく、電線11を三本以上備えていてもよい。
【0047】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 自動車
10 ワイヤハーネス
10a 適宜箇所
11 電線
13 ハーネス用チューブ、コルゲートチューブ(保護部材)
14 凹溝
15 凸条
22 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一本の電線と、合成樹脂で構成されかつ前記少なくとも一本の電線を収容して当該電線を保護する筒状の保護部材と、を備え、自動車に配索される際に前記保護部材が適宜箇所で屈曲されるワイヤハーネスにおいて、
前記保護部材が、周方向に延在した凹溝と凸条とを長手方向に交互に配列して、外表面が蛇腹状に形成されており、
直線状の保護部材内に前記電線が収容され、前記直線状の保護部材の前記適宜箇所の前記自動車に配索される際に屈曲される向きの内側に位置する互いに隣り合う凸条同士が取り付けられて、前記保護部材の前記適宜箇所が前記向きに復元不可となるように屈曲されていることを特徴とするワイヤハーネス。
【請求項2】
前記保護部材が、前記適宜箇所の前記互いに隣り合う凸条が溶着されることにより、前記向きに復元不可となるように屈曲されていることを特徴とする請求項1記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
前記保護部材が、前記適宜箇所の前記互いに隣り合う凸条が接着剤により接着されることにより、前記向きに復元不可となるように屈曲されていることを特徴とする請求項1記載のワイヤハーネス。
【請求項4】
少なくとも一本の電線と、合成樹脂で構成されかつ前記少なくとも一本の電線を収容して当該電線を保護する筒状の保護部材と、を備え、自動車に配索される際に前記保護部材が適宜箇所で屈曲されるワイヤハーネスの製造方法において、
前記保護部材が、周方向に延在した凹溝と凸条とを長手方向に交互に配列して、外表面が蛇腹状に形成されており、
直線状の保護部材内に前記電線を収容し、前記直線状の保護部材の前記適宜箇所の前記自動車に配索される際に屈曲される向きの内側に位置する互いに隣り合う凸条同士を取り付けて、前記保護部材の前記適宜箇所が前記向きに復元不可となるように屈曲することを特徴とするワイヤハーネスの製造方法。
【請求項5】
前記適宜箇所の前記互いに隣り合う凸条を溶着することにより、前記保護部材を前記向きに復元不可となるように屈曲することを特徴とする請求項4記載のワイヤハーネスの製造方法。
【請求項6】
前記適宜箇所の前記互いに隣り合う凸条を接着剤により接着することにより、前記保護部材を前記向きに復元不可となるように屈曲することを特徴とする請求項4記載のワイヤハーネスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−80672(P2012−80672A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223683(P2010−223683)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】