ワイヤボンディング方法およびワイヤボンディング装置
【課題】 パワーデバイスなどに好適に用いられるワイヤボンディング方法において、リボンを用いたボンディングと同等以上の電流容量および生産性を有し、所望の接合強度および安定したボンダビリティを実現し、さらに生産コストを低減することができるワイヤボンディング方法、およびこれを実施する装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 1本のボンディングツールを使用して半導体デバイス上の2つの電極を接続するワイヤボンディング方法であって、第1の電極4の上面に複数のワイヤ6を同時に超音波ボンディングする過程と、ボンディングツール7が第2の電極5の上面へ移動しながら複数のワイヤにループを形成する過程と、第2の電極5の上面に、ループを形成した複数のワイヤ6を同時に超音波ボンディングする過程とを有するワイヤボンディング方法、およびこれを実施するワイヤボンディング装置を提供する。
【解決手段】 1本のボンディングツールを使用して半導体デバイス上の2つの電極を接続するワイヤボンディング方法であって、第1の電極4の上面に複数のワイヤ6を同時に超音波ボンディングする過程と、ボンディングツール7が第2の電極5の上面へ移動しながら複数のワイヤにループを形成する過程と、第2の電極5の上面に、ループを形成した複数のワイヤ6を同時に超音波ボンディングする過程とを有するワイヤボンディング方法、およびこれを実施するワイヤボンディング装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスなどの製造に用いられるワイヤボンディング方法およびこれを使用するワイヤボンディング装置に関し、特にパワーデバイスなどに好適に用いられる大電流容量の電気的接続を行うことができるワイヤボンディング方法およびこれを使用するワイヤボンディング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造において、半導体チップ上に設けられた接続電極(ボンディングパッド)と半導体パッケージに設けられた外部引出し用端子(リード)とを電気的に接続するために、アルミ等の導電性ワイヤを用いる超音波ワイヤボンディング方法およびこれを使用するワイヤボンディング装置が広く使用されている。これらはワイヤに荷重および超音波振動を加えてボンディングパッドおよびワイヤの表面に形成された酸化膜を破って原子を表面に露出させ、ボンディングパッドとワイヤとの界面に塑性流動を発生させて互いに密着する新生面を漸増させながら原子間結合させることにより接合する。
【0003】
一般的にワイヤボンディングに用いられるワイヤは、直径が500μm程度のものが太さの限界とされており、これよりも直径の大きな太線ワイヤを用いて超音波接合を行う場合には、より大きな荷重および超音波エネルギが必要となる。その結果、半導体素子の表面に発生する応力によって半導体素子が破壊される可能性が高くなる。一方、自動車等に用いられるデバイスにおいては、1つの電極に従来よりも大きな電流を流すパワーデバイスの需要が高まっており、接続導体の電流容量を増大することが求められている。
【0004】
電流容量を増大するためには電流路内の電気抵抗を減らす必要があり、そのためには電流路の断面積を増大すればよく、1つの電極に複数本のワイヤをボンディングする方法が考えられる。しかし、従来のワイヤボンディン方法では、ワイヤの本数が増えるとワイヤボンディングの回数が増えることになり、それだけワイヤボンディング工程の所要時間がかかることになり、生産性を低下させる。
【0005】
生産性を低下させずに電流路の電流容量を増大する技術として、断面が長方形の導電体(以下「リボン」と呼ぶ。)を用いて電流路の断面積を大きくしたワイヤボンディング方法がある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−336043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のリボンを用いたワイヤボンディング方法では、互いに平面状である電極とリボンとの接触面同士のボンディングを行うこととなり、これらの表面に形成されている酸化膜を破って接合することができたとしても、塑性変形のし難さから、リボン全面の接合は困難である。そのため所望のボンディング強度(接合強度)および安定したボンダビリティを得ることができない。また、一般的にリボンは高価であり、半導体製造コストを上昇させている。
【0007】
そこで、リボンを用いたボンディングと同等若しくは同等以上の電流容量および生産性を有し、所望の接合強度および安定したボンダビリティを実現し、さらに生産コストを低減することができるワイヤボンディング方法、およびこれを実施する装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、第1の手段として、本発明は、2つの電極をワイヤによって接続するワイヤボンディング方法であって、第1の電極の上面に、ボンディングツールにより複数のワイヤを同時に超音波ボンディングする第1の工程と、ボンディングツールが第2の電極の上面へ移動しながら複数のワイヤにループを形成する第2の工程と、ループを形成した複数のワイヤを、第2の電極の上面に、ボンディングツールにより同時に超音波ボンディングする第3の工程とを有するワイヤボンディング方法(以下「マルチワイヤボンディング方法」という)を提供する。
【0009】
これによると、断面が円形状の一本の太線ワイヤをボンディングする方法では達成し得ない電流容量を可能とし、幅広のリボンをボンディングするよりも高い接合強度および安定したボンダビリティを得ることができる。また、複数本のワイヤを一本ずつボンディングするよりも短時間であってリボンを用いたボンディングと同等の作業時間でワイヤボンディングを行うことができる。また、リボンを用いた場合、電極との接合面が大きくなり、導電体と電極との熱膨張率の不一致によって生じる応力およびひずみが大きくなるが、それぞれのワイヤの接合面を独立のものとすることによりこれを抑制し、接合部の疲労破壊を抑制することができる。
【0010】
また、第2の手段として、本発明は、前記第1の手段としてのマルチワイヤボンディング方法における第1および第3の工程において、複数のワイヤを互いに接触させて配置し、或いはボンディング中に接触する程に近接配置してボンディングするワイヤボンディング方法を提供する。
【0011】
これによると、複数のワイヤの全体幅を小さくしてボンディングすることにより、限られるボンディングツール幅でより多くのワイヤをボンディングすることができ、ボンディングパッドの面積が小さな半導体デバイスに対しても電流容量の大きなワイヤボンディングを行うことができる。また、複数のワイヤを密にボンディングすることにより、当該複数のワイヤの電流密度を均一化することができる。
【0012】
また、第3の手段として、本発明は、前記第1の手段としてのマルチワイヤボンディング方法における第1および第3の工程において、複数のワイヤを互いに接触させないように配置してボンディングするワイヤボンディング方法を提供する。
【0013】
半導体デバイスの製造工程としては、ワイヤボンディングの後にエポキシ樹脂などによる封止を行うが、リボンを用いてボンディングを行った場合、リボンとワークとの間に気泡残留によるボイドが発生し、ひび割れを起こして配線が酸化、腐食したり、ボイド下の絶縁層とボイド部分の樹脂沿面を放電して絶縁不良を起こすことがある。しかし、このように間隔をあけて複数のワイヤをボンディングすることによりリボンボンディングに比べてボイドを発生し難くすることができる。また、ワイヤに間隔をあけることにより、ボンディング中のワイヤの変形が隣接するワイヤによって制限されず、接合面積を大きくすることができるため、高い接合強度を得ることができる。
【0014】
また、第4の手段として、本発明は、前記第1〜第3のいずれかの手段としてのマルチワイヤボンディング方法において、第1の電極と第2の電極とを結んだ直線の方向が、平面視において、第1の電極の上面にボンディングされた部分のワイヤの軸方向と異なる状態にあるワイヤボンディング方法を提供する。
【0015】
幅方向への変形に対する剛性が高いリボンを用いたときには、第1の電極にボンディングした状態から第2の電極へリボンを引き渡す方向を変えることはできない。しかし、本発明のように複数のワイヤを用いた場合、第1の電極にボンディングした後に、ボンディングされた部分のワイヤの軸方向と平面視において異なる方向にワイヤを引き渡すことが可能である。
【0016】
また、第5の手段として、本発明は、前記第1〜第3のいずれかの手段としてのマルチワイヤボンディング方法における第1および第3の工程の少なくとも一方において、ボンディングツールが所定量ずつ移動しながらボンディングを複数回行うワイヤボンディング方法を提供する。
【0017】
1つの電極上でボンディングを複数回行うことによって、ボンディング1回当たりのワイヤの接合長さを短くすることができ、ボンディング中に加える荷重および超音波エネルギを低減することができる。したがって、半導体素子の破壊に対してより安全にボンディングすることができる。また、半導体チップ上に金属により薄膜形成されたボンディングパッドの各位置からワイヤ接合位置までの距離が小さくなって、ボンディングパッド中を横方向に流れる電流に対する抵抗が低減され、ワイヤを流れる電流量を増大することもできる。
【0018】
また、第6の手段として、本発明は、超音波により複数のワイヤを同時にボンディングするためのボンディングツールであって、超音波の振動方向と直交する向きに延在する先端部を有し、先端部に超音波の振動方向に延在してそれぞれワイヤに係合する複数の溝を備えたボンディングツールを提供する。
【0019】
これによると、一本のボンディングツールにより複数のワイヤを同時に超音波ボンディングするマルチワイヤボンディング方法を実施することができる。
【0020】
また、第7の手段として、本発明は、ボンディングツールの先端付近に配設され、複数のワイヤを同時にボンディングするために当該複数のワイヤをボンディングツールの先端に導くワイヤガイドであって、前記複数のワイヤを所定位置に導くガイド手段を備えたワイヤガイドを提供する。
【0021】
これによると、一本のボンディングツールにより複数のワイヤを同時に超音波ボンディングするマルチワイヤボンディングにおいて、ボンディングツールの超音波振動特性に影響を与えずに複数のワイヤを同時にボンディングツールの先端に導くことができる。
【0022】
また、第7の手段として、本発明は、超音波により複数のワイヤを同時にボンディングするためのワイヤボンディング装置であって、複数のワイヤを供給するワイヤ供給機構と、超音波の振動方向と直交する向きに延在する先端部を有し、先端部に超音波の振動方向に延在してそれぞれワイヤに係合する複数の溝を備えたボンディングツールとを有するワイヤボンディング装置を提供する。
【0023】
これによると、前記第1〜第4の手段であって、一本のボンディングツールにより複数のワイヤを同時に超音波ボンディングするマルチワイヤボンディング方法を実施することができる。例えば、ボンディングツール本体の先端付近にワイヤガイド手段を備えたボンディングツールを使用し、ボンディングツールの先端付近まで斜めに導かれた複数のワイヤを、当該ワイヤガイド手段を介してボンディングツール下部に導いてボンディングできる。
【0024】
さらに、第8の手段として、本発明は、前記第7の手段としてのワイヤボンディング装置において、ボンディングツールの先端付近に配設され、複数のワイヤを所定位置に導くガイド手段を備えたワイヤガイドをさらに有するワイヤボンディング装置を提供する。
【0025】
これによると、前記第7の手段と同様にマルチワイヤボンディング方法を実施することができる。ボンディングツールとは別に独立したワイヤガイドを設けるため、ガイド手段によりボンディングツールの形状が制限されることがなく、自由度の高い振動系の設計を行える。また、ワイヤをボンディングツール先端付近までツールと平行に垂直方向に導いて当該ワイヤガイドを介してボンディングツールの先端下部へ斜めに導くような構成とすることもでき、ワイヤ経路による作業空間への制限を緩和して、障壁があるような狭い場所におけるマルチワイヤボンディングを可能とする。
【発明の効果】
【0026】
上記手段を用いることにより、リボンを用いたボンディングと比較して、同等若しくは同等以上の電流容量及び生産性を有し、所望の接合強度および安定したボンダビリティを実現し、生産コストを低減できるワイヤボンディングが可能となる。さらに、樹脂などによる封止の際にボイドの発生を抑制し、接合部の疲労破壊を抑制することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明がここに示された例に限定されるものではない。
【0028】
図1は、本発明の一実施例によるワイヤボンディング方法の様子を示した斜視図である。半導体デバイス1上にはダイパッド2が配設され、その上に半導体チップ3がボンドされている。半導体チップ3の上面にはボンディングパッド4が設けられている。ダイパッド2の周辺にはボンディングパッド4に対応する複数のリード5が配設されており、それぞれ4本のワイヤ6によって電気的に接続される。4本のワイヤ6を同時に超音波ボンディングするためのボンディングツール7の先端部付近には、4本のワイヤを同時にボンディングツール7の先端に導くためのワイヤガイド8が、ガイドホルダ9によって配設されている。ワイヤガイド8の上方にはワイヤクランプ10が配設され、ボンディングツール7に対してワイヤガイド8の反対側にはカッタ11が配設されている。
【0029】
ボンディングツール7は、第1の電極としてのボンディングパッド4の上面に4本のワイヤ6を同時に超音波ボンディングする。続いてボンディングツール7は、第2の電極としてのリード5の上方へ移動しながら、4本のワイヤ6にループを形成する。そして、リード5の上面に、ループを形成して引き渡された4本のワイヤ6を、ボンディングツール7により同時に超音波ボンディングする。その後、ボンディングツール7はワイヤガイド8側へさらに移動し、ワイヤ6が引き出されないようにワイヤクランプ10により固定して、カッタ11を使用して4本のワイヤ6を同時に切断する。同様に隣接するボンディングパッド4およびリード5を接続していく。なお、ここに示す本発明の実施形態では、電極を接続するワイヤの本数を4本としているが、マルチワイヤボンディングには2本以上のワイヤを用いればよく、特定の本数に限定されるものではない。
【0030】
図2は、本発明の一実施例によるワイヤボンディング装置、およびワイヤボンディング方法の様子を一部破断して示した側面図である。超音波発振器21から発振された電気信号は、BLT振動子22により縦振動の超音波振動に変換され、コーン23およびホーン24を共振して伝達され、ホーン24の先端部付近にボンディングツールセットねじ25により固定されたボンディングツール7において撓み振動に変換される。ボンディングツール7の上方には上下に移動可能なブロック26が、また、複数のワイヤを供給するワイヤ供給機構として4つのワイヤスプール27が配設されている。ワイヤスプール27から供給されるワイヤ6は、ワイヤガイド8の上方に配設された第2のワイヤガイド28を通過し、ボンディングツール7と平行な経路を辿ってワイヤガイド8へ導かれ、ボンディングツール7の先端に供給される。ボンディングツール7の先端部に供給されるワイヤ6の軸方向は、平面視において、超音波振動方向と同一である。ボンディングツール7は荷重および超音波振動を加えてボンディングパッド4およびリード5にワイヤ6を超音波接合する。
【0031】
図3は、図2中のボンディングツール7の先端部を一部破断して示した拡大側面図である。ボンディングツール7の本体部の断面形状は略円形であり、ボンディングツール7の側面は、先端部に近づくにつれ次第に細くなっている。1つの電極上で第1のボンディングをした後に、ボンディングツール7が所定量移動して第2のボンディングを行う場合、または更なるボンディングを行う場合、ボンディングツール7の先端部の側面における幅はさらに狭くてよく、ワイヤに加える荷重および超音波エネルギをより小さくすることができる。ボンディングツール7の先端部付近には、上方から導かれる複数のワイヤ6の方向を変え、ボンディングツール7の先端部下方に導くワイヤガイド8が、ガイドホルダ9によって配設されている。
【0032】
図4は、図3中のIV矢視図であり、ワイヤクランプ10を一部破断してボンディングツール7の先端付近の正面を示している。4本のワイヤ6は、互いに接触させないように間隔を空けて本実施形態におけるワイヤガイド8には、複数のワイヤを所定位置に導くガイド手段として、断面が円形状の4つのガイド穴が設けられており、ガイド穴は互いに平行でかつ直線上にあるように配置されている。
【0033】
図5は、図3中のV矢視図であり、ボンディングツール7の先端付近の正面を示している。断面が略円形状のボンディングツール7の正面は、ツール先端部においてもその幅は略同じである。先端部にはワイヤ6をボンディングするときに、それぞれワイヤに係合して荷重および超音波振動を加える断面がV字型の4本の溝が形成されている。
【0034】
図6は、図5中のVI矢視図であり、ボンディングツール7の底面(先端側から見た面)を示している。ホーンに固定する際にボンディングツールの方向が一定となるように断面の一部に直線部分を含んでいる。先端部は超音波振動方向と直交する向きに延在する形状であって、本実施例においては矩形を呈する。前述した断面がV字型の4本の溝は、矩形の長辺と直交する向きすなわち超音波振動方向と同一の向きにそれぞれ平行に形成されている。
【0035】
なお、ボンディングツールの先端に設けられた溝は、少なくともワイヤの本数と同じ数を備えていればよく、例えば4つの溝を備えたボンディングツールを用いて2本のワイヤを同時にボンディングしてもよい。同様に、ワイヤガイドに設けられたガイド穴についても、少なくともワイヤの本数と同じ数を備えていればよい。
【0036】
図7は、ボンディングを完了したボンディングツールの先端付近を示した正面図である。荷重および超音波振動を加えられたワイヤ6は、断面の上側がV字型の溝に嵌合する形状に変形し、断面の下側もボンディングツール7により荷重および超音波振動を加えられることによって変形する。ボンディングパッド4との接合面における標準的なワイヤの変形幅は、ボンディング前のワイヤ直径の1.1〜1.5倍となっている。
【0037】
図8は、図7中のVIII矢視図であり、ボンディングを終えたボンディングツールおよびワイヤを示した底面図である。前述した通り、ワイヤの下側の電極との接合幅が広がっている。
【0038】
〈発明による作用〉
円形断面のワイヤを用いてボンディングを行った場合、ワイヤと電極との接合強度については通常問題ないが、先行技術であるリボンと比較してみると、前述した直径が0.4mmのワイヤを4本使用した場合、ボンディング後の接合幅は一本当たり0.44mm〜0.6mmであって、4本の合計幅は1.76〜2.4mmである。一方、一般的に用いられているリボンの断面寸法は2mm*0.2mm程度であって、ボンディング後も接合幅は略変わらない。したがって、接合面積はマルチワイヤの方が確保しやすく、接合強度も優れている。
【0039】
また、電流路の電流容量すなわち断面積をリボンを用いた場合と比較すると、前述した直径が0.4mmのワイヤを4本使用した場合、合計断面積は0.503mm3であり、同様に前述した断面が2mm*0.2mmのリボンを用いた場合、断面積は、0.4mm3である。ワイヤの本数をさらに増やすことも可能であり、複数のワイヤを用いて同時にボンディングを行うことにより、リボンと同等若しくは同等以上の電流容量を有するワイヤボンディングを行うことも可能である。
【0040】
ここで、ワイヤを電極に超音波接合するときの結合状態について説明する。ボンディング前のボンディングパッドおよびワイヤの表面には酸化膜が形成されており、ボンディングツールによって荷重および超音波振動を加えられると、酸化膜が破られ原子が表面に露出したワイヤおよびボンディングパッドの界面には超音波振動によって塑性流動が発生し、互いに密着する新生面を漸増しながら原子間結合を行う。断面が円形状のワイヤは変形し、ボンディングパッドとの接合面が徐々に広がっていき、破られた酸化膜は接合面の広がりとともに外側へ押出される。ボンディングを終えた段階では、接合面の略全面が原子間結合している。したがって、原則として接合面積に比例する所望の接合強度、および安定したボンダビリティを得ることができる。
【0041】
一方、先行技術であるリボンを用いて電極に超音波接合するときの結合状態について説明すると、リボンはリボン用ボンディングツールにより荷重および超音波振動を加えられてボンディングパッドに接合されるが、ボンディングパッドおよびリボンの表面にはワイヤの場合と同様に酸化膜が形成されており、互いに接触面が平面であるために塑性変形し難く、全面の原子間結合は困難である。ボンディングを終えた状態における酸化膜の残留する面積はボンディング条件により異なるが、接触面全面が原子間結合している場合と比べると接合強度は低下する。
【0042】
このように、複数のワイヤを用いたボンディングとリボンを用いたボンディングとを比較すると、前述したように電極との接合幅は同等であっても、原子間結合されている面積は異なる。つまり、複数本のワイヤを用いたボンディング方法は、リボンを用いたボンディング方法と比べて、所望の接合強度および安定したボンダビリティを得ることができる。
【実施例】
【0043】
図9は、本発明の他の実施例によるボンディング前のボンディングツールの先端付近を示す正面図である。断面が略円形状で、ツール先端部においてその幅が狭くなっているボンディングツール7の先端には、超音波の振動方向に延在してそれぞれワイヤに係合する断面がV字型の4本の密接する溝が備えられている。ボンディングパッド5の上には4本のワイヤ6が互いに接触する状態で配置されており、ワイヤを互いに接触しないように配置した場合と比べて、より幅の狭いボンディングパッドにワイヤボンディングすることができる。
【0044】
図10は、本発明の他の実施例によるボンディングを完了したボンディングツールの先端付近を示す正面図である。荷重および超音波振動を加えられたワイヤ6は、断面の上側がV字型の溝に嵌合する形状に変形し、断面の下側もボンディングツール7により荷重および超音波振動を加えられることによって変形する。隣接するワイヤ6同士の接触面が大きくなっている。複数のワイヤを接触する程に近接させて配置した場合においても、ボンディング中にワイヤが変形し、ボンディングを完了した時点では図10と略同様の形状となる。
【0045】
図11は、本発明によるワイヤボンディング方法を用いた半導体デバイスの一実施例を示す平面図である。4本のワイヤ6が第1の電極としてのボンディングパッド4と第2の電極としてのリード5とを電気的に接続している。ボンディングパッド4aとリード5aとを結んだ直線の方向は、平面視において、ボンディングパッド4aの上面に平行にボンディングされた4本のワイヤ6の軸方向と一致している。リード5bおよび5cとボンディングパッド4bおよび4cとをそれぞれ結んだ直線の方向は、平面視において、前述したワイヤ6の軸方向と徐々に異なっている。しかし、あらゆる方向に可撓性を有するワイヤにあっては、前述したワイヤ6の軸方向と異なる方向にボンディングツール7が移動しながらループを形成することが可能である。また、リード5bおよび5cにボンディングを行うときには、ワイヤ6はボンディングツール7の先端に設けられた溝に係合されるため、ボンディングパッド4bおよび4c上にボンディングされたワイヤの軸方向すなわち超音波振動方向と同一方向に方向を変化されてボンディングされる。したがって、ボンディングツール7が回転する機構を有していなくても、ボンディングツール7の移動する方向を変えてワイヤボンディングすることができる。
【0046】
図12は、先行技術であるリボンによるワイヤボンディング方法を用いた半導体デバイスの一実施例を示した平面図である。幅方向への変形に対する剛性が高いリボンは、第1の電極にボンディングした状態からリボンを引き渡す方向を変えることはできないため、第1の電極にボンディングする前にボンディングツールおよびワイヤの供給経路を回転させて、第2の電極へ結ぶ直線方向と一致させた上でボンディングを行う必要がある。
【0047】
図13は、本発明によるワイヤボンディング方法を用いた半導体デバイスの他の実施例を示す平面図である。4本のワイヤ6が第1の電極としてのボンディングパッド4において2回ボンディングされている。1回目のボンディングの後、ボンディングツールは所定量を移動しながらワイヤにループを形成し、2回目のボンディングを行う。また、3回以上ボンディングする形態をとってもよい。このように複数回ボンディングする方法をとることにより、ボンディング中に加える荷重および超音波エネルギを低減して半導体素子の破壊に対してより安全なボンディングを可能とし、金属により薄膜形成されたボンディングパッド4中を横方向に流れる電流に対する抵抗を低減し、また、ボンディングパッド4中を流れる電流を分散してボンディングの信頼性を向上することができる。
【0048】
ここまで、本発明に関連するいくつかの実施例について説明してきたが、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。例えば、ワイヤガイドは複数のワイヤを所定位置に導くガイド手段を備えていればよく、例えば、ガイド穴が並行ではなく上方に行くほど開くような扇形に配置されてもよい。また、ガイド穴が直線上にはなく穴の上方が千鳥に配置され、ボンディングツール7の先端下方でワイヤが直線上になるように穴の下方に行くほど千鳥が直線的になるように配置されても良い。さらに、ガイド穴が隣接するガイド穴と重なるような一連の穴であったり、ガイド手段が穴ではなくワイヤを囲むようなフックを左右交互に複数個並べてガイドするような構造であってもよい。
【0049】
また、ボンディングツールの先端部の断面形状は矩形である必要はないが、複数のワイヤがボンディングされる長さ、すなわちワイヤに係合する溝部分の長さが相等しくなるような形状であることが望ましい。ワイヤに係合する溝の断面形状についてもV字型である必要はなく、U字形や矩形、多角形などであってもよいが、それぞれの溝の形状は同一であることが望ましく、また、用いる複数のワイヤの直径が同じ場合には、それぞれの溝の大きさも同一であることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施例によるワイヤボンディング方法の様子を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施例によるワイヤボンディング装置、およびワイヤボンディング方法の様子を一部破断して示す側面図である。
【図3】図2中のボンディングツール7の先端部を一部破断して示す拡大側面図である。
【図4】図3中のIV矢視図である。
【図5】図3中のV矢視図である。
【図6】図5中のVI矢視図である。
【図7】ボンディングを完了したボンディングツールの先端付近を示す正面図である。
【図8】図7中のVIII矢視図である。
【図9】本発明の他の実施例によるボンディング前のボンディングツールの先端付近を示す正面図である。
【図10】本発明の他の実施例によるボンディングを完了したボンディングツールの先端付近を示す正面図である。
【図11】本発明によるワイヤボンディング方法を用いた半導体デバイスの一実施例を示す平面図である。
【図12】先行技術であるリボンによるワイヤボンディング方法を用いた半導体デバイスの一実施例を示す平面図である。
【図13】本発明によるワイヤボンディング方法を用いた半導体デバイスの他の実施例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 半導体デバイス
2 ダイパッド
3 半導体チップ
4 ボンディングパッド
5 リード
6 ワイヤ
7 ボンディングツール
8 ワイヤガイド
9 ガイドホルダ
10 ワイヤクランプ
11 カッタ
21 超音波発振器
22 BLT振動子
23 コーン
24 ホーン
25 ボンディングツール固定ねじ
26 ブロック
27 ワイヤスプール
28 第2のワイヤガイド
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスなどの製造に用いられるワイヤボンディング方法およびこれを使用するワイヤボンディング装置に関し、特にパワーデバイスなどに好適に用いられる大電流容量の電気的接続を行うことができるワイヤボンディング方法およびこれを使用するワイヤボンディング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造において、半導体チップ上に設けられた接続電極(ボンディングパッド)と半導体パッケージに設けられた外部引出し用端子(リード)とを電気的に接続するために、アルミ等の導電性ワイヤを用いる超音波ワイヤボンディング方法およびこれを使用するワイヤボンディング装置が広く使用されている。これらはワイヤに荷重および超音波振動を加えてボンディングパッドおよびワイヤの表面に形成された酸化膜を破って原子を表面に露出させ、ボンディングパッドとワイヤとの界面に塑性流動を発生させて互いに密着する新生面を漸増させながら原子間結合させることにより接合する。
【0003】
一般的にワイヤボンディングに用いられるワイヤは、直径が500μm程度のものが太さの限界とされており、これよりも直径の大きな太線ワイヤを用いて超音波接合を行う場合には、より大きな荷重および超音波エネルギが必要となる。その結果、半導体素子の表面に発生する応力によって半導体素子が破壊される可能性が高くなる。一方、自動車等に用いられるデバイスにおいては、1つの電極に従来よりも大きな電流を流すパワーデバイスの需要が高まっており、接続導体の電流容量を増大することが求められている。
【0004】
電流容量を増大するためには電流路内の電気抵抗を減らす必要があり、そのためには電流路の断面積を増大すればよく、1つの電極に複数本のワイヤをボンディングする方法が考えられる。しかし、従来のワイヤボンディン方法では、ワイヤの本数が増えるとワイヤボンディングの回数が増えることになり、それだけワイヤボンディング工程の所要時間がかかることになり、生産性を低下させる。
【0005】
生産性を低下させずに電流路の電流容量を増大する技術として、断面が長方形の導電体(以下「リボン」と呼ぶ。)を用いて電流路の断面積を大きくしたワイヤボンディング方法がある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−336043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のリボンを用いたワイヤボンディング方法では、互いに平面状である電極とリボンとの接触面同士のボンディングを行うこととなり、これらの表面に形成されている酸化膜を破って接合することができたとしても、塑性変形のし難さから、リボン全面の接合は困難である。そのため所望のボンディング強度(接合強度)および安定したボンダビリティを得ることができない。また、一般的にリボンは高価であり、半導体製造コストを上昇させている。
【0007】
そこで、リボンを用いたボンディングと同等若しくは同等以上の電流容量および生産性を有し、所望の接合強度および安定したボンダビリティを実現し、さらに生産コストを低減することができるワイヤボンディング方法、およびこれを実施する装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、第1の手段として、本発明は、2つの電極をワイヤによって接続するワイヤボンディング方法であって、第1の電極の上面に、ボンディングツールにより複数のワイヤを同時に超音波ボンディングする第1の工程と、ボンディングツールが第2の電極の上面へ移動しながら複数のワイヤにループを形成する第2の工程と、ループを形成した複数のワイヤを、第2の電極の上面に、ボンディングツールにより同時に超音波ボンディングする第3の工程とを有するワイヤボンディング方法(以下「マルチワイヤボンディング方法」という)を提供する。
【0009】
これによると、断面が円形状の一本の太線ワイヤをボンディングする方法では達成し得ない電流容量を可能とし、幅広のリボンをボンディングするよりも高い接合強度および安定したボンダビリティを得ることができる。また、複数本のワイヤを一本ずつボンディングするよりも短時間であってリボンを用いたボンディングと同等の作業時間でワイヤボンディングを行うことができる。また、リボンを用いた場合、電極との接合面が大きくなり、導電体と電極との熱膨張率の不一致によって生じる応力およびひずみが大きくなるが、それぞれのワイヤの接合面を独立のものとすることによりこれを抑制し、接合部の疲労破壊を抑制することができる。
【0010】
また、第2の手段として、本発明は、前記第1の手段としてのマルチワイヤボンディング方法における第1および第3の工程において、複数のワイヤを互いに接触させて配置し、或いはボンディング中に接触する程に近接配置してボンディングするワイヤボンディング方法を提供する。
【0011】
これによると、複数のワイヤの全体幅を小さくしてボンディングすることにより、限られるボンディングツール幅でより多くのワイヤをボンディングすることができ、ボンディングパッドの面積が小さな半導体デバイスに対しても電流容量の大きなワイヤボンディングを行うことができる。また、複数のワイヤを密にボンディングすることにより、当該複数のワイヤの電流密度を均一化することができる。
【0012】
また、第3の手段として、本発明は、前記第1の手段としてのマルチワイヤボンディング方法における第1および第3の工程において、複数のワイヤを互いに接触させないように配置してボンディングするワイヤボンディング方法を提供する。
【0013】
半導体デバイスの製造工程としては、ワイヤボンディングの後にエポキシ樹脂などによる封止を行うが、リボンを用いてボンディングを行った場合、リボンとワークとの間に気泡残留によるボイドが発生し、ひび割れを起こして配線が酸化、腐食したり、ボイド下の絶縁層とボイド部分の樹脂沿面を放電して絶縁不良を起こすことがある。しかし、このように間隔をあけて複数のワイヤをボンディングすることによりリボンボンディングに比べてボイドを発生し難くすることができる。また、ワイヤに間隔をあけることにより、ボンディング中のワイヤの変形が隣接するワイヤによって制限されず、接合面積を大きくすることができるため、高い接合強度を得ることができる。
【0014】
また、第4の手段として、本発明は、前記第1〜第3のいずれかの手段としてのマルチワイヤボンディング方法において、第1の電極と第2の電極とを結んだ直線の方向が、平面視において、第1の電極の上面にボンディングされた部分のワイヤの軸方向と異なる状態にあるワイヤボンディング方法を提供する。
【0015】
幅方向への変形に対する剛性が高いリボンを用いたときには、第1の電極にボンディングした状態から第2の電極へリボンを引き渡す方向を変えることはできない。しかし、本発明のように複数のワイヤを用いた場合、第1の電極にボンディングした後に、ボンディングされた部分のワイヤの軸方向と平面視において異なる方向にワイヤを引き渡すことが可能である。
【0016】
また、第5の手段として、本発明は、前記第1〜第3のいずれかの手段としてのマルチワイヤボンディング方法における第1および第3の工程の少なくとも一方において、ボンディングツールが所定量ずつ移動しながらボンディングを複数回行うワイヤボンディング方法を提供する。
【0017】
1つの電極上でボンディングを複数回行うことによって、ボンディング1回当たりのワイヤの接合長さを短くすることができ、ボンディング中に加える荷重および超音波エネルギを低減することができる。したがって、半導体素子の破壊に対してより安全にボンディングすることができる。また、半導体チップ上に金属により薄膜形成されたボンディングパッドの各位置からワイヤ接合位置までの距離が小さくなって、ボンディングパッド中を横方向に流れる電流に対する抵抗が低減され、ワイヤを流れる電流量を増大することもできる。
【0018】
また、第6の手段として、本発明は、超音波により複数のワイヤを同時にボンディングするためのボンディングツールであって、超音波の振動方向と直交する向きに延在する先端部を有し、先端部に超音波の振動方向に延在してそれぞれワイヤに係合する複数の溝を備えたボンディングツールを提供する。
【0019】
これによると、一本のボンディングツールにより複数のワイヤを同時に超音波ボンディングするマルチワイヤボンディング方法を実施することができる。
【0020】
また、第7の手段として、本発明は、ボンディングツールの先端付近に配設され、複数のワイヤを同時にボンディングするために当該複数のワイヤをボンディングツールの先端に導くワイヤガイドであって、前記複数のワイヤを所定位置に導くガイド手段を備えたワイヤガイドを提供する。
【0021】
これによると、一本のボンディングツールにより複数のワイヤを同時に超音波ボンディングするマルチワイヤボンディングにおいて、ボンディングツールの超音波振動特性に影響を与えずに複数のワイヤを同時にボンディングツールの先端に導くことができる。
【0022】
また、第7の手段として、本発明は、超音波により複数のワイヤを同時にボンディングするためのワイヤボンディング装置であって、複数のワイヤを供給するワイヤ供給機構と、超音波の振動方向と直交する向きに延在する先端部を有し、先端部に超音波の振動方向に延在してそれぞれワイヤに係合する複数の溝を備えたボンディングツールとを有するワイヤボンディング装置を提供する。
【0023】
これによると、前記第1〜第4の手段であって、一本のボンディングツールにより複数のワイヤを同時に超音波ボンディングするマルチワイヤボンディング方法を実施することができる。例えば、ボンディングツール本体の先端付近にワイヤガイド手段を備えたボンディングツールを使用し、ボンディングツールの先端付近まで斜めに導かれた複数のワイヤを、当該ワイヤガイド手段を介してボンディングツール下部に導いてボンディングできる。
【0024】
さらに、第8の手段として、本発明は、前記第7の手段としてのワイヤボンディング装置において、ボンディングツールの先端付近に配設され、複数のワイヤを所定位置に導くガイド手段を備えたワイヤガイドをさらに有するワイヤボンディング装置を提供する。
【0025】
これによると、前記第7の手段と同様にマルチワイヤボンディング方法を実施することができる。ボンディングツールとは別に独立したワイヤガイドを設けるため、ガイド手段によりボンディングツールの形状が制限されることがなく、自由度の高い振動系の設計を行える。また、ワイヤをボンディングツール先端付近までツールと平行に垂直方向に導いて当該ワイヤガイドを介してボンディングツールの先端下部へ斜めに導くような構成とすることもでき、ワイヤ経路による作業空間への制限を緩和して、障壁があるような狭い場所におけるマルチワイヤボンディングを可能とする。
【発明の効果】
【0026】
上記手段を用いることにより、リボンを用いたボンディングと比較して、同等若しくは同等以上の電流容量及び生産性を有し、所望の接合強度および安定したボンダビリティを実現し、生産コストを低減できるワイヤボンディングが可能となる。さらに、樹脂などによる封止の際にボイドの発生を抑制し、接合部の疲労破壊を抑制することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明がここに示された例に限定されるものではない。
【0028】
図1は、本発明の一実施例によるワイヤボンディング方法の様子を示した斜視図である。半導体デバイス1上にはダイパッド2が配設され、その上に半導体チップ3がボンドされている。半導体チップ3の上面にはボンディングパッド4が設けられている。ダイパッド2の周辺にはボンディングパッド4に対応する複数のリード5が配設されており、それぞれ4本のワイヤ6によって電気的に接続される。4本のワイヤ6を同時に超音波ボンディングするためのボンディングツール7の先端部付近には、4本のワイヤを同時にボンディングツール7の先端に導くためのワイヤガイド8が、ガイドホルダ9によって配設されている。ワイヤガイド8の上方にはワイヤクランプ10が配設され、ボンディングツール7に対してワイヤガイド8の反対側にはカッタ11が配設されている。
【0029】
ボンディングツール7は、第1の電極としてのボンディングパッド4の上面に4本のワイヤ6を同時に超音波ボンディングする。続いてボンディングツール7は、第2の電極としてのリード5の上方へ移動しながら、4本のワイヤ6にループを形成する。そして、リード5の上面に、ループを形成して引き渡された4本のワイヤ6を、ボンディングツール7により同時に超音波ボンディングする。その後、ボンディングツール7はワイヤガイド8側へさらに移動し、ワイヤ6が引き出されないようにワイヤクランプ10により固定して、カッタ11を使用して4本のワイヤ6を同時に切断する。同様に隣接するボンディングパッド4およびリード5を接続していく。なお、ここに示す本発明の実施形態では、電極を接続するワイヤの本数を4本としているが、マルチワイヤボンディングには2本以上のワイヤを用いればよく、特定の本数に限定されるものではない。
【0030】
図2は、本発明の一実施例によるワイヤボンディング装置、およびワイヤボンディング方法の様子を一部破断して示した側面図である。超音波発振器21から発振された電気信号は、BLT振動子22により縦振動の超音波振動に変換され、コーン23およびホーン24を共振して伝達され、ホーン24の先端部付近にボンディングツールセットねじ25により固定されたボンディングツール7において撓み振動に変換される。ボンディングツール7の上方には上下に移動可能なブロック26が、また、複数のワイヤを供給するワイヤ供給機構として4つのワイヤスプール27が配設されている。ワイヤスプール27から供給されるワイヤ6は、ワイヤガイド8の上方に配設された第2のワイヤガイド28を通過し、ボンディングツール7と平行な経路を辿ってワイヤガイド8へ導かれ、ボンディングツール7の先端に供給される。ボンディングツール7の先端部に供給されるワイヤ6の軸方向は、平面視において、超音波振動方向と同一である。ボンディングツール7は荷重および超音波振動を加えてボンディングパッド4およびリード5にワイヤ6を超音波接合する。
【0031】
図3は、図2中のボンディングツール7の先端部を一部破断して示した拡大側面図である。ボンディングツール7の本体部の断面形状は略円形であり、ボンディングツール7の側面は、先端部に近づくにつれ次第に細くなっている。1つの電極上で第1のボンディングをした後に、ボンディングツール7が所定量移動して第2のボンディングを行う場合、または更なるボンディングを行う場合、ボンディングツール7の先端部の側面における幅はさらに狭くてよく、ワイヤに加える荷重および超音波エネルギをより小さくすることができる。ボンディングツール7の先端部付近には、上方から導かれる複数のワイヤ6の方向を変え、ボンディングツール7の先端部下方に導くワイヤガイド8が、ガイドホルダ9によって配設されている。
【0032】
図4は、図3中のIV矢視図であり、ワイヤクランプ10を一部破断してボンディングツール7の先端付近の正面を示している。4本のワイヤ6は、互いに接触させないように間隔を空けて本実施形態におけるワイヤガイド8には、複数のワイヤを所定位置に導くガイド手段として、断面が円形状の4つのガイド穴が設けられており、ガイド穴は互いに平行でかつ直線上にあるように配置されている。
【0033】
図5は、図3中のV矢視図であり、ボンディングツール7の先端付近の正面を示している。断面が略円形状のボンディングツール7の正面は、ツール先端部においてもその幅は略同じである。先端部にはワイヤ6をボンディングするときに、それぞれワイヤに係合して荷重および超音波振動を加える断面がV字型の4本の溝が形成されている。
【0034】
図6は、図5中のVI矢視図であり、ボンディングツール7の底面(先端側から見た面)を示している。ホーンに固定する際にボンディングツールの方向が一定となるように断面の一部に直線部分を含んでいる。先端部は超音波振動方向と直交する向きに延在する形状であって、本実施例においては矩形を呈する。前述した断面がV字型の4本の溝は、矩形の長辺と直交する向きすなわち超音波振動方向と同一の向きにそれぞれ平行に形成されている。
【0035】
なお、ボンディングツールの先端に設けられた溝は、少なくともワイヤの本数と同じ数を備えていればよく、例えば4つの溝を備えたボンディングツールを用いて2本のワイヤを同時にボンディングしてもよい。同様に、ワイヤガイドに設けられたガイド穴についても、少なくともワイヤの本数と同じ数を備えていればよい。
【0036】
図7は、ボンディングを完了したボンディングツールの先端付近を示した正面図である。荷重および超音波振動を加えられたワイヤ6は、断面の上側がV字型の溝に嵌合する形状に変形し、断面の下側もボンディングツール7により荷重および超音波振動を加えられることによって変形する。ボンディングパッド4との接合面における標準的なワイヤの変形幅は、ボンディング前のワイヤ直径の1.1〜1.5倍となっている。
【0037】
図8は、図7中のVIII矢視図であり、ボンディングを終えたボンディングツールおよびワイヤを示した底面図である。前述した通り、ワイヤの下側の電極との接合幅が広がっている。
【0038】
〈発明による作用〉
円形断面のワイヤを用いてボンディングを行った場合、ワイヤと電極との接合強度については通常問題ないが、先行技術であるリボンと比較してみると、前述した直径が0.4mmのワイヤを4本使用した場合、ボンディング後の接合幅は一本当たり0.44mm〜0.6mmであって、4本の合計幅は1.76〜2.4mmである。一方、一般的に用いられているリボンの断面寸法は2mm*0.2mm程度であって、ボンディング後も接合幅は略変わらない。したがって、接合面積はマルチワイヤの方が確保しやすく、接合強度も優れている。
【0039】
また、電流路の電流容量すなわち断面積をリボンを用いた場合と比較すると、前述した直径が0.4mmのワイヤを4本使用した場合、合計断面積は0.503mm3であり、同様に前述した断面が2mm*0.2mmのリボンを用いた場合、断面積は、0.4mm3である。ワイヤの本数をさらに増やすことも可能であり、複数のワイヤを用いて同時にボンディングを行うことにより、リボンと同等若しくは同等以上の電流容量を有するワイヤボンディングを行うことも可能である。
【0040】
ここで、ワイヤを電極に超音波接合するときの結合状態について説明する。ボンディング前のボンディングパッドおよびワイヤの表面には酸化膜が形成されており、ボンディングツールによって荷重および超音波振動を加えられると、酸化膜が破られ原子が表面に露出したワイヤおよびボンディングパッドの界面には超音波振動によって塑性流動が発生し、互いに密着する新生面を漸増しながら原子間結合を行う。断面が円形状のワイヤは変形し、ボンディングパッドとの接合面が徐々に広がっていき、破られた酸化膜は接合面の広がりとともに外側へ押出される。ボンディングを終えた段階では、接合面の略全面が原子間結合している。したがって、原則として接合面積に比例する所望の接合強度、および安定したボンダビリティを得ることができる。
【0041】
一方、先行技術であるリボンを用いて電極に超音波接合するときの結合状態について説明すると、リボンはリボン用ボンディングツールにより荷重および超音波振動を加えられてボンディングパッドに接合されるが、ボンディングパッドおよびリボンの表面にはワイヤの場合と同様に酸化膜が形成されており、互いに接触面が平面であるために塑性変形し難く、全面の原子間結合は困難である。ボンディングを終えた状態における酸化膜の残留する面積はボンディング条件により異なるが、接触面全面が原子間結合している場合と比べると接合強度は低下する。
【0042】
このように、複数のワイヤを用いたボンディングとリボンを用いたボンディングとを比較すると、前述したように電極との接合幅は同等であっても、原子間結合されている面積は異なる。つまり、複数本のワイヤを用いたボンディング方法は、リボンを用いたボンディング方法と比べて、所望の接合強度および安定したボンダビリティを得ることができる。
【実施例】
【0043】
図9は、本発明の他の実施例によるボンディング前のボンディングツールの先端付近を示す正面図である。断面が略円形状で、ツール先端部においてその幅が狭くなっているボンディングツール7の先端には、超音波の振動方向に延在してそれぞれワイヤに係合する断面がV字型の4本の密接する溝が備えられている。ボンディングパッド5の上には4本のワイヤ6が互いに接触する状態で配置されており、ワイヤを互いに接触しないように配置した場合と比べて、より幅の狭いボンディングパッドにワイヤボンディングすることができる。
【0044】
図10は、本発明の他の実施例によるボンディングを完了したボンディングツールの先端付近を示す正面図である。荷重および超音波振動を加えられたワイヤ6は、断面の上側がV字型の溝に嵌合する形状に変形し、断面の下側もボンディングツール7により荷重および超音波振動を加えられることによって変形する。隣接するワイヤ6同士の接触面が大きくなっている。複数のワイヤを接触する程に近接させて配置した場合においても、ボンディング中にワイヤが変形し、ボンディングを完了した時点では図10と略同様の形状となる。
【0045】
図11は、本発明によるワイヤボンディング方法を用いた半導体デバイスの一実施例を示す平面図である。4本のワイヤ6が第1の電極としてのボンディングパッド4と第2の電極としてのリード5とを電気的に接続している。ボンディングパッド4aとリード5aとを結んだ直線の方向は、平面視において、ボンディングパッド4aの上面に平行にボンディングされた4本のワイヤ6の軸方向と一致している。リード5bおよび5cとボンディングパッド4bおよび4cとをそれぞれ結んだ直線の方向は、平面視において、前述したワイヤ6の軸方向と徐々に異なっている。しかし、あらゆる方向に可撓性を有するワイヤにあっては、前述したワイヤ6の軸方向と異なる方向にボンディングツール7が移動しながらループを形成することが可能である。また、リード5bおよび5cにボンディングを行うときには、ワイヤ6はボンディングツール7の先端に設けられた溝に係合されるため、ボンディングパッド4bおよび4c上にボンディングされたワイヤの軸方向すなわち超音波振動方向と同一方向に方向を変化されてボンディングされる。したがって、ボンディングツール7が回転する機構を有していなくても、ボンディングツール7の移動する方向を変えてワイヤボンディングすることができる。
【0046】
図12は、先行技術であるリボンによるワイヤボンディング方法を用いた半導体デバイスの一実施例を示した平面図である。幅方向への変形に対する剛性が高いリボンは、第1の電極にボンディングした状態からリボンを引き渡す方向を変えることはできないため、第1の電極にボンディングする前にボンディングツールおよびワイヤの供給経路を回転させて、第2の電極へ結ぶ直線方向と一致させた上でボンディングを行う必要がある。
【0047】
図13は、本発明によるワイヤボンディング方法を用いた半導体デバイスの他の実施例を示す平面図である。4本のワイヤ6が第1の電極としてのボンディングパッド4において2回ボンディングされている。1回目のボンディングの後、ボンディングツールは所定量を移動しながらワイヤにループを形成し、2回目のボンディングを行う。また、3回以上ボンディングする形態をとってもよい。このように複数回ボンディングする方法をとることにより、ボンディング中に加える荷重および超音波エネルギを低減して半導体素子の破壊に対してより安全なボンディングを可能とし、金属により薄膜形成されたボンディングパッド4中を横方向に流れる電流に対する抵抗を低減し、また、ボンディングパッド4中を流れる電流を分散してボンディングの信頼性を向上することができる。
【0048】
ここまで、本発明に関連するいくつかの実施例について説明してきたが、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。例えば、ワイヤガイドは複数のワイヤを所定位置に導くガイド手段を備えていればよく、例えば、ガイド穴が並行ではなく上方に行くほど開くような扇形に配置されてもよい。また、ガイド穴が直線上にはなく穴の上方が千鳥に配置され、ボンディングツール7の先端下方でワイヤが直線上になるように穴の下方に行くほど千鳥が直線的になるように配置されても良い。さらに、ガイド穴が隣接するガイド穴と重なるような一連の穴であったり、ガイド手段が穴ではなくワイヤを囲むようなフックを左右交互に複数個並べてガイドするような構造であってもよい。
【0049】
また、ボンディングツールの先端部の断面形状は矩形である必要はないが、複数のワイヤがボンディングされる長さ、すなわちワイヤに係合する溝部分の長さが相等しくなるような形状であることが望ましい。ワイヤに係合する溝の断面形状についてもV字型である必要はなく、U字形や矩形、多角形などであってもよいが、それぞれの溝の形状は同一であることが望ましく、また、用いる複数のワイヤの直径が同じ場合には、それぞれの溝の大きさも同一であることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施例によるワイヤボンディング方法の様子を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施例によるワイヤボンディング装置、およびワイヤボンディング方法の様子を一部破断して示す側面図である。
【図3】図2中のボンディングツール7の先端部を一部破断して示す拡大側面図である。
【図4】図3中のIV矢視図である。
【図5】図3中のV矢視図である。
【図6】図5中のVI矢視図である。
【図7】ボンディングを完了したボンディングツールの先端付近を示す正面図である。
【図8】図7中のVIII矢視図である。
【図9】本発明の他の実施例によるボンディング前のボンディングツールの先端付近を示す正面図である。
【図10】本発明の他の実施例によるボンディングを完了したボンディングツールの先端付近を示す正面図である。
【図11】本発明によるワイヤボンディング方法を用いた半導体デバイスの一実施例を示す平面図である。
【図12】先行技術であるリボンによるワイヤボンディング方法を用いた半導体デバイスの一実施例を示す平面図である。
【図13】本発明によるワイヤボンディング方法を用いた半導体デバイスの他の実施例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 半導体デバイス
2 ダイパッド
3 半導体チップ
4 ボンディングパッド
5 リード
6 ワイヤ
7 ボンディングツール
8 ワイヤガイド
9 ガイドホルダ
10 ワイヤクランプ
11 カッタ
21 超音波発振器
22 BLT振動子
23 コーン
24 ホーン
25 ボンディングツール固定ねじ
26 ブロック
27 ワイヤスプール
28 第2のワイヤガイド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの電極をワイヤによって接続するワイヤボンディング方法であって、
第1の電極の上面に、ボンディングツールにより複数のワイヤを同時に超音波ボンディングする第1の工程と、
前記ボンディングツールが第2の電極の上面へ移動しながら前記複数のワイヤにループを形成する第2の工程と、
前記ループを形成した複数のワイヤを、前記第2の電極の上面に、前記ボンディングツールにより同時に超音波ボンディングする第3の工程と
を有することを特徴とするワイヤボンディング方法。
【請求項2】
前記第1および第3の工程において、前記複数のワイヤを互いに接触させて配置し、或いはボンディング中に接触する程に近接配置してボンディングすることを特徴とする、請求項1に記載のワイヤボンディング方法。
【請求項3】
前記第1および第3の工程において、前記複数のワイヤを互いに接触させないように配置してボンディングすることを特徴とする、請求項1に記載のワイヤボンディング方法。
【請求項4】
前記第1の電極と第2の電極とを結んだ直線の方向が、平面視において、前記第1の電極の上面にボンディングされた部分のワイヤの軸方向と異なることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のワイヤボンディング方法。
【請求項5】
前記第1および第3の工程の少なくとも一方において、前記ボンディングツールが所定量ずつ移動しながら前記ボンディングを複数回行うことを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のワイヤボンディング方法。
【請求項6】
超音波により複数のワイヤを同時にボンディングするためのボンディングツールであって、
前記超音波の振動方向と直交する向きに延在する先端部を有し、該先端部に前記超音波の振動方向に延在してそれぞれワイヤに係合する複数の溝を備えたことを特徴とするボンディングツール。
【請求項7】
ボンディングツールの先端付近に配設され、複数のワイヤを同時にボンディングするために当該複数のワイヤを前記ボンディングツールの先端に導くワイヤガイドであって、
前記複数のワイヤを所定位置に導くガイド手段を備えたことを特徴とするワイヤガイド。
【請求項8】
超音波により複数のワイヤを同時にボンディングするためのワイヤボンディング装置であって、
前記複数のワイヤを供給するワイヤ供給機構と、
前記超音波の振動方向と直交する向きに延在する先端部を有し、該先端部に前記超音波の振動方向に延在してそれぞれワイヤに係合する複数の溝を備えたボンディングツールと
を有することを特徴とするワイヤボンディング装置。
【請求項9】
前記ボンディングツールの先端付近に配設され、前記複数のワイヤを所定位置に導くガイド手段を備えたワイヤガイドをさらに有することを特徴とする、請求項8に記載のワイヤボンディング装置。
【請求項1】
2つの電極をワイヤによって接続するワイヤボンディング方法であって、
第1の電極の上面に、ボンディングツールにより複数のワイヤを同時に超音波ボンディングする第1の工程と、
前記ボンディングツールが第2の電極の上面へ移動しながら前記複数のワイヤにループを形成する第2の工程と、
前記ループを形成した複数のワイヤを、前記第2の電極の上面に、前記ボンディングツールにより同時に超音波ボンディングする第3の工程と
を有することを特徴とするワイヤボンディング方法。
【請求項2】
前記第1および第3の工程において、前記複数のワイヤを互いに接触させて配置し、或いはボンディング中に接触する程に近接配置してボンディングすることを特徴とする、請求項1に記載のワイヤボンディング方法。
【請求項3】
前記第1および第3の工程において、前記複数のワイヤを互いに接触させないように配置してボンディングすることを特徴とする、請求項1に記載のワイヤボンディング方法。
【請求項4】
前記第1の電極と第2の電極とを結んだ直線の方向が、平面視において、前記第1の電極の上面にボンディングされた部分のワイヤの軸方向と異なることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のワイヤボンディング方法。
【請求項5】
前記第1および第3の工程の少なくとも一方において、前記ボンディングツールが所定量ずつ移動しながら前記ボンディングを複数回行うことを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のワイヤボンディング方法。
【請求項6】
超音波により複数のワイヤを同時にボンディングするためのボンディングツールであって、
前記超音波の振動方向と直交する向きに延在する先端部を有し、該先端部に前記超音波の振動方向に延在してそれぞれワイヤに係合する複数の溝を備えたことを特徴とするボンディングツール。
【請求項7】
ボンディングツールの先端付近に配設され、複数のワイヤを同時にボンディングするために当該複数のワイヤを前記ボンディングツールの先端に導くワイヤガイドであって、
前記複数のワイヤを所定位置に導くガイド手段を備えたことを特徴とするワイヤガイド。
【請求項8】
超音波により複数のワイヤを同時にボンディングするためのワイヤボンディング装置であって、
前記複数のワイヤを供給するワイヤ供給機構と、
前記超音波の振動方向と直交する向きに延在する先端部を有し、該先端部に前記超音波の振動方向に延在してそれぞれワイヤに係合する複数の溝を備えたボンディングツールと
を有することを特徴とするワイヤボンディング装置。
【請求項9】
前記ボンディングツールの先端付近に配設され、前記複数のワイヤを所定位置に導くガイド手段を備えたワイヤガイドをさらに有することを特徴とする、請求項8に記載のワイヤボンディング装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−67342(P2007−67342A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−255050(P2005−255050)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(591189638)超音波工業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(591189638)超音波工業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
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