説明

ワイヤレス通信システムにおけるマルチキャリア通信の管理のための方法および装置

【課題】単一のアクセス端末中で複数のアンテナをダイバーシティ通信とマルチチャネル通信とに利用する方法を提供する。
【解決手段】方法および装置は、単一の搬送周波数で送信されたシングルキャリア信号を複数のアンテナモジュールのうちの各アンテナモジュールが受信するダイバーシティモードと、第1の搬送周波数で送信された第1のマルチキャリア信号を複数のアンテナモジュールのうちの第1のアンテナモジュールが受信し、第2の搬送周波数で送信された第2のマルチキャリア信号を第2のアンテナモジュールが受信するマルチキャリアモードとの間で切り換えるよう、アクセス端末に指示するマルチキャリア切換コマンドメッセージを、アクセス端末に送信することによって、無線通信システム中のリソースを管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
米国特許法119条に基づく優先権主張
本特許出願は、2005年4月4日に出願され、本出願の譲受人に譲渡され、よって参照により本明細書に明白に組み込まれている、「METHOD AND APPARATUS FOR RECEIVER CONTROL IN A WIRELESS COMMUNICATION SYSTEM」という名称の仮出願第60/668437号に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は一般に、セルラー通信システムに関し、より詳細には、マルチキャリア通信を管理するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
GSM(登録商標)(Global System for Mobile Communication)セルラー通信システムは、基地局の構成を介して、移動体および携帯型デバイスに通信サービスを提供する。GSMシステムでは、時分割多重化を用いて、タイムスロットのフレームおよび無線ブロックが送信され、移動局で受信される。GSMシステムは、元々は音声通信サービスを提供していたが、データ通信サービスも提供するように進化した。GPRS(general packet radio service)やEDGE(Enhanced Data for Global Evolution)などの標準がさらに、GSMベースのシステム内におけるデータ通信のためのプロトコルを定義する。アクセス端末(移動体デバイスや携帯型デバイスと呼ばれたり、他の名前で呼ばれたりすることもある)は、チャネルを介してアップリンクおよびダウンリンク方向に通信する。性能を高めるために、いくつかのアクセス端末は受信ダイバーシティ技法を利用するが、この技法では、単一チャネル上で送信された信号を、複数のアンテナを使用して受信する。アンテナ間の相違、例えばアンテナ位置などにより、入来信号の少なくともいくつかは、より高い品質で受信することができる。例えば、通信路のマルチフェージング特性のせいで、複数の信号が、あるアンテナでは破壊的に結合し、別のアンテナでは建設的に結合する場合がある。しかし、受信ダイバーシティを用いることにより、より高品質の信号を受信する機会が増加する。受信ダイバーシティのいくつかの場合では、複数のアンテナからの信号を結合して信号品質を高める。
【0004】
増大したデータ/音声サービスを提供するようにGSMシステムが進化するのに伴って、帯域幅およびシステム容量の必要性が増大する。マルチキャリア通信システムでは、信号は、異なる搬送周波数の複数のチャネルを使用して送信される。受信機は、複数のアンテナを介して複数のチャネルを同時に受信し、この結果、全体的な帯域幅が増大する。従来のシステムは、単一のアクセス端末中で複数のアンテナをダイバーシティ通信とマルチチャネル通信とに利用する方法を含まない。
【0005】
したがって、GSM通信システム中のマルチキャリア通信を管理するための装置および方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態は、単一の搬送周波数で送信されたシングルキャリア信号を複数のアンテナモジュールのうちの各アンテナモジュールが受信するダイバーシティモードと、第1の搬送周波数で送信された第1のマルチキャリア信号を複数のアンテナモジュールのうちの第1のアンテナモジュールが受信し、第2の搬送周波数で送信された第2のマルチキャリア信号を第2のアンテナモジュールが受信するマルチキャリアモードとの間で切り換えるよう、アクセス端末に指示するメッセージを、アクセス端末に送信するように構成された送信機である。
【0007】
別の実施形態は、通信システム中の通信を管理する方法であり、この方法は、単一の搬送周波数で送信されたシングルキャリア信号を複数のアンテナモジュールのうちの各アンテナモジュールが受信するダイバーシティモードと、第1の搬送周波数で送信された第1のマルチキャリア信号を複数のアンテナモジュールのうちの第1のアンテナモジュールが受信し、第2の搬送周波数で送信された第2のマルチキャリア信号を第2のアンテナモジュールが受信するマルチキャリアモードとの間で切り換えるよう、アクセス端末に指示するメッセージを、アクセス端末に送信することを含む。
【0008】
別の実施形態は、無線通信システム中のアクセス端末であり、このアクセス端末は、メッセージに応答するように構成され、このメッセージは、単一の搬送周波数で送信されたシングルキャリア信号を複数のアンテナモジュールのうちの各アンテナモジュールが受信するダイバーシティモードと、第1の搬送周波数で送信された第1のマルチキャリア信号を複数のアンテナモジュールのうちの第1のアンテナモジュールが受信し、第2の搬送周波数で送信された第2のマルチキャリア信号を第2のアンテナモジュールが受信するマルチキャリアモードとの間で切り換えるよう、アクセス端末に指示する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の例示的な実施形態による、基地局と通信するアクセス端末のブロック図である。
【図2】例示的な実施形態による、GSMネットワークとアクセス端末との間で交換されるシグナリングメッセージのブロック図である。
【図3】例示的な実施形態による機能メッセージのブロック図である。
【図4】例示的な実施形態によるマルチキャリア切換コマンドメッセージのブロック図である。
【図5】例示的な実施形態によるRXDIV切換コマンドメッセージのブロック図である。
【図6】例示的な実施形態による、ワイヤレス通信システム中のマルチキャリア通信を管理する方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の例示的な実施形態によるGSM通信システム100のブロック図である。「例示的な」という語は、本明細書では「例、事例、または実例としての働きをする」ことを意味するように使用される。したがって、本明細書で「例示的な」として述べるどんな実施形態も、他の実施形態よりも好ましいまたは有利であると解釈すべきだとは限らない。GSMシステム100に関して述べるブロックの様々な機能および動作は、任意の数のデバイス、回路、または要素中で実現することができる。場合によっては、複数の機能ブロックを単一のデバイス中で統合してもよく、また、いずれかの単一のデバイス中で実施されるものとして述べる機能を、複数のデバイスにまたがって実現してもよい。GSMシステム100は、GSM EDGE無線アクセスネットワーク(GERAN)標準によって現在定義されていない特徴、メッセージ、および他の態様を含むが、他の点では、例示的な実施形態ではGERAN通信技法に従って動作する。したがって、例示的な実施形態は、現在のGERAN通信標準に対する変更の一例を提供する。
【0011】
GSMシステム100は、複数のアクセス端末102に通信サービスを提供するGSMネットワーク114を含む。アクセス端末102は、GSMネットワーク114との音声および/またはデータ通信の任意の組合せを容易にするいくつかのタイプのデバイスのいずれかとすることができる。アクセス端末102(ハンドセット、移動局(MS)、ワイヤレス通信デバイスと呼ばれたり、他の用語で呼ばれたりすることもある)は、例えばセルラー電話機やワイヤレスパーソナルディジタルアシスタント(PDA)などのデバイスを含む。GSMネットワーク114は複数の基地局104を含み、これらの基地局104は、アクセス端末102ならびに他のインフラストラクチャ、データベース、およびバックホールとワイヤレス信号を交換する。GSMネットワーク114は、標準プロトコルによってしばしば定義される通信プロトコルに従ったコマンドおよび制御メッセージを使用してアクセス端末の通信を制御することによって、リソースを管理する。GSMネットワーク114を伴う基地局104は、音声、データ、およびシグナリングメッセージをアクセス端末102に送信するための送信機を備える。基地局104内の受信機が、アクセス端末102から送信された音声、データ、およびシグナリングメッセージを受信する。
【0012】
GSMネットワーク114中の1つまたは複数の基地局104によって送信された信号は、アンテナシステム120を介して受信機116によって受信される。アンテナシステム120は、少なくとも1つのアンテナ106、108を含む。1つまたは複数のアクセス端末102は、複数のアンテナ106、108を含むアンテナシステム102を備えることができる。複数のアンテナ106、108を備えるアクセス端末102は、受信ダイバーシティ技法を利用して、受信機性能を改善することができる。受信ダイバーシティ動作の間、複数のアンテナ106、108は、同じ搬送周波数に同調されて、送信信号の複数のバージョンを受信する。追加のアンテナを介して受信した信号から、または複数のアンテナ106、108から受信した信号の組合せから、追加情報が得られた場合に、性能は改善される。場合によっては、受信信号についての搬送周波数は、送信の過程にわたって変化することがある。このような状況は、例えば周波数ホッピングが利用される場合に生じ、この場合、信号が送信される搬送周波数は、所定のシーケンスに従ってTDMAフレームごとに変化する。したがって、複数のアンテナ106、108は、同じ信号に同調されたままであり、「ホッピング」搬送周波数に従う。
【0013】
前述のように、マルチキャリア通信は、既存のGERANインフラストラクチャにおけるダウンリンク通信のピークデータレートを増加させる技法を提供する。マルチキャリアモードでは、少なくとも2つのアンテナ106、108が、異なる搬送周波数の異なる信号を受信する。複数の搬送波信号を使用することによって、より多くの帯域幅が情報の受信に使用され、その結果、アクセス端末102における受信データレートが増加する。
【0014】
例示的な実施形態によるアクセス端末102は、受信ダイバーシティ(RXDIV)モードおよびマルチキャリアモードで動作することができる。アクセス端末102は、複数のアンテナ106、108を含むアンテナシステム120を備える。アンテナシステム120は、例示的な実施形態では第1のアンテナ106および第2のアンテナ108を含む。マルチキャリアおよびRXDIV受信機202は、RXDIVモードで少なくとも2つのアンテナ106、108を介して信号の複数のバージョンを受信するための、適切なハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアを含む。さらに、受信機202は、一方のアンテナ106を介して第1の搬送周波数(C1)の第1の信号110を受信し、他方のアンテナ108を介して第2の搬送周波数(C2)の第2の信号112を受信することができる。
【0015】
コントローラ118は、本明細書に述べる機能を実施するように構成されたとともにアクセス端末の全体的な機能を容易にする、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアの任意の組合せである。コントローラ118は、任意の数および組合せの回路、電気デバイス、メモリ、および処理デバイスを含むことができ、処理デバイスは、単一のプロセッサ、マイクロプロセッサ、プロセッサ構成、または論理ゲートを含むことができる。コントローラ118の少なくとも一部は、集積回路の一部として、または特定用途向け集積回路(ASIC)の一部として、ディスクリートコンポーネントを使用して実現することができる。例示的な実施形態では、プロセッサ上で稼動するソフトウェアおよびファームウェアが、本明細書に述べる制御機能を実施する。コントローラ116は、GSMネットワーク114から受信された命令に基づいて、受信機116を構成するための制御信号を生成する。ハードウェアを構成しコードを呼び出すことに加えて、コントローラ118は、GSMシステム100のプロトコルに従った応答、肯定応答、および要求メッセージも生成する。
【0016】
例示的な実施形態では、アクセス端末102は、デフォルト構成として受信ダイバーシティモードに留まる。アクセス端末は、GSMネットワーク114から受信したマルチキャリア切換コマンドメッセージに応答して、マルチキャリアモードに切り換える。アクセス端末は、GSMネットワーク114から受信したRXDIV切換コマンドメッセージに応答して、受信ダイバーシティモードに再び切り換える。マルチキャリア切換コマンドメッセージを受信したとき、アクセス端末102は、適切な制御信号を生成し、受信機116を構成して、第1のアンテナ106を介して第1の搬送周波数の第1の信号110を受信し、第2のアンテナ108を介して第2の搬送周波数の第2の信号112を受信するようにする。例示的な実施形態では、受信機は、各アンテナ106、108に接続された受信機ブランチを含み、各受信機ブランチが異なる搬送周波数に同調できるようにする。適した受信機ブランチの一例は、入来信号を適切なミクシング信号と混合することによって入来信号を所望の中間周波数またはベースバンドに周波数シフトするための、1つまたは複数のミクサを含む。周波数シフトされた信号はさらに、他の受信機116コンポーネントによって処理および復調される。場合によっては、複数の受信機ブランチによって共有される共通フィルタに加えて、各受信機ブランチがフィルタを含んでもよい。各受信機ブランチは、制御信号に応答して、指示された搬送周波数に同調する。受信ダイバーシティモードの間は、受信機ブランチは同じ周波数に同調されて、単一信号の複数バージョンが受信されるようにする。マルチキャリアモードの間は、受信機ブランチの少なくとも1つが、他の1つの受信機ブランチとは異なる搬送周波数に同調される。したがって、受信機116は、コントローラに応答して、受信ダイバーシティモードの間は複数の受信機ブランチを単一の搬送周波数に同調させることができ、マルチキャリアモードの間は受信機ブランチを異なる搬送周波数に同調させることができる。場合によっては、他の技法を受信機116中で使用して、マルチキャリアおよびダイバーシティ機能を容易にすることもできる。本明細書の記述は2つのアンテナおよび2つの搬送波に限定されているが、この考察は、m個のダイバーシティブランチおよびn個の搬送波を含む任意の構成に適用することができる(n≦m)。
【0017】
図2は、例示的な実施形態による、GSMネットワーク114とアクセス端末102との間で交換されるシグナリングメッセージ202〜212のブロック図である。シグナリングメッセージ202〜212は、GERAN仕様で現在定義されている従来のシグナリングメッセージに組み込むこともでき、あるいは、GERAN仕様に対する追加メッセージとして実現することもできる。メッセージ202〜212の一部を複数の従来のシグナリングメッセージにまたがって実現することもでき、また、複数のメッセージ202〜212を単一のメッセージ中で実現することもできる。
【0018】
例示的な一実施形態では、GSMネットワーク214はデフォルトで、アクセス端末102のマルチキャリアおよび受信ダイバーシティ機能の通知を受ける。アクセス端末の受信ダイバーシティおよびマルチキャリア機能を少なくとも示す機能メッセージ204をアクセス端末が送信したとき、GSMネットワーク214は、アクセス端末102のマルチキャリアおよび受信ダイバーシティ機能の通知を受ける。機能メッセージ204については、後で図3を参照しながらさらに詳細に述べる。
【0019】
アクセス端末がRXDIV機能およびマルチキャリア機能を有する場合、GSMネットワークは、RXDIVモードとマルチキャリアモードとの間で切り換えるようアクセス端末に指示することによって、リソースを管理する。切換えの判定は、例えば、利用可能な帯域幅、アクセス端末によって受信されることになるデータの量、他の近接アクセス端末の数、他のアクセス端末のデータレート、エリア中の他のアクセス端末の機能、またはネットワークアルゴリズムに応じた他の何らかの理由など、いくつかの要因のいずれかに基づくことができる。
【0020】
GSMネットワークは、マルチキャリア切換コマンド206を送信して、受信ダイバーシティモードからマルチキャリアモードに切り換えるようアクセス端末に指示する。適したマルチキャリア切換コマンド206の一例は、Packet Downlink Assignment、Packet Timeslot Reconfigure、または類似のメッセージなど、GERAN仕様に従ったメッセージの修正形を含む。
【0021】
アクセス端末が受信機ダイバーシティモードからマルチキャリアモードへの切換えをうまく完了した後、アクセス端末は、切換えが成功したことを示す切換肯定応答メッセージ208を送信することができる。適した肯定応答メッセージ208の一例は、Packet Downlink Acknowledgementメッセージなど、既存のGERAN仕様に従ったメッセージを含む。場合によっては、肯定応答は送信されない。
【0022】
アクセス端末を受信ダイバーシティモードに戻すべきだとGSMネットワークが判定したときは、GSMネットワークはRXDIV切換コマンド210を送信する。適したRXDIV切換コマンド206の一例は、Packet Downlink Assignment、Packet Timeslot Reconfigure、または類似のメッセージなど、既存のGERAN仕様に従ったメッセージの修正形または拡張形を含む。
【0023】
アクセス端末は、マルチキャリアモードから受信ダイバーシティモードへの切換えが成功したことを示す切換肯定応答メッセージ212を送信することができる。場合によっては、肯定応答は送信されない。
【0024】
図3は、例示的な実施形態による機能メッセージ204のブロック図である。前に説明したように、アクセス端末は、マルチキャリアおよび受信ダイバーシティ機能を示す機能メッセージ204を送信する。機能メッセージ204は、RXDIVインジケータ302およびマルチキャリアインジケータ304を含むことができる。例示的な実施形態では、機能メッセージ204は、1ビットのRXDIVインジケータ203および1ビットのマルチキャリアインジケータ304、ならびに、アクセス端末の他の機能を記述する他のインジケータ306を含む。したがって、例示的な実施形態では、単一のビットが、アクセス端末が受信ダイバーシティ機能を有するかどうかを示し、単一のビットが、アクセス端末がマルチキャリア機能を有するかどうかを示す。場合によっては、これらのインジケータは、追加情報を搬送するために複数のビットを含んでもよい。適した機能メッセージ204の一例は、MS Radio Access Capabilitiesメッセージに従ったメッセージを含み、この場合、RXDIVおよびマルチキャリア機能を伝えるために、現行フォーマットにビットが受領または追加される。場合によっては、マルチキャリア対応のすべての移動端末は暗黙的にRXDIV対応でもあると仮定して、機能メッセージ204には1ビットのマルチキャリアインジケータ304のみが含まれる。
【0025】
図4は、例示的な実施形態によるマルチキャリア切換コマンドメッセージ206のブロック図である。マルチキャリア切換コマンドメッセージ206は、アクセス端末がマルチキャリアモードに切り換えるべきであることを示す命令を少なくとも含む。例示的な実施形態では、マルチキャリア切換コマンドメッセージ206は、マルチキャリア切換インジケータ402と、マルチキャリアチャネルインジケータ404と、端末が割り当てられている複数の搬送波のタイムスロット構成に関する他のコマンドとを含む。このようなコマンドの一例は、Packet Downlink AssignmentメッセージやPacket Timeslot Reconfigureメッセージ、または類似のメッセージなど、既存のGERAN仕様に従ったメッセージの修正形または拡張形を含む。
【0026】
図5は、例示的な実施形態によるRXDIV切換コマンドメッセージ210のブロック図である。RXDIV切換コマンドメッセージは、アクセス端末が受信ダイバーシティモードに切り換えるべきであることを示す命令を少なくとも含む。例示的な実施形態では、RXDIV切換コマンドメッセージ210は、RXDIV切換インジケータ502と、シングルキャリアチャネルインジケータ504と、端末が割り当てられている単一の搬送波のタイムスロット構成に関する他のコマンドとを含む。このようなコマンドの一例は、Packet Downlink AssignmentメッセージやPacket Timeslot Reconfigureメッセージ、または類似のメッセージなど、既存のGERAN仕様に従ったメッセージの修正形または拡張形を含む。シングルキャリアチャネルインジケータ504は、信号をアクセス端末に送信するのに使用されることになる単一のチャネルを示す。
【0027】
図6は、本発明の例示的な実施形態による、ワイヤレス通信システム中のマルチキャリア通信を管理する方法の流れ図である。この方法は、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアの任意の組合せを使用して実施することができる。例示的な実施形態では、この方法は、GSMネットワーク114内の基地局または他のネットワークエンティティ104中で実施される。単一のアクセス端末102に関してこの方法を論じるが、この方法は、GSMネットワーク114内で通信する任意の数のアクセス端末102について同時に実施される。
【0028】
ステップ602で、基地局104は、アクセス端末102の受信ダイバーシティおよびマルチキャリア機能を少なくとも示す機能メッセージ204を受信する。
【0029】
ステップ604で、アクセス端末102がマルチキャリア機能を有するかどうか判定する。アクセス端末102がマルチキャリア機能を有さない場合は、この特定のアクセス端末102に対するマルチキャリア管理は終了し、方法はステップ606に進む。そうでない場合は、方法はステップ608に続く。
【0030】
ステップ608で、アクセス端末102がマルチキャリアモードに切り換わるべきかどうか判定する。前に論じたように、アクセス端末102は、例示的な実施形態ではデフォルトで受信ダイバーシティモードであり、したがって、GSMネットワーク114によって判定された場合のみマルチキャリアモードに切り換わる。この判定は、任意の数の要因に基づくことができ、GSMシステムの特定の実装形態、およびシステム機能に依存する。切換えの判定は、例えば、利用可能な帯域幅、アクセス端末102によって受信されることになるデータの量、他の近接アクセス端末(102)の数、他のアクセス端末(102)のデータレート、エリア中の他のアクセス端末(102)の機能、またはネットワークアルゴリズムに応じた他の何らかの理由など、いくつかの要因のいずれかに基づくことができる。アクセス端末102が受信ダイバーシティ(RXDIV)に留まるべきだと判定された場合は、方法はステップ608に戻り、システムの監視を継続する。アクセス端末102がマルチキャリアモードに切り換わるべきだと判定された場合は、方法はステップ610に続く。
【0031】
ステップ610で、マルチキャリア切換コマンドメッセージ206をアクセス端末102に送信する。例示的な実施形態では、マルチキャリア切換コマンドメッセージ206は、基地局104中の送信機によって送信される。
【0032】
ステップ612で、切換肯定応答208メッセージをアクセス端末から受信する。例示的な実施形態では、切換肯定応答メッセージ208は、基地局104中の受信機を介して受信される。肯定応答メッセージ208が受信されない場合、基地局104は、再送または解決手順に携わる。
【0033】
ステップ614で、アクセス端末102がシングルキャリア受信機ダイバーシティモードに切り換わるべきかどうか判定する。効率的なリソース割当てまたは他の理由のために、アクセス端末がRXDIVモードに切り換わるべきだとGSMネットワーク114が判定した場合は、方法はステップ616に続く。そうでない場合は、方法はステップ614に戻り、システム100の監視を継続する。
【0034】
ステップ616で、RXDIV切換コマンドメッセージ210をアクセス端末に送信する。前に論じたように、RXDIV切換コマンドメッセージ210は、例示的な実施形態ではシングルキャリアチャネルインジケータ504を含む。
【0035】
ステップ618で、マルチキャリアモードから受信ダイバーシティモードへの切換えが成功したことを示す切換肯定応答メッセージ212を受信する。肯定応答メッセージ208が受信されない場合、基地局104は、再送または解決手順に携わる。次いで、方法はステップ608に戻り、システムを監視して、アクセス端末102がマルチキャリアモードに切り換わるべきかどうか判定する。場合によっては、肯定応答メッセージは使用されないこともある。
【0036】
情報および信号は、様々な異なる技術および技法のいずれかを使用して表すことができることは、当業者なら理解するであろう。例えば、以上の記述全体を通して参照することのできるデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、記号、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場または磁性粒子、光場または光学粒子、あるいはこれらの任意の組合せによって表すことができる。
【0037】
さらに、本明細書に開示する実施形態に関連して述べた様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または両方の組合せとして実現できることは、当業者なら理解するであろう。このハードウェアとソフトウェアの互換性を明確に例示するために、上記では、様々な例示的なコンポーネント、ブロック、モジュール、回路、およびステップを、それらの機能の点から一般に述べた。このような機能がハードウェアとして実現されるかソフトウェアとして実現されるかは、システム全体に課される特定の適用および設計制約に依存する。当業者なら、述べた機能を、特定の適用ごとに様々な方法で実現することができるが、そのような実現決定は、本発明の範囲からの逸脱を引き起こすものと解釈されるべきではない。
【0038】
本明細書に開示する実施形態に関連して述べた様々な例示的な論理ブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、ディジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のプログラム可能な論理デバイス、ディスクリートゲートまたはトランジスタ論理、ディスクリートハードウェアコンポーネント、あるいは、本明細書に述べた機能を実施するように設計されたこれらの任意の組合せによって実現または実施することができる。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであってよいが、別法として、プロセッサは任意の従来型プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシンであってもよい。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組合せ、例えばDSPとマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアを伴う1つまたは複数のマイクロプロセッサ、あるいは他の任意のこのような構成として実現することもできる。
【0039】
本明細書に開示する実施形態に関連して述べた方法またはアルゴリズムのステップは、ハードウェア中に直接に、またはプロセッサによって実行されるソフトウェアモジュール中に、またはこの2つの組合せに、組み入れることができる。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、取外し可能ディスク、CD−ROM、または当技術分野で知られている他の任意の形の記憶媒体中に存在してよい。例示的な記憶媒体はプロセッサに結合され、それにより、プロセッサは記憶媒体に対して情報を読み書きすることができる。別法として、記憶媒体はプロセッサに統合されてもよい。プロセッサおよび記憶媒体は、ASIC中に存在してよい。ASICは、ユーザ端末中に存在してよい。別法として、プロセッサおよび記憶媒体は、ユーザ端末中にディスクリートコンポーネントとして存在してもよい。
【0040】
開示する実施形態についての以上の記述は、どんな当業者でも本発明を製造または使用できるようにするために提供するものである。これらの実施形態に対する様々な修正は、当業者にはすぐに明らかになるであろうし、本明細書に定義した一般的な原理は、本発明の趣旨または範囲を逸脱することなく他の実施形態にも適用することができる。したがって本発明は、本明細書に示した実施形態に限定されるものではなく、本明細書に開示する原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲が与えられるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の搬送周波数で送信されたシングルキャリア信号を複数のアンテナモジュールのうちの各アンテナモジュールが受信するダイバーシティモードと、第1の搬送周波数で送信された第1のマルチキャリア信号を前記複数のアンテナモジュールのうちの第1のアンテナモジュールが受信し、第2の搬送周波数で送信された第2のマルチキャリア信号を第2のアンテナモジュールが受信するマルチキャリアモードとの間で切り換えるよう、アクセス端末に指示するメッセージを、前記アクセス端末に送信するように構成された送信機を備える基地局。
【請求項2】
前記メッセージは、前記マルチキャリアモードに切り換えるよう前記アクセス端末に指示するマルチキャリア切換インジケータを含むマルチキャリア切換コマンドメッセージである、請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
前記マルチキャリア切換コマンドメッセージはさらに、前記アクセス端末にチャネルを割り当てるマルチキャリアチャネルインジケータを含む、請求項2に記載の基地局。
【請求項4】
前記マルチキャリア切換コマンドメッセージは、GSM(Global System for Mobile Communication)EDGE(Enhanced Data for Global Evolution)無線アクセスネットワーク(GERAN)標準プロトコルに従った修正Packet Downlink Assignmentメッセージである、請求項3に記載の基地局。
【請求項5】
前記マルチキャリア切換コマンドメッセージは、GSM(Global System for Mobile Communication)EDGE(Enhanced Data for Global Evolution)無線アクセスネットワーク(GERAN)標準プロトコルに従った修正Packet Timeslot Reconfigureメッセージである、請求項3に記載の基地局。
【請求項6】
前記メッセージは、前記受信ダイバーシティモードに切り換えるよう前記アクセス端末に指示するRXDIV切換インジケータを含むRXDIV切換コマンドメッセージである、請求項1に記載の基地局。
【請求項7】
前記RXDIV切換コマンドメッセージはさらに、前記アクセス端末にシングルキャリアチャネルを割り当てるシングルキャリアチャネルインジケータを含む、請求項6に記載の基地局。
【請求項8】
前記RXDIV切換コマンドメッセージは、GSM(Global System for Mobile Communication)EDGE(Enhanced Data for Global Evolution)無線アクセスネットワーク(GERAN)標準プロトコルに従った修正Packet Downlink Assignmentメッセージである、請求項7に記載の基地局。
【請求項9】
前記RXDIV切換コマンドメッセージは、GSM(Global System for Mobile Communication)EDGE(Enhanced Data for Global Evolution)無線アクセスネットワーク(GERAN)標準プロトコルに従った修正Packet Timeslot Reconfigureメッセージである、請求項7に記載の基地局。
【請求項10】
前記アクセス端末が前記マルチキャリアモードで動作するようにうまく構成されたことを示す切換肯定応答メッセージを受信するように構成された受信機をさらに備える、請求項1に記載の基地局。
【請求項11】
通信システム中の通信を管理する方法であって、
単一の搬送周波数で送信されたシングルキャリア信号を複数のアンテナモジュールのうちの各アンテナモジュールが受信するダイバーシティモードと、第1の搬送周波数で送信された第1のマルチキャリア信号を前記複数のアンテナモジュールのうちの第1のアンテナモジュールが受信し、第2の搬送周波数で送信された第2のマルチキャリア信号を第2のアンテナモジュールが受信するマルチキャリアモードとの間で切り換えるよう、アクセス端末に指示するメッセージを、前記アクセス端末に送信することを含む方法。
【請求項12】
前記メッセージは、前記マルチキャリアモードに切り換えるよう前記アクセス端末に指示するマルチキャリア切換インジケータを含むマルチキャリア切換コマンドメッセージである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記マルチキャリア切換コマンドメッセージはさらに、前記アクセス端末にチャネルを割り当てるマルチキャリアチャネルインジケータを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記マルチキャリア切換コマンドメッセージは、GSM(Global System for Mobile Communication)EDGE(Enhanced Data for Global Evolution)無線アクセスネットワーク(GERAN)標準プロトコルに従った修正Packet Downlink Assignmentメッセージである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記マルチキャリア切換コマンドメッセージは、GSM(Global System for Mobile Communication)EDGE(Enhanced Data for Global Evolution)無線アクセスネットワーク(GERAN)標準プロトコルに従った修正Packet Timeslot Reconfigureメッセージである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記メッセージは、前記受信ダイバーシティモードに切り換えるよう前記アクセス端末に指示するRXDIV切換インジケータを含むRXDIV切換コマンドメッセージである、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記RXDIV切換コマンドメッセージはさらに、前記アクセス端末にシングルキャリアチャネルを割り当てるシングルキャリアチャネルインジケータを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記RXDIV切換コマンドメッセージは、GSM(Global System for Mobile Communication)EDGE(Enhanced Data for Global Evolution)無線アクセスネットワーク(GERAN)標準プロトコルに従った修正Packet Downlink Assignmentメッセージである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記RXDIV切換コマンドメッセージは、GSM(Global System for Mobile Communication)EDGE(Enhanced Data for Global Evolution)無線アクセスネットワーク(GERAN)標準プロトコルに従った修正Packet Timeslot Reconfigureメッセージである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記アクセス端末が前記マルチキャリアモードで動作するようにうまく構成されたことを示す切換肯定応答メッセージを受信することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
無線通信システム中のアクセス端末であって、メッセージに応答するように構成され、前記メッセージは、単一の搬送周波数で送信されたシングルキャリア信号を複数のアンテナモジュールのうちの各アンテナモジュールが受信するダイバーシティモードと、第1の搬送周波数で送信された第1のマルチキャリア信号を前記複数のアンテナモジュールのうちの第1のアンテナモジュールが受信し、第2の搬送周波数で送信された第2のマルチキャリア信号を第2のアンテナモジュールが受信するマルチキャリアモードとの間で切り換えるよう前記アクセス端末に指示する、アクセス端末。
【請求項22】
前記メッセージは、前記マルチキャリアモードに切り換えるよう前記アクセス端末に指示するマルチキャリア切換インジケータを含む、請求項21に記載のアクセス端末。
【請求項23】
前記メッセージはさらに、前記アクセス端末にチャネルを割り当てるマルチキャリアチャネルインジケータを含む、請求項22に記載のアクセス端末。
【請求項24】
前記メッセージは、GSM(Global System for Mobile Communication)EDGE(Enhanced Data for Global Evolution)無線アクセスネットワーク(GERAN)標準プロトコルに従った修正Packet Downlink Assignmentメッセージである、請求項23に記載のアクセス端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−139477(P2011−139477A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−5175(P2011−5175)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【分割の表示】特願2008−505453(P2008−505453)の分割
【原出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】