ワイヤハーネス用バンドクランプ
【課題】バンドクランプのバンド部をワイヤハーネスに締結後に余剰のバンド部を切断するが、該切断端面の幅方向の両側縁に発生するエッジを無くして、作業員の手に痛みや傷が生じるのを無くす。
【解決手段】ボックス状の本体と、該本体の外面から突出する車体係止用のクランプ部と、前記本体に設けたバンド貫通穴の一側開口の端縁から延在するバンド部を備えた樹脂成形品からなり、前記バンド部に連続的に係止溝を設けていると共に、前記バンド貫通穴を囲む周壁内面から係止片を突設し、前記バンド部を電線群に巻き付けて前記バンド貫通穴に挿通して引っ張り、該バンド部の係止溝に前記係止片を選択的に係止して締結し、該締結後に貫通穴から引き出された前記バンド部の余剰部分を切断するワイヤハーネス用バンドクランプであって、前記バンド部の幅方向の両側端縁に沿って１／４円弧リブを長さ方向に連続して設け、該１／４円弧リブはバンド部の引出側先端に向けた面を真円または楕円の１／４円弧にすると共に反対側は直線面としている。
【解決手段】ボックス状の本体と、該本体の外面から突出する車体係止用のクランプ部と、前記本体に設けたバンド貫通穴の一側開口の端縁から延在するバンド部を備えた樹脂成形品からなり、前記バンド部に連続的に係止溝を設けていると共に、前記バンド貫通穴を囲む周壁内面から係止片を突設し、前記バンド部を電線群に巻き付けて前記バンド貫通穴に挿通して引っ張り、該バンド部の係止溝に前記係止片を選択的に係止して締結し、該締結後に貫通穴から引き出された前記バンド部の余剰部分を切断するワイヤハーネス用バンドクランプであって、前記バンド部の幅方向の両側端縁に沿って１／４円弧リブを長さ方向に連続して設け、該１／４円弧リブはバンド部の引出側先端に向けた面を真円または楕円の１／４円弧にすると共に反対側は直線面としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明はワイヤハーネス用バンドクランプに関し、特に、ワイヤハーネスに締結したバンドの余剰分を切断した後に発生する切断端を改良するものである。
【背景技術】
【０００２】
自動車内等に配線する電線群をワイヤハーネスとして結束すると共に、該結束したワイヤハーネスを車体パネル等に固定するため、バンドクランプが用いられる場合が多い。
図８（Ａ）（Ｂ）に示すように、バンドクランプ１００は、多数本の電線Ｗに巻き付けて締結するバンド部１０１と、車体パネルの貫通穴に挿入係止するクランプ部１０２とを一体に設けた樹脂成形品からなる。
【０００３】
前記バンドクランプ１００は、電線Ｗにバンド部１０１を巻き付け、本体１０３に設けた貫通穴１０３ａに通して締め付け、バンド部１０１に設けた係止爪１０１ａを貫通穴１０３ａを囲む内面から突設した係止片（図示せず）で係止している。
バンド部１０１は大径となるワイヤハーネスにも適用できるように、その長さは比較的長く成形されているため、図８（Ｂ）に示すように、貫通穴１０３ａから引き出したバンド部１０１は所要の引き出し寸法を残して余剰部をニッパー等で切断除去している。
【０００４】
前記バンド部１０１で切断した切断端面は、図８（Ｂ）に示すように、幅方向の両端の隅が鋭利なエッジＥになる。
ワイヤハーネスに取り付けたバンドクランプ１００を車体に沿って配索し、車体に固定するため、バンドクランプ１００のクランプ部１０２を車体パネルの貫通穴に挿入係止するが、その際に、作業員の手にバンド部１０１の先端端面のエッジＥが当たりやすく、作業員に痛み、更には傷が発生し易くなる。
【０００５】
この問題に対して、本出願人は特開２００３−１８００２３号公報で、図９（Ａ）（Ｂ）に示すように、バンド部１０１の幅方向の両端に隙間Ｃをあけて薄肉部１１０を長手方向に形成し、余剰部を切断した状態で、バンド部１０１の幅方向の両端外面に撓み易い薄肉部１１０を位置させ、切断面の両端のエッジを撓みやすいエッジとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】特開２００３−１８００２３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
特許文献１のように、作業員の手に当たり易いエッジを薄肉部１１０に設けて撓み易くしても、エッジが手に接触した瞬間に作業員は痛みを感じ、また、例えば、薄い紙の端面でも手に擦り傷が発生するように、エッジで痛み及び傷が生じる場合もあり、其の点で改善の余地がある。
【０００８】
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、切断端にエッジを発生させないようにして作業性の改善を図ることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
前記課題を解決するため、本発明は、ボックス状の本体と、該本体の外面から突出する車体係止用のクランプ部と、前記本体に設けたバンド貫通穴の一側開口の端縁から延在するバンド部を備えた樹脂成形品からなり、前記バンド部に連続的に係止溝を設けていると共に、前記バンド貫通穴を囲む周壁内面から係止片を突設し、前記バンド部を電線群に巻き付けて前記バンド貫通穴に挿通して引っ張り、該バンド部の係止溝に前記係止片を選択的に係止して締結し、該締結後に貫通穴から引き出された前記バンド部の余剰部分を切断するワイヤハーネス用バンドクランプであって、
前記バンド部の幅方向の両側端縁に沿って１／４円弧リブを長さ方向に連続して設け、該１／４円弧リブはバンド部の引出側先端に向けた面を真円または楕円の１／４円弧にすると共に反対側は直線面としていることを特徴とするワイヤハーネス用バンドクランプを提供している。
【００１０】
前記のように、バンド部の幅方向の両側端面に沿って１／４円弧リブを設けているため、バンド部をどの位置で切断しても幅方向の両端面の隅部は９０度以上の円弧面となってエッジは発生しない。かつ、切断方向がバンド部の長さ方向に直交する幅方向に真っすぐに切断の場合および斜め切断の場合のいずれの場合も、幅方向の両端面は円弧面にでき、エッジを発生させない
【００１１】
前記バンド部の幅方向の中央部に前記係止溝を連続的に設ける一方、前記本体の上壁の内面側から前記係止片を突設し、前記上壁の外面に前記車体係止用クランプ部を突設し、バンド部の幅方向の中央部を係止片で係止するロック構成としている。
【００１２】
あるいは、前記１／４円弧リブの隣接する隙間を前記バンド部に連続的に設ける係止溝とする一方、前記本体の両側壁の内面から前記係止片を突設し、サイドロックでバンド部を係止する構成としている。
このように、バンドクランプをサイドロックタイプとすると、前記エッジを発生しないために設ける１／４円弧リブを係止用と兼用することができる。かつ、該サイドロック構成とすると、バンドクランプの全体高さを低くでき、ワイヤハーネスの配索空間にスペース的余裕が無い場合に好適に用いることができる。
【発明の効果】
【００１３】
前記構成からなる本発明のワイヤハーネス用バンドクランプでは、バンド部の幅方向の両側に１／４円弧リブを長さ方向に連続的に設けているため、バンド部を本体のバンド貫通穴に通して引っ張って締結固定した後、バンド貫通穴から引き出したバンド部を余長長さ分だけ切断した際に発生するバンド切断端面の幅方向の両側は、９０度以上の円弧面となり、鋭利はエッジは発生しない。よって、ワイヤハーネスを自動車内に配索し、バンドクランプのクランプ部を車体に固定する作業時等に、バンド部の切断端面に作業員の手が接触してもエッジで痛みや傷が発生することは無く、作業能率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１４】
【図１】本発明の第一実施形態のバンドクランプを示し、（Ａ）は斜視図、（Ｂ）はバンド部の拡大図、（Ｃ）は本体の断面図である。
【図２】バンド部の要部を示し、（Ａ）は一部斜視図、（Ｂ）は要部拡大説明図である。
【図３】電線群に巻き付けて余剰のバンド部を切断した状態の斜視図である。
【図４】（Ａ）〜（Ｄ）は、バンド部を幅方向に真っすぐな方向で切断するとともに、リブの長さ方向の切断位置が相違した状態を示す図面である。
【図５】（Ａ）〜（Ｃ）は、バンド部を幅方向に対して斜め方向で切断するとともに、リブの長さ方向の切断位置が相違した状態を示す図面である。
【図６】リブを半円形状とした場合の比較例を示し、（Ａ）と（Ｂ）は幅方向に真っすぐに切断すると共にリブの長さ方向の切断位置を相違させた状態を示す図面、（Ｃ）（Ｄ）（Ｅ）はバンド部を幅方向に対して斜め方向で切断するとともに、リブの長さ方向の切断位置が相違した状態を示す図面である。
【図７】本発明の第二実施形態のバンドクランプの概略図である。
【図８】（Ａ）（Ｂ）は従来例を示す図面である。
【図９】（Ａ）（Ｂ）は他の従来例を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【００１５】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図１乃至図５に第一実施形態を示す。
【００１６】
図１に示すように、バンドクランプ１は、ボックス状の本体２と、該本体２の図中上面から突出する車体係止用のクランプ部３と、前記本体２に図中左右方向に貫通して設けたバンド貫通穴４の一側開口の端縁から延在するバンド部５を一体的に設けた樹脂成形品からなる。前記バンド貫通穴４の一側開口が出口４ａとなり、対向する他側開口が入口４ｂとなる。
【００１７】
バンド部５の幅方向の中央部には長さ方向に連続的に係止溝５ａを設けている。一方、本体２のバンド貫通穴４を囲む周壁のうち上壁内面から係止片６を突設し、バンド部５を電線群に巻き付けてバンド貫通穴４に挿通して引っ張り、該バンド部５の係止溝５ａに前記係止片６を選択的に係止して締結するものとしている。該締結後には前記従来例と同様にバンド貫通穴４から引き出されたバンド部５の余剰部分をニッパー等で切断するものとしている。
【００１８】
前記バンド部５の幅方向の両側端縁に沿って、図２に拡大して示すように、１／４円弧リブ１０、１０を長さ方向に連続して一体成形で設けている。両側の１／４円弧リブ１０はバンド部５の引出側先端５ｅに向けた面を真円または楕円の１／４円弧面１０ａにし、反対側は直線面１０ｂとしている。本実施形態では真円の１／４円弧面とし、該１／４円弧リブを構成する他の一辺の直線面１０ｃはバンド部５の両側端面に連続させている。
前記１／４円弧リブ１０の半径は任意であり、０．５ｍｍ〜１．５ｍｍの範囲としていることが好ましい。
【００１９】
バンドクランプ１のクランプ部３は、従来と同様な形状としている。即ち、本体２の上面から皿部３ａを突設し、該皿部３ａの底面中央より支軸部３ｂを立設し、該支軸部３ｂの先端の対向位置から折り返し状に係止羽根部３ｃを突設し、該係止羽根部３ｃの先端に係止段部３ｄを設けている。
【００２０】
前記形状としたバンドクランプ１は、図３に示すように、ワイヤハーネスを構成する複数本の電線Ｗにバンド部５を巻き付けて、バンド貫通穴４に通し、該バンド貫通穴４より引き出したバンド部５の余剰部分をニッパー等で切断する。
【００２１】
前記切断されたバンドクランプ１のバンド部５の切断端面５Ｘはどの位置で幅方向に真っすぐに切断しても、あるいは、幅方向に対して斜め方向に切断されても、幅方向の両側端縁は９０度以上の円弧となり、鋭利なエッジは発生しない。
【００２２】
詳細には、図４（Ａ）〜（Ｄ）に示すように、幅方向に切断した場合、１／４円弧リブの円弧側先端から他端の直線側他辺までのどの位置で切断しても、切断線と切断端の接線とが成す角度θは９０度以上の円弧となる。また、図５（Ａ）〜（Ｃ）に示すように、幅方向に対して斜め方向となる斜め切りがなされた場合も幅方向の切断線と切断端の接線が成す角度θ１、θ２は９０度以上の円弧となる。
【００２３】
前記バンドクランプ１を取り付けたワイヤハーネスは自動車に配索され、バンドクランプ１のクランプ部３は車体パネルに設けた係止穴（図示せず）に挿入係止される。
前記作業時に、バンドクランプ１の本体側を作業員が把持した際にバンド部５の切断端面５Ｘの幅方向端縁が作業員の手に接触しても、エッジがないため、作業員はエッジとの接触により生じる痛みや傷の発生はなく、作業性を向上させることができる。
【００２４】
なお、前記バンド部５の幅方向両側に１／４円弧リブを設ける変わりに１／２円弧リブ（半円形リブ）を設けることも可能であるが、その場合には、図６（Ａ）（Ｂ）に示す幅方向に切断した場合の角度θｘ、（Ｃ）（Ｄ）（Ｅ）に示すように斜め切断した場合の角度θｙ、θｚは切断位置によっては、９０度以下の円弧が発生し、該円弧がエッジ状になる恐れがあるため、本発明では、１／４円弧リブとしている。
【００２５】
図７に第二実施形態を示す。
第二実施形態はサイドロックのバンドクランプとしている。
バンド部５の幅方向の両側に長さ方向に連続して設ける１／４円弧リブ１０を係止溝２０の両側辺として利用している。即ち、長さ方向に隣接する一方の係止片の直線辺２０ａと他方の係止片の円弧辺２０ｂとを変形Ｖ溝を構成する両側辺としている。よって、バンド部５の幅方向の中央部には係止溝は設けていない。
【００２６】
一方、本体２のバンド貫通穴４を囲む周壁の前後壁の内面から前記係止溝２０に挿入係止される一対の係止片２１Ａ、２１Ｂを設けている。該本体２には上下方向に突出する係止片を設けていないため、本体２の高さＨは第一実施形態よりも低くしている。
【００２７】
前記第一実施形態の図３と同様に、バンド部５を電線群に巻き付けてバンド貫通穴４に通し、引き出して引っ張ることで、バンド部５の幅方向の両側の係止溝２０に係止片２１Ａ、２１Ｂを挿入係止し、サイドロックで電線群を締結固定している。その後、余剰のバンド部５を切断するが、該切断面の幅方向両側縁には、前記第一実施形態と同様に９０度以上の円弧が形成されるだけで、エッジは発生しない。
【符号の説明】
【００２８】
１ バンドクランプ
２ 本体
３ クランプ部
４ バンド貫通穴
５ バンド部
５ａ 係止溝
６ 係止片
１０ １／４円弧リブ
１０ａ １／４円弧面
１０ｂ 直線面
Ｗ 電線
【技術分野】
【０００１】
本発明はワイヤハーネス用バンドクランプに関し、特に、ワイヤハーネスに締結したバンドの余剰分を切断した後に発生する切断端を改良するものである。
【背景技術】
【０００２】
自動車内等に配線する電線群をワイヤハーネスとして結束すると共に、該結束したワイヤハーネスを車体パネル等に固定するため、バンドクランプが用いられる場合が多い。
図８（Ａ）（Ｂ）に示すように、バンドクランプ１００は、多数本の電線Ｗに巻き付けて締結するバンド部１０１と、車体パネルの貫通穴に挿入係止するクランプ部１０２とを一体に設けた樹脂成形品からなる。
【０００３】
前記バンドクランプ１００は、電線Ｗにバンド部１０１を巻き付け、本体１０３に設けた貫通穴１０３ａに通して締め付け、バンド部１０１に設けた係止爪１０１ａを貫通穴１０３ａを囲む内面から突設した係止片（図示せず）で係止している。
バンド部１０１は大径となるワイヤハーネスにも適用できるように、その長さは比較的長く成形されているため、図８（Ｂ）に示すように、貫通穴１０３ａから引き出したバンド部１０１は所要の引き出し寸法を残して余剰部をニッパー等で切断除去している。
【０００４】
前記バンド部１０１で切断した切断端面は、図８（Ｂ）に示すように、幅方向の両端の隅が鋭利なエッジＥになる。
ワイヤハーネスに取り付けたバンドクランプ１００を車体に沿って配索し、車体に固定するため、バンドクランプ１００のクランプ部１０２を車体パネルの貫通穴に挿入係止するが、その際に、作業員の手にバンド部１０１の先端端面のエッジＥが当たりやすく、作業員に痛み、更には傷が発生し易くなる。
【０００５】
この問題に対して、本出願人は特開２００３−１８００２３号公報で、図９（Ａ）（Ｂ）に示すように、バンド部１０１の幅方向の両端に隙間Ｃをあけて薄肉部１１０を長手方向に形成し、余剰部を切断した状態で、バンド部１０１の幅方向の両端外面に撓み易い薄肉部１１０を位置させ、切断面の両端のエッジを撓みやすいエッジとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】特開２００３−１８００２３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
特許文献１のように、作業員の手に当たり易いエッジを薄肉部１１０に設けて撓み易くしても、エッジが手に接触した瞬間に作業員は痛みを感じ、また、例えば、薄い紙の端面でも手に擦り傷が発生するように、エッジで痛み及び傷が生じる場合もあり、其の点で改善の余地がある。
【０００８】
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、切断端にエッジを発生させないようにして作業性の改善を図ることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
前記課題を解決するため、本発明は、ボックス状の本体と、該本体の外面から突出する車体係止用のクランプ部と、前記本体に設けたバンド貫通穴の一側開口の端縁から延在するバンド部を備えた樹脂成形品からなり、前記バンド部に連続的に係止溝を設けていると共に、前記バンド貫通穴を囲む周壁内面から係止片を突設し、前記バンド部を電線群に巻き付けて前記バンド貫通穴に挿通して引っ張り、該バンド部の係止溝に前記係止片を選択的に係止して締結し、該締結後に貫通穴から引き出された前記バンド部の余剰部分を切断するワイヤハーネス用バンドクランプであって、
前記バンド部の幅方向の両側端縁に沿って１／４円弧リブを長さ方向に連続して設け、該１／４円弧リブはバンド部の引出側先端に向けた面を真円または楕円の１／４円弧にすると共に反対側は直線面としていることを特徴とするワイヤハーネス用バンドクランプを提供している。
【００１０】
前記のように、バンド部の幅方向の両側端面に沿って１／４円弧リブを設けているため、バンド部をどの位置で切断しても幅方向の両端面の隅部は９０度以上の円弧面となってエッジは発生しない。かつ、切断方向がバンド部の長さ方向に直交する幅方向に真っすぐに切断の場合および斜め切断の場合のいずれの場合も、幅方向の両端面は円弧面にでき、エッジを発生させない
【００１１】
前記バンド部の幅方向の中央部に前記係止溝を連続的に設ける一方、前記本体の上壁の内面側から前記係止片を突設し、前記上壁の外面に前記車体係止用クランプ部を突設し、バンド部の幅方向の中央部を係止片で係止するロック構成としている。
【００１２】
あるいは、前記１／４円弧リブの隣接する隙間を前記バンド部に連続的に設ける係止溝とする一方、前記本体の両側壁の内面から前記係止片を突設し、サイドロックでバンド部を係止する構成としている。
このように、バンドクランプをサイドロックタイプとすると、前記エッジを発生しないために設ける１／４円弧リブを係止用と兼用することができる。かつ、該サイドロック構成とすると、バンドクランプの全体高さを低くでき、ワイヤハーネスの配索空間にスペース的余裕が無い場合に好適に用いることができる。
【発明の効果】
【００１３】
前記構成からなる本発明のワイヤハーネス用バンドクランプでは、バンド部の幅方向の両側に１／４円弧リブを長さ方向に連続的に設けているため、バンド部を本体のバンド貫通穴に通して引っ張って締結固定した後、バンド貫通穴から引き出したバンド部を余長長さ分だけ切断した際に発生するバンド切断端面の幅方向の両側は、９０度以上の円弧面となり、鋭利はエッジは発生しない。よって、ワイヤハーネスを自動車内に配索し、バンドクランプのクランプ部を車体に固定する作業時等に、バンド部の切断端面に作業員の手が接触してもエッジで痛みや傷が発生することは無く、作業能率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１４】
【図１】本発明の第一実施形態のバンドクランプを示し、（Ａ）は斜視図、（Ｂ）はバンド部の拡大図、（Ｃ）は本体の断面図である。
【図２】バンド部の要部を示し、（Ａ）は一部斜視図、（Ｂ）は要部拡大説明図である。
【図３】電線群に巻き付けて余剰のバンド部を切断した状態の斜視図である。
【図４】（Ａ）〜（Ｄ）は、バンド部を幅方向に真っすぐな方向で切断するとともに、リブの長さ方向の切断位置が相違した状態を示す図面である。
【図５】（Ａ）〜（Ｃ）は、バンド部を幅方向に対して斜め方向で切断するとともに、リブの長さ方向の切断位置が相違した状態を示す図面である。
【図６】リブを半円形状とした場合の比較例を示し、（Ａ）と（Ｂ）は幅方向に真っすぐに切断すると共にリブの長さ方向の切断位置を相違させた状態を示す図面、（Ｃ）（Ｄ）（Ｅ）はバンド部を幅方向に対して斜め方向で切断するとともに、リブの長さ方向の切断位置が相違した状態を示す図面である。
【図７】本発明の第二実施形態のバンドクランプの概略図である。
【図８】（Ａ）（Ｂ）は従来例を示す図面である。
【図９】（Ａ）（Ｂ）は他の従来例を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【００１５】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図１乃至図５に第一実施形態を示す。
【００１６】
図１に示すように、バンドクランプ１は、ボックス状の本体２と、該本体２の図中上面から突出する車体係止用のクランプ部３と、前記本体２に図中左右方向に貫通して設けたバンド貫通穴４の一側開口の端縁から延在するバンド部５を一体的に設けた樹脂成形品からなる。前記バンド貫通穴４の一側開口が出口４ａとなり、対向する他側開口が入口４ｂとなる。
【００１７】
バンド部５の幅方向の中央部には長さ方向に連続的に係止溝５ａを設けている。一方、本体２のバンド貫通穴４を囲む周壁のうち上壁内面から係止片６を突設し、バンド部５を電線群に巻き付けてバンド貫通穴４に挿通して引っ張り、該バンド部５の係止溝５ａに前記係止片６を選択的に係止して締結するものとしている。該締結後には前記従来例と同様にバンド貫通穴４から引き出されたバンド部５の余剰部分をニッパー等で切断するものとしている。
【００１８】
前記バンド部５の幅方向の両側端縁に沿って、図２に拡大して示すように、１／４円弧リブ１０、１０を長さ方向に連続して一体成形で設けている。両側の１／４円弧リブ１０はバンド部５の引出側先端５ｅに向けた面を真円または楕円の１／４円弧面１０ａにし、反対側は直線面１０ｂとしている。本実施形態では真円の１／４円弧面とし、該１／４円弧リブを構成する他の一辺の直線面１０ｃはバンド部５の両側端面に連続させている。
前記１／４円弧リブ１０の半径は任意であり、０．５ｍｍ〜１．５ｍｍの範囲としていることが好ましい。
【００１９】
バンドクランプ１のクランプ部３は、従来と同様な形状としている。即ち、本体２の上面から皿部３ａを突設し、該皿部３ａの底面中央より支軸部３ｂを立設し、該支軸部３ｂの先端の対向位置から折り返し状に係止羽根部３ｃを突設し、該係止羽根部３ｃの先端に係止段部３ｄを設けている。
【００２０】
前記形状としたバンドクランプ１は、図３に示すように、ワイヤハーネスを構成する複数本の電線Ｗにバンド部５を巻き付けて、バンド貫通穴４に通し、該バンド貫通穴４より引き出したバンド部５の余剰部分をニッパー等で切断する。
【００２１】
前記切断されたバンドクランプ１のバンド部５の切断端面５Ｘはどの位置で幅方向に真っすぐに切断しても、あるいは、幅方向に対して斜め方向に切断されても、幅方向の両側端縁は９０度以上の円弧となり、鋭利なエッジは発生しない。
【００２２】
詳細には、図４（Ａ）〜（Ｄ）に示すように、幅方向に切断した場合、１／４円弧リブの円弧側先端から他端の直線側他辺までのどの位置で切断しても、切断線と切断端の接線とが成す角度θは９０度以上の円弧となる。また、図５（Ａ）〜（Ｃ）に示すように、幅方向に対して斜め方向となる斜め切りがなされた場合も幅方向の切断線と切断端の接線が成す角度θ１、θ２は９０度以上の円弧となる。
【００２３】
前記バンドクランプ１を取り付けたワイヤハーネスは自動車に配索され、バンドクランプ１のクランプ部３は車体パネルに設けた係止穴（図示せず）に挿入係止される。
前記作業時に、バンドクランプ１の本体側を作業員が把持した際にバンド部５の切断端面５Ｘの幅方向端縁が作業員の手に接触しても、エッジがないため、作業員はエッジとの接触により生じる痛みや傷の発生はなく、作業性を向上させることができる。
【００２４】
なお、前記バンド部５の幅方向両側に１／４円弧リブを設ける変わりに１／２円弧リブ（半円形リブ）を設けることも可能であるが、その場合には、図６（Ａ）（Ｂ）に示す幅方向に切断した場合の角度θｘ、（Ｃ）（Ｄ）（Ｅ）に示すように斜め切断した場合の角度θｙ、θｚは切断位置によっては、９０度以下の円弧が発生し、該円弧がエッジ状になる恐れがあるため、本発明では、１／４円弧リブとしている。
【００２５】
図７に第二実施形態を示す。
第二実施形態はサイドロックのバンドクランプとしている。
バンド部５の幅方向の両側に長さ方向に連続して設ける１／４円弧リブ１０を係止溝２０の両側辺として利用している。即ち、長さ方向に隣接する一方の係止片の直線辺２０ａと他方の係止片の円弧辺２０ｂとを変形Ｖ溝を構成する両側辺としている。よって、バンド部５の幅方向の中央部には係止溝は設けていない。
【００２６】
一方、本体２のバンド貫通穴４を囲む周壁の前後壁の内面から前記係止溝２０に挿入係止される一対の係止片２１Ａ、２１Ｂを設けている。該本体２には上下方向に突出する係止片を設けていないため、本体２の高さＨは第一実施形態よりも低くしている。
【００２７】
前記第一実施形態の図３と同様に、バンド部５を電線群に巻き付けてバンド貫通穴４に通し、引き出して引っ張ることで、バンド部５の幅方向の両側の係止溝２０に係止片２１Ａ、２１Ｂを挿入係止し、サイドロックで電線群を締結固定している。その後、余剰のバンド部５を切断するが、該切断面の幅方向両側縁には、前記第一実施形態と同様に９０度以上の円弧が形成されるだけで、エッジは発生しない。
【符号の説明】
【００２８】
１ バンドクランプ
２ 本体
３ クランプ部
４ バンド貫通穴
５ バンド部
５ａ 係止溝
６ 係止片
１０ １／４円弧リブ
１０ａ １／４円弧面
１０ｂ 直線面
Ｗ 電線
【特許請求の範囲】
【請求項１】
ボックス状の本体と、該本体の外面から突出する車体係止用のクランプ部と、前記本体に設けたバンド貫通穴の一側開口の端縁から延在するバンド部を備えた樹脂成形品からなり、前記バンド部に連続的に係止溝を設けていると共に、前記バンド貫通穴を囲む周壁内面から係止片を突設し、前記バンド部を電線群に巻き付けて前記バンド貫通穴に挿通して引っ張り、該バンド部の係止溝に前記係止片を選択的に係止して締結し、該締結後に貫通穴から引き出された前記バンド部の余剰部分を切断するワイヤハーネス用バンドクランプであって、
前記バンド部の幅方向の両側端縁に沿って１／４円弧リブを長さ方向に連続して設け、該１／４円弧リブはバンド部の引出側先端に向けた面を真円または楕円の１／４円弧にすると共に反対側は直線面としていることを特徴とするワイヤハーネス用バンドクランプ。
【請求項２】
前記バンド部の幅方向の中央部に前記係止溝を連続的に設ける一方、前記本体の上壁の内面側となる下面から前記係止片を突設し、前記上壁の外面に前記車体係止用のクランプ部を突設している請求項１に記載のワイヤハーネス用バンドクランプ。
【請求項３】
前記１／４円弧リブの隣接する隙間を前記バンド部に設ける係止溝とする一方、前記本体の両側壁の内面から前記係止片を突設し、サイドロックでバンド部を係止する構成としている請求項１に記載のワイヤハーネス用バンドクランプ。
【請求項１】
ボックス状の本体と、該本体の外面から突出する車体係止用のクランプ部と、前記本体に設けたバンド貫通穴の一側開口の端縁から延在するバンド部を備えた樹脂成形品からなり、前記バンド部に連続的に係止溝を設けていると共に、前記バンド貫通穴を囲む周壁内面から係止片を突設し、前記バンド部を電線群に巻き付けて前記バンド貫通穴に挿通して引っ張り、該バンド部の係止溝に前記係止片を選択的に係止して締結し、該締結後に貫通穴から引き出された前記バンド部の余剰部分を切断するワイヤハーネス用バンドクランプであって、
前記バンド部の幅方向の両側端縁に沿って１／４円弧リブを長さ方向に連続して設け、該１／４円弧リブはバンド部の引出側先端に向けた面を真円または楕円の１／４円弧にすると共に反対側は直線面としていることを特徴とするワイヤハーネス用バンドクランプ。
【請求項２】
前記バンド部の幅方向の中央部に前記係止溝を連続的に設ける一方、前記本体の上壁の内面側となる下面から前記係止片を突設し、前記上壁の外面に前記車体係止用のクランプ部を突設している請求項１に記載のワイヤハーネス用バンドクランプ。
【請求項３】
前記１／４円弧リブの隣接する隙間を前記バンド部に設ける係止溝とする一方、前記本体の両側壁の内面から前記係止片を突設し、サイドロックでバンド部を係止する構成としている請求項１に記載のワイヤハーネス用バンドクランプ。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【公開番号】特開２０１１−１４９４５６（Ｐ２０１１−１４９４５６Ａ）
【公開日】平成２３年８月４日（２０１１．８．４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−９５２７（Ｐ２０１０−９５２７）
【出願日】平成２２年１月１９日（２０１０．１．１９）
【出願人】（０００１８３４０６）住友電装株式会社 (6,135)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年８月４日（２０１１．８．４）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年１月１９日（２０１０．１．１９）
【出願人】（０００１８３４０６）住友電装株式会社 (6,135)
【Ｆターム（参考）】
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