説明

ワイヤボンディング装置及びボンディング方法

【課題】高速ウェッジワイヤボンディングを行うワイヤボンディング装置を提供する。
【解決手段】貫通孔16bとワイヤを押圧する押圧面16aとを有するボンディングツール16とワイヤ81を把持するクランパ17と制御部30とワイヤボンディング装置10であって、制御部30は、第1リード174にワイヤ81をウェッジボンディングした後、ボンディングツール16を上昇させ、第2パッド273と第2リード274を結ぶ第2の直線93に沿って移動させ、ボンディングツール16の貫通孔16bから第2パッド273から第2リード274に向う第2の直線93に沿った方向にワイヤ81を延出させるワイヤテール延出手段と、ワイヤテール82を延出させた後、クランパ17を閉としてボンディングツール16を第2パッド273と第2リード274を結ぶ第2の直線93に沿った方向に移動させてワイヤテール82を切断するテールカット手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤボンディング装置の構造及びそのボンディング装置を用いたボンディング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップと基板との接続にはワイヤボンディング装置が多く用いられている。ワイヤボンディング装置には、ボールワイヤボンディング装置とウェッジワイヤボンディング装置の2つの種類がある。ボールワイヤボンディング装置はキャピラリの先端に延出したワイヤをスパークなどによりイニシャルボールに形成し、このイニシャルボールを半導体チップのパッドの上に押圧すると共に超音波振動を印加して圧着ボールとしてパッドにボンディングし、その後キャピラリからワイヤを繰り出しながら基板のリードに向ってルーピングし、基板のリードの上にワイヤを押圧してボンディングし、その後キャピラリを上昇させてキャピラリの先端にワイヤテールを延出させた後、ワイヤを切断し、そのワイヤテールをスパーク等によりイニシャルボールに形成して次のパッドにボンディングすることを繰り返し、半導体チップの複数のパッドと基板の複数のリードをそれぞれ接続していくものである。
【0003】
また、ウェッジワイヤボンディング装置は、ワイヤガイドと押圧面を持つツールを用い、イニシャルボールを形成せずにワイヤガイドでワイヤの方向を保持した状態で押圧面によってワイヤの側面を半導体チップのパッドの上に押圧すると共に超音波加振を印加してワイヤを半導体チップのパッドにボンディングし、その後ツールを上昇させて基板のリードの上にルーピングし、ツールの押圧面によってワイヤ側面をリードの表面に押圧してボンディングし、その後ツールをワイヤの接続方向に向かって斜めに上昇させてワイヤを切断すると共にツールの押圧面の下にワイヤテールを延出させる。そして、次のパッドの上にツールを移動させ、押圧面の下に延出したワイヤテールの側面を半導体チップのパッドの上に押圧してボンディングすることを繰り返し、半導体チップの複数のパッドと基板の複数のリードをそれぞれ接続していくものである(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載されたようなウェッジボンディング装置では、ワイヤガイドでワイヤの方向を保持した状態で押圧面によってワイヤの側面を半導体チップのパッドの上に押圧するので、ワイヤは常にワイヤの接続方向に向いた方向に延びていることが必要となる。しかし、半導体チップのパッドと基板のリードとを結ぶ方向は様々に変化するので、例えば、ボンディングツールのワイヤガイドの方向をワイヤの接続方向に合わせられるように、ボンディングヘッドを回転式にしたり(例えば、特許文献2参照)、あるいは半導体チップや基板を保持しているボンディングステージを回転させたりする方法が用いられている。
【0005】
しかし、ボンディングヘッドやボンディングステージを回転させることはボンディング装置全体が大型になる上、ボンディング速度が遅く、高速ボンディングができないという問題があった。このため、キャピラリを用いつつ、イニシャルボールを形成せずに半導体のパッド、基板のリードにワイヤをボンディングする方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。特許文献3に記載されたウェッジワイヤボンディング方法は、第2ボンド点へのボンディングの後、キャピラリを一旦上昇させてワイヤテールを延出させた後、次のワイヤの接続方向に沿った方向に向かってキャピラリを水平移動させ、その後キャピラリの先端が第2ボンド点にボンディングされているワイヤにほんの少し接する程度の位置までキャピラリを降下させ、最後に次のワイヤの接続方向に沿った方向に向かってキャピラリを再度水平移動させてワイヤテールを切断する方法が提案されている(同文献、段落0040から0049参照)。この方法によると、ワイヤテールをキャピラリの先端に次のワイヤの接続方向に向かって折り曲げておくことができるので、次のボンディングの際にこのワイヤの折れ曲がった部分をキャピラリの先端で押圧することによってボンディングヘッドを回転させず、イニシャルボールの形成もせずにワイヤをウェッジワイヤボンディングすることができる。また、同文献には、最初にボンディングする際にはイニシャルボールを形成してボールを基板の適当な位置にボールワイヤボンディングし、ワイヤテールの切断の際にワイヤの方向を次のワイヤの接続方向に沿った方向に向けて折り曲げてからウェッジワイヤボンディングを行うことが記載されている(同文献、段落0050参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭58−9332号公報
【特許文献2】特開昭55−7415号公報
【特許文献3】米国特許出願公開2005−0167473号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献3に記載された従来技術のウェッジワイヤボンディング方法は、ボールワイヤボンディングを行うキャピラリを用いてウェッジワイヤボンディングを行うものであり、特許文献3の図4Aから図4E、図7Aから図7Dに示されているように、キャピラリの先端にはイニシャルボールをパッド等の第1ボンド点にボンディングするためのテーパ状のチャンファ部が設けられている。このため、キャピラリの先端に延出したワイヤテールをウェッジワイヤボンディングできるようにキャピラリ先端の面に沿った方向に折り曲げるためには、一旦キャピラリを下降させてキャピラリの先端にワイヤテールを押し付けることが必要となる。このため、特許文献3に記載されたウェッジワイヤボンディング方法では、ボンディング速度をあまり上げられないという問題があった。
【0008】
また、特許文献3に記載された従来技術のウェッジワイヤボンディング方法では、特許文献3の図3に示されているように、隣接するワイヤの接続方向の変化角度が小さい場合には対応することができるが、例えば、ワイヤの接続方向が反転する場合のように、その方向が大きく変化する場合には、すでにボンディングの終了しているパッドとリードとを接続する接続ワイヤにキャピラリあるいはワイヤテールが引っかかってしまい、次のワイヤの接続方向にワイヤテールを折り曲げることができないという問題があった。
【0009】
本発明は、高速ウェッジワイヤボンディングを行うワイヤボンディング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のワイヤボンディング装置は、棒状体で、その長手方向にワイヤが挿通される貫通孔と、その先端の貫通孔の周縁に設けられてボンディング対象にワイヤを押圧する押圧面と、を有するボンディングツールと、ワイヤを把持するクランパと、ボンディングツールの移動を規定すると共にクランパを開閉する制御部と、を含み、複数の第1ボンド点と複数の第2ボンド点とをそれぞれワイヤで接続するワイヤボンディング装置であって、制御部は、先の第2ボンド点にワイヤをボンディングした後、クランパを開として前記ボンディングツールを上昇させ、次の第1ボンド点から次の第2ボンド点に向う直線に沿って所定距離だけ移動させ、ボンディングツールの貫通孔からワイヤを次の第1ボンド点から次の第2ボンド点に向う直線に沿った方向に延出させるワイヤテール延出手段と、ワイヤテールを延出させた後、クランパを閉としてボンディングツールを次の第1ボンド点から次の第2ボンド点に向う直線に沿った方向に移動させてワイヤテールを切断するテールカット手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明のワイヤボンディング装置において、ボンディングツールの先端から延出したワイヤテールを引っ掛ける段部を含む折り曲げステーションを含み、制御部は、ボンディングツールを折り曲げステーションに移動させ、ワイヤテールを段部に沿った位置に配置した後、次の第1ボンド点から次の第2ボンド点に向う直線に沿って次の第2ボンド点の方向にボンディングツールを移動させてワイヤテールを次の第1ボンド点に向う方向に折り曲げるワイヤテール折り曲げ手段を含むこと、としても好適である。
【0012】
本発明のワイヤボンディング装置において、制御部は、先の第1ボンド点と先の第2ボンド点とを結ぶ第1の直線と、次の第1ボンド点と次の第2ボンド点とを結ぶ第2の直線とのなす角度が所定の角度よりも小さい場合には、ワイヤテール延出手段と、テールカット手段によってワイヤテールの形成を行い、第1の直線と第2の直線とのなす角度が所定の角度よりも同じか大きい場合には、ワイヤテール折り曲げ手段によってワイヤテールの形成を行うこと、としても好適である。
【0013】
本発明のワイヤボンディング装置において、貫通孔の押圧面側の端部はストレート孔で、ストレート孔の内面と押圧面とのなす角度は略直角であること、としても好適であるし、押圧面は、円環状の平面であり、ワイヤテール延出手段は、ワイヤテールの長さが押圧面の外半径より僅かに長くなるようにボンディングツールを移動させること、としても好適であるし、ワイヤテール延出手段は、ボンディングツールを所定のZ方向距離だけ上昇させた後、次の第1ボンド点から次の第2ボンド点に向う直線に沿って所定のXY方向距離だけ水平に移動させることとしても好適であるし、ワイヤテール延出手段は、ボンディングツールを次の第1ボンド点から次の第2ボンド点に向う直線に沿って所定の斜め方向距離だけ斜め上方に移動させること、としても好適であるし、複数の第1ボンド点は、基板のリードであり、複数の第2ボンド点は、半導体チップのパッドであること、としても好適である。
【0014】
本発明のワイヤボンディング装置において、折り曲げステーションの段部は、ワイヤテールを引っ掛ける壁面と、壁面につながる上平面とを有し、ワイヤテール折り曲げ手段は、ボンディングツールの押圧面が折り曲げステーションの段部の上平面よりワイヤの直径よりも僅かに高い高さでボンディングツールを移動させること、としても好適である。
【0015】
本発明のワイヤボンディング方法は、棒状体で、その長手方向にワイヤが挿通される貫通孔と、その先端の貫通孔の周縁に設けられてボンディング対象にワイヤを押圧する押圧面と、を有するボンディングツールと、ワイヤを把持するクランパと、を含むワイヤボンディング装置によって、複数の第1ボンド点と複数の第2ボンド点とをそれぞれワイヤで接続するワイヤボンディング方法であって、先の第2ボンド点にワイヤをボンディングした後、クランパを開としてボンディングツールを上昇させ、次の第1ボンド点から次の第2ボンド点に向う直線に沿って所定距離だけ移動させ、ボンディングツールの貫通孔からワイヤを次の第1ボンド点から次の第2ボンド点に向う直線に沿った方向に延出させるワイヤテール延出工程と、ワイヤテール延出工程の後、クランパを閉としてボンディングツールを次の第1ボンド点から次の第2ボンド点に向う直線に沿った方向に移動させてワイヤテールを切断するテールカット工程と、を有することを特徴とする。
【0016】
本発明のワイヤボンディング方法は、ボンディング装置がボンディングツールの先端から延出したワイヤテールを引っ掛ける段部を含む折り曲げステーションを含み、ボンディングツールを折り曲げステーションに移動させ、ワイヤテールを段部に沿った位置に配置した後、次の第1ボンド点から次の第2ボンド点に向う直線に沿って次の第2ボンド点の方向にボンディングツールを移動させてワイヤテールを次の第1ボンド点に向う方向に折り曲げるワイヤテール折り曲げ工程を含むこと、としても好適である。
【0017】
本発明のワイヤボンディング方法は、先の第1ボンド点と先の第2ボンド点とを結ぶ第1の直線と、次の第1ボンド点と次の第2ボンド点とを結ぶ第2の直線とのなす角度が所定の角度よりも小さい場合には、ワイヤテール延出工程と、テールカット工程によってワイヤテールの形成を行い、第1の直線と第2の直線とのなす角度が所定の角度よりも同じか大きい場合には、ワイヤテール折り曲げ工程によってワイヤテールの形成を行うこと、としても好適である。
【0018】
本発明のワイヤボンディング方法において、押圧面は、円環状の平面であり、ワイヤ延出工程は、ワイヤテールの長さが押圧面の外半径より僅かに長くなるようにボンディングツールを移動させることとしても好適であるし、ワイヤテール延出工程は、ボンディングツールを所定のZ方向距離だけ上昇させた後、次の第1ボンド点から次の第2ボンド点に向う直線に沿って所定のXY方向距離だけ水平に移動させること、としても好適であるし、ワイヤテール延出工程は、ボンディングツールを次の第1ボンド点から次の第2ボンド点に向う直線に沿って所定の斜め方向距離だけ斜め上方に移動させること、としても好適であるし、複数の第1ボンド点は、基板のリードであり、複数の第2ボンド点は、半導体チップのパッドであること、としても好適である。
【0019】
本発明のワイヤボンディング装置において、共通の基板に複数の半導体チップを配置し、各半導体チップの複数のパッドと各パッドに対応する基板の各リードとをそれぞれワイヤで接続する際に、先の半導体チップの最後のパッドとそのパッドに対応する基板のリードとをワイヤで接続した後、該パッドから該リードに向かう方向に沿ってパッドとそのパッドに対応するリードが配置されている後の半導体チップの該パッドと該リードの組からワイヤの接続を開始すること、としても好適である。
【0020】
本発明のワイヤボンディング装置において、共通の基板に複数の半導体チップを配置し、各半導体チップの複数のパッドと各パッドに対応する基板の各リードとをそれぞれワイヤで接続する際に、各パッドと各パッドに対応する各リードとを結ぶ線の方向が同様となっている各パッドと各リードの組ごとに順次ワイヤで接続すること、としても好適である。
【0021】
本発明のワイヤボンディング装置において、ワイヤテール延出手段は、ボンディングツールを所定のZ方向距離だけ上昇させ、第2ボンド点から第1ボンドの方向に所定のXY方向距離だけ水平に移動させた後、次の第1ボンド点から次の第2ボンド点に向う直線に沿って所定のXY方向距離だけ水平に移動させること、としても好適である。
【0022】
本発明のワイヤボンディング方法において、共通の基板に複数の半導体チップを配置し、各半導体チップの複数のパッドと各パッドに対応する基板の各リードとをそれぞれワイヤで接続する際に、先の半導体チップの最後のパッドとそのパッドに対応する基板のリードとをワイヤで接続した後、該パッドから該リードに向かう方向に沿ってパッドとそのパッドに対応するリードが配置されている後の半導体チップの該パッドと該リードの組からワイヤの接続を開始すること、としても好適である。
【0023】
本発明のワイヤボンディング方法において、共通の基板に複数の半導体チップを配置し、各半導体チップの複数のパッドと各パッドに対応する基板の各リードとをそれぞれワイヤで接続する際に、各パッドと各パッドに対応する各リードとを結ぶ線の方向が同様となっている各パッドと各リードの組ごとに順次ワイヤで接続すること、としても好適である。
【0024】
本発明のワイヤボンディング方法において、ワイヤテール延出手段は、ボンディングツールを所定のZ方向距離だけ上昇させ、第2ボンド点から第1ボンドの方向に所定のXY方向距離だけ水平に移動させた後、次の第1ボンド点から次の第2ボンド点に向う直線に沿って所定のXY方向距離だけ水平に移動させること、としても好適である。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、高速ウェッジワイヤボンディングを行うワイヤボンディング装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態におけるワイヤボンディング装置の構成を示す系統図である。示す系統図である。
【図2】本発明の実施形態におけるワイヤボンディング装置のボンディングツールの先端部を示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態におけるワイヤボンディング装置のウィンドクランパとウェッジボンディング後の半導体チップと基板と接続ワイヤとを示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態におけるワイヤボンディング装置の動作を示すフローチャートである。
【図5A】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置のワイヤ折り曲げ動作を示す説明図である。
【図5B】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置のワイヤ折り曲げ動作を示す説明図である。
【図5C】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置のワイヤ折り曲げ動作を示す説明図である。
【図5D】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置による半導体チップのパッドへのウェッジボンディング動作を示す説明図である。
【図5E】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置による半導体チップのパッドへのウェッジボンディング動作を示す説明図である。
【図5F】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置によるボンディングツールの上昇動作を示す説明図である。
【図5G】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置による半導体チップのパッドから基板のリードへのルーピング動作を示す説明図である。
【図5H】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置による半導体チップのパッドから基板のリードへのルーピング動作を示す説明図である。
【図5J】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置による基板のリードへのウェッジボンディング動作を示す説明図である。
【図5K】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置によるワイヤテール延出動作を示す説明図である。
【図5L】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置によるテールカット動作を示す説明図である。
【図5M】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置による次のパッドへの移動動作を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置によるワイヤ折り曲げ動作とワイヤテール延出動作、テールカット動作を示す説明図である。
【図7A】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置によるワイヤ折り曲げ動作を示す説明図である。
【図7B】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置によるワイヤ折り曲げ動作を示す説明図である。
【図8A】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置によるワイヤテール延出動作を示す説明図である。
【図8B】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置によるワイヤテール延出動作を示す説明図である。
【図9A】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置によるテールカット動作を示す説明図である。
【図9B】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置によるテールカット動作を示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置によるワイヤ折り曲げ動作とワイヤテール延出動作、テールカット動作を示す説明図である。
【図11A】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置によるワイヤテール延出動作を示す説明図である。
【図11B】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置によるテールカット動作を示す説明図である。
【図11C】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置のワイヤ折り曲げ動作を示す説明図である。
【図11D】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置のワイヤ折り曲げ動作を示す説明図である。
【図11E】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置のワイヤ折り曲げ動作を示す説明図である。
【図11F】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置による半導体チップのパッドへのウェッジボンディング動作を示す説明図である。
【図11G】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置による半導体チップのパッドへのウェッジボンディング動作を示す説明図である。
【図11H】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置によるボンディングツールの上昇動作を示す説明図である。
【図11J】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置による半導体チップのパッドから基板のリードへのルーピング動作を示す説明図である。
【図11K】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置による半導体チップのパッドから基板のリードへのルーピング動作を示す説明図である。
【図11L】本発明の実施形態のワイヤボンディング装置による基板のリードへのウェッジボンディング動作を示す説明図である。
【図12】本発明の他の実施形態におけるワイヤボンディング装置のボンディングツールの先端部を示す説明図である。
【図13A】本発明の他の実施形態におけるワイヤボンディング装置のボンディングツールの上昇軌跡を示す説明図である。
【図13B】本発明の他の実施形態におけるワイヤボンディング装置のボンディングツールの上昇軌跡を示す説明図である。
【図14A】本発明の他の実施形態におけるワイヤボンディング装置のボンディングツールの軌跡を示す説明図である。
【図14B】本発明の他の実施形態におけるワイヤボンディング装置のボンディングツールの軌跡を示す説明図である。
【図15A】本発明の他の実施形態のワイヤボンディング装置のワイヤ折り曲げ動作を示す説明図である。
【図15B】本発明の他の実施形態のワイヤボンディング装置のワイヤ折り曲げ動作を示す説明図である。
【図16A】本発明の他の実施形態のワイヤボンディング装置のワイヤ折り曲げ動作を示す説明図である。
【図16B】本発明の他の実施形態のワイヤボンディング装置のワイヤ折り曲げ動作を示す説明図である。
【図16C】本発明の他の実施形態のワイヤボンディング装置のワイヤ折り曲げ動作を示す説明図である。
【図17】本発明の他の実施形態におけるワイヤボンディング装置の動作を示すフローチャートである。
【図18A】本発明の他の実施形態のワイヤボンディング装置によるワイヤテール延出動作を示す説明図である。
【図18B】本発明の他の実施形態のワイヤボンディング装置によるワイヤテール延出動作を示す説明図である。
【図18C】本発明の他の実施形態のワイヤボンディング装置によるテールカット動作を示す説明図である。
【図19】本発明の他の実施形態のワイヤボンディング装置によるワイヤテール延出動作を示す説明図である。
【図20】本発明の他の実施形態におけるワイヤボンディング装置の動作を示すフローチャートである。
【図21A】本発明の他の実施形態のワイヤボンディング装置のワイヤ折り曲げ動作を示す説明図である。
【図21B】本発明の他の実施形態のワイヤボンディング装置のワイヤ折り曲げ動作を示す説明図である。
【図21C】本発明の他の実施形態のワイヤボンディング装置のワイヤ折り曲げ動作を示す説明図である。
【図21D】本発明の他の実施形態のワイヤボンディング装置による基板のリードへのウェッジボンディング動作を示す説明図である。
【図21E】本発明の他の実施形態のワイヤボンディング装置による基板のリードへのウェッジボンディング動作を示す説明図である。
【図21F】本発明の他の実施形態のワイヤボンディング装置によるボンディングツールの上昇動作を示す説明図である。
【図21G】本発明の他の実施形態のワイヤボンディング装置による基板のリードから半導体チップのパッドへのルーピング動作を示す説明図である。
【図21H】本発明の他の実施形態のワイヤボンディング装置による基板のリードから半導体チップのパッドへのルーピング動作を示す説明図である。
【図21J】本発明の他の実施形態のワイヤボンディング装置による半導体チップのパッドへのウェッジボンディング動作を示す説明図である。
【図21K】本発明の他の実施形態のワイヤボンディング装置によるワイヤテール延出動作を示す説明図である。
【図21L】本発明の他の実施形態のワイヤボンディング装置によるワイヤテール延出動作を示す説明図である。
【図21M】本発明の他の実施形態のワイヤボンディング装置によるテールカット動作を示す説明図である。
【図21N】本発明の他の実施形態のワイヤボンディング装置による次のリードへの移動動作を示す説明図である。
【図22】本発明の他の実施形態のワイヤボンディング装置によるワイヤ折り曲げ動作とワイヤテール延出動作、テールカット動作を示す説明図である。
【図23】本発明の他の実施形態におけるワイヤボンディング装置のウィンドクランパとウェッジボンディング後の半導体チップと基板と接続ワイヤとを示す説明図である。
【図24】本発明の他の実施形態におけるワイヤボンディング装置のボンディングの順序を示す説明図である。
【図25】本発明の他の実施形態におけるワイヤボンディング装置のボンディングの順序を示す説明図である。
【図26】本発明の他の実施形態におけるワイヤボンディング装置のボンディングの順序を示す説明図である。
【図27】本発明の他の実施形態におけるワイヤボンディング装置のボンディングの順序を示す説明図である。
【図28】本発明の他の実施形態におけるワイヤボンディング装置のボンディングツールの軌跡を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態であるワイヤボンディング装置10について説明する。図1において、信号線は1点鎖線で示す。図1に示すように、ワイヤボンディング装置10はXYテーブル20の上にボンディングヘッド19が設置され、ボンディングヘッド19にはボンディングアーム13が取り付けられている。ボンディングアーム13はZ方向モータによって回転中心の回りに駆動され、その先端に超音波ホーン13bが取り付けられ、超音波ホーン13bの先端がボンディング面である半導体チップ72のパッド面に対して弧状に接離動作するように構成されている。超音波ホーン13bの先端は、半導体チップ72のパッド面又は基板71の表面の近傍では上下方向であるZ方向に移動する。超音波ホーン13bの先端には、ボンディングツール16が取り付けられている。XYテーブル20とボンディングヘッド19は移動機構18を構成し、移動機構18はXYテーブル20によってボンディングヘッド19をボンディング面に沿った面内(XY面内)で自在な位置に移動することができ、これに取り付けられたボンディングアーム13をZ方向モータで駆動させることによって、ボンディングアーム13の先端に取り付けられた超音波ホーン13bの先端及びその先端に取り付けられたボンディングツール16をXYZの方向に自在に移動させることができる。XYテーブル20のボンディングアーム13の先端側には基板71を吸着固定するボンディングステージ14が設けられている。また、ボンディングステージ14の上部には、ボンディングステージ14の表面に基板71を押し付けて固定するためのウィンドクランパ75が設けられている。
【0028】
図2(a)に示すように、ボンディングツール16は先端が平らな円錐体で、中心部に長手方向に設けられた貫通孔16bにアルミ線や金線等で製造されたワイヤ81を挿通させることができる構造となっている。ボンディングツール16の先端の貫通孔16bの周縁はボンディング対象である半導体チップ72のパッドや基板71のリードにワイヤ81を押圧する押圧面16aとなっている。図2(b)に示すように押圧面16aは、中心に貫通孔16bがある円環状の平面である。図2(a)に示すように、貫通孔16bは押圧面16aから略垂直に延びるストレート状の孔であり、押圧面16aと貫通孔16bの内面とのなす角度は略直角となっている。また、貫通孔16bの内面と押圧面16aとの角部16cは貫通孔16bあるいはワイヤ81の直径に比べて非常に小さい半径の曲面となっており、押圧面16aとボンディングツール16の外面との角部16dも同様の曲面となっている。
【0029】
図1に示すように、ワイヤ81はボンディングヘッド19の上に取り付けられたスプール11から供給される。超音波ホーン13bは、超音波振動子15で発生した超音波エネルギをボンディングツール16に供給し、ボンディングツール16に挿通されたワイヤ81をボンディング面である半導体チップ72のパッド面、及び基板71のリードの表面に押し付けてウェッジボンディングにより接合させる機能を有している。
【0030】
ボンディングへッド19にはボンディングツール16に挿通されるワイヤ81を把持、開放するクランパ17が設けられている。クランパ17はボンディングアーム13と連動してXYZ方向に移動する。ワイヤボンディング装置10はクランパ開閉機構27を備えており、クランパ17はクランパ開閉機構27の動作によって開閉駆動されるよう構成されている。
【0031】
図1に示すように、ワイヤボンディング装置10は内部にCPUを持つ制御部30によって各部の位置の検出及び動作制御が行われ、半導体チップ72と基板71との間をワイヤ81によって接続する。XYテーブル20には、ボンディングへッド19のXY方向位置を検出するXY位置検出手段が設けられている。また、ボンディングへッド19にはボンディングアーム13の回転中心の回りの回転角度を検出することによってボンディングツール16先端のZ方向高さを検出するボンディングツール高さ検出器29が設けられている。ボンディングツール高さ検出器29は回転角度を検出するものでなく、ボンディングアーム13先端やボンディングツール16先端の位置を直接検出するようなものであってもよい。また、ボンディングツール高さ検出器29も非接触式であってもよいし、接触式であってもよい。
【0032】
ボンディングへッド19には、半導体チップ72、基板71などの画像を取得する撮像手段であるカメラ28が取り付けられ、カメラ28によって撮像した画像に基づいてボンディングツール16のXY方向の位置決めを行うよう構成されている。カメラ28は画像信号を取得することができるものであれば絞り機構やシャッタ等の無い撮像素子とレンズ等によって構成されるものでもよい。
【0033】
上記のボンディングツール高さ検出器29の検出信号はボンディングツール高さ検出インターフェース42を介してデータバス31から制御部30に入力される。また、XYテーブル20とボンディングヘッド19によって構成される移動機構18、クランパ開閉機構27、超音波振動子15はそれぞれ移動機構インターフェース44、クランパ開閉機構インターフェース41、超音波振動子インターフェース43を介してデータバス31から制御部30に接続され、CPUを含む制御部30からの指令によって各機器が動作するように構成されている。
【0034】
データバス31には記憶部32が接続されている。記憶部32は、制御部30の行う位置検出処理や制御指令出力動作に必要な制御データを保持しており、制御部30からの指令によって制御データを制御部30に出力し、或いは入力された信号データなどを記憶、保持する。制御部30とデータバス31と記憶部32と各インターフェース41〜44とは、一体として構成されたコンピュータ60であり、記憶部32には制御データ38以外にボンディング制御全般をコントロールする制御プログラム37や、ワイヤテール延出手段であるワイヤテール延出プログラム34、テールカット手段であるテールカットプログラム35、ワイヤテール折り曲げ手段であるワイヤテール折り曲げプログラム36が格納されている。また、記憶部32にはボンディングの際のXY面内でのボンディングツール16の移動方向を計算するボンディング方向計算プログラム33が格納されている。
【0035】
図1及び図3に示すように、ボンディングステージ14の表面に基板71を押し付けて固定するためのウィンドクランパ75は、平板状でその中央に四角い開口77が空けられたものである。ウィンドクランパ75の底面の開口77の周縁は基板71の上に押し付けられて基板71を図1に示すボンディングステージ14に固定する。図3に示すように、本実施形態では基板71はリードフレームである。そして、開口77からボンディングツール16の先端が半導体チップ72のパッド73の表面あるいは基板71のリード74の表面に移動してボンディングを行うものである。ウィンドクランパ75の表面の開口77の四隅には円筒形の孔76が設けられている。この孔76の直径はワイヤ81の直径よりも大きくなっている。図5A〜図5Cに示すように、ウィンドクランパ75の上面75aは平面で、孔76の内面76aは円筒面であり、ウィンドクランパ75の上面75aと孔76の内面76aとは段部を構成し、この部分が折り曲げステーション78である。
【0036】
以上のように構成されたワイヤボンディング装置10によって半導体チップ72のパッド73と基板71のリード74とをワイヤで接続する工程について説明する。図3に示すように、本実施形態では、半導体チップ72の上下の各辺に沿って各パッド73が等ピッチで配置され、それに対応する各リード74が半導体チップ72の上下に各パッド73よりも広いピッチで配置され、各パッド73と各リード74と接続する接続ワイヤ84が半導体チップ72の中心から上方向、下方向にそれぞれ斜めに延びて各パッド73とリード74とを接続する場合について説明する。本実施形態では、最初に図3に示す半導体チップ72の右上の第1パッド173と第1リード174とを第1接続ワイヤ184で接続する(第1ボンディング)、次に第1パッド173の左隣にある第2パッド273と第1リード174の左隣のある第2リード274とを第2接続ワイヤ284で接続する(第2ボンディング)。以下同様に図3に示す矢印のように、各パッド73とリード74とを反時計周りに順次接続していく(第nボンディング、nは整数)。そして各パッド73とリード74とを反時計周りに一周回るとボンディングを終了する。
【0037】
まず、制御部30は、記憶部32に格納されている制御プログラム37、ワイヤテール延出プログラム34、テールカットプログラム35、ワイヤテール折り曲げプログラム36、ボンディング方向計算プログラム33と制御データ38を読み出して、内部のメモリにストアする。また、図5Aに示すように、ボンディングツール16は、ウィンドクランパ75の開口77の外側で、孔76よりも外側に位置している。後で図7A、図7Bを参照して説明するが、初期状態ではボンディングツール16の先端の押圧面16aからワイヤテール82が直線状に延出長さDだけ延出し、クランパ17は閉とされている。ワイヤテール82の延出長さDは、ボンディングツール16の円環状の押圧面16aの幅、或いは押圧面16aの外半径r11よりも突出部82aの長さD82だけ長くなっている。そして、制御部30は図4のステップS101に示すように、整数nを1に初期設定する。整数nが1の場合、第1パッド173、第1リード174、第2パッド273、第2リード274は、それぞれ各請求項に記載の先の第1ボンド点、先の第2ボンド点、次の第1ボンド点、次の第2ボンド点となる。
【0038】
図4のステップS102に示すように、制御部30は、ボンディングツール16を折り曲げステーション78に移動する指令を出力する。この指令によって移動機構インターフェース44からの信号がXYテーブル20に出力され、図5Aに示すように、XYテーブル20はボンディングツール16の中心がウィンドクランパ75の孔76の直上に来るようボンディングヘッド19を移動させる。そして、図5Bに示すように、ボンディングツール16が孔76の直上に来たら、制御部30はボンディングツール16の先端の押圧面16aがウィンドクランパ75の上面75aから高さHだけ高い位置まで降下させる指令を出力する。この指令によって移動機構インターフェース44からの信号がボンディングヘッド19に出力され、ボンディングヘッド19の中に取り付けられているZ方向モータが駆動され、ボンディングアーム13が回転してボンディングツール16の先端の押圧面16aがウィンドクランパ75の上面75aから高さHだけ高い位置まで降下する。この高さHはワイヤ81の直径よりも僅かに高い高さとなっている。ボンディングツール16の押圧面16aが高さHまで降下すると、ボンディングツール16の先端から直線状に延出しているワイヤテール82の先端はウィンドクランパ75の孔76の中に入っている。
【0039】
整数nは1に設定されているので、図4のステップS103に示すように、制御部30は最初に接続する第1パッド173と第1リード174を結ぶ第1ボンディングのボンディング方向を計算する。記憶部32の制御データ38の中には、ボンディングを行う半導体チップ72の各パッド73のXY方向の位置のデータと、各リード74のXY方向の位置のデータとが格納されている。制御部30はこの制御データ38から図3に示す第1パッド173のXY方向の位置と、第1リード174のXY方向の位置を読み出し、図6(b)に示すように第1パッド173と第1リード174を結ぶ第1ボンディングの方向を第1の直線91の方向として計算する。
【0040】
図4のステップS104に示すように制御部30は、ワイヤテール折り曲げ動作を行う指令を出力する。この指令によって、移動機構インターフェース44からの信号がXYテーブル20に出力され、図5C、図6(a)に示すように、XYテーブル20はボンディングツール16の中心を第1の直線91の方向に沿って第1リード174の側に水平に移動させる。すると、図7Aに示すように、孔76の中に入っていたワイヤテール82は孔76の内面76aとウィンドクランパ75の上面75aとの角部に引っ掛かり、ボンディングツール16の水平移動に従って横方向に折り曲げられていく。そして、ボンディングツール16の中心が孔76の外側まで移動すると、ワイヤテール82は押圧面16aと上面75aとの間に挟まれるようになる。ボンディングツール16の貫通孔16bは押圧面16aから垂直方向に延びるストレート状の孔であることから、ワイヤテール82は貫通孔16bに挿通されているワイヤ81に対して略直角方向に折り曲げられる。そして、図6(a)、図7Bに示すように、折り曲げられたワイヤテール82の先端は直線91の方向に沿って第1パッド173の側に向いている。初期状態ではボンディングツール16の先端の押圧面16aからワイヤテール82が直線状に延出長さDだけ延出しており、ワイヤテール82の延出長さDは、ボンディングツール16の円環状の押圧面16aの幅、或いは押圧面16aの外半径r11よりも突出部82aの長さD82だけ長くなっている。このため、図7A、図7Bに示すように、押圧面16aに沿った方向に折り曲げられたワイヤテール82の先端は、突出部82aの長さD82だけボンディングツール16の押圧面16aから外側に突出している(ワイヤテール折り曲げ工程)。
【0041】
ワイヤテール82の折り曲げが終わったら、整数nは1に設定されているので、制御部30は、図4のステップS105に示すように、第1パッド173の上に移動する指令を出力する。この指令によって移動機構インターフェース44からの信号がXYテーブル20に出力され、図5Dに示すように、XYテーブル20はボンディングツール16の中心が第1パッド173の直上に来るようボンディングヘッド19を移動させる。
【0042】
ボンディングツール16の中心が第1パッド173の直上に移動したら、制御部30は、図4のステップS106に示すように、第1パッド173の上にボンディングを行う指令を出力する。この指令によって、移動機構インターフェース44からの信号がボンディングヘッド19に出力され、ボンディングヘッド19の中に取り付けられているZ方向モータが駆動され、ボンディングアーム13が回転してボンディングツール16の先端を第1パッド173の上に降下させる。そして、図5Eに示すように、ボンディングツール16の先端から延出し、図6(b)に示す第1の直線91の方向に沿って折り曲げられているワイヤテール82の側面をボンディングツール16の先端の押圧面16aによって第1パッド173の上に押し付けると共に、超音波振動子インターフェース43からの信号によって超音波振動子15を駆動してボンディングツール16を振動させ、ワイヤテール82を第1パッド173の上にウェッジボンディングにより接合する。この接合によって第1パッド173の上面には第1接合部183が形成される。第1接合部183はワイヤテール82の側面をボンディングツール16の平面状の押圧面16aで押しつぶしたもので、図6(b)、図8Aに示すように、薄い楕円板状または円板状となっている。図8Aに示すように、ワイヤテール82の長さはボンディングツール16の円環状の押圧面16aの幅、或いは、押圧面16aの外半径r11よりも突出部82aの長さD82だけ長くなっているので、楕円状または円形状の第1の接合部183の長さは押圧面16aの幅よりも若干長くなり、良好なウェッジボンディングによる接合となる。そして、図6(b)に示すように、第1接合部183の第1リード174と反対側には薄板状にならなかった突出部82aが端部183aとして残る。
【0043】
第1パッド173へのワイヤテール82の接続が終了したら、制御部30は、図4のステップS107に示すようにボンディングツール16を上昇させる指令を出力する。この指令によって、移動機構インターフェース44からの信号がボンディングヘッド19に出力され、ボンディングヘッド19の中に取り付けられているZ方向モータが駆動され、ボンディングアーム13が回転してボンディングツール16の先端を上昇させると共に、移動機構インターフェース44からの信号がXYテーブル20に出力され、XYテーブル20はボンディングツール16の中心を図6(b)に示す第1の直線91に沿った方向に移動させる。また、この指令によってクランパ開閉機構インターフェース41からの信号がクランパ開閉機構27に出力され、クランパ開閉機構27によってクランパ17が開となる。これによって、図5Fに示すように、ボンディングツール16は図6(b)に示す第1の直線91の方向に沿って斜め上方向に向かって上昇する。このように、斜め上方に向って上昇することにより、第1パッド173の上に側面がウェッジボンディングにより接合されたワイヤテール82につながるワイヤ81を急角度に折り曲げることなくスムースにボンディングツール16の先端から延出させることができる。
【0044】
整数nは1に設定されているので、制御部30は所定の高さまでボンディングツール16を上昇させたら図4のステップS108に示すようにボンディングツール16を第1リード174に向ってルーピングする指令を出力する。この指令によって、移動機構インターフェース44からの信号がボンディングヘッド19に出力され、ボンディングヘッド19の中に取り付けられているZ方向モータが駆動され、ボンディングアーム13が回転し、図5Gに示すようにボンディングツール16を所定の距離だけ上方向に上昇させた後、図5Hに示すようにループ形状に沿ってボンディングツール16の先端が移動するように、移動機構インターフェース44からの信号がXYテーブル20及びボンディングヘッド19に出力され、XYテーブル20及びボンディングヘッド19の中に取り付けられているZ方向モータが駆動される。この動作によってボンディングツール16の中心は、第1パッド173から第1リード174に向かって図6(b)に示す第1の直線91に沿って移動していく。
【0045】
そして、ボンディングツール16の中心が第1リード174の直上まで移動したら、制御部30は図4のステップS109に示すように、第1リード174にボンディングを行う指令を出力する。この指令によって、移動機構インターフェース44からの信号がボンディングヘッド19に出力され、ボンディングヘッド19の中に取り付けられているZ方向モータが駆動され、ボンディングアーム13が回転してボンディングツール16の先端を第1リード174の上に降下させる。そして、図5Jに示すように、ボンディングツール16の先端から延出しているワイヤ81の側面をボンディングツール16の先端の押圧面16aによって第1リード174の上に押し付けると共に、超音波振動子インターフェース43からの信号によって超音波振動子15を駆動してボンディングツール16を振動させ、ワイヤ81の側面を第1リード174の上にウェッジボンディングにより接合する。この接合によって第1リード174の上面には第2接合部185が形成される。第2接合部185はルーピングされたワイヤ81の側面を平面状の押圧面16aで押しつぶしたもので、第1接合部183と同様、薄い楕円板状または円板状となっている。このように、第1リード174にワイヤ81をウェッジボンディングにより接合すると、図5Kに示すように、第1パッド173と第1リード174との間は山形のループ状で、図6(b)に示すようにXY平面上では第1の直線91に沿って延びる直線状の第1接続ワイヤ184で接続される。
【0046】
第1リード174へのボンディングが終了すると、制御部30は、図4のステップS110に示すように、次にボンディングするパッド73、リード74があるかどうかを判断する。整数nは1に設定されており、(n+1)は2となり、本実施形態では、第2パッド273と第2リード274を接続する第2ボンディングがあるので、制御部30は、図4のステップS110に示す、第(n+1)ボンディングがあると判断し、図4に示すステップS111に進み、次に接続する第2パッド273と第2リード274を結ぶ第2ボンディングのボンディング方向を計算する。制御部30は制御データ38から図3に示す第2パッド273のXY方向の位置と、第2リード274のXY方向の位置を読み出し、図6(b)に示すように第2パッド273と第2リード274を結ぶ第2ボンディングの方向を第2の直線93の方向として計算する。
【0047】
そして、図4のステップS112に示すように、制御部30は、図6(b)に示す第2の直線93と第1の直線91との角度差θを計算し、この角度差θと所定の角度とを比較する。ここで所定の角度は、次に説明するワイヤテール82を延出させる場合にボンディングツール16や延出させたワイヤテール82が直前にボンディングした接続ワイヤ184に干渉しない程度の角度、例えば、90°程度であってもよいし、延出させるワイヤテール82と第1リード174にボンディングした第2接合部185との間で破断が生じない程度の角度、例えば、30°或いは45°等にしてもよい。
【0048】
図4のステップS112に示すように、角度差θが所定の角度差よりも小さい場合には、制御部30は、整数nが1にセットされているので、図4のステップS113に示すように、第2パッド273と第2リード274とを結ぶ第2ボンディングの方向である第2の直線93の方向と平行な図6(b)に示す第1のワイヤテール引き出し線92の方向に向かってボンディングツール16を斜め上方に向かって移動させる指令を出力する。この指令によって、移動機構インターフェース44からの信号がボンディングヘッド19に出力され、ボンディングヘッド19の中に取り付けられているZ方向モータが駆動され、ボンディングアーム13が回転し、ボンディングツール16を上方向に上昇させると共に、移動機構インターフェース44からの信号がXYテーブル20及びボンディングヘッド19に出力され、XYテーブル20及びボンディングヘッド19の中に取り付けられているZ方向モータが駆動される。この動作によってボンディングツール16の先端は、第1リード174の面から図6(b)に示す第1のワイヤテール引き出し線92の方向に向かって図5Kに示すように斜め上方に移動していく。
【0049】
図8A、図8Bを参照しながら第1リード174からボンディングツール16が斜め上方への移動していく状態についてより詳細に説明する。図8A、図8Bにおいて、一点鎖線は、ボンディングツール16が第1リード174にワイヤ81をウェッジボンディングにより接合した状態を示している。この状態では、図8Aの一点鎖線で示すボンディングツール16の押圧面16aは、ワイヤ81の側面を第1リード174の上に押しつけて楕円形状の薄板の第2接合部185に変形させ、第2接合部185を第1リード174の上にウェッジボンディングにより接合した状態となっている。ワイヤ81は第2接合部185の端部からボンディングツール16の貫通孔16bに向かって略直角に曲がっている。
【0050】
図8Aに示すようにボンディングツール16が斜め上方に向かって上昇すると、図8Bに示すようにボンディングツール16は第2ボンディングの方向の第2の直線93に平行な第1のワイヤテール引き出し線92の方向に移動していく。この方向は第1パッド173と第1リード174とを結ぶ第1ボンディングの方向を示す第1の直線91とは角度θだけずれている。このため、ボンディングツール16が斜め上方に上昇すると、ボンディングツール16の先端から延出されるワイヤテール82は、第2接合部185の端部との境界部分で角度θだけ曲がることとなる。そして、更に図8A、図8Bの実線に示すようにボンディングツール16の先端が斜め上方に移動すると、ボンディングツール16の貫通孔16bと押圧面16aとの角部16cによって延出されたワイヤテール82は横方向に押しつけられ、角部16cによってしごかれ、ボンディングツール16の押圧面16aに対して折れ曲がった形状に形成される。垂直面内での折れ曲がり方向は、押圧面16aに対してボンディングツール16の上昇角度と同様の角度或いは、その角度よりも深い角度で押圧面16aに向かって曲げられる。
【0051】
そして、制御部30は、図4のステップS114に示すように、図1に示すボンディングツール高さ検出器29から取得した図8Aに示すZ方向移動距離H11と図1に示すXYテーブル20のから取得した図8Aに示すXY方向移動距離L11とに基づいて、図8Aに示すようにボンディングツール16の先端の斜め上方向への移動距離、即ちワイヤテール82の延出長さD11を計算し、ワイヤテール82の斜め上方向への延出長さD11が所定の斜め方向移動距離Dとなったかどうかを判断する。ここで、所定の斜め方向移動距離Dは、ボンディングツール16の円環状の押圧面16aの幅あるいは押圧面16aの外半径r11よりも突出部82aの長さD82だけ長いものであればよい。これは、次のボンディングの際に突出部82aの長さD82だけワイヤテール82がボンディングツール16の円環状の押圧面16aの外側に突出し、ボンディングツール16の押圧面16a全面でワイヤテール82をパッド73に押しつけて薄い板状に変形してウェッジボンディングにより接合させることができるようにしてボンディングの強度と接合性を確保するためである(ワイヤテール延出工程)。
【0052】
ここで、ボンディングツール16のZ方向移動距離H11とXY方向移動距離L11との比率は、ボンディングツール16から斜め下方に延出するワイヤテール82の斜め上方向への曲がり角度α即ちボンディングツール16の押圧面16aに対する曲がり角度αを決定する。ワイヤテール82のボンディングツール16の押圧面16aに対する曲がり角度αは、次のボンディングの際にボンディングツール16から斜め下方向に延出したワイヤテール82がボンディングツール16の降下によってスムースに押圧面16aに向かって折れ曲がれるような角度であればよく、例えば、5°〜50°程度でもよいし、10°〜45°程度でもよいし、30°〜45°程度でもよい。例えば、角度αを30°にする場合には、ボンディングツール16のZ方向移動距離H11とXY方向移動距離L11との比率が1:√3となるようにボンディングツール16を斜め上方に上昇させればよいし、45°とする場合には、ボンディングツール16のZ方向移動距離H11とXY方向移動距離L11との比率が1:1となるようにボンディングツール16を斜め上方に上昇させればよい。この角度αとボンディングツール16のZ方向移動距離H11とXY方向移動距離L11との比率は、ボンディングするワイヤ81の直径、材質等によって自由に選択することができる。
【0053】
そして、ワイヤテール82の斜め上方向への延出長さD11が所定の斜め方向移動距離Dとなったら、図4のステップS115に示すように、クランパ17を閉とする指令を出力する。この指令によってクランパ開閉機構インターフェース41からの信号がクランパ開閉機構27に出力され、クランパ開閉機構27によってクランパ17が開となる。そして、図5Lに示すようにボンディングツール16がそのまま斜め上方に移動を続けると、図9A、図9Bに示すようにワイヤテール82は、一番強度が低下している第1リード174と第2接合部185との境界面で切断され、ワイヤテール82は第1リード174から切り離される(テールカット工程)。ワイヤテール82が切断されても、ワイヤテール82はボンディングツール16が斜め上方に向かって移動する際にボンディングツール16の押圧面16aと貫通孔16bとの角部16cによってしごかれ、図8Aに示すワイヤテール82の折れ曲がり部が塑性変形しているので、ボンディングツール16の押圧面16aから斜め下方向への折れ曲がり角度αが保持される。また、ボンディングツール16から延出したワイヤテール82は、XY面内では、第2ボンディング方向である第2の直線93と平行な第1のワイヤテール引き出し線92の方向となっている。
【0054】
制御部30は、ワイヤテール82を切断したら、図4のステップS116に示すように整数nを1だけインクリメントして、図4のステップS105に戻る。この際、整数nは1だけインクリメントされて2となっているので、図5Mに示すように制御部30はボンディングツール16の中心を第2パッド273の直上に移動させる。ボンディングツール16が第2パッド273の直上に来ると、図6(b)に示すように、ボンディングツール16の先端から延出したワイヤテール82は、第2ボンディングの方向である第2パッド273と第2リード274とを結ぶ直線である第2の直線93に向かう方向で第2リード274と反対方向に向いている。
【0055】
制御部30は、図4のステップS106に示すように第2パッド273にボンディングする指令を出力する。先に説明したと同様に、この指令によって、移動機構インターフェース44からの信号がボンディングヘッド19に出力され、ボンディングヘッド19の中に取り付けられているZ方向モータが駆動され、ボンディングアーム13が回転してボンディングツール16の先端を第2パッド273の上に降下させる。そして、ボンディングツール16の先端から延出しているワイヤテール82の側面をボンディングツール16の先端の押圧面16aによって第2パッド273の上に押し付けると共に、超音波振動子インターフェース43からの信号によって超音波振動子15を駆動してボンディングツール16を振動させ、ワイヤテール82の側面を第2パッド273の上にウェッジボンディングにより接合する。図6(b)に示すように、接合された部分は、薄い楕円形状または円形状の第1接合部283となる。ワイヤテール82の長さはボンディングツール16の円環状の押圧面16aの幅よりも少しだけ長くなっているので、押圧面16aより突出した突出部82aは押圧面16aによって押しつぶされず、第1接合部283の第2リード274と反対方向に薄板状にならなかった端部283aとして残る。このように、押圧面16a全体で第2パッド273の上にワイヤテール82の側面を押しつけてウェッジボンディングにより接合するので、接合不良を抑制し良好なウェッジボンディングによる接合とすることができる。
【0056】
制御部30は、第2パッド273にワイヤテール82をボンディングすると、図4に示すステップS106〜S109に示すように、ボンディングツール16を上昇させて、第2リード274に向かってルーピングし、第2リード274にワイヤ81の側面を押しつけて第2接合部285とし、第2パッド273と第2リード274との間を第2の接続ワイヤ284で接続する。そして、制御部30は、図4のステップS110に示すように次の第3ボンディングがあるかどうかを判断し、第3ボンディングがある場合には、図4のステップS112〜S115に示すように、第3ボンディングの方向を計算する。図6(b)に示すように、第3ボンディングの方向と平行な第2のワイヤテール引き出し線94の方向は第2ボンディングの方向である第2の直線93と角度差θをなし、角度差θは所定の角度差よりも小さいので、制御部30は、第3ボンディングの方向に平行な方向である図6(b)に示す第2のワイヤテール引き出し線94の方向に沿ってボンディングツール16を斜め上方に向かって上昇させる。そして、制御部30は、図4のステップS114〜S115に示すように、所定の長さだけワイヤテール82を延出させた後、クランパ17を閉としてワイヤテール82を切断する。そして、図4のステップS116に示すように、再度nを1だけインクリメントして図4のステップS105に戻ってボンディングを続けていく。
【0057】
整数nが5となると、図3に示す第5パッド573、第5リード574、第6パッド673、第6リード674は、それぞれ各請求項に記載の先の第1ボンド点、先の第2ボンド点、次の第1ボンド点、次の第2ボンド点となる。そして、整数nが5となると、図4のステップS105に示すように、制御部30は図3に示す左上の第5パッド573の上に移動する指令を出力し、この指令により、ワイヤボンディング装置10は先に説明したと同様XYテーブル20を駆動してボンディングツール16の中心を第5パッド573の直上になるように移動し、図4のステップS106に示すように、第5パッド573の上にボンディングを行う指令を出力する。この指令により先に説明したように、ワイヤボンディング装置10はボンディングヘッド19の中のZ方向モータを駆動してボンディングツール16の先端を第5パッド573の上に降下させてワイヤテール82の側面を第5パッド573の上にウェッジボンディングにより接合する。第5パッド573へのワイヤテール82の接合が終わったら、制御部30は、図4のステップS108に示すように、第5リード574に向かってボンディングツール16をルーピングさせる指令を出力する。この指令によってワイヤボンディング装置10は先に説明したように、XYテーブル20とボンディングヘッド19の中のZ方向モータを駆動して第5パッドから第5リード574に向かってボンディングツール16をルーピングする。第5パッド573と第5リード574とを結ぶルーピングの方向は、第5ボンディングの方向で、図10(b)に示す第5の直線95の方向である。
【0058】
整数nが5であり、(n+1)は6となることから、制御部30は図4のステップS110に示すように次の第6ボンディングの有無を判断する。本実施形態では、図3に示すように、第6ボンディングは半導体チップ72の左下側の第6パッド673と基板71の左下の第6リード674とを接続するボンディングであることから、制御部30は、図4のステップS111に示す、第(n+1)ボンディングがあると判断し、図4に示すステップS111に進み、制御部30は次に接続する第6パッド673と第6リード674を結ぶ第6ボンディングのボンディング方向を計算する。制御部30は制御データ38から図3に示す第6パッド673のXY方向の位置と、第6リード674のXY方向の位置を読み出し、図10(b)に示すように第6パッド673と第6リード674を結ぶ第6ボンディングの方向を第6の直線96の方向として計算する。
【0059】
そして、図4のステップS112に示すように、制御部30は、図10(b)に示す第6の直線96と第5の直線95との角度差θを計算し、この角度差θと所定の角度とを比較する。角度差θは、先に説明した第1のボンディングのボンディング方向と第2のボンディングのボンディング方向との角度差θと異なり、90°以上で、所定の角度よりも大きく、XY面内でのワイヤテール82の折り曲げ方向が大きくなりすぎる。このため、制御部30は、角度差θは、所定値以上と判断し、図4に示すステップS118に示すように、ボンディングツール16を略垂直に上昇させる指令を出力する。
【0060】
この指令によって、移動機構インターフェース44からの信号がボンディングヘッド19に出力され、ボンディングヘッド19の中に取り付けられているZ方向モータが駆動され、ボンディングアーム13が回転してボンディングツール16の先端を第5リード574の上方に向かって上昇させる。先の説明では、第1リード174へのボンディングの後には斜め上方にボンディングツール16を上昇させることとして説明したが、第5リード574のボンディングの後は、図11Aに示すように、略垂直にボンディングツール16を上昇させる。これは、ボンディングツール16の先端から直線状にワイヤテール82を延出させるためである。そして、所定の高さまでボンディングツール16を上昇させたら、制御部30は図4のステップS119に示すようにクランパ17を閉とする指令を出力する。先に説明したと同様、この指令によってクランパ17が閉となり、図11Bに示すように、ワイヤテール82はボンディングツール16から略直線状に延出した状態で切断される。そして、図4のステップS120に示すように、整数nを1だけインクリメントして図4のステップS102に戻る。
【0061】
制御部30は、図4のステップS102に戻り折り曲げステーション78に移動する指令を出力する。この指令によって先に説明したと同様、図11Cに示すように、XYテーブル20が駆動されボンディングツール16の中心を図3に示すウィンドクランパ75の左下にある孔76の直上に移動させる。そして、ボンディングツール16が孔76の直上に来たら、制御部30はボンディングツール16の先端の押圧面16aがウィンドクランパ75の上面75aから高さHだけ高い位置まで降下させる指令を出力する。この指令によって、先に説明したようにボンディングツール16の先端の押圧面16aがウィンドクランパ75の上面75aから高さHだけ高い位置まで降下する。この高さHはワイヤ81の直径よりも僅かに高い高さとなっている。ボンディングツール16の押圧面16aが高さHまで降下すると、図11Dに示すように、ボンディングツール16の先端から直線状に延出しているワイヤテール82の先端はウィンドクランパ75の孔76の中に入っている。
【0062】
整数nは5から1だけインクリメントされて6となっているので、制御部30は、図4のステップS103に示すように、第6ボンディングのボンディング方向を計算する。制御部30は、制御データ38から図3に示す第6パッド673のXY方向の位置と、第6リード674のXY方向の位置を読み出し、図10(b)に示すように第6パッド673と第6リード674を結ぶ第6ボンディングの方向を第6の直線96の方向として計算する。
【0063】
図4のステップS104に示すように制御部30は、ワイヤテール折り曲げ動作を行う指令を出力する。この指令によって、移動機構インターフェース44からの信号がXYテーブル20に出力され、図11E、図10(a)に示すように、XYテーブル20はボンディングツール16の中心を第6の直線96の方向に沿って第6リード674の側に水平に移動させる。すると、先に図7Aを参照して説明したように、孔76の中に入っていたワイヤテール82は孔76の内面76aとウィンドクランパ75の上面75aとの角部に引っ掛かり、ワイヤテール82は貫通孔16bに挿通されているワイヤ81に対して略直角方向に折り曲げられる。そして、図10(a)に示すように、折り曲げられたワイヤテール82は直線96の方向に沿って第6パッド673の側に向いている。
【0064】
ワイヤテール82の折り曲げが終わったら、整数nは6に設定されているので、制御部30は、図4のステップS105に示すように、第6パッド673の上に移動する指令を出力する。この指令によって移動機構インターフェース44からの信号がXYテーブル20に出力され、図11Fに示すように、XYテーブル20はボンディングツール16の中心が第6パッド673の直上に来るようボンディングヘッド19を移動させる。
【0065】
ボンディングツール16の中心が第6パッド673の直上に移動したら、制御部30は、図4のステップS106に示すように、第6パッド673の上にボンディングを行う指令を出力する。この指令によって、先に説明したと同様、ボンディングツール16の先端を第6パッド673の上に降下させ、図11Gに示すように、ボンディングツール16の先端から延出し、図10(b)に示す第6の直線96の方向に沿って折り曲げられているワイヤテール82の側面をボンディングツール16の先端の押圧面16aによって第6パッド673の上に押し付けると共に、超音波振動子インターフェース43からの信号によって超音波振動子15を駆動してボンディングツール16を振動させ、ワイヤテール82を第6パッド673の上にウェッジボンディングにより接合する。この接合によって第6パッド673の上面には第1接合部683が形成される。第1接合部683はワイヤテール82の側面を平面状の押圧面16aで押しつぶしたもので、薄い楕円板状または円板状となっている。ワイヤテール82の長さは円環状の押圧面16aの幅よりも少し長くなっているので、楕円状または円形状の第1の接合部683の長さは押圧面16aの幅よりも若干長くなり、良好なウェッジボンディングによる接合となる。そして、図10(b)に示すように、第1接合部683の第6リード674と反対側には薄板状にならなかった端部683aが残る。
【0066】
第6パッド673へのワイヤテール82の接合が終了したら、制御部30は、図4のステップS107に示すようにボンディングツール16を上昇させる指令を出力する。この指令によって、先に説明したと同様、ボンディングヘッド19とXYテーブル20とが駆動し、ボンディングツール16の中心は図10(b)に示す第6の直線96に沿った方向に移動する。また、この指令によってクランパ17が開となる。これによって、図11Hに示すように、ボンディングツール16は図10(b)に示す第6の直線96の方向に沿って斜め上方向に向かって上昇する。
【0067】
制御部30は所定の高さまでボンディングツール16を上昇させたら図4のステップS108に示すようにボンディングツール16を第6リード674に向ってルーピングする指令を出力する。この指令によって、先に説明したと同様、図11Jに示すようにクランパ17が開となるとともにボンディングヘッド19が駆動し、ボンディングツール16を所定の距離だけ上方向に上昇させた後、図11Kに示すようにループ形状に沿ってボンディングツール16の先端が移動する。この動作によってボンディングツール16の中心は、第6パッド673から第6リード674に向かって図10(b)に示す第6の直線96に沿って移動していく。
【0068】
そして、ボンディングツール16の中心が第6リード674の直上まで移動したら、制御部30は図4のステップS109に示すように、第6リード674にボンディングを行う指令を出力する。この指令によって、図11Lに示すようにワイヤ81の側面が第6リード674の上にウェッジボンディングにより接合される。この接合によって第6リード674の上面には第2接合部685が形成される。第2接合部685はルーピングされたワイヤ81の側面を平面状の押圧面16aで押しつぶしたもので、第1接合部683と同様、薄い楕円板状または円板状となっている。このように、第6リード674にワイヤ81をウェッジボンディングにより接合すると、図11Lに示すように、第6パッド673と第6リード674との間は山形のループ状で、図10(b)に示すようにXY平面上では直線状の第6接続ワイヤ684で接続される。
【0069】
制御部30は、第6リード674へのボンディングが終了すると、図4のステップS110に示すように次の第7ボンディングがあるかどうかを判断する。本実施形態では、図3、図10(b)に示すように第7パッド773と第7リード774とを接続する第7ボンディングがあるので、制御部30は、図4のステップS112〜S115に示すように、第7ボンディングの方向を計算する。図10(b)に示すように、第6ボンディングの方向の第6の直線96と第7ボンディングの方向である第7の直線98とは角度差θをなし、角度差θは所定の角度差よりも小さいので、制御部30は、図10(b)に示す第7の直線と平行な第6のワイヤテール引き出し線97の方向に沿ってボンディングツール16を斜め上方に向かって上昇させる。そして、制御部30は、図4のステップS114〜S115に示すように、所定の長さだけワイヤテール82を延出させた後、クランパ17を閉としてワイヤテール82を切断する。そして、図4のステップS116に示すように再度nを1だけインクリメントして図4のステップS105に戻ってボンディングを続けていく。
【0070】
そして、図4のステップS110で、制御部30がすべてのパッド73とリード74とのボンディングが終了し、次のボンディングがないと判断した場合、制御部30は、図4のステップS117に示すように、クランパ17を閉としてボンディングツール16を上昇させてワイヤテール82をカットし、ボンディングツール16の中心を初期位置に戻し、ワイヤボンディング装置10を停止するボンディング装置停止動作を行う。
【0071】
以上説明したように、本実施形態では、ボンディングステージ或いはボンディングツールを回転させることなく、ワイヤ81或いはワイヤテール82の側面をパッド73或いはリード74に押しつけてウェッジボンディングにより接合することによって各パッド73と各リード74との間を接続ワイヤ84によって接続することができることから、従来のウェッジツールを用いたボンディング装置よりも高速ウェッジボンディングを行うことができる。また、ボンディングステージやボンディングツールを回転させることが必要なくなるので簡便な装置とすることができる。また、本実施形態では、ボンディングツールの先端を平面状の押圧面16aと押圧面16aに対して垂直に設けられたストレートな貫通孔16bの構成とし、貫通孔16bと押圧面16aとの角部を半径の非常に小さな曲面としたことにより、リード74へのボンディングの後にボンディングツール16を斜めに上昇させる際に、該角部でワイヤテール82に横方向への折り曲げ癖をつけることができる。このため、従来技術のようにボンディングツール16から延出しワイヤテール82を横方向に曲げるために一端上昇させたボンディングツール16の先端をワイヤテール82に触れるまで降下させることが必要なく、ボンディングツール16の動作工程を単純化することができる。これによって、より高速でウェッジボンディングを行うことができる。更に、本実施形態では、先のボンディングの方向と次のボンディングの方向との角度差が大きく、リード74にボンディング後のボンディングツール16の移動ではワイヤテール82を適切な方向に曲げることができない場合には、別途設けた折り曲げステーション78でワイヤテール82を次のボンディングに合わせた方向に折り曲げることができることから、ボンディング方向の変化が大きい場合でも連続してウェッジボンディングを行うことができ、ウェッジボンディングの高速化を図ることができる。
【0072】
以上説明した実施形態では、ボンディングツール16は貫通孔16bのあいた円筒形で、押圧面16aは円環形状として説明したが、ボンディングツール16は円筒形に限らず、例えば四角形等の多角形の断面であってもよいし、楕円形の断面であってもよい。また、貫通孔16bはストレート孔として説明したが、押圧面16a近傍部分がストレート形状であれば、それより上方は例えばテーパ孔或いは段差がある孔となっていてもよい。
【0073】
また、本実施形態では貫通孔16bと押圧面16aとの角部を半径の非常に小さな曲面とすることとして説明したが、この角部はリード74へのボンディング後の斜め上昇の際にワイヤテール82が横方向に折れ曲がる癖をつけることができるものであればよく、例えば、図12に示すように、小さな面取り16eを設けるように構成してもよい。さらに、押圧面16aはボンディングの際にはパッド73或いはリード74の表面と平行でワイヤ81或いはワイヤテール82を薄板状にボンディングすることができるものであればよく、緩い曲面であってもよいし、図12に示すようにボンディングの際にパッド73或いはリード74の面に対してわずかな角度βを持つような平面としてもよい。
【0074】
また、本実施形態では、ワイヤテール折り曲げ動作においてボンディングツール16の押圧面16aとウィンドクランパ75の上面75aとの高さをワイヤ81の直径よりも僅かに高い高さHとすることとして説明したが、高さHは、ボンディングツール16の先端から直線状に延出しているワイヤテール82を横方向に折り曲げられる程度の高さであればよく、例えば、先端の延出しているワイヤテール82の長さの半分程度の高さとして押圧面16aとの角度が30°程度となるように折り曲げられる様にしてもよい。
【0075】
更に、本実施形態では、ワイヤテール延出工程、テールカット工程において、リード74からボンディングツール16を直線状に斜め上方に向かって移動させることとして説明したが、図13Aに示すように直線状ではなく、曲線状に斜め上方に向かったボンディングツール上昇軌跡50に沿って移動させてもよいし、図13Bに示すようにボンディングツールの垂直上昇と水平移動とを繰り返して行い、階段状に斜め上方に向かったボンディングツール上昇軌跡51に沿って移動させるようにしてもよい。曲線状に斜め上方に向かってボンディングツール16を移動させる場合、例えば最初は垂直に上昇した後、次第に角度αが小さくなるように円弧状に移動してもよい。また、階段状にボンディングツール16を移動させる場合には、一段毎のボンディングツール16の垂直上昇量と水平方向の移動量が一定となるようにして一段毎のボンディングツール16の押圧面16aとワイヤテール82と間の角度αは一定に保たれていてもよいし、垂直上昇量と水平方向の移動量が変化するようにしてもよい。また、一段毎のボンディングツール16の垂直上昇量と水平方向の移動量の比率一定となるようにしてもよいし、垂直上昇量と水平方向の移動量の比率が変化するようにしてもよい。
【0076】
以下、図14A、図14Bを参照しながら本発明の他の実施形態について説明する。図1から図11Lを参照して説明した実施形態と同様の部分については同様の符号を付して説明を省略する。
【0077】
先に説明した各実施形態では、ワイヤテール延出工程によってリード74からボンディングツール16を直線状に斜め上方に向かって移動させ、ボンディングツール16から斜め下方に向ってワイヤテール82を所定の長さだけ延出させ、テールカット工程によってワイヤテール82を切断した後、次のボンディングを行うこととして説明したが、ボンディングツール16の押圧面16aに対するワイヤテール82の曲がり角度αが大きい場合、例えば、角度αが45°以上の場合には、次のパッド73にボンディングを行う際にワイヤテール82の側面ではなく切断面が次のパッド73の表面に当たってしまうのでワイヤテール82の側面を次のパッド73に押し付けられず、良好なウェッジボンディングを行うことができない場合がある。
【0078】
そこで、本実施形態は、図14Aに示すように、ワイヤテール延出工程、テールカット工程を終了した後、ボンディングツール16の先端をリード74の表面に軽く押し付けてボンディングツール16の先端から角度αで斜め下方向に延びているワイヤテール82をボンディングツール16の押圧面16aの沿った方向とするものである。なお、本実施形態では、XY面内(水平面内)でのボンディングツール16の先端の移動方向は、先に図1から図11Lを参照して説明した実施形態と同様である。
【0079】
図14Aに示すように、ボンディングツール16をリード74の上の点pに押し付けてボンディングを行った後、ボンディングツール16の先端を図14Aに示す移動軌跡52に沿って点qまで斜め上方に向って上昇させてボンディングツール16から斜め下方に角度αでワイヤテール82を所定の長さだけ延出させた状態でワイヤテール82を切断する。その後、図14の移動軌跡53に示すようにボンディングツール16の先端を点qから点rに向って降下させる。そして、ボンディングツール16の先端をリード74の上に軽く押し付けてワイヤテール82の曲がり角度αを略ゼロにし、ワイヤテール82がボンディングツール16の押圧面16aに沿った方向となるようにする。その後、ボンディングツール16の先端を点rから点qまで移動軌跡54に示すように上昇させ、その後移動軌跡55に示すように、次のパッド73に移動する。
【0080】
本実施形態では、ボンディングツール16の押圧面16aに沿った方向にワイヤテール82が折れ曲がった状態で次のパッド73の上に移動し、次のパッド73にボンディング
行うことができるので、次のパッド73へのボンディングを行う際にワイヤテール82の側面を確実にパッド73の上に押し付けることができ、良好なウェッジボンディングを行うことができる。
【0081】
また、テールカット工程を終了した際のワイヤテール82のボンディングツール16の押圧面16aに対する折れ曲がり角度αが更に大きい場合、例えば、角度αが80°以上の場合には、図14Bに示すように、移動軌跡56に示すように点qから点sに向って斜め下方向に向ってボンディングツール16の先端をリード74の上まで移動させてボンディングツール16の先端を軽くリード74の上に押し付けた後、移動軌跡57に示すように点sから点tまでボンディングツール16の先端を上昇させ、移動軌跡58に示すように次のパッド73に移動するようにしてもよい。このように斜め下方向に向ってボンディングツール16の先端を移動させることによって、ワイヤテール82をより確実にボンディングツール16の押圧面16aに沿った方向に折り曲げてから次のパッド73の上に移動することができるので、次のパッド73へのボンディングを行う際にワイヤテール82の側面をより確実にパッド73の上に押し付けることができ、より良好なウェッジボンディングを行うことができる。なお、本実施形態でも、XY面内(水平面内)でのボンディングツール16の先端の移動方向は、先に図1から図11Lを参照して説明した実施形態と同様である。
【0082】
以下、図15A、図15Bを参照しながら本発明の他の実施形態について説明する。図1から図11Lを参照して説明した実施形態と同様の部分については同様の符号を付して説明を省略する。
【0083】
図15A、図15Bに示す実施形態は、折り曲げステーション78をウィンドクランパ75の表面に突出した突起79としたものである。図15Aに示すように、突起79は、孔76と同様の位置に配置されている。個数は、孔76と同様ウィンドクランパ75の開口77の四隅の外側にそれぞれ1つずつ、合計4つとしてもよいし、1つでもよいし、もっと数が多くてもよい。突起79の形状は、円筒形でもよいし、多角形でもよい。突起79は、略垂直な側面79bと、略水平な上面79aとを備えており、上面79aと側面79bとは段部を形成している。
【0084】
図15Aに示すように、制御部30は、XYテーブルを駆動してボンディングツール16の先端から直線状に延出したワイヤテール82が突起79の側面79bの近傍の位置にボンディングツール16を移動する。そして、制御部30は、ボンディングヘッド19の中のZ方向モータを駆動して、ボンディングツール16の先端の押圧面16aと突起79の上面79aとの隙間が高さHとなる様な高さにボンディングツール16の高さを調節する。高さHは、ワイヤ81の直径よりも僅かに高い高さである。
【0085】
そして、制御部30は、図15Bに示す様に、ボンディングツール16を水平に移動させ、ボンディングツール16の先端から延出しているワイヤテール82を折り曲げる。ワイヤテール82の折り曲げ方向等は先に図1から図11Lを参照して説明した実施形態と同様である。
【0086】
本実施形態は先に説明した実施形態と同様の効果を奏する上、ワイヤテール82を折り曲げるために一端孔76の中にワイヤテール82が入るようにボンディングツール16を降下させる必要がないことから、より高速にボンディングを行うことができるという効果を奏する。
【0087】
以下、図16A〜図16Cを参照しながら本発明の他の実施形態について説明する。図1から図11Lを参照して説明した実施形態と同様の部分については同様の符号を付して説明を省略する。
【0088】
図16Aに示すように、本実施形態は、折り曲げステーション78をウィンドクランパ75の周囲に設けられた段部としたものである。図16Aに示すように、ウィンドクランパ75はその周囲に上面75aよりも低くなった周辺部75cを備えている。この周辺部75cと上面75aとの間は略垂直な周面75bによって接続されている。従って、上面75aと周面75bとの段部を形成する。周辺部75cはウィンドクランパ75の全周に設けられていてもよいし、一部に設けられていてもよい。また、周面75bは、例えば四隅に設けられた中心角が90°の円筒面であってもよいし、四隅に設けられた中心角が45°の面取り等であってもよい。
【0089】
図16Aに示すように、制御部30は、XYテーブルを駆動してボンディングツール16の先端から直線状に延出したワイヤテール82が周面75bの近傍の位置となるようにボンディングツール16の位置を移動する。そして、制御部30は、図16Bに示すように、ボンディングヘッド19の中のZ方向モータを駆動して、ボンディングツール16の先端の押圧面16aとウィンドクランパ75の上面75aとの隙間が高さHとなる様な高さにボンディングツール16の高さを調節する。高さHは、ワイヤ81の直径よりも僅かに高い高さである。
【0090】
そして、制御部30は、図16Cに示すように、ボンディングツール16を水平に移動させ、ボンディングツール16の先端から延出しているワイヤテール82を折り曲げる。ワイヤテール82の折り曲げ方向等は先に図1から図11Lを参照して説明した実施形態と同様である。
【0091】
本実施形態は先に図15A、図15Bを参照して説明した実施形態と同様の効果を奏する。
【0092】
次に図17、図18Aから図18C、図19を参照して本発明の他の実施形態について説明する。図1から図11Lを参照して説明した実施形態と同様の部分については同様の符号を付して説明を省略する。図1から図11Lを参照して説明した実施形態では、ワイヤテール延出工程、テールカット工程の際にはボンディングツール16を斜め上方に移動させることとして説明したが、本実施形態は、ボンディングツール16を垂直に上昇させた後、XY面内で水平方向に移動させてワイヤテール82を延出し、その後更にボンディングツール16をXY面内で水平方向に移動させてテールカットを行うものである。本実施形態において、図17のステップS201からステップS205に示す始動から第1パッド173の上へのボンディングまで工程は、図4のステップS101からステップS105及び図5Aから図5Eを参照して先に説明した実施形態と同様であり、図17のステップS206からステップS207に示す第1リード174へのルーピング及び第1リード174へのボンディングの工程は、図4のステップS106からステップS109、図5Fから図5Jを参照して先に説明した実施形態と同様である。また、図17のステップS208からステップS210に示す第2ボンディングの方向を計算する工程は、図4のステップS110からステップS112、図6(a)、図6(b)を参照して先に説明した実施形態と同様である。
【0093】
制御部30は、角度差θが所定の角度差よりも小さい場合には、図17のステップS211に示すように、ボンディングツール16を垂直に上昇させる指令を出力する。この指令によって、移動機構インターフェース44からの信号がボンディングヘッド19に出力され、ボンディングヘッド19の中に取り付けられているZ方向モータが駆動され、ボンディングアーム13が回転し、図18Aに示すように、ボンディングツール16を上方向に上昇させる。制御部30は、図17のステップS212に示すように、図1に示すボンディングツール高さ検出器29から取得した図19に示すZ方向移動距離H11と所定のZ方向距離Hとを比較し、ボンディングツール16を所定のZ方向距離Hとなるまで垂直に上昇させる。そして、図19の一点鎖線で示した状態から破線で示す状態まで上向きの太矢印のようにボンディングツール16の高さが所定のZ方向距離Hだけ垂直に上昇したら、制御部30は、ボンディングツール16の上昇を停止し、図17に示すステップS213に進む。
【0094】
整数nが1にセットされているので、制御部30は、図17のステップS213に示すように、第2パッド273と第2リード274とを結ぶ第2ボンディングの方向である第2の直線93の方向と平行な図6(b)に示す第1のワイヤテール引き出し線92の方向に向かってボンディングツール16をXY面内で水平に移動させる指令を出力する。この指令によって、図1に示す移動機構インターフェース44からの信号がXYテーブル20に出力され、XYテーブル20駆動される。この動作によってボンディングツール16の先端は、第1リード174の面から図6(b)に示す第1のワイヤテール引き出し線92の方向に向かって図18Bに示すようにXY面内で水平に移動していく。ボンディングツール16の先端がXY面内で水平方向に移動すると、ボンディングツール16の貫通孔16bと押圧面16aとの角部16cによって延出されたワイヤテール82は横方向に押しつけられて折れ曲がった形状に形成されていく。
【0095】
制御部30は、図1に示すXYテーブル20から取得したXY方向移動距離L11と所定のXY方向距離Lとを比較し、ボンディングツール16を所定のXY方向距離Lとなるまで図6(b)に示す第1のワイヤテール引き出し線92の方向に向かって水平に移動させる。そして、図19の破線で示した状態から実線で示す状態まで横向きの太矢印のようにボンディングツール16が水平移動し、ボンディングツール16のXY方向移動距離L11が所定のXY方向距離Lとなったら、制御部30は、ボンディングツール16の水平移動を停止する。
【0096】
図19に示すように、ボンディングツール16の垂直上昇とXY面内の水平移動とが終了すると、図19に示すように、ボンディングツール16の先端は第2接合部185の端部からZ方向に距離H、XY方向に距離Lだけ移動した位置となっている。ボンディングツール16の先端からはワイヤテール82が斜め下方向に向かって長さDだけ延出されている。ワイヤテール82のボンディングツール16の押圧面16aに対する角度は角度αとなっている(ワイヤテール延出工程)。
【0097】
ここで、ワイヤテール82の延出長さDとボンディングツール16の押圧面16aに対する角度αは、ボンディングツール16の先端の移動したZ方向距離H、XY方向距離Lの大きさによって決まってくる。即ち、ワイヤテール82の延出長さD=√(H+L)であり、角度α=tan−1(H/L)である。先に説明した実施形態と同様、ワイヤテール82の延出長さDは、次のボンディングの際にボンディングツール16の円環状の押圧面16a全面でワイヤテール82をパッド73に押しつけて薄い板状に変形してウェッジボンディングにより接合させることができるようにボンディングツール16の円環状の押圧面16aの幅あるいは押圧面16aの外半径r11よりも突出部82aの長さD82だけ長くすることが必要である。
【0098】
また、ワイヤテール82のボンディングツール16の押圧面16aに対する曲がり角度αは、次のボンディングの際にボンディングツール16から斜め下方向に延出したワイヤテール82がボンディングツール16の降下によってスムースに押圧面16aに向かって折れ曲がれるような角度とすることが必要で、例えば、5°〜50°程度でもよいし、10°〜45°程度でもよいし、30°〜45°程度の角度となっていることが好ましい。この角度αは、ボンディングするワイヤ81の直径、材質等によって自由に選択することができる。
【0099】
このため、制御部30は、ボンディングするワイヤ81の直径、材質等によって自由に選択されたワイヤテール82のボンディングツール16の押圧面16aに対する曲がり角度αに応じて、ボンディングツール16の先端の移動するZ方向距離H、XY方向距離Lをそれぞれ、H=D×sin(α)、L=D×cos(α)によって設定し、図17に示すステップS211からステップS214の動作を行う。
【0100】
制御部30は、ボンディングツール16の先端を第2接合部185の端部からZ方向に距離H、XY方向に距離Lだけ移動させ、ワイヤテール82の延出長さが長さDとなったら、図17のステップS215に示すように、クランパ17を閉とする指令を出力する。この指令によってクランパ開閉機構インターフェース41からの信号がクランパ開閉機構27に出力され、クランパ開閉機構27によってクランパ17が閉となる。そして、図18Cに示すようにボンディングツール16がそのままXY面内で水平に移動を続けると、ワイヤテール82は、一番強度が低下している第1リード174と第2接合部185との境界面で切断され、ワイヤテール82は第1リード174から切り離される(テールカット工程)。ワイヤテール82が切断されても、図19に示すワイヤテール82の折れ曲がり部82cは塑性変形しているで、ボンディングツール16の押圧面16aから斜め下方向への折れ曲がり角度αが保持される。また、ボンディングツール16から延出したワイヤテール82は、図6(b)に示すように、XY面内では、第2ボンディング方向である第2の直線93と平行な、第1のワイヤテール引き出し線92の方向となっている。
【0101】
制御部30は、ワイヤテール82を切断したら、図17のステップS216に示すように整数nを1だけインクリメントして図17のステップS205に戻り、先に説明した実施形態と同様に第2ボンディング以降のボンディング動作を続けていく。
【0102】
以上説明した実施形態は、図1から図11Lを参照して説明した実施形態と同様の効果を奏する。また、本実施形態は、ボンディングツール16をZ方向に上昇させた後、XY面内で水平に移動させることとしているので、ボンディングツール16の動作が単純化され、ワイヤボンディング装置10のZ方向、XY方向の移動機構18の構成を簡便にすることができる。
【0103】
図20から図22を参照しながら本発明の他の実施形態について説明する。図1から図11Lを参照して説明した実施形態は、半導体チップ72のパッド73からリードフレームである基板71のリード74に向かってボンディングを行う場合について説明したが、本実施形態は、逆に基板71のリード74から半導体チップ72のパッド73に向かってボンディングを行うもので、いわゆる逆ボンディングを行ものである。本実施形態では、最初に図3に示す半導体チップ72の右上の第1リード174と第1パッド173とを第1接続ワイヤ184で接続する(第1ボンディング)、次に第1リード174の左隣にある第2リード274と第1パッド173の左隣のある第2パッド273とを第2接続ワイヤ284で接続する(第2ボンディング)。以下同様に図3に示す矢印のように、各リード74とパッド73とを反時計周りに順次接続していく(第nボンディング、nは整数)。そして各リード74とパッド73とを反時計周りに一周回るとボンディングを終了する。
【0104】
先に図1から図11Lを参照して説明した実施形態と同様に、制御部30は、記憶部32に格納されている制御プログラム37、ワイヤテール延出プログラム34、テールカットプログラム35、ワイヤテール折り曲げプログラム36、ボンディング方向計算プログラム33と制御データ38を読み出して、内部のメモリにストアする。先に説明した実施形態と同様、図21Aに示すように初期状態ではボンディングツール16の先端の押圧面16aからワイヤテール82が直線状に延出長さDだけ延出し、クランパ17は閉とされている。ワイヤテール82の延出長さDは、ボンディングツール16の円環状の押圧面16aの幅、或いは押圧面16aの外半径r11よりも突出部82aの長さD82だけ長くなっている。そして、制御部30は図20のステップS301に示すように、整数nを1に初期設定する。整数nが1の場合、第1リード174、第1パッド173、第2リード174、第2パッド273は、それぞれ各請求項に記載の先の第1ボンド点、先の第2ボンド点、次の第1ボンド点、次の第2ボンド点となる。
【0105】
図20のステップS302に示すように、制御部30は、ボンディングツール16を折り曲げステーション78に移動させる。そして、図21Bに示すように、ボンディングツール16が孔76の直上に来たら、制御部30はボンディングツール16の先端の押圧面16aがウィンドクランパ75の上面75aから高さHだけ高い位置まで降下させる。この高さHはワイヤ81の直径よりも僅かに高い高さとなっている。ボンディングツール16の押圧面16aが高さHまで降下すると、ボンディングツール16の先端から直線状に延出しているワイヤテール82の先端はウィンドクランパ75の孔76の中に入っている。
【0106】
整数nは1に設定されているので、図20のステップS303に示すように、制御部30は最初に接続する第1リード174と第1パッド173を結ぶ第1ボンディングのボンディング方向を計算する。制御部30は制御データ38から図3に示す第1リード174のXY方向の位置と、第1パッド173のXY方向の位置を読み出し、図22(b)に示すように第1リード174と第1パッド173を結ぶ第1ボンディングの方向を第1の直線91の方向として計算する。
【0107】
図20のステップS304に示すように制御部30は、図21C、図22(a)に示すように、ボンディングツール16の中心を第1の直線91の方向に沿って第1リード174から第1パッド173の側に水平に移動させ、孔76の中に入っていたワイヤテール82を孔76の内面76aとウィンドクランパ75の上面75aとの角部に引っ掛けて横方向に折り曲げる。そして、図22(a)に示すように、折り曲げられたワイヤテール82の先端は直線91の方向に沿って第1リード174の側に向いている。初期状態ではボンディングツール16の先端の押圧面16aからワイヤテール82が直線状に延出長さDだけ延出しており、ワイヤテール82の延出長さDは、ボンディングツール16の円環状の押圧面16aの幅、或いは押圧面16aの外半径r11よりも突出部82aの長さD82だけ長くなっている。このため、図22(a)に示すように、押圧面16aに沿った方向に折り曲げられたワイヤテール82の先端は、突出部82aの長さD82だけボンディングツール16の押圧面16aから外側に突出している。
【0108】
ワイヤテール82の折り曲げが終わったら、整数nは1に設定されているので、制御部30は、図20のステップS305、図21Dに示すように、ボンディングツール16の中心を第1リード174の直上まで移動させ、ボンディングツール16の先端を第1リード174の上に降下させて、図21Eに示すようにボンディングツール16の先端から延出し、図22(b)に示す第1の直線91の方向に沿って折り曲げられているワイヤテール82の側面をボンディングツール16の先端の押圧面16aによって第1リード174の上に押し付けると共に、超音波振動子15を駆動してボンディングツール16を振動させ、ワイヤテール82を第1リード174の上にウェッジボンディングにより接合する。この接合によって第1リード174の上面には第1接合部183が形成される。第1接合部183はワイヤテール82の側面を平面状の押圧面16aで押しつぶしたもので、図22(b)、図21Eに示すように、薄い楕円板状または円板状となっている。先に図8Aを参照して説明した実施形態と同様、ワイヤテール82の長さはボンディングツール16の円環状の押圧面16aの幅、或いは、押圧面16aの外半径r11よりも突出部82aの長さD82だけ長くなっているので、楕円状または円形状の第1の接合部183の長さは押圧面16aの幅よりも若干長くなり、良好なウェッジボンディングによる接合となる。そして、図21E、図22(b)に示すように、第1接合部183の第1パッド173と反対側には薄板状にならなかった突出部82aが端部183aとして残る。
【0109】
第1リード174へのワイヤテール82の接続が終了したら、制御部30は、図20のステップS306に示すようにボンディングツール16の中心を図22(b)に示す第1の直線91に沿った方向に移動させると共に、クランパ17を開とする。これによって、図21Fに示すように、ボンディングツール16は図22(b)に示す第1の直線91の方向に沿って斜め上方向に向かって上昇する。そして、制御部30は図21Gに示すように、ボンディングツール16を垂直に上昇させた後、図21Hに示すように、ボンディングツール16を第1パッド173に向ってルーピングさせる。
【0110】
そして、ボンディングツール16の中心が第1パッド173の直上まで移動したら、制御部30は図20のステップS307、図21Jに示すように、ボンディングツール16の先端から延出しているワイヤ81の側面をボンディングツール16の先端の押圧面16aによって第1パッド173の上に押し付けると共に、超音波振動子15を駆動してボンディングツール16を振動させ、ワイヤ81の側面を第1パッド173の上にウェッジボンディングにより接合する。この接合によって第1パッド173の上面には第2接合部185が形成される。第2接合部185はルーピングされたワイヤ81の側面を平面状の押圧面16aで押しつぶしたもので、第1接合部183と同様、薄い楕円板状または円板状となっている。このように、第1パッド173にワイヤ81をウェッジボンディングにより接合すると、図21Kに示すように、第1リード174と第1パッド173との間は山形のループ状で、図22(b)に示すようにXY平面上では第1の直線91に沿って延びる直線状の第1接続ワイヤ184で接続される。
【0111】
第1パッド173へのボンディングが終了すると、制御部30は、図20のステップS308に示すように、次にボンディングするパッド73、リード74があるかどうかを判断する。整数nは1に設定されており、(n+1)は2となり、本実施形態では、第2リード274と第2パッド273を接続する第2ボンディングがあるので、制御部30は、図20のステップS308に示す、第(n+1)ボンディングがあると判断し、図20に示すステップS309に進み、次に接続する第2リード274と第2パッド273を結ぶ第2ボンディングのボンディング方向を計算する。制御部30は制御データ38から図3に示す第2リード274のXY方向の位置と、第2パッド273のXY方向の位置を読み出し、図22(b)に示すように第2リード274と第2パッド273を結ぶ第2ボンディングの方向を第2の直線93の方向として計算する。
【0112】
そして、図20のステップS310に示すように、制御部30は、図22(b)に示す第2の直線93と第1の直線91との角度差θを計算し、この角度差θと所定の角度とを比較する。ここで所定の角度は、次に説明するワイヤテール82を延出させる場合にボンディングツール16や延出させたワイヤテール82が直前にボンディングした接続ワイヤ184に干渉しない程度の角度、例えば、90°程度であってもよいし、延出させるワイヤテール82と第1パッド173にボンディングした第2接合部185との間で破断が生じない程度の角度、例えば、30°或いは45°等にしてもよい。
【0113】
制御部30は、角度差θが所定の角度差よりも小さい場合には、図20のステップS311に示すように、ボンディングツール16を垂直に上昇させる指令を出力する。この指令によって、移動機構インターフェース44からの信号がボンディングヘッド19に出力され、ボンディングヘッド19の中に取り付けられているZ方向モータが駆動され、ボンディングアーム13が回転し、図21Kに示すように、ボンディングツール16を上方向に上昇させる。制御部30は、先に図19を参照して説明した実施形態と同様、図20のステップS312に示すように、図1に示すボンディングツール高さ検出器29から取得したZ方向移動距離H11と所定のZ方向距離Hとを比較し、ボンディングツール16を所定のZ方向距離Hとなるまで垂直に上昇させる。そして、ボンディングツール16の高さが所定のZ方向距離Hだけ垂直に上昇したら、制御部30は、ボンディングツール16の上昇を停止し、図20に示すステップS313に進む。
【0114】
整数nが1にセットされているので、制御部30は、図20のステップS313に示すように、第2リード274と第2パッド273とを結ぶ第2ボンディングの方向である第2の直線93の方向と平行な図22(b)に示す第1のワイヤテール引き出し線92の方向に向かってボンディングツール16をXY面内で水平に移動させる指令を出力する。この指令によって、図1に示す移動機構インターフェース44からの信号がXYテーブル20に出力され、XYテーブル20駆動される。この動作によってボンディングツール16の先端は、第1パッド173の面から図22(b)に示す第1のワイヤテール引き出し線92の方向に向かって図21Lに示すようにXY面内で水平に移動していく。ボンディングツール16の先端がXY面内で水平方向に移動すると、ボンディングツール16の貫通孔16bと押圧面16aとの角部16cによって延出されたワイヤテール82は横方向に押しつけられて折れ曲がった形状に形成されていく。
【0115】
制御部30は、図19を参照して説明した実施形態と同様、図1に示すXYテーブル20から取得したXY方向移動距離L11と所定のXY方向距離Lとを比較し、ボンディングツール16を所定のXY方向距離Lとなるまで図22(b)に示す第1のワイヤテール引き出し線92の方向に向かって水平に移動させる。そして、ボンディングツール16が水平移動し、ボンディングツール16のXY方向移動距離L11が所定のXY方向距離Lとなったら、制御部30は、ボンディングツール16の水平移動を停止する。
【0116】
図19を参照して説明した実施形態と同様、ボンディングツール16の垂直上昇とXY面内の水平移動とが終了すると、ボンディングツール16の先端は第1パッド173の上の第2接合部185の端部からZ方向に距離H、XY方向に距離Lだけ移動した位置となっている。ボンディングツール16の先端からはワイヤテール82が斜め下方向に向かって長さDだけ延出されている。ワイヤテール82のボンディングツール16の押圧面16aに対する角度は角度αとなっている(ワイヤテール延出工程)。
【0117】
先に図19を参照して説明した実施形態と同様、制御部30は、ボンディングするワイヤ81の直径、材質等によって自由に選択されたワイヤテール82のボンディングツール16の押圧面16aに対する曲がり角度αに応じて、ボンディングツール16の先端の移動したZ方向距離H、XY方向距離Lをそれぞれ、H=D×sin(α)、L=D×cos(α)によって設定し、図20に示すステップS311からステップS314の動作を行う。
【0118】
制御部30は、ボンディングツール16の先端を第2接合部185の端部からZ方向に距離H、XY方向に距離Lだけ移動させ、ワイヤテール82の延出長さが長さDとなったら、図20のステップS315に示すように、クランパ17を閉とする。そして、図21Mに示すようにボンディングツール16がそのままXY面内で水平に移動を続けると、ワイヤテール82は、一番強度が低下している第1パッド173と第2接合部185との境界面で切断され、ワイヤテール82は第1パッド173から切り離される(テールカット工程)。ワイヤテール82が切断されると、第1パッド173の上には第2接合部185が残るが、第1リード174へのボンディングの際と異なり、薄板状にならなかった端部183aは残らない。
【0119】
ワイヤテール82が切断されても、図19を参照して説明した実施形態と同様、ワイヤテール82の折れ曲がり部82cが塑性変形しているで、ボンディングツール16の押圧面16aから斜め下方向への折れ曲がり角度αが保持される。また、ボンディングツール16から延出したワイヤテール82は、XY面内では、第2ボンディング方向である第2の直線93と平行な、第1のワイヤテール引き出し線92の方向となっている。
【0120】
制御部30は、ワイヤテール82を切断したら、図20のステップS316に示すように整数nを1だけインクリメントし、図20のステップS305に戻り、図21Nに示すように、ボンディングツール16の先端を第2リード274の上に移動させ、先に説明した実施形態と同様に第2ボンディング以降のボンディング動作を続けていく。また、図20のステップS310において第nボンディングの方向と第(n+1)ボンディングの方向の角度差が所定の角度以上の場合には、図20のステップS318に示すようにボンディングツール16を上昇させ、図20のステップS319に示すようにクランパ17を閉としてワイヤテール82を切断した後、図20のステップS320に示すように整数nを1だけインクリメントして図20のステップS302に戻り、折り曲げステーション78に移動してワイヤテール82の折り曲げを行う。そして、図20のステップS308で、制御部30がすべてのパッド73とリード74とのボンディングが終了し、次のボンディングがないと判断した場合、制御部30は、図20のステップS317に示すように、クランパ17を閉としてボンディングツール16を上昇させてワイヤテール82をカットし、ボンディングツール16の中心を初期位置に戻し、ワイヤボンディング装置10を停止するボンディング装置停止動作を行う。
【0121】
以上説明した本実施形態は、先に図17から図19を参照して説明した実施形形態と同様の効果の他、基板71のリード74から半導体チップ72のパッド73に向かってボンディングを行っているので、パッド73の上に第2接合部85から突出する端部が残らず、パット73が狭い間隔で配置されているファンピッチの場合でも、ボンディングによる接続ワイヤ同士が接触することを効果的に抑制することができるので、ボンディング品質を向上させることができる。
【0122】
図23を参照して本発明の他の実施形態について説明する。先に説明した各実施形態は、図3に示すように、半導体チップ72の上下の各辺に沿って各パッド73が等ピッチで配置され、それに対応する各リード74が半導体チップ72の上下に各パッド73よりも広いピッチで配置され、各パッド73と各リード74と接続する接続ワイヤ84が半導体チップ72の中心から上方向、下方向にそれぞれ斜めに延びて各パッド73とリード74とを接続する場合に本発明を適用する場合について説明したものであるが、本発明は、図23に示すように、半導体チップ72のパッド73のピッチと基板71のリード74のピッチとが等しく、各接続ワイヤ84は全て平行に延びて各パッド73とリード74とを接続する場合にも適用することができる。図23のように各パッド73と各リード74とが配置されている場合は、第1ボンディングの方向と第2ボンディングの方向とが同一方向であり、図6(b)、図22(b)に示す角度差θ、角度差θ及び図10(b)に示す角度差θ、角度差θがいずれもゼロであり、図10(b)に示す角度差θが180°である場合に相当する。
【0123】
そして、角度差θ,θ,θ,θがいずれもゼロであることから、制御部30は図4に示すステップS112、図17に示すステップS210、図20に示すステップS310において各角度差θ,θはいずれも所定値よりも小さいと判断し、図23の上側の各パッド73と各リード74との次のボンディングに進み、図23の上側の各パッド73と各リード74とを接続ワイヤ84で接続した後、角度差θが180°であることから制御部30は図4に示すステップS112、図17に示すステップS210、図20に示すステップS310において角度差θが所定値以上と判断して折り曲げステーションに移動してワイヤテール82の折り曲げを行った後、図23の下側の各パッド73とリード74とのボンディングを行っていく。
【0124】
以上説明したように、本発明は、各パッド73とリード74とがいろいろな態様で配置されている場合にも適用することができる。
【0125】
以下、図24、図25を参照しながら、本発明の他の実施形態について説明する。図24は、一つのウィンドクランパ75の開口の中の基板71の表面に複数、本実施形態では3つの半導体チップ1072,2072,3072を配置し、第一の半導体チップ1072の複数のパッド1073と各パッド1073に対応する基板71の各リード1074とをワイヤ1084で接続し、第二の半導体チップ2072の複数のパッド2073と各パッド2073に対応する基板71の各リード2074との間をワイヤ2084で接続し、第三の半導体チップ3072の複数のパッド3073と各パッド3073に対応する基板71の各リード3074との間をワイヤ3084で接続し、一つの基板71の上に複数の半導体チップ1072,2072,3072を実装したものである。
【0126】
本実施形態の場合、最初に、第一の半導体チップ1072の各パッド1073と各リード1074とをワイヤ1084で接続する。この、ワイヤボンディングは、例えば、第一の半導体チップ1072の右下角のパッドとそのパッドに対応するリードとのボンディングを行い、次に先にボンディングしたパッドとリードの方向と同様の方向のパッドとリート、つまり右下角のパッドの左に隣接するパッドとそのパッドに対応するリードとのボンディングを行う。そして、図24に示す矢印Aのように、右回りに下側のパッドとリードとのボンディングを行う。下の段の一番左(左下角)のパッドとリードとをボンディングしたら、次に左上角のパッドとリードとのボンディングを行う。この場合、パッドからリードへの方向は180度反転するので、左下角のボンディングの終了後、図21Aから図21Cで説明したようにウィンドクランパの穴76にワイヤの先端を挿入し、キャピラリ16を水平に移動させてキャピラリ16から突出するワイヤテール82の曲がり方向を反転させる。ワイヤテール82の方向を反転させたら、第一の半導体チップ1072の左上角のパッドとリードとのボンディングを行う。そして、右側に向かってパッドとリードとを順次ボンディングしていく。そして、最後に第一の半導体チップの右上角のパッド1073とリード1074とのボンディングを行う。このボンディングの終わった際には、右上角のパッド1073からリード1074の方向に向かってキャピラリ16の先端からワイヤテール82が延出している。
【0127】
次に、第二の半導体チップ2072の各パッド2073と各リード2074とのボンディングを行う。この際、最初に、ワイヤテール82の曲がっている方向にパッド2073とリード2074とが配置されている、例えば、第二半導体チップ2072の右上角のパッド2073とリード2074とをボンディングする。次に、パッドとリードの方向が右上角のパッド2073とリード2074と同様であるパッド2073の左隣(左上角)のパッドとリードを接続する。そして、先に説明したと同様、キャピラリ16から突出するワイヤテール82の曲がり方向を反転させた後、左下角、右下角の順に図24に矢印Bで示すように左回りにボンディングしていく。
【0128】
その次に、第三の半導体チップ3072の各パッド3073と各リード3074とのボンディングを行う。この際も、先に説明したと同様、第二の半導体チップ2072の最後にボンディングしたパッドとリードの方向と同様の方向にパッドとリードとが配置されている、例えば、第三半導体チップ3072の右下のパッド3073とリード3074とをボンディングする。そして、図24に示す矢印Cのように、右回りに順次パッドとリードとをボンディングしていく。
【0129】
以上述べた実施形態では、先の半導体チップの最後のパッドとリードとのボンディングの次にワイヤテール82の曲がり方向を反転させる動作を行うことなく次の半導体チップのパッドとリードとのボンディングを開始することができるので、キャピラリ16から突出するワイヤテール82の曲がり方向を反転させる動作の回数を少なくすることができ、効率的にボンディングを行うことができる。また、本実施形態では、各半導体チップ1072,2072,3072の各上側、下側のパッドとリードの方向はそれぞれ同様の方向として説明したが、図3を参照して説明した実施形態のように、ワイヤテール82の曲がり方向の変更が必要とならない所定の角度差よりも小さい角度差もって配置されていても同様の効果を奏することができる。
【0130】
ボンディングの際に各半導体チップ1072,2072,3072の各パッド1073,2073,3073と対応する各リード1074,2074,3074のボンディングの際の順序は、上記の実施形態に限られず、先の半導体チップの最後のパッドとそのパッドに対応する基板のリードとをワイヤで接続した後、該パッドから該リードに向かう方向に沿ってパッドとそのパッドに対応するリードが配置されている次の半導体チップの該パッドと該リードからワイヤの接続を開始するようにすればよく、例えば、図25に示すように、第一の半導体チップ1072では、右回り、第二の半導体チップでも右回り、第3の半導体チップと3072でも右回りに順次ボンディングしてもよい。
【0131】
先に述べた実施形態では、先の半導体チップの最後のパッドとリードとのボンディングの次にワイヤテール82の曲がり方向を反転させる動作を行うことなく次の半導体チップのパッドとリードとのボンディングを開始するボンディング方法について説明したが、次に図26、図27を参照しながら、ワイヤテール82の曲がり方向を反転させる動作の回数を低減することのできる他のボンディング方法について説明する。
【0132】
図26において、点線で囲まれている各半導体チップ1072,2072,3072の上側の各パッド1073,2073,3073、各リード1074,2074,3074の組は、各リードとパッドの方向が略同様の方向となっている。また、下側の各パッド1073,2073,3073、各リード1074,2074,3074の組は、各リードとパッドの方向が上側の組と反対方向となっている。このため、各パッドとリードとの方向が同様となっている領域のパッドとリードとを連続してボンディングすることにより、ワイヤテール82の曲がり方向を反転させる動作の回数を低減することができる。
【0133】
例えば、領域1101,2101,3101の順にパッドとリートとのボンディングを行った後、ウィンドクランパの穴76にワイヤの先端を挿入し、キャピラリ16を水平に移動させてキャピラリ16から突出するワイヤテール82の曲がり方向を反転させ、領域1102,2102,3102の順にパッドとリードとのボンディングを行うことでワイヤテール82の曲がり方向の反転を一回まで低減することが可能となる。
【0134】
また、本実施形態では、各領域1101,2101,3101の各パッドと各リードとの方向、各領域1102,2102,3102の各パッドと各リードとの方向はそれぞれ全て同様の方向として説明したが、図3を参照して説明した実施形態のように、ワイヤテール82の曲がり方の変更が必要とならない所定の角度差よりも小さい角度差となっていても同様の効果を奏することができる。
【0135】
また、図27に示すように、半導体チップが積層され、各層パッドの間をワイヤで接続する場合、各パッドが同様の方向に並んでいる図27に示す領域4101,5101,6101を連続して最初にボンディングし、ウィンドクランパの穴76にワイヤの先端を挿入し、キャピラリ16を水平に移動させてキャピラリ16から突出するワイヤテール82の曲がり方向を反転させ、領域4102,5102,6102を連続してボンディングするようにしてもよい。この場合も先に説明した実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0136】
次に、図28を参照して、ワイヤテール82を切断する際の他の動作について説明する。ワイヤテール82の切断については、先に、図5Lを参照して、キャピラリを斜め上方向に移動させてキャピラリ16の先端から斜め下方向にワイヤテール82が延出するように切断する動作として説明した。しかし、近年、多く用いられるようになってきているアルミ線を用いたボンディングでは、金線を用いた場合よりもワイヤテール82の切断に大きな力が必要で、場合によってはワイヤテール82の切断をしにくいことがある。このため、アルミ線を用いたボンディングにおいても確実にワイヤテール82の切断をすることが求められている。
【0137】
図28に示すように、本実施形態では、第2ボンド点Pにボンディングした後、クランパを開としてキャピラリ16を図28に示す移動線1051に示すように第2ボンド点からいったん所定高さまで垂直に上昇させた後、第1ボンド点の方向に向かって図28に示す移動線1052のように水平方向に移動させ、その後、キャピラリ16を次にボンディングを行う第1ボンド点と第2ボンド点の方向に沿って水平方向に移動させ、点Sにおいてクランパを閉とし、さらに水平移動させてワイヤテール82が斜め下方向に延出するように切断する。この切断方法は、キャピラリ16を水平に往復動作させることによって、第2ボンド点近傍のワイヤテール82を加工硬化させるので、ワイヤテール82を容易に切断することができるという効果を奏する。
【符号の説明】
【0138】
10 ワイヤボンディング装置、11 スプール、13 ボンディングアーム、13b 超音波ホーン、14 ボンディングステージ、15 超音波振動子、16 ボンディングツール、16a 押圧面、16b 貫通孔、16c,16d 角部、16e 面取り、16g 中心線、17 クランパ、18 移動機構、19 ボンディングヘッド、20 XYテーブル、27 クランパ開閉機構、28 カメラ、29 ボンディングツール高さ検出器、30 制御部、31 データバス、32 記憶部、33 ボンディング方向計算プログラム、34 ワイヤテール延出プログラム、35 テールカットプログラム、36 ワイヤテール折り曲げプログラム、37 制御プログラム、38 制御データ、41 クランパ開閉機構インターフェース、42 ボンディングツール高さ検出インターフェース、43 超音波振動子インターフェース、44 移動機構インターフェース、50,51 ボンディングツール上昇軌跡、52〜58 移動軌跡、60 コンピュータ、71 基板、72,1072,2072,3072 半導体チップ、73,1073,2073,3073 パッド、74,1074,2074,3074 リード、75 ウィンドクランパ、75a,79a 上面、75b 周面、75c 周辺部、76 孔、76a 内面、77 開口、78 折り曲げステーション、79 突起、79b 側面、81 ワイヤ、82 ワイヤテール、82a 突出部、82c 折れ曲がり部、84 接続ワイヤ、91 第1の直線、92,94,97 ワイヤテール引き出し線、93 第2の直線、95 第5の直線、96 第6の直線、98 第7の直線、173 第1パッド、174 第1リード、183,185,283,285,683,685 接合部、183a,283a,683a 端部、184,284,684 接続ワイヤ、273 第2パッド、274 第2リード、573 第5パッド、574 第5リード、673 第6パッド、674 第6リード、773 第7パッド、774 第7リード、1051〜1053 移動線、1101〜6102 領域、n 整数。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状体で、その長手方向にワイヤが挿通される貫通孔と、その先端の前記貫通孔の周縁に設けられてボンディング対象に前記ワイヤを押圧する押圧面と、を有するボンディングツールと、
前記ワイヤを把持するクランパと、
前記ボンディングツールの移動を規定すると共に前記クランパを開閉する制御部と、を含み、複数の第1ボンド点と複数の第2ボンド点とをそれぞれ前記ワイヤで接続するワイヤボンディング装置であって、
前記制御部は、
先の第2ボンド点に前記ワイヤをボンディングした後、前記クランパを開として前記ボンディングツールを上昇させ、次の第1ボンド点から次の第2ボンド点に向う直線に沿って所定距離だけ移動させ、前記ボンディングツールの前記貫通孔から前記ワイヤを前記次の第1ボンド点から前記次の第2ボンド点に向う直線に沿った方向に延出させるワイヤテール延出手段と、
前記ワイヤテールを延出させた後、前記クランパを閉として前記ボンディングツールを前記次の第1ボンド点から前記次の第2ボンド点に向う直線に沿った方向に移動させて前記ワイヤテールを切断するテールカット手段と、
を有することを特徴とするワイヤボンディング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤボンディング装置であって、
前記ボンディングツールの先端から延出した前記ワイヤテールを引っ掛ける段部を含む折り曲げステーションを含み、
制御部は、
前記ボンディングツールを折り曲げステーションに移動させ、前記ワイヤテールを前記段部に沿った位置に配置した後、前記次の第1ボンド点から前記次の第2ボンド点に向う直線に沿って前記次の第2ボンド点の方向に前記ボンディングツールを移動させて前記ワイヤテールを前記次の第1ボンド点に向う方向に折り曲げるワイヤテール折り曲げ手段を含むこと、
を特徴とするワイヤボンディング装置。
【請求項3】
請求項2に記載のワイヤボンディング装置であって、
制御部は、
先の第1ボンド点と前記先の第2ボンド点とを結ぶ第1の直線と、前記次の第1ボンド点と前記次の第2ボンド点とを結ぶ第2の直線とのなす角度が所定の角度よりも小さい場合には、前記ワイヤテール延出手段と、前記テールカット手段によってワイヤテールの形成を行い、
前記第1の直線と前記第2の直線とのなす角度が前記所定の角度よりも同じか大きい場合には、前記ワイヤテール折り曲げ手段によってワイヤテールの形成を行うこと、
を特徴とするワイヤボンディング装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のワイヤボンディング装置であって、
前記貫通孔の前記押圧面側の端部はストレート孔で、前記ストレート孔の内面と前記押圧面とのなす角度は略直角であること、
を特徴とするワイヤボンディング装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のワイヤボンディング装置であって、
前記押圧面は、円環状の平面であり、
前記ワイヤテール延出手段は、前記ワイヤテールの長さが前記押圧面の外半径より僅かに長くなるように前記ボンディングツールを移動させること、
を特徴とするワイヤボンディング装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のワイヤボンディング装置であって、
前記ワイヤテール延出手段は、前記ボンディングツールを所定のZ方向距離だけ上昇させた後、次の第1ボンド点から次の第2ボンド点に向う直線に沿って所定のXY方向距離だけ水平に移動させること、
を特徴とするワイヤボンディング装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載のワイヤボンディング装置であって、
前記ワイヤテール延出手段は、前記ボンディングツールを次の第1ボンド点から次の第2ボンド点に向う直線に沿って所定の斜め方向距離だけ斜め上方に移動させること、
を特徴とするワイヤボンディング装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のワイヤボンディング装置であって、
前記複数の第1ボンド点は、基板のリードであり、
前記複数の第2ボンド点は、半導体チップのパッドであること、
を特徴とするワイヤボンディング装置。
【請求項9】
請求項2から8のいずれか1項に記載のワイヤボンディング装置であって、
前記折り曲げステーションの段部は、
前記ワイヤテールを引っ掛ける壁面と、前記壁面につながる上平面とを有し、
前記ワイヤテール折り曲げ手段は、
前記ボンディングツールの前記押圧面が前記折り曲げステーションの前記段部の前記上平面より前記ワイヤの直径よりも僅かに高い高さで前記ボンディングツールを移動させること、
を特徴とするワイヤボンディング装置。
【請求項10】
棒状体で、その長手方向にワイヤが挿通される貫通孔と、その先端の前記貫通孔の周縁に設けられてボンディング対象に前記ワイヤを押圧する押圧面と、を有するボンディングツールと、前記ワイヤを把持するクランパと、を含むワイヤボンディング装置によって、複数の第1ボンド点と複数の第2ボンド点とをそれぞれ前記ワイヤで接続するワイヤボンディング方法であって、
先の第2ボンド点に前記ワイヤをボンディングした後、前記クランパを開として前記ボンディングツールを上昇させ、次の第1ボンド点から次の第2ボンド点に向う直線に沿って前記ボンディングツールを所定距離だけ移動させ、前記ボンディングツールの前記貫通孔から前記ワイヤを前記次の第1ボンド点から前記次の第2ボンド点に向う直線に沿った方向に延出させるワイヤテール延出工程と、
前記ワイヤテール延出工程の後、前記クランパを閉として前記ボンディングツールを前記次の第1ボンド点から前記次の第2ボンド点に向う直線に沿った方向に移動させて前記ワイヤテールを切断するテールカット工程と、
を有することを特徴とするワイヤボンディング方法。
【請求項11】
請求項10に記載のワイヤボンディング方法であって、
前記ボンディング装置が前記ボンディングツールの先端から延出した前記ワイヤテールを引っ掛ける段部を含む折り曲げステーションを含み、
前記ボンディングツールを折り曲げステーションに移動させ、前記ワイヤテールを前記段部に沿った位置に配置した後、前記次の第1ボンド点から前記次の第2ボンド点に向う直線に沿って前記次の第2ボンド点の方向に前記ボンディングツールを移動させて前記ワイヤテールを前記次の第1ボンド点に向う方向に折り曲げるワイヤテール折り曲げ工程を含むこと、
を特徴とするワイヤボンディング方法。
【請求項12】
請求項11に記載のワイヤボンディング方法であって、
先の第1ボンド点と前記先の第2ボンド点とを結ぶ第1の直線と、前記次の第1ボンド点と前記次の第2ボンド点とを結ぶ第2の直線とのなす角度が所定の角度よりも小さい場合には、前記ワイヤテール延出工程と、前記テールカット工程によってワイヤテールの形成を行い、
前記第1の直線と前記第2の直線とのなす角度が前記所定の角度よりも同じか大きい場合には、前記ワイヤテール折り曲げ工程によってワイヤテールの形成を行うこと、
を特徴とするワイヤボンディング方法。
【請求項13】
請求項10から12のいずれか1項に記載のワイヤボンディング方法であって、
前記押圧面は、円環状の平面であり、
前記ワイヤテール延出工程は、前記ワイヤテールの長さが前記押圧面の外半径より僅かに長くなるように前記ボンディングツールを移動させること、
を特徴とするワイヤボンディング方法。
【請求項14】
請求項10から13のいずれか1項に記載のワイヤボンディング方法であって、
前記ワイヤテール延出工程は、前記ボンディングツールを所定のZ方向距離だけ上昇させた後、次の第1ボンド点から次の第2ボンド点に向う直線に沿って所定のXY距離だけ水平に移動させること、
を特徴とするワイヤボンディング方法。
【請求項15】
請求項10から14のいずれか1項に記載のワイヤボンディング方法であって、
前記ワイヤテール延出工程は、前記ボンディングツールを次の第1ボンド点から次の第2ボンド点に向う直線に沿って所定の斜め方向距離だけ斜め上方に移動させること、
を特徴とするワイヤボンディング方法。
【請求項16】
請求項10から15のいずれか1項に記載のワイヤボンディング方法であって、
前記複数の第1ボンド点は、基板のリードであり、
前記複数の第2ボンド点は、半導体チップのパッドであること、
を特徴とするワイヤボンディング方法。
【請求項17】
請求項3から7のいずれか1項に記載のワイヤボンディング装置であって、
制御部は、
共通の基板に複数の半導体チップを配置し、各半導体チップの複数のパッドと各パッドに対応する基板の各リードとをそれぞれワイヤで接続する際に、
先の半導体チップの最後のパッドとそのパッドに対応する基板のリードとをワイヤで接続した後、該パッドから該リードに向かう方向に沿ってパッドとそのパッドに対応するリードが配置されている後の半導体チップの該パッドと該リードの組からワイヤの接続を開始すること、を特徴とするワイヤボンディング装置。
【請求項18】
請求項3から7のいずれか1項に記載のワイヤボンディング装置であって、
制御部は、
共通の基板に複数の半導体チップを配置し、各半導体チップの複数のパッドと各パッドに対応する基板の各リードとをそれぞれワイヤで接続する際に、
各パッドと各パッドに対応する各リードとを結ぶ線の方向が同様となっている各パッドと各リードの組ごとに順次ワイヤで接続すること、
を特徴とするワイヤボンディング装置。
【請求項19】
請求項1から5のいずれか1項に記載のワイヤボンディング装置であって、
前記ワイヤテール延出手段は、前記ボンディングツールを所定のZ方向距離だけ上昇させ、第2ボンド点から第1ボンドの方向に所定のXY方向距離だけ水平に移動させた後、次の第1ボンド点から次の第2ボンド点に向う直線に沿って所定のXY方向距離だけ水平に移動させること、
を特徴とするワイヤボンディング装置。
【請求項20】
請求項12から15のいずれか1項に記載のワイヤボンディング方法であって、
共通の基板に複数の半導体チップを配置し、各半導体チップの複数のパッドと各パッドに対応する基板の各リードとをそれぞれワイヤで接続する際に、
先の半導体チップの最後のパッドとそのパッドに対応する基板のリードとをワイヤで接続した後、該パッドから該リードに向かう方向に沿ってパッドとそのパッドに対応するリードが配置されている後の半導体チップの該パッドと該リードの組からワイヤの接続を開始すること、を特徴とするワイヤボンディング方法。
【請求項21】
請求項12から15のいずれか1項に記載のワイヤボンディング装置であって、
共通の基板に複数の半導体チップを配置し、各半導体チップの複数のパッドと各パッドに対応する基板の各リードとをそれぞれワイヤで接続する際に、
各パッドと各パッドに対応する各リードとを結ぶ線の方向が同様となっている各パッドと各リードの組ごとに順次ワイヤで接続すること、
を特徴とするワイヤボンディング方法。
【請求項22】
請求項10から13のいずれか1項に記載のワイヤボンディング方法であって、
前記ワイヤテール延出手段は、前記ボンディングツールを所定のZ方向距離だけ上昇させた、第2ボンド点から第1ボンドの方向に所定のXY方向距離だけ水平に移動させた後、次の第1ボンド点から次の第2ボンド点に向う直線に沿って所定のXY方向距離だけ水平に移動させること、
を特徴とするワイヤボンディング方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図5H】
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【図5J】
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【図5K】
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【図5L】
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【図5M】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図11F】
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【図11G】
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【図11H】
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【図11J】
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【図11K】
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【図11L】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図19】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図21C】
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【図21D】
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【図21E】
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【図21F】
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【図21G】
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【図21H】
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【図21J】
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【図21K】
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【図21L】
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【図21M】
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【図21N】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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