説明

ワイヤボンディング構造及び電子装置とその製造方法

【課題】ボンディングの接合強度と接合信頼性を確保し、ボンディング工程の合理化と低コスト化とを実現可能としたワイヤボンディング構造及び電子装置とその製造方法を提供する。
【解決手段】第1の電極21と第2の電極11との少なくとも一方の電極11におけるボンディング領域が、第1のアルミワイヤ3を超音波接合して形成されたボンディング用の台座14と、台座14上に第2のアルミワイヤ2を超音波接合して形成されたボンド部2bとにより構成されている。第2のアルミワイヤ2は、第1のアルミワイヤ3よりも細い線材からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤボンディング構造及び電子装置とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子装置においては、ボンディングワイヤを介して、例えばICチップ及び基板の間、基板及び基板の間、あるいは基板及びコネクタの間などを電気的に接続したワイヤボンディング構造を有するものが一般的である。このようなワイヤボンディング構造の一例としては、基板上に搭載したボンディング用のパッド(電極)と、基板及び外部装置間の電気的接続を行うコネクタのターミナル(電極)とをアルミニウム(以下、「アルミ」という。)からなるワイヤで超音波接合する構造が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記特許文献1に記載された従来のワイヤボンディング構造によれば、基板のパッドは、42アロイを基材として表面に電気Ni(ニッケル)めっき又は無電解Niめっきを施しており、基板の表面に形成されたCu(銅)やAg(銀)等の電極上にはんだを介して固定されている。一方のコネクタのターミナルには、黄銅からなる基材の表面に電気Niめっき又は無電解Niめっきが施されている。
【0004】
基板のパッドとコネクタのターミナルとをワイヤボンディングするアルミワイヤとしては、大電流化に対応するため、直径150μm、250μm又は350μm程度のアルミ太線が用いられる。アルミワイヤを高温に加熱すると、酸化が促進して相手方の電極との接合性が低下するため、アルミワイヤと電極とは常温下で超音波ボンディングを行うことで接合されるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−221376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この種の電子装置においては、ボンディングワイヤの細線化や狭ピッチ化などに対応して、例えば直径25〜50μm程度のアルミ細線を用いる場合がある。しかしながら、アルミ太線に比べると、アルミ細線は電極との接合面積を減少させるので、超音波ボンディングによる電極とアルミ細線との電気的接続の接合信頼性が得られにくい。特に、Niめっきを施した電極にあっては、表面の酸化、汚れや面粗さなどに起因して発生する不具合によってアルミ細線との接合が弱いため、接合強度不足が発生しやすい。
【0007】
また、基板の電極上にボンディング用のパッドをはんだ付けする工程をワイヤボンディング工程に組み込むことは、はんだ付け工程とワイヤボンディング工程とが混在する複雑な工程となり、ワイヤボンディング工程の自動化や電子装置の製造工程全体の低コスト化などのための障害となりやすい。
【0008】
従って、本発明の目的は、ボンディングの接合強度と接合信頼性を確保し、ボンディング工程の合理化と低コスト化とを実現可能としたワイヤボンディング構造及び電子装置とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]本発明は、上記目的を達成するため、第1の電極と第2の電極とをワイヤボンディングする少なくとも一方の電極のボンディング領域が、第1のアルミワイヤを超音波接合して形成されたボンディング用の台座と、第2のアルミワイヤを前記台座上に超音波接合して形成されたボンド部とにより構成されており、前記第2のアルミワイヤが前記第1のアルミワイヤよりも細い線材からなることを特徴とするワイヤボンディング構造にある。
【0010】
[2]上記[1]記載のワイヤボンディング構造にあっては、前記第1のアルミワイヤの線径は100〜300μmであり、前記第2のアルミワイヤの線径は25〜50μmであることを特徴とする。
【0011】
[3]上記[1]記載のワイヤボンディング構造によると、前記ボンディング領域の前記電極は、表面にニッケルめっきを施してなることを特徴とする。
【0012】
[4]本発明では更に、上記目的を達成するため、第1及び第2の電極の少なくとも一方の電極に上記[1]〜[3]のいずれかに記載のワイヤボンディング構造を備えており、前記第2のアルミワイヤを介して前記第1の電極と前記第2の電極とが接続されてなることを特徴とする電子装置が提供される。
【0013】
[5]本発明では更に、上記目的を達成するため、第1及び第2の電極の少なくとも一方の電極に第1のアルミワイヤにより超音波接合してボンディング用の台座を形成する工程と、前記第1の電極及び前記第2の電極をワイヤボンディングする第2のアルミワイヤを前記台座上に超音波接合する工程とを備え、前記第2のアルミワイヤの線径は、前記第1のアルミワイヤの線径よりも細いことを特徴とする電子装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ボンディングの接合強度を保持するとともに、接合信頼性を確保し、更にはボンディング工程の合理化と低コスト化をも実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態である典型的な電子装置の実装状態を説明するための模式断面図である。
【図2】電子装置のワイヤボンディング構造を説明するための模式平面図である。
【図3】図2のIII−III線矢視の要部断面拡大図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態である電子装置の製造方法におけるワイヤボンディング工程を説明するための図であり、(a)はボンディング用の台座形成工程を示す図、(b)は(a)の次の工程を示す図、(c)は(b)の次の第1ボンディング工程を示す図、(d)は(c)の次のループ形成工程を示す図であり、(e)は(d)の次の第2ボンディング工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
【0017】
[第1の実施の形態]
(電子装置の構成)
図1において、全体を示す符号1は、電子装置の一構成例を模式的に示している。この電子装置1は、例えばパワーモジュールなどの半導体装置や車両制御用のECUなどの制御装置として用いられるものである。
【0018】
この電子装置1は、図1に示すように、基板10と、基板10にダイボンディング等により固定されたIC部品20とを備えており、基板10の一面及びIC部品20がモールド樹脂30により被覆されたモールドIC、又はゲル封止にて保護された構造が取られる。
【0019】
図示例による基板10としては、例えば単層又は2層以上の層が積層された多層基板やプリント配線基板などが用いられる。基板10の材質は、例えば樹脂やセラミックなどからなる。IC部品20としては、基板10の一面上に搭載できるものであれば、特に限定されるものではないが、例えばセンサIC、制御IC等の各種の半導体素子が挙げられる。モールド樹脂30としては、例えばエポキシ樹脂などが用いられる。
【0020】
このIC部品20の上縁部寄りには、図1及び図2に示すように、第1の電極である複数のパッド(電極)21,…,21が露出している。一方の基板10の上面には、複数のパッド21に対応して、第2の電極である複数のリードフレーム(電極)11,…,11が露出している。IC部品20のパッド21と基板10のリードフレーム11とはアルミ細線2でボンディングされており、IC部品20とリードフレーム11との間には回路が形成されている。
【0021】
このパッド21は、特に限定されるものではないが、100μm角程度の正方形をなしており、IC部品20上にアルミ蒸着により形成される。一方、リードフレーム11にあっても、特に限定されるものではなく、例えば銅や黄銅などの金属からなる基材の表面にワイヤボンディング可能な金属材料をめっき膜あるいは蒸着膜により被覆して形成される。
【0022】
この第1の実施の形態では、図3に示すように、基材12の表面にNiめっき膜13が施されている。電解Niめっきが施されたリードフレーム11を採用することで、外部との接続を溶接により行うことが可能になる。
【0023】
(ワイヤボンディング構造)
以上のように構成された電子装置1は、典型的な一構成例を例示するものであり、この電子装置1の構造、形態や機能などは、特に限定されるものではない。この第1の実施の形態に係る電子装置1の主要な構成は、2つの電極をワイヤボンディングする少なくとも一方の電極のボンディング領域を、線材径が異なる同種材料のワイヤにより電気的に接続するワイヤボンディング構造にある。
【0024】
この第1の実施の形態に係るワイヤボンディング構造にあっては、図1〜図4に示すように、リードフレーム11上に形成されたボンディング領域が、第1のアルミワイヤであるアルミ太線3により超音波接合して形成されたボンディング用の台座14と、この台座14上に同種材料の第2のアルミワイヤであるアルミ細線2により超音波接合して形成されたセカンドボンド部2bとにより構成されている。このアルミ細線2は、アルミ太線3よりも細い線材からなることが肝要である。
【0025】
この台座14は、リードフレーム11に対して、アルミ太線3を常温下で超音波接合することでボンディングしたものであり、アルミ太線3の一端を切り離すことで形成される。台座14とリードフレーム11との接合面積は大きい接合形態が好ましく、アルミ太線3は、例えば100〜300μmの直径を有する円形の線材からなる。
【0026】
一方のセカンドボンド部2bは、ファースト側のIC部品20のパッド21と接続されたアルミ細線2の一端をセカンド側で接続されたものであり、台座14に対して、アルミ太線3の線径よりも細い線材からなるアルミ細線2を常温下で超音波接合することでボンディングされている。このアルミ細線2は、例えば25〜50μmの直径を有する円形の線材からなる。
【0027】
[変形例]
上記ワイヤボンディング構造にあっては、例えば次の変形例を採用することができる。
(1)図示例では、リードフレーム11に台座14及びセカンドボンド部2bを形成しているが、これに限定されるものではない。この台座14及びセカンドボンド部2bは、例えばパッド21及びリードフレーム11の少なくとも一方の電極に形成されていればよい。アルミ細線2との接合が弱いため、接合強度不足が発生しやすい電極に台座14及びセカンドボンド部2bを形成することが好適である。
(2)図示例では、基材12の表面にNiめっき膜13を施したリードフレーム11の一例を例示したが、これに限定されるものではない。このリードフレーム11としては、Niめっき膜13を排除して、ワイヤボンディング可能な金属材料、例えば銅や黄銅などの金属材を用いることができる。
【0028】
(第1の実施の形態及び変形例の効果)
上記ワイヤボンディング構造を採用することで、以下の効果が得られる。
(1)アルミ細線2とリードフレーム11との間の接合強度は、アルミワイヤの線径が細いほど低下するが、アルミ太線3を超音波ボンディングした台座14上にアルミ細線2を介してボンディングしているため、台座14とリードフレーム11との接合面積は大きくなり、台座14とリードフレーム11との間の接合強度が増大する。
(2)台座14とセカンドボンド部2bとをアルミからなる同種の材料で超音波ボンディングする構造であるので、アルミ細線2のセカンドボンド部2bが台座14から分離することを防止することが可能となり、超音波ボンディングによるリードフレーム11とアルミ細線2との電気的な接続の接合信頼性は高い。
(3)IC部品20のパッド21及びリードフレーム11の接続は、例えば比較的小電流であり、多くのワイヤ接続を必要とするようなIC部品20に対しては、比較的細いアルミ細線2を用いることで電子装置1の大型化が抑制される。
(4)ボンディングの接合強度と接合信頼性に優れたワイヤボンディング構造を備えた電子装置1が得られるので、例えば高温、低温、又は振動などを受けやすい車載用の使用環境下においても効果的に使用することが可能となる。
【0029】
[第2の実施の形態]
(電子装置の製造方法)
上記のように構成された電子装置1を製造する工程では、定法に従い、基板10上にリードフレーム11を形成した後、基板10上にIC部品20をダイボンディングなどにより搭載する(ダイボンディング工程)。そのダイボンディング工程後、IC部品20のパッド21と基板10のリードフレーム11とをアルミワイヤにより結線する(アルミワイヤボンディング工程)。そのアルミワイヤボンディング工程後、定法に従い、IC部品20と基板10とを図示しない金型に投入し、モールド樹脂30による封止を行う(樹脂封止工程)。これらの一連の工程を経て、図1に示す電子装置1が完成する。
【0030】
(アルミワイヤボンディング工程)
この第2の実施の形態に係る電子装置1の製造方法の主要な構成の一部は、アルミワイヤボンディング工程にある。このアルミワイヤボンディング工程は、ボンディング用の台座形成工程、第1のボンディング工程、ループ形成工程、及び第2のボンディング工程を備えた超音波ウエッジボンディング方法により効果的に得られる。このアルミワイヤボンディング工程の主要な構成の一部は、第1のボンディング工程前にボンディング用の台座形成工程を実施することにある。
【0031】
以下に、図4(a)〜図4(e)を参照しながら、IC部品20のパッド21と基板10のリードフレーム11とをアルミワイヤで結線するワイヤボンディング工程について説明する。
【0032】
この第2の実施の形態に係るアルミワイヤボンディング工程に適用されるボンディング装置100は、図4(a)〜図4(e)に示すように、平坦な先端面でアルミワイヤに押し当てながら、超音波振動を加えることにより、アルミワイヤをワークにボンディングするウエッジツール101を備えている。図示例に限定されるものではないが、このウエッジツール101の一側面には、アルミワイヤを保持案内するクランプ機構102が備えられている。ウエッジツール101の他側面には、ボンディング後にアルミワイヤを切断する上下動可能なカッター103が備えられている。
【0033】
(ボンディング用の台座形成工程)
この台座形成工程では、線径が100〜300μmであるアルミ太線3が用いられる。図4(a)において、クランプ機構102のクランプが開いてウエッジツール101が基板10に向けて降下すると、アルミ太線3が基板10のリードフレーム11上のボンディング位置に接触する。このボンディング位置でウエッジツール101によりアルミ太線3を所定の荷重で加圧する。この加圧状態のアルミ太線3に対して所定の強度及び所定の時間をもって超音波を発振させる。これにより、基板10のリードフレーム11上にアルミ太線3を超音波接合する。
【0034】
この台座形成工程にはアルミ太線3の切断工程が含まれており、基板10のリードフレーム11上にアルミ太線3を超音波接合することで形成された台座14からアルミ太線3の一端をカッター103により切断する。この切断により、図4(b)に示すように、台座14をリードフレーム11上に残して、その台座14からアルミ太線3を切り離すことで、ボンディング用の台座14が形成される。
【0035】
(第1のボンディング工程)
この第1のボンディング工程では、線径が25〜50μmであるアルミ細線2が用いられる。図4(c)において、IC部品20のボンディング位置に対し、ウエッジツール101によりアルミ細線2を所定の荷重で加圧する。この加圧状態のアルミ細線2に対して所定の強度及び所定の時間をもって超音波を発振させることで、IC部品20上にアルミ細線2を超音波接合する。この超音波接合により、ファーストボンド部2aが形成される。
【0036】
この第2の実施の形態においては、IC部品20及びリードフレーム11をワイヤボンディングで接続する際に、最初にボンディングを行うボンディング部をファーストボンド部2aとし、次にボンディングを行うボンディング部をセカンドボンド部2bとする。なお、IC部品20及びリードフレーム11におけるワイヤボンディングの順序は、どちらが最初であっても構わないことは勿論である。
【0037】
(ループ形成工程)
このループ形成工程では、第1のボンディング工程が終了した後、アルミ細線2をクランプ機構102から供給しながら、ウエッジツール101をIC部品20のボンディング位置からリードフレーム11の台座14へ向けて移動する。これにより、図4(d)に示すように、アルミ細線2が所定のループ形状に形成される。
【0038】
(第2のボンディング工程)
図4(d)において、リードフレーム11のボンディング用の台座14上のボンディング位置に対し、ウエッジツール101によりアルミ細線2を所定の荷重で加圧する。この加圧状態のアルミ細線2に対して所定の強度及び所定の時間をもって超音波振動を加えることで、リードフレーム11の台座14上にアルミ細線2を超音波接合する。
【0039】
この第2のボンディング工程にはアルミ細線2を切断する工程が含まれており、この切断により、図4(e)において、リードフレーム11の台座14上にアルミ細線2を超音波接合させた後、アルミ細線2の一端をカッター103により切断する。この超音波接合によりセカンドボンド部2bが形成される。
【0040】
このアルミワイヤボンディング工程においては、図4(a)及び図4(b)に示す一連の工程を1サイクルとし、図4(c)〜図4(e)に示す一連の工程を次の1サイクルとして超音波接合を繰り返すか、あるいは図4(a)〜図4(e)における一連の工程を1サイクルとして超音波接合を繰り返すことで、IC部品20のパッド21と基板10のリードフレーム11との全ての電気的接続が実施される。なお、アルミワイヤの切断方法は、アルミワイヤをクランプ機構102により保持して上方へ引っ張ることで、ウエッジツール101から切り離す方法などであってもよいことは勿論である。
【0041】
(第2の実施の形態の効果)
上記アルミワイヤボンディング工程を採用することで、以下の効果が得られる。
(1)Niめっき膜13を施したリードフレーム11に対しては、表面の酸化、汚れや面粗さなどに起因して発生する不具合によってアルミ細線2との接合が弱いため、接合強度不足が発生しやすい。これに対し、アルミ太線3をリードフレーム11に超音波ボンディングすることで台座14を形成するので、常温下で十分な荷重と超音波振動とを加えることができるようになる。その結果、リードフレーム11上の酸化物などが容易に除去されることになり、十分な接合強度で超音波ボンディングを行うことができる。
(2)アルミ太線3を超音波ボンディングした台座14上に、台座14と同種の材料からなるアルミ細線2を常温下で超音波ボンディングするため、台座14とアルミ細線2とを信頼性の高い接合状態で強固に接合することができる。
(3)線材径が異なる同種材料の2本のワイヤを用い、電極のボンディング領域にワイヤボンディングするので、一連のアルミワイヤボンディング工程中にボンディング用の台座形成工程を容易に組み込むことができるようになり、例えば電子装置の高密度化に伴い、アルミワイヤボンディング工程の自動化や電子装置1の製造工程全体の低コスト化などが実現しやすい。
(4)IC部品20のパッド21や基板10のリードフレーム11の配置位置にかかわらず、各種の接続パターンに容易に対応できる汎用性を備えているので、2つの電極をアルミワイヤにより電気的に接続するワイヤボンディング構造であれば、電子装置1の構造、形態や機能などにかかわらず、各種の電子装置1の電気的接続に適用することができる。
【0042】
以上の説明からも明らかなように、本発明のワイヤボンディング構造及び電子装置とその製造方法を上記実施の形態、変形例、及び図示例に基づいて説明したが、本発明は上記実施の形態、変形例、及び図示例の中で説明した特徴の組合せの全てが本発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。本発明の技術思想の範囲内において種々の構成が可能であり、次に示すような他の変形例も可能である。
【0043】
IC部品20のパッド21と基板10のリードフレーム11との2つの電極に対するワイヤボンディング構造として例示したが、これに限定されるものではない。2つの電極を有するワイヤボンディング構造としては、例えばIC部品及び基板の間、IC部品及び電源に接続されたバスバーの間、基板及び基板の間、基板及びコネクタの間を電気的に接続したワイヤボンディング構造及び電子装置とその製造方法、あるいはワイヤボンディング用の第1のパッドと第2のパッドとを備えたIC部品などを電気的に接続したワイヤボンディング構造及び電子装置とその製造方法に効果的に適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1…電子装置、2…アルミ細線、2a…ファーストボンド部、2b…セカンドボンド部、3…アルミ太線、10…基板、11…リードフレーム、12…基材、13…Niめっき膜、14…台座、20…IC部品、21…パッド、30…モールド樹脂、100…ボンディング装置、101…ウエッジツール、102…クランプ機構、103…カッター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と第2の電極とをワイヤボンディングする少なくとも一方の電極のボンディング領域が、第1のアルミワイヤを超音波接合して形成されたボンディング用の台座と、第2のアルミワイヤを前記台座上に超音波接合して形成されたボンド部とにより構成されており、
前記第2のアルミワイヤが前記第1のアルミワイヤよりも細い線材からなることを特徴とするワイヤボンディング構造。
【請求項2】
前記第1のアルミワイヤの線径は100〜300μmであり、前記第2のアルミワイヤの線径は25〜50μmであることを特徴とする請求項1記載のワイヤボンディング構造。
【請求項3】
前記ボンディング領域の前記電極は、表面にニッケルめっきを施してなることを特徴とする請求項1記載のワイヤボンディング構造。
【請求項4】
第1及び第2の電極の少なくとも一方の電極に上記請求項1〜3のいずれかに記載のワイヤボンディング構造を備えており、前記第2のアルミワイヤを介して前記第1の電極と前記第2の電極とが接続されてなることを特徴とする電子装置。
【請求項5】
第1及び第2の電極の少なくとも一方の電極に第1のアルミワイヤにより超音波接合してボンディング用の台座を形成する工程と、
前記第1の電極及び前記第2の電極をワイヤボンディングする第2のアルミワイヤを前記台座上に超音波接合する工程とを備え、
前記第2のアルミワイヤの線径は、前記第1のアルミワイヤの線径よりも細いことを特徴とする電子装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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